(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直方体形状の電池モジュールであって、一方向に積層される複数の電池セルを含む電池積層体と、前記電池積層体の両端に位置する第1の端面および第2の端面に配置される一対のエンドプレートと、前記一対のエンドプレートに連結される拘束部材とを含んでいる、該電池モジュールと、
前記電池モジュールが配置される固定面を有するフレームであって、前記固定面が前記第1の端面および前記第2の端面に隣接する前記電池モジュールの一面と対向している、該フレームと、
前記電池モジュールを前記フレームに固定する固定部材と、を備え、
前記拘束部材は、前記固定面、前記第1の端面および第2の端面に対して隣接する前記電池モジュールの側面に沿って配置される本体部を含んでおり、前記固定面から離間するにつれて、前記複数の電池セルが積層される積層方向に働く外力に対する剛性が強くなるように、前記本体部が、前記第2の端面よりも前記第1の端面に近接する位置に設けられ、前記固定面から離間するにつれて前記第1の端面に近接する第1の方向に沿って延在する第1の補強部と、前記第1の端面よりも前記第2の端面に近接する位置に設けられ、前記固定面から離間するにつれて前記第2の端面に近接する第2の方向に沿って延在する第2の補強部と、を含んでいることを特徴とする電源装置。
直方体形状の電池モジュールであって、一方向に積層される複数の電池セルを含む電池積層体と、前記電池積層体の両端に位置する第1の端面および第2の端面に配置される一対のエンドプレートと、前記一対のエンドプレートに連結される拘束部材とを含んでいる、該電池モジュールと、
前記電池モジュールが配置される固定面を有するフレームであって、前記固定面が前記第1の端面および前記第2の端面に隣接する前記電池モジュールの一面と対向している、該フレームと、
前記電池モジュールを前記フレームに固定する固定部材と、を備え、
前記拘束部材は、前記固定面、前記第1の端面および第2の端面に対して隣接する前記電池モジュールの側面に沿って配置される本体部と、前記本体部から突出し、前記電池積層体に対して、前記エンドプレートの外側に位置する連結部と、を含んでおり、
さらに、前記拘束部材の連結部と前記一対のエンドプレートを連結する複数の連結部材であって、それぞれのエンドプレートに対して、前記拘束部材を介して前記固定面から離間する方向に位置する該エンドプレートの上端部の変位を抑制するように、該エンドプレートの上端側に偏って配置されている、該複数の連結部材を備え、
前記拘束部材は、前記固定面から離間するにつれて、前記複数の電池セルが積層される積層方向に働く外力に対する剛性が強くなるように形成されてなることを特徴とする電源装置。
直方体形状の電池モジュールであって、一方向に積層される複数の電池セルを含む電池積層体と、前記電池積層体の両端に位置する第1の端面および第2の端面に配置される一対のエンドプレートと、前記一対のエンドプレートに連結される拘束部材とを含んでいる、該電池モジュールと、
前記電池モジュールが配置される固定面を有するフレームであって、前記固定面が前記第1の端面および前記第2の端面に隣接する前記電池モジュールの一面と対向している、該フレームと、
前記電池モジュールを前記フレームに固定する固定部材と、を備え、
前記拘束部材は、前記固定面、前記第1の端面および第2の端面に対して隣接する前記電池モジュールの側面に沿って配置される本体部と、前記本体部から突出するとともに、前記固定面に対して平行な面に延在する複数の折曲部であって、前記電池積層体を挾持する複数の折曲部と、を含み、
前記複数の折曲部のうち、前記固定面に近接する折曲部を第1の折曲部とし、前記固定面から離間する位置に設けられる折曲部を第2の折曲部とした際に、前記複数の電池セルの積層方向に対して垂直な断面において、前記第1の折曲部が、前記第2の折曲部よりも、前記本体部から突出する長さが短くなるように形成され、前記拘束部材が、前記固定面から離間するにつれて、前記複数の電池セルが積層される積層方向に働く外力に対する剛性が強くなるように形成されてなることを特徴とする電源装置。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリットカー、電気自動車が普及している。これらの車両には走行用モータが搭載されるとともに、走行用モータに電力を供給する電源装置が搭載される。車載用の電源装置にはリチウムイオン電池、ニッケル水素電池が用いられることが一般的である。
【0003】
この種の電源装置は、複数の電池ジュールを組み合わせて構成されることが多い。高出力の電源装置を設計する場合には、直列接続される複数の電池セルを含む電池モジュールが用いられる。また、高容量の電源装置を設計する場合には、並列接続される複数の電池セルを含む電池モジュールが用いられる。電池モジュールは、このように、要求される電源装置の性能に応じて、直列接続と並列接続を組み合わせて複数の電池セルを接続して構成される。
【0004】
電池セルは、充放電や劣化に応じて、膨張したり、収縮したりするため、複数の電池セルを拘束、集合化して電池モジュールが形成される。この種の電池モジュールを備える電源装置として、一方向に積層される複数の電池セルと、両端に配置される一対のエンドプレートと、エンドプレートに固定され、電池セルを拘束する拘束部材と、を備える電源装置の構成が提案されている(特許文献1)。特許文献1の電源装置は、電池モジュールの両側面に配置されるプレート状の拘束部材を備えており、拘束部材はエンドプレートに連結される。この構成により、拘束部材およびエンドプレートを介して、電池セルの膨張を抑制できるようになっている。
【0005】
上述の構成において、拘束部材は、エンドプレートを介して電池セルを押圧する一方で、拘束部材にその反力がかかる。具体的には、拘束部材に対して、電池セルの積層方向に引張力が加わる。そのため、電池モジュールごとに予め実験等が行われ、電池セルの膨張に起因して拘束部材にかかる外力(引張力)を見積もる。そして、予想される外力に対して、拘束部材が破断しないように、拘束部材の材質や厚さ、形状などを設計する。
【0006】
一方、電源装置を車両に搭載する場合、さまざまな構成を採用することができる。一般的には、車両の組み立てと電源装置の組み立ては別の工程で行われるため、電源装置を車両に搭載する場合、電池モジュールをプレートや外装ケース等のフレームに固定する構成が採用されることが多い。例えば、特許文献1の電源装置の場合、電池モジュールを外装ケースの上に載置し、外装ケースにエンドプレートを固定する構成を採用することができる。具体的には、エンドプレートに固定用の貫通孔を設け、ボルト等の固定部材を介して、外装ケースに固定される。この構成によると、プレートや外装ケースなどのフレームを車体に固定することで電源装置を車両に搭載することができるので、組み立てられた状態の電源装置を容易に車両に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のある態様の電源装置は、少なくとも一つの電池モジュール100を備えており、ハイブリッドカーや電気自動車等の車両に搭載される。また、図示はしないが、電源装置には、電池モジュール100の状態を監視する監視部が実装される回路基板等の電装部品が含まれる。
図1に示すように、電池モジュール100は、ボルト等の固定部材300を介して、外装ケースやプレート等のフレーム200に固定される。電源装置は、このフレーム200を介して車両に固定される。なお、フレーム200は、車両の一部を構成する部材であってもよい。
【0015】
図1および
図2は、本発明の実施形態における電池モジュール100の構成を説明するための図である。電池モジュール100は、複数の電池セル11からなる電池積層体10と、電池積層体10の両端に配置される一対のエンドプレート20と、一対のエンドプレート20に連結され、電池積層体10を集合化する拘束部材30を含む。
【0016】
図2に示すように、電池セル11は、扁平な直方体形状の外装缶を有する角形電池である。外装缶は、金属で形成されており、内部に極板や電解液等の発電要素が封入される。外装缶の上面には、正負の電極端子11aが設けられる。電池セル11は、正負の電極端子11aから電池セル11が蓄電した電力を取り出すことができるようになっている。
【0017】
電池セル11は、電極端子11aを上方へ向けた状態で一方向に積層して配置されて電池積層体10を構成している。正負の電極端子11aは、外装缶の上面の両端に設けられており、電池セル11を反転させて配置することで、隣接する電池セル11の正負の電極端子11aを近接させることができる。近接する正負の電極端子11aはバスバー12によって接続され、隣接する電池セル11が直列接続される。なお、同極の電極端子11aを近接するように電池セル11を積層することで、隣接する電池セル11を、バスバー12を介して並列接続することもできる。
図2に例示する電池モジュールでは、6つの電池セル11の電極端子11aを一つのバスバー12が接続しており、このバスバー12によって、並列接続された3つの電池セル11同士が直列に接続されるようになっている。
【0018】
電池積層体10を構成する複数の電池セル11のうち、隣接する電池セル11間には、それぞれスペーサ13が配設される。スペーサ13は、絶縁性の樹脂で形成され、隣接する電池セル11を絶縁する。電池セル11の外装缶は、金属製であるため電位を有しており、スペーサ13等を用いて隣接する電池セル11同士を絶縁する必要がある。隣接する電池セル11を絶縁するための構成としては、スペーサ13のほか、電池セルの外装缶に絶縁性のシートを巻きつける構成なども知られている。このような構成の一例としては、熱収縮性のシュリンクチューブがある。シュリンクチューブは、熱を加えることで収縮する絶縁性のシートであり生産性に優れる。一方で、シュリンクチューブは、比較的強度が弱い。そのため、絶縁の信頼性を確保する目的で、スペーサ13とシュリンクチューブの両方を備える構成を採用することもできる。
【0019】
図2、
図3に示すように、スペーサ13は、各々の電池セル11の対向する面の間に位置する絶縁部13aと、電池セル11の上面、側面、底面等の一部の面を覆うように、絶縁部13aから電池セル11に向けて突出するリブ13bとを含む。複数のリブ13bが設けられるスペーサ13は、リブ13bの間に電池セル11を嵌合させることができ、電池セル11を積層する際に、電池セル11の位置ずれを抑制することができる。また、図示はしないが、スペーサ13は、必要に応じて、絶縁部13aの電池セル11と対向する面に溝を形成する構成とすることもできる。この構成によると、電池セル11と絶縁部13aの間に隙間が形成され、隙間に冷却風を送風することで電池セル11を冷却することができる。
【0020】
上述の通り、一対のエンドプレート20は、電池積層体10の両端に配置されるが、具体的には、電池セル11の積層方向における電池積層体10の両端に位置する一対の端面にそれぞれ配置される。一対のエンドプレート20には、電池セル11の積層方向に延在する拘束部材30が固定される。拘束部材30は、電源装置として使用される充電率の範囲および環境温度のうちの任意の状態において、常に電池積層体10を加圧した状態で拘束できるように、電池セル11の積層方向に圧縮された状態の電池積層体10を拘束するようになっている。この構成によると、例えば、電池セル11は、環境温度が低くなったり、放電されたりすることで収縮するが、寸法が収縮した状態でも電池積層体10を拘束することができる。
【0021】
また、エンドプレート20は、ボルト等の固定部材300が挿通可能に構成される固定用の貫通孔21が形成される。電池モジュール100は、エンドプレート20に形成された貫通孔21に挿通される固定部材300を介して、フレーム200に固定される。なお、
図1では、電池モジュール100がフレーム200の上に載置される構成について図示しているが、必ずしも、電池モジュール100をフレーム200に載置する必要はない。フレーム200から電池モジュール100が吊り下げられる構成など種々の構成を採用することもできる。
【0022】
拘束部材30は、電池積層体10の対向する二面に沿って配置されるプレート状の本体部31と、エンドプレート20に固定される連結部32とを含む。なお、拘束部材30の本体部31が配置される電池積層体10の対向する二面は、エンドプレート20が配置される一対の端面および電池モジュール100が固定される固定面200aに対して隣接する面となる。拘束部材30は、電池積層体10を均等な力で拘束する必要があるため、電池積層体10の対向する二面に配置する必要があるが、フレーム200と電池モジュール100との固定構造との物理的な干渉を避ける必要もあるため、拘束部材30の本体部31は、固定面200aに対して隣接する電池積層体10の両側面に沿って配置される。
【0023】
拘束部材30の本体部31および連結部32は、板材を折曲して形成され、連結部32には、ネジやリベットなどの連結部材33が挿通される貫通孔が形成される。拘束部材30は、連結部32の貫通孔に挿通される連結部材33によって、エンドプレート20に固定される。エンドプレート20に固定される拘束部材30は、エンドプレート20の変位を抑制することができる。扁平な直方体形状の外装缶を有する電池セル11は、充電されたり、劣化したりすることで、特に外装缶の幅広面が、電池セル11の中心に対して外側に広がるように膨張するが、この構成により、電池積層体10を構成する電池セル11の膨張が抑制される。
【0024】
なお、上述の通り、拘束部材30は、電源装置として使用される充電率の範囲および環境温度のうちの任意の状態において、常に電池積層体10を加圧した状態で拘束できるように構成されている。つまり、拘束部材30には、常に積層方向への引張力が働くことになる。拘束部材30は、この引張力に対する強度を有することで、拘束部材30の変形およびエンドプレート20の変位を抑制することができ、電池セル11の膨張を抑制できるようになっている。
【0025】
図1に示すように、拘束部材30の本体部31には、複数の開口が形成されている。本体部31に形成される開口は、拘束部材30の軽量化に寄与している。拘束部材30は、電池セル11の膨張を抑制できるようにある程度の強度が必要であるが、一方で、電池モジュール100の重量の増加は好ましくない。従って、拘束部材30は、ある程度の強度を保ちつつ、軽量化を行う必要がある。強度を保ちつつ、軽量化するには、プレート状の拘束部材30に、開口を設ける構成が効果的である。このように開口を設けることで、強度の低下を最小限にとどめながら、拘束部材の軽量化が図ることができる。
【0026】
なお、電池セル11とスペーサ13の間に隙間を設ける構成を採用する場合には、本体部31に形成される開口をスペーサ13と電池セル11の間に設けられる隙間に対応させて形成することが好ましい。この構成によると、拘束部材30の開口から送風される冷却風がスペーサ13と電池セル11の間に形成される隙間を通過するように構成することができる。
【0027】
次に、本体部31に設けられる開口の形状と拘束部材の強度について説明する。本発明の実施形態を含む三つのパターンの形状の開口を有する拘束部材をそれぞれ
図4、
図5、
図6として図示している。このうち、
図4、
図5は、本発明の比較例における拘束部材の構成を図示したものであり、
図6は本発明の実施形態における拘束部材の構成を図示したものである。
【0028】
図4は、第1の比較例における電池モジュール100Aの側面図である。電池モジュール100Aは、本体部31Aに大きな開口を形成する形状の拘束部材30Aを備えている。拘束部材30Aは、本体部31Aに形成される開口の両側に延在する二本のバーを備える形状となる。拘束部材30Aは、電池セル11の積層方向に延びる二本のバーが電池セル11の膨張を抑制する。
【0029】
一方向に延在するバー形状の部材は、延在方向への引張力に対しては、比較的高い強度を有する。一方、延在方向への圧縮力に対しては、座屈が起こるため、引張力に対する強度と比べると弱くなる。また、延在方向に対して垂直方向の力に対しては、せん断方向に力が加わることになるので、延在方向への力に対する強度と比べると格段に弱くなる。拘束部材30Aは、電池セルの積層方向に沿って、拘束部材30Aの二本のバーが延在する構成となっている。
【0030】
上述の通り、電源装置として使用される充電率の範囲および環境温度のうちの任意の状態において、常に電池積層体10を加圧した状態で拘束できるように構成されているため、電池セルが収縮したとしても、拘束部材30にかかる引張力が弱くなるだけである。基本的には、拘束部材に対して、電池セルの積層方向への圧縮力が働くことはないため、拘束部材30Aの延在方向への圧縮力に対する強度は問題とはならない。また、電池セルの膨張に起因する積層方向への引張力に対しては、バーの延在方向が一致しているので、充分な強度を有する。
【0031】
しかしながら、車両へ電源装置を搭載した場合、車両の振動によって電池モジュールに対して上下方向の外力が加わることは有り得る。このような上下方向に加わる外力が大きい場合、拘束部材は、延在方向の強度だけではなく、延在方向に対して垂直な方向の強度についても考慮する必要がある。
【0032】
図5は、第2の比較例における電池モジュール100Bの側面図であり、垂直方向に働く力に対する強度を有する拘束部材30Bを図示したものである。拘束部材30Bは、本体部31Bに複数の開口が形成される。複数の開口のうち、各々の開口の間には、電池セル11の積層方向に対して垂直方向に延びる補強部34Bが設けられている。
図4の拘束部材30Aと比較すると、電池セルの積層方向に対して垂直方向に延びる補強部34Bがあることで、垂直方向の力に対する強度を高めることができる。従って、例えば、車両の走行時における振動が比較的大きい車両などに電源装置が搭載される場合には、
図5の拘束部材30Bを備える構成とすることが好ましい。
【0033】
図6は、上述の本発明の実施形態における拘束部材30を備えた電池モジュール100の側面図である。拘束部材30は、複数の開口が形成されており、各々の開口の間に補強部が設けられている。複数の補強部は、
図6に示すように、平面視において、積層方向に対して交差する方向に延在している。具体的には、複数の補強部は、異なる方向に延在する三種類の補強部を含む。
【0034】
ここで、電池積層体の一対の端面と、電池モジュールが固定される固定面200aを使って、補強部の延在方向について説明する。
図7に示すように、電池積層体10の一対の端面の一方を第1の端面10L、他方を第2の端面10Rとし、固定面200aと対向する面を底面10Bする。平面視において、拘束部材30の中心軸A1−A2に対して、第1の端面10L側に第1の補強部34Lが設けられ、第2の端面10R側に第2の補強部34Rが設けられる。また、第3の補強部34Vは、第1の端面10Lから第2の端面10Rにかけて均等に設けられている。第1の補強部34Lは、第1の端面10Lから底面10Bにかけて交差する第1の方向に沿って延在する。具体的には、第1の方向は、第1の端面10L上の任意の点および底面10B上の任意の点を結ぶ線分に対して平行な方向となる。第2の補強部34Rは、第2の端面10Rから底面10Bにかけて交差する第2の方向に沿って延在する。具体的には、第2の方向は、第2の端面10R上の任意の点および底面10B上の任意の点を結ぶ線分に対して平行な方向となる。つまり、第1の補強部34Lは、固定面200aから離間するにつれて第1の端面10Lに近接する方向に延在し、第2の補強部34Rは、固定面200aから離間するにつれて第2の端面10Rに近接する方向に延在する構成となる。なお、第3の補強部34Vは、電池セル11の積層方向に対して垂直な方向に沿って延在する。
【0035】
次に、上述の構成の電源装置において、電池セル11が膨張した場合のエンドプレート20の変位について説明する。拘束部材30は、一対のエンドプレート20間の距離を一定に保つような働きがあるが、厳密には、拘束部材30が若干変形し、エンドプレート20は変位することになる。一方、上述の通り、エンドプレート20は、フレーム200に対しても固定されている。フレーム200は、車体のフレームや複数の電池モジュール100を収納する外装ケースであるため、電池モジュール100の拘束部材30に対して比較的大きな構造体である。そのため、フレーム200は、拘束部材30の変形量と比較すると、実質的にほとんど変形しない。本発明者は、フレーム200に固定された状態の電池モジュール100において、電池セル11が膨張すると、エンドプレート20の上端が、下端(底面10B側の端部)と比べて大きく変位することを見出した。このように、フレームに電池モジュールを固定した状態において、電池積層体10を構成する電池セル11が膨張すると、エンドプレートが非対称的に変位し、エンドプレート20に固定されている拘束部材30は、歪み変形を引き起こす。
【0036】
図8および
図9は、
図5の拘束部材30Bを備えた電池モジュールをフレームに固定した状態を再現する簡易的なモデルである。このモデルでは、拘束部材30Bは、
図8に示すように節点、支点(固定端)および節点や支点を結ぶフレーム要素で表現される。
図8、
図9のモデルは、電池セル11の積層方向に対して垂直方向に延びる三つの補強部34Bを有する拘束部材30Bを再現している。具体的には、8つの節点n1〜n8と、2つの支点c1、c2と、13個のフレーム要素とで構成される。上述の通り、拘束部材が連結される一対のエンドプレートは、車体のフレームに固定されており、実質的に変位しないため、
図8のモデルにおいても、両端の支点は、固定端として図示されている。このモデルにおいて、
図9に示すように、電池セルの膨張に伴う外力Pが拘束部材に加わると、拘束部材30Bの上端に対応する節点が大きく変位することになる。支点や節点は、拘束部材30Bの形状に対応するので、
図9は、節点の変位に応じて拘束部材30Bが歪み変形を起こすことを示している。
【0037】
図10および
図11は、
図6に示す本発明の実施形態における拘束部材30を備えた電池モジュールをフレームに固定した状態を再現する簡易的なモデルである。このモデルでは、拘束部材30は、
図10に示すように節点、支点(固定端)および節点や支点を結ぶフレーム要素で表現される。
図10、
図11のモデルは、二つの第1の補強部34Lと、二つの第2の補強部34Rと、三つの第3の補強部34Vを有する拘束部材30を再現している。具体的には、8つの節点n1〜n8と、2つの支点c1、c2と、17個のフレーム要素とで構成される。上述の通り、拘束部材が連結される一対のエンドプレートは、車体のフレームに固定されており、実質的に変位しないため、
図10のモデルにおいても、両端の支点は、固定端として図示されている。
図10、
図11において、節点n1と節点n3を結ぶフレーム要素と、節点n2と節点n4を結ぶフレーム要素が、第1の補強部34Lに対応し、節点n5と節点n6を結ぶフレーム要素と、節点n7と節点n8を結ぶフレーム要素が、第2の補強部34Rに対応する。このモデルにおいて、
図11に示すように、電池セルの膨張に伴う外力Pが拘束部材に加わっても、拘束部材30の上端に対応する節点の変位を抑制することができる。具体的には、同じ外力を加えた場合は、
図11のモデルのほうが
図9のモデルのほうがよりも変位量が小さくなる。
【0038】
本発明の実施形態の拘束部材30は、それぞれの補強部34(34L、34V、34R)が、補強部の延在方向に対する外力を分担すると共に、第1の補強部34Lと第2の補強部34Rがブレース構造を構成するため、拘束部材30は、本体部31の歪み変形に対する強度も有する。なお、ブレース構造と、外力との関係については
図10に示す。四角形の枠形状を形成するようにフレーム要素を連結する構成において、対角に延在するフレーム要素がブレース構造となるが、
図12に示すように、ブレース構造を設けることで、上端の変位量を小さくすることができる(d2−d1>0)。
【0039】
また、上述の通り、本発明の実施形態の拘束部材30は、拘束部材30の中心軸A1−A2に対して、第1の端面10L側に第1の補強部34Lが設けられ、第2の端面10R側に第2の補強部34Rが設けられている。
図11の各々の節点の変位から明らかなように、第1の補強部34Lおよび第2の補強部34Rには、引張力が加わることになる。そのため、本発明の実施形態のように、拘束部材30の中心軸A1−A2に対して、第1の端面10L側に第1の補強部34Lを設け、第2の端面10R側に第2の補強部34Rが設ける構成とすることで、効果的に拘束部材30の変形を防止することができる。
【0040】
以上の通り、フレーム200に電池モジュール100を固定する構成では、エンドプレート20の下端は、ほとんど変位しないが、エンドプレート20の上端は、拘束部材30によって固定されているだけであり、拘束部材30が変形すると変位することになる。本発明の実施形態の電源装置は、拘束部材30に第1の補強部34Lおよび第2の補強部34Rを設けることで、このエンドプレートの上端の変位を抑制できるようになっている。そのため、上述の構成の電源装置の構成を採用することで、拘束部材30の歪み変形を抑制できる。
【0041】
図13は、本発明の実施形態の変形例を示すエンドプレート20側から見た電池モジュール100の側面図である。上述の通り、拘束部材30は、エンドプレート20に連結部材33を介して、連結部32が固定される。
図13に示すように、変形例では、固定面から離間する方向に沿って、連結部材33が密集して位置するように、エンドプレート20に対して連結部材33が偏在して設けられる。具体的には、エンドプレート20の水平方向の中心軸B1−B2に対して、連結部材33が、エンドプレート20の上端側に偏って配置される。この構成により、拘束部材30の上端側の剛性を高めることができ、エンドプレート20の上端の変位を抑制することができる。
【0042】
一方、
図9、
図11に示すように、エンドプレートの下端が固定端となるモデルにおいて、電池セル11の膨張に起因する外力Pが拘束部材に働いた場合、エンドプレートだけでなく電池モジュールの中央部分に対応する箇所も上方向に変位する。特に、エンドプレート20に対応する位置は固定端となっているので、拘束部材30の中央部分のみが上方に変位し、拘束部材30に曲げ変形が生じる。このような変形が起こると、曲げ方向の内側に応力が集中することになる。上述の構成では、エンドプレート20の変位を抑制することで拘束部材30の歪み変形を抑制しているが、完全に変形を阻止できるわけではない。従って、フレーム200に電池モジュール100を固定する構成において、電池セル11の膨張に起因する外力の大きさによっては、拘束部材の下端側(固定面200a側)に応力が集中する。
【0043】
図14は、エンドプレート20側から見た電池モジュール100の側面図である。
図14に示すように、拘束部材30は、さらに、本体部31から突出するとともに、固定面200aに対して平行な面に延在する複数の折曲部を備えている。複数の折曲部は、固定面200a側の端部に設けられる第1の折曲部35aと、固定面200aから離間する側の端部に設けられる第2の折曲部35bとを含む。本発明の実施形態では、電池セル11の底面(底面10B)側に第1の折曲部35aが位置し、電池セル11の電極端子11a側に第2の折曲部35bが位置している。電池積層体10は、第1の折曲部35aと第2の折曲部35bの間に配置される。電池積層体10を構成する電池セル11は、第1の折曲部35aおよび第2の折曲部35bによって上下方向の移動が規制される。本発明の実施形態では、第1の折曲部35aのほうが、第2の折曲部35bよりも、本体部31から突出する長さが短くなるように形成される。第1の折曲部35aは、拘束部材の下端側に設けられているが、第2の折曲部35bの突出する長さを短くすることで、拘束部材30の下端側の剛性が低減し、応力を緩和することができるようになっている。
【0044】
なお、上述の構成では、第1の折曲部35aと第2の折曲部35bの本体部31から突出する長さを異ならせることで、拘束部材30の下端側の剛性が低減するように構成しているが、第1の折曲部35aと第2の折曲部35bの材厚、補強用のリブの有無等によって、拘束部材30の下端側の剛性が低減するように構成することもできる。
【0045】
図15に示すように、本発明の実施形態における電池モジュール100は、冷却装置を備える構成とすることもできる。冷却装置は、熱伝導性の高い冷却ジャケット40と、冷却ジャケット40内に流れる冷媒と、冷却ジャケット40の表面に配置される絶縁性の熱伝導部材41と、を含む。冷却ジャケット40は、金属製の板材で、内部に冷媒が流れる配管を有している。冷却ジャケット40は、電池積層体10とフレーム200の間に配置される。
【0046】
図16は、電池モジュール100の断面図、
図17は、電池モジュール100の底面図である。
図16に示すように、冷却ジャケット40と電池積層体10との間には、絶縁性の熱伝導部材41は配置される。熱伝導部材41は、絶縁性の熱伝導シートや、絶縁性のシリコーンゲル、接着剤等を用いることができる。拘束部材30の第1の折曲部35aは、複数の貫通孔が形成される取り付け部を有しており、貫通孔に挿通されるボルト42が設けられる。冷却ジャケット40は、この貫通孔に挿通されるボルト42を介して、拘束部材30に固定される。
【0047】
また、この構成によると、電池積層体10と拘束部材30の第1の折曲部35aとの間に、ボルト42のヘッド部分が位置することになる。
図3、
図16に示すように、本発明の実施形態では、スペーサ13の下部に段部13cを形成し、段部13cが第1の折曲部35aとの間にボルト収納空間を形成する。この構成により、第1の折曲部35aの貫通孔に挿通されるボルト42と電池積層体10が干渉しないようになっている。
【0048】
一方、拘束部材30の第1の折曲部35aを介して、冷却ジャケット40を固定する構成の場合、ボルト42を挿通させるための貫通孔が形成できるように、第1の折曲部35aは、ある程度の長さで本体部31から突出させる必要がある。しかしながら、上述の通り、拘束部材30の下端部における応力集中を緩和させるためには、第1の折曲部35aが本体部31から突出する長さを短くする必要がある。そのため、本発明の実施形態では、
図17に示すように、第1の折曲部35aにおいて、本体部31から突出する長さが異なる第1の領域36と第2の領域37を設け、ボルト42が挿通する貫通孔が形成される複数の取り付け部を第2の領域37に形成するようになっている。この構成によると、冷却装置を電池モジュールに備えながら、第1の折曲部35aの突出量の増加を最小限とすることができ、応力集中による拘束部材30の破損を防止することができる。
【0049】
上述の実施形態では、主にプレート状の拘束部材について説明しているが、他の構成の拘束部材を採用することもできる。
図18は、本発明の他の実施形態を示す電池モジュール100dの側面図である。拘束部材の構成が異なっていたとしても、フレーム200に電池モジュールを固定する構成では、エンドプレート20の下端は、ほとんど変位しないが、エンドプレート20の上端は、拘束部材30によって固定されているだけであり、拘束部材30が変形すると、エンドプレート20の上端が変位することになる。
図19は、
図18の電池モジュール100dにおいて、電池セル11が膨張した際の電池セルの変位を示している。
【0050】
図18に示すように、電池モジュール100dは、拘束部材として、電池モジュール100dの上端と下端にそれぞれ一対のバインドバー30dが設けられている。バインドバー30dは、バー形状の拘束部材で、両端に配置されている一対のエンドプレート20に連結される。バインドバー30dは、電池モジュール100dの上下面に配置することもできるし、電池モジュールの側面に沿って配置することもできる。いずれの構成においても、上端側に位置するバインドバーの剛性を高めることで、エンドプレート20の上端の変位を抑制することができる。拘束部材としてバインドバー30dを備える構成の場合、具体的には、上端側に配置されるバインドバー30dの材厚や曲げ加工などを加えることで、上端側に位置するバインドバー30dの剛性を高めることができる。また、この構成では、部材が分離されているので、上下のバインドバー30dを異なる材質で構成することで、上端側に位置するバインドバー30dの剛性を高めることもできる。
【0051】
なお、拘束部材として、上面と下面にそれぞれ一対のバインドバー30dを設ける上述の構成の電池モジュール100dの場合、エンドプレート20の変位によるバインドバー30dの変形は、本発明の実施形態とは若干異なる部分がある。以下に、
図19に基づいて、上面と下面にそれぞれ一対のバインドバー30dを設ける上述の構成の電池モジュール100dにおけるエンドプレート20の変位とバインドバー30dの変形について説明する。
【0052】
上述の通り、エンドプレート20の下端が固定端となる構成において、電池セル11の膨張に起因する外力Pが拘束部材に働いた場合、エンドプレート20だけでなく電池モジュール100dの中央部分に対応する箇所も上方向に変位することになる。従って、電池モジュール100dも、
図19に示すような変位が起こる。なお、
図19は、現象の理解を助けるために誇張して表現している。
図19に示すような変位が起こると、下面側に配置されているバインドバー30dは、実質的に変形しないが、上面に配置されているバインドバー30dは、中央部分に位置する電池セルによって、上方へ押し上げられる。この状態では、上面に位置するバインドバー30dにせん断方向の外力が加わることになるため、バインドバーが破断するおそれがある。このような変位は、エンドプレート20の変位を抑制することで抑制できるため、
図18に示す電池モジュールにおいても、上端側に位置するバインドバー30dの剛性を高めることで、拘束部材の破断や破損を防止できるようになる。
【0053】
以上、本発明を実施の形態を基に説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。