(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6314609
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】インプリントレプリカモールド及びインプリントレプリカモールドの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20180416BHJP
B29C 33/38 20060101ALI20180416BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20180416BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C33/38
B29C59/02 B
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-72707(P2014-72707)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-195278(P2015-195278A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相馬 宗尚
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 学
【審査官】
赤尾 隼人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−050217(JP,A)
【文献】
特開2013−016734(JP,A)
【文献】
特開2011−211083(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/137324(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
B29C 33/00−33/76;53/00−53/84;
57/00−59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプリントモールドの凹凸パターンを転写したレプリカモールドの製造方法であって、
転写基材の一方の面に転写材料層を形成し、
前記インプリントモールドを前記転写材料層に型押して、前記転写材料層に前記凹凸パターンが反転した転写パターンを形成し、
前記転写パターンの上面に樹脂層を形成し、
前記樹脂層に所定の樹脂パターンを形成し、
前記樹脂パターンをエッチングマスクとして前記転写材料層をエッチングして、前記転写パターンの領域外の転写材料層を除去し、
前記樹脂パターンを除去することで、
前記転写基材上に、前記転写パターンの領域外が前記インプリントモールドの凹凸パターンの領域外と同じ形状であるレプリカモールドを製造する、製造方法。
【請求項2】
インプリントモールドの凹凸パターンを転写したレプリカモールドの製造方法であって、
転写基材の一方の面に転写材料層を形成し、
前記インプリントモールドを前記転写材料層に型押して、前記転写材料層に前記凹凸パターンが反転した転写パターンを形成し、
前記転写パターンの上面に樹脂層を形成し、
前記樹脂層に所定の樹脂パターンを形成し、
前記樹脂パターンをエッチングマスクとして前記転写材料層をエッチングして、前記転写パターンの領域外の転写材料層を除去し、
前記樹脂パターンを除去し、
前記転写パターンに残る残膜層を除去し、
前記残膜層が除去され転写パターンをエッチングマスクとして前記転写基材をエッチングし、
前記エッチング後の転写パターンを除去することで、
前記転写基材上に、前記転写パターンの領域外が前記インプリントモールドの凹凸パターンの領域外と同じ形状であるレプリカモールドを製造する、製造方法。
【請求項3】
インプリントモールドの凹凸パターンを転写したレプリカモールドの製造方法であって、
転写基材の一方の面にハードマスク層と転写材料層とを形成し、
前記インプリントモールドを前記転写材料層に型押して、前記転写材料層に前記凹凸パターンが反転した転写パターンを形成し、
前記転写パターンの上面に樹脂層を形成し、
前記樹脂層に所定の樹脂パターンを形成し、
前記樹脂パターンをエッチングマスクとして前記転写材料層をエッチングして、前記転写パターンの領域外の転写材料層を除去し、
前記樹脂パターンを除去し、
前記転写パターンに残る残膜層を除去し、
前記残膜層が除去され転写パターンをエッチングマスクとして前記ハードマスク層をエッチングして、ハードマスクパターンを形成し、
前記ハードマスクパターンをエッチングマスクとして前記転写材料層をエッチングし、 前記エッチング後のハードマスクパターンを除去することで、
前記転写基材上に、前記転写パターンの領域外が前記インプリントモールドの凹凸パターンの領域外と同じ形状であるレプリカモールドを製造する、製造方法。
【請求項4】
前記樹脂層に形成する所定の樹脂パターンは、前記転写パターンの領域を覆う位置及び大きさのパターンであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のレプリカモールドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸パターンを形成するためのインプリントレプリカモールド、そのインプリントレプリカモールドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の用途に応じて、特定の微細な凹凸パターン(3次元構造パターン)を形成する方法が求められている。
例えば、半導体デバイス、光学素子、配線回路、データストレージメディア(ハードディスク、光学メディアなど)、医療用部材(分析検査用チップ、マイクロニードルなど)、バイオデバイス(バイオセンサ、細胞培養基板など)、精密検査機器用部材(検査プローブ、試料保持部材など)、ディスプレイパネル、パネル部材、エネルギーデバイス(太陽電池、燃料電池など)、マイクロ流路、マイクロリアクタ、MEMSデバイス、インプリントモールド、フォトマスクなどの用途が挙げられる。
【0003】
このような微細な凹凸パターンを形成する方法として、インプリント法と呼ばれるパターン転写技術が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
インプリント法は、インプリントモールドと呼ばれる原版を、樹脂などの転写材料に型押しし、その状態で転写材料を硬化させることで、凹凸パターンの転写を行うものである。繰り返し転写をすることで、容易に微細な凹凸パターンを形成することができる。
【0004】
例えば、特許文献1では、熱により転写材料を硬化させる熱インプリント法が提案されている。
また、例えば、特許文献2では、露光により転写材料を硬化させる光インプリント法が提案されている。
【0005】
一例として、
図1により、従来の一般的な光インプリント法によるパターン形成について説明する。
まず、
図1(a)に示すように、転写基板111上に転写材料112を積層し、凹凸パターンが形成されたインプリントモールド110を対向して配置する。
次に、
図1(b)に示すように、転写材料112とインプリントモールド110とを接触させ、UV光113を照射して転写材料112を硬化させる。
次に、
図1(c)に示すように、転写基板111からインプリントモールド110を剥離し遠ざけることで、転写パターン114を有するパターン成形体を得る。
また、
図1(d)に示すように、転写基板111上には、インプリントモールド110の凸部に相当する部分が薄い樹脂膜(以下、残膜と記す)として残るため、O
2RIE法などにより、残膜を除去しても良い。
また、
図1(e)に示すように、転写基板111に形成された樹脂115をマスクとして、CF4ガスなどを用いて転写基板111をドライエッチングし、転写パターンを形成した基板116を得る。
【0006】
図1にて使用したインプリントモールドの製造方法としては、インプリントモールドとなる基材全面に電子線レジストを積層し、この電子線レジストに電子線描画を行ってレジストパターンを形成し、このレジストパターンをエッチングマスクとして基材をエッチングして凹凸パターンを形成することで、インプリントモールドを製造する方法が用いられている。
【0007】
しかし、電子線による微細パターンの描画は、高価な描画装置を用いて、且つ、描画時間も長くかかるため、インプリントモールドの製造コストを上昇させるという問題があった。また、インプリント時、インプリントモールドと転写基板との間に異物が混入すると、インプリントモールドが破損する。この破損したインプリントモールドは、再使用することができないため、電子線リソグラフィで作製した高価なモールドを損失させてしまうという問題があった。
【0008】
そこで、電子線リソグラフィにて作製したインプリントモールドを原版として、この原版からインプリント法により複製版(以下、レプリカモールド)を作製するレプリカモールドの製造方法が提案されている(特許文献3を参照)。このレプリカモールドは、製造コストを低減することができる。複数のレプリカモールドを準備しておけば、モールド破損の問題に対処することができ、またモールドを用いるインプリント製造ラインを複数設けることが可能となる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−335012号公報
【特許文献2】特開2000−194142号公報
【特許文献3】特許第4671860号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】アプライド・フィジクス・レターズ(Applied Physics Letters)、vol.67、P.3314、1995年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
インプリント法の原理上、インプリントモールドと転写材料とは、凹凸パターンの凹凸反転像となる。
図1(a)に示すパターンが凸部を有するインプリントモールド110を用いたレプリカモールドの形状は、
図1(e)に示すようなパターンが凹部となる。
【0012】
この凹凸異なる形状を有するモールドが転写パターンへ与える影響を、
図2を用いながら説明する。
図2における(a1)及び(a2)では、転写基板121上に積層された樹脂の転写材料122の高さが同じである。
まず、パターンが凸部を有するモールド120の場合(
図2(a1))、パターン領域外が凹部であるため、転写材料122である樹脂がパターン領域外へも使用されるため(
図2(b1))、残膜が低い転写パターン123が形成される(
図2(c1))。それに対し、パターンが凹部を有するモールド124の場合(
図2(a2))、パターン領域外が凸部であるため、転写材料122である樹脂はパターン領域のみに使用されるため(
図2(b2))、残膜が高い転写パターン125が形成される(
図2(c2))。この凹凸異なる形状を有するモールドを用いて、転写材料122へパターンを形成する場合、形成されたパターンの残膜高さが異なる。
また、O
2RIE法などによる残膜を除去する工程においては、残膜高さが異なるため残膜除去条件も異なるという問題が生じる。複数の製造ラインを設ける場合、それぞれに応じた条件を設定する必要が生じ、工程管理の面からも不利である。
【0013】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、インプリント法によりレプリカモールドを作製するときに、原版であるインプリントモールドとパターン領域外が同じ形状を有するレプリカモールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明の一局面は、インプリントモールドの凹凸パターンを転写したレプリカモールドの製造方法であって、転写基材の一方の面に転写材料層を形成し、インプリントモールドを転写材料層に型押して、転写材料層に凹凸パターンが反転した転写パターンを形成し、転写パターンの上面に樹脂層を形成し、樹脂層に所定の樹脂パターンを形成し、樹脂パターンをエッチングマスクとして転写材料層をエッチングして、転写パターンの領域外の転写材料層を除去し、樹脂パターンを除去することで、転写基材上に、転写パターンの領域外がインプリントモールドの凹凸パターンの領域外と同じ形状であるレプリカモールドを製造することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の他の局面は、インプリントモールドの凹凸パターンを転写したレプリカモールドの製造方法であって、転写基材の一方の面に転写材料層を形成し、インプリントモールドを転写材料層に型押して、転写材料層に凹凸パターンが反転した転写パターンを形成し、転写パターンの上面に樹脂層を形成し、樹脂層に所定の樹脂パターンを形成し、樹脂パターンをエッチングマスクとして転写材料層をエッチングして、転写パターンの領域外の転写材料層を除去し、樹脂パターンを除去し、転写パターンに残る残膜層を除去し、残膜層が除去され転写パターンをエッチングマスクとして転写基材をエッチングし、エッチング後の転写パターンを除去することで、転写基材上に、転写パターンの領域外がインプリントモールドの凹凸パターンの領域外と同じ形状であるレプリカモールドを製造することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の他の局面は、インプリントモールドの凹凸パターンを転写したレプリカモールドの製造方法であって、転写基材の一方の面にハードマスク層と転写材料層とを形成し、インプリントモールドを転写材料層に型押して、転写材料層に凹凸パターンが反転した転写パターンを形成し、転写パターンの上面に樹脂層を形成し、樹脂層に所定の樹脂パターンを形成し、樹脂パターンをエッチングマスクとして転写材料層をエッチングして、転写パターンの領域外の転写材料層を除去し、樹脂パターンを除去し、転写パターンに残る残膜層を除去し、残膜層が除去され転写パターンをエッチングマスクとしてハードマスク層をエッチングして、ハードマスクパターンを形成し、ハードマスクパターンをエッチングマスクとして転写材料層をエッチングし、エッチング後のハードマスクパターンを除去することで、転写基材上に、転写パターンの領域外がインプリントモールドの凹凸パターンの領域外と同じ形状であるレプリカモールドを製造することを特徴とする。
【0018】
また、上述のレプリカモールドの製造方法であって、樹脂層に形成する所定の樹脂パターンが、転写パターンの領域を覆う位置及び大きさのパターンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、インプリント法によりレプリカモールドを作製するときに、原版であるインプリントモールドとパターン領域外が同じ形状を有するレプリカモールドを作製することができる。これにより、インプリントモールドやレプリカモールドを用いた場合でも、同一のインプリント条件にて、残膜高さが等しい転写パターンを形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来の光インプリント法によるパターン形成体の作製過程を示す断面図
【
図2】インプリントモールドの形状に伴う転写材料の残膜高さの違いを示す断面図
【
図3】本発明に係るレプリカモールドの作製工程を示す断面図
【
図4】本発明に係るレプリカモールドの作製工程を示す断面図
【
図5】本発明に係るレプリカモールドの作製工程を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図3に基づいて、本発明の一実施形態に係るレプリカモールドの製造方法について詳細に説明する。
【0022】
まず、
図3(a)に示すように、インプリントモールド130を用いて、基材131の上面に転写パターン132を形成する。
【0023】
インプリントモールド130は、特定のインプリント法に限定されることなく、公知のインプリント法に広範に適用することができる。例えば、光インプリント、熱インプリント、ゾルゲルインプリントなどのインプリント法が挙げられる。
また、基材131としては、使用するインプリント法に適するように適宜選択することができる。例えば、石英ガラス、シリコンなどが挙げられる。
【0024】
また、インプリントモールド130上の凹凸パターンは、転写材料に転写するパターンに応じて設計可能である。例えば、ラインアンドスペース(Line&Space)パターン、ホール(Hole)パターン、ドット(Dot)パターンなどが挙げられる。
【0025】
次に、
図3(b)に示すように、転写パターン132の上に樹脂層133を形成する。樹脂層133は、パターニングを行うフォトリソグラフィや電子線などに応じて適宜選択して良い。また、樹脂層133の塗膜形成方法としては、粘度に応じて適宜公知の薄膜形成技術を用いれば良い。例えば、ダイコート法、スピンコート法などを用いても良い。
【0026】
次に、
図3(c)に示すように、樹脂層133のパターニング工程に移行する。このパターニング工程では、樹脂層133にフォトリソグラフィ法を用いた後に現像処理を行って、樹脂パターン134を形成する。このとき、樹脂パターン134は、転写パターン132のパターン領域を覆う所望の位置及び大きさに形成することが好ましい。現像処理は、用いた樹脂層133に応じて適宜行って良い。また、電子線リソグラフィ法を用いても良い。
【0027】
次に、
図3(d)に示すように、樹脂パターン134をマスクとして、転写パターン132にエッチングを行い、インプリントモールド130とパターン領域外が同じ形状を有する転写パターン135を形成する。この場合の転写パターン132のエッチングとしては、適宜公知の方法により行って良い。例えば、ドライエッチング、ウェットエッチングなどを行っても良い。エッチングの条件は、用いた樹脂/転写パターンに応じて、適宜調整して良い。
また、基材131上面を覆うように転写パターン132のパターン領域外を残しても良い。
【0028】
最後に、
図3(e)に示すように、樹脂パターン134を除去して、インプリントモールド130とパターン領域外が同じ形状を有する転写パターン135を形成する。この場合の樹脂パターン134の除去方法としては、適宜公知の方法により行って良い。例えば、ドライエッチング、ウェットエッチングなどを行っても良い。エッチングの条件は、用いた樹脂/転写パターンに応じて、適宜調整して良い。
以上より、基材131上にインプリントモールド130とパターン領域外が同じ形状を有する転写パターン135を持つレプリカモールドを製造することができる。
【0029】
続いて、
図4に基づいて、本発明の他の実施形態に係るレプリカモールドの製造方法について詳細に説明する。
【0030】
図4(a)から
図4(c)までの工程で行われる処理は、上記
図3(a)から
図3(c)で説明した処理と同様である(但し、上記説明において、参照符号の十の位を「3」から「4」に読み替える)。
【0031】
次に、
図4(d)に示すように、樹脂パターン144をマスクとして、転写パターン142にエッチングを行い、インプリントモールド140とパターン領域外が同じ形状を有し、パターン領域外の残膜を除去した転写パターン145を形成する。この場合の、転写パターン142のエッチングとしては、適宜公知の方法により行って良い。例えば、ドライエッチング、ウェットエッチングなどを行っても良い。エッチングの条件は、用いた樹脂/転写パターンに応じて、適宜調整して良い。
【0032】
次に、
図4(e)に示すように、樹脂パターン144を除去して、インプリントモールド140とパターン領域外が同じ形状を有し、パターン領域外の残膜を除去した転写パターン145を形成する。この場合の樹脂パターン144の除去方法としては、適宜公知の方法により行って良い。例えば、ドライエッチング、ウェットエッチングなどを行っても良い。エッチングの条件は、用いた樹脂/転写パターンに応じて、適宜調整して良い。
【0033】
次に、
図4(f)に示すように、インプリントモールド140の凸部に相当する部分が薄い残膜層として残るため、残膜除去を行い、残膜除去後の転写パターン146を形成する。この場合の残膜除去方法として、適宜公知のエッチング方法を用いて良く、例えば、ドライエッチングなどを行っても良い。また、エッチング条件は、用いた転写材料/基材に応じて、適宜調整して良い。
【0034】
次に、
図4(g)に示すように、残膜除去後の転写パターン146をマスクとして、基材141にエッチングを行い、インプリントモールド140とパターン領域外が同じ形状を有する基材パターン147を形成する。この場合の基材141のエッチングとしては、適宜公知の方法により行って良い。例えば、ドライエッチング、ウェットエッチングなどを行っても良い。エッチングの条件は、用いた転写材料/基材に応じて、適宜調整して良い。
【0035】
最後に、
図4(h)に示すように、残膜除去後の転写パターン146を除去して、インプリントモールド140とパターン領域外が同じ形状を有する基材パターン147を形成する。この場合の転写パターン146の除去方法としては、上記条件と同様である。
以上より、インプリントモールド140とパターン領域外が同じ形状を有する基材パターン147を持つレプリカモールドを製造することができる。
【0036】
続いて、
図5に基づいて、本発明のさらなる他の実施形態に係るレプリカモールドの製造方法について詳細に説明する。
【0037】
まず、
図5(a)に示すように、基材151の上面に、ハードマスク層152と転写パターン153とを形成する。このハードマスク層152の形成方法としては、ハードマスク層152に選択した材料に応じて、適宜公知の薄膜形成方法を用いて形成して良い。例えば、スパッタ法などを用いられる。この転写パターンを形成する方法は、上記条件と同様である。
【0038】
基材151は、用途に応じて適宜選択して良い。例えば、シリコン基板、石英基板、サファイア基板、SOI基板などが用いられる。ハードマスク層152は、選択した機材151に対して、エッチング選択比が高い材料であれば良い。
【0039】
また、基材151は石英基板であり、ハードマスク層152はクロムからなる層であることが好ましい。石英基板は、一般的な露光光に対して透過性を有しており、特に、光インプリント法に用いるインプリントモールドによるパターン形成方法に好適である。この場合、石英基板に対するハードマスク層152としてはクロムからなる層を用いることで、一般的なエッチング条件において、ハードマスク層152を基材151に対してエッチング選択比を高く設定することができる。
【0040】
図5(b)から
図5(e)までの工程により、インプリントモールド150とパターン領域外が同じ形状を有し、パターン領域外の残膜を除去した転写パターン156を形成する。この場合の作成方法は、上記条件と同様である。
【0041】
次に、
図5(f)に示すように、インプリントモールド150の凸部に相当する部分が薄い残膜層として残るため、残膜除去を行い、残膜除去後の転写パターン157を形成する。この場合の残膜除去方法として、適宜公知のエッチング方法を用いて良く、例えば、ドライエッチングなどを行っても良い。また、エッチング条件は、用いた転写材料/ハードバスク層に応じて、適宜調整して良い。
【0042】
次に、
図5(g)に示すように、残膜除去後の転写パターン157をマスクとして、ハードマスク層152にエッチングを行い、ハードマスクパターン158を形成する。この場合のハードマスク層152のエッチングとしては、適宜公知の方法により行って良い。例えば、ドライエッチング、ウェットエッチングなどを行っても良い。エッチングの条件は、用いた転写材料/ハードマスク層に応じて、適宜調整して良い。
【0043】
次に、
図5(h)に示すように、ハードマスクパターン158をマスクとして、基材151にエッチングを行い、インプリントモールド150とパターン領域外が同じ形状を有する基材パターン159を形成する。この場合の基材151のエッチングとしては、適宜公知の方法により行って良い。例えば、ドライエッチング、ウェットエッチングなどを行っても良い。エッチングの条件は、用いたハードマスク層/基材に応じて、適宜調整して良い。
【0044】
最後に、
図5(i)に示すように、ハードマスクパターン158を除去して、インプリントモールド150とパターン領域外が同じ形状を有する基材パターン159を形成する。この場合のハードマスクパターン158の除去方法としては、上記条件と同様である。
以上より、インプリントモールド150とパターン領域外が同じ形状を有する基材パターン159を持つレプリカモールドを製造することができる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明に係るレプリカモールド製造方法の実施の一例を、
図3から
図5を用いて説明する。
【0046】
[実施例1]
実施例1として、樹脂レプリカモールドを製造した。
まず、
図3(a)に示すように、インプリントモールド130を用いた光インプリント法にて、基材である石英基板131の上面に転写パターン132を形成した。転写パターン132は、ピッチ500nmのLine&Space、パターン高さ200nm、残膜高さ100nmである。
次に、
図3(b)に示すように、転写パターン132上に高さ500nmの樹脂層133をスピンコート法にて形成した。
次に、
図3(c)に示すように、フォトリソグラフィ法を用いた後に現像処理を行って、転写パターン132のパターン領域を覆うように、樹脂パターン134を形成した。
次に、
図3(d)に示すように、転写パターン132にCF4ガスを用いたドライエッチングを行い、転写パターン132を50nm除去し、その後、
図3(e)に示すように、O2ガスを用いたドライエッチングにて樹脂パターン134を除去し、石英基板131上にインプリントモールド130とパターン領域外が同じ形状を有する転写パターン135を形成した。
以上の手順により、樹脂レプリカモールドを製造することができた。
【0047】
[実施例2]
実施例2として、シリコンレプリカモールドを製造した。
まず、
図4(a)に示すように、インプリントモールド140を用いた光インプリント法にて、基材であるシリコン基板141の上面に転写パターン142を形成した。転写パターン142は、ピッチ500nmのLine&Space、パターン高さ200nm、残膜高さ100nmである。
次に、
図4(b)に示すように、転写パターン142上に高さ500nmの樹脂層143をスピンコート法にて形成した。
次に、
図4(c)に示すように、フォトリソグラフィ法を用いた後に現像処理を行って、転写パターン142のパターン領域を覆うように、樹脂パターン144を形成した。
次に、
図4(d)に示すように、転写パターン142にO2ガスを用いたドライエッチングを行い、転写パターン142を100nm除去し、その後、
図4(e)に示すように、CF4ガスを用いたドライエッチングにて樹脂パターン144を除去し、シリコン基板141上にインプリントモールド140とパターン領域外が同じ形状を有する転写パターン145を形成した。
次に、
図4(f)に示すように、インプリントモールド140の凸部に相当する部分が薄い残膜層として残るため、O2ガスによる残膜除去により100nm除去し、残膜除去後の転写パターン146を形成した。
次に、
図4(g)に示すように、残膜除去後の転写パターン146をマスクとして、シリコン基板141にCF4ガスを用いたドライエッチングを行い、インプリントモールド140とパターン領域外が同じ形状を有する高さ200nmのシリコンパターン147を形成した。
以上の手順により、シリコンレプリカモールドを製造することができた。
【0048】
[実施例3]
実施例3として、石英レプリカモールドを製造した。
まず、
図5(a)に示すように、基材である石英基板151の上面にスパッタ法にてクロム層152を10nm形成し、インプリントモールド150を用いた光インプリント法にて、転写パターン153を形成した。転写パターン153は、ピッチ500nmのLine&Space、パターン高さ200nm、残膜高さ100nmである。
次に、
図5(b)に示すように、転写パターン153上に高さ500nmの樹脂層154をスピンコート法にて形成した。
次に、
図5(c)に示すように、フォトリソグラフィ法を用いた後に現像処理を行って、転写パターン153のパターン領域を覆うように、樹脂パターン155を形成した。
次に、
図5(d)に示すように、転写パターン153にCF4ガスを用いたドライエッチングを行い、転写パターン153を100nm除去し、その後、
図5(e)に示すように、O2ガスを用いたドライエッチングにて樹脂パターン155を除去し、石英基板151上にインプリントモールド150とパターン領域外が同じ形状を有する転写パターン156を形成した。
次に、
図5(f)に示すように、インプリントモールド150の凸部に相当する部分が薄い残膜層として残るため、CF4ガスによる残膜除去により100nm除去し、残膜除去後の転写パターン157を形成した。
次に、
図5(g)に示すように、残膜除去後の転写パターン157をマスクとして、CL2ガスを用いたドライエッチングを行ってクロム層152を10nm除去し、クロムパターン158を形成した。
次に、
図5(h)に示すように、クロムパターン158をマスクとして、石英基板151にCF4ガスを用いたエッチングを行い、インプリントモールド150とパターン領域外が同じ形状を有する高さ200nmの石英パターン159を形成した。
以上の手順により、石英レプリカモールドを製造することができた。
【0049】
この発明は、上記実施形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより、種々の発明が抽出され得る。
例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成発明として抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のパターン形成方法及びパターン形成体は、半導体デバイス、光学素子、配線回路、データストレージメディア(ハードディスク、光学メディアなど)、医療用部材(分析検査用チップ、マイクロニードルなど)、バイオデバイス(バイオセンサ、細胞培養基板など)、精密検査機器用部材(検査プローブ、試料保持部材など)、ディスプレイパネル、パネル部材、エネルギーデバイス(太陽電池、燃料電池など)、マイクロ流路、マイクロリアクタ、MEMSデバイスなどの製造方法において用いられる微細な凹凸パターン形成に有用に用いることが期待できる。
【符号の説明】
【0051】
110、120、124、130、140、150…インプリントモールド
111、121…転写基板
112、122…転写材料
113…UV光
114、115、123、125、132、135、142、145、146、153、156、157…転写パターン
116…転写基板パターン
131、141、151…基材
133、143、154…樹脂層
134、144、155…樹脂パターン
147、159…基材パターン
152…ハードマスク層
158…ハードマスクパターン