(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
<概要>
本実施形態について、図面に基づき説明する。まず、本実施形態の充填装置について説明し、次いで、充填装置の動作について説明する。以下の説明においては、必要があれば、図面における矢印H方向を高さ方向(上下方向)、矢印R方向を半径方向、矢印C方向を周方向として説明する。
【0016】
<充填装置の構成>
充填装置10は、一例として電子写真方式の画像形成装置で用いられるトナーTを、カートリッジ本体60(以下、容器60という。)に充填するためのものである(
図1及び
図2参照)。そのため、容器60は、
図2に示されるように、上方に開口部60Aが形成された筒状の収容体とされている。ここで、トナーTは、粉体の一例である。
【0017】
トナーTは、画像形成装置において消耗品とされている。そのため、トナーTが充填された容器60は、画像形成装置の交換部品として用いられる。ここで、トナーTが充填された容器60をカートリッジ70という。そして、カートリッジ70とは、粉体入り容器の一例である。なお、容器60及びカートリッジ70は、充填装置10の構成要素ではない。
【0018】
充填装置10は、
図1及び
図2に示されるように、充填部20と、覆い部30と、吸引部40と、制御部50と、を含んで構成されている。
【0019】
〔充填部〕
充填部20は、容器60に、容器60に対する上方からトナーTを充填する機能を有する。そのため、充填部20の上方には、トナーTが収容されたトナータンク(図示省略)のトナー排出口が接続されるようになっている。また、充填部20の下方には、容器60が配置されるようになっている。なお、充填部20が容器60にトナーTを充填する場合、充填装置10は、容器60を後述する充填位置に配置するようになっている。
図1及び
図2の容器60は、充填装置10に対し充填位置に配置されている状態を示している。
【0020】
充填部20は、
図1及び
図2に示されるように、円筒部22と連結部24とを含んで構成されている。
【0021】
円筒部22には、上方及び下方に、それぞれ開口22A、開口22Bが形成された円筒体とされている。円筒部22は、高さ方向に沿って配置されている。
図1及び
図2の一点鎖線Lは、円筒部22の軸中心を示している。
【0022】
連結部24は、上方の開口よりも下方の開口が小さい円錐台状の筒体とされている。連結部24の上方及び下方には、それぞれ開口24A、開口24Bが形成されている。そして、連結部24は、その開口24Bの周縁部が円筒部22の開口22Aの周縁部と繋がって、円筒部22と一体となっている。
【0023】
連結部24の開口部24Aには、上方に配置されたトナータンク(図示省略)のトナー排出口が連結されるようになっている。そのため、充填部20は、トナータンクのトナー排出口から排出されて連結部24の開口部24Aを通過するトナーTを、円筒部22の開口部22Bから落下させて、容器60内に予め定められた量充填するようになっている。
【0024】
なお、円筒部22の内側には、トナーTを搬送する搬送部材(図示省略)が配置されている。本実施形態では、搬送部材は一例としてオーガとされており、オーガは、その回転軸の軸中心が円筒部22の軸中心に重なるように配置されて、トナーTを上方から下方に搬送するようになっている。
【0025】
〔覆い部〕
覆い部30は、充填部20の周りを囲み、充填部20の下方に配置される容器60を上方から覆うことで、容器60から吸引部40に至る流路F1(
図2参照)を形成する機能を有する。ここで、流路F1とは、流路の一例である。
【0026】
覆い部30は、
図1及び
図2に示されるように、蓋部32と壁部34とを含んで構成されている。ここで、壁部34は、壁の一例である。
【0027】
〈蓋部〉
蓋部32は、中央に円形の穴33が形成された円盤状の板とされている。蓋部32は、穴33の縁部が円筒部22の外周面に接着されて、円筒部22の外周面に隙間を形成せずに固定されている。このため、後述する吸引部40により容器60内の空気が吸引されても、蓋部32の穴33を通じて覆い部30内に空気が入れないようになっている。
【0028】
〈壁部〉
壁部34は、上下方向に延びた円筒体とされている。壁部34は、その上方側端部が蓋部32の半径方向外側の端部と繋がることで、蓋部32と一体となっている。そのため、壁部34は、円筒部22の周りを囲んでいる。また、壁部34の軸中心は、円筒部22の軸中心に重なっている。壁部34の下方側には、開口部36Aが形成されている。そして、壁部34の下方側の端面36Bは、円筒部22の下方側の端面22Cよりも上方に形成されている。
【0029】
なお、充填部20によりトナーTを容器60に充填する場合、端面36Bは、容器60の上方側の端面60Bと隙間Gを形成して対向するようになっている(特徴1)。また、充填部20を構成する円筒部22の下方側の部位は、
図2に示されるように、容器60内に入り込んだ状態となっている(特徴2)。ここで、充填装置10に対する充填位置とは、前述した特徴1及び2を有する位置を意味する。
【0030】
(円形の穴及び長尺状の穴)
壁部34には、円形の穴37と長尺状の穴38とが形成されている。
【0031】
「円形の穴」
円形の穴37(以下、穴37という。)の周縁部は、後述する吸引部40に接続されている。なお、穴37は、壁部34の半径方向に沿って壁部34を貫通している。ここで、長尺状の穴38(以下、穴38という。)は、開口部の一例である。
【0032】
「長尺状の穴」
穴38は、壁部34に複数個形成されている。そして、複数の穴38は、流路F1に対して覆い部30の外部から空気を流入させる機能を有する。
【0033】
複数の穴38は、
図1及び
図3(B)に示されるように、穴37に対して壁部34の下方側に形成されている。本実施形態では、穴37は、一例として7個とされている。そして、穴38は、
図3(B)に示されるように、壁部34における穴37の真下に1個形成され、真下に形成された穴38を中心として壁部34における周方向に3個ずつ形成されている。なお、複数の穴38は、壁部34の半径方向に沿って壁部34を貫通している。また、複数の穴38は、
図1及び
図2に示されるように、その長手方向が高さ方向(上下方向)に沿って形成されている。
【0034】
ここで、
図3(A)及び(B)の一点鎖線Mは、穴37の中心を通る仮想直線を示している。
図3(B)の破線Nは、壁部34の軸中心を通り、且つ、一点鎖線Mと直交する仮想直線を示している。そして、すべての穴38は破線Nによって二分される壁部34の一方側、すなわち、壁部34における穴37が形成されている側に形成されている。換言すれば、覆い部30の壁部34には、充填部20の円筒部22に対して吸引部40が接続されている側(以下、吸引部40側という。)にのみ複数の穴38が形成されている。
【0035】
また、別の見方をすると、壁部34と複数の穴38との関係は、以下のように捉えられる。前述のとおり、壁部34における吸引部40側にのみ穴38が形成されていることから、壁部34における1つの穴38の開口部分の面積(以下、開口面積という。)をSとした場合、壁部34における吸引部40側の穴38の開口面積は、7×Sとなる。これに対して、壁部34における吸引部40側と反対側には穴38が形成されていないことから、壁部34における吸引部40側と反対側の穴38の開口面積は、0となる。そうすると、覆い部30の壁部34は、吸引部40側における穴38の開口面積(すべての穴38の開口面積)が、吸引部40側と反対側における穴38の開口面積よりも大きい、と捉えられる。
【0036】
なお、本実施形態では、すべての穴38の開口面積(7×S)は、隙間Gによる開口部分の開口面積((隙間Gの高さ方向の高さ)×(壁部34の外径×π))よりも大きい。
【0037】
〔吸引部〕
吸引部40は、覆い部30に接続して、覆い部30の内部から空気を吸引する機能を有する。
【0038】
吸引部40は、
図1、
図2及び
図3(A)に示されるように、筒体42とファン44とを含んで構成されている。筒体42は、
図1、
図2及び
図3(A)に示されるように、円筒状とされている。そして、筒体42は、一端部で覆い部30に接続され、他端部でファン44に固定されている。なお、筒体42は、その一端部に開口部42Aが形成されており、開口部42Aの周縁部と、覆い部30の壁部34に形成された穴37の周縁部とが繋がることで、覆い部30に接続している。そのため、筒体42は、壁部34において、複数の穴38よりも上方で接続している。なお、筒体42は、壁部34の半径方向に沿って配置されている。また、筒体42の他端部に開口部42Bが形成されており、ファン44は、開口部42Bの周縁部に固定されている。
【0039】
そして、ファン44が回転すると、吸引部40は、容器60内から開口部42Aに至る流路F1と、覆い部30の外部から壁部34に形成された複数の穴38を通って覆い部30の内部に至る流路F2と、を流れる空気を吸引するようになっている。なお、流路F2を流れる空気は、流路F1に対して流入されるようになっている。
【0040】
〔制御部〕
制御部50は、充填装置10を用いてトナーTを容器60に充填する際に、充填装置10を構成する構成要素等を、制御するようになっている。制御部50の具体的な機能についての説明は、後述する充填装置の動作の説明とともに行う。
【0041】
<充填装置の動作>
次に、充填装置の動作(充填装置10を用いてのカートリッジ70の製造方法)について説明する。
【0042】
充填装置10を用いてのカートリッジ70の製造方法は、配置工程、充填工程及び移動工程を含んでいる。そして、これらの工程は、配置工程、充填工程、移動工程の順(以下、本工程順)で行われる。なお、以下の説明では、1つの容器60から1つのカートリッジ70を製造する製造方法を中心に説明するが、本製造方法では、本工程順で、複数の容器60にトナーTが充填されて、複数のカートリッジ70が製造される。
【0043】
〔配置工程〕
配置工程では、容器60が充填位置に配置される。
【0044】
具体的には、制御部50は、容器60を第1待機位置から充填部20の下方に移動させて、更に、上方の充填位置に移動させる。ここで、第1待機位置とは、充填部20に対して下方の位置であって、充填部20及び覆い部30の真下とならない位置とされている。第1待機位置では、容器60が、充填工程のために待機する。
【0045】
〔充填工程〕
充填工程では、充填装置10を用いて、充填装置10の上方に連結されたトナータンク内のトナーTが充填部20により容器60内に充填される。また、本工程では、容器60内へのトナーTの充填に並行して、容器60内の空気が吸引部40により吸引される。なお、トナーTの充填により一部のトナーTが容器60内に浮遊するため、容器60内に浮遊する一部のトナーTは吸引部40が容器60内の空気を吸引することに伴い吸引される。
【0046】
具体的には、制御部50は、容器60が充填位置に配置されると、本工程の基本動作として、トナータンクのトナー排出口からトナーTを排出させ、充填部20内のオーガを自軸周りに回転させ、ファン44を駆動させる。
【0047】
また、本工程では、本工程の基本動作の開始前から、容器60の質量が計測されている。そして、トナーTが充填された容器60の質量が予め定められた値に達すると、制御部50は、トナータンク、オーガ及びファン44による本工程の基本動作を停止させ、充填工程を終了する。ここで、予め定められた値とは、前述の予め定められた量(一例として200g)に相当する値であるから、トナーTが充填される前の容器60の質量に200gを加えた値となる。
【0048】
〔移動工程〕
移動工程では、充填位置に配置されているカートリッジ70を移動させる。
【0049】
具体的には、充填位置に配置されているカートリッジ70を移動させる場合、制御部50は、充填位置に配置されているカートリッジ70を下方に移動させて、更に、第2待機位置に移動させる。換言すれば、移動工程では、カートリッジ70を充填部20に対して相対的に移動させる。ここで、第2待機位置とは、充填部20に対して下方の位置であって、充填部20及び覆い部30の真下でなく、第1待機位置と異なる位置とされている。第2待機位置では、カートリッジ70が、次の工程(例えば、容器60の開口部60Aの封止、カートリッジ70の箱詰め等)のために待機する。
【0050】
また、制御部50は、カートリッジ70の移動と並行して、第1待機位置で待機させられている容器60を充填位置に移動させてもよい。この場合、制御部50は、充填位置に配置されていたカートリッジ70を充填装置20の下方に移動させてから、容器60とカートリッジ70とをともに移動させる。
【0051】
充填装置10を用いてのカートリッジ70の製造方法の説明は、以上のとおりである。複数のカートリッジ70は、充填装置10により複数の容器60に対して本工程順で行われて、製造される。
【0052】
<作用>
次に、本実施形態の充填装置10及び充填装置10を用いてのカートリッジ70の製造方法の作用について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、本実施形態と、以下に想定する比較形態(比較形態1〜3)とを比較して行う。なお、以下の比較形態において、本実施形態で用いた部品等を用いる場合、その部品等の符号をそのまま用いて説明する。また、以下の比較形態の構成の説明では、本実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0053】
〔比較形態1との比較〕
比較形態1の充填装置は、覆い部の壁部に穴38が形成されていない。また、比較形態1の充填装置を用いてのカートリッジ70の製造方法は、充填装置10に替えて比較形態1の充填装置を用いるので、本実施形態の充填装置10を用いてのカートリッジ70の製造方法と異なる。
【0054】
比較形態1の充填装置では、充填工程において、覆い部と容器60とで囲まれた空間(以下、空間Eという。)の空気は、吸引部40により吸引される。これに伴い、容器60内を浮遊するトナーTは、吸引部40に吸引される。また、空間Eの空気が吸引部40により吸引されると、空間Eの外部(覆い部及び容器60の外側)の空気は、覆い部と容器60とが対向して形成する隙間から空間E内の流路F1に流入される。
【0055】
ところで、空間E内に浮遊するトナーTが流路F1に沿って吸引部40に至ると、トナーTの一部は、覆い部の壁部と吸引部40との接続部分(以下、吸引部40の接続部という。)に付着する虞がある。そのため、容器60内にトナーTを充填する回数が増えるほど、吸引部40の接続部に付着するトナーTの量が増える虞がある。このような状態で移動工程が行われると、吸引部40の接続部に付着したトナーTが落下して、第1待機位置から充填位置に移動している容器60の外部に付着する虞がある。また、充填位置から第2待機位置に移動しているカートリッジ70の外部に付着する虞がある。その結果、カートリッジ70の外部が汚れる虞がある。
【0056】
そこで、吸引部40の接続部へのトナーTの付着を抑制するためには、吸引部40による空気の吸引力(単位時間当たりの空気を吸引する量)を大きくすることが考えられる。しかしながら、比較形態1の充填装置の場合、吸引部40による空気の吸引力を更に大きくすると、容器60内に充填されたトナーTを空間E内に浮遊させて吸引してしまう虞がある。そのため、吸引部40の接続部へ付着するトナーTの付着量を抑制できない虞がある。また、仮に抑制できたとしても、吸引部40は容器60内に充填されたトナーTを吸引する虞があるため、トナーTの充填効率の低下、カートリッジ70の高コスト化を招く虞がある。なお、空間Eを浮遊するトナーTは空気とともに吸引部40に吸引されるため、空気の吸引力を大きくすることは、トナーTの吸引力を大きくすることを意味する。
【0057】
これに対して、本実施形態の充填装置10では、
図1及び
図3(B)に示されるように、覆い部30の壁部34には複数の穴38が形成されている。そして、充填装置10の吸引部40が空気を吸引すると、覆い部30の外部の空気は、複数の穴38を通って覆い部30の内部に入り、流路F1に流入される。そのため、本実施形態の充填装置10は、比較形態1の充填装置に比べて、容器60内の空気の吸引力を維持しつつ、吸引部40の接続部での吸引力を増加させることができる。そのため、本実施形態の充填装置10では、比較形態1の充填装置に比べて、吸引部40の接続部にトナーTが付着し難い。
【0058】
したがって、本実施形態の充填装置10は、比較形態1の充填装置に比べて、容器60に充填されたトナーTの吸引量の増加を抑制しつつ、吸引部40の接続部における粉体の付着量を低減することができる。
また、本実施形態の充填装置10を用いてのカートリッジ70の製造方法は、比較形態1の充填装置を用いてのカートリッジ70の製造方法に比べて、容器60の外部が汚れ難い。これに伴い、カートリッジ70の外部に付着したトナーTを除去する工程が必要がないため、カートリッジ70の生産性を向上させることができる。
【0059】
〔比較形態2との比較〕
比較形態2の充填装置では、すべての穴38が、仮想直線Nに対して覆い部の壁部における吸引部40側の反対側に形成されている。また、比較形態2の充填装置を用いてのカートリッジ70の製造方法は、充填装置10に替えて比較形態2の充填装置を用いるので、本実施形態の充填装置10を用いてのカートリッジ70の製造方法と異なる。なお、比較形態2の充填装置は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0060】
比較形態2の充填装置では、充填工程において、空間E内の空気が吸引部40により吸引されると、空間Eの外部の空気は、壁部における吸引部40側の反対側にのみ形成されている複数の穴38から空間E内の流路F1に流入される。そして、複数の穴38から流路F1に流入された空気(以下、比較形態2の空気という。)は、充填部20の円筒部22を挟んで反対側にある吸引部40の接続部に至る。そのため、比較形態2の空気は、円筒部22や覆い部の内壁に衝突する分、エネルギーが損失される(いわゆる圧力損失)。
【0061】
これに対して、本実施形態の充填装置10では、
図1及び
図3(B)に示されるように、複数の穴38は、覆い部30の壁部34における吸引部40側にのみが形成されている。そのため、本実施形態の充填装置10の場合、複数の穴38から空間E内の流路F1に流入される空気は、比較形態2の空気に比べて、圧力損失が小さい。
したがって、本実施形態の充填装置10は、比較形態2の充填装置に比べて、トナーTを吸引する吸引効率を向上させることができる。なお、吸引効率とは、覆い部に形成された穴38の開口面積が同じ場合の吸引力の大きさのことを意味する。
【0062】
また、本実施形態の充填装置10はトナーTの吸引効率を向上させることができるから、吸引部40の接続部にトナーTが付着し難い。
したがって、本実施形態の充填装置10を用いてのカートリッジ70の製造方法は、比較形態2の充填装置を用いてのカートリッジ70の製造方法に比べて、容器60の外部が汚れ難い。これに伴い、カートリッジ70の外部に付着したトナーTを除去する必要がないため、カートリッジ70の歩留まりを向上することができる。
【0063】
〔比較形態3との比較〕
比較形態3の充填装置は、覆い部の壁部に形成される複数の長尺状の穴(以下、比較形態3の穴という。)は、吸引部40の接続部の下方であって、壁部の周方向(
図1の矢印Cを参照)に沿って形成されている。なお、比較形態3の穴は、本実施形態の穴38と同じ開口面積を有する貫通穴とされている。また、比較形態3の充填装置を用いてのカートリッジ70の製造方法は、充填装置10に替えて比較形態3の充填装置を用いるので、本実施形態の充填装置10を用いてのカートリッジ70の製造方法と異なる。なお、比較形態3の充填装置は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0064】
ここで、壁部における吸引部40の接続部よりも下方側に開口部が形成された覆い部を備えた充填装置を用いて充填工程を行うと、覆い部の外部の空気が、開口部を通って、内部の流路F1に流入することで、開口部の上方側の縁部にトナーTが付着する虞がある。このような状態で移動工程が行われると、開口部の上方側の縁部に付着したトナーTが落下して、第1待機位置から充填位置に移動している容器60の外部に付着する虞がある。また、充填位置から第2待機位置に移動しているカートリッジ70の外部に付着する虞がある。その結果、カートリッジ70の外部が汚れる虞がある。そして、比較形態3の充填装置では、壁部の比較形態3の穴は、その長手方向が壁部の周方向に沿って形成されているため、比較形態3の穴の上方側の縁部(短手方向の上方側の縁部)にトナーTが付着する虞がある。
【0065】
これに対して、本実施形態の充填装置10では、
図1及び
図2に示されるように、複数の穴38は、高さ方向(上下方向)に沿って形成されている。そのため、本実施形態の充填装置10の覆い部30に形成された複数の穴38の上方側の縁部の全幅は、比較形態3の充填装置の覆い部に形成された比較形態3の穴の上方側の縁部の全幅に比べて短い。
したがって、本実施形態の充填装置10は、比較形態3の充填装置に比べて、複数の穴38の縁部に付着するトナーTの量を低減することができる。
【0066】
したがって、本実施形態の充填装置10を用いてのカートリッジ70の製造方法は、比較形態3の充填装置を用いてのカートリッジ70の製造方法に比べて、容器60の外部が汚れ難い。これに伴い、カートリッジ70の外部に付着したトナーTを除去する必要がないため、カートリッジ70の生産性を向上させることができる。
【0067】
以上のとおり、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内にて他の実施形態が可能である。
【0068】
例えば、本実施形態の充填装置10は、電子写真方式の画像形成装置で用いられるトナーTを、カートリッジ容器60に充填するためのものであるとして説明した。しかしながら、粉体を容器内に充填するものであれば、充填装置10で用いられる粉体と容器との組合せは、トナーTとカートリッジ容器60に限られない。例えば、充填装置10は、食料品、医薬品、工業用材料その他の用途に用いられる粉体を、容器に充填するために用いることができる。
【0069】
本実施形態の充填部20を構成する円筒部22には、搬送部材が設けられているとして説明したが、粉体を容器に充填することができれば、特に設ける必要はない。
【0070】
また、本実施形態の吸引部40は、ファン44を含んで構成されているとして説明したが、筒体42の開口部42Bから空気を吸い取る機能を有すれば、ファン44でなくてもよい。
【0071】
また、本実施形態の複数の穴38は、壁部34における接続部40が接続されている側のみに形成されているとして説明した。しかしながら、複数の穴38は、流路F1に対して覆い部30の外部から空気を流入させる機能を有すれば、壁部34における接続部40が接続されている側のみに形成されていなくてもよい。例えば、複数の穴38の一部又は全部は、壁部34における接続部40が接続されている側の反対側に形成されていてもよい。
【0072】
また、本実施形態の複数の穴38は、壁部34に形成されているとして説明した。しかしながら、複数の穴38は、流路F1に対して覆い部30の外部から空気を流入させる機能を有すれば、壁部34に形成されていなくてもよい。例えば、複数の穴38は、蓋部32に形成されていてもよい。
【0073】
また、本実施形態の覆い部30は、蓋部32と壁部34とを含んで構成されているとして説明した。しかしながら、覆い部30は、充填部20の周りを囲み、充填部20の下方に配置される容器60を上方から覆う形状であれば、蓋部32と壁部34とを含んで構成されていなくてもよい。例えば、覆い部30は、上方側の半径が小さく下方側の半径が大きい円錐台状の筒体、半球殻その他の筒状体であってもよい。
【0074】
また、本実施形態の長尺状の穴38は、壁部34の上下方向に沿った貫通穴であるとして説明した。しかしながら、覆い部30に形成され、流路F1に対して覆い部30の外部から空気を流入させる機能を有する穴であれば、円形、三角形、四角形その他の形状であってもよい。
【0075】
また、本実施形態の長尺状の穴38は、壁部34の上下方向に沿った貫通穴であり、閉じた開口部分を形成するかの如く説明した。しかしながら、覆い部30に形成され、流路F1に対して覆い部30の外部から空気を流入させる機能を有する穴であれば、壁部34の下方側の端面から形成され、開いた開口部分を有する貫通穴であってもよい。