(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突出量変更手段によって前記基板保持手段の突出量を変更することにより、前記基板保持手段によって保持する前記二枚以上の基板の上下ピッチが変化するように構成されている、請求項1記載のエンドエフェクタ。
前記基板保持手段は、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の先端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の基端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、を有し、
前記ハンド基部の先端側の前記基板支持部の左右の組が互いに連結されており、前記ハンド基部の基端側の前記基板支持部の左右の組が互いに連結されている、請求項1または2に記載のエンドエフェクタ。
前記最下段の基板の下方または前記最上段の基板の上方に進入する前記ハンド基部の前記少なくとも一部は、左右方向において300mmよりも小さい幅を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
前記基板保持手段は、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の先端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の基端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、を有し、
前記基板保持手段によって前記二枚以上の基板を保持する状態において、前後に対応する二組の前記基板支持部の組は、左右方向に沿って傾斜する高さの傾斜方向が互いに逆である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
前記基板保持手段は、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の先端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の基端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、を有し、
前記先端側の前記左右二組の基板支持部の組は、それぞれの組で異なる基板を支持するように構成されている、請求項6記載のエンドエフェクタ。
前記基板支持部は、前記エンドエフェクタの基端側から先端側に向かう前進方向に前記エンドエフェクタを移動させた際に前記基板支持部が周囲の物体と衝突したときに生じる前記外力に応じて変位する、請求項10乃至19のいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、二枚以上の基板を同時に保持するバッチ搬送式ハンドにおいて、基板保持位置の上下ピッチを変換可能にする等の目的で、ハンド基部からの、基板保持手段の垂直方向の突出量を変更可能とするためには、複雑な機構が必要となる。
【0007】
そこで、本発明は、ハンド基部からの基板保持手段の垂直方向の突出量を変更可能とするための機構を簡素化できるエンドエフェクタおよび基板搬送ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、二枚以上の基板を保持することができるエンドエフェクタであって、基板収容部に収容された複数の基板のうちの最下段の基板の下方または最上段の基板の上方に少なくとも一部が進入するハンド基部と、前記ハンド基部に設けられ、前記最下段の基板または前記最上段の基板を含む前記二枚以上の基板を支持するための基板保持手段と、前記最下段の基板または前記最上段の基板に対向する前記ハンド基部の表面を含む基準面からの前記基板保持手段の突出量を変更するための突出量変更手段と、を備え、前記突出量変更手段は、前記基板保持手段の全体に対して駆動力を付与する単一の駆動源を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記突出量変更手段によって前記基板保持手段の突出量を変更することにより、前記基板保持手段によって保持する前記二枚以上の基板の上下ピッチが変化するように構成されている、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記基板保持手段は、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の先端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の基端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、を有し、前記ハンド基部の先端側の前記基板支持部の左右の組が互いに連結されており、前記ハンド基部の基端側の前記基板支持部の左右の組が互いに連結されている、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の態様は、第1乃至第3のいずれかの態様において、前記最下段の基板の下方または前記最上段の基板の上方に進入する前記ハンド基部の前記少なくとも一部は、左右方向において300mmよりも小さい幅を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の態様は、第1乃至第4のいずれかの態様において、前記ハンド基部は、前記基板保持手段が配置された前方部分と、前記前方部分と一体に形成された後方部分と、を有し、前記後方部分は、前記前方部分よりも上下方向の厚みが大きい、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第6の態様は、第1乃至第5のいずれかの態様において、前記基板保持手段は、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の先端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の基端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、を有し、前記基板保持手段によって前記二枚以上の基板を保持する状態において、前後に対応する二組の前記基板支持部の組は、左右方向に沿って傾斜する高さの傾斜方向が互いに逆である、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第7の態様は、第1乃至第6のいずれかの態様において、前記基板保持手段は、前記二枚以上の基板のそれぞれの縁部の三箇所を支持するように構成されている、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記基板保持手段は、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の先端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、前記基板の縁部を支持するために前記ハンド基部の基端側に設けられた左右二組の基板支持部の組と、を有し、前記先端側の前記左右二組の基板支持部の組は、それぞれの組で異なる基板を支持するように構成されている、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第9の態様は、第1乃至第8のいずれかの態様において、前記基板保持手段は、前記基板の縁部を支持するための複数の基板支持部を有し、前記二枚以上の基板のうちの前記基準面に最も近い位置の基板を支持するための基板支持部が、前記ハンド基部に固定されている、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の第10の態様は、第1乃至第9のいずれかの態様において、前記基板保持手段は、前記基板の縁部を支持するための複数の基板支持部を有し、前記基板支持部またはこれと一体に形成された部材の少なくとも一部が、衝撃力を受けた際に変形し易い材料で構成されている、ことを特徴とする。
【0018】
本発明の第11の態様は、第1乃至第10のいずれかの態様において、前記基板保持手段は、前記ハンド基部を有するエンドエフェクタ本体の先端側に設けられ、前記基板の裏面縁部を支持する基板載置面を含む基板支持部と、前記基板支持部に外力が加えられた際に前記外力に応じて前記基板支持部が変位するように前記基板支持部を前記エンドエフェクタ本体の先端側に接続する基板支持部接続機構と、を有する、ことを特徴とする。
【0019】
本発明の第12の態様は、第11の態様において、前記基板支持部接続機構は、前記基板支持部の基端部を前記エンドエフェクタ本体の先端側に回動可能に接続するための手段を有する、ことを特徴とする。
【0020】
本発明の第13の態様は、第12の態様において、前記基板支持部接続機構は、前記エンドエフェクタ本体に対する前記基板支持部の回動動作に抵抗を付与するための抵抗付与手段を有する、ことを特徴とする。
【0021】
本発明の第14の態様は、第12または第13の態様において、前記エンドエフェクタ本体に対する前記基板支持部の回動動作の回転軸線が上下方向に対して直交する方向に配向されている、ことを特徴とする。
【0022】
本発明の第15の態様は、第11乃至第14のいずれかの態様において、前記基板支持部に前記外力が加えられた際の前記基板支持部の変位を禁止するための変位禁止手段をさらに備えた、ことを特徴とする。
【0023】
本発明の第16の態様は、第15の態様において、前記変位禁止手段は、前記基板支持部に対して進退可能な当接部と、変位前の位置にある前記基板支持部に到達し得る到達位置と前記変位前の位置にある前記基板支持部から離間した離間位置との間で前記当接部を移動させるための当接部駆動手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0024】
本発明の第17の態様は、第15または第16の態様において、前記基板支持部を上方位置および下方位置の間で移動させるための基板支持部駆動手段をさらに備え、前記基板支持部の上下方向の位置に応じて前記変位禁止手段による前記基板支持部の変位の制限状態と非制限状態とが切り替わる、ことを特徴とする。
【0025】
本発明の第18の態様は、第17の態様において、前記基板支持部は、前記外力に応じてその基端部を中心に回転可能であり、前記変位禁止手段は、前記外力に応じて回転した前記基板支持部を前記基板支持部駆動手段によって下方に移動する際に前記基板支持部に当接されて前記基板支持部を回転前の位置に復帰させる当接部を有する、ことを特徴とする。
【0026】
本発明の第19の態様は、第17または第18の態様において、上下方向の異なる位置にそれぞれ配置された複数の前記基板支持部を備え、前記基板支持部駆動手段は、複数の前記基板支持部の上下方向のピッチを変更するための手段である、ことを特徴とする。
【0027】
本発明の第20の態様は、第11乃至第19のいずれかの態様において、前記基板支持部は、前記エンドエフェクタの基端側から先端側に向かう前進方向に前記エンドエフェクタを移動させた際に前記基板支持部が周囲の物体と衝突したときに生じる前記外力に応じて変位する、ことを特徴とする。
【0028】
本発明の第21の態様は、第11乃至第20のいずれかの態様において、前記外力による前記基板支持部の変位を検知するための変位検知手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0029】
本発明の第22の態様による基板搬送ロボットは、第1乃至第21のいずれかの態様によるエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタが先端に装着された多関節アームと、を備えたことを特徴とする。
【0030】
また、本発明の各種の参考例を以下に示す。
【0031】
本発明の第1参考例の或る態様に係るエンドエフェクタ装置は、収納空間を有するハンドと、前記ハンドに設けられ、各板状部材の周縁部の周方向における互いに異なる部位を夫々保持するようにして複数の前記板状部材を夫々保持するように構成された複数の保持部と、を備え、
各前記保持部は、全ての前記保持部によって前記複数の板状部材が1つの平面に略平行に且つ該1つの平面に略直交する第1方向に互いに間隔をおいて配置されるように該複数の板状部材の周縁部を夫々受ける複数の受け部と、該複数の受け部を夫々前記第1方向に直線移動させて前記間隔を変換するように構成された、ピッチ変換機構と、を含み、
前記ピッチ変換機構の前記複数の受け部と一体に夫々直線移動する複数の直線移動部が前記ハンドの外部に露出するように該ハンドに設けられ、
前記ピッチ変換機構の前記複数の直線移動部を夫々駆動する複数の駆動部が前記ハンドの収納空間に収納されている。
【0032】
この構成に従えば、ピッチ変換機構は、各受け部に対応する直線移動部と駆動部とに区分けされる。直線移動部はハンドの外部に露出するが、直線移動部は板状部材を受ける受け部と一緒に直線移動するので板状部材とこすれることがなく且つ内部に作動機構を含まないのでパーティクルを発生しない。一方、駆動部は内部に作動機構を含むので、パーティクルを発生し得るが、板状部材の配置方向である第1方向において板状部材を受ける受け部と離隔し且つハンドの内部に収納される。これにより、板状部材がピッチ変換機構に起因するパーティクルによって汚染されることを防止できる。
【0033】
また、ピッチ変換機構の駆動部は、受け部の直ぐ近くに存在する。これにより、受け部の間隔を変換する動作の精度を高めることができる。
【0034】
更に、前記ハンドは、前記1つの平面に略平行な第2方向に延びるように形成された中空の本体部と、前記本体部の基端部に前記第2方向に前進及び後退可能に連結された中空の可動部とを含み、
前記複数の保持部は、前記本体部の先端部に設けられた第1保持部と、前記可動部に設けられた第2保持部とを含んでもよい。
【0035】
この構成に従えば、板状部材は、ハンドの本体部の先端部に設けられた第1保持部の受け部と、ハンドの可動部に設けられた第2保持部の受け部とによって保持されるから、板状部材は安定して保持される。
【0036】
更に、前記可動部が前進したとき、前記第1保持部と前記第2保持部とによって前記複数の板状部材の周縁部が挟持されるように保持され、且つ前記可動部が後退したとき、前記第2把持部から前記複数の板状部材の周縁部が解放されるように構成されていてもよい。
【0037】
この構成に従えば、第1保持部と第2保持部とによって、複数の板状部材を把持するので、ハンドを移動させたときに板状部材が位置ずれすることを防止できる。
【0038】
本発明の第1参考例は、複数の板状部材を保持するとともに保持した板状部材の間隔を変換するピッチ変換機構を備え、当該ピッチ変換機構によって発生するパーティクルにより板状部材が汚染されることを軽減可能なエンドエフェクタ装置を提供することができる。
【0039】
第1の特徴による本発明の第2参考例は、ロボットアームに装着されるエンドエフェクタであって、それぞれ独立に駆動可能な第1のハンドおよび第2のハンドを備え、前記第1のハンドは、基板収容部に収容された上下に隣接する基板同士の間に挿入可能なハンド本体を有し、前記上下に隣接する基板同士の間に挿入された前記ハンド本体の直上または直下の基板を保持するように構成されており、前記第2のハンドは、基板収容部に収容された複数の基板のうちの最下段の基板の下方または最上段の基板の上方に少なくとも一部が進入するハンド基部と、前記ハンド基部に設けられ、前記最下段の基板または前記最上段の基板を含む二枚以上の基板を保持する基板保持手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0040】
第2の特徴による本発明の第2参考例は、第1の特徴による本発明の第2参考例において、前記第1のハンドおよび前記第2のハンドが、それぞれ、前記基板収容部にアクセスするときの供用位置と、前記基板収容部にアクセスしないときの退避位置とを切替可能である、ことを特徴とする。
【0041】
第3の特徴による本発明の第2参考例は、第1または第2の特徴による本発明の第2参考例において、前記基板保持手段は、前記二枚以上の基板の各裏面縁部を支持するための複数の基板支持部であって、少なくとも基板保持状態においては上下方向の異なる高さに配置される複数の基板支持部を有する、ことを特徴とする。
【0042】
第4の特徴による本発明の第2参考例は、第3の特徴による本発明の第2参考例において、前記複数の基板支持部の上下ピッチが可変であり、前記基板保持手段は、前記複数の基板支持部の前記上下ピッチの変更に伴って、その高さが変化するように構成されている、ことを特徴とする。
【0043】
第5の特徴による本発明の第2参考例は、第3または4の特徴による本発明の第2参考例において、前記複数の基板支持部は、前記基板支持部の移動方向から見て少なくとも一部が互いに重ならない位置に配置されている、ことを特徴とする。
【0044】
第6の特徴による本発明の第2参考例は、第5の特徴による本発明の第2参考例において、前記複数の基板支持部の上下ピッチが可変であり、前記上下方向から見た前記複数の基板支持部の位置が、前記上下ピッチを変更しても変化しない、ことを特徴とする。
【0045】
第7の特徴による本発明の第2参考例は、第1乃至第6のいずれかの特徴による本発明の第2参考例において、前記第1のハンドは、複数の前記ハンド本体を有する、ことを特徴とする。
【0046】
第8の特徴による本発明の第2参考例は、第7の特徴による本発明の第2参考例において、前記複数のハンド本体の上下ピッチが可変である、ことを特徴とする。
【0047】
第9の特徴による本発明の第2参考例は、第1乃至第8のいずれかの特徴による本発明の第2参考例において、前記基板の直径が300mmであり、前記第2のハンドの基板保持枚数が5枚であり、前記第2のハンド全体のうち、前記基板収容部に収容された基板と上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さが60mm以下である、ことを特徴とする。
【0048】
第10の特徴による本発明の第2参考例は、第1乃至第8のいずれかの特徴による本発明の第2参考例において、前記基板の直径が450mmであり、前記第2のハンドの基板保持枚数が5枚であり、前記第2のハンド全体のうち、前記基板収容部に収容された基板と上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さが72mm以下である、ことを特徴とする。
【0049】
第11の特徴による本発明の第2参考例の基板搬送ロボットは、第1乃至第10のいずれかの特徴による本発明の第2参考例のエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタが装着されたロボットアームと、を備えたことを特徴とする。
【0050】
第12の特徴による本発明の第2参考例の基板処理システムは、第11の特徴による基板搬送ロボットを含む基板搬送システムと、前記基板搬送システムで搬送される基板を処理するための基板処理装置と、を備えたことを特徴とする。
【0051】
第13の特徴による本発明の第2参考例は、第11の特徴による本発明の第2参考例の基板搬送ロボットと、複数の基板を収容するための前記基板収容部と、を備えた基板搬送システムであって、前記基板収容部の基板収容枚数をNとし、前記基板収容部の上下方向の一方の端部領域から前記第1のハンドによって搬出する基板の枚数をMとし、前記第2のハンドの基板保持枚数をnとし、前記第1のハンドによってM枚の基板を搬出したときに前記基板収容部の前記一方の端部領域に形成されるスペースの高さをHとし、前記第2のハンド全体のうち、前記基板収容部に収容された基板と上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さをhとした場合、H>h且つ(N−M)=n×(正の整数)が成り立つ、ことを特徴とする。
【0052】
第14の特徴による本発明の第2参考例は、第11の特徴による本発明の第2参考例の基板搬送ロボットを用いた基板搬送方法であって、搬送元の前記基板収容部の上下方向の一方の端部領域に存在する一枚または複数枚の基板を前記第1のハンドによって搬出する第1搬送工程と、前記第1搬送工程によって前記一枚または複数枚の基板が搬出された前記一方の端部領域に前記第2のハンドを挿入して複数の基板を同時に搬出する第2搬送工程と、を備えたことを特徴とする。
【0053】
第15の特徴による本発明の第2参考例は、第14の特徴による本発明の第2参考例において、前記第1搬送工程後に搬送元の前記基板収容部に残っている基板のすべてを前記第2のハンドによって搬出する、ことを特徴とする。
【0054】
第16の特徴による本発明の第2参考例は、第14の特徴による本発明の第2参考例において、前記第1搬送工程において前記第1のハンドによって搬出する基板の数をM、前記基板収容部の基板収容枚数をN、前記第2のハンドの基板保持枚数をnとしたとき、M=N−n×(正の整数)を満たす、ことを特徴とする。
【0055】
第17の特徴による本発明の第2参考例は、第16の特徴による本発明の第2参考例において、M=5、n=5である、ことを特徴とする。
【0056】
第18の特徴による本発明の第2参考例は、第14乃至第17のいずれかの特徴による本発明の第2参考例において、前記第1搬送工程において搬送元の前記基板収容部の前記一方の端部領域から搬出した基板を、搬送先の基板収容部の上下方向の一方の端部領域に搬入し、搬送元の前記基板収容部の前記一方の端部領域と、搬送先の前記基板収容部の前記一方の端部領域とが、上下逆である、ことを特徴とする。
【0057】
第19の特徴による本発明の第2参考例は、第14の特徴による本発明の第2参考例において、前記第1搬送工程後に搬送元の前記基板収容部に残っている基板の一部を前記第2のハンドによって搬出し、前記第1搬送工程後に搬送元の前記基板収容部に残っている前記基板の一部を前記第2のハンドによって搬出し、搬送先の基板収容部の上下方向の中間領域に搬送し、搬送元の前記基板収容部の上下方向の他方の端部領域に残っている基板を、前記第1のハンドによって搬出し、搬送先の前記基板収容部の上下方向の一方の端部領域に搬入し、搬送元の前記基板収容部の前記一方の端部領域と、搬送先の前記基板収容部の前記一方の端部領域とが、上下逆である、ことを特徴とする。
【0058】
第20の特徴による本発明の第2参考例は、第14乃至19のいずれかの特徴による本発明の第2参考例において、前記エンドエフェクタは、第4の特徴による本発明の第2参考例のエンドエフェクタであり、前記第2搬送工程において、搬送元の前記基板収容部の前記一方の端部領域に前記第2のハンドを最初に挿入する際に、前記基板保持手段の高さをその最大高さよりも低い高さに設定する、ことを特徴とする。
【0059】
第21の特徴による本発明の第2参考例は、第20の特徴による本発明の第2参考例において、前記第1搬送工程の後に前記第2のハンドを前記基板収容部の内部に2回以上挿入する場合、2回目以降の挿入時には、前記複数の基板支持部の前記上下ピッチを最大ピッチとする、ことを特徴とする。
【0060】
第22の特徴による本発明の第2参考例の基板搬送ロボットは、第1のロボットアームと、前記第1のロボットアームとは独立に駆動可能な第2のロボットアームと、前記第1のロボットアームに装着された第1のハンドと、前記第1のハンドとは独立に駆動可能であり、前記第2のロボットアームに装着された第2のハンドと、を備え、前記第1のハンドは、基板収容部に収容された上下に隣接する基板同士の間に挿入可能なハンド本体を有し、前記上下に隣接する基板同士の間に挿入された前記ハンド本体の直上または直下の基板を保持するように構成されており、前記第2のハンドは、基板収容部に収容された複数の基板のうちの最下段の基板の下方または最上段の基板の上方に少なくとも一部が進入するハンド基部と、前記ハンド基部に設けられ、前記最下段の基板または前記最上段の基板を含む二枚以上の基板を保持する基板保持手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0061】
第23の特徴による本発明の第2参考例は、第1の基板搬送ロボットおよび第2の基板搬送ロボットを備えた基板搬送システムであって、前記第1の基板搬送ロボットは、第1のハンドが装着された第1のロボットアームを有し、前記第1のハンドは、基板収容部に収容された上下に隣接する基板同士の間に挿入可能なハンド本体を有し、前記上下に隣接する基板同士の間に挿入された前記ハンド本体の直上または直下の基板を保持するように構成されており、前記第2の基板搬送ロボットは、第2のハンドが装着された第2のロボットアームを有し、前記第2のハンドは、基板収容部に収容された複数の基板のうちの最下段の基板の下方または最上段の基板の上方に少なくとも一部が進入するハンド基部と、前記ハンド基部に設けられ、前記最下段の基板または前記最上段の基板を含む二枚以上の基板を保持する基板保持手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0062】
第24の特徴による本発明の第2参考例は、ロボットアームに装着されるエンドエフェクタであって、それぞれ独立に駆動可能な第1のハンドおよび第2のハンドを備え、前記第1のハンドは、基板収容部に収容された上下に隣接する基板同士の間に挿入可能なハンド本体を有し、前記上下に隣接する基板同士の間に挿入された前記ハンド本体の直上または直下の基板を保持するように構成されており、前記第2のハンドは、基板収容部に収容された複数の基板のうちの最下段の基板の下方または最上段の基板の上方に少なくとも一部が進入するハンド基部と、前記ハンド基部の少なくとも一部が前記最下段の基板の下方または前記最上段の基板の上方に配置された状態において、前記基板収容部に収容された二枚以上の基板を包含する範囲にわたって上下方向に延在し得る基板保持手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0063】
第25の特徴による本発明の第2参考例は、前記ハンド基部の少なくとも一部が前記最下段の基板の下方または前記最上段の基板の上方に配置された状態において、前記ハンド基部を上下方向に移動させることなく、前記基板保持手段が前記基板収容部に収容された二枚以上の基板を包含する範囲にわたって上下方向に延在する状態を達成することできる、ことを特徴とする。
【0064】
なお、本明細書中において「上(上側、上方)」および「下(下側、下方)」とは、エンドエフェクタに保持された基板の表面に垂直な方向において、基板の表面側を「上(上側、上方)」、基板の裏面側を「下(下側、下方)」と呼ぶものである。
【0065】
本発明の第2参考例によれば、基板収容部側の事情によりバッチ搬送式ハンドの使用に制約がある場合でも、バッチ搬送式ハンドを用いた基板搬送を支障なく行うことができる
【0066】
本発明の第3参考例は、ロボットアームの先端に装着されるエンドエフェクタにおいて、前記ロボットアームの先端に接続され、基板の裏面側に配置されるエンドエフェクタ本体と、前記エンドエフェクタ本体の先端側に設けられ、前記基板の裏面縁部を支持する基板載置面を含む基板支持部と、前記基板支持部に外力が加えられた際に前記外力に応じて前記基板支持部が変位するように前記基板支持部を前記エンドエフェクタ本体の先端側に接続する基板支持部接続機構と、を備えたことを特徴とする。
【0067】
また、好ましくは、前記基板支持部接続機構は、前記基板支持部の基端部を前記エンドエフェクタ本体の先端側に回動可能に接続するための手段を有する。
【0068】
また、好ましくは、前記基板支持部接続機構は、前記エンドエフェクタ本体に対する前記基板支持部の回動動作に抵抗を付与するための抵抗付与手段を有する。
【0069】
また、好ましくは、前記エンドエフェクタ本体に対する前記基板支持部の回動動作の回転軸線が上下方向に対して直交する方向に配向されている。
【0070】
また、好ましくは、前記基板支持部に前記外力が加えられた際の前記基板支持部の変位を禁止するための変位禁止手段をさらに備える。
【0071】
また、好ましくは、前記変位禁止手段は、前記基板支持部に対して進退可能な当接部と、変位前の位置にある前記基板支持部に到達し得る到達位置と前記変位前の位置にある前記基板支持部から離間した離間位置との間で前記当接部を移動させるための当接部駆動手段と、を有する。
【0072】
また、好ましくは、前記基板支持部を上方位置および下方位置の間で移動させるための基板支持部駆動手段をさらに備え、前記基板支持部の上下方向の位置に応じて前記変位禁止手段による前記基板支持部の変位の制限状態と非制限状態とが切り替わる。
【0073】
また、好ましくは、前記基板支持部は、前記外力に応じてその基端部を中心に回転可能であり、前記変位禁止手段は、前記外力に応じて回転した前記基板支持部を前記基板支持部駆動手段によって下方に移動する際に前記基板支持部に当接されて前記基板支持部を回転前の位置に復帰させる当接部を有する。
【0074】
また、好ましくは、上下方向の異なる位置にそれぞれ配置された複数の前記基板支持部を備え、前記基板支持部駆動手段は、複数の前記基板支持部の上下方向のピッチを変更するための手段である。
【0075】
また、好ましくは、前記基板支持部は、前記エンドエフェクタの基端側から先端側に向かう前進方向に前記エンドエフェクタを移動させた際に前記基板支持部が周囲の物体と衝突したときに生じる前記外力に応じて変位する。
【0076】
また、好ましくは、前記外力による前記基板支持部の変位を検知するための変位検知手段をさらに備える。
【0077】
本発明の第3参考例による基板搬送ロボットは、上記いずれかに記載のエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタが先端に装着された多関節アームと、を備えたことを特徴とする。
【0078】
なお、本明細書中において「上(上側)」および「下(下側)」とは、エンドエフェクタに保持された基板の表面に垂直な方向において、基板の表面側を「上(上側)」、基板の裏面側を「下(下側)」と呼んでいる。
【0079】
本発明の第3参考例によれば、エンドエフェクタが周囲の構造物に衝突した際の衝撃力を感度良く緩和することができる。
【発明の効果】
【0080】
本発明によれば、ハンド基部からの基板保持手段の垂直方向の突出量を変更可能とするための機構を簡素化できるエンドエフェクタおよび基板搬送ロボットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下、本発明の第1参考例の実施形態を、図を用いて詳述する。なお、以下の記載では全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の記載では、上下方向とは鉛直方向を指すものとする。
【0083】
<板状部材搬送用ロボットの全体構成>
本発明の第1参考例は板状部材搬送用ロボットのアームの先端部に、取り付けられるエンドエフェクタ装置に関する。先ず板状部材搬送用ロボットの全体を説明する。また、板状部材搬送用ロボットが搬送する板状部材として、円板状の半導体ウエハを例示するが、板状部材は該半導体ウエハに限定されない。例えば、板状部材は、半導体プロセスによって処理される薄型液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ用のガラス基板であってもよい。また、半導体ウエアは、半導体デバイスの基板材料であり、シリコンウエハ、シリコンカーバイドウエハ、サファイアウエハ等を含む。
【0084】
本実施形態にあっては、板状部材搬送用ロボットは後記の如く、フープから所定の処理を行う他の箇所に複数枚の半導体ウエハを搬送する際に、隣り合う半導体ウエハの上下ピッチを変換するピッチ変換機構を備えている。以下の記載では、ピッチ変換機構はフープから他の箇所に複数枚の半導体ウエハを搬送する際に隣り合う半導体ウエハの上下ピッチを広げる動作を行うものとする。
【0085】
図1A及び
図1Bは、板状部材搬送用ロボット2の全体斜視図であり、
図1Aは後記のカバー600を装着した状態を、
図1Bは該カバー600を取り外した状態を夫々示す。板状部材搬送用ロボット2は、半導体処理設備内に配置されて複数枚の半導体ウエハを搬送するロボットであり、例えば所謂水平多関節型のロボットである。該板状部材搬送用ロボット2は、例えば床面に固定される支持台22と、該支持台22上に昇降及び旋回可能に設けられたアーム支持軸23と、該アーム支持軸23の上端部に一端部が回動自在に取り付けられて水平方向に延びたアーム20とから構成されている。該アーム20の他端部にはアーム20に重なって水平方向に延びた基台21の一端部が上下に延びた軸体24を介して水平面内を回転可能に設けられている。板状部材搬送用ロボット2及び後述するエンドエフェクタ装置1の動作は、図示されない制御装置によって制御される。
【0086】
基台21上には、厚手に形成されたハンド3が設けられている。半導体処理設備内には、ハンド3の先端部に対向して、複数枚の半導体ウエハ9を上下に間隔を空けて収納したフープ90が設けられている。説明の便宜上、本実施形態にあってはフープ90内に5枚の半導体ウエハ9が高さ方向に等間隔に収納されているとする。アーム20がアーム支持軸23を中心として水平面内を回転し、且つ基台21が軸体24を中心として回転することにより、ハンド3はフープ90に対し接近及び離間することができる。以下の記載では、ハンド3がフープ90に向かう方向を前方向、ハンド3がフープ90から離れる方向を後方向と呼ぶ。また、水平面内にて前後方向に、直交する方向を左右方向と呼ぶ。更に、ハンド3の前方向及び後方向への移動を夫々前進及び後退と呼ぶ。
【0087】
ここで、前記の半導体処理設備は処理装置と搬送装置から構成されてもよい。処理装置は半導体ウエハに所定の処理を行う装置である。搬送装置はフープ90と処理装置との聞で半導体ウエハを搬送する装置である。板状部材搬送用ロボット2は処理装置内に配置されてもよいし、搬送装置内に配置されてもよい。
【0088】
また、ハンド3を駆動する機構をハンド駆動機構と呼ぶ。本実施形態においてハンド駆動機構は、アーム20、基台21、支持台22、支持軸23、軸体24から構成されている。ハンド駆動機構はこの構成に限定されず、ハンド3を駆動して半導体ウエハを搬送可能な種々の構成が採用され得る。例えば、直交座標型、円筒座標型、多関節型、パラレルリンク型の構成が採用され得る。
【0089】
ハンド3は、長手方向を基台21に合わせて基台21に固定された本体部30と、該本体部30の長手方向の中央部両側に位置して、基台21上を前進及び後退可能に設けられた2つの可動部31とを備えている。該本体部30と可動部31はともに中空に形成されていて、内部に当該中空部分からなる収納空間が形成されている。本体部30の先端部には、半導体ウエハ9を保持する領域に水平な対向面32が形成されており、該対向面32の周囲に、夫々が半導体ウエハ9の周縁部を保持する複数の、
図1A及び
図1Bでは4つの保持部が設けられている。保持部は、本体部30の先端部に、左右に互いに離間して設けられた2つの第1保持部4Aと、各可動部31の先端部に設けられた2つの第2保持部4Bとから構成される。即ち、複数の第1保持部4Aと第2保持部4Bとによって、半導体ウエハ9の周縁部の互いに異なる部位を保持する。ハンド3と両保持部4A、4Bとによって、板状部材搬送用ロボット2の先端部に取り付けられるエンドエフェクタ装置1の主要部が構成される。
【0090】
図1Aに示すように、本体部30の長手方向の中央部上には、カバー600が設けられ、
図1Bに示すように、該カバー600の内側には、平行四辺形状の四節リンク機構6が設けられている。
【0091】
図2(a)、(b)は、本体部30と可動部31の位置関係を示す平面図である。本体部30上の四節リンク機構6は、4本の小リンク板60を、平行四辺形を成すように4本の連結軸61、61a、61bにて連結して構成される。該四節リンク機構6の前方には、アクチュエータ100が設けられ、該アクチュエータ100はハウジング110内にピストン120を前後方向に出没自在に設けて構成される。
【0092】
該4本の連結軸の内、最も後側に位置する連結軸が本体部30に固定されており、この連結軸を固定連結軸61aと呼ぶ。該固定連結軸61aに対して四節リンク機構6の対角線上に位置する連結軸にはアクチュエータ100のピストン120が取り付けられていて、これにより該連結軸は前後に駆動される。この連結軸を被駆動連結軸61bと呼ぶ。4本の連結軸のうち、固定連結軸61aと被駆動連結軸61b以外の2本の連結軸61は、夫々左右に延びた接続板62を介して可動部31に接続されている。
【0093】
本体部30と各可動部31との間には、本体部30に対し可動部31を前後移動可能に連結する2本の回動補助リンク板63が互いに平行に且つ前後に離間して設けられている。即ち、本体部30、可動部31、及び2本の回動補助リンク板63は、平行リンクを構成するように互いに連結されている。
【0094】
本体部30に対して第2保持部4Bを駆動する機構を第2保持部駆動機構と呼ぶ。本実施形態において第2保持部駆動機構は、前述の四節リンク機構6、接続板62、回動補助リンク板63、可動部31から構成されている。第2保持部駆動機構はこの構成に限定されず、本体部30にピストンが固定され、第2保持部4Bにハウジングが固定されたエアシリンダ等のアクチュエータが採用され得る。
【0095】
図2(a)に示すように、ピストン120がハウジング110内に引き込んだ状態では、可動部31は前進状態にあって、第2保持部4Bが半導体ウエハ9の周縁部を保持している。この状態から、
図2(b)に示すように、ピストン120がハウジング110から突出すると、被駆動連結軸61bは後方に移動する。固定連結軸61aの両側に位置する2枚の小リンク板60が互いに開くように回動し、これにより接続板62は固定連結軸61aを中心として後方に円弧運動する。尚、小リンク板60と回動補助リンク板63とは、互いに平行であって、小リンク板60と回動補助リンク板63とで平行四辺形を構成する。可動部31は回動補助リンク板63に規制されて、各々の回動補助リンク板63の回転方向(
図2(a)の矢印X方向)に後退する。
図2(b)に示すように、第2保持部4Bが半導体ウエハ9の周縁部から離れ、半導体ウエハ9の保持を解除する。
【0096】
即ち、フープ90から半導体ウエハ9を取り出すときは、
図2(a)に示すように、可動部31が前進方向に回転し、第2保持部4Bが半導体ウエハ9の周縁部を保持する。取り出した半導体ウエハ9を所定の処理を行う他の箇所に載置するときは、アクチュエータ100を作動させて、
図2(b)に示すように、可動部31を後退方向に回転させる。第2保持部4Bが半導体ウエハ9の周縁部から離れて、半導体ウエハ9の保持を解除する。
【0097】
小リンク板60が回転する際に、小リンク板60どうしが擦れ、その結果、パーティクルが発生することがある。かかるパーティクルが飛散することを防ぐために、四節リンク機構6にカバー600を被せている。従って、四節リンク機構6を本体部30内に収納すれば、カバー600を設ける必要はない。
【0098】
本実施形態において、本体部30に対して第1保持部4Aは水平方向には相対的に変位しない。一方、ハンド3の本体部30に対して第2保持部4Bは、水平方向、より具体的には前後方向に相対的に変位する。このように構成することにより、前記の第2保持部駆動機構の動作を第1保持部4Aに伝える必要がなくなり、駆動系をシンプルに構成することが可能になる。なお、第1保持部4Aの水平方向の動作は前記のハンド駆動機構によってハンド3を駆動することによって実現される。
【0099】
図3(a)、(b)は、第1保持部4Aの斜視図である。
図3(a)、(b)では本体部30の左側の第1保持部4Aを前方から見た状態を示すが、本体部30の右側の第1保持部も同じ構成である。
【0100】
第1保持部4Aは、把持して昇降させるべき半導体ウエハ9の枚数に対応して半導体ウエハ9の周縁部に沿って連なった4本の直線移動体40A、40B、40C、40Dと、各直線移動体40A、40B、40C、40Dを夫々異なる高さだけ上昇させる後記のピッチ変換機構とを備えている。把持する半導体ウエハ9は5枚であるのに対し、直線移動体40A、40B、40C、40Dが4本であるのは、最下位の半導体ウエハ9はハンド3上に固定された受け部42に支持されて、昇降されないからである。
【0101】
4本の直線移動体40A、40B、40C、40Dは上下移動可能に設けられ、各直線移動体40A、40B、40C、40Dは夫々縦長の板材である直線移動部41A、41B、41C、41Dの先端部、即ち上端部に半導体ウエハ9の周縁部下面を支持する受け部42を設けて構成されている。
受け部42は水平片43の基端部から当て壁44を上向きに突出して形成され、該水平片43が半導体ウエハ9の周縁部下面を受けて支持し、当て壁44が半導体ウエハ9の周面に当接する。第1保持部4Aと第2保持部4Bとが半導体ウエハ9を保持した状態では、第1保持部4Aの各受け部42の当て壁44と第2保持部4Bの当て壁44とによって半導体ウエハ9を内向き、具体的には半径方向の中心に向かって押圧挟持している(
図15(a)参照)。即ち、両保持部4A、4Bによって半導体ウエハ9をエッジグリップにより把持している。これにより、基台21及びアーム20が高速で回転しても、半導体ウエハ9は確実に把持される。
【0102】
図3(a)に示すように、4本の直線移動部41A、41B、41C、41Dは各受け部42の高さが最下位にて揃った状態から、
図3(b)に示すように、受け部42が受けるべき半導体ウエハ9の配置高さ位置に応じた直線距離だけ上昇した状態にまで移動する。直線移動部41A、41B、41C、41Dは、例えば、半導体ウエハ9の周縁部に沿って順に低くなるように上昇する。即ち、直線移動部41Aが最も高く上昇し、直線移動部41Dが最も低く上昇する。これにより、各直線移動部41A、41B、41C、41Dによって保持された複数枚の半導体ウエハ9の上下間隔であるピッチが変換される。以下の記載では、説明の便宜上、最も高く上昇する直線移動部を第1直線移動部41Aとし、以下、上昇する高さが高い順に第2、第3、第4直線移動部41B、41C、41Dとする。尚、第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dの上昇の順番は上記とは逆でもよい。
【0103】
尚、第2保持部4Bは第1保持部4Aと同じく、半導体ウエハ9の周縁部に沿って順に高く又は低くなるように上昇する4つの直線移動部41A、41B、41C、41Dと、ピッチ変換機構を備えた構成である。第1保持部4Aの受け部42と、該受け部42と同じ高さに位置する第2保持部4Bの受け部42とによって、半導体ウエハ9が保持される。該受け部42に保持された状態で、半導体ウエハ9はハンド3の対向面32に略平行な面内に位置する。即ち、対向面32が、本発明の第1参考例における「1つの平面」に相当し、上下方向が本発明の第1参考例の「第1方向」に該当する。また、前後方向が、本発明の第1参考例における「第2方向」である。
【0104】
図3(a)、(b)に示した実施形態においては、1つの第1保持部4Aが備える全ての水平片43が上から見て互いに重ならないように配置されている。このようにすることで、水平片43同士が互いに干渉することなくピッチを変換することができる。また、このようにすることで、
図3(a)に示すように、各受け部42の高さが最下位にて揃った状態にできるので、ピッチを最小(0mmを含む)とした場合の、本体部30の先端部および第1保持部全体の高さを小さくすることができる。
また、1つの第1保持部4Aが備える複数の水平片43のうち、少なくとも2つが上から見て互いに重ならないように配置されていれば、少なくとも当該2つの水平片43同士が互いに干渉することなくピッチを変換することができる。
【0105】
図4(a)、(b)、(c)は、第1保持部4A及び第2保持部4Bが半導体ウエハ9を保持して昇降する動作の一例を示す側面図であるが、半導体ウエハ9を保持して昇降する動作はこれに限定されない。
図4(b)、(c)では、図示の便宜上、フープ90を図示しない。本実施形態の板状部材搬送用ロボット2は、フープ90から互いに高さ位置が異なる5枚の半導体ウエハ9を一度に取り出して、隣り合う半導体ウエハ9のピッチを広げる。この状態で処理をすべき他の箇所に搬送する。最下位の半導体ウエハ9を受ける受け部42は、ハンド3上に設けられており、第1保持部4A及び第2保持部4Bは残り4枚の半導体ウエハ9を上昇させる。
【0106】
ハンド3はフープ90に対向した状態にて(
図1B参照)、可動部31が本体部30に対して後方に離れた
図2(b)に示す状態にある。この状態から、アーム支持軸23が下降し、アーム20及び基台21が水平面内を回転して、ハンド3が前進する。ハンド3はフープ90の下側を通り、
図4(a)に示すように、第1保持部4Aがフープ90内の半導体ウエハ9の下側前方、第2保持部4Bがフープ90内の半導体ウエハ9の下側後方に位置する。第1保持部4A及び第2保持部4Bは各受け部42が最下位にて揃った
図3(a)に示す状態にある。
【0107】
この後、アーム支持軸23が上昇するとともに、第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dの受け部42が夫々異なる高さだけ上昇して、各受け部42の水平片43が対応する半導体ウエハ9の下面に対応する高さ(少し低い位置)に達する。アーム20及び基台21が水平面内を回転して、ハンド3が少し後退し、第1保持部4Aの各受け部42が対応する半導体ウエハ9の周縁部に接する
図4(b)に示す状態に達する。この状態で、第2保持部4Bは半導体ウエハ9の後方に位置している。
【0108】
この後、
図2(a)に示すように、アクチュエータ100のピストン120がハウジング110内に引っ込んで、可動部31が前進方向に回転し、第2保持部4Bが半導体ウエハ9の周縁部に接する。この状態で、アーム支持軸23が少し上昇して、第1保持部4A及び第2保持部4Bが半導体ウエハ9をフープ90から少し持ち上げる。アーム20及び基台21が水平面内を回転して、ハンド3が後退し、フープ90から半導体ウエハ9を取り出すことができる。
【0109】
フープ90から半導体ウエハ9を取り出した後、第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dの受け部42が更に夫々異なる高さだけ上昇して、
図4(c)に示すように、隣り合う半導体ウエハ9間のピッチを広げることができる。アーム20及び基台21が水平面内を回転して、ピッチが広げられた複数枚の半導体ウエハ9は処理を行う他の箇所に搬送される。尚、全ての直線移動部41A、41B、41C、41Dの受け部42が上昇完了した状態で、隣り合う直線移動部の受け部42間の高さの差は全て等しいことを想定している。以下に、各直線移動部41A、41B、41C、41Dの受け部42を夫々異なる高さだけ上昇させるピッチ変換機構7を説明する。
【0110】
<ピッチ変換機構の構成と動作>
図5は、ハンド3の本体部30の収納空間を示す平面図であって、前記のピッチ変換機構7を示す。
図6は、
図5のピッチ変換機構7をA1方向から見た側面図であり、基台21を図示しない。第1保持部4Aと第2保持部4Bは夫々同様のピッチ変換機構7を備えており、説明の便宜上、
図5では
図1Bにてハンド3の左側に位置する第1保持部4Aのピッチ変換機構7を示す。
【0111】
ピッチ変換機構7は、前記各直線移動部41A、41B、41C、41Dと、本体部30内を前後にスライドする第1スライダ70と、該第1スライダ70と各直線移動部41A、41B、41C、41Dとに連結され、該第1スライダ70の前後移動を上下移動に変換し、本体部30内の収納空間に配置された第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dとを備えて構成される。即ち、ピッチ変換機構7は第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dが本体部30の外部に位置し、第1スライダ70と第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dとが本体部30の収納空間内に位置する。また、
図1Bに示す如く、半導体ウエハ9は本体部30の上方に位置するから、ピッチ変換機構7の第1スライダ70と第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dとは半導体ウエハ9を保持する受け部42の直ぐ近くに存在する。第1スライダ70と第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dとによって、本発明の第1参考例の「駆動部」を構成する。
【0112】
図5では、本体部30の最も内側に位置するリンク機構を第1のリンク機構8Aとし、外側に向かうに従って、夫々第2、第3、第4のリンク機構8B、8C、8Dとする。第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dは、対応する第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dに接続される。
【0113】
図6に示すように、第1のリンク機構8Aは、第1スライダ70の一側部に設けられ、基端部が回動可能に第1スライダ70に取り付けられた長尺板である第1リンク部材80と、先端部が該第1リンク部材80の長手方向中央部に位置する結合軸88の周りに回動可能に取り付けられ、基端部が本体部30の底面に回動可能に取り付けられた第2リンク部材81と、第1リンク部材80の先端部に回動可能に取り付けられて、第1直線移動部41の下端部に固定された第2スライダ71とを備える。第1リンク部材80は、第1スライダ70との取り付け箇所の中心であって左右方向に延びた第1軸線L1を中心として回動し、結合軸88は第1軸線L1と平行な第2軸線L2を中心とする。また、第2リンク部材81の本体部30の底面への取り付け箇所は、第1軸線L1及び第2軸線L2に平行な第3軸線L3を中心とする。第2スライダ71は第1軸線L1及び第2軸線L2に平行な第4軸線L4を中心とする。第2軸線L2と第3軸線L3との間の距離は、第1軸線L1と第2軸線L2との間の距離並びに第2軸線L2と第4軸線L4との間の距離と実質的に等しい。また、第1軸線L1、第2軸線L2、及び第4軸線L4は実質的に同一面上に位置する。
【0114】
第2スライダ71は、本体部30の前端部である前壁33に開設された縦長の長孔34に嵌まって、前後移動が規制され上下移動のみが許される。
【0115】
尚、
図5に示すように、第1スライダ70の側部であって、第1リンク部材80が設けられた側とは反対側には、長尺板であって第1リンク部材80よりも短い第3リンク部材82の基端部が取り付けられ、該第3リンク部材82は第1軸線L1を中心として回動可能に設けられる。また、前記の結合軸88は第1軸線L1と平行に延びて第3リンク部材82に接続される。後記するように、第1リンク部材80と第2リンク部材81が回動すると、結合軸88を介して第3リンク部材82も回動する。
【0116】
第1スライダ70が後退した状態では、
図6に一点鎖線で示すように、第1リンク部材80及び第2リンク部材81はともに略水平位置にあり、第2スライダ71及び第1直線移動部41Aの受け部42は最下位に位置する。
【0117】
図6に実線で示すように、第1スライダ70が前進すると、第2スライダ71は前後移動ができず上下移動のみが許されるから、第1リンク部材80は第1軸線L1を中心として第2スライダ71が上向きになるように回動する。第2リンク部材81も第3軸線L3を中心として結合軸88が上向きになるように回動する。第1スライダ70が所定距離だけ前進すると、第2スライダ71及び第1直線移動部41の受け部42は最上位に達する。この状態から、第1スライダ70が後退すると、上記と逆の動作を辿って第1直線移動部41Aは下降する。なお、第2リンク部材81は、第1リンク部材80の回動を補助するものであるので、これを省略してもよい。
【0118】
尚、第1リンク部材80及び第2リンク部材81が略水平位置にある状態から、第1スライダ70が前進すると、両リンク部材80、81が突っ張って上向きに回動しない可能性がある。換言すれば、結合軸88の第2軸線L2が第1リンク部材80及び第2リンク部材81の死点位置にあれば、両リンク部材80、81が突っ張って上向きに回動しない可能性がある。
【0119】
そこで、結合軸88の周りに
図6に一点鎖線で示すネジリバネ89を設け、該ネジリバネ89の脚片を第1リンク部材80と第2リンク部材81とに取り付け、該結合軸88を上向きに付勢してもよい。即ち、該ネジリバネ89が本発明の第1参考例の「死点と反対方向に付勢する付勢機構」を構成する。また、第2スライダ71が最下位に位置する状態で、第2軸線L2が第1軸線L1及び第3軸線L3よりも上側に位置していれば、第1スライダ70が前進した際に、両リンク部材80、81が突っ張る可能性は解消される。
【0120】
図7は、
図5のピッチ変換機構7をB1方向から見た側面図であって、第2のリンク機構8Bを示す。第2のリンク機構8Bは、前記の第1リンク部材80と、一端部が該第1リンク部材80の先端部に回動自在に取り付けられた第4リンク部材83と、該第4リンク部材83の他端部に回動可能に取り付けられて、第2直線移動部41Bの下端部に固定された第3スライダ72とを備える。第4リンク部材83と第3スライダ72との取り付け箇所は、前記の第4軸線L4に平行で互いに実質的に同一の鉛直面上に位置する第5軸線L5を中心とする。該第4リンク部材83は、第1リンク部材80上にて第2リンク部材81が取り付けられた面と反対側の面に取り付けられる。
【0121】
第1スライダ70が後退した状態では、
図7に一点鎖線で示すように、第1リンク部材80及び第4リンク部材83はともに略水平位置にあり、第3スライダ72及び第2直線移動部41Bの受け部42は最下位に位置する。
【0122】
図7に実線で示すように、第1スライダ70が前進すると、前記の如く、第1リンク部材80は第1軸線L1を中心として第3スライダ72が上向きになるように回動する。第1スライダ70が所定距離だけ前進すると、第4リンク部材83は第2直線移動部41Bの重量により他端部が下向きとなるように傾き、第3スライダ72及び第2直線移動部41Bの受け部42は最上位に達する。
【0123】
図8は、
図5のピッチ変換機構7をC1方向から見た側面図であって、第3のリンク機構8Cを示す。第3のリンク機構8Cは、前記の第3リンク部材82と、一端部が該第3リンク部材82の先端部に回動自在に取り付けられた第5リンク部材84と、該第5リンク部材84の他端部に回動可能に取り付けられて、第3直線移動部41Cの下端部に固定された第4スライダ73とを備える。第5リンク部材84と第4スライダ73との取り付け箇所は第4軸線L4に平行で上述の鉛直面上に位置する第6軸線L6を中心とする。
【0124】
第1スライダ70が後退した状態では、
図8に一点鎖線で示すように、第3リンク部材82及び第5リンク部材84はともに略水平位置にあり、第4スライダ73及び第3直線移動部41Cの受け部42は最下位に位置する。
【0125】
図8に実線で示すように、第1スライダ70が前進すると、前記の如く、第3リンク部材82は第1軸線L1を中心として第4スライダ73が上向きになるように回動する。第1スライダ70が所定距離だけ前進すると、第5リンク部材84は第3直線移動部41Cの重量により他端部が下向きとなるように傾き、第4スライダ73及び第3直線移動部41Cの受け部42は最上位に達する。
【0126】
図9は、
図5のピッチ変換機構7をD1方向から見た側面図であって、第4のリンク機構8Dを示す。第4のリンク機構8Dは、前記の第3リンク部材82と、一端部が該第3リンク部材82の先端部に回動自在に取り付けられた第6リンク部材85と、該第6リンク部材85の他端部に回動可能に取り付けられて、第4直線移動部41Dの下端部に固定された第5スライダ74とを備える。第6リンク部材85と第5スライダ74との取り付け箇所は第4軸線L4に平行で上述の鉛直面上に位置する第7軸線L7を中心とする。該第6リンク部材85は、第3リンク部材82上にて第5リンク部材84が取り付けられた面と反対側の面に取り付けられる。
【0127】
第1スライダ70が後退した状態では、
図9に一点鎖線で示すように、第3リンク部材82及び第6リンク部材85はともに略水平位置にあり、第5スライダ74及び第4直線移動部41Dの受け部42は最下位に位置する。
【0128】
第1スライダ70が前進すると、
図9に実線で示すように、第3リンク部材82は前記の如く、第1軸線L1を中心として第5スライダ74が上向きになるように回動する。第1スライダ70が所定距離だけ前進すると、第6リンク部材85は第4直線移動部41Dの重量により他端部が下向きとなるように傾き、第5スライダ74及び第4直線移動部41Dの受け部42は最上位に達する。
【0129】
結合軸88に前記のネジリバネ89を嵌め、該ネジリバネ89の脚片を第3リンク部材82と第6リンク部材85とに取り付け、該結合軸88を上向きに付勢してもよい。
【0130】
尚、上記の記載では、本体部30に設けられた第1保持部4Aのピッチ変換機構7を説明したが、可動部31に設けられた第2保持部4Bも上記と同じ構成のピッチ変換機構7を有する。従って、半導体ウエハ9を保持した両保持部4A、4Bの受け部42がピッチ変換機構7によって高さを変えられる。第1保持部4Aと第2保持部4Bの合計4つのピッチ変換機構7は同期して駆動される、即ち、4つのピッチ変換機構7の第1スライダ70は同期して駆動される。該4つの第1スライダ70を同期して駆動する構成は後記する。
【0131】
上記の如く、第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dを昇降駆動する各リンク部材81、83、84、85とスライダ71、72、73、74の各取り付け箇所は、全て同一の鉛直面上に位置する第4乃至第7軸線L4〜L7を中心とする。即ち、該複数の取り付け箇所は前後方向にて全て同じ位置に位置する。
【0132】
また、第1リンク部材80と第3リンク部材82は第2軸線L2を通る結合軸88によって互いに同期して回動する。即ち、各第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dについて、第1リンク部材80及び第3リンク部材82が水平状態における第1軸線L1と第2軸線L2との間の第1距離と、第2軸線L2と第4乃至第7軸線L4〜L7との間の第2距離の和は、互いに同じ距離である。
【0133】
また、第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dについて、第1リンク部材80上の各第2リンク部材81、第4リンク部材83の取り付け箇所、及び第2リンク部材82上の第5リンク部材84、第6リンク部材85の取り付け箇所は、何れも前後方向にて異なる位置にある。従って、第1リンク部材80及び第3リンク部材82が上昇回動した際における第2軸線L2と第4乃至第7軸線L4〜L7との間の第2距離は、各第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dについて、互いに異なる。即ち、各第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dについて、第1スライダ70の前進距離である所定距離は同じであるから、第1リンク部材80及び第3リンク部材82が上昇回動した際における所定距離に対する第2距離の比率は、第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dについて互いに異なる。
【0134】
これにより、第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dの受け部42が上昇する高さを互いに違えている。即ち、各第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dの受け部42が保持すべき半導体ウエハ9の高さ位置に応じて、第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dを上昇させるリンク機構を好適に実現することができる。
【0135】
上下に隣り合う半導体ウエハ9のピッチを変換するには、上記の如く、第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dの構成部材を回転させるが、この際に、リンク機構の構成部材どうしが擦れ、その結果、パーティクルが発生することがある。かかるパーティクルが半導体ウエハ9に付着すると、半導体ウエハ9の品質不良につながる。
【0136】
本実施形態では、第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dはハンド3の本体部30及び可動部31の収納空間内に配置されているから、該パーティクルは本体部30及び可動部31の外に出ることはなく、該パーティクルが半導体ウエハ9に付着する可能性はない。更に、パーティクルが本体部30及び可動部31の外に出ないようにすべく、本体部30及び可動部31の収納空間内は負圧に設定されている。
【0137】
また、ピッチ変換機構7は各直線移動体40A、40B、40C、40Dの受け部42の真下に位置する。これにより、受け部42の間隔を変換する動作の精度を高めることができる。
【0138】
<第1スライダの駆動機構>
図10は、4つの第1スライダ70を同期して前後に駆動する機構を示す平面であり、ハンド3を構成する本体部30と可動部31を一点鎖線にて示す。本体部30の収納空間内には、前後に延びた剛性体である主スライド体5が前後移動可能に設けられている。該主スライド体5は前端部に、本体部30の左右方向に沿って離間した一対の第1駆動片50を有し、後端部に本体部30の左右方向に沿って離間した一対の第2駆動片51を有する。各第1駆動片50の先端部に前記の第1保持部4Aのピッチ変換機構を構成する第1スライダ70が取り付けられている。
【0139】
各第2駆動片51の後方にはエアシリンダ68が対向しており、該エアシリンダ68はハウジング69内にピストン67を出没自在に設けて構成される。該ピストン67の先端部が第2駆動片51に連結され、主スライド体5は両エアシリンダ68によって前後に駆動される。尚、主スライド体5は2つのエアシリンダ68によって駆動されるとしたが、1つのエアシリンダ68によって駆動されてもよい。
【0140】
各可動部31内には、前後に延びた副スライド体52が前後移動可能に設けられ、各副スライド体52は水平面内を回動する一対の連結リンク53にて第2駆動片51と連結されている。各副スライド体52の前端部に、前記の第2保持部4Bのピッチ変換機構7を構成する第1スライダ70が設けられている。
【0141】
図11(a)、(b)は、第2駆動片51と副スライド体52の位置関係を示す平面図であり、ピッチ変換機構7の構成及び可動部31の第2保持部4Bを図示しない。
図11(a)は、
図2(a)に対応して可動部31が前進方向に回転した位置を示す。
図11(b)は、
図2(b)に対応して可動部31が後退方向に回転した位置を示す。副スライド体52の先端部には第2保持部4Bを駆動する第1スライダ70が設けられており、該第2保持部4Bは可動部31に設けられているから、可動部31が前後方向に回転すれば、副スライド体52も前後に移動する。主スライド体5が停止した状態でも、副スライド体52の前後移動を可能にすべく、各副スライド体52は主スライド体5と前記の連結リンク53にて連結されている。
尚、連結リンク53と前記回動補助リンク板63と小リンク板60とは互いに平行であって、これらのリンクの間で平行四辺形を構成する。
【0142】
前記の四節リンク機構6(
図2(a)、(b)参照)が作動して、
図11(a)に示す状態から、
図11(b)に示すように、可動部31が後退方向に回転すれば、連結リンク53は第2駆動片51との取り付け箇所を中心に回動して、主スライド体5が停止した状態での副スライド体52の後退を許す。これにより、第2保持部4Bの受け部42は半導体ウエハ9の周縁部から離れる(
図2(b)参照)。
【0143】
四節リンク機構6が作動して、
図11(b)に示す状態から、
図11(a)に示すように、可動部31が前進方向に回転すれば、第2保持部4Bの受け部42は半導体ウエハ9の周縁部に接し、第1保持部4Aと第2保持部4Bの受け部42によって半導体ウエハ9は保持される(
図2(a)参照)。
【0144】
可動部31が前進方向に回転し両保持部4A、4Bの受け部42によって半導体ウエハ9が保持された
図11(a)に示す状態にて、エアシリンダ68が主スライド体5を前方に駆動する。第1駆動片50及び第2駆動片51が前進し、連結リンク53が回転しない状態で該連結リンク53を介して副スライド体52も前進する。主スライド体5と副スライド体52が連動して動くから、4つの第1スライダ70は同期して前進する。これにより、第1保持部4Aと第2保持部4Bの第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dが同期して上昇する。4つの第1スライダ70は互いに同じ距離だけ前進するから、1枚の半導体ウエハ9を保持する4つの直線移動体は同じ高さだけ上昇する。これにより、半導体ウエハ9は水平姿勢のまま、上昇する。
【0145】
本実施形態のエンドエフェクタ装置1にあっては、第1スライダ70の前後移動動作のみで、全てのピッチ変換機構7の第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dを昇降させている。これにより、第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dを昇降駆動させる機構が簡素となる。
<ピッチ変換機構の第1変形例>
図12(a)、(b)は、ピッチ変換機構7の第1変形例を示す斜視図である。本変形例にあっては、第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dは図の左側から右側に向けて配列されている。これにより、第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dも図の左側から右側に向けて配列されている。本変形例にあっては、第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dの構成が前記のリンク機構の構成とは異なる。
【0146】
具体的には、
図12(a)に示すように、第1のリンク機構8Aは、面を上に向けて水平姿勢で前後駆動される第1リンク片200と、該第1リンク片200の先端部にヒンジ280にて上下回動可能に接続された第5リンク片240とから構成される。
【0147】
同様に、第2のリンク機構8Bは、第1リンク片200よりも長い第2リンク片210と、該第2リンク片210の先端部にヒンジ280にて上下回動可能に接続され第5リンク片240よりも短い第6リンク片250とから構成される。第3のリンク機構8Cは、第2リンク片210よりも長い第3リンク片220と、該第3リンク片220の先端部にヒンジ280にて上下回動可能に接続され第6リンク片250よりも短い第7リンク片260とから構成される。第4のリンク機構8Dは、第3リンク片220よりも長い第4リンク片230と、該第4リンク片230の先端部にヒンジ280にて上下回動可能に接続され第7リンク片260よにも短い第8リンク片270とから構成される。
【0148】
第5乃至第8リンク片240、250、260、270の先端部は前壁33に当接しており、これにより第5乃至第8リンク片240、250、260、270は前進を規制されている。第5乃至第8リンク片240、250、260、270は夫々前壁33に開設された縦長の長孔34を通って、対応する第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dに接続されている。第1乃至第4のリンク機構8A、8B、8C、8Dは共通の第1スライダ(図示せず)により前後駆動される。
【0149】
図12(a)に示す姿勢から、第1スライダが第1乃至第4のリンク片200、210、220、230を前方に押せば、第5乃至第8リンク片240、250、260、270は先端部が前壁33に当接して前進を規制されるから、
図12(b)に示すように、第5乃至第8リンク片240、250、260、270は、ヒンジ280を中心として第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dに連結された先端部が上昇するように回動する。これにより、第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dの受け部(
図12(a)、(b)では図示せず)は半導体ウエハ9の周縁部を受けて上昇することができる。
【0150】
<ピッチ変換機構の第2変形例>
図13(a)、(b)は、ピッチ変換機構7の第2変形例を示す側面図である。本変形例にあっては、ピッチ変換機構7は夫々第1乃至第4直線移動部41A、41B、41C、41Dに接続される第1乃至第4のリンク機構を備えるが、該リンク機構の構成が前記のリンク機構の構成とは異なる。説明の便宜上、第1のリンク機構8Aのみを図示する。
【0151】
第1のリンク機構8Aは、本体部30の底面をスライドする従動スライダ300と、基端部が従動スライダ300に回動可能に取り付けられた第1リンク部材80と、第1リンク部材80の先端部に回動可能に取り付けられて、第1直線移動部41の下端部に固定された第2スライダ71と、一端部が第1リンク部材80の先端部に回動自在に取り付けられた長尺状の揺動部材310とを備える。
第2スライダ71は、本体部30の前端部である前壁33に開設された縦長の長孔34に嵌まって上下移動のみが許されるのは前記と同様である。揺動部材310は長手方向上の任意の一点を本体部30内の支点320にて支持されて搖動し、該揺動部材310の他端部は本体部30に配置された上下駆動アクチュエータ330に対向する。該上下駆動アクチュエータ330は、ハウジング340内に上下移動ピストン350を上下に出没自在に設けて構成され、該上下移動ピストン350の先端部が揺動部材310の他端部に接続される。
【0152】
図13(a)に示す状態では、上下移動ピストン350が上昇して第1直線移動部41Aは最下位に位置する。この状態から、上下移動ピストン350が下降すると、
図13(b)に示すように、揺動部材310が支点320を中心として搖動し、揺動部材310の一端部及び第1リンク部材80の先端部が持ち上がる。これにより、第1直線移動部41Aの受け部42は最上位に達する。
【0153】
<ピッチ変換機構の第3変形例>
図14(a)、(b)は、ピッチ変換機構7の第3変形例を示す側面図である。本変形例にあっても、第1乃至第4のリンク機構の構成が前記のリンク機構の構成とは異なる。説明の便宜上、第1のリンク機構8Aのみを図示する。
【0154】
図14(a)に示すように、第1のリンク機構8Aは、本体部30の底面をスライドする従動スライダ300と、基端部が該従動スライダ300に回動可能に取り付けられた長尺板である第1リンク部材80と、先端部が該第1リンク部材80の長手方向中央部に位置する結合軸88の周りに回動可能に取り付けられ、基端部が本体部30の底面に回動可能に取り付けられた第2リンク部材81と、第1リンク部材80の先端部に回動可能に取り付けられて、第1直線移動部41Aの下端部に固定された第2スライダ71とを備える。
【0155】
本体部30の底面には凹部35が形成され、該凹部35内には第1リンク部材80の基端部下面に対向した上下移動アクチュエータ330が配置される。該上下駆動アクチュエータ330は前記の如く、ハウジング340内に上下移動ピストン350を上下に出没自在に設けて構成され、上下移動ピストン350の先端部が第1リンク部材80の基端部に接続される。
【0156】
図14(a)に示す状態では、第1直線移動部41Aは最下位に位置する。この状態から、上下移動ピストン350が上昇すると、第1リンク部材80が従動スライダ300との取り付け部を中心として回動するとともに、従動スライダ300が前進する。第1リンク部材80の先端部及び第2リンク部材81の先端部が持ち上がる。これにより、第1直線移動部41Aの受け部42は最上位に達する。
【0157】
<受け部の変形例>
上記記載では、
図15(a)に示すように、半導体ウエハ9は受け部42の水平片43にて周縁部下面が支持されるとした。しかし、これに代えて、
図15(b)に示すように、受け部42を内面が第1斜面45と該第1斜面45よりも勾配の緩やかな第2斜面46とが連続するように形成し、両斜面45、46の境目SMにて半導体ウエハ9の周縁を支持してもよい。
【0158】
図15(b)に示す構成であれば、半導体ウエハ9は受け部42に保持される際には、受け部42の第1斜面45を滑って境目SMに載置される。これにより、半導体ウエハ9の水平位置及び水平姿勢が矯正されて安定に保持される。また、受け部42と半導体ウエハ9は線接触するから、受け部42と半導体ウエハ9との接触面積が小さい。これにより、半導体ウエハ9への異物付着が減少する。
【0159】
本明細書において、半導体ウエハ9の保持は、ハンド3によって半導体ウエハ9を搬送可能な状態とすることを意味し、上記実施態様の他に乗載や吸着等する態様であってもよい。この場合、例えば前記受け部42は水平片43のみ或いは該水平片43と吸着パッドによって構成され得る。
【0160】
(本願発明を大径の半導体ウエハに使用する際のメリット)
半導体業界では直径の大きな半導体ウエハが段階的に用いられるようになっている。具体的には従前は直径150mm程度の半導体ウエハが用いられてきたが、直径200mmや300mm程度の半導体ウエハが用いられてきており、将来的には直径450mm程度の半導体ウエハが用いられる可能性がある。
【0161】
ところで、前掲の特許文献2には、基端部において支持された複数の基板保持部材を複数の基板の間に挿入して基板を搬送する構成が記載されている。大型化された半導体ウエハをこのような従来技術の構成によって搬送しようとすると、半導体ウエハが大型化された分、半導体ウエハの大型化に伴って大型化したロボットのたわみや半導体ウエハ自体のたわみが大きくなる。これにより、基板保持部材と半導体ウエハとの干渉の問題が増大する。
【0162】
複数配置された半導体ウエハの間隔を十分に大きくすればこの問題を回避することができる。しかし、装置の省スペース化のためには極力小さな間隔で複数の半導体ウエハを配置することが好ましい。この間隔は、例えば1の半導体ウエハ下面から隣接する半導体ウエハ下面までが5mm〜10mm、好ましくは6mmの間隔であることが好ましい。
この点、本願発明の構成によれば、上記従来技術における基板保持部材のような板状部材を複数の半導体ウエハの間に挿入する必要がない。従って、ハンドと半導体ウエハとの干渉の問題が軽減される。
【0163】
このように、本願発明を、大型の半導体ウエハ(特に直径450mm以上の半導体ウエハ)を把持するハンドに適用することができる。また、本願発明を、フープ90又は他の箇所を含む基板載置部であって、複数配置される半導体ウエハの間隔が5mm〜10mm、好ましくは6mmであるものを少なくとも1つ有する処理装置、搬送装置又は半導体処理設備に適用することができる。
【0164】
上記記載では、第1保持部4Aと第2保持部4Bは、2つずつ設けられているとしたが、夫々1つ以上設けられていればよい。但し、半導体ウエハ9を水平面内にて位置決めするには、半導体ウエハ9の周縁に対し、3つ以上の点で支持することが必要であるから、第1保持部4Aと第2保持部4Bは、合わせて3点以上で支持するように設けられていることが必要である。
【0165】
また、上記記載では、ピッチ変換機構7はフープ90から他の箇所に複数枚の半導体ウエハ9を搬送する際に隣り合う半導体ウエハ9の上下ピッチを広げるとしたが、該上下ピッチを狭めてもよい。
【0166】
上述の
図10等には4つの第1スライダ70が同期して前後に駆動される実施形態が示されているが、各ピッチ変換機構7の第1スライダ70は必ずしも物理的に接続されている必要はない。例えば、各ピッチ変換機構7の第1スライダ70毎に個別にエアシリンダ等のアクチュエータを設けてもよい。この場合、個別に設けられたエアシリンダ等のアクチュエータの動作タイミングを同期させることが望ましい。
【0167】
以下、本発明の第2参考例の一実施形態による基板搬送ロボットを備えた基板搬送システムおよび基板搬送方法について、図面を参照して説明する。
【0168】
なお、本実施形態は半導体製造用のウェハ(基板)の搬送に関するものであるが、本発明の第2参考例による基板搬送ロボットの搬送対象とされる基板は、半導体製造用のウェハに限られるものではなく、液晶パネル製造用のガラス基板など各種の基板(板状部材)を含むものである。
【0169】
図16および
図17に示したように、本実施形態による基板搬送ロボット401は、基台402と、第1軸線L1に沿って昇降可能に基台402に設けられた主軸403と、主軸403の上端部にその基端部が接続されたロボットアーム404と、ロボットアーム404の先端部に接続されたエンドエフェクタ405を備えている。ロボットアーム404は、ロボットアーム404の基端部を含む第1アーム部材406と、ロボットアーム404の先端部を含む第2アーム部材407とを有し、第1アーム部材406の先端部と第2アーム部材407の基端部とが、第2軸線L2周りに回転可能に接続されている。
【0170】
エンドエフェクタ405は、第3軸線L3周りに回転可能に第2アーム部材407の先端部に接続されたブレードハンド(第1のハンド)408と、同じく第3軸線L3周りに回転可能に第2アーム部材407の先端部に接続されたバッチ搬送式ハンド(第2のハンド)409とを有する。なお、本例においてはバッチ搬送式ハンド409を上に、ブレードハンド408を下に配置しているが、両者の上下位置を逆転させることもできる。
【0171】
ブレードハンド408は、基板収容部に収容された上下に隣接する基板同士の間に挿入可能なハンド本体410を有する。なお、本実施形態においてはハンド本体410を板状体で構成しているが、ハンド本体を構成する部材は板状体の限られず、例えば棒状体等で構成しても良く、基板収容部に収容された上下に隣接する基板同士の間に挿入可能なものを広く含むものである。
【0172】
バッチ搬送式ハンド409は、基板収容部に収容された複数の基板の下方に少なくとも一部が進入するハンド基部411と、ハンド基部411に設けられ、複数の基板(ウェハ)Sを保持可能な基板保持手段412と、を有する。
【0173】
図17に示したようバッチ搬送式ハンド409のハンド基部411は、ブレードハンド408のハンド本体410に比べてその厚みが相当に厚く、FOUPなどの基板収容部に収容された上下に隣接する基板同士の間に挿入することは一般に不可能な厚さを有している。
【0174】
なお、本実施形態は、
図16および
図17に示したように、ブレードハンド408およびバッチ搬送式ハンド409のそれぞれの上面側で基板Sを保持するように構成されているが、これは例えば半導体ウェハのようにパーティクルの付着を防止したい場合に特に有効である。
【0175】
ブレードハンド408とバッチ搬送式ハンド409とは、第3軸線L3周りにそれぞれ独立して駆動可能である。これにより、ブレードハンド408およびバッチ搬送式ハンド409のそれぞれが、基板収容部にアクセスするときの供用位置と、基板収容部にアクセスしないときの退避位置とを切替可能となっている。
【0176】
図18に示したようにブレードハンド408は、先端側に一対のフィンガー部413が形成されたハンド本体410と、ハンド本体410の基端部が接続されたハンド基部414と、を有する。一対のフィンガー部413の各先端部には、基板Sの裏面縁部を支持するための基板支持部415が設けられている。ハンド本体410の基端部の左右両側にも、基板Sの裏面縁部を支持するための基板支持部415が設けられている。
【0177】
さらに、ブレードハンド408は、基板支持部415に載置された基板Sを把持するための把持手段416を備えている。把持手段416は、基板Sの側面に当接される左右一対の当接部417を含む可動部材418と、可動部材418を前後に駆動する駆動源(例えばエアシリンダ)419と、を有する。可動部材418を前方に移動させて当接部417を基板側面に押圧することにより、一対の当接部417と、先端側の一対の基板支持部415の垂直壁部分とで基板Sが挟持される。
【0178】
図19に示したように、バッチ搬送式ハンド409の基板保持手段412は、複数(本例では5枚)の基板Sの各裏面縁部を支持するための複数(本例では5個)の基板支持部420から成る基板支持部の組を、ハンド基部411の先端側に左右一対備え、基板Sを挟んで反対側に左右一対備えている。ハンド基部411の基端側寄りの基板支持部420の組は、可動部材421と一体に前後に移動可能に設けられている。可動部材421は駆動源(例えばエアシリンダ)422によって前後に駆動される。
【0179】
図20Aおよび
図20Bに示したように、各組に属する複数(本例では5個)の基板支持部420は、少なくとも基板保持状態においては上下方向の異なる高さに配置されている。
【0180】
先端側の基板支持部420と基端側寄りの基板支持部420とによって基板Sを把持する際には、駆動源422によって可動部材421を前方に移動させ、基端側寄りの基板支持部420の垂直壁部分を基板側面に押圧する。これにより、基端側寄りの基板支持部420の垂直壁部分と先端側の基板支持部420の垂直壁部分とで基板Sが挟持される。
【0181】
本実施形態においては、各組に属する複数の基板支持部420の上下ピッチは可変である。具体的には、
図21Aおよび
図21Bに示したように、基板支持部420の下端部は、ハンド基部411の内部に設けられた昇降リンク機構423に接続された昇降部材424に接続されている。スライダ425により昇降リンク機構423を駆動することにより、昇降部材424がその水平延在状態を維持しつつ基板支持部420と一体に昇降する。
【0182】
昇降リンク機構423、昇降部材424、およびスライダ425は、基板支持部420を上方位置および下方位置の間で移動させるための基板支持部駆動手段を構成する。基板支持部駆動手段によって、複数の基板支持部420の上下方向のピッチを変更することができる。
【0183】
また、本実施形態においては、各組に属する複数の基板支持部420の上下ピッチの変更に伴って、複数の基板支持部420によって構成される各基板保持手段412の高さ、すなわち、ハンド基部411の上面から、最も高い位置にある基板支持部420の上端までの距離が変化するように構成されている。各基板保持手段412の高さは、複数の基板支持部420の上下ピッチを小さくすると低くなり(
図20A)、大きくすると高くなる(
図20B)。
【0184】
各組に属するすべての基板支持部420をそれぞれ最も低い位置とすることにより、複数の基板支持部420が、上下方向に直交する少なくとも1つの方向から見て互いに少なくとも一部が重なるように、複数の基板支持部420を配置できる。このとき、好ましくは、複数の基板支持部420のうちの最も高い位置にある基板支持部420の上端が、ハンド基部411の上面と略同じ高さか(
図21A参照)、或いはそれよりも低い高さとなる。なお、各組に属するすべての基板支持部420をそれぞれ最も低い位置としたときに、各組に属するすべての基板支持部420の上端が面一となるようにしても良い。
【0185】
本実施形態においては、
図19に示したように、各組に属する複数の基板支持部420は、基板支持部420の移動方向から見て少なくとも一部が互いに重ならない位置に配置されている。具体的には、上下方向から見た複数の基板支持部420の位置が、基板Sの周方向に互いにオフセットしている。さらに、上下方向から見た複数の基板支持部420の位置は、複数の基板支持部420の上下ピッチを変更しても変化しない。
【0186】
ここで、基板支持部420の移動方向から見て互いに重ならない部分を、基板支持部420のうち、基板(ウェハ)Sと接触する部分としても良い。また、各組に属する複数の基板支持部420は、少なくともそれぞれが最も低い位置とされた場合、基板支持部420の移動方向から見て少なくとも一部が互いに重ならない位置に配置されても良い。さらに、各組に属する複数の基板支持部420は、動作中のすべての動作範囲において基板支持部420の移動方向から見て少なくとも一部が互いに重ならない位置に配置されても良い。
【0187】
次に、本実施形態による基板搬送ロボット401を用いて基板Sを搬送する方法について、図面を参照して説明する。
【0188】
例えば半導体製造プロセスにおいては、各種の処理装置において基板(ウェハ)Sに所定の処理(熱処理や成膜処理など)が施され、その際、処理装置側への未処理基板の搬入および処理装置側からの処理済み基板の搬出が基板搬送ロボット401によって行われる。具体的には、搬送元の基板収容部であるFOUP内に収容された未処理基板が、基板搬送ロボット401によってFOUPから搬出され、処理装置側に配置された搬送先の基板収容部に搬入される。処理済みの基板は、基板搬送ロボット401によって処理装置側から搬出され、FOUPに搬入される。
【0189】
なお、直径300mmのウェハを収容するFOUPの基板収容ピッチは10mmであり、ウェハの厚みは775μmである。また、直径450mmのウェハを収容するFOUPの基板収容ピッチは12mmであり、ウェハの厚みは925μmである。
【0190】
本実施形態による基板搬送ロボット401を用いた基板搬送方法は、FOUP(基板収容部)の下方端部領域に存在する1つ又は複数の基板(ウェハ)をブレードハンド408によって搬出する第1搬送工程と、第1搬送工程によって1つまたは複数の基板Sが搬出されたFOUPの下方端部領域にバッチ搬送式ハンド409を挿入し、複数の基板Sを同時に搬出する第2搬送工程と、を備える。
【0191】
図22A乃至
図22Lは、搬送元の基板収容部であるFOUP426内に収容された25枚の基板(ウェハ)Sを基板搬送ロボット401を用いて搬出する様子を示している。
【0192】
図22Aおよび
図22Bに示したように、第1搬送工程においては、エンドエフェクタ405のブレードハンド408を供用位置とし、バッチ搬送式ハンド409を退避位置とする。そして、供用位置にあるブレードハンド408をFOUP426内に挿入して、FOUP426の最も下の位置に収納された基板Sを最初に搬出する。続いて、順次、下から2番目、3番目、4番目、5番目の基板を一枚ずつ搬出する。この第1搬送工程により、
図22Bに示したようにFOUP426内部の下方端部領域にスペースが形成される。
【0193】
次に、第2搬送工程において、
図22Cに示したように、ブレードハンド408とバッチ搬送式ハンド409の位置を切替えて、バッチ搬送式ハンド409を供用位置にすると共に、ブレードハンド408を退避位置にする。また、バッチ搬送式ハンド409の基板保持手段412の高さを、その最大高さよりも低い高さ、好ましくは最も低い高さに設定する。この状態で、
図22Dに示したように、バッチ搬送式ハンド409をFOUP426内部の下方端部領域のスペースに挿入する。
【0194】
続いて、
図22Eに示したように、基板搬送手段412の高さを高くして、複数の基板支持部420の上下ピッチを、FOUP426内に収納された複数の基板Sの上下ピッチに合わせて拡大する。好ましくは、複数の基板支持部420の最大ピッチが、FOUP426内に収納された複数の基板Sの上下ピッチに対応している。そして、
図22Fに示したように複数の基板支持部420で複数の基板Sを保持し、FOUP426内から同時に搬出する。
【0195】
そして、バッチ搬送式ハンド9を用いた2回目以降の搬送においては、
図22Gに示したように、基板保持手段412の高さを予め高くしておいて、その状態で
図22Hに示したようにバッチ搬送式ハンド409をFOUP426内に挿入する。続いて、エンドエフェクタ405を上昇させて、
図22Jに示したように複数の基板Sを保持し、同時に搬出する。
【0196】
FOUP426への挿入に先立って基板保持手段412の高さを予め高くしておくことにより、FOUP426内での基板保持手段426の高さ変更動作が不要となり、作業時間を短縮することができる。
【0197】
図22Kはバッチ搬送式ハンド409による3回目の搬送を、
図22Lはバッチ搬送式ハンド409による4回目の搬送を示しており、これらの搬送も、
図22G乃至
図22Jに示したバッチ搬送式ハンド409による2回目の搬送と同様の動作にて実施される。
【0198】
本実施形態においては、第1搬送工程後にFOUP426内に残っている基板Sのすべてがバッチ搬送式ハンド409によって搬送される。
【0199】
本実施形態による基板搬送ロボット401およびFOUP426を含む基板搬送システムにおいては、
図23に示したように第1搬送工程においてブレードハンド408によって搬出する基板Sの数をM、FOUP426の基板収容枚数をN、バッチ搬送式ハンドの基板保持枚数をnとしたとき、M=N−n×(正の整数)を満たしている。これにより、搬送先の基板収容部の下方端部領域に設けるバッチ搬送式ハンド409用の挿入スペースを最小化することができる。
【0200】
また、ブレードハンド408によってM枚の基板Sを搬出したときにFOUP426の下方端部領域に形成されるスペースの高さをHとし、バッチ搬送式ハンド409全体のうち、FOUP426に収容された基板Sと上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さ(高さ可変の場合は最小高さ)をhとした場合、H>hである。
【0201】
バッチ搬送式ハンド409の厚みを許容しつつH>hを満たすための好ましい例としては、基板Sの直径が300mmであり、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数が3、4、6枚のいずれかであり、バッチ搬送式ハンド409全体のうち、FOUP426に収容された基板Sと上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さhが20mm以下である。例えば、高さhは、10mm以上、20mm以下である。
【0202】
同様に好ましい他の例としては、基板Sの直径が300mmであり、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数が5枚であり、バッチ搬送式ハンド409全体のうち、FOUP426に収容された基板Sと上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さhが60mm以下である。例えば、高さhは、50mm以上、60mm以下である。
【0203】
同様に好ましい他の例としては、基板Sの直径が300mmであり、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数が7枚であり、バッチ搬送式ハンド409全体のうち、FOUP426に収容された基板Sと上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さhが50mm以下である。例えば、高さhは、40mm以上、50mm以下である。
【0204】
同様に好ましい他の例としては、基板Sの直径が300mmであり、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数が6または9枚であり、バッチ搬送式ハンド409全体のうち、FOUP426に収容された基板Sと上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さhが80mm以下である。例えば、高さhは、70mm以上、80mm以下である。
【0205】
同様に好ましい他の例としては、基板Sの直径が450mmであり、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数が3、4、6枚のいずれかであり、バッチ搬送式ハンド409全体のうち、FOUP426に収容された基板Sと上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さhが24mm以下である。例えば、高さhは、12mm以上、24mm以下である。
【0206】
同様に好ましい他の例としては、基板Sの直径が450mmであり、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数が5枚であり、バッチ搬送式ハンド409全体のうち、FOUP426に収容された基板Sと上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さhが72mm以下である。例えば、高さhは、60mm以上、72mm以下である。
【0207】
同様に好ましい他の例としては、基板Sの直径が450mmであり、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数が7枚であり、バッチ搬送式ハンド409全体のうち、FOUP426に収容された基板Sと上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さhが60mm以下である。例えば、高さhは、49mm以上、60mm以下である。
【0208】
同様に好ましい他の例としては、基板Sの直径が450mmであり、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数が6または9枚であり、バッチ搬送式ハンド409全体のうち、FOUP426に収容された基板Sと上下方向から見て重なる領域を基板搬送時に通過する部分の高さhが96mm以下である。例えば、高さhは、84mm以上、96mm以下である。
【0209】
なお、FOUP426のように基板収容枚数が25枚の場合、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数nは5枚であることが特に望ましい。バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数nを5枚とした場合、バッチ搬送式ハンド409によって搬送する基板枚数はn×(正の整数)=5×4=20枚、ブレードハンド408によって搬出する基板枚数Mが5枚である。すなわち、エンドエフェクタ405による基板搬送回数の合計は、ブレードハンドの5回とバッチ搬送式ハンドの4回とを合わせて計9回である。
【0210】
これに対して、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数nを4枚とすると、バッチ搬送式ハンド409によって搬送する基板枚数はn×(正の整数)=4×5=20枚、ブレードハンド408によって搬出する基板枚数Mが5枚である。すなわち、エンドエフェクタ405による基板搬送回数の合計は、ブレードハンド408の5回とバッチ搬送式ハンド409の5回とを合わせて計10回であり、n=5枚の場合と比べて搬送回数が1回増えてしまう。
【0211】
また、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数nを6枚とすると、バッチ搬送式ハンド409によって搬送する基板枚数はn×(正の整数)=6×3=18枚、ブレードハンド408によって搬出する基板枚数Mが7枚である。すなわち、エンドエフェクタ405による基板搬送回数の合計は、ブレードハンド408の7回とバッチ搬送式ハンド409の3回とを合わせて計10回であり、やはりn=5枚の場合と比べて搬送回数が1回増えてしまう。
【0212】
上記の通り、FOUP426のように基板収容枚数が25枚の場合、バッチ搬送式ハンド409による基板保持枚数nを5枚に設定することにより、エンドエフェクタ405による基板Sの合計搬送回数を最小化することができる。
【0213】
次に、
図24A乃至
図24Cを参照して、搬送元のFOUP426から搬出した基板Sを、搬送先(処理装置側)の基板収容棚(基板収容部)427に収容する動作について説明する。
【0214】
本実施形態においては、
図24Aに示したように、上述した第1搬送工程において搬送元のFOUP426の下方端部領域からブレードハンド408によって搬出した基板Sを、搬送先の基板収容棚427の上方端部領域に搬入する。
【0215】
次に、上述した第2搬送工程において搬送元のFOUP426の中間領域および上方端部領域からバッチ搬送式ハンド409によって搬出した基板Sを、
図24Bに示したように、搬送先の基板収容棚427の上方端部領域の下方に搬入する。
【0216】
ここで、本例においては、搬送元のFOUP426と搬送先の基板収容棚427とで、収容状態にある複数の基板Sの上下ピッチが異なっている。すなわち、搬送元のFOUP426における基板収容ピッチよりも、搬送先の基板収容棚427の基板収容ピッチが小さくなっている。
【0217】
そこで、第2搬送工程においてバッチ搬送式ハンド409によって複数の基板Sを搬送元のFOUP426から搬出した後、複数の基板支持部420の上下ピッチを、搬送先の基板収容棚427の基板収容ピッチに合わせて縮小する。これにより、基板収容ピッチの異なる基板収容部同士の間で複数の基板Sを支障なく搬送することができる。
【0218】
なお、搬送元のFOUP426の基板収容枚数(=25枚)よりも、搬送先の基板収容棚427の収容枚数のほうが多い場合もある。例えば、搬送先の基板収容棚427の収容枚数が100枚の場合、4台のFOUP426から順次基板Sを搬出し、搬送先の基板収容棚427に搬入する。
【0219】
この場合、搬送先の基板収容棚427の上方端部領域に搬入される基板Sは、1台目のFOUP426の下方端部領域から搬出された基板Sである。一方、搬送先の基板収容棚427の下方端部領域に搬入される基板Sは、4台目のFOUP426の上方端部領域から搬出された基板Sである。1台目のFOUP426の中間領域・上方端部領域、2台目のFOUP426の全領域、3台目のFOUP426の全領域、4台目のFOUP426の下方端部領域・中間領域のそれぞれから搬出された基板は、搬送先の基板収容棚427の中間領域に搬入される。
【0220】
なお、本例においては、
図24Cに示したように、搬送先の基板収容棚427の下方端部領域にスペースが確保されているので、このスペースを利用してバッチ搬送式ハンド409を基板収容棚427の下方端部領域に挿入することができる。
【0221】
上記実施形態の一変形例による基板搬送方法としては、上述した第1搬送工程後に搬送元のFOUP426に残っている基板Sの全部ではなく一部をバッチ搬送式ハンド409によって搬出することができる。
【0222】
例えば、第1搬送工程後に搬送元のFOUP426に残っている基板Sの一部をバッチ搬送式ハンド409によって搬出し、搬送先の基板収容棚427の上下方向の中間領域に搬送する。
【0223】
続いて、
図25に示したように、搬送元のFOUP426の上方端部領域に残っている基板Sを、バッチ搬送式ハンド409ではなくブレードハンド408によって一枚ずつ搬出し、搬送先の基板収容棚427の下方端部領域に順次搬入する。
【0224】
このようにすれば、搬送先の基板収容棚427の下方端部領域に、バッチ搬送式ハンド409を挿入するためのスペースが確保できない場合でも、基板収容棚427の最下段まで基板Sを支障なく搬入することができる。
【0225】
なお、上述したエンドエフェクタ405においては、
図26に示したように、ブレードハンド408とバッチ搬送式ハンド409とが、共通の軸線(第3軸線L3)周りに互いに独立に回転可能とされている。これにより、バッチ搬送式ハンド409を供用位置とし、ブレードハンド408を退避位置とした状態(
図26(a))と、ブレードハンド408を供用位置とし、バッチ搬送式ハンド409を退避位置とした状態(
図26(b))とを適宜切替えることができる。
【0226】
これに対して、一変形例としては、
図27に示したように、ブレードハンド408とバッチ搬送式ハンド409とを、リニアガイド等を用いて互いに独立に前後に移動できるように構成することもできる。
【0227】
この構成においては、バッチ搬送式ハンド409を前進させて供用位置とし、ブレードハンド408を後退させて退避位置とした状態(
図27(a))と、ブレードハンド408を前進させて供用位置とし、バッチ搬送式ハンド409を後退させて退避位置とした状態(
図27(b))とを適宜切替えることができる。
【0228】
上記実施形態の他の変形例としては、
図28に示したように、ブレードハンド408に複数のハンド本体10を設けることもできる。このようにブレードハンド408に複数のハンド本体10を設けることにより、上述した第1搬送工程においてFOUP426から複数の基板Sを同時に搬出することができる。これにより、第1搬送工程における基板搬送回数を低減して、搬送時間を短縮することができる。
【0229】
また、この例においては、好ましくは、
図29に示したように、複数のハンド本体410の上下ピッチが可変である。複数のハンド本体410の上下ピッチを可変とすることにより、搬送元の基板収容ピッチと搬送先の基板収容ピッチとが異なる場合にも支障なく対応することができる。
【0230】
以上述べたように、本発明の第2参考例の上記実施形態およびその変形例によれば、エンドエフェクタ405がブレードハンド408とバッチ搬送式ハンド409の両方を備えており、基板収容部内にバッチ搬送式ハンド409を挿入できない場合には、ブレードハンド408を用いて基板Sを搬出してバッチ搬送式ハンド409の挿入スペースを確保することができる。これにより、基板収容部側の事情によりバッチ搬送式ハンド409の使用に制約がある場合でも、バッチ搬送式ハンド409を用いた複数基板の同時搬送を支障なく行うことができる。
【0231】
なお、上述の説明においては、搬送元の基板収容部をFOUP426とし、搬送先の基板収容部を処理装置側の基板収容棚427としているが、これとは逆に、搬送先をFOUP426とし、搬送元を処理装置側の基板収容棚427とすることもできる。搬送元である処理装置側の基板収容棚427の下方端部領域に、バッチ搬送式ハンド409を挿入するための十分なスペースを確保できない場合に特に有効である。
【0232】
また、上記実施形態においては、ブレードハンド408およびバッチ搬送式ハンド409のそれぞれの上面側で基板Sを保持する構成について説明したが、これに代えて、ブレードハンド408およびバッチ搬送式ハンド409のそれぞれの下面側で基板Sを保持する構成を採用することもできる。
【0233】
この例においては、第1搬送工程において搬送元の基板収容部からブレードハンドによって基板を搬出する際には、搬送元の基板収容部の上方端部領域から基板を搬出し、搬送先の基板収容容器の下方端部領域に基板を搬入する。同様に第2搬送工程においては、搬送元の基板収容部の中間領域および下方端部領域から搬出した基板を、搬送先の基板収容部の中間領域および上方端部領域に搬入する。
【0234】
なお、上述したエンドエフェクタ405を装着するロボットアーム404の構成は、特にこれに限定されるものでなはく、直交座標型、円筒座標型、極座標型、水平多関節型、または垂直多関節型など、各種のロボットアームに上述のエンドエフェクタを装着することができる。
【0235】
また、バッチ搬送式ハンド409の構成も、上述の構成に限定されるものではなく、例えば特許文献1−3に開示された構成を適宜採用することができる。
【0236】
また、他の変形例として、
図30に示したように、第1のロボットアーム404Aと、第1のロボットアーム404Aとは独立に駆動可能な第2のロボットアーム404Bとを備えた基板搬送ロボット500において、上述したブレードハンド(第1のハンド)408を第1のロボットアーム404Aに装着し、上述したバッチ搬送式ハンド(第2のハンド)409を第2のロボットアーム404Bに装着することもできる。
【0237】
本変形例の基板搬送ロボット500においても、上述した実施形態と同様、基板収容部内にバッチ搬送式ハンド409を挿入できない場合には、第1のロボットアームに装着されたブレードハンド408を用いて基板Sを搬出してバッチ搬送式ハンド409の挿入スペースを確保することができる。これにより、基板収容部側の事情によりバッチ搬送式ハンド9の使用に制約がある場合でも、バッチ搬送式ハンド409を用いた複数基板の同時搬送を支障なく行うことができる。
【0238】
また、他の変形例としては、
図31に示したように、第1の基板搬送ロボット500Aおよび第2の基板搬送ロボット500Bを備えた基板搬送システムにおいて、上述したブレードハンド(第1のハンド)408を、第1の基板搬送ロボット500Aの第1のロボットアーム404Aに装着し、上述したバッチ搬送式ハンド(第2のハンド)409を、第2の基板搬送ロボット500Bの第2のロボットアーム404Bに装着することもできる。
【0239】
本変形例の基板搬送システムにおいても、上述した実施形態と同様、基板収容部内にバッチ搬送式ハンド409を挿入できない場合には、第1の基板搬送ロボット500Aのブレードハンド408を用いて基板Sを搬出してバッチ搬送式ハンド409の挿入スペースを確保することができる。これにより、基板収容部側の事情によりバッチ搬送式ハンド409の使用に制約がある場合でも、バッチ搬送式ハンド409を用いた複数基板の同時搬送を支障なく行うことができる。
【0240】
また、他の変形例としては、
図32および
図33に示したように、第3軸線L3周りに回転可能に設けられたハンド共通本体部428に対して、ブレードハンド(第1のハンド)408とバッチ搬送式ハンド(第2のハンド)409とを、互いに独立にスライド可能に設けることもできる。
【0241】
また、上記実施形態においては、
図21Aおよび
図21Bに示したように、バッチ搬送式ハンド409の基板保持手段412を構成する基板支持部420を昇降可能な構成として、隣接する基板支持部420同士の間隔を可変としているが、一変形例としては、隣接する基板支持部420同士の間隔を固定しても良い。この場合、昇降リンク機構423等を省略して構造を簡素化することができる。
【0242】
また、上記実施形態においては、
図19に示したように、隣接する基板支持部420同士を上方向から見て重ならないように配置しているが、一変形例としては、隣接する基板支持部420同士が上方向から見て重なるように配置しても良い。
【0243】
以下、本発明の第3参考例の一実施形態によるエンドエフェクタを備えた基板搬送ロボットについて、図面を参照して説明する。
【0244】
図34に示したように、本実施形態による基板搬送ロボット501は、いわゆる水平多関節型のロボットであり、複数のウェハ(基板)Wを同時に保持して搬送できるものである。
【0245】
なお、本発明の第3参考例を適用し得る基板搬送ロボットは、以下に説明する特定の基板搬送ロボットに限定されるものではなく、例えば、複数のウェハを同時に搬送するものではなく、ウェハを一枚ずつ搬送するタイプの基板搬送ロボットなど、各種の基板搬送ロボットに本発明の第3参考例を適用することができる。
【0246】
本実施形態による基板搬送ロボット501は、多関節のロボットアーム502を有し、ロボットアーム502にエンドエフェクタ503が装着されている。ロボットアーム502の基端部は、昇降および旋回可能なアーム支持軸504の上端に接続されており、アーム支持軸504は支持台505にて支持されている。
【0247】
エンドエフェクタ503は、厚手に形成されたエンドエフェクタ本体506を有する。エンドエフェクタ本体506は、ロボットアーム502に固定された固定部507と、エンドエフェクタ本体506の長手方向の中央部両側に位置してロボットアーム502上を進退可能な一対の可動部508とを備えている。可動部508は、アクチュエータ509およびリンク機構510によって進退駆動される。
【0248】
固定部507の左右の先端部には、それぞれ複数の先端側基板支持部511が設けられている。同様に、左右一対の可動部508の先端にも、それぞれ複数の基端側基板支持部512が設けられている。
【0249】
図35Aおよび
図35Bに示したように、複数の先端側基板支持部511の基板載置面511aおよび複数の基端側基板支持部512の基板載置面512aは、上下方向の異なる位置に配置することができ、上下方向ピッチを適宜変更することができる。
【0250】
図35Aに示した状態から、アクチュエータ509を駆動して複数の基端側基板支持部512を前進させて複数のウェハWの裏面縁部の下方に挿入し、続いてエンドエフェクタ503を上昇させることより、先端側基板支持部511および基端側基板支持部512のそれぞれの基板載置面511a、512aで複数のウェハWの裏面縁部を支持する。これにより、エンドエフェクタ503によって複数(本例では5枚)のウェハWを同時に保持することができる。
【0251】
また、複数のウェハWを保持した状態でピッチを変更し、
図35Bに示した大ピッチの状態とすることもできるので、ピッチ小のカセットからピッチ大のカセットへの搬送、或いはその逆の搬送を行うことができる。
【0252】
次に、本実施形態によるエンドエフェクタの特徴部分である基板支持部接続機構および変位禁止手段について、
図36および
図37を参照して説明する。
【0253】
図36に示したように、エンドエフェクタ本体506の先端側に設けられた先端側基板支持部511の基端部は、エンドエフェクタ本体506内に設けられた昇降リンク機構513に接続された昇降部材514に回動可能に接続されている。スライダ515により昇降リンク機構513を駆動することにより、昇降部材514が先端側基板支持部511と一体に昇降する。
【0254】
昇降リンク機構513、昇降部材514、およびスライダ515は、先端側基板支持部511を上方位置および下方位置の間で移動させるための基板支持部駆動手段516を構成する。基板支持部駆動手段516によって、複数の先端側基板支持部511の上下方向のピッチを変更することができる。
【0255】
図37は、先端側基板支持部511の基端部を昇降部材514に回動可能に接続する基板支持部接続機構517を示している。基板支持部接続機構517は、先端側基板支持部511に外力が加えられた際に、外力に応じて先端側基板支持部511が回転するように、先端側基板支持部511の基端部を回転支軸518を介して昇降部材514に接続する。
【0256】
エンドエフェクタ本体56に対する先端側基板支持部511の回動動作の回転軸線、すなわち回転支軸518の軸線方向は、上下方向に対して直交する方向に配向されている。これにより、先端側基板支持部511は、エンドエフェクタ503の基端側から先端側に向かう前進方向にエンドエフェクタ503を移動させた際に、先端側基板支持部511が周囲の構造物と衝突したときに生じる外力に応じて円滑に回転する。
【0257】
また、基板支持部接続機構517は、エンドエフェクタ本体506に対する先端側基板支持部511の回動動作に抵抗を付与するための抵抗付与手段519を有している。具体的には、
図37に示した調整ボルト520を適度に締め込むことにより、調整ボルト520に設けられた環状のテーパ部材521の楔効果が生じる。この楔効果によって、先端側基板支持部511の回転支軸518とテーパ部材521との間に、回転時の適度な摺動抵抗を生じさせることができる。これにより、先端側基板支持部511が振動などによって不用意に回転変位することを防止できる。
【0258】
なお、先端側基板支持部511の回動動作に抵抗を付与するための抵抗付与手段としては、上述した環状のテーパ部材521を用いる機構に限らず、例えば、先端側基板支持部511の回転支軸518にボールプランジャーを押し付けて抵抗を付与したり、先端側基板支持部511の回転支軸521と一体に回転する回転フランジと、この回転フランジとの間で摩擦抵抗を生じさせる固定フランジとで抵抗を付与するなど、各種の機構を採用することができる。
【0259】
さらに、
図36に示したように、本実施形態によるエンドエフェクタ503は、基板支持部駆動手段516によって小ピッチ状態とされたエンドエフェクタ503において、先端側基板支持部511に外力が加えられた際の先端側基板支持部511の変位を禁止するための変位禁止手段522を備えている。変位禁止手段522は、その先端部にローラ部材より成る当接部523を有している。
【0260】
次に、
図38A乃至
図38Eを参照して、基板支持部接続機構517および変位禁止手段522の作用について説明する。
【0261】
図38Aは、基板支持部駆動手段516によってエンドエフェクタ503が小ピッチ状態とされた場合を示しており、この小ピッチ状態においては、変位禁止手段522の当接部523が、先端側基板支持部511の上下方向の中央部に当接されている。このように変位禁止手段522の当接部523によって先端側基板支持部511の変位を拘束することにより、先端側基板支持部511が振動などで不用意に回転変位することを確実に防止することができる。
【0262】
図38Bは、基板支持部駆動手段516によってエンドエフェクタ503が大ピッチ状態とされた場合を示しており、この大ピッチ状態においては、変位禁止手段522の当接部523が、先端側基板支持部511から外れている。
【0263】
このように先端側基板支持部511の上下方向の位置(大ピッチまたは小ピッチ)に応じて、変位制限手段522による先端側基板支持部511の変位の制限状態と非制限状態とが切り替わる
そして、大ピッチ状態(
図38B)においては、先端側基板支持部511が周囲の構造物と衝突して外力が作用すると、
図38Cに示したように、回転支軸518を中心として先端側基板支持部511が回転変位する。これにより、先端側基板支持部511に作用した外力によって先端側基板支持部511やこれに連結された基板支持部駆動手段516が損傷を受けることを防止できる。また、先端側基板支持部511が衝突した周囲構造物の損傷も防止することができる。
【0264】
なお、
図38Bに示した大ピッチ状態において、先端側基板支持部511に振動などが加えられた場合でも、抵抗付与手段519によって先端側基板支持部511の回動動作に対して抵抗が付与されているので、先端側基板支持部511が不用意に回転変位することがない。
【0265】
図38Cに示した、衝突により先端側基板支持部511が回転変位した状態で、基板支持部駆動手段516によって大ピッチ状態から小ピッチ状態へエンドエフェクタ503のピッチを変換すると、
図38Dに示したように、変位禁止手段522の当接部523が、降下する先端側基板支持部511に当接する。先端側基板支持部511をさらに降下させると、
図38Eに示したように、変位禁止手段522の当接部523によって先端側基板支持部511が正規の位置(直立状態)に復帰される。
【0266】
上述したように変位禁止手段522は、小ピッチ状態における先端側基板支持部511の不用意な回転変位を確実に防止すると共に、大ピッチ状態において衝突により回転変位した先端側基板支持部511を、エンドエフェクタ503をピッチ変換(大ピッチから小ピッチへ)の際に自動的に正規の位置に復帰させることができる。
【0267】
次に、本発明の第3参考例の他の実施形態によるエンドエフェクタ503の変位禁止手段522について、
図39A乃至
図39Cを参照して説明する。なお、上述した実施形態と同一の部材には同一の符号を付して説明は省略する。
【0268】
本実施形態においては、変位禁止手段522がプランジャー機構(当接部駆動手段)524を備えており、プランジャー機構524のプランジャー524aの先端に、ローラー部材から成る当接部523が設けられている。プランジャー機構524は、例えばエアシリンダーで構成することができる。
【0269】
プランジャー機構524は、小ピッチ状態において、変位前の位置にある先端側基板支持部511に到達し得る到達位置と、変位前の位置にある先端側基板支持部511から離間した離間位置との間で当接部を移動させるように構成されている。
【0270】
このように本実施形態における変位禁止手段522は、小ピッチ状態にある先端側基板支持部511に対して進退可能な当接部523を備えており、
図39Aに示したように当接部523を離間位置とすることにより、先端側基板支持部511の回転変位が自由となる。この状態で先端側基板支持部511が周囲の構造物と衝突して外力が加えられると、
図39Bに示したように先端側基板支持部511が回転変位する。
【0271】
これにより、小ピッチ状態にあるエンドエフェクタ503においても、先端側基板支持部511に作用した外力によって先端側基板支持部511やこれに連結された基板支持部駆動手段516が損傷を受けることを防止でき、また、先端側基板支持部511が衝突した周囲の構造物の損傷も防止することができる。
【0272】
衝突により回転変位した先端側基板支持部511を正規の位置に復帰させる際には、
図39Cに示したように、プランジャー524aを進出させて当接部523を到達位置に移動させ、当接部523で先端側基板支持部511を押して正規の位置に復帰させる。
【0273】
プランジャー524aの退避操作は、先端側基板支持部511に対する周囲の構造物の衝突が予想されるロボット動作を実施する前に行う。一方、衝突対策が不要な状況においては、プランジャー524aを進出させて当接部523を先端側基板支持部511に当接させておくことにより、振動などによる先端側基板支持部511の不用意な回転変位を確実に防止することができる。
【0274】
また、大ピッチ状態において先端側基板支持部511が衝突により変位した場合には、プランジャー524aを進出させた状態で大ピッチ状態から小ピッチ状態に変換すれば、
図38C乃至
図38Eに示した最初の実施形態と同様に、先端側基板支持部511を自動的に正規の位置に復帰させることができる。
【0275】
或いは、小ピッチ状態に変換した後にプランジャー524aを進出させることで、回転変位した先端側基板支持部511を押して正規の位置に復帰させることもできる。
【0276】
さらに、上述した各実施形態によるエンドエフェクタ503においては、外力による先端側基板支持部511の変位を検知するための変位検知手段を設けることができる。
【0277】
例えば、
図40に示したように、導通検知スイッチ526の一方の端子526aを先端側基板支持部材511に装着すると共に、他方の端子526bをエンドエフェクタ本体506側に固定して設ける。
【0278】
先端側基板支持部511が正規の位置にあるときは、導通検知スイッチ525の端子526a、526b同士が接続されて導通状態にあり、衝突により先端側基板支持部511が回転変位すると両端子526a、526bが分離して切断状態となる。これにより、先端側基板支持部511の回転変位を検出することできる。
【0279】
また、
図41に示したように、プッシュ式のスイッチ527を、先端側基板支持部511の回転変位方向においてエンドエフェクタ本体506側に固定して設置し、回転変位した先端側基板支持部511によってスイッチ527が押されることにより、切断状態にあったスイッチ527が導通状態に切り替わるようにしても良い。
【0280】
また、
図42に示したように、反射型光学距離センサ528をエンドエフェクタ本体506側に固定して設置し、先端側基板支持部511までの距離を反射型光学距離センサ528で検出するようにしても良い。先端側基板支持部511が衝突により回転変位すると、反射型光学距離センサ528による検出距離が変化するので、これにより先端側基板支持部511の回転変位を検出することができる。
【0281】
上述した各実施形態のエンドエフェクタ503によれば、ロボット動作時において先端側基板支持部511が周囲の構造物と衝突した際には、エンドエフェクタ503の全体ではなく、比較的質量が小さい先端側基板支持部511のみが変位するので、衝突時の衝撃力を感度良く緩和することができる。
【0282】
また、衝突時の変形をエンドエフェクタ503全体に及ぼすことなく、先端側基板支持部511のみに変形が限定されるので、交換の必要が生じた場合でも、部品交換が簡単で、且つコストの低減になる。
【0283】
また、上述した各実施形態のエンドエフェクタ503によれば、変位禁止手段522を備えることにより、先端側基板支持部511の不用意な変位を確実に防止できると共に、衝突により変位した先端側基板支持部511を正規の位置に復帰させることができる。
【0284】
次に、本発明によるエンドエフェクタの一実施形態としてのバッチ搬送式ハンドについて、図面を参照して説明する。
【0285】
図43は、本実施形態によるバッチ搬送式ハンド700のハンド基部701の内部が見えるように示した模式的な平面図である。バッチ搬送式ハンド700は、FOUPなどの基板収容部に収容された複数の基板のうちの最下段の基板に対向するハンド基部701の表面を含む基準面(
図1Aの対向面32に対応する面)からの基板保持手段702の突出量を変更するための突出量変更手段703を備える。
【0286】
基板保持手段702は、例えば、
図1Aに示した実施形態の保持部4A、4Bに相当するものであり、また、
図16および
図17に示した実施形態の基板保持手段412に相当するものであり、或いは
図34に示した基板支持部511、512に相当するものである。
【0287】
突出量変更手段703によって基板保持手段702の突出量を変更することにより、基板保持手段702によって保持する基板の上下ピッチが変化する。突出量変更手段703は、上述した各種の実施形態における各種のリンク機構等で構成することができ、例えば、
図21Aおよび
図21Bに示した昇降リンク機構423、昇降部材424、およびスライダ425を含んだ構成とすることができる。
【0288】
ハンド先端側の左右の昇降リンク機構423は、ハンド基部701に対して前後に移動可能に設けられた単一のスライダ425の左右端部にそれぞれに接続されている。ハンド基端側の左右の昇降リンク機構423は、他の単一のスライダ425の左右端部のそれぞれに接続されている。他の単一のスライダ425は、ハンド基部701に対して前後に移動可能に設けられたスライド板704の上に、スライド板704に対して前後に移動可能に設けられている。スライド板704にはエアシリンダ705のピストンの先端が接続されており、エアシリンダ705を駆動してピストンを進退動作させることにより、ハンド基部701に対してスライド板704を前後に移動させることができる。
【0289】
スライド板704の中央部にはサーボモータ706が設けられており、サーボモータ706はスライド板704と一体に前後に移動する。スライド板704の上に前後動可能に配置されたスライダ425には、ハンド先端側に向けて突出する前方突出部707が一体に形成されており、スライダ425の前方突出部707の中央に形成された開口708の中にサーボモータ706が配置されている。前方突出部708の中央の開口708は、ハンド基部701に対してスライド板704を前後させても開口708の縁部がサーボモータ706に接触しないような寸法で形成されている。
【0290】
スライダ425と一体に形成された前方突出部707には、ハンド基端側のボールねじ709のナット710が固定されている。ボールねじ709のねじ軸711の後端部が、サーボモータ706の出力軸に接続されている。ボールねじ709の前方部分には、ボールスプライン712を介して、ハンド先端側のボールねじ713のねじ軸714の後端部が接続されている。ハンド先端側のボールねじ713のナット715は、ハンド先端側のスライダ425の中央部に固定されている。
【0291】
サーボモータ706、ボールねじ709、713、ボールスプライン712は、昇降リンク機構423、昇降部材424、スライダ425と共に、突出量変更手段703を構成する。
【0292】
サーボモータ706は、基板保持手段702の全体に対して駆動力を付与する単一の駆動源を構成している。すなわち、
図44に示したように、サーボモータ706を駆動してその出力軸を回転させると、ハンド先端側のボールねじ713とハンド基端側のボールねじ709とが一体に駆動される。これにより、ハンド先端側のナット715と一体にハンド先端側のスライダ452が前後に移動し、これと同時に、ハンド基端側のナット710と一体にハンド基端側のスライダ425が前後に移動する。このため、ハンド先端側の左右二組の基板保持手段702と、ハンド基端側の左右二組の基板保持手段702との計4組の基板保持手段702のすべてが、単一の駆動源であるサーボモータ706によって駆動される。
【0293】
このように本実施形態によるバッチ搬送式ハンド700においては、単一の駆動源としてのサーボモータ706によって、基板保持手段702の全体に対して駆動力を付与することができるので、複数の基板の上下ピッチを均等に変換することができる。これにより、バッチ搬送式ハンド700で複数の基板を保持した状態でピッチ変換を行なう際に、基板が傾くことを確実に防止できる。
【0294】
また、本実施形態によるバッチ搬送式ハンド700によって基板の挟み込み動作を行なう際には、
図45に示したように、エアシリンダ705を駆動してそのピストンを引き込み、これにより、スライド板704を前方に移動させる。これにより、スライド板704と一体にハンド基端側の左右二組の基板保持手段702が前方に移動する。このとき、ハンド基端側のねじ軸711とハンド先端側のねじ軸714との間にはボールスプライン712が設けられているので、スライド板704およびサーボモータ706の前方への移動に伴ってハンド基端側のねじ軸711が前方に移動しても、ハンド先端側のねじ軸714に対して前方への駆動力は伝達されない。
【0295】
次に、上述したバッチ搬送式ハンド800の他の実施形態について、
図46を参照して説明する。
【0296】
図46に示したようにこのバッチ搬送式ハンド800においては、ハンド基部801の先端側基板支持部803の左右の組が、4つの先端側連結部材804によって互いに連結されている。同様に、ハンド基部801の基端側基板支持部805の左右の組が、4つの基端側連結部材806によって互いに連結されている。
【0297】
先端側連結部材804および基端側連結部材806のそれぞれは、水平方向に延在する略U字状の部材であり、先端側垂直案内部材807および基端側垂直案内部材808によって垂直方向の移動が案内されるように構成されている。先端側連結部材804には先端側基板支持部803が接続され、基端側連結部材806には基端側基板支持部805がされているので、先端側および基端側連結部材804、806の昇降動作に伴って、先端側および基端側基板支持部803、805が昇降する。
【0298】
先端側垂直案内部材803は、ハンド基部801に対して固定して設けられている。一方、基端側垂直案内部材808は、ハンド基部801に対して前後方向に移動可能なスライド板809に対して固定して設けられている。
【0299】
スライド板809には、ハンド基部801に設けられたエアシリンダ810のピストンが接続されている。エアシリンダ810を駆動してそのピストンを進退動作させることにより、スライド板809が前後に移動する。スライド板809には基端側垂直案内部材808が固定されており、基端側垂直案内部材808によって基端側基板支持部805が昇降可能に支持されているので、スライド板809を前後に移動させることにより、基端側基板支持部805の前進動作による基板挟み込み動作を実現することができる。
【0300】
先端側連結部材804に対する昇降駆動力が、ハンド基部801に対して左右方向に移動可能に設けられた先端側駆動部材811を介して付与される。基端側連結部材806に対する昇降駆動力が、スライド板809に対して左右方向に移動可能に設けられた基端側駆動部材812を介して付与される。
【0301】
先端側駆動部材811は、4つの先端側連結部材804に対応する4つの先端側傾斜案内レール813を有する。同様に、基端側駆動部材812は、4つの基端側連結部材806に対応する4つの基端側傾斜案内レール814を有する。先端側傾斜案内レール813および基端側傾斜案内レール814のそれぞれは、先端側連結部材804および基端側連結部材806のそれぞれに形成された先端側傾斜溝815および基端側傾斜溝816に摺動可能に嵌合されている。
【0302】
先端側傾斜案内レール813および基端側傾斜案内レール814のそれぞれは、垂直方向に対して傾斜しているので、先端側および基端側駆動部材811、812を左右方向に移動させることにより、先端側および基端側傾斜案内レール813、814に沿って先端側および基端側連結部材804、806を昇降駆動することができる。
【0303】
4つの先端側傾斜案内レール813のそれぞれは、垂直方向に対する傾斜角度が異なっている。同様に、4つの基端側傾斜案内レール814のそれぞれは、垂直方向に対する傾斜角度が異なっている。先端側および基端側傾斜案内レール813、814の垂直方向に対する傾斜角度が大きいほど、先端側および基端側基板支持部803、805の昇降動作の距離が小さくなる。同一の基板を支持する先端側および基端側基板支持部803、805においては、先端側および基端側傾斜案内レール813、814の垂直方向に対する傾斜角度が同一に設定されている。これにより、ピッチ変換動作中、同一の基板を支持する先端側および基端側基板支持部803、805が常に同一の高さに維持される。そのため、基板を保持した状態でピッチ変換動作を行なう場合、ピッチ変換動作中に基板が傾くことを確実に防止できる。
【0304】
ハンド基部801にはボールねじ817が左右方向に延在して設けられている。ボールねじ817に隣接してサーボモータ818がハンド基部801に設けられており、サーボモータ818の出力軸がボールねじ817のねじ軸819の一端に接続されている。ボールねじ817のナット820は、ハンド基部801に対して左右方向に移動可能に設けられた前後方向細長部材821の中央部に固定されている。
【0305】
先端側駆動部材811は、前後方向細長部材821の前方端部に固定されている。前後方向細長部材821の後方端部には、前後方向細長部材821に対して前後方向に摺動可能にスライド片822が設けられている。さらに、スライド片822は、スライド板809に対して左右方向に摺動可能に設けられており、スライド片822の上面に基端側駆動部材812が固定されている。
【0306】
サーボモータ818は、先端側および基端側基板支持部803、805を含む基板保持手段の全体に対して駆動力を付与する単一の駆動源を構成している。すなわち、サーボモータ818を駆動してボールねじ817のねじ軸819を回転させると、ボールねじ817のナット820が左右方向に移動する。これにより、先端側および基端側駆動部材811、812のすべてが同時に左右方向に移動し、先端側および基端側傾斜案内レール813、814に沿って先端側および基端側連結部材804、806が昇降駆動される。このため、左右二組の先端側基板支持部803の組と、左右二組の基端側基板支持部805の組との計4組の基板支持部803、805のすべてが、単一の駆動源であるサーボモータ818によって駆動される。
【0307】
このように本実施形態によるバッチ搬送式ハンド800においては、単一の駆動源であるサーボモータ818によって、先端側および基端側基板支持部803、805を含む基板保持手段の全体に対して駆動力を付与することができるので、複数の基板の上下ピッチを均等に変換することができる。これにより、バッチ搬送式ハンド800で複数の基板を保持した状態でピッチ変換を行なう際に、基板が傾くことを確実に防止できる。
【0308】
以下、基板保持手段のピッチ変換機構に所謂倍送り機構(倍ストローク機構、倍速機構)を用いる実施例について説明する。
【0309】
図47は、上述した基板保持手段のピッチ変換機構の他の例を示している。この例においては、5つの円筒部材601A、601B、601C、601D、601Eが入れ子構造(テレスコピック)になっている。内側から2つ目、3つ目、4つ目の各円筒部材601B、601C、601Dの上端に、各滑車602A、602B、602Cが設けられている。各滑車602A、602B、602Cには、各ベルト(可撓性部材)603A、603B、603Cが掛け渡されている。各ベルト603A、603B、603Cは、各滑車602A、602B、602Cが設けられた各円筒部材601B、601C、601Dを間に挟む一対の円筒部材同士を連結している。
【0310】
外側から2つ目の円筒部材601Dを、エアシリンダ等の駆動源604で上方に駆動する。これにより、外側から2つ目の円筒部材601Dの滑車602Cが上昇し、ベルト603Cを介して外側から3つ目の円筒部材601Cが引き上げられる。外側から3つ目の円筒部材601Cが引き上げられると、そこに設けられた滑車602Bが上昇し、ベルト603Bを介して外側から4つ目の円筒部材601Bが引き上げられる。同様に、外側から4つ目の円筒部材601Bの滑車602Aが上昇し、ベルト603Aを介して最も内側の円筒部材601Aが引き上げられる。
【0311】
各円筒部材601A、601B、601C、601D、601Eに各基板保持部(例えば
図20Aおよび
図20Bに示した基板保持部20)が設けられており、各円筒部材601A、601B、601C、601D、601Eと一体に各基板保持部20が昇降動作し、これにより、ピッチ変換が実行される。
【0312】
図48Aおよび
図48Bは、上述した基板保持手段のピッチ変換機構の他の例を示している。この例においては、第1の昇降部材605が、第1の垂直方向リニアガイド606を介して、ハンド基部607に対して垂直方向に移動可能に設けられており、この第1の昇降部材605の上端に、第1の基板支持部608が設けられている。第1の昇降部材605には、第1のラック・アンド・ピニオン609のラック610が設けられており、第1のラック・アンド・ピニオン609のピニオン611は、ハンド基部607に設けられたサーボモータ612の出力軸に固定されている。
【0313】
第1の昇降部材605の外側には、第2の垂直方向リニアガイド613を介して、第2の昇降部材614が設けられており、第2の昇降部材614の上端に、第2の基板支持部615が設けられている。第2の昇降部材614には、第2のラック・アンド・ピニオン616のラック617が設けられており、第2のラック・アンド・ピニオン616のピニオン618は、ハンド基部607に設けられたサーボモータ612の出力軸に固定されている。
【0314】
図示を省略するが、同様にして、第2の昇降部材の外側に第3の昇降部材が設けられ、第3の昇降部材の外側に第4の昇降部材が設けられている。第3の昇降部材の上端には第3の基板支持部が設けられ、第4の昇降部材の上端には第4の基板支持部が設けられている。
【0315】
第2のラック・アンド・ピニオン616のピニオン618は、第1のラック・アンド・ピニオン609のピニオン611よりも大きな直径(多くの歯数)を有している。第3のラック・アンド・ピニオンのピニオンは、第2のラック・アンド・ピニオン616のピニオン618よりも大きな直径(多くの歯数)を有している。第4のラック・アンド・ピニオンのピニオンは、第3のラック・アンド・ピニオンのピニオンよりも大きな直径(多くの歯数)を有している。
【0316】
図48Aに示した状態からサーボモータ612の出力軸を回転させると、
図48Bに示したように各昇降部材605、614が上昇する。ここで、ラック・アンド・ピニオンのピニオンの直径(歯数)は昇降部材毎に異なるので、昇降部材毎に上昇速度が異なる。このため、
図48Bに示したように、各昇降部材605、614およびその上端の各基板支持部608、615を、それぞれ異なる高さに配置することができる。
【0317】
図49は、上述した基板保持手段のピッチ変換機構の他の例を示している。この例においては、上端に基板支持部619を有する各昇降部材620の下端にローラ621が設けられている。各昇降部材620は、リニアガイド(図示を省略)によって垂直方向に移動可能に支持されている。
【0318】
ハンド基部622に対して揺動駆動部材623の一端が回動可能に接続されており、これにより、揺動駆動部材623がハンド基部622に対して揺動可能となっている。各昇降部材620の各ローラ621は、揺動駆動部材623の上面に転動可能に当接されている。エアシリンダなどの駆動源624で揺動駆動部材623の自由端側を駆動し、揺動駆動部材623の傾斜角度を変更することにより、各昇降部材620およびその上端の各基板支持部619を、それぞれ異なる高さに配置することができる。
【0319】
また、
図50に示したように、揺動駆動部材623の基端側に設けた回転軸625をサーボモータ626で回転駆動することにより、揺動駆動部材623の傾斜角度を変更するようにしても良い。
【0320】
また、他のピッチ変換機構の他の変形例としては、昇降部材毎にエアシリンダを設けて、各昇降部材を各エアシリンダで個別に駆動するようにしても良い。
【0321】
また、上述した各実施形態における変形例としては、
図51に示したように、最下段の基板の下方または最上段の基板の上方に進入するハンド基部627の少なくとも一部は、その左右方向における幅Dを300mmよりも小さく設定しても良い。
【0322】
また、
図52に示したように、ハンド基部628は、基板保持手段629が配置された前方部分630と、前方部分630と一体に形成された後方部分631と、を有し、後方部分631は、前方部分630よりも上下方向の厚みが大きくても良い。厚みの大きい後方部分631には、その内部に基板保持手段の駆動源(サーボモータ、エアシリンダ等)等を配置することができる。また、このようにすることでハンド基部628の垂れを軽減することができる。
【0323】
また、他の変形例としては、突出量変更手段によって基板保持手段の突出量を最小にした状態において、複数の基板支持部の高さが同一であっても良いし、或いは同一でなくても良い。
【0324】
また、他の変形例としては、基板保持手段の突出量の変更を、予め定めた二値の間で切り換えるようにしても良い。例えば、第1の突出量は上下ピッチ6mmに対応する値とし、第2の突出量は上下ピッチ10mmに対応する値とすることができる。
【0325】
また、他の変形例としては、突出量変更手段によって基板保持手段の突出量を最小にした状態において、複数の基板支持部の全体が、ハンド基部の基準面(
図1Aの対向面32に対応する面)から突出していないようにしても良いし、或いは、複数の基板支持部の少なくとも一部が、基準面から突出していても良い。
【0326】
また、他の変形例としては、突出量変更手段は、ハンド基部の先端側の複数の基板支持部のみの突出量を変更するように構成されており、ハンド基部の基端側の複数の基板支持部の突出量は不変としても良い。
【0327】
また、他の変形例としては、バッチ搬送式ハンドで保持する二枚以上の基板のうちの、ハンド基部の基準面に最も近い位置の基板を支持するための基板支持部が、ハンド基部に固定されていても良い。これにより、ピッチ変換機構を簡素化することができる。
【0328】
また、他の変形例としては、基板支持部またはこれと一体に形成された部材(昇降部材など)の少なくとも一部が、衝撃力を受けた際に変形し易い材料、例えば樹脂、板金、アルミなどで構成されていても良い。ここで、「変形し易い」とは、ハンド基部の内部の駆動機構が損傷する力よりも小さい力で変形することを意味する。これにより、基板支持部等に加えられた衝撃力が伝わることによるハンド基部の内部の駆動機構の損傷を防止することができる。
【0329】
また、他の変形例としては、
図53(a)に示したように、基板保持手段900によって複数(本例では三枚)の基板を保持する状態において、前後に対応する二組の基板支持部の組901、903と組902、904は、左右方向に沿って傾斜する高さの傾斜方向が互いに逆とされる。さらに、左右に対応する二組の基板支持部の組901、902と組903、904は、左右方向に沿って傾斜するそれらの高さの傾斜方向が互いに逆とされる。
【0330】
先端側および基端側の基板支持部の組の傾斜方向を
図53(a)のようにすると、各基板に対する4つの支持位置が、
図53(b)に示したようになる。すなわち、
図53(b)から分かるように、最も高い位置で保持された基板の4つの支持位置Aを頂点する四角形は、最も低い位置で保持された基板の4つの支持位置Cを頂点とする四角形と同一である。中央の高さで保持された基板の4つの支持位置Bを頂点とする四角形は、支持位置Aまたは支持位置Cによる四角形と同一ではないが、大きく異なるものではない。このため、基板毎の基板支持位置のバラツキに起因する基板毎の保持状態のバラツキを抑えることができる。
【0331】
また、
図54(a)に示したように、左右に対応する二組の基板支持部の組901、902と組903、904は、左右方向に沿って傾斜するそれらの高さの傾斜方向が互いに同じとしても良い。このようにすれば、
図54(b)に示したように、最も高い位置で保持された基板の4つの支持位置Aを頂点とする四角形と、中央の高さで保持された基板の4つの支持位置Bを頂点とする四角形と、最も低い位置で保持された基板の4つの支持位置Cを頂点とする四角形とが、すべて同一となる。このため、基板毎の保持状態のバラツキをさらに抑えることができる。
【0332】
また、上述した各種の実施形態の変形例としては、基板保持手段が、それぞれの基板の縁部の三箇所を支持するようにしても良い。例えば、
図55に示したように、先端側は、基板支持部901のみで支持するように構成することができる。
【0333】
また、上述した各実施形態においては、ハンド基部の基端側の基板支持部の組は、ハンド基部に対して前後に移動可能であり、ハンド基部の先端側の基板支持部の組は、ハンド基部に対して前後に移動不能としている。
【0334】
そこで、先端側および基端側の基板支持部の組で基板を挟み込む際には、基端側の基板支持部の組は、ハンド基部内の駆動源で駆動して基板側に移動させると共に、先端側の基板支持部の組は、ロボットの動作によってハンド全体として基板側に移動させる。
【0335】
このようにロボットの動作を利用することにより、先端側の基板支持部の組に対して特別の駆動機構を設けなくても、基板の挟み込み動作を支障なく行なうことができる。
【0336】
また、基板の挟み込み動作の変形例としては、基板支持部の各組を垂直方向の回転軸線周りに回転させる動作を利用する方式や、或いは、基板支持部の各組を垂直方向に対して傾動させて基板の下に基板支持部を位置させる方式を採用することもできる。
【0337】
また、
図16および
図17に示したブレードハンド408とバッチ搬送式ハンド409とを備えたエンドエフェクタ405を用いて基板を搬送する場合、
図24A等に示したFOUP426からブレードハンド408で基板を抜いた後にFOUP426内に残る基板の枚数と、基板搬送先の基板収容棚27にブレードハンド408で基板を入れた後の空きスロット段数との公約数が、バッチ搬送式ハンド409の基板保持枚数となるようにしても良い。
【0338】
このようにすれば、FOUP426から基板収容棚27への基板搬送回数を最小化することができる。
【0339】
なお、本明細書において基板の保持は、ハンドによって基板を搬送可能な状態にすることを意味し、ハンドによって、基板を乗載、吸着または挟持する状態であっても良い。
【0340】
上述した各種の実施形態および変形例は、本発明の範囲内で適宜組み合わせることができる。例えば、
図36に示した基板支持部接続機構517を、
図1Aに示した第1保持部4A、
図43に示した基板保持手段702、或いは
図46に示した先端側基板支持部803に適用することができる。また、
図16に示した基板搬送ロボット401において、バッチ搬送式ハンド409に代えて、
図1Aに示したハンド3、或いは
図34に示したエンドエフェクタ503を採用することができる。