(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車輌に設けられた複数のアンテナから検出用信号を送信する車載機と、該車載機から送信された前記検出用信号を受信し、受信した前記検出用信号に応じた応答信号を送信する複数の携帯機とを備え、前記車載機は該携帯機から送信された前記応答信号を受信することで前記携帯機の位置検出を行う車載通信システムであって、
前記車載機は、
前記検出用信号の送信に先立って、前記携帯機による該検出用信号の受信処理を開始させるための処理開始信号を、前記アンテナから送信し、該処理開始信号を受信した携帯機からの応答を待つことなく、前記処理開始信号の送信に次いで、前記検出用信号を前記複数のアンテナから該複数のアンテナ毎に異なるタイミングで連続的に送信する車載送信部を備え、
前記処理開始信号及び前記検出用信号は前記複数の携帯機が共通で受信する信号であり、
前記車載機は、
一の前記アンテナが前記処理開始信号を送信した場合、次いで他の前記複数のアンテナのいずれか一つが前記検出用信号を送信するようにしてあり、
前記携帯機は、
前記車載送信部にて送信された前記処理開始信号を受信した場合、前記検出用信号の受信を開始し、前記車載送信部にて送信された前記検出用信号を受信する携帯受信部と、
該携帯受信部が前記検出用信号を受信した場合、受信した前記検出用信号に応じた情報を含む前記応答信号を送信する携帯送信部と
を備える車載通信システム。
車輌に設けられた複数のアンテナから、複数の携帯機の位置を検出するための検出用信号を送信し、該携帯機から該検出用信号に応じて送信された応答信号を受信することで前記携帯機の位置検出を行う車載機であって、
前記検出用信号の送信に先立って、前記携帯機による該検出用信号の受信処理を開始させるための処理開始信号を、前記アンテナから送信し、該処理開始信号を受信した携帯機からの応答を待つことなく、前記処理開始信号の送信に次いで、前記検出用信号を前記複数のアンテナから該複数のアンテナ毎に異なるタイミングで連続的に送信する車載送信部を備え、
前記処理開始信号及び前記検出用信号は前記複数の携帯機が共通で受信する信号であり、
一の前記アンテナが前記処理開始信号を送信した場合、次いで他の前記複数のアンテナのいずれか一つが前記検出用信号を送信する
車載機。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
<車載通信システムの構成>
図1は車載通信システムの一構成例を示す模式図である。本実施形態に係る車載通信システムは、車輌Cに設けられた複数のLF送信アンテナ22及びRF受信アンテナ21を用いて各種信号を送受信する車載機1と、該車載機1との間で該信号を送受信する複数の携帯機3とを備える。車載機1は、携帯機3の位置検出を行い、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理等、携帯機3の位置検出の結果を利用した所定処理を実行する。本実施形態において位置検出とは、携帯機3が車内にあるか、車外にあるかの判定を行う車内外判定を言う。なお、本発明における位置検出の意味は必ずしもこれに限定されるものでは無い。
複数のLF送信アンテナ22は、例えば、運転席アンテナ22a、助手席アンテナ22b、第1車内アンテナ22c、第2車内アンテナ22d、バックドアアンテナ22e等であり、各LF送信アンテナ22はLF帯の電波を用いて信号を送信する。なおLF帯は信号を送信する電波帯域の一例であり、必ずしもこれに限定されない。運転席アンテナ22a及び助手席アンテナ22bは、それぞれ運転席側のピラー及び助手席側のピラーに配されている。第1車内アンテナ22cは車輌Cの前部に設けられ、第2車内アンテナ22dは車輌Cの中央部に配されている。バックドアアンテナ22eは車輌Cのバックドアに配されている。
ここで第1車内アンテナ22c及び第2車内アンテナ22dは主に車内にある携帯機3に対して各種信号を送信することにより、車内にある携帯機3の位置検出を行うためのものである。第1車内アンテナ22c及び第2車内アンテナ22dは、主に各アンテナ近傍の車内領域に対してそれぞれ各種信号を送信している。より詳細には、第1車内アンテナ22c及び第2車内アンテナ22dは、主に車内にある携帯機3に対して、該携帯機3の位置を検出するための処理を開始させるための処理開始信号を送信する車内アンテナとして機能する。なお、携帯機3の位置を検出するための検出用信号は、基本的に全てのLF送信アンテナ22から送信する構成であり、車外にある携帯機3の位置を検出する際も、第1車内アンテナ22c及び第2車内アンテナ22dは該携帯機3へ検出用信号を送信するアンテナとして機能する。
2つの車内アンテナ、即ち第1車内アンテナ22c及び第2車内アンテナ22dを設けているのは、車内の全領域を1つのLF送信アンテナ22ではカバーできない、つまり1つのLF送信アンテナ22から送信される各種信号を車内の全領域で携帯機3が受信できるものではないためである。
一方、運転席アンテナ22a、助手席アンテナ22b、バックドアアンテナ22eは主に車外にある携帯機3に対して各種信号を送信することにより、車外にある携帯機3の位置検出を行うためのものである。運転席アンテナ22a、助手席アンテナ22b、バックドアアンテナ22eは、主に各アンテナ近傍の車外領域に対してそれぞれ各種信号を送信している。より詳細には、運転席アンテナ22a、助手席アンテナ22b、バックドアアンテナ22eは、主に車外にある携帯機3に対して処理開始信号を送信する車外アンテナとして機能する。なお、携帯機3の位置を検出するための検出用信号は、基本的に全てのLF送信アンテナ22から送信する構成であり、車内にある携帯機3の位置を検出する際も、運転席アンテナ22a、助手席アンテナ22b、バックドアアンテナ22eは該携帯機3へ検出用信号を送信するアンテナとして機能する。
なお、以下の説明では、位置検出用信号を全てのLF送信アンテナ22から送信する例を説明するが、状況に応じて一部の複数のLF送信アンテナ22から検出用信号を送信する構成が本発明から排除されるものでは無い。
本実施形態1では6個の携帯機3、即ち第1携帯機31、第2携帯機32、第3携帯機33、第4携帯機34、第5携帯機35及び第6携帯機36が存在するものとして説明する。
【0026】
図2は車載機1の一構成例を示すブロック図である。車載機1は、該車載機1の各構成部の動作を制御する車載制御部10を備える。車載制御部10は、例えば一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU等を有するマイコンである。車載制御部10には、車載受信部11、車載送信部12、車載機用記憶部13及び車載機用計時部14が設けられている。
【0027】
車載制御部10は、車載機用記憶部13に記憶されている後述の制御プログラムを実行することにより、各構成部の動作を制御し、携帯機3の位置検出、及び該位置検出の結果に応じた所定処理を実行する。
【0028】
車載機用記憶部13は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。車載機用記憶部13は、車載制御部10が車載機1の各構成部の動作を制御することにより、携帯機3の車内外判定等を行い、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行するための制御プログラムを記憶している。
【0029】
車載受信部11はRF受信アンテナ21に接続されており、携帯機3からUHF帯の電波を用いて送信された応答信号等の各種信号を受信し、受信した信号を車載制御部10へ出力する。UHF帯の電波で通信可能な領域は広いため、車輌CにおけるRF受信アンテナ21の配置は特に限定され無い。
【0030】
車載送信部12は複数のLF送信アンテナ22に接続されており、車載制御部10の制御に従って、携帯機3の車内外判定を行うための検出用信号を送信する。各LF送信アンテナ22から送信される検出用信号の強度は、車内又は車外にある携帯機3が2つ以上のLF送信アンテナ22からの検出用信号を受信できるように設定されている。
【0031】
車載機用計時部14は車載制御部10の制御に従って計時を開始し、計時結果を車載制御部10に与える。車載機用計時部14は、車載機1から送信された検出用信号に対して携帯機3からの応答信号が無かった場合のタイムアウト処理等を行うためのものである。
【0032】
車載制御部10には、運転席ドアスイッチ41、助手席ドアスイッチ42、バックドアスイッチ43等が接続されており、各ドアスイッチの操作状態に対応したドア信号が車載制御部10に入力する。以下、運転席ドアスイッチ41、助手席ドアスイッチ42、バックドアスイッチ43のいずれかを適宜ドアスイッチと呼ぶ。車載制御部10は各ドアスイッチからのドア信号に基づいて、運転席ドアスイッチ41、助手席ドアスイッチ42及びバックドアスイッチ43の操作状態を認識することができる。運転席ドアスイッチ41又は助手席ドアスイッチ42は、それぞれ運転席側又は助手席側の車輌ドアを施錠又は開錠するためのスイッチであり、運転席外側又は助手席外側のドアハンドルに設けられている。バックドアスイッチ43は、車輌ドアの一つであるバックドアを施錠又は開錠するためのスイッチであり、バックドアの外側に設けられている。各ドアスイッチは押しボタンである。なお、押しボタンに代えて、ドアハンドルに対する使用者の接触を検出する接触センサを設けても良い。また、車載制御部10は、各ドアスイッチの操作に対応したドア信号を直接取得しても良いし、ドアECU(Electronic Control Unit)、その他のECU等を介してドア信号を取得しても良い。
【0033】
また、車載制御部10には各車輌ドアの開閉を検出するドア開閉検出スイッチ44が接続されている。ドア開閉検出スイッチ44は、車輌ドアの開閉に応じてオンオフするスイッチであり、オンオフ状態に対応した開閉信号が車載制御部10に入力するように構成されている。
【0034】
図3は携帯機3の一構成例を示すブロック図である。第1乃至第6携帯機31,32,…,36は同様の構成であるため、第1携帯機31の構成を説明し、他の携帯機3の構成の説明を省略する。携帯機3は、該携帯機3の各構成部の動作を制御する携帯制御部31aを備える。携帯制御部31aは、例えば一又は複数のCPU、マルチコアCPU等を有するマイコンである。携帯制御部31aには、携帯受信部31b、携帯送信部31e、携帯機用記憶部31g及び携帯機用計時部31hが設けられている。
【0035】
携帯制御部31aは、携帯機用記憶部31gに記憶されている後述の制御プログラムを読み出し、各構成部の動作を制御することにより、各構成部の動作を制御し、携帯機3の車内外判定に必要な情報を車載機1へ送信する送信する処理を実行する。
【0036】
携帯機用記憶部31gは、車載機用記憶部13と同様の不揮発性メモリである。携帯機用記憶部31gは、携帯制御部31aが携帯機3の各構成部の動作を制御することにより、携帯機3の車内外判定等を行うための情報を含む応答信号等を車載機1へ送信する処理を実行するための制御プログラムを記憶している。
【0037】
携帯受信部31bは受信信号強度検出部31cを介して受信アンテナ31dに接続されており、車載機1からLF帯の電波を用いて送信された各種信号を受信し、携帯制御部31aへ出力する。受信アンテナ31dは例えば3軸アンテナであり、車輌Cに対する携帯機3の向き又は姿勢に拘わらず、一定の受信信号強度が得られる。
【0038】
受信信号強度検出部31cは、受信アンテナ31dが受信した検出用信号の受信信号強度を検出し、検出した受信信号強度を携帯制御部31aへ出力する回路である。
【0039】
携帯送信部31eはRF送信アンテナ31fに接続されており、携帯制御部31aの制御に従って、車載機1から送信された検出用信号に応じた応答信号を送信する。携帯送信部31eはUHF帯の電波を用いて応答信号を送信する。なおUHF帯は信号を送信する電波帯域の一例であり、必ずしもこれに限定されない。
【0040】
携帯機用計時部31hは携帯制御部31aの制御に従って計時を開始し、計時結果を携帯制御部31aに与える。計時部は、応答信号を送信するタイミングを計るためのものである。
【0041】
<車輌ドアの施錠又は解錠に係る処理>
図4は車輌ドアの施錠又は解錠に係る車載機1の処理手順を示すフローチャート、
図5は車輌ドアの施錠又は解錠に係る携帯機3の処理手順を示すフローチャート、
図6は車輌ドアの施錠又は解錠に係る処理の第1の例を示す説明図である。以下、車載機1の車載制御部10が実行する処理、携帯機3の携帯制御部31aが実行する処理を順に説明する。
【0042】
図6A中、「トリガ」は、本実施形態1に係る携帯機3の車内外判定を開始するトリガ信号を示したタイミングチャートである。車載機1に入出力するトリガ信号は太線で示されている。本実施形態におけるトリガ信号の信号レベルはドアスイッチの操作状態によって変化するものとする。ハイレベルのトリガ信号はドアスイッチが押下されていない状態に対応し、ローレベルのトリガ信号はドアスイッチが押下された状態に対応している。特に
図6A中の「トリガ」は運転席ドアスイッチ41の操作状態を示している。車載機1は、トリガ信号のハイレベルからローレベルへ立ち下がりのタイミングで、車内外判定の処理を開始する。
【0043】
図6A中、「処理状態」は、車輌ドアの施解錠状態を示したタイミングチャートである。太線で示した上下の高さによって施解錠状態が示されている。太線が上側に位置した状態は施錠状態、太線が下側に位置した状態は解錠状態に対応している。
【0044】
図6A中、「車載機」は、車載機1が備える車載制御部10の処理実行状態を示したタイミングチャートである。白抜きの矩形部分は車載制御部10が何らかの処理を実行している時間帯を示している。車載機1は、トリガ信号の立ち下がりをトリガにして、車室内外判定の処理を開始し、各LF送信アンテナ22から各種信号を送信させる指示を車載送信部12に与える。
【0045】
図6A中、「運転席アンテナ」、「助手席アンテナ」、「第1車内アンテナ」、「第2車内アンテナ」、「バックドアアンテナ」は、各LF送信アンテナ22から信号を送信するタイミングを示したタイミングチャートである。左斜め下がりのハッチングが付された矩形部分は運転席アンテナ22a、助手席アンテナ22b、第1車内アンテナ22c、第2車内アンテナ22d、又はバックドアアンテナ22eから処理開始信号が送信されるタイミングを示している。
図6Aに示した例では、運転席ドアスイッチ41が押下され、運転席アンテナ22aから処理開始信号が送信されている。処理開始信号は、第1乃至第6携帯機31,32,…,36の位置を検出するための処理を開始させるための信号である。
また、黒塗りの矩形部分は、携帯機3の車内外判定を行うための検出用信号が送信されるタイミングを示している。
【0046】
図6A中、「第1携帯機」〜「第6携帯機」は、第1携帯機31乃至第6携帯機36が応答信号を送信するタイミングを示したタイミングチャートである。右斜め下がりの矩形部分は第1携帯機31乃至第6携帯機36から送信される応答信号を示している。
図6Aに示した例では、第1携帯機31のみが存在しており、第1携帯機31から応答信号が送信されている。応答信号は、携帯機3の位置を検出するための情報を含んだ信号である。
なお、上記説明した
図6A中のタイミングチャートの矩形部分の模様と各種信号との対応関係については、他のタイミングチャートを示す図においても同様である。
【0047】
図4を用いて車載制御部10の処理手順を説明する。車載機1の車載制御部10は、運転席ドアスイッチ41、助手席ドアスイッチ42又はバックドアスイッチ43等のドアスイッチの操作状態を監視しており、ドアスイッチがオン状態であるか否かを判定する(ステップS111)。オン状態はドアスイッチが押下された状態、オフ状態はドアスイッチが押下されていない状態である。
図6A中、「トリガ」で示すハイレベルのトリガ信号はドアスイッチが押下されていない状態に対応し、ローレベルのトリガ信号はドアスイッチが押下された状態に対応している。車載制御部10はトリガ信号の信号レベルに基づいて、ドアスイッチの操作状態を認識することができる。ドアスイッチがオフ状態であると判定した場合(ステップS111:NO)、車載制御部10は処理を終える。ドアスイッチがオン状態であると判定した場合(ステップS111:YES)、車載制御部10は、操作されたドアスイッチに対応するLF送信アンテナ22からLF帯の電波を用いて処理開始信号が送信されるように車載送信部12の動作を制御する(ステップS112)。
処理開始信号は、後述するように、携帯機3が第1応答信号及び第2応答信号を送信するタイミングを図るために携帯機用計時部31hによる計時を開始させるための計時開始信号の一例である。つまり、本実施形態1では、処理開始信号を計時開始信号に兼用している。
なお、車載制御部10は、計時開始信号が処理開始信号と異なる信号として送信されるように、車載送信部12の動作を制御しても良い。例えば、車載機1は処理開始信号を送信し、次いで計時開始信号を送信するように構成しても良い。また、処理開始信号及び計時開始信号を別の信号として送信する場合、車載機1は、同じLF送信アンテナ22から処理開始信号及び計時開始信号を送信すると良い。処理開始信号は、携帯機3が該処理開始信号を受信し易いLF送信アンテナ22から送信されるため、計時開始信号も同じLF送信アンテナ22から送信することによって、携帯機3が該計時開始信号を確実に受信できるようにすることができる。
次いで、車載制御部10は、携帯機3からの応答を待つこと無く処理開始信号の送信に続いて、携帯機3の位置を検出するための所定の信号強度を有する検出用信号が、LF帯の電波を用いて助手席アンテナ22b、第1車内アンテナ22c、第2車内アンテナ22d、バックドアアンテナ22e、運転席アンテナ22aから複数のLF送信アンテナ22毎に異なるタイミングで連続的に送信されるように車載送信部12の動作を制御する(ステップS113)。
【0048】
ステップS111〜ステップS113の処理動作を
図6Aに基づいて説明する。
図6Aに示すように、車載制御部10はドアスイッチの押下に対応してステップS112に示す処理を実行して車載送信部12の動作を制御する。つまり、車載制御部10は、トリガ信号の立ち下がりをトリガにして車内外判定の処理を開始し、車載送信部12に対して制御命令を与える。
図6A中、「車載機」のタイミングチャートに示す白抜き矩形部分は、車内外判定の主要処理の一部、即ちステップS112及びステップS113の処理を車載制御部10が実行しているタイミングを示している。
【0049】
車載送信部12は、車載制御部10の制御に従って、送信アンテナ22から処理開始信号及び検出用信号の送信を行う。
図6Aに示す本実施形態1では運転席ドアスイッチ41が操作された場合を示している。この場合、車載送信部12は運転席アンテナ22aから処理開始信号(左斜め下がりのハッチングが付された矩形部分)を送信する。処理開始信号は、携帯機3の位置を検出するための処理を開始させるための信号である。例えば、処理開始信号は、スリープ状態にある携帯機3をウェイクアップさせるための情報、携帯機3における車載機1の認証に必要な情報等を含む。また、処理開始信号は、携帯機3の車内外判定に要する情報を含む。例えば、処理開始信号には、処理開始信号の送信元である車載機1の正当性を認証するための情報、携帯機3の車内外判定を行うために必要な情報の要求情報等を含む。
【0050】
なお、例えば、助手席ドアスイッチ42が操作された場合、車載送信部12は助手席アンテナ22bから処理開始信号を送信する。バックドアスイッチ43が操作された場合、車載送信部12はバックドアアンテナ22eから処理開始信号を送信する。つまり、操作されたドアスイッチに近いLF送信アンテナ22から処理開始信号は送信される。
【0051】
続いて車載送信部12は、複数のLF送信アンテナ22から、複数のLF送信アンテナ22毎に異なるタイミングで連続的に検出用信号(黒塗りの矩形部分)を送信する。検出用信号は、携帯機3の車内外判定に用いられる信号である。各LF送信アンテナ22から信号を送信するタイミングは予め定められている。例えば、車載機1は、処理開始信号の送信時を基準時にして、LF送信アンテナ22毎に異なる所定のタイミングで各LF送信アンテナ22から信号を送信させる。
【0052】
なお、本実施形態においては、処理開始信号を送信したLF送信アンテナ22(ここでは運転席アンテナ22a)は最後に検出用信号を送信する点にも特徴がある。一のLF送信アンテナ22から処理開始信号を送信した直後に、同一の該LF送信アンテナ22から検出用信号を送信すると、該LF送信アンテナ22に負荷がかかる。しかし、一のLF送信アンテナ22から処理開始信号を送信した場合、他のLF送信アンテナ22から検出用信号を送信し、最後に該一のLF送信アンテナ22から検出用信号を送信するように構成することによって、該一のLF送信アンテナ22に信号送信による負荷が集中することを防ぐことができる。
ただし、本発明においては、検出用信号を送信する複数のLF送信アンテナ22の順序は上記のように特に限定されることは無く、任意の順序で設定することができる。
【0053】
図4に戻り、車載制御部10の処理手順を説明する。ステップS113の処理を終えた車載制御部10は、携帯機3からの応答を待つ待機時間、つまりタイムアウト時間の計時を車載機用計時部14によって開始する(ステップS114)。なお、車載機用計時部14による計時を開始するタイミングは、タイムアウト処理を実行することができれば、特に限定されることは無い。例えば、ドアスイッチがオン状態になった時点、処理開始信号の送信を開始又は終了した時点から計時を開始しても良い。
【0054】
次いで、車載制御部10は、第1乃至第6携帯機31,32,…,36の内のいずれか一つの携帯機3から送信される応答信号を車載受信部11が受信したか否かを判定する(ステップS115)。後述するように処理開始信号を受信した携帯機3は、各LF送信アンテナ22から送信された検出用信号を受信し、受信した各検出用信号の受信信号強度を検出する。携帯機3は、各LF送信アンテナ22から検出用信号が送信されるタイミングを予め記憶しているため、所定のタイミングで受信アンテナ31dが受信する検出用信号の受信信号強度を検出することによって、各LF送信アンテナ22から送信される検出用信号の受信信号強度を特定することができる。そして、携帯機3は、処理開始信号の送信元である車載機1を認証し、認証に成功した場合、検出した受信信号強度の情報、車載機1側で携帯機3を認証するための情報等を含む応答信号を車載機1へ送信する。応答信号は
図6Aに示すように携帯機3から2回送信される。右斜め下がりの矩形部分は携帯機3から送信される応答信号を示している。
図6Aに示す例では一機の第1携帯機から応答信号が送信されている場合が示されている。1回目に送信される応答信号は第1応答信号、2回目に送信される応答信号は第2応答信号である。
また応答信号は、第1乃至第6携帯機31,32,…,36の存在位置によって、第1乃至第6携帯機31,32,…,36の全てから送信されることもあるし、第1乃至第6携帯機31,32,…,36の内の一部の携帯機3から送信されることもある。しかし、各携帯機3は同じ周波数帯の電波を用いて応答信号を送信するため、車載機1は2つ以上の携帯機3から同時的に応答信号が送信された場合、該応答信号を正常に受信することができない場合がある。従って、ステップS115では車載制御部10は、携帯機3から送信された応答信号を正常に受信したか否かを判定している。
【0055】
携帯機3から送信された応答信号を受信したと判定した場合(ステップS115:YES)、車載制御部10は応答信号に含まれる情報に基づいて携帯機3を認証し、認証に成功したか否かを判定する(ステップS116)。認証に成功したと判定した場合(ステップS116:YES)、車載制御部10は、受信した応答信号に含まれる受信信号強度の情報に基づいて、応答信号の送信元である携帯機3と、車内及び車外との統計距離を算出する(ステップS117)。
応答信号に含まれる受信信号強度はベクトルである。該ベクトルの成分は、各LF送信アンテナ22から送信される複数の検出用信号それぞれの受信信号強度である。本実施形態1においては、5本のLF送信アンテナ22から送信される複数の検出用信号それぞれに対応する受信信号強度を成分として有するため、前記ベクトルは5次元である。車載機1の車載機用記憶部13は、例えば、車内の複数箇所で携帯機3が検出した受信信号強度のサンプル群に基づいて求められる受信信号強度の平均ベクトル、分散行列又は逆分散行列等の統計値を記憶している。車載制御部10は、車内にある携帯機3が検出する受信信号強度のサンプル群と、ステップS115で受信した応答信号に含まれる受信信号強度のベクトルとの統計距離を算出する。言い換えると、ステップS115で受信した応答信号に含まれる受信信号強度と、車内に配置した携帯機3が検出する受信信号強度との類似度に対応する値を算出する。統計距離は、例えばマハラノビス距離であるが、特に限定されるものでは無い。
同様にして車載機1の車載機用記憶部13は、車外の複数箇所で携帯機3が検出した受信信号強度のサンプル群に基づいて求められる受信信号強度の平均ベクトル、分散行列又は逆分散行列等の統計値を記憶している。車載制御部10は、車外にある携帯機3が検出する受信信号強度のサンプル群と、ステップS115で受信した応答信号に含まれる受信信号強度のベクトルとの統計距離を算出する。
【0056】
ステップS117の処理を終えた車載制御部10は、ステップS117で算出した統計距離に基づいて、ステップS115で受信した応答信号の送信元である携帯機3が車外にあるか否かを判定する(ステップS118)。つまり、車載制御部10は、ステップS117〜ステップS118の処理によって、携帯機3の位置を特定する。車載制御部10は、応答信号に含まれる受信信号強度と、車外にある携帯機3が検出する受信信号強度のサンプル群との統計距離が、車内にある携帯機3が検出する受信信号強度のサンプル群との統計距離に比べて短い場合、携帯機3は車外にあると判定する。携帯機3が車外にあると判定した場合(ステップS118:YES)、車載制御部10は、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行し(ステップS119)、処理を終える。車輌ドアが解錠されている状態でドアスイッチが操作された場合、車載制御部10は車輌ドアを施錠する処理を実行し、車輌ドアが施錠されている状態でドアスイッチが操作された場合、車載制御部10は車輌ドアを解錠する処理を実行する。より具体的には車載機1の車載制御部10は、ドアの施錠又は解錠を指示する信号を図示しないドアECUへ送信する処理を実行する。
なお、本実施形態においては、携帯機3が一機でも車外にあると判定した場合は、他の携帯機3からの応答信号を待つことなく、車載制御部10は、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行する。
【0057】
ステップS115で応答信号を受信していないと判定した場合(ステップS115:NO)、ステップS116認証に失敗したと判定した場合(ステップS116:NO)、又はステップS118で携帯機3が車内にあると判定した場合(ステップS118:NO)、車載制御部10は、車載機用計時部14による計時を開始してから所定応答時間が経過したか否かを判定する(ステップS120)。所定応答時間が経過していないと判定した場合(ステップS120:NO)、車載制御部10は処理をステップS115へ戻し、他の携帯機3からの応答信号の受信乃至車内外判定を実行する。所定応答時間が経過したと判定した場合(ステップS120:YES)、車載制御部10は処理を終える。
なお、上で説明した携帯機3の車内外判定の方法は一例であり、複数のLF送信アンテナ22からの検出用信号に基づいて、携帯機3の車内外判定を行うことが可能な任意の方法を本発明に適用することができる。
【0058】
次に携帯機3の処理を説明する。第1乃至第6携帯機31,32,…,36の処理は応答信号の送信タイミングのみが異なるため、ここでは第1携帯機31の処理を説明する。携帯機3の携帯制御部31aは、携帯受信部31bが受信する信号を監視しており、車載機1から送信された処理開始信号を携帯受信部31bが受信したか否かを判定する(ステップS131)。処理開始信号を受信していないと判定した場合(ステップS131:NO)、携帯制御部31aは処理を終える。処理開始信号を受信したと判定した場合(ステップS131:YES)、携帯制御部31aは、携帯機用計時部31hによる計時を開始する(ステップS132)。
なお、本実施形態1では、処理開始信号を受信した時点を、携帯機用計時部31hによる計時開始タイミングとしているが、上述のように、車載機1から処理開始信号とは別に、計時開始信号が送信される構成の場合、該計時開始信号を受信した時点を計時開始タイミングとしても良い。具体的には、携帯制御部31aは、携帯受信部31bが受信する信号を監視し、計時開始信号を携帯受信部31bが受信したと判定した場合、携帯機用計時部31hによる計時を開始するように構成すると良い。
また、携帯制御部31aは、携帯受信部31bが受信する信号を監視し、検出用信号を携帯受信部31bが受信したと判定した場合、携帯機用計時部31hによる計時を開始するように構成しても良い。この場合、処理開始信号を送信したLF送信アンテナ22と同じLF送信アンテナ22から送信される検出用信号を計時開始信号として機能させることが好ましい。処理開始信号を送信したLF送信アンテナ22と異なるLF送信アンテナ22から送信された検出用信号を計時開始信号とする場合、処理開始信号を受信した携帯機3が計時開始信号として機能する検出用信号を受信できない可能性がある。検出用信号を受信できないと、携帯機3は計時を開始できない。処理開始信号は、基本的に携帯機3が該処理開始信号を受信し易いLF送信アンテナ22から送信されるため、処理開始信号を送信したLF送信アンテナ22と同じLF送信アンテナ22から送信される検出用信号を計時開始用信号として機能させることにより、処理開始信号を受信した携帯機3が、計時開始信号として機能する検出用信号も受信できる可能性を高めることができる。
【0059】
次いで、携帯制御部31aは、車載機1の各LF送信アンテナ22から送信される検出用信号の受信信号強度を、受信信号強度検出部31cにて検出する(ステップS133)。各LF送信アンテナ22から検出用信号が送信されるタイミングは予め定められている。従って、携帯制御部31aは、携帯機用計時部31hが計時する特定のタイミングで受信信号強度検出部31cが検出する受信信号強度を取得することによって、各LF送信アンテナ22から送信される検出用信号の受信信号強度を検出することができる。そして、携帯制御部31aは、先に受信した処理開始信号に含まれる情報に基づいて、処理開始信号等の送信元が正規の車載機1であるか否かを認証し、認証に成功したか否かを判定する(ステップS134)。認証に失敗したと判定した場合(ステップS134:NO)、携帯制御部31aは処理を終える。
【0060】
認証に成功したと判定した場合(ステップS134:YES)、携帯制御部31aは処理開始信号を受信してから第1所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS135)。第1所定時間は第1乃至第6携帯機31,32,…,36で共通である。第1所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS135:NO)、携帯制御部31aは再度、ステップS135の処理を実行し、第1所定時間が経過するまで待機する。第1所定時間が経過したと判定した場合(ステップS135:YES)、携帯制御部31aは、第1応答信号を携帯送信部31eに送信させる(ステップS136)。携帯送信部31eはUHF帯の電波にてRF送信アンテナ31fから第1応答信号を送信する。第1応答信号は、ステップS133で検出した受信信号強度の情報、該情報の送信元である携帯機3の正当性を車載機1側で認証するための情報等を含む。
第1携帯機31以外の他の携帯機3も略同一の第1所定時間が経過した場合に第1応答信号を送信する。従って、使用者が複数の携帯機3を保持しているような場合、複数の携帯機3から同一タイミングで第1応答信号が送信される。このため車載機1は第1応答信号の受信に失敗する場合がある(
図11A参照)。そこで携帯制御部31aは以下の処理を実行する。
【0061】
携帯制御部31aは、処理開始信号を受信してから第2所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS137)。第2所定時間は第1乃至第6携帯機31,32,…,36毎に異なる。本実施形態1では、第1携帯機31、第2携帯機32、第3携帯機33、第4携帯機34、第5携帯機35、第6携帯機36の順で第2所定時間が長いものとして説明する。各携帯機3の第2所定時間は、一の携帯機3及び車載機1の間で第2応答信号の送受信が行われる期間と、他の携帯機3及び車載機1の間で第2応答信号の送受信が行われる期間とが重複せず、第6携帯機36が第2応答信号をなるべく早期に車載機1へ送信できるように設定されている。第2所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS137:NO)、携帯制御部31aは再度、ステップS137の処理を実行し、第1所定時間が経過するまで待機する。第2所定時間が経過したと判定した場合(ステップS137:YES)、携帯制御部31aは、第2応答信号を携帯送信部31eに送信させ(ステップS138)、処理を終える。第2応答信号は、第1応答信号と同様、ステップS133で検出した受信信号強度の情報、該情報の送信元である携帯機3の正当性を認証するための情報等を含む。
なお、第1応答信号及び第2応答信号は、受信信号強度に係る実質的に同一の情報を含んでいれば良く、第1及び第2応答信号が一部に異なる情報を含んでいても良い。
【0062】
このように構成された携帯機3は、処理開始信号を受信した場合、各LF送信アンテナ22から送信される検出用信号の受信信号強度を検出し、各携帯機3に共通のタイミングで第1応答信号を送信し、携帯機3毎に異なるタイミングで第2応答信号を送信する(
図11A参照)。
【0063】
なお、
図4及び
図5を用いて説明した例では、統計距離の算出及び携帯機3の車内外判定を車載制御部10が実行する例を説明したが、統計距離の算出及び車内外判定の主要な処理を携帯機3が実行し、車内外判定の結果を含む応答信号を車載機1へ送信するように構成しても良い。具体的には携帯機用記憶部31gは車内外判定のための情報として、車内の複数箇所で携帯機3が検出した受信信号強度のサンプル群に基づいて求められる受信信号強度の平均ベクトル、分散行列又は逆分散行列等の統計値と、車外の複数箇所で携帯機3が検出した受信信号強度のサンプル群に基づいて求められる受信信号強度の平均ベクトル、分散行列又は逆分散行列等の統計値とを記憶している。携帯制御部31aは、ステップS133にて各LF送信アンテナ22から送信される検出用信号の受信信号強度を受信信号強度検出部31cにて検出した後、ステップS117及びステップS118と同様の処理を実行する。つまり携帯制御部31aは、受信信号強度の情報に基づいて、自身の携帯機3と、車内及び車外との統計距離を算出する。そして、携帯制御部31aは、算出した統計距離に基づいて、自身が車外にあるか否かを判定する。つまり、携帯制御部31aは、自身の位置を特定する。携帯制御部31aは、検出した受信信号強度と、車外にある携帯機3が検出する受信信号強度のサンプル群との統計距離が、車内にある携帯機3が検出する受信信号強度のサンプル群との統計距離に比べて短い場合、自身は車外にあると判定する。同様に、携帯制御部31aは、検出した受信信号強度と、車内にある携帯機3が検出する受信信号強度のサンプル群との統計距離が、車外にある携帯機3が検出する受信信号強度のサンプル群との統計距離に比べて短い場合、自身は車内にあると判定する。以下、
図5のステップS134〜ステップS138と同様の処理を実行することによって、携帯制御部31aは、車内外判定の結果を含む第1応答信号及び第2応答信号を携帯送信部31eにて車載機1へ送信する。
【0064】
車載機10は、携帯機3から送信された応答信号を車載受信部11にて受信し(ステップS115:YES)、応答信号に含まれる情報に基づいて携帯機3を認証し、認証に成功したか否かを判定する(ステップS116)。認証に成功したと判定した場合(ステップS116:YES)、車載制御部10は、応答信号に含まれる車室内外判定の結果に基づいて、携帯機3が車室内にあるか否かを判定する(ステップS118)。携帯機3が車室内外判定を行う構成においては、車載制御部10はステップS117の処理を実行しない。携帯機3が車外にあると判定した場合(ステップS118:YES)、車載制御部10は、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行し(ステップS119)、処理を終える。
【0065】
ステップS115で応答信号を受信していないと判定した場合(ステップS115:NO)、ステップS116で認証に失敗したと判定した場合(ステップS116:NO)、又はステップS118で携帯機3が車内にあると判定した場合(ステップS118:NO)、車載制御部10は、車載機用計時部14による計時を開始してから所定応答時間が経過したか否かを判定する(ステップS120)。所定応答時間が経過していないと判定した場合(ステップS120:NO)、車載制御部10は処理をステップS115へ戻し、他の携帯機3からの応答信号の受信乃至車内外判定を実行する。所定応答時間が経過したと判定した場合(ステップS120:YES)、車載制御部10は処理を終える。
次に、このように構成された車載通信システムの作用を説明する。
【0066】
(第1の例)
第1の例は、
図6Bに示すように、第1携帯機31が車外にある場合である。使用者が運転席ドアスイッチ41を押下した場合、
図6Aに示すように、車載機1は運転席アンテナ22aから処理開始信号を送信し、続いて各LF送信アンテナ22から車内外判定のための検出用信号を複数のLF送信アンテナ22毎に異なるタイミングで連続的に送信する。使用者は第1携帯機31を保持しているため、第1携帯機31は処理開始信号を受信し、各LF送信アンテナ22から送信された信号の受信信号強度を測定し、測定された受信信号強度の情報を有する第1応答信号と、第2応答信号とを順次車載機1へ送信する。車内及び車外近傍には第1携帯機31のみが存在するため、車載機1は、第1携帯機31から送信された第1応答信号を正常に受信することができる。従って、車載機1は第1携帯機31から送信された第1応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行う。第1の例では第1携帯機31は車外にあるため、車載機1の車載制御部10は、第1携帯機31から最初に送信される第1応答信号に基づいて、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行する。特に、
図6Aに示すように車輌ドアが施錠されている状態で運転席ドアスイッチ41が押下された場合、車輌ドアは解錠される。以下
図7〜
図11においても同様である。
【0067】
(第2の例)
図7は車輌ドアの施錠又は解錠に係る処理の第2の例を示す説明図である。第2の例は、
図7Bに示すように、第6携帯機36が車外にある場合である。処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号の送受信の手順は第1の例と同様である。
なお、背景技術のように各携帯機と個別に通信を行う場合、第6携帯機36との通信は複数の携帯機3の中で一番後回しにされる傾向にあるため、本例のように第6携帯機36しかない場合は、所定の処理が実行されるまでに時間を要する。これに対して本発明では、複数の携帯機3が共通で受信できる検出用信号を利用することで、第6携帯機36しかない場合であっても、通信に要する時間を短縮することができる。
また、第6携帯機36は、第1応答信号と、第2応答信号とを順次車載機1へ送信するが、第2応答信号の送信タイミングは、第1乃至第6携帯機31,32,…,36中最も遅いタイミングである。しかし、車内及び車外近傍には第6携帯機36のみが存在するため、車載機1は、第6携帯機36から送信された第1応答信号を正常に受信することができる。従って、車載機1は第6携帯機36から送信された第1応答信号に基づいて、第6携帯機36の車内外判定を行い、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行することができる。つまり、車載機1は第6携帯機36から送信される第2応答信号を待つことなく、最初に送信される第1応答信号に基づいて、ドアの施錠処理又は解錠処理を実行することができる。第1応答信号を送信するタイミングは第1携帯機31と同じであるため、使用者が第6携帯機36を保持していても、車載機1は、使用者が第1携帯機31を保持している場合と同じ処理時間で車輌ドアを施錠又は解錠することができる。第2携帯機32、第3携帯機33、第4携帯機34及び第5携帯機35を用いた場合も同様であり、車載機1は速やかに車輌ドアを施錠又は解錠することができる。
【0068】
(第3の例)
図8は車輌ドアの施錠又は解錠に係る処理の第3の例を示す説明図である。第3の例は、
図8Bに示すように第1携帯機31が車外にあり、第2携帯機32が車内にある場合である。処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号の送受信の手順は第1の例と同様である。ただし、
図8Aに示すように、第1携帯機31及び第2携帯機32は同じタイミングで第1応答信号を送信する。そして、第1応答信号の送信に引き続き、第1携帯機31は第2応答信号を送信し、第2携帯機32は、第1携帯機31及び車載機1の間で第2応答信号の送受信が行われた後、第2応答信号を送信する。第3の例においては、車内及び車外近傍に第1携帯機31及び第2携帯機32の双方が存在し、同じタイミングで第1応答信号が第1携帯機31及び第2携帯機32から送信されるため、車載機1は第1応答信号の受信に失敗する場合がある。
しかし、車載機1は、第1携帯機31から送信される第2応答信号を受信することができる。従って、車載機1は第1携帯機31から送信された第2応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行うことができる。第3の例では第1携帯機31が車外にあるため、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理が実行される。つまり、車載機1は第2携帯機32から送信される第2応答信号を待つことなく、第1携帯機31から先に送信される第2応答信号に基づいて、ドアの施錠処理又は解錠処理を実行することができる。なお、
図8Aに示すように車輌ドアが施錠されている状態で運転席ドアスイッチ41が押下された場合、車輌ドアは解錠される。
【0069】
(第4の例)
図9は車輌ドアの施錠又は解錠に係る処理の第4の例を示す説明図である。第4の例は、
図9Bに示すように第1携帯機31が車内にあり、第2携帯機32が車外にある場合である。処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号、並びに応答信号の送受信の手順は第3の例と同様である。第4の例においては、車内及び車外近傍に第1携帯機31及び第2携帯機32の双方が存在し、
図9Aに示すように同じタイミングで第1応答信号が第1携帯機31及び第2携帯機32から送信されるため、車載機1は第1応答信号の受信に失敗する場合がある。しかし、車載機1は、第1携帯機31から送信される第2応答信号を受信することができ、該第2応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行うことができる。第4の例では第1携帯機31が車内にあるため、車輌ドアの施錠又は解錠は行われない。次に、車載機1は、第2携帯機32から送信される第2応答信号を受信し、受信した該第2応答信号に基づいて、第2携帯機32の車内外判定を行うことができる。第2携帯機32は車外に存在するため、車載機1は第2携帯機32からの第2応答信号に基づいて、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行することができる。第4の例では、第3の例に比べて処理が遅くなるが、遅くとも第2携帯機32からの第2応答信号に基づいて、施錠処理又は解錠処理を実行することができる。なお、
図9Aに示すように車輌ドアが施錠されている状態で運転席ドアスイッチ41が押下された場合、車輌ドアは解錠される。
【0070】
(第5の例)
図10は車輌ドアの施錠又は解錠に係る処理の第5の例を示す説明図である。第5の例は、
図10Bに示すように第1携帯機31が車内にあり、第6携帯機36が車外にある場合である。処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号、並びに応答信号の送受信の手順は第4の例と同様である。第5の例においては、車内及び車外近傍に第1携帯機31及び第6携帯機36の双方が存在し、
図10Aに示すように同じタイミングで第1応答信号が第1携帯機31及び第6携帯機36から送信されるため、車載機1は第1応答信号の受信に失敗する場合がある。しかし、車載機1は、第1携帯機31から送信される第2応答信号を受信することができ、該第2応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行うことができる。第5の例では第1携帯機31が車内にあるため、車輌ドアの施錠又は解錠は行われない。次に、車載機1は、第6携帯機36から送信される第2応答信号を受信し、受信した該第2応答信号に基づいて、第6携帯機36の車内外判定を行うことができる。第6携帯機36は車外に存在するため、車載機1は第2携帯機32からの第2応答信号に基づいて、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行することができる。なお、
図10Aに示すように車輌ドアが施錠されている状態で運転席ドアスイッチ41が押下された場合、車輌ドアは解錠される。第5の例は、第2応答信号の送信タイミングが最も遅い第6携帯機36が車外にある場合であるが、遅くとも第6携帯機36からの第2応答信号に基づいて、施錠処理又は解錠処理を実行することができる。第5の例は、本実施形態1における施錠処理又は解錠処理が最も遅延する例であるが、各携帯機3へ処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号を複数のLF送信アンテナ22毎に異なるタイミングで連続的に送信する構成であるため、従来の車載通信システムに比べると、より効率的に車内外判定を行い、施錠処理又は解錠処理を実行することができる。つまり、携帯機3毎に、該携帯機3の存否を確認し、受信信号強度の検出及び送受信を行い、車内外判定を行うような従来の車載通信システムに比べて、より速やかに各携帯機3の車内外判定を行うことができる。
【0071】
(第6の例)
図11は車輌ドアの施錠又は解錠に係る処理の第6の例を示す説明図である。第6の例は、
図11Bに示すように第1乃至第5携帯機31,32,…,35が車内にあり、第6携帯機36が車外にある場合である。処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号、並びに応答信号の送受信の手順は第5の例と同様である。第6の例においては、車内及び車外近傍に第1乃至第6携帯機31,32,…,36が存在し、
図11Aに示すように同じタイミングで第1応答信号が第1乃至第6携帯機31,32,…,36から送信されるため、車載機1は第1応答信号の受信に失敗する場合がある。しかし、車載機1は、第1携帯機31から送信される第2応答信号を受信することができ、該第2応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行うことができる。第6の例では第1携帯機31が車内にあるため、車輌ドアの施錠又は解錠は行われない。同様にして、第2乃至第5携帯機32,33,34,35についても車内外判定が行われるが、いずれも車内に存在するため、車輌ドアの施錠又は解錠は行われない。最後に、車載機1は、第6携帯機36から送信される第2応答信号を受信し、受信した該第2応答信号に基づいて、第6携帯機36の車内外判定を行う。第6携帯機36は車外に存在するため、車載機1は第6携帯機36からの第2応答信号に基づいて、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行することができる。第6の例は、第2応答信号の送信タイミングが最も遅い第6携帯機36が車外にある場合であるが、遅くとも第6携帯機36からの第2応答信号に基づいて、施錠処理又は解錠処理を実行することができる。第6の例は、第5の例と同様、施錠処理又は解錠処理が最も遅延する例であるが、各携帯機3へ処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号を複数のLF送信アンテナ22毎に異なるタイミングで連続的に送信する構成であるため、従来の車載通信システムに比べて、より効率的に車内外判定を行い、施錠処理又は解錠処理を実行することができる。なお、
図11Aに示すように車輌ドアが施錠されている状態で運転席ドアスイッチ41が押下された場合、車輌ドアは解錠される。
【0072】
本実施形態1に係る車載通信システム、車載機1及び携帯機3によれば、携帯機3の位置検出に要する時間を短縮化することができる。具体的には、複数の携帯機3が車輌C周辺に存在する場合であっても、携帯機3及び携帯機3間の通信を効率的に行って携帯機3の車内外判定を行い、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行することができる。
【0073】
本実施形態1にあっては、車載送信部12は車輌Cに設けられた複数のLF送信アンテナ22から、携帯機3の位置を判定するための信号を、携帯機3からの応答を待つことなく複数のLF送信アンテナ22毎に異なるタイミングで連続的に送信する。そして、複数の各携帯機3は、処理開始信号に応じた第1応答信号を同じタイミングで送信し、第2応答信号を互いに異なるタイミングで送信する。
車載機1は、複数の携帯機3が共通で受信し得る検出用信号を各携帯機3へ送信することによって、携帯機3の位置を検出する構成であるため、各携帯機3と個別に通信を行う場合に比べて、車載機1及び携帯機3間の情報通信に要する時間を短縮化することができ、効率的に携帯機3の位置検出を行うことができる。
【0074】
また、車載機1は、複数の携帯機3が共通で受信し得る処理開始信号及び検出用信号を各携帯機3へ送信することによって、携帯機3の位置を検出する構成であるため、各携帯機3と個別に通信を行う場合に比べて、車載機1及び携帯機3間の情報通信に要する時間を短縮化することができ、効率的に携帯機3の位置検出を行うことができる。
【0075】
更に、車載機1は、処理開始信号の送信後、処理開始信号を受信した携帯機3からの応答を待つことなく、検出用信号を送信する。従って、車載機1及び携帯機3間の情報通信に要する時間をより短縮化することができ、効率的に携帯機3の位置検出を行うことができる。
【0076】
更にまた、車内又は車輌Cの周辺に1個の携帯機3が存在するような場合、早期に送信される第1応答信号によって、携帯機3に車内外判定を行い、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行することができる。
車内又は車輌C周辺に複数の携帯機3が存在する場合であっても、各携帯機3から送信される第2応答信号に基づいて、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行することができる。
【0077】
本実施形態1によれば、各携帯機3は、車載機1から送信された処理開始信号を受信した時点を基準にして第1応答信号及び第2応答信号を送信する構成であるため、各携帯機3から送信される第2応答信号が同時的に送信されることを確実に防止することができる。従って、車載機1は各携帯機3から送信される第1応答信号の受信に失敗しても、第2応答信号を確実に受信し、車輌ドアの施錠処理又は解錠処理を実行することができる。
【0078】
特に本実施形態1では、携帯機3は、各LF送信アンテナ22から送信された検出用信号に応じた情報を含む第1応答信号及び第2応答信号を送信する構成であるため、車載機1は、該第1応答信号及び第2応答信号に基づいて、携帯機3の車内外判定を行うことができる。
本実施形態1では、複数の携帯機3はタイミングを合わせて同時的に第1応答信号を送信し、次いで、複数の携帯機3毎に異なるタイミングで第2応答信号を送信する構成である。従って、第1応答信号及び第2応答信号の送信タイミングを近づけても、第1応答信号及び第2応答信号が混信するおそれは無い。このため、複数の携帯機3が第1応答信号及び第2応答信号の送信を、最短で完了するように設計することが可能になり、車載機1は早期に第1応答信号又は第2応答信号を受信することができる。
【0079】
更にまた、本実施形態1では、携帯機3は、各LF送信アンテナ22から送信された検出用信号の受信信号強度を検出し、検出した受信信号強度含む第1応答信号及び第2応答信号を送信し、車載機1は受信した応答信号に含まれる受信信号強度に基づいて携帯機3の位置を特定することができる。複数のLF送信アンテナ22からの検出用信号の受信信号強度を用いることによって、携帯機3の位置を精度良く特定することができる。
【0080】
更にまた、携帯機3側で車内外判定を行う構成では、各LF送信アンテナ22から送信された検出用信号の受信信号強度を検出し、検出した受信信号強度に基づいて自身の位置を特定する。そして、携帯機3は、特定された自身の位置に係る情報を車載機1へ送信し、車載機1は受信した応答信号に含まれる情報に基づいて、携帯機3の車内外判定を行うことができる。複数のLF送信アンテナ22からの検出用信号の受信信号強度を用いることによって、携帯機3の位置を精度良く特定することができる。
【0081】
なお、本実施形態1では、車載機1が携帯機3の車内外判定を行う例を説明したが、携帯機3が自身の車内外判定を行い、LF送信アンテナ22から送信された検出用信号に応じた情報として、車内外の判定結果を含む第1応答信号及び第2応答信号を車載機1へ送信するように構成しても良い。
なお、本実施形態1では、複数の携帯機3が第1応答信号を同時的に送信する例を説明したが、必ずしも同時に第1応答信号を送信する必要は無い。
【0082】
(実施形態2)
<エンジン始動時及び動作時における処理>
実施形態2に係る車載通信システムの構成は実施形態1と同様であり、対応する構成には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図12はエンジン始動時における処理手順を示すフローチャートである。
図13はエンジンの始動に係る処理の第1の例を示す説明図である。車載機1の車載制御部10は、エンジンスタートスイッチの操作状態を監視しており、エンジンスタートスイッチがオン状態であるか否かを判定する(ステップS211)。オン状態はエンジンスタートスイッチが押下された状態、オフ状態はエンジンスタートスイッチが押下されていない状態である。
【0083】
図13A中、「トリガ」はエンジンスタートスイッチの操作状態を示している。ハイレベルのトリガ信号はエンジンスタートスイッチが押下されていない状態に対応し、ローレベルのトリガ信号はエンジンスタートスイッチが押下された状態に対応している。また、「処理状態」は、エンジンの駆動状態を示している。太線で示した上下の高さによってエンジンの駆動状態が示されている。太線が上側に位置した状態はエンジンが停止した状態、太線が下側に位置した状態はエンジンが駆動した状態に対応している。
【0084】
エンジンスタートスイッチがオフ状態であると判定した場合(ステップS211:NO)、車載制御部10は処理を終える。エンジンスタートスイッチがオン状態であると判定した場合(ステップS211:YES)、車載制御部10は、実施形態1のステップS112〜ステップS118と同様、処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号の送信、応答信号の受信、認証処理、車内外判定の処理をステップS212〜218において実行する。但し、ステップS212において、車載制御部10は、第1車内アンテナ22c及び第2車内アンテナ22dから、LF帯の電波を用いて処理開始信号が連続的に送信されるように車載送信部12の動作を制御する。つまり、まず第1車内アンテナ22cから処理開始信号が送信され、次に第2車内アンテナ22dから処理開始信号が送信される。
なお、処理開始信号は第1及び第2車内アンテナ22c,22dからのみ送信される。これは、エンジンスタートの条件が車内にある携帯機3との認証を条件としており、正規の携帯機3であっても、該携帯機3が車外にある場合にはエンジンスタートを行わないためであり、主に車外の携帯機3に対して各種信号を送信する3つの車外アンテナ、即ち運転席アンテナ22a、助手席アンテナ22b、バックドアアンテナ22eから処理開始信号を送信して、車外の携帯機3を起動させる動作は不必要となるためである。
一方で、第1及び第2車内アンテナ22c,22dは2つの車内アンテナによって、車内の全ての信号送信領域をカバーしているため、2つの車内アンテナ、即ち第1及び第2車内アンテナ22c,22dから処理開始信号を送信する必要がある。
ステップS218において、携帯機3が車内にあると判定した場合(ステップS218:YES)、車載制御部10は、エンジンを始動させる処理を実行し(ステップS219)、処理を終える。より具体的には車載機1の車載制御部10は、エンジンの始動を指示する信号を図示しないエンジンECUへ送信する処理を実行する。
なお、本実施形態においては、携帯機3が一機でも車内にあると判定した場合は、他の携帯機3からの応答信号を待つことなく、車載制御部10は、エンジンを始動させる処理を実行する。
【0085】
ステップS218において、携帯機3が車外にあると判定した場合(ステップS218:NO)、応答信号を受信していないと判定した場合(ステップS215:NO)、又は認証に失敗したと判定した場合(ステップS216:NO)、車載制御部10は所定応答時間が経過したか否かを判定する(ステップS220)。所定応答時間が経過していないと判定した場合(ステップS220:NO)、車載制御部10は処理をステップS215へ戻す。所定時間が経過したと判定した場合(ステップS220:YES)、車載制御部10は処理を終える。
なお、実施形態1と同様、統計距離の算出及び車内外判定の主要な処理を携帯機3が実行するように構成しても良い。
【0086】
また、本実施形態2では、第1車内アンテナ22c及び第2車内アンテナ22dの両方から処理開始信号を送信する構成であるが、携帯機3はいずれかの車内アンテナ、即ち第1車内アンテナ22c又は第2車内アンテナ22dから送信される一の処理開始信号又は検出用信号を計時開始信号として機能させれば良い。
つまり、処理開始信号を計時開始信号として機能させる場合、第1車内アンテナ22cから送信される処理開始信号を計時開始信号として機能させても良いし、第2車内アンテナ22dから送信される処理開始信号を計時開始信号として機能させても良い。同様に、検出用信号を計時開始信号として機能させる場合、第1車内アンテナ22cから送信される検出用信号を計時開始信号として機能させても良いし、第2車内アンテナ22dから送信される検出用信号を計時開始信号として機能させても良い。
例えば、一の携帯機3は第1車内アンテナ22cから送信される処理開始信号及び検出用信号のみを受信でき、他の携帯機3は第2車内アンテナ22dから送信される処理開始信号及び検出用信号のみを受信できる場合がある。この場合、一の携帯機3は第1車内アンテナ22cから送信される処理開始信号又は検出用信号を計時開始信号として利用し、他の携帯機3は第2車内アンテナ22dから送信される処理開始信号又は検出用信号を計時開始信号として利用する。
処理開始信号及び検出用信号が第1車内アンテナ22c又は第2車内アンテナ22dのいずれから送信された信号かによって、処理開始信号及び検出用信号の受信タイミングが異なるため、計時開始のタイミングが違ってしまう。このため、第1応答信号及び第2応答信号の送信タイミングも多少ずれてしまうことがある。しかし、処理開始信号及び検出用信号のいずれも第1及び第2車内アンテナ22c,22dから連続的に送信されるため、送信タイミングのずれは僅かであり、問題にならない。複数の携帯機3は概ね同じタイミングで第1応答信号を送信し、混信しないタイミングで第2応答信号を送信することができる。
次に、このように構成された車載通信システムの作用を説明する。
【0087】
(第1の例)
第1の例は、
図13Bに示すように、第1携帯機31が車内にある場合である。使用者がエンジンスタートスイッチを押下した場合、
図13Aに示すように、車載機1は第1車内アンテナ22c及び第2車内アンテナ22dから処理開始信号を送信し、続いて各LF送信アンテナ22から車内外判定のための検出用信号を複数のLF送信アンテナ22毎に異なるタイミングで連続的に送信する。使用者は第1携帯機31を保持しているため、第1携帯機31は処理開始信号を受信し、各LF送信アンテナ22から送信された検出用信号の受信信号強度を測定し、測定された受信信号強度の情報を有する第1応答信号と、第2応答信号とを順次車載機1へ送信する。車内及び車外近傍には第1携帯機31のみが存在するため、車載機1は、第1携帯機31から送信された第1応答信号を受信することができる。従って、車載機1は第1携帯機31から送信された第1応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行う。第1の例では第1携帯機31は車内にあるため、車載機1の車載制御部10は、第1携帯機31から最初に送信される第1応答信号に基づいて、エンジンを始動させる処理を実行することができる。
【0088】
(第2の例)
図14はエンジンの始動に係る処理の第2の例を示す説明図である。第2の例は、
図14Bに示すように、第2携帯機32が車内にある場合である。処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号の送受信の手順は第1の例と同様である。ただし、第2携帯機32は、第1応答信号と、第2応答信号とを順次車載機1へ送信するが、第2応答信号の送信タイミングは、第1携帯機31よりも遅い。しかし、車内及び車外近傍には第2携帯機32のみが存在するため、車載機1は、第2携帯機32から送信された第1応答信号を受信することができる。従って、車載機1は第2携帯機32から送信された第1応答信号に基づいて、第2携帯機32の車内外判定を行い、エンジンを始動させる処理を実行することができる。つまり、車載機1は第2携帯機32から送信される第2応答信号を待つことなく、最初に送信される第1応答信号に基づいて、エンジンを始動させる処理を実行することができる。第1応答信号を送信するタイミングは第1携帯機31と同じであるため、使用者が第2携帯機32を保持していても、車載機1は、第1携帯機31を保持している場合と同じ処理時間でエンジンを始動させることができる。第3携帯機33、第4携帯機34、第5携帯機35及び第6携帯機36を用いた場合も同様であり、車載機1は速やかにエンジンを始動させることができる。
【0089】
(第3の例)
図15はエンジンの始動に係る処理の第3の例を示す説明図である。第3の例は、
図15Bに示すように第1携帯機31が車内にあり、第2携帯機32が車外にある場合である。処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号の送受信の手順は第1の例と同様である。ただし、
図15Aに示すように、第1携帯機31及び第2携帯機32は同じタイミングで第1応答信号を送信する。そして、第1応答信号の送信に引き続き、第1携帯機31は第2応答信号を送信し、第2携帯機32は、第1携帯機31及び車載機1の間で第2応答信号の送受信が行われた後、第2応答信号を送信する。第3の例においては、車内及び車外近傍に第1携帯機31及び第2携帯機32の双方が存在し、同じタイミングで第1応答信号が第1携帯機31及び第2携帯機32から送信されるため、車載機1は第1応答信号の受信に失敗する場合がある。
しかし、車載機1は、第1携帯機31から送信される第2応答信号を受信することができる。従って、車載機1は第1携帯機31から送信された第2応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行うことができる。第3の例では第1携帯機31が車内にあるため、エンジンを始動させる処理が実行される。つまり、車載機1は第2携帯機32から送信される第2応答信号を待つことなく、第1携帯機31から先に送信される第2応答信号に基づいて、エンジンを始動させる処理を実行することができる。
【0090】
(第4の例)
図16はエンジンの始動に係る処理の第4の例を示す説明図である。第4の例は、
図16Bに示すように第1携帯機31が車外にあり、第6携帯機36が車内にある場合である。処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号、並びに応答信号の送受信の手順は第3の例と同様である。第4の例においては、車内及び車外近傍に第1携帯機31及び第6携帯機36の双方が存在し、
図16Aに示すように同じタイミングで第1応答信号が第1携帯機31及び第6携帯機36から送信されるため、車載機1は第1応答信号の受信に失敗する場合がある。しかし、車載機1は、第1携帯機31から送信される第2応答信号を受信することができ、該第2応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行うことができる。第4の例では第1携帯機31が車外にあるため、エンジンを始動させる処理は実行されない。次に、車載機1は、第6携帯機36から送信される第2応答信号を受信し、受信した該第2応答信号に基づいて、第6携帯機36の車内外判定を行うことができる。第6携帯機36は車内に存在するため、車載機1は第6携帯機36からの第2応答信号に基づいて、エンジンを始動させる処理を実行することができる。第4の例では、第3の例に比べて処理が遅くなるが、遅くとも第6携帯機36からの第2応答信号に基づいて、エンジンを始動させる処理を実行することができる。第4の例は、本実施形態2におけるエンジンの始動処理が最も遅延する例であるが、各携帯機3へ処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号を複数のLF送信アンテナ22毎に異なるタイミングで連続的に送信する構成であるため、従来の車載通信システムに比べると、より効率的に車内外判定を行い、エンジンを始動させる処理を実行することができる。
【0091】
(第5の例)
図17はエンジンの始動に係る処理の第5の例を示す説明図である。第5の例は、
図17Bに示すように第1乃至第5携帯機31,32,…,35が車外にあり、第6携帯機36が車内にある場合である。処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号、並びに応答信号の送受信の手順は第4の例と同様である。第5の例においては、車内及び車外近傍に第1乃至第6携帯機31,32,…,36が存在し、
図17Aに示すように同じタイミングで第1応答信号が第1乃至第6携帯機31,32,…,36から送信されるため、車載機1は第1応答信号の受信に失敗する場合がある。しかし、車載機1は、第1携帯機31から送信される第2応答信号を受信することができ、該第2応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行うことができる。第5の例では第1携帯機31が車外にあるため、エンジンを始動させる処理は実行されない。同様にして、第2乃至第5携帯機32,33,34,35についても車内外判定が行われるが、いずれも車外に存在するため、エンジンを始動させる処理は行われない。最後に、車載機1は、第6携帯機36から送信される第2応答信号を受信し、受信した該第2応答信号に基づいて、第6携帯機36の車内外判定を行う。第6携帯機36は車内に存在するため、車載機1は第6携帯機36からの第2応答信号に基づいて、エンジンを始動させる処理を実行することができる。第5の例は、第2応答信号の送信タイミングが最も遅い第6携帯機36が車内にある場合であるが、遅くとも第6携帯機36からの第2応答信号に基づいて、エンジンを始動させる処理を実行することができる。第5の例は、第4の例と同様、エンジンの始動処理が最も遅延する例であるが、各携帯機3へ処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号を複数のLF送信アンテナ22毎に異なるタイミングで連続的に送信する構成であるため、従来の車載通信システムに比べて、より効率的に車内外判定を行い、エンジンを始動させる処理を実行することができる。
【0092】
なお、本実施形態2ではエンジンの始動時の処理を説明したが、エンジン動作中に携帯機3が車内に存在することを確認する処理に、本実施形態2の処理を適用することもできる。
【0093】
実施形態2に係る車載通信システム、車載機1及び携帯機3によれば、実施形態1と同様、携帯機3の位置検出に要する時間を短縮化することができる。具体的には、複数の携帯機3が車輌C周辺に存在する場合であっても、携帯機3及び携帯機3間の通信を効率的に行って携帯機3の車内外判定を行い、エンジンの始動処理を実行することができる。
【0094】
また、エンジン始動に係る携帯機3の位置検出処理において、複数のLF送信アンテナ22の内、第1車内アンテナ22c及び第2車内アンテナ22dから処理開始信号を送信し、他のLF送信アンテナ22から処理開始信号を送信しない構成であるため、車載通信システムの応答性をより向上させることができる。
【0095】
(実施形態3)
<トランク閉じ込め防止に係る処理>
実施形態3に係る車載通信システムの構成は実施形態1と同様であり、対応する構成には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態3に係る車載通信システムは実施形態1の車載通信システムと同様の構成に加え、図示しないトランクアンテナを備える。トランクアンテナはLF送信アンテナ22の一つである。トランクアンテナは車輌Cのトランク内に設けられており、車載送信部12は車載制御部10の制御に従って、トランクアンテナから各種信号を送信するように構成されている。他の構成は実施形態1と同様であるため、対応する構成には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0096】
図18はトランク閉じ込め防止に係る処理手順を示すフローチャートである。
図19はトランク閉じ込め防止に係る処理の第1の例を示す説明図である。
【0097】
車載機1の車載制御部10は、バックドアスイッチ43の操作状態を監視しており、バックドアスイッチ43による施錠操作が行われたか否かを判定する(ステップS311)。つまり、車載制御部10はバックドアが解錠された状態において、バックドアスイッチ43が押下されたか否かを判定する。
【0098】
図19A中、「トリガ」はバックドアスイッチ43による施錠操作の状態を示している。ハイレベルのトリガ信号はバックドアスイッチ43が押下されていない状態に対応し、ローレベルのトリガ信号はバックドアスイッチ43による施錠操作が行われた状態に対応している。また、「処理状態」は、携帯機3のトランク閉じ込めに係る警告処理状態を示している。太線で示した上下の高さによって警告処理状態が示されている。太線が上側に位置した警告処理が行われていない状態、太線が下側に位置した状態は警告処理が行われている状態に対応している。
【0099】
バックドアスイッチ43による施錠操作が行われていないと判定した場合(ステップS311:NO)、車載制御部10は処理を終える。バックドアスイッチ43による施錠操作が行われたと判定した場合(ステップS311:YES)、車載制御部10は、トランクアンテナから処理開始信号が送信されるように車載送信部12の動作を制御する(ステップS312)。次いで、車載制御部10は、実施形態1のステップS113〜ステップS118と同様、車内外判定のための検出用信号の送信、応答信号の受信、認証処理、車内外判定の処理をステップS313〜318において実行する。
【0100】
ステップS318において、携帯機3が車内にあると判定した場合(ステップS318:YES)、車載制御部10は、警告を発する処理を実行し(ステップS319)、処理を終える。ステップS319の警告は、携帯機3がトランクに閉じ込められている旨を使用者へ通知するためのものである。警告の方法は特に限定されず、警告音を発しても良いし、警告灯を点灯させても良いし、車輌C及び車載機1に特定の動作を実行させることによって警告を行っても良い。
なお、本実施形態においては、携帯機3が一機でも車内にあると判定した場合は、他の携帯機3からの応答信号を待つことなく、車載制御部10は、警告を発する処理を実行する。
【0101】
ステップS318において、携帯機3が車外にあると判定した場合(ステップS318:NO)、応答信号を受信していないと判定した場合(ステップS315:NO)、又は認証に失敗したと判定した場合(ステップS316:NO)、車載制御部10は所定応答時間が経過したか否かを判定する(ステップS320)。所定応答時間が経過していないと判定した場合(ステップS320:NO)、車載制御部10は処理をステップS315へ戻す。所定時間が経過したと判定した場合(ステップS320:YES)、車載制御部10は処理を終える。
【0102】
図18においてはバックドアの施錠に係る処理を説明していないが、別途バックドアの施錠に係る処理を実行しても良いし、少なくとも一つの携帯機3が車外にあれば、他の携帯機3がトランク内にあっても車輌ドアを施錠するようにしても良いし、トランク内に携帯機3が存在しないことを条件に車輌ドアを施錠するように構成しても良い。
【0103】
なお、実施形態1と同様、統計距離の算出及び車内外判定の主要な処理を携帯機3が実行するように構成しても良い。
次に、このように構成された車載通信システムの作用を説明する。
(第1の例)
図19はトランク閉じ込め防止に係る処理の第1の例を示す説明図である。第1の例は、
図19Bに示すように、第1携帯機31がトランク内にある場合である。使用者がバックドアスイッチ43を押下し、トランクの施錠操作を行った場合、
図19Aに示すように、車載機1はトランクアンテナから処理開始信号を送信し、続いて各LF送信アンテナ22から車内外判定のための検出用信号を複数のLF送信アンテナ22毎に異なるタイミングで連続的に送信する。第1携帯機31はトランク内に存在するため、第1携帯機31は処理開始信号を受信し、各LF送信アンテナ22から送信された信号の受信信号強度を測定し、測定された受信信号強度の情報を有する第1応答信号と、第2応答信号とを順次車載機1へ送信する。車内及び車外近傍には第1携帯機31のみが存在するため、車載機1は、第1携帯機31から送信された第1応答信号を受信することができる。従って、車載機1は第1携帯機31から送信された第1応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行う。第1の例では第1携帯機31はトランク内にあるため、車載機1の車載制御部10は、第1携帯機31から最初に送信される第1応答信号に基づいて、車内外判定を行い、携帯機3がトランク内に閉じ込められることを防止するための警告を発することができる。
【0104】
(第2の例)
図20はトランク閉じ込め防止に係る処理の第2の例を示す説明図である。第2の例は、
図20Bに示すように第1携帯機31がトランク内にあり、第2携帯機32が車外にある場合である。処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号の送受信の手順は第1の例と同様である。ただし、
図20Aに示すように、第1携帯機31及び第2携帯機32は同じタイミングで第1応答信号を送信する。そして、第1応答信号の送信に引き続き、第1携帯機31は第2応答信号を送信し、第2携帯機32は、第1携帯機31及び車載機1の間で第2応答信号の送受信が行われた後、第2応答信号を送信する。第2の例においては、車内及び車外近傍に第1携帯機31及び第2携帯機32の双方が存在し、同じタイミングで第1応答信号が第1携帯機31及び第2携帯機32から送信されるため、車載機1は第1応答信号の受信に失敗する場合がある。
しかし、車載機1は、第1携帯機31から送信される第2応答信号を受信することができる。従って、車載機1は第1携帯機31から送信された第2応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行うことができる。第2の例では第1携帯機31がトランク内にあるため、携帯機3がトランク内に閉じ込められる旨の警告を発することができる。つまり、車載機1は第2携帯機32から送信される第2応答信号を待つことなく、第1携帯機31から先に送信される第2応答信号に基づいて、警告を発することができる。
【0105】
(第3の例)
図21はトランク閉じ込め防止に係る処理の第3の例を示す説明図である。第3の例は、
図21Bに示すように第1乃至第5携帯機31,32,…,35が車外にあり、第6携帯機36がトランク内にある場合である。処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号、並びに応答信号の送受信の手順は第2の例と同様である。第3の例においては、車内及び車外近傍に第1乃至第6携帯機31,32,…,36が存在し、
図21Aに示すように同じタイミングで第1応答信号が第1乃至第6携帯機31,32,…,36から送信されるため、車載機1は第1応答信号の受信に失敗する場合がある。しかし、車載機1は、第1携帯機31から送信される第2応答信号を受信することができ、該第2応答信号に基づいて、第1携帯機31の車内外判定を行うことができる。第3の例では第1携帯機31が車外にあるため、警告処理は実行されない。同様にして、第2乃至第5携帯機32,33,34,35についても車内外判定が行われるが、いずれも車外に存在するため、警告処理は実行されない。最後に、車載機1は、第6携帯機36から送信される第2応答信号を受信し、受信した該第2応答信号に基づいて、第6携帯機36の車内外判定を行う。第6携帯機36はトランク内に存在するため、車載機1は第6携帯機36からの第2応答信号に基づいて、警告処理を実行することができる。第3の例は、第2応答信号の送信タイミングが最も遅い第6携帯機36がトランク内にある場合であるが、遅くとも第6携帯機36からの第2応答信号に基づいて、警告処理を実行することができる。第3の例は、警告処理が最も遅延する例であるが、各携帯機3へ処理開始信号及び車内外判定のための検出用信号を異なるタイミングで連続的に送信する構成であるため、従来の車載通信システムに比べて、より効率的に車内外判定を行い、トランク閉じ込め防止のための警告処理を実行することができる。
【0106】
実施形態3に係る車載通信システム、車載機1及び携帯機3によれば、実施形態1と同様、携帯機3の位置検出に要する時間を短縮化することができる。具体的には、複数の携帯機3が車輌C周辺に存在する場合であっても、携帯機3及び携帯機3間の通信を効率的に行って携帯機3の車内外判定を行い、トランク閉じ込め防止のための警告処理を実行することができる。
【0107】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。