特許第6314695号(P6314695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6314695
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】車両用サンルーフ装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/05 20060101AFI20180416BHJP
【FI】
   B60J7/05 A
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-133198(P2014-133198)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-11035(P2016-11035A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】桂 慎太郎
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−184648(JP,A)
【文献】 特開2008−126732(JP,A)
【文献】 特開2000−145273(JP,A)
【文献】 特開2005−297852(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0303316(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに形成された開口の車両の幅方向各縁部に設けられるガイドレールと、
前記開口を開閉する可動パネルの車両の幅方向各縁部に連係され、制御装置により駆動制御される電気的駆動源により前記ガイドレールに沿って移動するように駆動され、前記可動パネルの全閉状態において、該可動パネルに対して車両の前方に移動することでその前側部位を支点に後側部位を上昇させてチルトアップ状態に移行させ、該チルトアップ状態において、前記可動パネルに対して更に車両の前方に移動した後に車両の後方に移動する際に該可動パネルと係合することで前記チルトアップ状態を保持させる摺動部材と、
係合溝が形成され、前記ガイドレールに設けられたガイドブロックと、
前記係合溝に係入可能な係合突部を有して前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に連結され、前記全閉状態では前記係合突部が前記係合溝に係入して前記摺動部材が車両の前方に移動する際に前記可動パネルの移動を規制するとともに、前記摺動部材が更に車両の前方に移動した後に車両の後方に移動する際に前記係合突部が前記係合溝から外れて前記可動パネルの移動規制を解除するチェックと、
前記全閉状態において前記可動パネルに対して前記摺動部材が車両の後方に移動する際の前記ガイドブロックの変形を抑制する規制壁とを備えた、車両用サンルーフ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サンルーフ装置において、
前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に設けられ、該可動パネルを支持する支持部材を備え、
前記摺動部材は、前記支持部材を介して前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に連係されており、
前記規制壁は、前記支持部材に設けられた、車両用サンルーフ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用サンルーフ装置において、
前記可動パネルのチルト動作を許容する状態でこれと一体で前記ガイドレールに沿って移動自在な第2の摺動部材と、
前記摺動部材に設けられた第1係合部材と、
前記第2の摺動部材に設けられ、前記可動パネルが前記全閉状態から前記チルトアップ状態へと移行する前記摺動部材の車両の前方への移動時には前記第1係合部材から離間される第2係合部材とを備え、
前記摺動部材は、前記チルトアップ状態において、前記可動パネルに対して更に車両の前方に移動した後に車両の後方に移動する際に、前記第1係合部材及び前記第2係合部材が係合することで、前記チルトアップ状態を保持させるように構成されており、
前記規制壁は、前記第2の摺動部材に設けられた、車両用サンルーフ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用サンルーフ装置において、
前記規制壁は、前記ガイドレールに形成された切り欠きを車両の高さ方向に貫通する前記ガイドブロックの車両の高さ方向上方の端面に当接又は近接することで該ガイドブロックの変形を抑制する、車両用サンルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンルーフ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用サンルーフ装置としては、例えば特許文献1に記載されたもの(いわゆる、アウタスライドサンルーフ)が知られている。この車両用サンルーフ装置は、車両のルーフに形成された開口の車両の幅方向両縁部の各々に設けられるガイドレールと、各ガイドレールに沿って移動自在に設けられ開口を開閉する可動パネルの車両の幅方向両縁部の各々に連係された摺動部材と、両摺動部材を移動駆動する電気的駆動源とを備える。また、車両用サンルーフ装置は、係合溝が形成されて各ガイドレールに設けられたガイドブロック(チェックブロック)と、係合溝に係入可能な係合突部を有して可動パネルの車両の幅方向各縁部に連結されたチェック(回転チェック)とを備える。
【0003】
摺動部材は、可動パネルの全閉状態において、該可動パネルに対して車両の前方に移動することでその前側部位を支点に後側部位を上昇させてチルトアップ状態に移行させ、該チルトアップ状態において、可動パネルに対して更に車両の前方に移動した後に車両の後方に移動する際に可動パネルと係合することでチルトアップ状態を保持させる。従って、この状態で摺動部材が車両の後方に移動すると、可動パネルはチルトアップ状態のまま開動作する。
【0004】
なお、可動パネルの全閉状態では、チェックの係合突部が係合溝に係入しており、摺動部材が車両の前方に移動する際には可動パネルの移動が規制されるとともに、摺動部材が更に車両の前方に移動した後に車両の後方に移動する際には係合突部が係合溝から外れるように案内されて可動パネルの移動規制が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−184648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電気的駆動源を駆動制御する制御装置は、可動パネルの前述の動作を実現するために、例えば全閉状態における摺動部材の位置(以下「初期位置」ともいう)を検知してこれを記憶する(以下「初期化する」ともいう)必要がある。具体的には、可動パネルの全閉状態では、チェックの係合突部がガイドブロックの係合溝に係入して可動パネルの移動が規制されていることから、該可動パネルに対して摺動部材を車両の後方に移動させれば、摺動部材の移動規制に伴って電気的駆動源が過負荷状態になる。制御装置は、電気的駆動源の過負荷状態に基づいて、摺動部材の初期位置を検知等する。
【0007】
しかしながら、このような可動パネルの移動規制の状態で電気的駆動源を過負荷状態にすると、例えばガイドブロックやこれを保持するガイドレール等が変形して、摺動部材の本来の初期位置よりも車両の後方にずれた位置が初期位置として検知等される可能性がある。そして、このように不安定な状態で摺動部材の初期位置が検知等されることに伴い、初期化の精度が低下するおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、初期化する際の精度をより向上することができる車両用サンルーフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する車両用サンルーフ装置は、車両のルーフに形成された開口の車両の幅方向各縁部に設けられるガイドレールと前記開口を開閉する可動パネルの車両の幅方向各縁部に連係され、制御装置により駆動制御される電気的駆動源により前記ガイドレールに沿って移動するように駆動され、前記可動パネルの全閉状態において、該可動パネルに対して車両の前方に移動することでその前側部位を支点に後側部位を上昇させてチルトアップ状態に移行させ、該チルトアップ状態において、前記可動パネルに対して更に車両の前方に移動した後に車両の後方に移動する際に該可動パネルと係合することで前記チルトアップ状態を保持させる摺動部材と、
係合溝が形成され、前記ガイドレールに設けられたガイドブロックと、前記係合溝に係入可能な係合突部を有して前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に連結され、前記全閉状態では前記係合突部が前記係合溝に係入して前記摺動部材が車両の前方に移動する際に前記可動パネルの移動を規制するとともに、前記摺動部材が更に車両の前方に移動した後に車両の後方に移動する際に前記係合突部が前記係合溝から外れて前記可動パネルの移動規制を解除するチェックと、前記全閉状態において前記可動パネルに対して前記摺動部材が車両の後方に移動する際の前記ガイドブロックの変形を抑制する規制壁とを備える。
【0010】
この構成によれば、前記全閉状態では前記チェックの前記係合突部が前記ガイドブロックの前記係合溝に係入して前記可動パネルの移動が規制されていることから、前記摺動部材を車両の後方に移動させると、該摺動部材の移動規制に伴って前記電気的駆動源が過負荷状態になる。前記制御装置は、前記電気的駆動源の過負荷状態に基づいて、前記全閉状態における前記摺動部材の位置(初期位置)を検知してこれを記憶する(初期化する)。このとき、前記規制壁により前記ガイドブロックの変形が抑制されることで、不安定な状態で前記摺動部材の初期位置が検知等される可能性を低減することができ、初期化する際の精度をより向上することができる。
【0011】
上記車両用サンルーフ装置について、前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に設けられ、該可動パネルを支持する支持部材を備え、前記摺動部材は、前記支持部材を介して前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に連係されており、前記規制壁は、前記支持部材に設けられることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、前記支持部材に前記規制壁を設けたことで、部品点数の増加を抑えることができる。
上記車両用サンルーフ装置について、前記可動パネルのチルト動作を許容する状態でこれと一体で前記ガイドレールに沿って移動自在な第2の摺動部材と、前記摺動部材に設けられた第1係合部材と、前記第2の摺動部材に設けられ、前記可動パネルが前記全閉状態から前記チルトアップ状態へと移行する前記摺動部材の車両の前方への移動時には前記第1係合部材から離間される第2係合部材とを備え、前記摺動部材は、前記チルトアップ状態において、前記可動パネルに対して更に車両の前方に移動した後に車両の後方に移動する際に、前記第1係合部材及び前記第2係合部材が係合することで、前記チルトアップ状態を保持させるように構成されており、前記規制壁は、前記第2の摺動部材に設けられることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、前記第2の摺動部材に前記規制壁を設けたことで、部品点数の増加を抑えることができる。
上記車両用サンルーフ装置について、前記規制壁は、前記ガイドレールに形成された切り欠きを車両の高さ方向に貫通する前記ガイドブロックの車両の高さ方向上方の端面に当接又は近接することで該ガイドブロックの変形を抑制することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、前記規制壁は、前記ガイドブロックの車両の高さ方向上方に位置すればよいため、周辺部品と干渉する可能性を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、初期化する際の精度をより向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を示す分解斜視図。
図2】(a)、(b)は、可動パネルの全閉状態及び第2のチルトアップ状態を示す側面図。
図3】(a)、(b)は、図2の3A−3A線及び3B−3B線に沿った断面図。
図4】ガイドブロック及びその周辺構造を示す側面図。
図5図2の5−5線に沿った断面図。
図6】同実施形態の電気的構成を概略的に示すブロック図。
図7】同実施形態において、可動パネルの全閉状態を示す斜視図。
図8】ルーフを斜め上方から見た斜視図。
図9】同実施形態を示す平面図。
図10】本発明の変形形態において、可動パネルの全閉状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、車両用サンルーフ装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両の幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両の幅方向外側を「車外側」という。
【0018】
図8に示すように、自動車などの車両のルーフ10には、略四角形の開口10aが形成されるとともに、サンルーフ装置11が搭載される。このサンルーフ装置11は、前後方向に移動して開口10aを開閉する、例えばガラス板からなる略四角形の可動パネル12を備える。
【0019】
可動パネル12は、その前側部位を支点に後側部位が上昇するチルトアップ動作及び前後方向へのスライド動作可能に取り付けられている。可動パネル12による開口10aの開閉動作においては、チルトアップ状態のままスライド動作する、いわゆるアウタースライディング式が採用されている。
【0020】
次に、可動パネル12の開閉動作等に係るサンルーフ装置11の構造について説明する。
図9に示すように、開口10aの車両の幅方向両縁部には、一対のガイドレール13が配設されている。各ガイドレール13は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、長手方向に一定断面を有して前後方向に延在する。そして、各ガイドレール13には、機能部品20が前後方向に移動可能に案内及び支持されている。両機能部品20には、それらの間に橋渡しされる状態で前記可動パネル12が連係及び支持されている。両機能部品20は、ガイドレール13に沿う前後方向への移動に伴い、可動パネル12をチルトアップ動作又はスライド動作させる。
【0021】
また、両ガイドレール13の前端同士は、車両の幅方向に延在するフロントハウジング14を介して連結されている。このフロントハウジング14の長手方向中間部には、例えば出力ギヤを有する電気的駆動源としてのモータ15が設置されている。このモータ15は、例えば樹脂材からなる略帯状の一対の駆動ベルト16の各々を介して各機能部品20に連結されており、両機能部品20を同時に前後方向に移動させる。
【0022】
図3(a)、(b)に示すように、各ガイドレール13には、上方に開口する断面略C字状の第1レール部13aが形成されるとともに、該第1レール部13aの車外側に隣接して第2レール部13bが形成されている。なお、この第2レール部13bは、第1レール部13aの側壁との協働で断面略T字状を呈しており、該側壁に形成された開口において第1レール部13aに通じている。また、各ガイドレール13には、第1レール部13aの車外側部の上方にフランジ状のガイド部17が形成されている。
【0023】
図4に示すように、ガイド部17には、車両の前方寄りの所定位置で略四角形の切り欠き17aが形成されている。そして、ガイドレール13には、第1レール部13aの車外側部に載置され切り欠き17aにおいてガイド部17に嵌着されたガイドブロック19が固定されている。このガイドブロック19には、ガイド部17の上方から下方に通じる係合溝19aが形成されている。すなわち、係合溝19aは、車両の後方に向かうに従い下方に向かうように傾斜しており、その下端でガイド部17の下方に通じている。
【0024】
図1に示すように、ガイドレール13(第1レール部13a)には、例えば金属板及び樹脂を一体化させた摺動部材としての駆動シュー21が前後方向に移動可能に装着されている。この駆動シュー21は、その前後方向の略全長に亘って縦壁部22を立設するとともに、該縦壁部22の下端部からその前後方向の略全長に亘って車外側に略一定距離だけ突壁部23を隆起する。また、駆動シュー21は、車外側となる第2レール部13b内に進入する複数(3つ)の延出片24を有する。これら延出片24は、第2レール部13bを前後方向に摺動する前記駆動ベルト16に連結されている。駆動シュー21は、モータ15により駆動ベルト16がガイドレール13(第2レール部13b)に沿って前後方向に移動させられることで、第1レール部13aに沿って前後方向に移動する。
【0025】
図2(a)、(b)に示すように、縦壁部22には、その車外側端面から車内側に向かって凹むガイド溝22aが前後方向に延びるように形成されている。このガイド溝22aは、基本的に後方に向かうに従い上方に向かうように傾斜している。また、図3(b)に示すように、突壁部23の長手方向中間部には、その車外側端面から車内側に向かって凹む係入凹部26が形成されている。係入凹部26の後端面は、規制部26aを形成する。
【0026】
一方、図1に示すように、可動パネル12の下面には、その車両の幅方向各縁部において、前後方向に延在する支持部材としての支持ブラケット31が固着されている。この支持ブラケット31は、可動パネル12の略全長に亘って延在しており、該可動パネル12の下面に垂設される金属板からなる縦壁部32を有するとともに、該縦壁部32の主として下縁部を埋設する樹脂製の成形部33を有する。
【0027】
支持ブラケット31は、基本的に駆動シュー21の突壁部23の上方に配置されるように縦壁部22の車外側に並設されている。そして、支持ブラケット31の前端には、車内側に向かって屈曲された取付片31aが形成されており、該取付片31aの先端には、略円柱状の従動シュー34が形成されている。この従動シュー34は、駆動シュー21の車両の前方で、ガイドレール13の第1レール部13aに対し前後方向に移動可能に装着されている。可動パネル12は、例えば支持ブラケット31が前側部位(従動シュー34)を支点に後側部位が上昇するように回動することでチルトアップ動作するとともに、当該前側部位を支点に後側部位が下降するように回動することでチルトダウン動作する。駆動シュー21及び従動シュー34は機能部品20を構成する。
【0028】
図2(a)に併せ示すように、成形部33の前端部には、車内側に突出して前記ガイド溝22aに移動自在に嵌入される略円柱状の昇降ガイドピン35が一体的に設けられている。この昇降ガイドピン35は、可動パネル12の全閉状態でガイド溝22aの下端に配置されるように設定されている。従って、この状態で駆動シュー21が支持ブラケット31に対して車両の前方に所定距離だけ移動すると、昇降ガイドピン35がガイド溝22aを上がってその中間部に達する。このとき、支持ブラケット31が前側部位を支点に後側部位が上昇するように回動することで、可動パネル12がチルトアップ動作をする(第1のチルトアップ状態)。
【0029】
続いて、駆動シュー21がガイドレール13(第1レール部13a)に沿って車両の前方に更に移動すると、図2(b)に示すように、昇降ガイドピン35がガイド溝22aを更に上がってその終端に達する。このとき、支持ブラケット31が前側部位を支点に後側部位が更に上昇するように回動することで、可動パネル12が更にチルトアップ動作をする(第2のチルトアップ状態)。
【0030】
なお、成形部33の昇降ガイドピン35よりも車両の前方となる前端部には、車外側に突出する略長円柱状の係止ピン36が一体的に設けられている。また、成形部33の昇降ガイドピン35よりも車両の後上方となる前端部には、車外側に突出する規制壁37が一体的に設けられている。
【0031】
すなわち、図5に示すように、縦壁部32には、少なくとも規制壁37の位置に合わせて車両の幅方向に貫通する透孔38が形成されている。そして、成形部33は、透孔38を満たすように縦壁部32を埋設している。これは、規制壁37をより堅固に縦壁部32と一体化させるためである。なお、規制壁37は、略直角台形(厳密には上方に嵩上げされた方台形)の柱状に成形されている。直角台形の上側の直角に隣接する上辺よりも下側の直角に隣接する下辺の方が長く設定されており、該下辺をなす規制壁37の下面は、車両の幅方向に略水平に突出する規制面37aを形成する。
【0032】
図1に示すように、ガイドレール13(第1レール部13a)には、支持ブラケット31の車外側に隣接して、例えば樹脂材からなる第2の摺動部材としてのスライドチェック41が前後方向に移動可能に装着されている。すなわち、図3(a)に示すように、スライドチェック41は、第1レール部13aの車外側部を摺動するシュー部42を有するとともに、車両の幅方向における支持ブラケット31及びガイド部17間で上方に立設された縦壁部43を有する。スライドチェック41は、縦壁部43に当接又は近接する支持ブラケット31及びガイド部17により車両の幅方向に位置決めされた状態で、シュー部42を第1レール部13aの車外側部に摺動させることで、ガイドレール13に沿って前後方向に移動自在となっている。
【0033】
図2(a)、(b)に示すように、縦壁部43の前端部には、前記係止ピン36が移動自在に嵌入される長孔状の許容孔43aが形成されている。この許容孔43aは、車両の後方に向かうに従い上方に向かうように直線状に傾斜する。つまり、スライドチェック41は、許容孔43aに嵌入する係止ピン36を介して支持ブラケット31に連結されている。スライドチェック41は、許容孔43a内で係止ピン36を空走させることで、可動パネル12のチルト動作(チルトアップ動作又はチルトダウン動作)を許容する。また、スライドチェック41は、可動パネル12のチルト動作が規制されているとき、許容孔43aにて係止ピン36(支持ブラケット31)の前後方向の移動を規制する。従って、スライドチェック41は、前後方向に移動することで、支持ブラケット31に支持される可動パネル12を一体で前後方向に移動(スライド動作)させる。
【0034】
スライドチェック41には、前後方向に中心線の延びる略円柱状の支持軸45が車両の後方に向かって回動不能に突設されている。そして、支持軸45の前端部には、スライドチェック41に隣接して、略円環状の回転チェック46が軸支されている。図3(b)に示すように、この回転チェック46は、支持軸45を中心とする所定角度位置(図示右向きの角度位置)で径方向外側に突出する略鋸歯状の係合突部46aを有するとともに、支持軸45を中心とする所定角度位置(図示左向きの角度位置)で径方向外側に突出する略三角歯状の被押圧部46bを有する。そして、図3(b)に2点鎖線にて描いたように、回転チェック46は、例えば可動パネル12の全閉状態において、係合突部46aがガイド部17の上方でガイドブロック19の係合溝19aに係入するとともに、被押圧部46bが第1レール部13aの底面及び突壁部23の車外側面に当接又は近接する。従って、可動パネル12の全閉状態では、回転チェック46は、係合突部46aがガイドブロック19の係合溝19aに係入する状態で、第1レール部13aの底面等により回動規制されている。これにより、回転チェック46の前後方向への移動が規制され、該回転チェック46と共にスライドチェック41の前後方向への移動が規制される。そして、スライドチェック41に許容孔43a等を介して連結された支持ブラケット31の前後方向への移動も規制されることで可動パネル12は、全閉状態からチルトアップ状態への移行のみが許容される。ガイドブロック19、スライドチェック41及び回転チェック46等は、チェック機構40を構成する。
【0035】
既述のように、駆動シュー21の突壁部23には、係入凹部26が形成されている。そして、駆動シュー21の車両の前方への移動に伴い、係入凹部26が被押圧部46bに到達すると、回転チェック46は、係入凹部26内で回動が許容される。従って、この状態で、駆動シュー21と共に回転チェック46が車両の後方に移動すると、該回転チェック46は、係合突部46aが係合溝19aに案内されることで、図3(b)に実線にて描いたように時計回りに回動する。そして、係合突部46aは、第1レール部13aとの間に挟まれるようにガイド部17の下方に進入する。これにより、回転チェック46の回動が規制される。同時に、被押圧部46bは、係入凹部26に係入される。このとき、被押圧部46bは、前記駆動シュー21の規制部26aの前後方向における移動軌跡上に配置される。
【0036】
図2(a)に示すように、支持軸45の後端部には、例えば樹脂材からなる第2係合部材としての回転カム51が軸支されている。一方、駆動シュー21には、例えば樹脂材からなる第1係合部材としての固定カム52が回転カム51の車両の後方でこれと同軸になるように設置されている。固定カム52は、可動パネル12が少なくとも全閉状態から第1のチルトアップ状態へと移行する際に相当する駆動シュー21の位置では回転カム51から離間されている。また、図2(b)に示すように、固定カム52は、可動パネル12が第2のチルトアップ状態へと移行する際に相当する駆動シュー21の位置では回転カム51と前後方向の位置が重なっている。回転カム51及び固定カム52は、周知の係脱切替機構50を構成する。この係脱切替機構50は、回転カム51及び固定カム52間の押圧作用により、回転カム51及び固定カム52の係合の解除状態から係合状態へと切り替え、あるいは回転カム51及び固定カム52の係合状態から該係合の解除状態へと切り替える。
【0037】
このような構成であることで、例えば可動パネル12の全閉状態において、支持ブラケット31に対して駆動シュー21が車両の前方に前記所定距離だけ移動すると、係止ピン36がスライドチェック41の許容孔43aに沿って上昇するように該許容孔43aを空走するとともに、昇降ガイドピン35がガイド溝22aを上がってその中間部に達する。これに伴い、可動パネル12が第1のチルトアップ状態に移行する。
【0038】
既述のように、可動パネル12が少なくとも全閉状態から第1のチルトアップ状態へと移行する際に相当する駆動シュー21の位置では、係脱切替機構50の回転カム51及び固定カム52は前後方向に離間されている(回転カム51及び固定カム52の係合の解除状態)。従って、可動パネル12の第1のチルトアップ状態で、駆動シュー21が車両の後方に移動すると、係止ピン36がスライドチェック41の許容孔43aに沿って下降するように該許容孔43aを空走するとともに、昇降ガイドピン35がガイド溝22aを下がってその終端に達する。これに伴い、可動パネル12が支持ブラケット31の前側部位を支点に後側部位が下降するチルトダウン動作をして全閉状態に移行する。
【0039】
一方、可動パネル12の第1のチルトアップ状態で、駆動シュー21が支持ブラケット31に対して車両の前方に更に移動すると、係止ピン36がスライドチェック41の許容孔43aに沿って更に上昇するように該許容孔43aを空走するとともに、昇降ガイドピン35がガイド溝22aを上がってその終端に達する。これに伴い、可動パネル12が第2のチルトアップ状態に移行する。また、駆動シュー21の車両の前方への移動に伴い、被押圧部46bに係入凹部26が到達することで、回転チェック46の回動が許容される。
【0040】
このとき、既述のように、係脱切替機構50の回転カム51及び固定カム52は、前後方向の位置が重なる。従って、その後、駆動シュー21が固定カム52と共に車両の後方に移動すると、回転カム51及び固定カム52間の押圧作用によるそれらの係合状態への切り替わりに伴って、回転カム51と共にスライドチェック41及び回転チェック46が一体で車両の後方に移動しようとする。これに伴い、係入凹部26内で回動が許容されている回転チェック46は、係合突部46aが係合溝19aに案内されることで、係合突部46aをガイド部17の下方に進入させるように回動する。そして、回転チェック46は、この状態で回動規制される。これにより、スライドチェック41の車両の後方への移動規制が解除され、該スライドチェック41に許容孔43a等を介して連結された支持ブラケット31の車両の後方への移動規制も解除される。同時に、被押圧部46bは、係入凹部26内に進入して、規制部26aの前後方向における移動軌跡上に配置される。
【0041】
従って、駆動シュー21が車両の後方に移動すると、係合状態にある回転カム51及び固定カム52を介してスライドチェック41が支持ブラケット31及び回転チェック46と共に一体で車両の後方に移動する。このとき、支持ブラケット31に支持される可動パネル12は、第2のチルトアップ状態のまま車両の後方に移動して、開口10aを開放する。これにより、可動パネル12は開状態となる。
【0042】
可動パネル12の開状態では、回転チェック46は、前述したように係合突部46aがガイド部17の下方に進入する状態で回動規制されている。そして、被押圧部46bは、規制部26aの前後方向における移動軌跡上に配置されている。従って、この状態で、駆動シュー21が車両の前方に移動すると、規制部26aが被押圧部46bを押圧することで、回転チェック46がスライドチェック41及び支持ブラケット31と共に一体で車両の前方に移動する。このとき、支持ブラケット31に支持される可動パネル12は、第2のチルトアップ状態のまま車両の前方に移動して、開口10aを閉鎖する。
【0043】
可動パネル12の閉動作に伴い、該可動パネル12が第2のチルトアップ状態に移行した当初の状態に近付くと、回転チェック46は、係合突部46aが係合溝19aに案内されることで、被押圧部46bを係入凹部26から外しつつ係合突部46aをガイド部17の上方に進入させるように回動する。これにより、回転チェック46の前後方向の移動がスライドチェック41及び支持ブラケット31と共に規制される。
【0044】
この状態で、駆動シュー21が車両の前方に更に移動すると、スライドチェック41と共に前後方向の移動が規制された回転カム51に対し、固定カム52が車両の前方に更に移動する。従って、その後、駆動シュー21が車両の後方に移動すると、回転カム51及び固定カム52間の押圧作用によるそれらの係合の解除状態への切り替わりに伴って、回転チェック46、スライドチェック41及び回転カム51を残置したまま、駆動シュー21が固定カム52と共に車両の後方に移動する。
【0045】
このとき、係止ピン36がスライドチェック41の許容孔43aに沿って下降するように該許容孔43aを空走するとともに、昇降ガイドピン35がガイド溝22aを下がってその終端に達する。これに伴い、可動パネル12がチルトダウン動作をし、第1のチルトアップ状態を経て全閉状態に移行する。
【0046】
次に、可動パネル12の開閉動作等に係るサンルーフ装置11の電気的構成について説明する。
図6に示すように、サンルーフ装置11は、前記モータ15を駆動制御する制御装置としてのECU(電子制御装置)61と、該ECU61に電気的に接続されモータ15の負荷を検知するセンサ62とを有する。ECU61は、モータ15に電力供給して所要の動作(正転・逆転等)を行わせるとともに、センサ62の検知結果に基づいて電力供給を制御する。特に、ECU61は、例えば生産工場におけるサンルーフ装置11の車両搭載時に、可動パネル12の全閉状態における駆動シュー21の位置(初期位置)を検知してこれを記憶する(初期化する)。これは、駆動シュー21の移動に伴う可動パネル12の前述の動作を実現するためである。
【0047】
具体的には、ECU61は、可動パネル12の全閉状態において、駆動シュー21が車両の後方に移動するようにモータ15を駆動する。このとき、ガイド溝22aの終端(下端)に昇降ガイドピン35の押圧される支持ブラケット31が一体で車両の後方に移動しようとするとともに、係止ピン36に許容孔43aの後端の押圧されるスライドチェック41が一体で車両の後方に移動しようとする。しかしながら、スライドチェック41に設けられた回転チェック46の係合突部46aがガイドブロック19の係合溝19aに係入していることで、係合突部46aがガイド部17よりも上方に位置する係合溝19aの後端面19b(図4参照)に当接されてスライドチェック41の車両の後方への移動が規制される。このため、支持ブラケット31を介して駆動シュー21の車両の後方への移動も規制されることになり、該駆動シュー21を車両の後方に移動させようとするモータ15が過負荷状態になる。ECU61は、センサ62によりこの過負荷状態を検知することで初期化する。なお、センサ62は、モータ15の負荷(過負荷状態)をこれに供給する電流(モータ電流)として検知するものであってもよいし、モータ15の回転速度や回転速度変化、角加速度として検知するものであってもよい。
【0048】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図7に示すように、支持ブラケット31に設けられた規制壁37は、可動パネル12が全閉状態にあるときにガイドブロック19に当接又は近接する。すなわち、規制壁37は、規制面37aにおいて切り欠き17aを貫通するガイドブロック19の上面(車両の高さ方向上方の端面)に当接又は近接する。従って、初期化する際に、係合突部46aに係合溝19aの後端面19bの押圧されるガイドブロック19が、例えば切り欠き17aの開口端(車内側端)側に位置する部位を上昇させるように変形したり、ガイド部17自体がその先端(車内側端)を上昇させるように変形したりすることが抑制される。このため、例えば駆動シュー21の本来の初期位置よりも車両の後方にずれた位置が初期位置として検知等される可能性が低減される。
【0049】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、不安定な状態で駆動シュー21の初期位置が検知等される可能性を低減することができ、初期化する際の精度をより向上することができる。
【0050】
(2)本実施形態では、支持ブラケット31に規制壁37を一体に設けたことで、部品点数の増加を抑えることができる。
(3)本実施形態では、規制壁37は、ガイドレール13(ガイド部17)に形成された切り欠き17aを車両の高さ方向に貫通するガイドブロック19の上面に当接又は近接することで該ガイドブロック19の変形を抑制する。このように、規制壁37は、ガイドブロック19の上方に位置すればよいため、周辺部品と干渉する可能性を低減することができる。
【0051】
(4)本実施形態では、規制壁37が樹脂製であることで成形性をより向上させることができる。一方、規制壁37(成形部33)は、透孔38を満たすように縦壁部32を埋設していることで、該縦壁部32とより堅固に一体化させることができる。
【0052】
(5)本実施形態では、可動パネル12が全閉状態にあるとき、規制壁37がガイドブロック19に当接又は近接することで、例えば車両走行時のガイドブロック19の変形を抑えることができ、チェック機構40により移動規制される可動パネル12のがたつきを抑えることができる。
【0053】
(6)本実施形態では、チェック機構40による可動パネル12の移動規制及び解除は、支持軸45周りの回転チェック46の回動に伴う係合突部46a及び係合溝19aの係脱によって切り替えられる。一方、固定カム52及び回転カム51の係合は、第1のチルトアップ状態における駆動シュー21の更なる車両の前方への移動、即ち支持軸45の中心線に沿う移動によって実現される。従って、チェック機構40による可動パネル12の移動規制及び解除、並びに固定カム52及び回転カム51の係合は、共に駆動シュー21の移動方向に沿う前後方向への移動に合わせて実現することができる。このように、支持軸45の周りに回転カム51及び回転チェック46を集約配置することで、装置全体としてよりコンパクト化することができる。
【0054】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図10に示すように、規制壁が省略されることを除いて前記支持ブラケット31に準じた構造の支持ブラケット71を採用するとともに、規制壁が設けられることを除いて前記スライドチェック41に準じた構造のスライドチェック72を採用してもよい。すなわち、このスライドチェック72には、前記実施形態と同様に回転カム51等(図示略)が設けられている。そして、スライドチェック72の前記縦壁部43に準じた縦壁部73の後端には、車外側に突出する略直角台形(厳密には上方に嵩上げされた方台形)の柱状の規制壁74が一体的に設けられている。なお、直角台形の上側の直角に隣接する上辺よりも下側の直角に隣接する下辺の方が長く設定されており、該下辺をなす規制壁74の下面は、車両の幅方向に略水平に突出する規制面74aを形成する。
【0055】
規制壁74は、可動パネル12が全閉状態にあるときに、規制面74aにおいて切り欠き17aを貫通するガイドブロック19の上面(車両の高さ方向上方の端面)に当接又は近接する。従って、このように変形することで、前記実施形態の(1)、(3)、(5)、(6)と同様の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
【0056】
(1)スライドチェック72に規制壁74を一体に設けたことで、部品点数の増加を抑えることができる。
(2)規制壁74が樹脂製であることで成形性をより向上させることができる。
【0057】
(3)規制壁74がスライドチェック72に設けられていることで、例えば可動パネル12がチルトアップ状態に移行してもこれに伴って規制壁74が上昇することはない。このため、例えば車両の側部から規制壁74が露出する可能性を低減することができ、意匠性を高めることができる。
【0058】
・前記実施形態において、規制壁の下面が、車両の幅方向に略水平に突出する規制面を形成するのであれば、規制壁の形状は任意である。ただし、規制壁は、小型化を考慮して下端部に対して上端部が縮小されていることが好ましい。
【0059】
・前記実施形態において、規制壁37(成形部33)は、透孔38を満たすように縦壁部32を埋設していなくてもよい。この場合、透孔38を省略してもよい。
・前記実施形態において、例えば縦壁部32に結合された別体の規制壁を採用してもよい。この場合、規制壁は、樹脂製であってもよいし金属製であってもよい。
【0060】
・前記実施形態において、ガイドブロック19の変形を抑えることができるのであれば、可動パネル12が全閉状態にあるときにガイドブロック19の上面以外(例えば車内側面)に当接又は近接する規制壁であってもよい。
【0061】
・前記実施形態において、ガイドブロック19は、例えばアウトサート成形などでガイドレール13(ガイド部17)に一体に設けられていてもよい。
・前記実施形態において、チェック機構を構成するガイドブロック及びチェックは、例えばチェックの回転を伴うことなくその係合突部を昇降させることで、ガイドブロックの係合溝に係合突部を係入し、あるいは係合溝から係合突部を外すように構成されていてもよい。
【0062】
・前記実施形態において、チェック機構を構成するチェックは、例えば可動パネル12のチルト動作を許容できるのであれば、可動パネルの車両の幅方向各縁部(支持ブラケット31等)に直に連結されていてもよい。
【0063】
・前記実施形態においては、駆動シュー21及びスライドチェック41,72(可動パネル12の車両の幅方向縁部)に固定カム52及び回転カム51を配設したが、これらの配設関係は互いに逆であってもよい。すなわち、駆動シュー21に第1係合部材としての回転カムを設けるとともに、スライドチェック41,72に第2係合部材としての固定カムを設けてもよい。
【0064】
・前記実施形態においては、回転チェック46と係脱切替機構50(回転カム51、固定カム52)とを同軸に配置したが、前後方向に延びるのであればこれらの軸線は互いに異なっていてもよい。
【0065】
・前記実施形態においては、可動パネル12の開状態から閉動作させる際、駆動シュー21は、規制部26aにて回転チェック46の被押圧部46bを押圧したが、その機能等に支障がないのであれば、その適宜の部位にて可動パネル12側の適宜位置を押圧するようにしてもよい。
【0066】
・前記実施形態においては、可動パネル12のチルトアップ状態として、第1のチルトアップ状態と該第1のチルトアップ状態よりも更にチルトアップさせた第2のチルトアップ状態の2段階を採用した。これに対し、可動パネル12が全閉状態から移行する当初のチルトアップ状態の姿勢と、可動パネル12がスライド動作する際のチルトアップ状態の姿勢が一致していてもよい。
【0067】
・前記実施形態において、駆動シュー21及び支持ブラケット31,71(可動パネル12)の連係態様は一例である。例えば、支持ブラケット31,71(縦壁部32)にガイド溝22aと逆向きのガイド溝を形成し、該ガイド溝に移動可能に嵌入する昇降ガイドピンを駆動シュー21に固着してもよい。
【0068】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)上記車両用サンルーフ装置において、
前記支持部材は、
前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に垂設され、車両の幅方向に貫通する透孔の形成された金属製の縦壁部と、
前記透孔を満たすように前記縦壁部を埋設する樹脂製の成形部とを有し、
前記規制壁は、前記成形部に設けられた、車両用サンルーフ装置。
【0069】
この構成によれば、前記規制壁が樹脂製であることで成形性をより向上させることができる。一方、前記規制壁(成形部)は、前記透孔を満たすように前記縦壁部を埋設していることで、該縦壁部とより堅固に一体化させることができる。
【符号の説明】
【0070】
10…ルーフ、10a…開口、12…可動パネル、13…ガイドレール、15…モータ(電気的駆動源)、17…ガイド部、17a…切り欠き、19…ガイドブロック、19a…係合溝、21…駆動シュー(摺動部材)、31,71…支持ブラケット(支持部材)、37,74…規制壁、40…チェック機構、41,72…スライドチェック(第2の摺動部材)、46…回転チェック(チェック)、46a…係合突部、50…係脱切替機構、51…回転カム(第2係合部材)、52…固定カム(第1係合部材)、61…ECU(制御装置)、62…センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10