【実施例】
【0021】
図1〜
図13に、実施例のピッキングシステム2とその変形とを示す。
図1はピッキングシステム2のレイアウトを示し、4は自動倉庫で、その天井に天井レール6が設けられ、分岐合流部8,9を複数備え、天井搬送車10が走行する。天井レール(以下「レール」)6は双方向への走行を許しても良いが、実施例では一方向にのみ天井走行車10が走行する。分岐合流部8は分岐と合流とを行う区間で、分岐するか直進するか(分岐の場合)、また直進か合流か(合流の場合)を、天井搬送車10が自ら制御できる。分岐合流部8でのレール6の構造は、例えば公知の天井走行車システムと同様にする。なお分岐合流部9は短い間隔で2個の分岐合流部を設けたものである。レール6に面してラック20が複数個設けられ、7はバイパスレーンで、設けなくても良く、後述の退避レーンとして用いることもできる。12はピッキングエリア22へのレーン、14は入荷エリア26へのレーンである。バイパスレーン7を設けない場合、ラック20に面するレール6をレーン12,14へ分岐合流部9により接続する。
【0022】
自動倉庫4の例えば四方に、ピッキングエリア22と、出荷エリア24及び入荷エリア26が設けられ、これらの内、出荷エリア24と入荷エリア26は例えば地上階で走行レール6の最外周側に設けて、トラック等の出入りを容易にし、ピッキングエリア22は例えば複数層に渡って設ける。30はピッキングシステム2のコントローラで、1台のコンピュータで構成しても良く、複数台のコンピュータを分散配置して構成しても良い。
【0023】
図2,
図3は、自動倉庫4と、周囲のピッキングエリア22、出荷エリア24、及び入荷エリア26の配置を示す。天井搬送車10に取って最大の搬送先はピッキングエリア22で、出荷エリア24がこれに次ぎ、多品種少量のピッキングシステム2では、入荷エリア26での搬送量が最も少ない。そこで天井搬送車10の搬送量、及び各エリア22,24,26での作業量等に応じて、エリア22,24,26の床面積を決定する。
【0024】
ピッキングシステム2は順次拡張することができ、この状況を
図4に示す。
図4において、記号'は拡張後の要素であることを示し、22,22'での数字22等は同じ種類の要素であることを表す。例えば
図4の上段の当初のピッキングシステム2を拡張して、中段のピッキングシステム2'とする。このとき、ピッキングエリア22と
図1のレーン12は撤去してもしなくても良く、レール6とラック20等を増設して自動倉庫4'とする。
図4の下段のようにさらに増設すると、自動倉庫4''となる。実施例ではレイアウトに柔軟性があり、増設も容易である。
【0025】
図5、
図6は、天井搬送車(以下「搬送車」)10の構造を示す。自立式のラック20の建屋の天井21にレール6が固定され、搬送車10の走行方向に沿ってレール6内に永久磁石50が配列されている。搬送車10は走行ユニット51を複数備え、図示しない非接触給電装置等から電力を得、走行ユニット51内のコイルユニット52とレール6側の永久磁石50とによりリニアモータを構成する。
【0026】
53はレール6の踏面で、車輪54を支持し、走行ユニット51はガイドローラ55を備えて、レール6に設けられたガイドレール56によりガイドされる。複数の走行ユニット51が、回動自在な軸57を介して、車台58を支持する。車台58あるいは走行ユニット51に設けられた切替ユニット67は、ガイドローラ55を昇降あるいは左右動させることにより、ガイドレール56との接触を切り替える。これによって、搬送車10は分岐と直進とを制御する。なお車台58と走行ユニット51とが、天井搬送車10の台車である。車台58のホイスト59は、チェーン等の吊持材60を駆動し、昇降台62をマスト66に沿って昇降させ、昇降台62のカウンターウェイトは例えばマスト66内に収容する。27はラック20の支柱、28は間口で、29は棚受である。
【0027】
例えば前後一対のマスト66を、走行方向に沿って傾斜自在に、車台58からピンにより懸垂させる。そしてマスト66によりガイドローラ64をガイドし、昇降台62の揺れや捻れ等を制限し、昇降台62にはスライドフォーク等の移載装置68が1個〜複数個搭載されている。前後一対のマスト66の下端は例えば水平な連結部材72により連結され、連結部材72は図示しないガイドローラを備えて、建屋の地上部に設けたガイドレール70によりガイドされる。マスト66は走行方向に沿って揺動自在で、その固有振動数付近での加減速を行わないように走行ユニット51を制御することにより、制振する。また図示しないダンパー、制振ゴム等をマスト66の車台58への取付部に設けて、非常停止時の揺れを小さくする。なお前後のマスト66,66を連結しなくても良く、下部のガイドレール70等は設けなくても良く、逆に連結部材72に走行車輪を設けて自重の一部を支持させても良い。なおマスト66の本数、構造等は任意である。
【0028】
ピッキングシステム2は、商品の保管用のコンテナと出荷用のコンテナ、大きな商品用のコンテナと小さな商品用のコンテナ、などサイズの異なるコンテナを扱うことがある。このことに対応するため、サイズの異なる複数種類の搬送車10,10'を共通のレール6に沿って走行させても良い。この状況を
図7に示す。搬送車10は、例えば4個の走行ユニット51を備える大きな車台58と、大きな昇降台62及び大きな移載装置68を備え、搬送車10'は、例えば2個の走行ユニット51を備える小さな車台58'と、小さな昇降台62'及び小さな移載装置68’を備えている。
図7では、昇降台62'の奥行き(レール6に対する左右方向の幅)を昇降台62の奥行きよりも小さくしたが、等しくしても良い。サイズの異なる搬送車10,10'を同じレール6に沿って走行させることにより、サイズの異なるコンテナを効率的に搬送できると共に、搬送車10,10'が移動できる範囲が増す。
【0029】
全ての搬送車10を常時稼動させる必要はない。
図8に示すように、
図1のバイパスレーン7等を退避レーン80とし、稼動させない搬送車10を退避させると、消費電力を小さくできる。また退避レーン80内にメンテナンスデッキ81を設けると、昇降台62及び車台58等のメンテナンスが容易になる。
【0030】
ピッキングシステム2では、軽量のコンテナを搬送することが多い。そこで例えば
図9に示すように、昇降台62に複数のプレート92を上下に積層し、各プレート92に移載装置68を設けて、多数のコンテナ94,95を同時に搬送できるようにすることが好ましい。なお
図7の小さな昇降台62’にも、同様に複数のプレートを上下に積層しても良い。もちろん従来のように、1層のみ(プレート92を1層のみ)の昇降台を用いても良い。
【0031】
図10はピッキングユニット100を示し、ピッキングユニット100を多数配置したものが
図1等のピッキングエリア22である。レール6側の搬入ステーション101から、商品を収納しているコンテナ94が搬送車により搬入され、図示しないコンベヤにより、バッファ101bを介して、ピッキング用のテーブル104へ搬送される。テーブル104には、バーコードリーダ106等のIDリーダと、端末108と、ラベルプリンタ112とが備えられ、作業者は、端末108のディスプレイ109の表示に従い、コンテナ94から段ボール等の出荷コンテナ95へ商品をピッキングする。端末108とラベルプリンタ112は一体でも良く、複数個のコンテナ94から1個の出荷コンテナ95へピッキングしても良く、また1個のコンテナ94から複数個の出荷コンテナ95へピッキングしても良い。
【0032】
ピッキング後に、作業者はコンテナ94の仕切り96を空領域(コンテナ94中の空スペースの割合)に合わせて移動させ、入力部110から、ピッキングが完了したことと、コンテナ94の空領域とを入力する。例えば入力部110に仕切り96の位置に応じたボタンが複数設けられ、ボタンを選択して押すことにより、空領域を入力できる。そしてラベルプリンタ112から出荷先のアドレスをプリントしたラベルを取り出し、出荷コンテナ95に貼り付ける。ピッキング後のコンテナ94,及び出荷コンテナ95を、図示しないコンベヤにより、バッファ102bを介して、搬出ステーション102へ搬送し、搬送車によりコンテナ94をラックへ、出荷コンテナ95を出荷エリアへ搬送する。
【0033】
図11は、ピッキングシステム2の制御系を示す。コントローラ30はメモリ116〜120に以下のファイルを記憶し、在庫ファイルはピッキングシステム2の在庫を記憶し、コンテナファイルはコンテナ94毎のID、位置、収納商品のリスト、及び空領域とを記憶する。入荷ファイルは入荷した商品のリストを記憶し、出荷ファイルは、出荷した商品のリストを記憶する。ピッキングファイルは、オーダー毎に、出荷する商品のリスト、商品のコンテナ94への割り当て、出荷先、及びピッキングの進捗状況を記憶する。
【0034】
コントローラ30内の搬送制御124は、複数台の天井搬送車10へ搬送指令を割り付け、コンテナ94,95の搬送を制御する。ここで、天井搬送車10が複数個のコンテナ94を一度に搬送できる場合、複数個のコンテナ94を一括してピッキングユニットへ搬送することが好ましい。コントローラ30は、ピッキングユニットの端末108と通信し、コンテナ94のバーコード等のIDに対し、ピッキングする商品を関連付けて、ディスプレイに表示させると共に、出荷先のアドレスを送信する。また入力部110からの入力を受け付けて、コンテナファイル及びピッキングファイルを更新する。入荷端末126は入荷エリアに設けられて、入荷商品のリストを作成し、コントローラ30はこれに基づいて入荷ファイルを更新する。出荷端末128は出荷エリアに設けられて、出荷商品と出荷先とのリストを作成し、コントローラ30はこれに基づいて出荷ファイルを更新する。
【0035】
図12に、ピッキングのアルゴリズムを示す。ステップ1で、搬送車10によりラック20から搬入ステーション101へコンテナ94を搬送し、ピッキングの順番が来るまで、バッファ101bで待機させる。ピッキングの順番が来ると、作業者はコンベヤによりバッファ101bからテーブル104へコンテナ94を移動させると共に、出荷コンテナ95をテーブル104へセットする(ステップ2)。そして作業者は、コンテナ94のID(バーコード)を読み取り、バーコードはコントローラ30へ送信されて、ピッキング商品のリストが返信され、ディスプレイ109に表示される(ステップ3)。作業者は、ディスプレイの表示に従い、コンテナ94から出荷コンテナ95へピッキングし、完了後に仕切り96を移動し、入力部110から空領域を設定すると共に、ピッキングが完了したことを入力する(ステップ4)。
【0036】
ピッキングの完了が入力されると、コンテナ94がバッファ102bを介して搬出ステーション102へ搬送される(ステップ5)。出荷コンテナ95へのピッキングが完了している場合、即ち他のコンテナ94からピッキングして詰め合わせる商品が無い場合、出荷コンテナ95に出荷先のラベルを貼り付け、バッファ102bを介して搬出ステーション102へ搬送する(ステップ6,7)。コンテナ94,95は搬送車10により、出荷エリア24,ラック20等の搬送先へ搬送される。
【0037】
図13は、変形例のピッキングユニットと、天井搬送車の昇降台とを示す。
図10と同じ符号は同じものを表し、以下の点を除いて実施例と同様である。昇降台には、搬入コンベヤ132を並列に配置したコンベヤプレート130と、移載装置68を備えるプレート134,135とが、例えば各々複数層に設けられている。そしてコンベヤプレート130は、好ましくは図示しない進退装置により、図の実線の後退位置と鎖線の進出位置との間で移動する。ピッキング用のテーブル104には、搬入ステーション101から搬出ステーション102(載置スペース)へ、コンテナ94を搬送するコンテナ搬送用のコンベヤが設けられている。またテーブル104の天井搬送車の走行ルート側に、複数の並列な搬出コンベヤ141を備える仕分先プレート140が設けられている。なお142は個々の商品で、プレート134,135,130は各1層設けても、あるいはプレート134,135とプレート130とで層の数が異なっていても良い。また前後一対の搬送装置68,68の内で、いずれを搬入用とし、いずれを搬出用とするかは、適宜に変更できる。
【0038】
コンテナ94は、搬入ステーション101,バッファ101bを介して、テーブル104へ搬入され、作業者は商品142を仕分先プレート140の搬出コンベヤ141へ載置する。ここで搬出コンベヤ141を出荷先毎に区分けすると、複数の出荷先へのピッキングを同時にできる。ピッキングが完了すると、コンベヤプレート130を
図13の鎖線の位置まで前進させ、搬出コンベヤ141から搬入コンベヤ132へ商品142を移し換える。そしてピッキングの終了したコンテナ94をプレート135へ移し換え、コンベヤプレート130を後退させて搬送する。
図13では、搬出ステーション102と仕分先プレート140とが、特許請求の範囲での搬出ステーションに相当する。また仕分け先プレート140に搬出コンベヤ140を設けず、例えば作業者の人手で商品を搬入コンベヤ132へ移しても良い。天井搬送車は、ピッキングの間待機しても、待機しなくても良い。そして出荷エリア24で、搬入コンベヤ132により出荷先毎のコンテナへ商品を投入する。
【0039】
実施例には以下の特徴がある。
1) 天井搬送車10は、マスト66に加わる垂直荷重のみを支持できればよいので、在来のスタッカークレーンに比べ軽量にできる。
2) リニアモータを用いることにより、レール6には走行方向の力が加わらない。このためレール6も軽量化できる。
3) ピッキングユニット100のコンベヤ等を除き、天井搬送車10により全ての搬送ができる。
4) 天井搬送車10は自動倉庫2内の全てのエリアに進入できるので、効率的な搬送ができる。
5) 退避レーン80により省電力化でき、メンテナンスデッキ81により天井搬送車10のメンテナンスが容易になる。
6) ピッキングシステム2は拡張性に富んでいる。
7) 共通のレール6に複数種類の天井搬送車10,10'を走行させることができ、また走行ユニット51を天井搬送車10,10'間で共通化できる。
8) 天井搬送車10の昇降台62に複数層のプレート92を設けると、搬送を効率化でき、車体長が長くならないので、分岐と合流が容易になる。特にピッキングユニット100へピッキングするコンテナをまとめて搬入し、バッファ101b等に載置することができる。またピッキング後のコンテナ94等を、搬出ステーション102からまとめて搬出することができる。
9)
図13のピッキングユニットと昇降台により、複数の出荷先へのピッキングを同時に行うことができる。
10) 在来のカートと作業者とによる人海戦術のピッキングを効率化でき、また多種類の搬送装置とピッキング装置とを組み合わせた複雑なピッキングシステムを、単純で効率的なシステムに改めることができる。
【0040】
実施例では作業者がピッキングする例を示したが、ロボットで代替可能な場合はロボットによりピッキングしても良い。また搬送車として天井搬送車を示したが、これに限るものではない。実施例ではピッキングエリア22を天井搬送車10の走行経路の外周側に設けたが、内周側に設けても良い。
【0041】
複数の出荷コンテナ95の商品をまとめて1オーダー分の商品を揃えても良く、その場合、コンテナ95へのラベルの貼り付けは不要である。