特許第6315097号(P6315097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6315097
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】ピッキングシステムとピッキング方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20180416BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20180416BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20180416BHJP
【FI】
   B65G1/137 A
   B65G1/00 501C
   B65G1/04 551Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-545009(P2016-545009)
(86)(22)【出願日】2015年6月15日
(86)【国際出願番号】JP2015067147
(87)【国際公開番号】WO2016031351
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2017年2月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-171757(P2014-171757)
(32)【優先日】2014年8月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】田井 彰人
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04678390(US,A)
【文献】 特開2013−052961(JP,A)
【文献】 特開平10−218307(JP,A)
【文献】 特開昭63−037006(JP,A)
【文献】 特開昭53−040982(JP,A)
【文献】 特公昭54−035390(JP,B1)
【文献】 特開平02−048304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーダーに従って、ラックに保管された複数のコンテナから商品をピッキングするシステムであって、
分岐と合流とが自在な走行経路に沿って走行する搬送車と、
前記走行経路に沿って設けられた複数のラックと、
前記走行経路に沿って設けられ、かつ搬送車がコンテナを搬入する搬入ステーションと、搬送車がコンテナとピッキングした商品とを搬出する搬出ステーションとを有する、複数のピッキングユニットと、
前記走行経路の外周に沿って設けられた出荷エリアと、
前記搬送車を制御して物品を搬送させるコントローラとを有し、
前記コントローラの制御下で前記搬送車により、オーダーされた商品を収納しているコンテナをラックからピッキングユニットの搬入ステーションへ搬送すると共に、ピッキングユニットでピッキングされた商品を出荷エリアへ搬送し、かつ商品をピッキングした後のコンテナをラックへ搬送するように構成されているピッキングシステム。
【請求項2】
前記走行経路の外周に沿って入荷エリアがさらに設けられ、
前記搬送車を制御して、コンテナを入荷エリアからラックへ搬送させるように、前記コントローラが構成されていることを特徴とする、請求項1のピッキングシステム。
【請求項3】
前記コントローラはコンテナ毎の空領域を記憶するように構成されていると共に、前記ピッキングユニットに、ピッキング後の空領域の入力部が設けられていることを特徴とする、請求項1または2のピッキングシステム。
【請求項4】
コンテナに商品を収納している領域と空領域との仕切りが移動自在に設けられ、仕切りの位置を入力することにより空領域を入力するように、前記空領域の入力部が構成されていることを特徴とする、請求項3のピッキングシステム。
【請求項5】
前記走行経路は、ピッキングシステムの建屋の天井部に設けられたレールから成り、
前記搬送車は、前記レールに沿って走行し、かつ吊持材を駆動するホイストを有する台車と、前記台車に鉛直下向きに取り付けられたマストと、前記マストによりガイドされて、前記吊持材により昇降し、かつ移載装置を有する昇降台、とから成ることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかのピッキングシステム。
【請求項6】
前記昇降台には、前記移載装置を備えて、コンテナを載置自在なプレートが、鉛直方向に沿って複数設けられていることを特徴とする、請求項5のピッキングシステム。
【請求項7】
前記搬送車の走行方向に沿って、前記昇降台の中央部に、前記ピッキングユニットからピッキングされた商品を受け取る搬入コンベヤが複数並列に配置され、かつ前記搬入コンベヤの前後に、コンテナを前記搬入ステーションへ搬入する移載装置と、コンテナを前記搬出ステーションから受け取る移載装置とが設けられ、
前記ピッキングユニットは、
前記搬入ステーションからコンテナを搬送するコンテナ搬送用のコンベヤを備えるテーブルと、
前記テーブルの前記走行経路側に設けられ、かつピッキングされた商品を前記搬入コンベヤへ搬出する複数の並列な搬出コンベヤと、
前記コンテナ搬送用のコンベヤの出口側にあるコンテナの載置スペース、とをさらに備え、
前記搬出コンベヤと前記載置スペースとが前記搬出ステーションを構成する、
ことを特徴とする、請求項5のピッキングシステム。
【請求項8】
ピッキングシステムにより、ラックに保管された複数のコンテナから商品をピッキングするピッキング方法であって、
前記ピッキングシステムは、
分岐と合流とが自在な走行経路に沿って走行する搬送車と、
前記走行経路に沿って設けられた複数のラックと、
前記走行経路に沿って設けられ、かつ搬送車がコンテナを搬入する搬入ステーションと、搬送車がコンテナとピッキングした商品とを搬出する搬出ステーションとを有する、複数のピッキングユニットと、
前記走行経路の外周に沿って設けられた出荷エリアと、
前記搬送車を制御するコントローラ、とを備え、
前記コントローラにより搬送車を制御して、オーダーされた商品を収納しているコンテナをラックから搬入ステーションへ搬送させるステップと、
前記ピッキングユニットで、コンテナからオーダーされた商品をピッキングするステップと、
前記コントローラにより搬送車を制御して、ピッキングされた商品を出荷エリアへ、商品をピッキングした後のコンテナをラックへ搬送させるステップ、とを実行するピッキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はピッキングシステムとピッキング方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
多種類の商品の中から顧客の要求に応じて少数ずつ商品をピッキングする場合、作業者がカートと共に倉庫内を巡回し、カートの画面の表示に従って、棚から商品をピッキングすることが行われている。この場合、作業者は商品の有る棚から次の棚へと長い距離を歩くことになる。
【0003】
ピッキングシステムとして、スタッカークレーンとラックとから成る自動倉庫に、有軌道台車を接続して、有軌道台車からピッキングエリアへ商品の入ったコンテナを搬送する、ものが知られている。そしてピッキングエリアと出荷エリアとを、コンベヤにより接続することが知られている。この場合、商品の種類が多いと、多数のラックが必要で、スタッカークレーンのレーンの数と有軌道台車の数とを増す必要がある。またスタッカークレーンは1つのレーンを往復走行することしかできないので、1つの出荷先へのピッキングにも、複数のスタッカークレーンが走行する必要がある。
【0004】
ここで関連する先行技術を示す。特許文献1(JPS63-242809A)は、工場の入荷エリアと、部品倉庫の複数のラックと、組立ラインとの間で、天井走行車により物品を搬送することを提案している。また特許文献1では、天井走行車の走行経路に分岐部と合流部とを設け、複数のラックに天井走行車がアクセスできるようにしている。しかし特許文献1は、ピッキングについて検討していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】JPS63-242809A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、分岐と合流とが自在な走行経路に沿って、1種類の搬送車を走行させることにより、商品をピッキングユニットと出荷エリアへ効率的に搬送できる、ピッキングシステムとピッキング方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、オーダーに従って、ラックに保管された複数のコンテナから商品をピッキングするシステムであって、
分岐と合流とが自在な走行経路に沿って走行する搬送車と、
走行経路に沿って設けられた複数のラックと、
走行経路に沿って設けられ、かつ搬送車がコンテナを搬入する搬入ステーションと、搬送車がコンテナとピッキングした商品とを搬出する搬出ステーションとを有する、複数のピッキングユニットと、
走行経路の外周に沿って設けられた出荷エリアと、
オーダーされた商品を収納しているコンテナをラックから搬入ステーションへ、ピッキングされた商品を出荷エリアへ、商品をピッキングした後のコンテナをラックへ、搬送車を制御して搬送させるコントローラ、とを有する。
【0008】
またこの発明のピッキング方法では、ラックに保管された複数のコンテナから商品をピッキングするために、
分岐と合流とが自在な走行経路に沿って走行する搬送車と、
走行経路に沿って設けられた複数のラックと、
走行経路に沿って設けられ、かつ搬送車がコンテナを搬入する搬入ステーションと、搬送車がコンテナとピッキングした商品とを搬出する搬出ステーションとを有する、複数のピッキングユニットと、
走行経路の外周に沿って設けられた出荷エリアと、
搬送車を制御するコントローラ、とを備えるピッキングシステムを用いる。
そして、コントローラにより搬送車を制御して、オーダーされた商品を収納しているコンテナをラックから搬入ステーションへ搬送させるステップと、
ピッキングユニットで、コンテナからオーダーされた商品をピッキングするステップと、
コントローラにより搬送車を制御して、ピッキングされた商品を出荷エリアへ、商品をピッキングした後のコンテナをラックへ搬送させるステップ、とを実行する。
【0009】
この発明では、例えば複数台の搬送車を走行させ、コンテナをラックからピッキングユニットの搬入ステーションへ搬入する。搬入ステーションはコンテナのバッファを兼ね、作業者等がピッキングユニットで商品をピッキングし、ピッキング後のコンテナと商品とを、搬出ステーションから搬送車により搬出する。このため、コンテナが作業者の側へ搬送車により搬入搬出され、作業者はコンテナからのピッキングに専念すれば良く、商品の有る棚まで移動する必要がない。
【0010】
分岐と合流が自在な走行経路を走行するので、搬送車は広い範囲のラックにアクセスでき、かつラックからピッキングユニットへの搬送と、ピッキングユニットから出荷エリア及びラックへの搬送を行うことができる。このため1種類の搬送車でよく、スタッカークレーンと有軌道台車、バーティカルコンベヤ、長距離コンベヤ等の多種類の搬送装置を設ける必要がない。出荷エリアを走行経路の外周に沿って設けることによりトラック等へ出荷が容易になり、出荷エリアは地上階に設けることが好ましい。
【0011】
この明細書において、ピッキングは在庫物品の中から商品を取り出して出荷することを意味し、ピッキングシステムに関する記載はそのままピッキング方法にも当てはまる。またピッキングユニットを複数備えるエリアをピッキングエリアと呼び、走行経路の外周に限らず、内周にも設けることができる。また前後は搬送車の走行方向に沿った前後を表し、左右は走行方向を中心としてその両側である左右を表す。
【0012】
好ましくは、走行経路の外周に沿って入荷エリアがさらに設けられ、搬送車を制御して、コンテナを入荷エリアからラックへ搬送させるように、コントローラが構成されている。入荷をピッキングユニットで行う場合に比べ、別途に入荷エリアを設けることにより、ピッキングユニットへの商品の集中を防ぐことができる。入荷エリアを走行経路の外周に沿って設けることによりトラック等からの入荷が容易になり、入荷エリアは地上階に設けることが好ましい。
【0013】
好ましくは、コントローラはコンテナ毎の空領域を記憶するように構成されていると共に、ピッキングユニットに、ピッキング後の空領域の入力部が設けられている。ピッキング後の空領域を入力するので、空領域を正確に管理できる。そして空領域を管理することにより、どのコンテナにどれだけの商品を追加可能かを容易に管理できる。
【0014】
特に好ましくは、コンテナに商品を収納している領域と空領域との仕切りが移動自在に設けられ、例えば5段階等のボタンにより、仕切りの位置を入力することにより空領域を入力するように、空領域の入力部が構成されている。このようにすると素早くかつ正確に空領域を入力でき、また仕切りによりコンテナが仕切られるので、コンテナ全体に商品が散在している場合よりも、商品を取り出しやすくなる。
【0015】
好ましくは、走行経路は、ピッキングシステムの建屋の天井部に設けられたレールから成る。天井部を走行する搬送車は、レールに沿って走行し、かつ吊持材を駆動するホイストを有する台車と、台車に鉛直下向きに取り付けられた例えば前後一対のマストと、マストによりガイドされて、吊持材により昇降し、かつ移載装置を有する昇降台、とから成る。地上走行のスタッカークレーンではなく、天井走行の台車からマストを懸垂させると、台車はマスト等からの垂直荷重を支持できればよくなり、軽量の搬送装置となる。マストで昇降台をガイドすることにより、昇降台の揺れを抑制し、スライドフォーク等の移載装置を搭載できるようになる。
【0016】
特に好ましくは、昇降台には、移載装置を備えて、コンテナを載置自在なプレートが、鉛直方向に沿って複数設けられている。このようにすると複数のコンテナを一括して搬送でき、特に1つのピッキングユニットに複数のコンテナを一括して搬送できる。プレートを鉛直方向に積層すると、搬送車の長さを短くでき、分岐と合流とが容易になる。
【0017】
好ましくは、搬送車の走行方向に沿って、昇降台の中央部に、ピッキングユニットからピッキングされた商品を受け取る搬入コンベヤが複数並列に配置され、かつ搬入コンベヤの前後に、コンテナを搬入ステーションへ搬入する移載装置と、コンテナを搬出ステーションから受け取る移載装置とが設けられ、
ピッキングユニットは、
搬入ステーションからコンテナを搬送するコンテナ搬送用のコンベヤを備えるテーブルと、
テーブルの走行経路側に設けられ、かつピッキングされた商品を搬入コンベヤへ搬出する複数の並列な搬出コンベヤと、
コンテナ搬送用のコンベヤの出口側にあるコンテナの載置スペース、とをさらに備え、
搬出コンベヤと載置スペースとが搬出ステーションを構成する。
【0018】
この例では、昇降台から搬入ステーションへコンテナを搬入し、ピッキングユニットのテーブルで例えば仕分け先毎の搬出コンベヤへ商品をピッキングする。そして搬出コンベヤから昇降台の搬入コンベヤへ商品を移載し、ピッキング済みのコンテナをピッキングユニットから昇降台の移載装置へ搬出する。このようにすると、複数の仕分け先へ商品を容易にピッキングできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例のピッキングシステムのレイアウトを示す平面図
図2】実施例での、自動倉庫と、その周囲のピッキングエリア、入荷エリア、及び出荷エリアの配置を示す平面図
図3】実施例のピッキングシステムの側面図
図4】実施例のピッキングシステムの拡張を模式的に示す図
図5】実施例での、天井搬送車と左右のラックとを示す正面図
図6図5の拡大部分正面図
図7】実施例で、共通のレールを走行する2種類の天井搬送車を示す平面図
図8】実施例での、天井搬送車の退避レーンとメンテナンスデッキとの平面図
図9】実施例での、天井搬送車の昇降台を示す図
図10】実施例での、搬入ステーションと搬出ステーションとテーブルとを有する、ピッキングユニットの平面図
図11】実施例の制御系を示すブロック図
図12】実施例での、ピッキングアルゴリズムを示すフローチャート
図13】変形例での、天井搬送車の昇降台とピッキングユニットとを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0021】
図1図13に、実施例のピッキングシステム2とその変形とを示す。図1はピッキングシステム2のレイアウトを示し、4は自動倉庫で、その天井に天井レール6が設けられ、分岐合流部8,9を複数備え、天井搬送車10が走行する。天井レール(以下「レール」)6は双方向への走行を許しても良いが、実施例では一方向にのみ天井走行車10が走行する。分岐合流部8は分岐と合流とを行う区間で、分岐するか直進するか(分岐の場合)、また直進か合流か(合流の場合)を、天井搬送車10が自ら制御できる。分岐合流部8でのレール6の構造は、例えば公知の天井走行車システムと同様にする。なお分岐合流部9は短い間隔で2個の分岐合流部を設けたものである。レール6に面してラック20が複数個設けられ、7はバイパスレーンで、設けなくても良く、後述の退避レーンとして用いることもできる。12はピッキングエリア22へのレーン、14は入荷エリア26へのレーンである。バイパスレーン7を設けない場合、ラック20に面するレール6をレーン12,14へ分岐合流部9により接続する。
【0022】
自動倉庫4の例えば四方に、ピッキングエリア22と、出荷エリア24及び入荷エリア26が設けられ、これらの内、出荷エリア24と入荷エリア26は例えば地上階で走行レール6の最外周側に設けて、トラック等の出入りを容易にし、ピッキングエリア22は例えば複数層に渡って設ける。30はピッキングシステム2のコントローラで、1台のコンピュータで構成しても良く、複数台のコンピュータを分散配置して構成しても良い。
【0023】
図2図3は、自動倉庫4と、周囲のピッキングエリア22、出荷エリア24、及び入荷エリア26の配置を示す。天井搬送車10に取って最大の搬送先はピッキングエリア22で、出荷エリア24がこれに次ぎ、多品種少量のピッキングシステム2では、入荷エリア26での搬送量が最も少ない。そこで天井搬送車10の搬送量、及び各エリア22,24,26での作業量等に応じて、エリア22,24,26の床面積を決定する。
【0024】
ピッキングシステム2は順次拡張することができ、この状況を図4に示す。図4において、記号'は拡張後の要素であることを示し、22,22'での数字22等は同じ種類の要素であることを表す。例えば図4の上段の当初のピッキングシステム2を拡張して、中段のピッキングシステム2'とする。このとき、ピッキングエリア22と図1のレーン12は撤去してもしなくても良く、レール6とラック20等を増設して自動倉庫4'とする。図4の下段のようにさらに増設すると、自動倉庫4''となる。実施例ではレイアウトに柔軟性があり、増設も容易である。
【0025】
図5図6は、天井搬送車(以下「搬送車」)10の構造を示す。自立式のラック20の建屋の天井21にレール6が固定され、搬送車10の走行方向に沿ってレール6内に永久磁石50が配列されている。搬送車10は走行ユニット51を複数備え、図示しない非接触給電装置等から電力を得、走行ユニット51内のコイルユニット52とレール6側の永久磁石50とによりリニアモータを構成する。
【0026】
53はレール6の踏面で、車輪54を支持し、走行ユニット51はガイドローラ55を備えて、レール6に設けられたガイドレール56によりガイドされる。複数の走行ユニット51が、回動自在な軸57を介して、車台58を支持する。車台58あるいは走行ユニット51に設けられた切替ユニット67は、ガイドローラ55を昇降あるいは左右動させることにより、ガイドレール56との接触を切り替える。これによって、搬送車10は分岐と直進とを制御する。なお車台58と走行ユニット51とが、天井搬送車10の台車である。車台58のホイスト59は、チェーン等の吊持材60を駆動し、昇降台62をマスト66に沿って昇降させ、昇降台62のカウンターウェイトは例えばマスト66内に収容する。27はラック20の支柱、28は間口で、29は棚受である。
【0027】
例えば前後一対のマスト66を、走行方向に沿って傾斜自在に、車台58からピンにより懸垂させる。そしてマスト66によりガイドローラ64をガイドし、昇降台62の揺れや捻れ等を制限し、昇降台62にはスライドフォーク等の移載装置68が1個〜複数個搭載されている。前後一対のマスト66の下端は例えば水平な連結部材72により連結され、連結部材72は図示しないガイドローラを備えて、建屋の地上部に設けたガイドレール70によりガイドされる。マスト66は走行方向に沿って揺動自在で、その固有振動数付近での加減速を行わないように走行ユニット51を制御することにより、制振する。また図示しないダンパー、制振ゴム等をマスト66の車台58への取付部に設けて、非常停止時の揺れを小さくする。なお前後のマスト66,66を連結しなくても良く、下部のガイドレール70等は設けなくても良く、逆に連結部材72に走行車輪を設けて自重の一部を支持させても良い。なおマスト66の本数、構造等は任意である。
【0028】
ピッキングシステム2は、商品の保管用のコンテナと出荷用のコンテナ、大きな商品用のコンテナと小さな商品用のコンテナ、などサイズの異なるコンテナを扱うことがある。このことに対応するため、サイズの異なる複数種類の搬送車10,10'を共通のレール6に沿って走行させても良い。この状況を図7に示す。搬送車10は、例えば4個の走行ユニット51を備える大きな車台58と、大きな昇降台62及び大きな移載装置68を備え、搬送車10'は、例えば2個の走行ユニット51を備える小さな車台58'と、小さな昇降台62'及び小さな移載装置68’を備えている。図7では、昇降台62'の奥行き(レール6に対する左右方向の幅)を昇降台62の奥行きよりも小さくしたが、等しくしても良い。サイズの異なる搬送車10,10'を同じレール6に沿って走行させることにより、サイズの異なるコンテナを効率的に搬送できると共に、搬送車10,10'が移動できる範囲が増す。
【0029】
全ての搬送車10を常時稼動させる必要はない。図8に示すように、図1のバイパスレーン7等を退避レーン80とし、稼動させない搬送車10を退避させると、消費電力を小さくできる。また退避レーン80内にメンテナンスデッキ81を設けると、昇降台62及び車台58等のメンテナンスが容易になる。
【0030】
ピッキングシステム2では、軽量のコンテナを搬送することが多い。そこで例えば図9に示すように、昇降台62に複数のプレート92を上下に積層し、各プレート92に移載装置68を設けて、多数のコンテナ94,95を同時に搬送できるようにすることが好ましい。なお図7の小さな昇降台62’にも、同様に複数のプレートを上下に積層しても良い。もちろん従来のように、1層のみ(プレート92を1層のみ)の昇降台を用いても良い。
【0031】
図10はピッキングユニット100を示し、ピッキングユニット100を多数配置したものが図1等のピッキングエリア22である。レール6側の搬入ステーション101から、商品を収納しているコンテナ94が搬送車により搬入され、図示しないコンベヤにより、バッファ101bを介して、ピッキング用のテーブル104へ搬送される。テーブル104には、バーコードリーダ106等のIDリーダと、端末108と、ラベルプリンタ112とが備えられ、作業者は、端末108のディスプレイ109の表示に従い、コンテナ94から段ボール等の出荷コンテナ95へ商品をピッキングする。端末108とラベルプリンタ112は一体でも良く、複数個のコンテナ94から1個の出荷コンテナ95へピッキングしても良く、また1個のコンテナ94から複数個の出荷コンテナ95へピッキングしても良い。
【0032】
ピッキング後に、作業者はコンテナ94の仕切り96を空領域(コンテナ94中の空スペースの割合)に合わせて移動させ、入力部110から、ピッキングが完了したことと、コンテナ94の空領域とを入力する。例えば入力部110に仕切り96の位置に応じたボタンが複数設けられ、ボタンを選択して押すことにより、空領域を入力できる。そしてラベルプリンタ112から出荷先のアドレスをプリントしたラベルを取り出し、出荷コンテナ95に貼り付ける。ピッキング後のコンテナ94,及び出荷コンテナ95を、図示しないコンベヤにより、バッファ102bを介して、搬出ステーション102へ搬送し、搬送車によりコンテナ94をラックへ、出荷コンテナ95を出荷エリアへ搬送する。
【0033】
図11は、ピッキングシステム2の制御系を示す。コントローラ30はメモリ116〜120に以下のファイルを記憶し、在庫ファイルはピッキングシステム2の在庫を記憶し、コンテナファイルはコンテナ94毎のID、位置、収納商品のリスト、及び空領域とを記憶する。入荷ファイルは入荷した商品のリストを記憶し、出荷ファイルは、出荷した商品のリストを記憶する。ピッキングファイルは、オーダー毎に、出荷する商品のリスト、商品のコンテナ94への割り当て、出荷先、及びピッキングの進捗状況を記憶する。
【0034】
コントローラ30内の搬送制御124は、複数台の天井搬送車10へ搬送指令を割り付け、コンテナ94,95の搬送を制御する。ここで、天井搬送車10が複数個のコンテナ94を一度に搬送できる場合、複数個のコンテナ94を一括してピッキングユニットへ搬送することが好ましい。コントローラ30は、ピッキングユニットの端末108と通信し、コンテナ94のバーコード等のIDに対し、ピッキングする商品を関連付けて、ディスプレイに表示させると共に、出荷先のアドレスを送信する。また入力部110からの入力を受け付けて、コンテナファイル及びピッキングファイルを更新する。入荷端末126は入荷エリアに設けられて、入荷商品のリストを作成し、コントローラ30はこれに基づいて入荷ファイルを更新する。出荷端末128は出荷エリアに設けられて、出荷商品と出荷先とのリストを作成し、コントローラ30はこれに基づいて出荷ファイルを更新する。
【0035】
図12に、ピッキングのアルゴリズムを示す。ステップ1で、搬送車10によりラック20から搬入ステーション101へコンテナ94を搬送し、ピッキングの順番が来るまで、バッファ101bで待機させる。ピッキングの順番が来ると、作業者はコンベヤによりバッファ101bからテーブル104へコンテナ94を移動させると共に、出荷コンテナ95をテーブル104へセットする(ステップ2)。そして作業者は、コンテナ94のID(バーコード)を読み取り、バーコードはコントローラ30へ送信されて、ピッキング商品のリストが返信され、ディスプレイ109に表示される(ステップ3)。作業者は、ディスプレイの表示に従い、コンテナ94から出荷コンテナ95へピッキングし、完了後に仕切り96を移動し、入力部110から空領域を設定すると共に、ピッキングが完了したことを入力する(ステップ4)。
【0036】
ピッキングの完了が入力されると、コンテナ94がバッファ102bを介して搬出ステーション102へ搬送される(ステップ5)。出荷コンテナ95へのピッキングが完了している場合、即ち他のコンテナ94からピッキングして詰め合わせる商品が無い場合、出荷コンテナ95に出荷先のラベルを貼り付け、バッファ102bを介して搬出ステーション102へ搬送する(ステップ6,7)。コンテナ94,95は搬送車10により、出荷エリア24,ラック20等の搬送先へ搬送される。
【0037】
図13は、変形例のピッキングユニットと、天井搬送車の昇降台とを示す。図10と同じ符号は同じものを表し、以下の点を除いて実施例と同様である。昇降台には、搬入コンベヤ132を並列に配置したコンベヤプレート130と、移載装置68を備えるプレート134,135とが、例えば各々複数層に設けられている。そしてコンベヤプレート130は、好ましくは図示しない進退装置により、図の実線の後退位置と鎖線の進出位置との間で移動する。ピッキング用のテーブル104には、搬入ステーション101から搬出ステーション102(載置スペース)へ、コンテナ94を搬送するコンテナ搬送用のコンベヤが設けられている。またテーブル104の天井搬送車の走行ルート側に、複数の並列な搬出コンベヤ141を備える仕分先プレート140が設けられている。なお142は個々の商品で、プレート134,135,130は各1層設けても、あるいはプレート134,135とプレート130とで層の数が異なっていても良い。また前後一対の搬送装置68,68の内で、いずれを搬入用とし、いずれを搬出用とするかは、適宜に変更できる。
【0038】
コンテナ94は、搬入ステーション101,バッファ101bを介して、テーブル104へ搬入され、作業者は商品142を仕分先プレート140の搬出コンベヤ141へ載置する。ここで搬出コンベヤ141を出荷先毎に区分けすると、複数の出荷先へのピッキングを同時にできる。ピッキングが完了すると、コンベヤプレート130を図13の鎖線の位置まで前進させ、搬出コンベヤ141から搬入コンベヤ132へ商品142を移し換える。そしてピッキングの終了したコンテナ94をプレート135へ移し換え、コンベヤプレート130を後退させて搬送する。図13では、搬出ステーション102と仕分先プレート140とが、特許請求の範囲での搬出ステーションに相当する。また仕分け先プレート140に搬出コンベヤ140を設けず、例えば作業者の人手で商品を搬入コンベヤ132へ移しても良い。天井搬送車は、ピッキングの間待機しても、待機しなくても良い。そして出荷エリア24で、搬入コンベヤ132により出荷先毎のコンテナへ商品を投入する。
【0039】
実施例には以下の特徴がある。
1) 天井搬送車10は、マスト66に加わる垂直荷重のみを支持できればよいので、在来のスタッカークレーンに比べ軽量にできる。
2) リニアモータを用いることにより、レール6には走行方向の力が加わらない。このためレール6も軽量化できる。
3) ピッキングユニット100のコンベヤ等を除き、天井搬送車10により全ての搬送ができる。
4) 天井搬送車10は自動倉庫2内の全てのエリアに進入できるので、効率的な搬送ができる。
5) 退避レーン80により省電力化でき、メンテナンスデッキ81により天井搬送車10のメンテナンスが容易になる。
6) ピッキングシステム2は拡張性に富んでいる。
7) 共通のレール6に複数種類の天井搬送車10,10'を走行させることができ、また走行ユニット51を天井搬送車10,10'間で共通化できる。
8) 天井搬送車10の昇降台62に複数層のプレート92を設けると、搬送を効率化でき、車体長が長くならないので、分岐と合流が容易になる。特にピッキングユニット100へピッキングするコンテナをまとめて搬入し、バッファ101b等に載置することができる。またピッキング後のコンテナ94等を、搬出ステーション102からまとめて搬出することができる。
9) 図13のピッキングユニットと昇降台により、複数の出荷先へのピッキングを同時に行うことができる。
10) 在来のカートと作業者とによる人海戦術のピッキングを効率化でき、また多種類の搬送装置とピッキング装置とを組み合わせた複雑なピッキングシステムを、単純で効率的なシステムに改めることができる。
【0040】
実施例では作業者がピッキングする例を示したが、ロボットで代替可能な場合はロボットによりピッキングしても良い。また搬送車として天井搬送車を示したが、これに限るものではない。実施例ではピッキングエリア22を天井搬送車10の走行経路の外周側に設けたが、内周側に設けても良い。
【0041】
複数の出荷コンテナ95の商品をまとめて1オーダー分の商品を揃えても良く、その場合、コンテナ95へのラベルの貼り付けは不要である。
【符号の説明】
【0042】
2 ピッキングシステム 4 自動倉庫 6 天井レール
7 バイパスレーン 8,9 分岐合流部 10 天井搬送車
12,14 レーン 20 ラック 21 天井
22 ピッキングエリア 24 出荷エリア 26 入荷エリア
27 支柱 28 間口 29 棚受 30 コントローラ
50 永久磁石 51 走行ユニット 52 コイルユニット
53 踏面 54 車輪 55,64 ガイドローラ
56,70 ガイドレール 57 軸 58 車台
59 ホイスト 60 吊持材 62 昇降台 66 マスト
67 切替ユニット 68 移載装置 72 連結部材
80 退避レーン 81 メンテナンスデッキ 92 プレート
94 コンテナ 95 出荷コンテナ 96 仕切り
100 ピッキングユニット 101 搬入ステーション
102 搬出ステーション 104 テーブル
106 バーコードリーダ 108 端末 109 ディスプレイ
110 入力部 112 ラベルプリンタ 116〜120 メモリ
122 入出力 124 搬送制御 126 入荷端末
128 出荷端末 130 コンベヤプレート
132 搬入コンベヤ 134,135 プレート
140 仕分先プレート(搬出ステーション) 141 搬出コンベヤ
142 商品
図1
図2
図3
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図6
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図10
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図12
図13