【実施例】
【0064】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0065】
参考例1:R407Cの移充填による供給元の液相組成変動の検討
10Lの密閉容器(供給元)に、23.0重量%のジフルオロメタン、25.0重量%のペンタフルオロエタン、及び52.0重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンの3成分からなる冷媒組成物(R407C)を9kg充填した。次いで、供給元の液温を10℃、20℃、30℃、及び40℃にそれぞれ調整し、ポンプにより毎分0.9kgの速度で密閉容器(供給先)へ移充填率が90%となるまで移充填を行った。また、移充填率が0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%及び90%の各時点において、液相側の導出配管の途中に設置したサンプリングバルブから移充填中のガスを一部採取し、液相組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。ジフルオロメタンの液相組成変動を
図1に、ペンタフルオロエタンの液相組成変動を
図2に、1,1,1,2−テトラフルオロエタンの液相組成変動を
図3にそれぞれ示す。
【0066】
図1〜3から、R407Cの液相組成の変動幅は移充填率が高くなるにつれて大きくなることが確認された。また、液温が高くなるにつれて液相組成の変動幅が大きくなることが確認された。なお、液相組成の変動幅は、冷媒組成物を構成する各成分が共通していたとしても、組成比、公差の幅、及び移充填率などが異なることから、本参考例1で使用したR407Cの結果を以って、本参考例1において用いた組成以外の組成を有する冷媒組成物について液相組成の変動幅を予測することは極めて困難である。
【0067】
参考例2:R407Hの移充填による供給元の液相組成変動の検討
10Lの密閉容器(供給元容器)に、32.5重量%のジフルオロメタン、15.0重量%のペンタフルオロエタン、及び52.5重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンの3成分からなる冷媒組成物(R407H)を9kg充填した。なお、本参考例2で用いた冷媒組成物の公差範囲組成は、ジフルオロメタンが31.5〜33.5重量%、ペンタフルオロエタンが14.0〜16.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが50.5〜54.5重量%(公差範囲A組成)である。
【0068】
次いで、各容器の液温を40℃に調整し、ポンプにより毎分0.9kgの速度で供給先容器へ移充填率が90%になるまで移充填を行った。また、移充填率が0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%及び90%の各時点において、液相側の導出配管の途中に設置したサンプリングバルブにから移充填中のガスを一部採取し、液相組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0069】
なお、日本においては高圧ガス保安法により40℃以上での容器の取り扱いが禁止されているが、日本国外においてはこのような基準はなく、移充填の作業環境を考慮した場合、40℃程度が最も過酷な条件であるため、液温が40℃である場合について試験を行った。
【0070】
結果を下記表1に示す。なお、下記表1中、下線を付した値は、上記した公差範囲A組成の範囲外であることを示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表1から、本参考例2において用いた冷媒組成物(R407H)は、移充填率が70%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の組成が公差範囲A組成の範囲内に収まることが確認された。一方、移充填率が80%となるまで移充填した場合には、ジフルオロメタンの液相組成が公差範囲A組成の範囲外となること、及び移充填率が90%となるまで移充填した場合にはジフルオロメタン及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンの液相組成が共に公差範囲A組成の範囲外となることが確認された。
【0073】
実施例1−1:冷媒組成物A1の導出
上記参考例2の結果を元に、R407Hを移充填率が70%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲A組成(ジフルオロメタンが31.5〜33.5重量%、ペンタフルオロエタンが14.0〜16.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが50.5〜54.5重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物A1)の検討を行った。
【0074】
具体的には、R407Hを移充填率が70%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲A組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例2と同様の方法により検討を行った。その結果を下記表2(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表3(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
表2及び3から、移充填率が70%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲A組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが32.5〜33.5重量%、ペンタフルオロエタンが14.3〜16.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが50.5〜53.2重量%(冷媒組成物A1)であることが分かった。
【0078】
実施例1−2:冷媒組成物A2の導出
上記参考例2の結果を元に、R407Hを移充填率が80%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲A組成(ジフルオロメタンが31.5〜33.5重量%、ペンタフルオロエタンが14.0〜16.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが50.5〜54.5重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物A2)の検討を行った。
【0079】
具体的には、冷媒組成物を移充填率が80%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲A組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前組成の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例2と同様の方法により検討を行った。結果を下記表4(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表5(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】
表4及び5から、移充填率が80%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲A組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが32.9〜33.5重量%、ペンタフルオロエタンが14.4〜16.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが50.5〜52.7重量%(冷媒組成物A2)であることが分かった。
【0083】
実施例1−2:冷媒組成物A3の導出
上記参考例2の結果を元に、R407Hを移充填率が90%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲A組成(ジフルオロメタンが31.5〜33.5重量%、ペンタフルオロエタンが14.0〜16.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが50.5〜54.5重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物A3)の検討を行った。
【0084】
具体的には、冷媒組成物を移充填率が90%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲A組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前組成の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例2と同様の方法により検討を行った。その結果を下記表6(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表7(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
【0087】
表6及び7から、移充填率が90%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲A組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが33.4〜33.5重量%、ペンタフルオロエタンが14.6〜16.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが50.5〜52.0重量%(冷媒組成物A3)であることが分かった。
【0088】
参考例3:R407Fの移充填による供給元の液相組成変動の検討
10Lの密閉容器(供給元容器)に、30.0重量%のジフルオロメタン、30.0重量%のペンタフルオロエタン、及び40.0重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンの3成分からなる冷媒組成物(R407F)を9kg充填した以外は、上記参考例2と同様にして試験を行った。なお、本参考例で用いた冷媒組成物の公差範囲組成は、ジフルオロメタンが28.0〜32.0重量%、ペンタフルオロエタンが28.0〜32.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが38.0〜42.0重量%(公差範囲B組成)である。結果を表8に示す。なお、下記表8中、下線を付した値は、上記した公差範囲B組成の範囲外であることを示す。
【0089】
【表8】
【0090】
表8から、本参考例3において用いた冷媒組成物(R407F)は、移充填率が80%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲B組成の範囲内に収まることが確認された。一方、移充填率が90%となるまで移充填した場合には、1,1,1,2−テトラフルオロエタンの組成が公差範囲B組成の範囲外となることが確認された。
【0091】
実施例2−1:冷媒組成物B1の導出
上記参考例3の結果を元に、R407Fを移充填率が70%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲B組成(ジフルオロメタンが28.0〜32.0重量%、ペンタフルオロエタンが28.0〜32.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが38.0〜42.0重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物B1)の検討を行った。
【0092】
具体的には、R407Fを移充填率が70%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲B組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例3と同様の方法により検討を行った。その結果を下記表9(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表10(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0093】
【表9】
【0094】
【表10】
【0095】
表9及び10から、移充填率が70%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲B組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが29.7〜31.0重量%、ペンタフルオロエタンが29.7〜31.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが38.0〜40.6重量%(冷媒組成物B1)であることが分かった。
【0096】
実施例2−2:冷媒組成物B2の導出
上記参考例3の結果を元に、R407Fを移充填率が80%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲B組成(ジフルオロメタンが28.0〜32.0重量%、ペンタフルオロエタンが28.0〜32.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが38.0〜42.0重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物B2)の検討を行った。
【0097】
具体的には、R407Fを移充填率が80%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲B組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例3と同様の方法により検討を行った。その結果を下記表11(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表12(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0098】
【表11】
【0099】
【表12】
【0100】
表11及び12から、移充填率が80%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲B組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが29.9〜31.0重量%、ペンタフルオロエタンが29.9〜31.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが38.0〜40.2重量%(冷媒組成物B2)であることが分かった。
【0101】
実施例2−3:冷媒組成物B3の導出
上記参考例3の結果を元に、R407Fを移充填率が90%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲B組成(ジフルオロメタンが28.0〜32.0重量%、ペンタフルオロエタンが28.0〜32.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが38.0〜42.0重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物B2)の検討を行った。
【0102】
具体的には、R407Fを移充填率が90%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲B組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例3と同様の方法により検討を行った。その結果を下記表13(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表14(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0103】
【表13】
【0104】
【表14】
【0105】
表13及び14から、移充填率が90%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲B組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが30.3〜31.0重量%、ペンタフルオロエタンが30.3〜31.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが38.0〜39.4重量%(冷媒組成物B3)であることが分かった。
【0106】
参考例4:D407HTの移充填による供給元の液相組成変動の検討
10Lの密閉容器(供給元容器)に、40.0重量%のジフルオロメタン、30.0重量%のペンタフルオロエタン、及び30.0重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンの3成分からなる冷媒組成物(D407HT)を9kg充填した以外は、上記参考例2と同様にして試験を行った。なお、本参考例で用いた冷媒組成物の公差範囲組成は、ジフルオロメタンが39.0〜41.0重量%、ペンタフルオロエタンが29.0〜31.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが28.0〜32.0重量%(公差範囲C組成)である。結果を表15に示す。なお、下記表15中、下線を付した値は、上記した公差範囲C組成の範囲外であることを示す。
【0107】
【表15】
【0108】
表15から、本参考例4において用いた冷媒組成物(D407HT)は、移充填率が70%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲C組成の範囲内に収まることが確認された。一方、移充填率が80%となるまで移充填した場合にはジフルオロメタンの液相組成が公差範囲C組成の範囲外となること、及び移充填率が90%となるまで移充填した場合にはジフルオロメタン及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンの液相組成が共に公差範囲C組成の範囲外となることが確認された。
【0109】
実施例3−1:冷媒組成物C1の導出
上記参考例4の結果を元に、D407HTを移充填率が70%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲C組成(ジフルオロメタンが39.0〜41.0重量%、ペンタフルオロエタンが29.0〜31.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが28.0〜32.0重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物C1)の検討を行った。
【0110】
具体的には、D407HTを移充填率が70%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲C組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例4と同様の方法により検討を行った。その結果を下記表16(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表17(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0111】
【表16】
【0112】
【表17】
【0113】
表16及び17から、移充填率が70%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲C組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが39.9〜41.0重量%、ペンタフルオロエタンが29.3〜31.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが28.0〜30.8重量%(冷媒組成物C1)であることが分かった。
【0114】
実施例3−2:冷媒組成物C2の導出
上記参考例4の結果を元に、D407HTを移充填率が80%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲C組成(ジフルオロメタンが39.0〜41.0重量%、ペンタフルオロエタンが29.0〜31.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが28.0〜32.0重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物C2)の検討を行った。
【0115】
具体的には、D407HTを移充填率が80%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲C組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例4と同様の方法により検討を行った。その結果を下記表18(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表19(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0116】
【表18】
【0117】
【表19】
【0118】
表18及び19から、移充填率が80%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲C組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが40.2〜41.0重量%、ペンタフルオロエタンが29.5〜31.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが28.0〜30.3重量%(冷媒組成物C2)であることが分かった。
【0119】
実施例3−3:冷媒組成物C3の導出
上記参考例4の結果を元に、D407HTを移充填率が90%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲C組成(ジフルオロメタンが39.0〜41.0重量%、ペンタフルオロエタンが29.0〜31.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが28.0〜32.0重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物C3)の検討を行った。
【0120】
具体的には、D407HTを移充填率が90%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲C組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例4と同様の方法により検討を行った。その結果を下記表20(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表21(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0121】
【表20】
【0122】
【表21】
【0123】
表20及び21から、移充填率が90%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲C組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが40.7〜41.0重量%、ペンタフルオロエタンが29.7〜31.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが28.0〜29.6重量%(冷媒組成物C3)であることが分かった。
【0124】
参考例5:R407Eの移充填による供給元の液相組成変動の検討
10Lの密閉容器(供給元容器)に、25.0重量%のジフルオロメタン、15.0重量%のペンタフルオロエタン、及び60.0重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンの3成分からなる冷媒組成物(R407E)を9kg充填した以外は、上記参考例2と同様にして試験を行った。なお、本参考例で用いた冷媒組成物の公差範囲組成は、ジフルオロメタンが23.0〜27.0重量%、ペンタフルオロエタンが13.0〜17.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが58.0〜62.0重量%(公差範囲D組成)である。結果を表22に示す。なお、下記表22中、下線を付した値は、上記した公差範囲D組成の範囲外であることを示す。
【0125】
【表22】
【0126】
表22から、本参考例5において用いた冷媒組成物(R407E)は、移充填率が80%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲D組成の範囲内に収まることが確認された。一方、移充填率が90%となるまで移充填した場合には1,1,1,2−テトラフルオロエタンの液相組成が公差範囲D組成の範囲外となることが確認された。
【0127】
実施例4−1:冷媒組成物D1の導出
上記参考例5の結果を元に、R407Eを移充填率が70%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲D組成(ジフルオロメタンが23.0〜27.0重量%、ペンタフルオロエタンが13.0〜17.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが58.0〜62.0重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物D1)の検討を行った。
【0128】
具体的には、R407Eを移充填率が70%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲D組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例5と同様の方法により検討を行った。その結果を下記表23(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表24(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0129】
【表23】
【0130】
【表24】
【0131】
表23及び24から、移充填率が70%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲D組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが24.4〜26.0重量%、ペンタフルオロエタンが14.9〜16.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが58.0〜60.7重量%(冷媒組成物D1)であることが分かった。
【0132】
実施例4−2:冷媒組成物D2の導出
上記参考例5の結果を元に、R407Eを移充填率が80%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲D組成(ジフルオロメタンが23.0〜27.0重量%、ペンタフルオロエタンが13.0〜17.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが58.0〜62.0重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物D2)の検討を行った。
【0133】
具体的には、R407Eを移充填率が80%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲D組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例5と同様の方法により検討を行った。その結果を下記表25(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表26(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0134】
【表25】
【0135】
【表26】
【0136】
表25及び26から、移充填率が80%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲D組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが24.8〜26.0重量%、ペンタフルオロエタンが14.9〜16.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが58.0〜60.3重量%(冷媒組成物D2)であることが分かった。
【0137】
実施例4−3:冷媒組成物D2の導出
上記参考例5の結果を元に、R407Eを移充填率が90%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲D組成(ジフルオロメタンが23.0〜27.0重量%、ペンタフルオロエタンが13.0〜17.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが58.0〜62.0重量%。)の範囲内に収まる組成範囲(冷媒組成物D3)の検討を行った。
【0138】
具体的には、R407Eを移充填率が90%となるまで移充填した場合に、供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲D組成の範囲内となる移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の下限値、及び移充填前の低沸点成分(ジフルオロメタン及びペンタフルオロエタン)組成の上限値について、前記参考例5と同様の方法により検討を行った。その結果を下記表27(低沸点成分組成の下限値の検討結果)及び表28(低沸点成分組成の上限値の検討結果)に示す。
【0139】
【表27】
【0140】
【表28】
【0141】
表27及び28から、移充填率が90%となるまで移充填した場合であっても供給元における冷媒組成物の液相組成が公差範囲D組成の範囲内に収まる組成範囲は、ジフルオロメタンが25.3〜26.0重量%、ペンタフルオロエタンが15.1〜16.0重量%、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが58.0〜59.6重量%(冷媒組成物D3)であることが分かった。
【0142】
以上の実施例1−1〜4−3までの結果を下記表29に示す。
【0143】
【表29】