(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施例の充電式掃除機100は、スティック型・ハンディ型両用可能な電気掃除機となっており、
図1にスティック型構成とした時の外観図を、
図2にハンディ型構成とした時の外観図を示している。
【0010】
図1に示すように、充電式掃除機100は、掃除機本体1およびダストケース2(集塵装置)を備えて構成されている。なお、
図1では、充電式掃除機100に吸口体3を取り付けた場合を示しているが、隙間ノズル4(
図2参照)等の各種の吸口に適宜切り替えて使用できる。さらに、回転ブラシ80が掃除機本体1に回動自在に取り付けられている。
なお、以下では、前後上下左右の方向として、スティック型およびハンディ型として使用する場合には、
図1に示す前後上下左右方向を基準として説明する。
【0011】
掃除機本体1は、本体部10、伸縮パイプ20および回転ハンドル30を備えて構成されている。ダストケース2および吸口体3は、掃除機本体1に着脱自在に取り付けられる。吸口体3は、パワーブラシ式のものである。
【0012】
本体部10は、モータケース11、蓄電池ケース12およびパイプケース13を備えている。また、本体部10には、ダストケース2が着脱自在に取り付けられるとともに、吸口体3から吸い込まれた塵挨を含む空気をダストケース2に送り込む導入路14を備えている。
【0013】
モータケース11には電動送風機40(
図3参照)が内包され、蓄電池ケース12には蓄電池60(
図3参照)が内包され、パイプケース13には伸縮パイプ20が内包される。
【0014】
掃除機本体1の前端には、吸口体着脱ボタン16が設けられている。この吸口体着脱ボタン16を押下することで吸口体3の取り外しが可能となる。
【0015】
伸縮パイプ20は、掃除機本体1に設けられたパイプケース13内に伸縮自在に支持されている。また、伸縮パイプ20は、本体部10の後面から後方に向けて引き出されるようになっている。本体部10の側面に設けられたプッシュボタン24eを押下することで、伸縮パイプ20を前後方向に伸縮させることができる。また、使用者が掃除機本体1を使用している際に、伸縮パイプ20が縮むことがないようにロック機構を備えている。
【0016】
回転ハンドル30は、使用者が手で握る部分であり、伸縮パイプ20の先端部の回転機構部33により回動自在に支持されている。また、回転ハンドル30は、側面視において略レーストラック形状且つ環状に形成されている。また、回転ハンドル30は、スティック型として使用する際に使用者が手で握る部分となるグリップ部30sと、ハンディ型として使用する際に使用者が手で握る部分となるグリップ部30tと、を有している。
【0017】
また、回転ハンドル30は、操作ボタン31a,31b(
図3参照)を備えている。操作ボタン31aは、スティック型として使用する場合に操作され、グリップ部30sの外面(
図1の上面)に設けられている。操作ボタン31b(
図3参照)は、ハンディ型として使用する場合に操作され、グリップ部30tの外面(
図2の上面)に設けられている。
【0018】
操作ボタン31aは、スティック状態で使用されるものであり、
図4(b)に示すように、「強」、「標準」、「切」の3つのボタンで構成されている。操作ボタン31b(後述の
図2参照)は、ハンディ状態で使用されるものであり、
図4(a)に示すように、ひとつのボタンで、「強」、「標準」、「切」がサイクリックに動作するように構成されている。このように、操作ボタン31bをひとつのボタンで構成することで間違って押されるのを無くすことができる。
【0019】
図2は充電式掃除機100をハンディ型として使用する際の全体を示す左側面図である。なお、
図2は、吸口体3(
図1参照)に替えて、隙間ノズル4を装着した状態を示しているが、吸口体3や隙間ノズル4を装着せずに使用してもよい。
図2に示すように、伸縮パイプ20は、該伸縮パイプ20のほぼ全体が本体部10内に収納されるようになっている。
【0020】
パイプケース13は、前後方向に延在し、パイプケース13の後端部から前方に向けて伸縮パイプ20が挿入され、パイプケース13の前端部に隙間ノズル4が接続される。
【0021】
モータケース11は、パイプケース13の長手方向の略中央部から後方且つパイプケース13の下側に位置している。また、モータケース11の前方には、ダストケース2が設けられている。
【0022】
蓄電池ケース12は、長手方向(前後方向)の略中央部から後方且つモータケース11の下側に位置している。
【0023】
回転ハンドル30は、伸縮パイプ20の伸縮方向(前後方向)に回動自在に構成されている。また、回転ハンドル30は、
図2の側面視において、細長い形状の開口部32を有する略レーストラック形状を呈している。この開口部32は、伸縮パイプ20をパイプケース13に収納し且つ回転ハンドル30を伸縮パイプ20の上側に重なるように折り畳んだときに、開口部32の長手方向が伸縮パイプ20の軸方向(伸縮方向)と平行になっている。
【0024】
また、グリップ部30s,30tには、開口部32側の面に指固定凹部32a,32bが形成されている。これにより、掃除機本体1をハンディ型として、使用者がグリップ部30tを把持した場合、指固定凹部32aに指を掛けて使用できる。また掃除機本体1をスティック型として(
図1参照)使用者がグリップ部30sを把持した場合、指固定凹部32bに指を掛けて使用できる。これにより、回転ハンドル30をしっかりと握ることができる。また、グリップ部30s,30t内において前後に位置を変えることができるように、指固定凹部32a,32bが前後の2ケ所に形成されている。また、回転ハンドル30の表面は、使用者が手で持ちやすいよう熱可塑性樹脂等の柔らかい素材で構成されていてもよい。
【0025】
回転ハンドル30は、細長く形成された開口部32の周囲にグリップ部30s,30tを有し、伸縮パイプ20が本体部10におけるパイプケース部13に収納され且つ回転ハンドル30が伸縮パイプ20側に回動した状態で、開口部32は、電動送風機40の略上方向に位置する。また、伸縮パイプ20が本体部10におけるパイプケース部13に収納され且つ回転ハンドル30が伸縮パイプ20側に回動した状態で、開口部32は、蓄電池(蓄電装置)60(
図3参照)の略上方向に位置する。
【0026】
図3は
図2に示す掃除機本体の中央断面図である。なお、
図3は、掃除機本体1に吸口体3および隙間ノズル4が装着されていない状態を図示している。
図3に示すように、本体部10のモータケース部11には、電動送風機40が収容されている。また、モータケース部11内には、電動送風機40を固定するための固定ケース11aが設けられている。固定ケース11a内には、電動送風機40の後方に、掃除機本体1を制御する本体基板50(制御基板)が固定されている。この固定ケース11aを覆う形でモータケース部11が構成されている。
【0027】
電動送風機40は、回転駆動軸40aが伸縮パイプ20の下方において伸縮パイプ20と平行となるように配置されている。また、電動送風機40から排出された空気は、電動送風機40の後方に配置された本体基板50に流れて、本体基板50を冷却するようになっている。
【0028】
本体基板50は、上下に分割して配置され、対向する面に部品が実装されている。電動送風機40から排出された空気のほとんどは、各本体基板50の対向配置された部品(発熱部品)を冷却するように流れる。
【0029】
本体部10の蓄電池ケース部12には、蓄電池60が収容され、蓄電池60が電動送風機40の下方に隣接するように配置されている。この蓄電池60は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池など充電可能なもので構成されている。ここで、本実施形態における蓄電池60とは単電池を複数用いてパックした組電池である。なお、使用条件等によっては単電池でもよい。
【0030】
ダストケース2は、サイクロン方式のものであり、モータケース部11の前方に配置され、略円柱形状を呈している。また、ダストケース2の前端がパイプケース部13に形成されたダストケース固定突起13aと嵌合し、ダストケース2の後端がスライド自在に構成されたロックボタン119によって蓄電池ケース部12と係合してロックされる。
【0031】
また、本体部10のパイプケース部13の上面には、充電式掃除機100をハンディ型として使用する際に、回転ハンドル30の前端をクランプするハンドルクランプ25(クランプ手段)が設けられている。操作ボタン31bは、ハンディ型として使用する際に、上向きとなり、容易に電源の入り切りが可能となる。
【0032】
また、本体部10には、本体基板50の後方に、本体LED51を備える。本体LED51は、
図4(c)に示すように、赤と緑の2色を点灯することができ、掃除機本体1の運転状態や蓄電池60の充電状態の表示ができる。また、本体LED51の色数は1色や2色以上でもよく、点灯や点滅との組み合わせによって、蓄電池60の充電完了状態や掃除機本体1の運転エラー状態を表示してもよく、また意匠として点灯または点滅してもよい。
【0033】
つぎに、
図5により、掃除機本体1を駆動制御する本体基板50(制御基板)の構成について説明する。
本体基板50(制御基板)は、蓄電池60の充電制御を行う電池充電制御部509と、蓄電池60を電源にして電動送風機40を駆動するインバータ回路501と、前記インバータ回路501をドライブするドライブ回路505を備えている。
【0034】
さらに、電動送風機40の駆動制御を行うために、蓄電池60の出力電圧を検知する電圧検知手段512と、蓄電池60から電動送風機40に供給される駆動電流を検知する電流検知手段513と、が設けられ、制御部500により制御される。
また、掃除機本体1の運転状態や蓄電池60の充電状態を表示する本体LED51である表示部506と、スティック型として使用する場合に操作される操作ボタン31aおよびハンディ型として使用する場合に操作される操作ボタン31bであるスイッチ507と、が設けられ、使用者の操作指令の検出や、掃除機本体1の状態を使用者に通知する。
【0035】
この他、基板サーミスタ508が設けられ、電動送風機40から排出された空気による冷却状態を監視している。
吸口制御部514は、パワーブラシ等の吸口体3の制御を行う。後述するが、本実施例の充電式掃除機100は、パワーブラシが装着されているときと、回転ブラシ80や隙間ノズルや応用吸口体を装着したときで、異なる動作モードで吸込みを行う。このため、吸口制御部514は、パワーブラシ等の吸口体3の装着の有無を判定する。
また、吸口制御部514は、回転ブラシモータの電流検知や回転ブラシモータのPWM(pulse width modulation)信号を出力する。
【0036】
より詳しくは、電動送風機40は、3相のブラシレスDCモータ502と送風ファン503とで構成される。3相のブラシレスDCモータ502は、蓄電池60の直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を出力するインバータ回路501により、駆動される。インバータ回路501には、平滑コンデンサ504により平滑された蓄電池60の直流電源が接続されている。
【0037】
制御部500は、マイクロコンピュータとメモリにより構成され、図示しない内蔵ROM(Read Only Memory)に格納されているプログラムとデータにより、その機能を実現している。
例えば、制御部500は、スイッチ507を介して、使用者の「強」または「標準」の動作モードによる検知すると、ドライブ回路505を介してインバータ回路501を制御し、動作モードに対応する所定の吸込仕事率を得られるように、電動送風機40を制御・駆動する。
【0038】
このとき、制御部500は、電圧検知手段512を介して蓄電池60の出力電圧を監視し、掃除機本体1の動作中に電動送風機40が所定の吸込仕事率で駆動されるようにインバータ回路501を駆動する。これにより、電動送風機40の入力電力が一定となり、蓄電池60の出力電力も一定となる。
また、電動送風機40の駆動に並行して、電圧検知手段512の検出電圧(蓄電池60の出力電圧)に従って、表示部506に掃除機本体1の運転状態や蓄電池60の充電状態を表示する。
以下に、制御部500の制御内容をより詳細に説明する。
【0039】
図6は、制御部500の機能ブロックを示すブロック図である。
運転モード制御部600は、モータ駆動電流・モータ印加電圧(電池電圧)、運転モードを示すスイッチ信号、電池残量、吸口有無に基づいて、本実施例の充電式掃除機100の運転モードを判定し、運転モードと動作状態ごとに所定の吸込仕事率に対応したモータ駆動指令(電流指令値)を出力する。
【0040】
ドライバ制御部601は、運転モード制御部600からのモータ駆動指令(電流指令値)と、ブラシレスDCモータ502のロータ位置に基づいて電動送風機40が所定の吸込仕事率を得るようにインバータ駆動信号を出力し、インバータ回路501の上アームと下アームのオン/オフを制御して3相のブラシレスDCモータ502の相電流を切換える。
【0041】
電池残量判定部603は、電圧検知手段512で検出した蓄電池60の電池電圧(出力電圧)に基づいて、蓄電池60が、充電を必要する状態であるか、または、過放電を防止するために掃除機本体1の動作を停止する状態にあるかを判定する。
運転モード制御部600は、電池残量判定部603の動作停止の判定結果に基づいて、掃除機本体1の動作を停止する。
【0042】
電池残量判定部603は、蓄電池60の電池電圧(出力電圧)に基づいて判定を行うようにしているが、蓄電池60の内部抵抗が大きな場合には、「強」または「標準」の動作モードにより、判定の閾値電圧が異なってくる。このため、運転モード制御部600で判定した運転モードに応じて、判定の閾値電圧を変えるとよい。
【0043】
電池残量表示制御部602は、電池残量判定部603の「充電を必要する状態」の判定により、本体LED51を緑色に点滅して、使用者に使用可能な時間が短いことを通知し、充電を促す。また、電池残量表示制御部602は、図示していないが、電池充電制御部509(
図5参照)の充電動作により本体LED51を赤色に点灯し、電池充電制御部509が充電完了すると本体LED51を消燈する。
【0044】
スイッチ信号判定部604は、操作ボタン31aと操作ボタン31bであるスイッチ507の状態を監視し、使用者の操作指令を取得する。運転モード制御部600は、取得した操作指令に基づいて、制御を行う。
詳しくは、操作ボタン31aでは、「強」、「標準」、「切」の3つのボタンを監視して、使用者の押下したボタンにより、操作指令を判別する。また、操作ボタン31bでは、ボタンを監視して、使用者のボタン押下の度に、操作指令を「標準」、「強」、「切」の順にサイクリックに変更する。
このスイッチ信号の判定は、電動送風機40の駆動制御や蓄電池60の充電中、充電式掃除機100の放置中にも行う。
【0045】
目詰まり検知部605は、電流検知手段513で取得した電動送風機40の駆動電流と、モータ駆動指令(電流指令値)を比較し、電動送風機40の駆動電流がモータ駆動指令(電流指令値)より小さいか否かを判定する。
目詰まりが発生すると、電動送風機40の吸込風量が低下して電動送風機40の駆動電流も小さくなる。このため、目詰まり検知部605は、目詰まりを検知することができる。
運転モード制御部600は、「強」の動作モードで制御中に、目詰まり検知部605で目詰まり検知すると、動作モードを「標準」に変更して、電動送風機40や本体基板50(制御基板)の過熱を防止する。
【0046】
つぎに、
図7と
図8により、電動送風機40の駆動状態を詳細に説明するが、その前に、蓄電池60(バッテリ)の放電特性について説明する。
蓄電池60(バッテリ)は、バッテリの残量低下に伴い、バッテリの出力電圧は低下する特性をもっている。このため、満充電状態の蓄電池60(バッテリ)の出力電圧は、定格状態の動作点より高い出力電圧となっている。この状態で、電動送風機40を定格動作のモータ駆動指令(電流指令値)により駆動すると、定格値より大きな吸込仕事率が生じることとなる
【0047】
この状態は、性能過多と言うことができ、必要以上に蓄電池60(バッテリ)のエネルギを使用することでエネルギ利用効率を低下させている。このため、本実施例では、以下のように電動送風機40の駆動制御をおこなって、吸込仕事率の最適化を図り、充電式掃除機100のバッテリ動作の長時間化を図るようにした。
【0048】
図7は、電動送風機40の動作条件を示した図である。
電動送風機40の動作条件は、充電式掃除機100の「強」「標準」の運転モードと、吸口体3(パワーブラシ)の有無、「定格」「警報」の動作状態との組み合わせに応じて、図の電流指令値の内容に設定されている。ここで、「警報」の動作状態とは、蓄電池60の電池残量が、所定残量より少なくなり(所定の検知電圧値より低くなり)、使用可能な時間が短いことを使用者に通知している状態を意味する。
【0049】
図7では、吸口有無が、吸口体3(パワーブラシ)が装着されている「有」のときより「無」のときの方が、電流指令値の内容が大きくなっている。これは、吸口体3(パワーブラシ)によるゴミの掻きだし機能により、電動送風機40の吸込仕事率を低下できることと、吸口体3(パワーブラシ)の内蔵モータへの電力供給のために、電動送風機40の消費電力を小さくしているためである。したがって、吸口有無による電動送風機40の動作条件は、これに限定されるものではない。
【0050】
また、「標準」の運転モードでは、「定格」「警報」の動作状態の電流指令値の内容を同一とし、「強」の運転モードでは、「警報」の動作状態の電流指令値の内容を、「定格」の動作状態の電流指令値の内容より、小さくしている。これは、「強」の運転モードにおける警報期間を、「標準」の運転モードの警報期間に近づけるために、「警報」の動作状態の電流指令値の内容を変更して、電動送風機40の消費電力を小さくするためである。「標準」の運転モードで、「警報」の動作状態の電流指令値の内容を変更してもかまわない。
なお、「強」の運転モードでの警報の動作状態の電流指令値の内容の設定については後述する。
【0051】
図8は、
図7に対応した電動送風機40の動作状態を説明する図である。
図8(a)は、「強」の運転モードで、吸口体3が装着されていない吸口無のときの、電動送風機40の駆動電流の時間変化を示す図である。(b)は、「強」の運転モード・吸口有のときの、電動送風機40の駆動電流の時間変化を示し、(c)は、「標準」の運転モードで、吸口無と吸口有のときを合わせて、電動送風機40の駆動電流の時間変化を表わしたものである。
【0052】
図8(a)(b)(c)のそれぞれは、蓄電池60(バッテリ)は満充電後の放電初期の状態で、操作ボタン31aまたは操作ボタン31bの「強」「標準」ボタンのどちらかが押下されて、電動送風機40が駆動を開始し、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧が放電終止検知電圧に達して、電動送風機40が停止するまでの、電動送風機40の駆動電流の時間変化を表わしたものである。
【0053】
図の横軸の運転時間tは、絶対時間を示すものではなく、それぞれの動作のバッテリ動作時間が紙面の幅に合わせて記載されている。また、運転時刻t
0は、駆動開始タイミングを示し、運転時刻t
1は駆動モードを変更したタイミングを示している。運転時刻t
2は、電池残量判定部603が電池残量少検知電圧を検出して、「警報」の動作状態に移行したタイミングになっている。運転時刻t
3は、電池残量判定部603が放電終止検知電圧を検出して、電動送風機40の駆動を停止するタイミングになっている。また、符号Pは電流の変化点を表わしている。
以下に、それぞれの動作状態を説明する。
【0054】
図8(a)は、「強」の運転モードで、吸口体3が装着されていない吸口無のときの、電動送風機40の駆動電流の時間変化を示す図である。
図7に示したように、定格動作状態では、電流指令値の内容を17.0Aの電流一定として電動送風機40を駆動する。この状態は、
図8(a)のPa1からPa2に対応する。
【0055】
前述のとおり、満充電状態の蓄電池60(バッテリ)の出力電圧は、定格状態の動作点より高い出力電圧となっているので、運転時刻t
1(Pa1)以前では、電動送風機40の駆動電力が一定になるように、電動送風機40の電流指令値の内容を蓄電池60(バッテリ)の出力電圧値により変更する。これにより、運転時刻t
0からt
1(Pa0からPa1)では、電動送風機40を電力一定制御し、蓄電池60(バッテリ)の出力電力を一定にする。
図では、運転時刻t
0からt
1(Pa0からPa1)の電流変化が直線で表示されているが、蓄電池60(バッテリ)の放電特性に合わせて曲線変化する場合もある。
【0056】
詳細は後述するが、上記の電動送風機40の電流指令値の内容の電力一定制御は、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧が所定の閾値より大きいときに開始し、徐々に出力電圧が低下し、それに従って、電動送風機40の電流指令値の内容を大きくする。これにより、電動送風機40の入力電力を一定にし、略一定の吸込仕事率を得るようにした。
そして、電力一定制御で駆動中に、モータ駆動電流が所定の値(定格電流)以上になると、電動送風機40の駆動を電流一定制御に移行する(図のPa1に対応)。
【0057】
電動送風機40の電流一定制御の駆動では、17.0Aの駆動電流となる電流指令値の内容を設定する。
そして、電流一定制御の駆動では、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧を監視し、出力電圧が電池残量少検知電圧になると、「警報」の動作状態の制御に移行する(図のPa2に対応)。
【0058】
運転時刻t
2からt
3の「警報」の動作状態(Pa3からPa4に対応)では、電流指令値の内容を14.0Aの電流一定として電動送風機40を駆動する。このとき、駆動電流の変化による吸込仕事率の変化を小さくするため、所定の割合で電流指令値の内容を減少させ、一定時間後に、電流指令値の内容が14.0Aになるように制御する。これにより、目詰まりによる吸込音の変化等と異なる吸込音の変化となり、使用者への違和感を低減することができる。
【0059】
運転時刻t
2からt
3の「警報」の動作状態(Pa3からPa4に対応)でも、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧を監視し、出力電圧が放電終止検知電圧になると、電動送風機40への電力供給を停止し、電動送風機40の運転を終了する(Pa4に対応)。
【0060】
上記のように電動送風機40の駆動電流を制御することで、満充電後の放電初期の過剰性能な運転を適性化して、バッテリの使用効率を向上することができる。
【0061】
図8(b)は、「強」の運転モードで、吸口体3が装着されている吸口有のときの、電動送風機40の駆動電流の時間変化を示す図である。
図7に示したように、定格動作状態では、電流指令値の内容を15.0Aの電流一定として電動送風機40を駆動する。この状態は、
図8(b)のPb1からPb2に対応する。
【0062】
図8(b)の運転時刻t
0からt
2(Pb0からPb2)の電動送風機40の駆動方法は、
図8(a)の電力一定制御と電流一定制御と制御内容と同じため、ここでは説明を省略する。
図8(b)は、
図8(a)と、運転時刻t
2からt
3(Pb2からPb3)の「警報」の動作状態における駆動方法が異なる。
【0063】
15.0Aの電流一定制御の駆動で、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧が、電池残量少検知電圧になると、「警報」の動作状態の制御に移行(図のPb2に対応)し、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧が、放電終止検知電圧になるまで、所定の時間割合で電流指令値の内容を減少させて電動送風機40を駆動する電流可変制御をおこなう。そして、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧が、放電終止検知電圧になると、電動送風機40への電力供給を停止し、電動送風機40の運転を終了する(Pb3に対応)。
このように、徐々に電流指令値の内容を減少させることで、電動送風機40の吸込仕事率を小さくする。これにより、警報期間の延長を図るようにした。
【0064】
図8(c)は、「標準」の運転モードで、吸口無と吸口有の電動送風機40の駆動電流の時間変化を合わせて表わしたものである。
図7に示したように、「標準」の運転モードで吸口無の場合には、電動送風機40の駆動電流を4.6Aの電流指令値とし、「標準」の運転モードで吸口有の場合には、電動送風機40の駆動電流を3.4Aの電流指令値とする。
図8(c)では、蓄電池60(バッテリ)が満充電後の放電初期から放電終止検知電圧になるまで(運転時刻t
0からt
3)、電動送風機40を電流一定制御で駆動する。
【0065】
言うまでもないが、「標準」の運転モードでも、蓄電池60(バッテリ)が満充電後の放電初期に、電動送風機40を電力一定制御で駆動するようにしてもよい。
本実施例では、蓄電池60(バッテリ)の内部抵抗による電流損失が大きな「強」運転モードで、満充電後の放電初期に電動送風機40の電力一定制御を行うことにより、蓄電池60(バッテリ)の出力電流を低減して、蓄電池60(バッテリ)の内部抵抗による電力損失の低減を図っている。
【0066】
また、本実施例では、充電式掃除機100の定格動作時に電動送風機40を電流一定制御で駆動するようにし、蓄電池60(バッテリ)が満充電後の放電初期に電動送風機40を電力一定制御で駆動するようにしたが、常に、電動送風機40を電力一定制御で駆動するようにしてもよい。特に、蓄電池60(バッテリ)が、バッテリの残量低下による出力電圧の低下が大きい特性をもつバッテリの場合に好ましい。
【0067】
つぎに、
図8に示した電動送風機40の駆動電流を制御する運転モード制御部600の制御フローを
図9Aと
図9Bにより説明する。
まず、運転モード制御部600は、スイッチ信号判定部604の出力から電動送風機40の動作モードを判定する(S901)。
ステップS901で、電動送風機40の動作モードが標準運転モードの場合(S901の標準運転)には、ステップS910に進む。
【0068】
ステップS901で、電動送風機40の動作モードが強運転の場合(S901の強運転)には、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧が、満充電状態の判定閾値電圧である初期電圧より大きいか否かの比較を行う(S902)。
ここでの電圧判定は、電動送風機40を駆動していない状態の蓄電池60(バッテリ)の出力電圧により行う。
【0069】
ステップS902で、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧を判定し、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧が初期電圧以下の場合(S902のNo)には、ステップ910に進む。
ステップS902で、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧が、初期電圧より大きい場合(S902のYes)には、吸口体3の装着の有無を判定する(S903)。
ステップS903で、吸口体3の装着の有無を判定し、吸口体3が装着されている場合(S903の有)には、ステップS904に移行し、吸口体3が装着されていない場合(S903の無)には、ステップS906に移行する。
【0070】
ステップS904で、運転モード制御部600は、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧を取得し、この電圧に応じて電動送風機40を吸口有時の電力一定制御で駆動する電流指令値を設定する。この電流指令値の設定は、予め、
図10に示すような電力一定となるバッテリ電圧と強運転(吸口有)の電流指令値の関係を求めてメモリ(図示せず)にテーブル記憶し、バッテリ電圧をキーにテーブル参照することによりおこなえばよい。
なお、ステップS904の初回の処理では、電動送風機40を駆動していない無負荷の蓄電池60(バッテリ)の出力電圧を参照する。
【0071】
つぎに、運転モード制御部600は、設定した電流指令値によるモータ駆動指令をドライバ制御部601に出力し、電動送風機40を電力一定制御で駆動する(S905)。
そして、ステップ908に移行する。
【0072】
ステップS906では、運転モード制御部600は、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧を取得し、この電圧に応じて電動送風機40を吸口無時の電力一定制御で駆動する電流指令値を設定する。この電流指令値の設定は、予め、
図10に示すような電力一定となるバッテリ電圧と強運転(吸口有)の電流指令値の関係を求めて、メモリ(図示せず)にテーブル記憶し、バッテリ電圧をキーにテーブル参照することによりおこなえばよい。
なお、ステップS906の初回の処理では、電動送風機40を駆動していない無負荷の蓄電池60(バッテリ)の出力電圧を取得する。
【0073】
つぎに、運転モード制御部600は、設定した電流指令値によるモータ駆動指令をドライバ制御部601に出力し、電動送風機40を電力一定制御で駆動する(S907)。
そして、ステップ908に移行する。
【0074】
ステップS908では、運転モード制御部600は、スイッチ信号判定部604の出力から、使用者の「切」操作の有無を判定する。
「切」操作されていない場合には(S908のNo)、ステップS909に進む。
「切」操作されている場合には(S908のYes)、
図9BのステップS921に移行し、モータ停止指令をドライバ制御部601に出力し、電動送風機40を停止する。これにより、充電式掃除機100の吸込動作が終了する。
【0075】
ステップS909では、電動送風機40の駆動電流が、電動送風機40の定格動作時の駆動電流(定格電流)以上であるか否かを判定する。
ステップS909で、駆動電流<定格電流の場合(S909のNo)には、ステップS903に戻り、電動送風機40の電力一定制御を継続する。この繰り返し周期は、約100ms程度であればよい。
ステップS909で、駆動電流≧定格電流の場合(S909のYes)には、電動送風機40の電力一定制御を終わり、電動送風機40の電流一定制御をおこなうために、ステップS910に進む。
【0076】
上記のステップS901からS909により、
図8の運転時刻t
0からt
1の電力一定制御による電動送風機40の駆動をおこなう。つぎの、ステップS910からの処理は、
図8の運転時刻t
1からt
2の電動送風機40の定格動作時の電流一定制御をおこなう処理になっている。
【0077】
まず、ステップS910で、吸口体3の装着の有無を判定し、吸口体3が装着されている場合(S910の有)には、ステップS911に移行し、吸口体3が装着されていない場合(S910の無)には、ステップS913に移行する。
【0078】
ステップS911で、運転モード制御部600は、
図7に示した電流指定値を設定し、設定した電流指令値によるモータ駆動指令をドライバ制御部601に出力し、電動送風機40を電流一定制御で駆動する(S912)。
そして、ステップ915に移行する。
【0079】
ステップS913で、運転モード制御部600は、
図7に示した電流指定値を設定し、設定した電流指令値によるモータ駆動指令をドライバ制御部601に出力し、電動送風機40を電流一定制御で駆動する(S914)。
そして、ステップ915に移行する。
【0080】
ステップS915では、運転モード制御部600は、スイッチ信号判定部604の出力から、使用者の「切」操作の有無を判定する。
「切」操作されていない場合(S915のNo)には、ステップS916に進む。
「切」操作されている場合(S915のYes)には、
図9BのステップS921に移行し、モータ停止指令をドライバ制御部601に出力し、電動送風機40を停止する。これにより、充電式掃除機100の吸込動作が終了する。
【0081】
ステップS916では、運転モード制御部600は、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧を取得し、バッテリ出力電圧が電池残量少検知電圧に達したか判定する。バッテリ出力電圧が電池残量少検知電圧以下であれば(S916のYes)、
図9BのステップS917に進み、電動送風機40の電流一定制御を終了する。
ステップS916で、バッテリ出力電圧が電池残量少検知電圧より大であれば(S916のNo)、ステップS910に戻り、電動送風機40の電流一定制御による駆動を継続する。
【0082】
上記のステップS910からS916により、
図8の運転時刻t
1からt
2の電流一定制御による電動送風機40の駆動をおこなう。
以後、
図9Bにより、充電式掃除機100の「警報」の動作状態(
図8の運転時刻t
2からt
3)における電動送風機40の駆動制御フローを説明する。
ステップS917で、電池残量表示制御部602は、本体LED51の緑色点滅を開始して、使用者に使用可能な時間が短いことを通知し、充電を促す。
【0083】
ステップS918では、運転モード制御部600は、スイッチ信号判定部604の出力から、使用者の「切」操作の有無を判定する。
「切」操作されていない場合(S918のNo)には、ステップS919に進む。
「切」操作されている場合(S918のYes)には、ステップS920に進み、本体LED51の消燈処理をおこなった後に、モータ停止指令をドライバ制御部601に出力し(S921)、電動送風機40を停止する。これにより、充電式掃除機100の吸込動作が終了する。
【0084】
ステップS919では、運転モード制御部600は、蓄電池60(バッテリ)の出力電圧を取得し、バッテリ出力電圧が放電終止検知電圧に達したか判定する。バッテリ出力電圧が放電終止検知電圧より大であれば(S919のNo)、ステップS922に進む。
バッテリ出力電圧が放電終止検知電圧以下であれば(S919のYes)、ステップS920に進み、本体LED51の消燈処理をおこなった後に、モータ停止指令をドライバ制御部601に出力し(S921)、電動送風機40を停止する。これにより、充電式掃除機100の吸込動作が終了する。
【0085】
ステップS922では、運転モード制御部600は、スイッチ信号判定部604の出力から電動送風機40の動作モードを判定し、電動送風機40の運転モードが強運転モードの場合(S922の強)には、ステップS928に進む。
電動送風機40の運転モードが標準運転モードの場合(S922の標準)には、ステップS923に進む。
【0086】
ステップS923では、吸口体3の装着の有無を判定し、吸口体3が装着されている場合(S923の有)には、ステップS924に移行し、吸口体3が装着されていない場合(S923の無)には、ステップS926に移行する。
【0087】
ステップS924で、運転モード制御部600は、
図7に示した電流指定値を設定し、設定した電流指令値によるモータ駆動指令をドライバ制御部601に出力し、電動送風機40を電流一定制御で駆動する(S925)。
そして、ステップ918に戻り、標準運転モードの吸口有における電動送風機40の「警報」の動作状態の駆動制御を継続する。この繰り返し周期は、約100ms程度であればよい。
【0088】
ステップS926で、運転モード制御部600は、
図7に示した電流指定値を設定し、設定した電流指令値によるモータ駆動指令をドライバ制御部601に出力し、電動送風機40を電流一定制御で駆動する(S927)。
そして、ステップ918に戻り、標準動作モードの吸口無における電動送風機40の「警報」の動作状態の駆動制御を継続する。この繰り返し周期は、約100ms程度であればよい。
【0089】
ステップS928以降の処理は、
図8の強運転モードでの「警報」の動作状態(
図8の運転時刻t
2からt
3)における電動送風機40の駆動制御フローになっている。
ステップS928では、吸口体3の装着の有無を判定し、吸口体3が装着されている場合(S928の有)には、ステップS929に移行し、吸口体3が装着されていない場合(S928の無)には、ステップS931に移行する。
【0090】
ステップS929では、運転モード制御部600は、バッテリ出力電圧が放電終止検知電圧に達するまで定率減少する電流指定値を設定し、設定した電流指令値によるモータ駆動指令をドライバ制御部601に出力し、電動送風機40を電流一定制御で駆動する(S930)。
そして、ステップ918に戻り、強運転動作モードの吸口有における電動送風機40の「警報」の動作状態の駆動制御を継続する。この繰り返し周期は、約100ms程度であればよい。
【0091】
ステップS931では、電動送風機40の駆動電流が、「警報」の動作状態の設定電流以上であるか否かを判定する。
ステップS931で、駆動電流<設定電流の場合(S931のNo)には、定率減少する電流指定値を設定し、設定した電流指令値によるモータ駆動指令をドライバ制御部601に出力し、電動送風機40を電流一定制御で駆動する(S933)。
そして、ステップ918に戻り、強運転動作モードの吸口無における電動送風機40の「警報」の動作状態の駆動制御を継続する。この繰り返し周期は、約100ms程度であればよい。
【0092】
ステップS931で、駆動電流≧設定電流の場合(S931のYes)には、「警報」の動作状態の設定電流の電流指令値を設定し、設定した電流指令値によるモータ駆動指令をドライバ制御部601に出力し、電動送風機40を電流一定制御で駆動する(S935)。
そして、ステップ918に戻り、強運転動作モードの吸口無における電動送風機40の「警報」の動作状態の駆動制御を継続する。この繰り返し周期は、約100ms程度であればよい。
【0093】
以上の制御フローにより、実施例の充電式掃除機100は、
図8に示した駆動電流により吸込み動作を行う。これにより、蓄電池60(バッテリ)の満充電後の放電初期の過剰性能な運転を適性化して、バッテリの使用効率を向上することができる。
【0094】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明で分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。