(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記除霜運転が、前記所定時間内に正常終了条件を満たした場合、前記タイマーオーバーの回数がリセットされることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、使用電力を管理するHEMSコントローラからの信号により圧縮機を含むヒートポンプシステムの使用電力を低減させるためには、当該使用電力、使用電流又は使用皮相電力に上限値を設けて運転する上限値設定モードを採用することが考えられる。しかしながら、上記特許文献1には、上限値設定モードでの除霜運転の制御について何ら記載されていない。このため、上限値設定モードでは、適切な除霜運転の制御が行われない虞がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上限値設定モードにおいて適切な除霜運転の制御を行うことが可能なヒートポンプシステム及びこれを備えた電力制限システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明にかかるヒートポンプシステムは、圧縮機と、熱源側熱交換器と、減圧手段と、利用側熱交換器とを有するヒートポンプシステムであって、通常モードと、前記ヒートポンプシステムでの使用電力、使用電流又は使用皮相電力に上限値を設けて運転する上限値設定モードとで運転可能であり、前記利用側熱交換器を凝縮器、前記熱源側熱交換器を蒸発器として作用させる加熱運転と、前記熱源側熱交換器に付着した霜を除去する除霜運転とを実行可能であり、前記上限値設定モードにおいて、前記除霜運転が所定時間経過して終了するタイマーオーバーの回数が所定回数に達すると、前記加熱運転が停止状態とされるように構成されており、前記上限値設定モードから前記通常モードに切り換わり、再度、前記上限値設定モードに切り換わり且つ前回の前記上限値設定モードで前記除霜運転が少なくとも1回の前記タイマーオーバーがあった場合、今回の前記上限値設定モードにおける前記加熱運転は、前記タイマーオーバーの回数が前記所定回数よりも少ない回数に達することで停止状態とされること特徴とする。
【0007】
このヒートポンプシステムでは、上限値設定モードにおける加熱運転は、前回の上限値設定モードで除霜運転が少なくとも1回のタイマーオーバーがあった場合、タイマーオーバーの回数が所定回数よりも少ない回数に達することで停止状態とされる。このため、前回の上限値設定モードのときよりも少ない除霜運転のタイマーオーバーの回数で加熱運転を停止状態とすることが可能となる。このため、熱源側熱交換器の破損を抑制しつつ除霜運転による無駄な電力消費を抑制することが可能となり、上限値設定モードにおいて適切な除霜運転の制御を行うことが可能となる。
【0008】
第2の発明にかかるヒートポンプシステムは、前記上限値設定モードから前記通常モードに切り換わっても、前記タイマーオーバーの回数が保持されることを特徴とする。
【0009】
このヒートポンプシステムでは、上限値設定モードにおいて適切な除霜運転の制御をより効果的に行うことが可能となる。
【0010】
第3の発明にかかるヒートポンプシステムは、前記除霜運転が、前記所定時間内に正常終了条件を満たした場合、前記タイマーオーバーの回数がリセットされることを特徴とする。
【0011】
このヒートポンプシステムでは、霜が完全に溶けた場合に、タイマーオーバーの回数がリセットされるため、次回の除霜運転による霜の溶け残りを抑制することが可能となる。
【0012】
第4の発明にかかるヒートポンプシステムは、前記タイマーオーバーの回数は、主電源がオフにされた場合にリセットされることを特徴とする。
【0013】
このヒートポンプシステムでは、主電源がオフにされた場合に、タイマーオーバーの回数がリセットされる構成となる。
【0014】
第5の発明にかかる電力制限システムは、上述の第1〜第4の発明にかかるいずれかのヒートポンプシステムと、前記ヒートポンプシステムに接続され、使用電力、使用電流又は使用皮相電力を管理するHEMSコントローラとを備え、制御モードが、前記HEMSコントローラから前記ヒートポンプシステムへの信号により、前記通常モードから前記上限値設定モードに切り換わることを特徴とする。
【0015】
この電力制限システムでは、HEMSコントローラからヒートポンプシステムへの信号により、ヒートポンプシステムの制御モードを切り換えることができる。
【0016】
第6の発明にかかる電力制限システムは、前記HEMSコントローラがインターネットに接続され、前記HEMSコントローラから前記ヒートポンプシステムへの信号は、前記インターネットを介して受信した外部信号に基づいて変更されることを特徴とする。
【0017】
この電力制限システムでは、インターネットからの外部信号により、ヒートポンプシステムの制御モードを切り換えることができる。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明では、上限値設定モードにおける加熱運転は、前回の上限値設定モードで除霜運転が少なくとも1回のタイマーオーバーがあった場合、タイマーオーバーの回数が所定回数よりも少ない回数に達することで停止状態とされる。このため、前回の上限値設定モードのときよりも少ない除霜運転のタイマーオーバーの回数で加熱運転を停止状態とすることが可能となる。このため、熱源側熱交換器の破損を抑制しつつ除霜運転による無駄な電力消費を抑制することが可能となり、上限値設定モードにおいて適切な除霜運転の制御を行うことが可能となる。
【0019】
第2の発明では、上限値設定モードにおいて適切な除霜運転の制御をより効果的に行うことが可能となる。
【0020】
第3の発明では、霜が完全に溶けた場合に、タイマーオーバーの回数がリセットされるため、次回の除霜運転による霜の溶け残りを抑制することが可能となる。
【0021】
第4の発明では、主電源がオフにされた場合に、タイマーオーバーの回数がリセットされる構成となる。
【0022】
第5の発明では、HEMSコントローラからヒートポンプシステムへの信号により、ヒートポンプシステムの制御モードを切り換えることができる。
【0023】
第6の発明では、インターネットからの外部信号により、ヒートポンプシステムの制御モードを切り換えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る電力制限システム13を含む電力ネットワーク10について、添付図面に従って説明する。
【0026】
電力ネットワーク10は、
図1に示すように、電力供給者としての電力会社11と、電力会社11とインターネット12を介して接続された電力制限システム13とで構成されている。電力制限システム13は、HEMSコントローラ15と、給湯システム20と、設備機器Aと、設備機器Bとから構成されている。給湯システム20、設備機器A及び設備機器Bは、HEMSコントローラ15に並列に接続されている。
【0027】
給湯システム20は、圧縮機31、膨張弁33、ファン34及び温度センサ36,37,47などを含むヒートポンプユニット(ヒートポンプシステム)30(
図2参照)と、ポンプ41などを含むタンクユニット40(
図2参照)とを有する。また、給湯システム20は、HEMSコントローラ15に接続された制御装置21を有している。制御装置21は、ヒートポンプユニット30の圧縮機31、ファン34、及び、タンクユニット40のポンプ41を制御するものであり、これらユニット30,40に兼用されている。設備機器A及び設備機器Bは、HEMSコントローラ15に接続された、例えばテレビや照明などであるが、これらに限定するものではなく、いずれかが空調であってもよい。
【0028】
電力会社11は自ら発電した電力、及び/又は、他者が発電した電力を、給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとに供給する。また、電力会社11は、例えば、ある時間帯などの所定期間において電力を制限したい場合などに、給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとでの使用電力を制限する制限信号、及び、当該所定期間以外において使用電力の制限を解除する解除信号を送信する。
【0029】
HEMSコントローラ15は、インターネット12を介して電力会社11に接続され、電力会社11から送信された外部信号である制限信号及び解除信号を受信する。HEMSコントローラ15は、給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとでの使用電力を管理する。
【0030】
また、HEMSコントローラ15は、設定部16と電力検知部17と演算部18とを有する。設定部16は、制限信号に基づいて給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとでの電力制限値を設定する。電力制限値は、給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとが使用できる合計電力の制限値である。電力制限値は、インターネット12を介してHEMSコントローラ15が受信した電力会社11からの外部信号(制限信号及び解除信号)に基づいて変更される。
【0031】
電力検知部17は、設備機器Aおよび設備機器Bが使用している電力を検知する。演算部18は、給湯システム20が使用できる電力の上限値を演算する。この給湯システム用上限値は、設定部16で設定された給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとでの電力制限値から、電力検知部17が検知した設備機器Aと設備機器Bとで使用される電力値を引いて求められる。
【0032】
HEMSコントローラ15は、演算された給湯システム用上限値を設定するための上限値設定信号を制御装置21に送信する。また、HEMSコントローラ15は、電力会社11からの解除信号を受信すると、給湯システム用上限値を設定しない上限値解除信号を制御装置21に送信する。
【0033】
制御装置21は、HEMSコントローラ15からの上限値設定信号を受信すると、給湯システム20の制御モードを通常モードから上限値設定モードに切り換える。一方、制御装置21は、HEMSコントローラ15からの上限値解除信号を受信すると、給湯システム20の制御モードを上限値設定モードから通常モードに切り換える。上限値設定モードとは、給湯システム20の使用電力に給湯システム用上限値を設け、この上限値を超えないように給湯システム20を運転する制御モードである。通常モードは、給湯システム20の使用電力に上限値を設けない制御モードである。なお、給湯システム20の制御モードとヒートポンプユニット30の制御モードとは同一である。
【0034】
制御装置21には、給湯システム20に係る各種動作の制御プログラムやデータなどが格納されたROM、給湯システム20の各部の動作を制御する信号を生成するために各種演算を実行するCPU、各種設定やCPUでの演算結果などのデータを一時保管するRAMなどの部材が含まれている。これら各種部材およびソフトウェアによって、
図1に示すように、制御装置21には、運転制御部22、停止制御部23、記憶部24、タイマ部25、リセット部26、モード設定部27、電力検知部28及び演算部29が形成されている。
【0035】
運転制御部22は、運転設定(例えば、設定温度)に基づいて圧縮機31、ファン34、ポンプ41などの動作を制御して、ユーザの要求を満足する加熱運転(後述する)を実行する。また、運転制御部22は、所定の除霜開始条件を満たした場合に、圧縮機31及びファン34などの動作を制御して、除霜運転(後述する)を実行する。運転制御部22は、上限値設定モードにおいて、演算部29で演算されたヒートポンプユニット用上限値(後述する)が低くなるほど、ヒートポンプユニット30の使用電力が低減する(すなわち、圧縮機31の使用電力が低減するように周波数を低くする)ように、圧縮機31及びファン34を制御する。
【0036】
停止制御部23は、上限値設定モードにおいて、タイマーオーバーの回数が所定回数に達したときに、加熱運転を実行させない停止状態とする。つまり、運転制御部22によって加熱運転が実行されている場合は、強制的に当該運転を停止させるとともに、停止状態を解除する条件を満たすまで、停止状態を保持する。また、停止制御部23は、停止状態において、上限値設定モードから通常モードに切り換わった場合に停止状態を解除する。
【0037】
なお、タイマーオーバーとは、除霜運転が所定時間に達して終了することである。換言すると、除霜運転が、所定時間内に正常終了条件を満たさずに終了することである。本実施形態における除霜運転の正常終了条件とは、室外熱交換器32の温度が室外熱交換器32に付着した霜を完全に溶かすことが可能な所定温度以上になることである。つまり、正常終了条件を満たすとは、所定時間内に温度センサ36によって検知された温度が所定温度以上になることである。
【0038】
記憶部24は、
図3に示すように、除霜運転の開始温度である第1〜第4除霜開始条件L1〜L4を記憶している。これら第1〜第4除霜開始条件L1〜L4は、外気温度に応じた室外熱交換器32の温度である。第1除霜開始条件L1は、通常モードでの条件であり、例えば、外気温度2℃のときに室外熱交換器32の温度が−7℃である。
【0039】
第2除霜開始条件L2は、演算部29で演算されたヒートポンプユニット用上限値が高い場合(所定値以上の場合)の上限値設定モードでの条件であり、例えば、外気温度2℃のときに室外熱交換器32の温度が−5℃である。第3除霜開始条件L3は、当該ヒートポンプユニット用上限値が低い場合(所定値未満の場合)の上限値設定モードでの条件であり、例えば、外気温度2℃のときに室外熱交換器32の温度が−3℃である。このようにヒートポンプユニット用上限値が低いほど、除霜運転の開始温度が高くなっている。なお、本実施形態においては、ヒートポンプユニット用上限値に応じて2つの除霜開始条件L2,L3を記憶しているが、上限値が低くなるほど開始温度が高くなる3以上の除霜開始条件を記憶していてもよい。
【0040】
第4除霜開始条件L4は、タイマーオーバーが生じた場合の上限値設定モードでの条件であり、例えば、外気温度2℃のときに室外熱交換器32の温度が−2℃である。このように第4除霜開始条件L4は、第1〜第3除霜開始条件L1〜L3よりも、開始温度が高く設定されている。また、記憶部24は、タイマーオーバーが生じた回数も記憶する。
【0041】
タイマ部25は、除霜運転が開始される度に当該除霜運転の経過時間を計測する。リセット部26は、タイマーオーバーの回数やタイマーオーバーが生じることでセットされたフラグをリセットする。
【0042】
モード設定部27は、HEMSコントローラ15からの上限値設定信号を受信すると、上限値設定モードを設定する。一方、モード設定部27は、HEMSコントローラ15からの上限値解除信号を受信すると、通常モードを設定する。
【0043】
電力検知部28は、ヒートポンプユニット(圧縮機31、ファン34など)30、及び、タンクユニット(ポンプ41など)40が使用している電力を検知する。演算部29は、ヒートポンプユニット30が使用できる電力の上限値を演算する。このヒートポンプユニット用上限値は、給湯システム用上限値から、電力検知部28が検知したタンクユニット40で使用される電力値を引いて求められる。
【0044】
図2を参照しながら給湯システム20について説明する。
【0045】
給湯システム20は、ヒートポンプユニット30と、タンクユニット40とを有している。ヒートポンプユニット(ヒートポンプシステム)30は、圧縮機31と、室外熱交換器(熱源側熱交換器)32と、減圧手段としての膨張弁33と、給湯用熱交換器(利用側熱交換器)39と、ファン34と、冷媒配管35と、温度センサ36,37,47と、制御装置21(
図1参照)とを有している。なお、制御装置21は、ヒートポンプユニット30とタンクユニット40とに兼用されている。
【0046】
温度センサ36は、室外熱交換器32の温度を検知し、制御装置21に出力する。温度センサ37は、外気温度を検知し、制御装置21に出力する。温度センサ47は、給湯タンク42のポンプ41への温水流出口近傍に配置されており、給湯タンク42から流出する温水の温度を検知し、制御装置21に出力する。なお、運転制御部22は、温度センサ47から出力された温度が設定温度に達したときに、加熱運転を終了する。なお、温度検知手段としての温度センサ36、37、47は、検知した温度を制御装置21に出力することが可能であれば、どのようなものであってもよい。
【0047】
ヒートポンプユニット30には、室外熱交換器32と膨張弁33と給湯用熱交換器39とを接続する冷媒配管35内に冷媒が循環する冷媒回路38が構成されている。この冷媒回路38において、圧縮機31の吐出側には、給湯用熱交換器39の冷媒流入口が接続され、圧縮機31の吸入側には、室外熱交換器32の一端が接続されている。そして、室外熱交換器32の他端には、膨張弁33の一端が接続され、膨張弁33の他端には、給湯用熱交換器39の冷媒流出口が接続されている。ファン34は、室外熱交換器32に対向するように配置されている。
【0048】
給湯システム20は、通常モード及び上限値設定モードのいずれの場合においても加熱運転及び除霜運転などの運転が可能であって、制御装置21の運転制御部22によっていずれかの運転が実行される。加熱運転では、
図2中矢印で示すように、圧縮機31から吐出される冷媒が給湯側熱交換器39、膨張弁33、室外熱交換器32へと順に流れ、室外熱交換器32を経た冷媒が圧縮機31に戻る加熱サイクル(正サイクル)が形成される。すなわち、給湯側熱交換器39が凝縮器、室外熱交換器32が蒸発器として機能する。この加熱運転では、給湯用熱交換器39で圧縮機31の吐出側から流入した冷媒と給湯用温水との間で熱交換されることによって、給湯用温水が加熱される。
【0049】
除霜運転でも、加熱運転と同方向に冷媒を流動させる正サイクルが形成される。このとき、例えば、特開2001−82802号公報に記載のように、膨張弁33の弁開度を加熱運転時より大きく(例えば全開)し、圧縮機31から吐出された高温冷媒を室外熱交換器32に流し、且つファン34を停止する。これにより、室外熱交換器32に付着した霜が溶ける。
【0050】
タンクユニット40は、ポンプ41と、給湯タンク42と、給湯端末43と、水配管45,46と、制御装置21とを有する。タンクユニット40には、ポンプ41と給湯用熱交換器39とを接続する水配管45内に温水が循環する温水回路48が構成されている。この温水回路48において、ポンプ41の吐出側が給湯用熱交換器39の温水流入口に接続され、ポンプ41の吸入側が給湯タンク42の温水流出口(一端)に接続されている。給湯用熱交換器39の温水流出口は給湯タンク42の温水流入口(他端)に接続されている。
【0051】
温水回路48では、給湯用熱交換機39を流れる冷媒と熱交換する温水が循環する。具体的には、加熱運転が実行されるときに、ポンプ41によって給湯タンク42から流出した給湯用温水が給湯用熱交換器39に供給され、給湯用熱交換器39で加熱された温水が給湯タンク42に戻される。なお、給湯タンク42に水配管46で接続された給湯端末43は、給湯タンク42内の温水をユーザに使用可能とする。
【0052】
次に、ヒートポンプユニット30を含む給湯システム20の通常モードから上限値設定モードへの切り換えについて説明する。
【0053】
図4に示すように、ステップS1では制御装置21がヒートポンプユニット30を通常モードで運転している。ステップS2では、HEMSコントローラ15がインターネット12を介して電力会社11から外部信号(制限信号)を受信したか否かを判定し、制限信号を受信していなければ(NO)、ステップS2を繰り返す。
【0054】
一方、HEMSコントローラ15が電力会社11からの制限信号を受信していれば(YES)、ステップS3に進む。ステップS3では、設定部16が、電力会社11からの電力制限要求に応じた給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとでの電力制限値を設定する。
【0055】
ステップS4で電力検知部17が、設備機器Aおよび設備機器Bが使用している電力を検知する。ステップS5では演算部18が、給湯システム20が使用できる電力の上限値を演算する。このとき、HEMSコントローラ15が上限値設定信号を制御装置21に送信する。
【0056】
ステップS6では、制御装置21がHEMSコントローラ15からの上限値設定信号を受信することで、モード設定部27が給湯システム20の制御モードを通常モードから上限値設定モードに切り換える。こうして、通常モードから上限値設定モードへの制御モードの切り換えが終了する。制御装置21の運転制御部22は、演算部29により演算されたヒートポンプユニット用上限値に基づいて、圧縮機31などを制御して加熱運転及び除霜運転のいずれかを実行する。
【0057】
一方、上限値設定モードから通常モードへの切り換えは、HEMSコントローラ15が電力会社11からの外部信号(解除信号)を受信し、制御装置21がHEMSコントローラ15から送信される上限値解除信号を受信することで、モード設定部27が給湯システム20の制御モードを上限値設定モードから通常モードに切り換える。こうして、上限値設定モードから通常モードへの制御モードの切り換えが終了する。制御装置21の運転制御部22は、特に給湯システム20の上限値が設定されていない状態で、圧縮機31などを制御して加熱運転及び除霜運転のいずれかを実行する。
【0058】
続いて、各モードで実行される加熱運転及び除霜運転ついて、
図5〜
図7を参照しつつ以下に説明する。
【0059】
加熱運転をする場合、まず、
図5に示すように、ステップF1で、通常モードであるか否かが判定される。つまり、モード設定部27によって設定された制御モードが通常モードであれば(YES)、ステップF2に進み、上限値設定モードであれば(NO)、ステップF3に進む。
【0060】
ステップF2では、通常モードでの加熱運転処理が実行される。通常モードでの加熱運転処理は、
図6に示すように、ステップG1において、運転制御部22が圧縮機31、ファン34、ポンプ41などを制御して、加熱運転を開始する。ステップG2では、加熱運転が終了したか否かが判定される。この判定は、温度センサ47から出力された温度が設定温度に達しているか否かで判定され、設定温度に達した場合(YES)、運転制御部22が圧縮機31、ファン34、ポンプ41などを制御して、加熱運転を終了する。こうして、通常モードでの加熱運転処理が終了する。一方、設定温度に達していない場合(NO)、ステップG3に進む。
【0061】
ステップG3では、第1除霜開始条件を満たしたか否かを判定する。つまり、室外熱交換器32の温度が除霜運転の開始温度(例えば外気温度2℃のときに−7℃)以下であるか否かを判定する。開始温度を超えている場合(NO)、ステップG2に戻る。一方、開始温度以下である場合(第1除霜開始条件を満たした場合:YES)、ステップG4に進む。
【0062】
ステップG4では、運転制御部22がファン34及びポンプ41を停止させて加熱運転を強制的に終了させ、除霜運転に切り換える。このとき、運転制御部22は、所定時間内に正常終了条件を満たすと除霜運転を終了する。また、運転制御部22は、タイマ部25が計測する経過時間が正常終了条件を満たしていない場合でも所定時間に達すると、除霜運転を終了する。
【0063】
ステップG5では、除霜運転を正常終了条件で終了したか否かを判定する。つまり、所定時間内に正常終了条件を満たすことで除霜運転が終了した場合(YES)、ステップG6に進む。ステップG6では、室外熱交換器32の霜が完全に溶かされた状態となる。このとき、リセット部26は、記憶部24にタイマーオーバーの回数が記憶されている場合、及び、フラグがセットされている場合、当該タイマーオーバーの回数及びフラグをリセットする。この後、ステップG1に戻り、加熱運転が終了するまで上述のステップG1〜G7が繰り返され、加熱運転が終了することで、通常モードでの加熱運転処理が終了する。
【0064】
一方、除霜運転がタイマーオーバーで終了した場合(NO)、ステップG7に進む。ステップG7では、室外熱交換器32の霜が完全に溶かされていない状態となる。このとき、制御装置21はフラグをセットし、上限値設定モードでの除霜運転の開始条件となる開始温度が高くなるようにする。この後、ステップG1に戻り、加熱運転が終了するまで上述のステップG1〜G7が繰り返され、加熱運転が終了することで、通常モードでの加熱運転処理が終了する。再度、加熱運転が実行される場合は、ステップF1から実行される。
【0065】
ステップF1からステップF3に進んだ場合、上限値設定モードでの加熱運転処理が実行される。上限値設定モードでの加熱運転処理は、
図7に示すように、ステップH1において、運転制御部22が圧縮機31、ファン34、ポンプ41などを制御して、加熱運転を開始する。
【0066】
ステップH2では、演算部29が、ヒートポンプユニット30が使用できる電力の上限値を演算する。こうして、ヒートポンプユニット用上限値が決定し、運転制御部22が、当該ヒートポンプユニット用上限値を超えないように圧縮機31及びファン34を制御する。このとき、運転制御部22は、使用電力を低減するために、ヒートポンプユニット用上限値が低くなるほど、圧縮機31の周波数を低くして駆動する。
【0067】
ステップH3では、上述のステップG2と同様に、加熱運転が終了したか否かが判定される。温度センサ47から出力された温度が設定温度に達した場合(YES)、運転制御部22が圧縮機31、ファン34、ポンプ41などを制御して、加熱運転を終了する。こうして、上限値設定モードでの加熱運転処理が終了する。一方、設定温度に達していない場合(NO)、ステップH4に進む。
【0068】
ステップH4では、上述のステップG7や後述のステップH15でタイマーオーバーを示すフラグがセットされているか否かを判定する。フラグがセットされていない場合(NO)、ステップH5に進む。ステップH5では、上述のH2で決定されたヒートポンプユニット用上限値が高い場合(YES)、ステップH6に進み、当該上限値が低い場合(NO)、ステップH7に進む。
【0069】
ステップH6では、第2除霜開始条件を満たしたか否かを判定する。つまり、温度センサ36によって検知された室外熱交換器32の温度が除霜運転の開始温度(例えば外気温度2℃のときに−5℃)以下であるか否かを判定する。開始温度を超えている場合(NO)、ステップH2に戻る。一方、開始温度以下である場合(第2除霜開始条件を満たした場合:YES)、ステップH9に進む。
【0070】
ステップH7では、第3除霜開始条件を満たしたか否かを判定する。第3除霜開始条件である除霜運転の開始温度は、第2除霜開始条件よりも高く(例えば外気温度2℃のときに−3℃)されている。つまり、上限値が低くなるほど、除霜運転が実行されやすくなっている。温度センサ36によって検知された室外熱交換器32の温度が開始温度を超えている場合(NO)、ステップH2に戻る。一方、開始温度以下である場合(第3除霜開始条件を満たした場合:YES)、ステップH9に進む。
【0071】
ステップH4において、フラグがセットされている場合(YES)、ステップH8に進む。ステップH8では、第4除霜開始条件を満たしたか否かを判定する。第4除霜開始条件である除霜運転の開始温度は、第1〜3除霜開始条件よりも高く(例えば外気温度2℃のときに−2℃)されている。つまり、室外熱交換器32に付着した霜が前回行われた除霜運転で完全に溶けていない場合、次回行う除霜運転が実行されやすくなっている。温度センサ36によって検知された室外熱交換器32の温度が開始温度を超えている場合(NO)、ステップH2に戻る。一方、開始温度以下である場合(第4除霜開始条件を満たした場合:YES)、ステップH9に進む。
【0072】
ステップH9では、記憶部24に記憶されているタイマーオーバーの回数に1を加える。本実施形態においては、第2〜第4除霜開始条件のいずれかを満たしてからタイマーオーバーの回数を増やすことで、仮に除霜運転が何らかの理由で終了(すなわち、室外熱交換器32に霜が付着した状態で終了:タイマーオーバーに相当)した場合でも、タイマーオーバーの回数を増やすことが可能となる。この結果、万が一、異常停止が繰り返し生じても後述のステップH10からH16に進むことで、加熱運転を停止状態とすることが可能となる。
【0073】
ステップH10では、タイマーオーバーの回数が所定回数に達したか否かを判定する。なお、所定回数は2以上であればよく、適宜設定すればよい。タイマーオーバーの回数が、所定回数未満の場合(NO)、ステップH11に進む。ステップH11では、運転制御部22がファン34及びポンプ41を停止させて加熱運転を強制的に終了させ、除霜運転に切り換える。
【0074】
ステップH12では、上述のステップH2と同様に、ヒートポンプユニット30が使用できる電力の上限値を演算する。こうして、ヒートポンプユニット用上限値が決定し、運転制御部22が、当該ヒートポンプユニット用上限値を超えないように圧縮機31を制御する。このときも、運転制御部22は、使用電力を低減するために、ヒートポンプユニット用上限値が低くなるほど、圧縮機31の周波数を低くして駆動する。また、このとき、運転制御部22は、所定時間内に正常終了条件を満たすと除霜運転を終了する。また、運転制御部22は、タイマ部25が計測する経過時間が正常終了条件を満たしていない場合でも所定時間に達すると、除霜運転を終了する。
【0075】
ステップH13では、除霜運転を正常終了条件で終了したか否かを判定する。つまり、所定時間内に正常終了条件を満たすことで除霜運転が終了した場合(YES)、ステップH14に進む。ステップH14でも、上述のステップG6と同様に、室外熱交換器32の霜が完全に溶かされた状態となる。このため、ステップH14では、上述のステップG6と同様に、リセット部26がタイマーオーバーの回数及びフラグをリセットする。この後、ステップH1に戻り、同様の処理が実行され、加熱運転が終了することで、上限値設定モードでの加熱運転処理が終了する。
【0076】
一方、除霜運転がタイマーオーバーで終了した場合(NO)、ステップH15に進む。ステップH15では、上述のステップG7と同様に、制御装置21はフラグをセットし、上限値設定モードでの除霜運転の開始条件となる開始温度が第1〜第3除霜開始条件よりも高くなるようにする。この後、ステップH1に戻り、同様の処理が実行され、加熱運転が終了することで、上限値設定モードでの加熱運転処理が終了する。再度、加熱運転が実行される場合は、ステップF1から実行される。
【0077】
ステップH10において、タイマーオーバーの回数が所定回数に達した場合(YES)、ステップH16に進む。ステップH16では、除霜運転のタイマーオーバーが繰り返し生じることで室外熱交換器32に霜が付着したままである可能性が非常に高い状態を示す。このため、停止制御部23が強制的に加熱運転を停止させるとともに、停止状態を解除する条件を満たすまで、停止状態に保持する。こうして、上限値設定モードにおける加熱運転処理が終了する。
【0078】
上限値設定モードにおける加熱運転処理が終了すると、
図5に示すステップF4では、停止状態であるか否かを判定する。停止状態でない場合(NO)、当該フローが終了し、再度、加熱運転が実行される場合は、ステップF1から実行される。停止状態である場合(YES)、ステップF5に進む。
【0079】
ステップF5では、上限値設定モードであるか否かを判定する。上限値設定モードのままである場合(YES)、ステップF5が繰り返される。一方、HEMSコントローラ15が電力会社11からの外部信号(解除信号)を受信することで、HEMSコントローラ15から上限値解除信号が送信される。HEMSコントローラ15から送信される上限値解除信号を制御装置21が受信することで、モード設定部27が制御モードを上限値設定モードから通常モードに切り換える。このように制御モードが上限値設定モードから通常モードに切り換えられた場合(NO)、ステップF6に進む。ステップF6では、停止制御部23が停止状態を解除する。こうして、当該フローが終了し、再度、加熱運転が実行される場合は、ステップF1から実行される。
【0080】
続いて、給湯システム20の主電源がオフにされた場合、制御フローについて、
図8を参照しつつ以下に説明する。
【0081】
図8に示すように、ユーザによって給湯システム20の主電源スイッチ(不図示)がオフにされると(ステップJ1)、当該主電源スイッチからの信号によって、上述のステップG6と同様に、リセット部26がタイマーオーバーの回数及びフラグをリセットする(ステップJ2)。こうして、当該フローが終了する。
【0082】
なお、記憶部24に記憶されたタイマーオーバーの回数及びセットされたフラグは、除霜運転が正常終了条件を満たす場合(ステップG5からステップG6、ステップH13からステップH14に進む場合)と、主電源スイッチがオフにされる場合(ステップJ1からステップJ2に進む場合)にのみ、リセットされ、これ以外はその記憶状態が保持される。つまり、通常モードと上限値設定モードとが切り換わっても、その記憶状態が保持されている。
【0083】
[本実施形態のヒートポンプユニット及びこれを備えた電力制限システムの特徴]
本実施形態のヒートポンプユニット30及び電力制限システム13には以下の特徴がある。
【0084】
本実施形態のヒートポンプユニット30では、上限値設定モードにおいて、タイマーオーバーの回数を先にカウントしているものの、ステップH13からステップH14に進む場合(すなわち、除霜運転を正常終了条件で終了した場合)、タイマーオーバーの回数がリセットされる。要するに、記憶部24はタイマーオーバーの回数を記憶しない。一方、ステップH13からステップH15に進む場合(すなわち、タイマーオーバーが生じている場合)、タイマーオーバーの回数がリセットされず、先にカウントしたままとなる。要するに、記憶部24はタイマーオーバーの回数を記憶する。上限値設定モードで除霜運転が少なくとも1回のタイマーオーバーがあった場合、当該タイマーオーバーの回数が保持される。このタイマーオーバーの回数は、上限値設定モードから通常モードに切り換わり、再度上限値設定モードに切り換わった場合でも保持されたままである。これにより、上限値設定モードから通常モードに切り換わり、再度、上限値設定モードに切り換わり且つ前回の上限値設定モードで除霜運転が少なくとも1回のタイマーオーバーがあった場合、今回の上限値設定モードにおける加熱運転は、タイマーオーバーの回数が所定回数よりも少ない回数に達することで停止状態とされることとなる。このため、前回の上限値設定モードのときよりも少ない除霜運転のタイマーオーバーの回数で加熱運転を停止状態とすることが可能となる。したがって、除霜運転の実行回数を抑制し室外熱交換器32の破損を抑制することが可能になるばかりか、除霜運転による無駄な電力消費も抑制することが可能となる。このように本実施形態のヒートポンプユニット30では、上限値設定モードにおいて適切な除霜運転の制御を行うことが可能となる。
【0085】
本実施形態のヒートポンプユニット30では、上限値設定モードから通常モードに切り換わっても、タイマーオーバーの回数が保持される。これにより、上限値設定モードにおいて適切な除霜運転の制御をより効果的に行うことが可能となる。
【0086】
本実施形態のヒートポンプユニット30では、除霜運転が所定時間内に正常終了条件を満たした場合(ステップG5からステップG6、ステップH13からステップH14に進む場合)、タイマーオーバーの回数がリセットされる。このように霜が完全に溶けた場合に、タイマーオーバーの回数がリセットされるため、次に行われる除霜運転が、タイマーオーバーの回数が所定回数に達するまで実行可能となり、霜の溶け残りを抑制することが可能となる。
【0087】
本実施形態のヒートポンプユニット30では、主電源がオフにされた場合(ステップJ1からステップJ2に進む場合)、タイマーオーバーの回数がリセットされる。これにより、主電源がオフにされた場合に、タイマーオーバーの回数がリセットされる構成となる。
【0088】
本実施形態の電力制限システム13では、制御モードが、HEMSコントローラ15からヒートポンプユニット30に含まれる制御装置21への信号(上限値設定信号及び上限値解除信号)により、ヒートポンプユニット30の制御モードを切り換えることができる。
【0089】
本実施形態の電力制限システム13では、HEMSコントローラ15からヒートポンプユニット30に含まれる制御装置21への信号(上限値設定信号及び上限値解除信号)は、インターネット12を介して受信した外部信号(制限信号及び解除信号)に基づいて変更される。これにより、インターネット12を介して受信した外部信号により、ヒートポンプユニット30の制御モードを切り換えることができる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。なお、後述する変更形態は、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0091】
上述の実施形態では、第1〜第4除霜開始条件として、外気温度に応じた室外熱交換器32の温度を記憶しているが、各除霜開始条件L1〜L4として、1つの所定温度をそれぞれ記憶していてもよい。この場合、所定温度が第1〜第4除霜開始条件の順に高く設定されていることが好ましい。
【0092】
上述の実施形態では、除霜運転が正サイクルで実行されているが、四方弁や冷媒配管などをさらに設けて、除霜運転を逆サイクルで実行してもよい。こうすれば、さらに室外熱交換器32に付着した霜を完全に溶かしやすくなる。
【0093】
上述の実施形態では、ヒートポンプユニット30とタンクユニット40とで構成された給湯システムを採用しているが、
図9に示した空気調和システム(ヒートポンプユニット)120を採用してもよい。
【0094】
図9に示すように、本変形例の空気調和システム120は、圧縮機131と、圧縮機131の吐出側が一端に接続された四路切換弁132と、四路切換弁132に一端が接続された室外熱交換器133と、室外熱交換器133の他端に接続された減圧機構としての膨張弁134と、膨張弁134の他端に接続された室内熱交換器135とを備えている。上記の室内熱交換器135の他端は、四路切換弁132を介して圧縮機131の吸入側に接続されている。上記の圧縮機131、四路切換弁132、室外熱交換器133、膨張弁134および室内熱交換器135で冷媒回路が構成されている。
【0095】
また、この空気調和システム120は、室外熱交換器133の近傍に配置された室外ファン136と、室内熱交換器135の近傍に配置された室内ファン137と、上述の温度センサ36,37とを備えている。上記の圧縮機131、四路切換弁132、室外熱交換器133、膨張弁134及び室外ファン136は、室外機120aに配置され、室内熱交換器135及び室内ファン137は、室内機120bに配置されている。
【0096】
この空気調和システム120では、暖房運転時、四路切換弁132を実線の切換え位置に切り換えて、圧縮機131を起動すると、圧縮機131から吐出された高圧冷媒が四路切換弁132を通って室内熱交換器135に入る。そして、室内熱交換器135で凝縮した冷媒は、膨張弁134で減圧された後に室外熱交換器133に入る。室外熱交換器133で蒸発した冷媒が四路切換弁132を介して圧縮機131の吸入側に戻る。こうして、圧縮機131、室内熱交換器135、膨張弁134および室外熱交換器133で構成された冷媒回路を冷媒が循環して、冷凍サイクルを実行する。そして、室内ファン137により室内熱交換器135を介して室内空気を循環させることにより室内を暖房する。
【0097】
これに対して、冷房運転時(除湿運転時を含む)は、四路切換弁132を点線の切換え位置に切り換えて、圧縮機131を起動すると、圧縮機131から吐出された高圧冷媒が四路切換弁132を通って室外熱交換器133に入る。そして、室外熱交換器133で凝縮した冷媒は、膨張弁134で減圧された後に室内熱交換器135に入る。室内熱交換器135で蒸発した冷媒が四路切換弁132を介して圧縮機131の吸入側に戻る。こうして、圧縮機131、室外熱交換器133、膨張弁134および室内熱交換器135の順に冷媒が循環する冷凍サイクルを実行する。そして、室内ファン137により室内熱交換器135を介して室内空気を循環させることにより室内を冷房する。
【0098】
このような空気調和システム120に採用しても、上述の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0099】
上述の実施形態では、HEMSコントローラ15からの上限値設定信号及び上限値解除信号を受信することで、通常モードと上限値設定モードとの切り換えを行っていた。しかしそれに限定されず、ヒートポンプユニット30に付属する図示しない電力計またはリモコンからの信号により制御装置21が制御モードを切り換えてもよい。タンクユニット40の給湯タンク42からの信号、またはタンクユニット40に代えてエアコンを用いる場合は室内機からの信号により制御モードを切り換えてもよい。また、これらの切り換え制御は以下の切り換え制御と組み合わせてもよい。
【0100】
また、ヒートポンプユニット30自身が判断して切り換えてもよい。例えば、ヒートポンプユニット30の制御装置21に内蔵されたカレンダー機能、または時計などに予めプログラムされた条件が成立することで制御モードを切り換えてもよい。同様に、外気温度、使用状況または電流値により制御モードを切り換えてもよい。
【0101】
HEMSコントローラ15の代わりに、BEMSコントローラ、MEMSコントローラ等を採用してもよい。
【0102】
上限値設定モードは、ヒートポンプユニット30の使用電力に上限値を設けて運転するモードに限定されず、ヒートポンプユニット30の使用電流又は使用皮相電力に上限値を設けて運転するモードであってもよい。電流又は皮相電力は、電力よりも、検知が容易であり、安価なセンサで検知が可能である。