(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1ケース部材および前記第1ケース部材に着脱自在に取り付けられる第2ケース部材を備え、前記第1ケース部材に対して前記第2ケース部材を閉止方向にスライド移動させることにより前記第2ケース部材が前記第1ケース部材に閉止状態で保持され、前記第1ケース部材および前記第2ケース部材に囲まれて形成されるケース内部に制御基板を収容する基板ケースユニットにおいて、
前記第1ケース部材に形成された第1係合部と、前記第2ケース部材に形成され前記閉止状態において前記第1係合部と係合する第2係合部と、前記第1係合部および前記第2係合部にそれぞれ形成された第1挿入部および第2挿入部に挿入される平板形状のロック部材とを有し、前記第1および第2挿入部に挿入された前記ロック部材が前記第1および第2挿入部内の前記スライド移動方向の壁面に係合することにより、前記第1ケース部材に対して前記第2ケース部材が開放方向にスライド移動することを規制するロック機構を備え、
前記第1挿入部は、挿入される前記ロック部材に押されて撓み、その復元力により前記ロック部材を挿入方向に対して直交方向にずれた位置に配置させる押圧部を有することを特徴とする基板ケースユニット。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る主制御基板ケースユニットを備えたぱちんこ遊技機の斜視図である。
【
図3】上記主制御基板ケースユニットの分解斜視図である。
【
図4】上記主制御基板ケースユニットにおけるロック機構を構成するボトム側係合部を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)における矢印c‐c部分の断面図である。
【
図5】上記ロック機構を構成するトップ側係合部を示す図であり、(a)は上方から見た斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)における矢印c‐c部分の断面図である。
【
図6】上記トップ側係合部を示す図であり、(a)は下方から見た斜視図、(b)は(a)と異なる角度において下方から見た斜視図である。
【
図7】上記ロック機構を構成するキャップ部材を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【
図8】上記ロック機構を構成するガード部材を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【
図9】(a)は上記ボトム側係合部にガード部材を挿入する以前の状態を示す斜視図、(b)はガード部材を挿入した状態を示す斜視図である。
【
図10】(a)は上記トップ側係合部にロック部材を挿入する以前の状態を示す斜視図、(b)はロック部材を挿入した状態を示す斜視図である。
【
図11】(a)は上記ボトム側係合部にトップ側係合部を係合させる以前の状態を示す斜視図、(b)はトップ側係合部を係合させる途中の状態を示す斜視図である。
【
図12】(a)は上記ボトム側係合部にトップ側係合部を係合させた状態においてキャップ部材を装着する以前の状態を示す斜視図、(b)はキャップ部材を装着した状態を示す斜視図である。
【
図13】(a)は上記ロック部材およびボトム側係合部の押圧部の関係を説明するための断面図、(b)は上記キャップ部材を装着する以前の状態を示す断面図である。
【
図14】上記キャップ部材、ロック部材およびボトム側係合部の押圧部の関係を説明するための断面図であり、(a)は上記キャップ部材を装着する途中の状態を示す断面図、(b)はキャップ部材を装着した状態を示す断面図である。
【
図15】(a)上記主制御基板ケースユニットを開放させるためにトップ側係合部の一部を切断する以前の状態を示す斜視図、(b)は上記トップ側係合部の一部を切断した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る基板ケースユニットを備えた遊技機の代表例として、ぱちんこ遊技機PMの斜視図および背面図を
図1および
図2に示しており、まず、これらの図を参照してぱちんこ遊技機PMの全体構成について説明する。
【0011】
[ぱちんこ遊技機の全体構成]
始めに、
図1を参照しながら、ぱちんこ遊技機PMの正面側の基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機PMは、
図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3により横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
【0012】
前枠2には、この前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス枠5が上下のヒンジ機構3を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。前枠2には、遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス枠5の複層ガラス5aを通して遊技盤10の正面の遊技領域PAを視認可能に臨ませるようになっている。
【0013】
ガラス枠5の下部には遊技球を貯留する上下の球皿(上球皿6aおよび下球皿6b)が設けられ、下球皿6bの正面右側には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠5の前面側には、発光ダイオード(LED)やランプ等の電飾装置8や、遊技の展開状態に応じて効果音を発生させるスピーカ9が設けられている。
【0014】
図1では詳細な図示を省略しているが、遊技盤10は、ルータ加工等を施した矩形状の積層合板に、所定の図柄が印刷されたセルを貼り付けて成型される化粧板を基板とし、上下のレール飾りに囲まれて略円形状の遊技領域PAが形成される。遊技領域PAには、多数本の遊技釘、風車、中央飾り、遊技の進行状況に応じて所定の画像が表示される演出表示装置、各種入賞口などの遊技構成部品が設けられ、遊技領域PAの下端部には入賞口に落入することなく落下した遊技球を裏面側に排出するためのアウト口が遊技盤10を前後に貫通して形成されている。
【0015】
続いて、
図2を参照しながら、ぱちんこ遊技機PMの背面側の基本構造を説明する。前枠2の背面側には、中央に前後連通する窓口を有して前枠2よりも幾分小型の矩形枠状に形成された基枠体をベースとしてなる裏セット盤30が、上下のヒンジ機構3を介して前枠2後方に横開き開閉および着脱が可能に連結されている。この裏セット盤30には、前面開放の矩形箱状をなす裏セットカバー30Cが着脱自在に装着されており、常には前枠2に取り付けられた遊技盤10の裏面側を覆って配設されている(これにより後述する主制御基板ケースユニット100および演出制御基板ケースユニット200が裏セットカバー30Cにより覆われる)。
【0016】
裏セット盤30の各部には、多数個の遊技球を貯留する球貯留タンク31、球貯留タンク31から右方に緩やかな下り傾斜を有して延びるタンクレール32、タンクレール32の右端部に繋がり下方に延びる球供給通路部材33、球供給通路部材33により導かれた遊技球を払い出す賞球払出ユニット34、賞球払出ユニット34から払い出された遊技球を上球皿6に導くための賞球通路部材35などが設けられている。
【0017】
遊技盤10の背面側には、ぱちんこ遊技機PMの作動を統括的に制御する主制御基板41(主制御基板ケースユニット100)や、遊技展開に応じた画像表示、効果照明、効果音等の演出全般の制御を行う演出制御基板42(演出制御基板ケースユニット200)などが取り付けられている。これに対して、裏セット盤30の背面側には、遊技球の発射および払い出しに関する制御を行う払出制御基板43(払出制御基板ケースユニット300)や、遊技施設側から受電して各種制御基板や電気・電子部品に電力を供給する電源基板44(電源基板ケースユニット400)などが取り付けられている。これらの制御基板とぱちんこ遊技機PM各部の電気・電子部品とがハーネス(コネクタケーブル)で接続されて、ぱちんこ遊技機PMが作動可能に構成されている。
【0018】
ぱちんこ遊技機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に固定設置され、前枠2、ガラス枠5等が閉鎖施錠された状態で遊技に供され、上球皿6aに遊技球を貯留させて発射ハンドル7を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル7が回動操作されると、上球皿6aに貯留された遊技球が、ガラス枠5の背面側に配設される球送り機構によって1球ずつ発射機構に送り出され、発射機構により遊技領域PAに打ち出されて、以降パチンコゲームが展開される。
【0019】
[主制御基板ケースユニットの構成]
次に、本実施形態に係る主制御基板ケースユニット100の構成について
図3〜
図15を用いて説明する。なお、
図4〜
図6、
図9〜12および
図15においては、説明の理解を容易にするために、主制御基板ケースユニット100から要部のみを切り離した状態でこれらのみを取り出して図示している。また、以降の説明においては、説明の便宜のため、上下、前後および左右の方向は
図3の状態を基準にして定義し、
図3に示す矢印の方向をそれぞれ上下方向、前後方向および左右方向と称して説明する。
【0020】
主制御基板ケースユニット100は、
図3に示すように、ぱちんこ遊技機PMにおける制御の中枢を担う前述の主制御基板41と、主制御基板41を内部に収容する略矩形箱状の基板ケース110と、基板ケース110を閉止状態でロックするロック機構140とを有して構成されている。
【0021】
主制御基板41は、詳細図示を省略しているが、矩形状のプリント配線板を基板として種々の半導体デバイスや抵抗、コンデンサ、コネクタ等の電子・電気部品が実装されて構成されている。この主制御基板41は、基板ケース110(後述するトップケース130)の内面にネジ止め固定される。
【0022】
基板ケース110は、遊技盤10の背面に着脱されるボトムケース120と、このボトムケース120に着脱自在に取り付けられるトップケース130とを備えて構成されている。ボトムケース120およびトップケース130は、透明な樹脂材料(例えば、ポリカーボネート等)を用いて射出成形等の成形手段により形成され、外部からでも基板ケース110内を視認可能に構成されている。
【0023】
ボトムケース120は、矩形板状の基壁120aおよび基壁120aの周縁から立設された前後左右の側壁120bを有し、全体として上面が開放された矩形箱状に形成されている。前後の側壁120bの外面には複数の取付溝121が形成されている。取付溝121は、上方に開口する挿入溝部121aと挿入溝部121aの下部から右方に延びる係止溝部121bとから構成され、前後方向から見たときにL字状に形成されている。
【0024】
トップケース130は、矩形板状の基壁130aおよび基壁131aの周縁から下方に立設された前後左右の側壁130bを有し、全体として下面が開放された矩形箱状に形成されている。前後の側壁130bの内面には、ボトムケース120の取付溝121と同じ数および同じ配置間隔の取付突起131が形成されている。トップケース130は、取付突起131をボトムケース120の取付溝121(挿入溝部121a)に上方から挿入してボトムケース120の上方開口を覆い、その後、ボトムケース120に対してトップケース130を右方(閉止方向)にスライド移動させて取付突起131を取付溝121の係止溝部121bに挿入させることにより、ボトムケース120に閉止状態で装着(保持)されるように構成されている。
【0025】
基板ケース110は、このようにトップケース130がボトムケース120に閉止状態で装着され、ボトムケース120およびトップケース130に囲まれて形成されるケース内部に主制御基板41を収容するように構成されている。このように主制御基板41を収容した状態において、ボトムケース120に対してトップケース130が左方(開放方向)にスライド移動することを規制して基板ケース110を閉止状態でロックするロック機構140が設けられている。
【0026】
なお、トップケース130には、主制御基板41のコネクタ(図示省略)の実装位置に対応して表裏貫通するコネクタ挿抜口(図示せず)が形成されており、主制御基板41が基板ケース110内に収容された状態において、主制御基板41のコネクタがコネクタ挿抜口を通して外部に露出し、演出制御基板42や払出制御基板43等とハーネス(コネクタケーブル)を介して電気接続可能となる。
【0027】
ロック機構140は、ボトムケース120の右側の側壁120bに形成されたボトム側係合部150と、トップケース130の右側の側壁130bに形成され、トップケース130がボトムケース120に装着された状態においてボトム側係合部150と係合するトップ側係合部160と、矩形平板状のロック部材145(
図10を参照)と、トップ側係合部160に装着されるキャップ部材146(
図12を参照)と、ボトム側係合部150に装着されるガード部材147(
図9を参照)とを有して構成されている。
【0028】
ボトム側係合部150は、
図3および
図4に示すように、ボトムケース120の基壁120aに一体に繋がる矩形板状の基壁150a、および基壁150aの周縁から立設されボトムケース120の右側の側壁120bに一体に繋がる前後および右側の側壁150bを有して構成されている。基壁150aの上面略中央には、前後左右の側壁151aを有し上方に開口した略矩形枠状のボトム側挿入部151が形成されている。後側の側壁151aは、前側の側壁151aよりも高さが低く形成されている。ボトム側挿入部151の内部には、基壁150aの上面に立設され左右方向の延びる平板状の押圧部152が形成されている。押圧部152の後面上端部には、下方にいくにつれて押圧部152の厚みが厚くなるように傾斜した傾斜面152aが形成されている。
【0029】
トップ側係合部160は、
図3、
図5および
図6に示すように、トップケース130の基壁130aに一体に繋がる矩形板状の基壁160a、および基壁160aの周縁から下方に立設されトップケース130の右側の側壁130bに一体に繋がる前後および右側の側壁160bを有して構成されている。右側の側壁160bの略中央には、トップケース130をボトムケース120に対してスライド移動させて取り付けるときに、ボトム側係合部150のボトム側挿入部151と衝突するのを防ぐため、下方に開口しボトム側挿入部151の左右の側壁151aに対応した形状の切欠き160c(凹部)が形成されている。
【0030】
トップ側係合部160の基壁160aの上面には、矩形凹状のキャップ装着凹部161が形成されている。キャップ装着凹部161の底面には、上下貫通した挿入孔162aおよび挿入孔162aの前後において下方に立設され左右方向に延びる平板状の前後の挿入壁162bから構成されたトップ側挿入部162が形成されている。挿入孔162aは、上端部が上方にいくにつれて広がるように形成されている。
【0031】
キャップ装着凹部161の底部下面には、後側の挿入壁162bの後方位置(後方近傍位置)において下方に立設され左右方向に延びる平板状の後壁163と、前後の挿入壁162bおよび後壁163の左右端部において下方に立設され前後方向に延びる左右の係合壁164とが形成されている。後壁163の下方への長さは挿入壁162bよりも下方に長く形成されている。左右の係合壁164は、前後の挿入壁162bおよび後壁163の左右端部と繋がっている。後側の挿入壁162bと後壁163の間には上下に延びる2つのリブ163aが形成されている。また、キャップ装着凹部161の底部下面には、前側の挿入壁162bの前方位置(前側の側壁160bとの間の位置)において下方に立設され左右方向延びる平板状の前壁165が形成されている。前壁165の左右端部はそれぞれ後方に屈曲されて若干延びており、前壁165の下方への長さは挿入壁162bと略同等の長さに形成されている。
【0032】
トップ側係合部160の基壁160aの上面には、キャップ装着凹部161の前後左右を取り囲む位置において上下貫通した複数の貫通孔166が並んで形成されている。これらの貫通孔166は、ロック機構140により閉止状態でロックされた基板ケース110を開放させるときに切断される切断部になっている。
【0033】
ロック部材145は、
図10に示すように、トップ側係合部160のトップ側挿入部162に挿入可能な大きさの矩形平板状に形成されている。キャップ部材146は、
図7に示すように、トップ側係合部160のキャップ装着凹部161に挿入可能な大きさの矩形平板状のキャップ本体146aと、キャップ本体146aの下面から下方に立設されトップ側挿入部162に挿入可能な大きさの矩形平板状の脚部146bとを有して構成されている。
【0034】
ガード部材147は、
図8および
図9に示すように、ボトム側挿入部151の前後左右の側壁151aに対応した形状の前後左右のガード壁147aを有し、上下に開口した略矩形枠状に形成されている。ガード部材147の底面部には、前後のガード壁147aの下端部を内側に折り曲げて形成された前後の底壁147bが設けられている。ガード部材147は、金属材料を用いて形成されている。ガード部材147は、ボトム側挿入部151内に挿入され、ボトム側挿入部151の内面を覆うように構成されている。
【0035】
[主制御基板ケースユニットの作用]
次に、このように構成される主制御基板ユニット100の作用について、
図3および
図9〜
図15を用いて説明する。主制御基板ケースユニット100を組み立てるには、まず始めに、トップケース130の内面側に主制御基板41をネジ止め固定してトップケース130に主制御基板41を取り付ける。また、
図9に示すように、ボトムケース120のボトム側係合部150において、ボトム側挿入部151内にガード部材147を挿入する。さらに、
図10に示すように、トップケース130のトップ側係合部160において、トップ側挿入部162内にロック部材145を挿入する。
【0036】
そして、
図3に示すように、トップケース130の取付突起131をボトムケース120の取付溝121(挿入溝部121a)に上方から挿入してトップケース130によってボトムケース120の上方開口を覆い、その後、ボトムケース120に対してトップケース130を右方(閉止方向)にスライド移動させて取付突起131を取付溝121の係止溝部121bに挿入させる。これによりトップケース130がボトムケース120に閉止状態で保持(装着)され、ボトムケース120およびトップケース130に囲まれて形成されるケース内部に主制御基板41が収容される。またこのとき、
図11および
図12に示すように、ボトム側係合部150とトップ側係合部160が係合し、ボトム側挿入部151とトップ側挿入部162が前後左右方向において整合した位置となり上下に対向する。なお、このようにボトム側およびトップ側挿入部151,162が上下に対向した状態となった後に、ロック部材145をトップ側挿入部162に挿入するようにしてもよい。
【0037】
続いて、
図12に示すように、キャップ部材146をトップ側係合部160のキャップ装着凹部161に装着し、例えば超音波溶着や振動溶着などの所定の溶着手段によってキャップ部材146をキャップ装着凹部161内に溶着固定する。なお、このような溶着固定ではなく、例えばフェノール樹脂系やエポキシ系の接着剤などを用いて接着固定するようにしてもよい。キャップ部材146をキャップ装着凹部146に装着すると、キャップ部材146のキャップ本体146aがキャップ装着凹部161内に入り込んだ状態となる。
【0038】
このようにキャップ部材146をキャップ装着凹部161内に装着するときには、
図13および
図14に示すように、トップ側挿入部162内に挿入されたロック部材145の上面がキャップ部材146の脚部146bの下面に押され、ロック部材145がトップ側挿入部162からボトム側挿入部151内に挿入されていく。このとき、ロック部材145の下面がボトム側挿入部151内の押圧部152の傾斜面152aに当接し、押圧部152の上部が前方に移動するように押圧部152が撓む。そして、ロック部材145がボトム側挿入部151内に完全に挿入されると、押圧部152の復元力によりロック部材145がボトム側挿入部151内においてトップ側挿入部162による挿入方向から後方にずれた位置(後側の挿入壁162bの下方位置)に配置される。
【0039】
このとき、ロック部材145の前後面が、押圧部152とボトム側挿入部151内に挿入されたガード部材147の後側のガード壁147aの内面とに挟まれて係合し、ロック部材145の前後方向への移動が規制される。そのため、キャップ部材146をキャップ装着凹部161から取り外したとしても、ロック部材145をトップ側挿入部162から引き抜くことは不可能となる。また、ロック部材145の左右面が、ボトム側挿入部151の左右の側壁151aとトップ側係合部160の左右の係合壁164とに挟まれて係合する。特に、ロック部材145の左面がボトム側挿入部151の左側の側壁151aと係合し、ロック部材145の右面がトップ側係合部160の右側の係合壁164と係合することにより、ボトムケース120に対してトップケース130が左方(開放方向)にスライド移動することが規制される。その結果、ボトムケース120とトップケース130が閉止状態且つロック状態で一体化され、主制御基板ケースユニット100が組み立てられることとなる。
【0040】
このように組み立てられた主制御基板ケースユニット100では、ボトムケース120に対してトップケース130を開放方向(左方)にスライド移動させようすると、上記のようにロック部材145の左面がボトム側挿入部151の左側の側壁151aと係合(当接)し、ロック部材145の右面がトップ側係合部160の右側の係合壁164と係合(当接)することにより規制されるので、ボトムケース120に対してトップケース130を開放方向にスライド移動させることはできない。そのため、基板ケース110が閉止状態且つロック状態に保持され、基板ケース110の不正な開放が防止される。
【0041】
次に、基板ケース110を開放するには、
図15に示すように、トップ側係合部160において、キャップ装着凹部161の前後左右を取り囲む位置に並んで形成された複数の貫通孔166の間を繋ぐ全ての連結部分(
図15(a)において楕円によって示した部分)をニッパー等の工具を用いて切断し、キャップ装着凹部161、トップ側挿入部162、後壁163、左右の係合壁164、前壁165およびキャップ部材146をトップ側係合部160の基壁160aから切り離す。このように切り離されると、ロック部材145とトップ側係合部160の右側の係合壁164と係合がなくなるため、ボトムケース120に対してトップケース130が開放方向(左方)にスライド移動可能となり、基板ケース110が開放可能な状態となる。
【0042】
以上、本実施形態に係る主制御基板ケースユニット100によれば、単体ではロック構造(例えば、ロック爪等)を有していない平板形状のロック部材145を、ボトムケース120に形成されたボトム側係合部150のボトム側挿入部151およびトップケース130に形成されたトップ側係合部160のトップ側挿入部162に挿入し、そのロック部材145がボトム側およびトップ側挿入部151,162の壁面(側壁151aおよび係合壁164)に係合することにより、ボトムケース120に対してトップケース130が開放方向にスライド移動することが規制される構成である。そのため、基板ケース110の不正な開放を防止して、主制御基板41に対する不正な改造行為を受け難くすることが可能である。また、ロック部材145が平板形状であるため、例えば各種情報が格納されたICチップ等をロック部材145に配設することが容易であり、これによりロック部材145の複製を困難にすることができるとともに、不正行為の予防および早期発見に寄与することが可能となる。また、例えば、ロック部材145を、ICチップを実装した電子基板によって構成することもできる。
【0043】
また、ボトム側挿入部151内において、押圧部152によりロック部材145をトップ側挿入部162による挿入方向(上下方向)から後方にずれた位置に配置させる構成であるため、キャップ部材146をキャップ装着凹部161から取り外したとしても、ロック部材145をトップ側挿入部162から引き抜くことは不可能となる。したがって、基板ケース110の不正な開放を確実に防止することができる。
【0044】
また、キャップ部材146が、キャップ装着凹部161内に装着されるときに、トップ側挿入部162内に挿入されたロック部材145を押してボトム側挿入部151内に挿入させる脚部146bを有する構成であるため、ロック部材145をボトム側挿入部151内に挿入させるために工具等を用いる必要がなく、キャップ部材146の装着とともにロック部材145をボトム側挿入部151内に挿入させることができる。
【0045】
また、ボトム側挿入部151の内面を覆う金属製のガード部材147を有する構成であるため、例えば、ドリル等の工具を用いてボトム側係合部150の基壁150aに外部から穴を空けてロック部材145を取り出そうとしても、このガード部材147が邪魔となり、このような不正行為を受け難くすることができる。また、ガード部材147の厚さを変更することにより、ボトム側挿入部151の内部空間の広さを調整することができ、これにより、ロック部材145を挿入するときの抵抗の大きさ(差し込み易さ)や、ボトム側挿入部151内でのロック部材145のガタツキ度合を調整することができる。
【0046】
また、基板ケース110を開放するには、上記のようにキャップ装着凹部161、トップ側挿入部162、後壁163、左右の係合壁164、前壁165およびキャップ部材146をトップ側係合部160の基壁160aから切り離さなければならない構造である。そのため、基板ケース110が開放された場合には、その痕跡を明瞭に残像させて当該不正行為を早期に発見することができるとともに、基板ケース110の構成部品を破壊痕のない状態で使い回すことができなくなる。したがって、複数の中古機等から同型の基板ケース(110)を取り出し、これらの中からケース構成部品を無傷の状態でそれぞれ抽出して適宜に組み合わせることにより、1個の新たな基板ケース(110)を複製し、これを正規品とすり替える、所謂二個一(ニコイチ)と称される不正行為を未然に防止することが可能である。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。上述の実施形態では、基板ケース110に一つのロック機構140が設けられた構成について説明したが、複数のロック機構140を設ける構成としてもよい。
【0048】
なお、上述の実施形態においては、本発明に係る基板ケースユニットをぱちんこ遊技機の主制御基板ケースユニットに適用した場合を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、演出制御基板ケースユニットや払出制御基板ケースユニットなどの他の基板ケースユニット等に適用してもよく、更には、ぱちんこ遊技機以外の遊技機、例えばスロットマシンの基板ケースユニットに適用しても同様の効果を得ることが可能である。