特許第6315104号(P6315104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6315104
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】PLC機能内蔵型ドライブ制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20180416BHJP
【FI】
   G05B19/05 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-562138(P2016-562138)
(86)(22)【出願日】2014年12月3日
(86)【国際出願番号】JP2014081946
(87)【国際公開番号】WO2016088215
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2017年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112003
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100145344
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177312
【弁理士】
【氏名又は名称】辰己 雄一
(72)【発明者】
【氏名】八幡 貴志
(72)【発明者】
【氏名】樋口 新一
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−280090(JP,A)
【文献】 特開平8−237991(JP,A)
【文献】 特開2004−40966(JP,A)
【文献】 特開2007−135325(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/119054(WO,A1)
【文献】 特開2007−68292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作パラメータごとに、該動作パラメータの初期値や単位を含む属性情報と、当該動作パラメータを識別するためにコードとを関連付けて記憶する動作パラメータ記憶手段と、
コードの入力を受け付け、属性情報をもとに動作パラメータの値を表示する操作パネルと、
前記操作パネルに入力されたコードを受信し、当該コードに関連付けられた動作パラメータの値と属性情報とを前記操作パネルへ送信する動作パラメータ通信手段と、
プログラマブルロジックコントローラの機能を実現するPLC機能部と、
を備えたPLC機能内蔵型ドライブ制御装置であって、
前記動作パラメータ記憶手段は、前記PLC機能部で動作するアプリケーションプログラムの動作パラメータ用に割り付けられたコードを記憶し、さらに、
前記アプリケーションプログラムの動作パラメータごとに、当該動作パラメータの属性情報と、該動作パラメータを識別するためのインデックスとを関連付けて記憶する更新用動作パラメータ記憶手段と、
前記動作パラメータ記憶手段のコードと前記更新用動作パラメータ記憶手段のインデックスとを対応付けた紐付け情報を保存する紐付け情報記憶手段と、
前記紐付け情報記憶手段に前記動作パラメータ通信手段が受信したコードに対応するインデックスが存在した場合に、前記更新用動作パラメータ記憶手段から当該インデックスに関連付けられた属性情報を抽出し、該属性情報と当該コードに対応する動作パラメータの値とを前記動作パラメータ通信手段を介して前記操作パネルへ送信する動作パラメータ更新手段と、
を備えることを特徴とするPLC機能内蔵型ドライブ制御装置。
【請求項2】
前記更新用動作パラメータ記憶手段に更新用の動作パラメータの属性情報を書き込むアプリケーションプログラム実行手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のPLC機能内蔵型ドライブ制御装置。
【請求項3】
前記アプリケーションプログラムは、前記PLC機能部の起動時に前記紐付け情報記憶手段に前記紐付け情報を書き込むことを特徴とする請求項2に記載のPLC機能内蔵型ドライブ制御装置。
【請求項4】
前記更新用動作パラメータ記憶手段は、動作パラメータごとに前記操作パネルからの属性情報の読み出し又は書き込みを禁止するフラグ情報を有し、
前記アプリケーションプログラム実行手段は、前記更新用動作パラメータ記憶手段に動作パラメータの属性情報を書き込んだときに、当該動作パラメータに対応する前記フラグ情報をセットすることを特徴とする請求項2又は3に記載のPLC機能内蔵型ドライブ制御装置。
【請求項5】
前記更新用動作パラメータ記憶手段は、動作パラメータごとに前記操作パネルから当該動作パラメータに対応する属性情報が設定されたか否かを示すフラグ情報を有し、
前記アプリケーションプログラム実行手段は、前記フラグ情報がセットされている場合は、当該フラグ情報に対応付けられた前記属性情報の書き込みをしないことを特徴とする請求項2又は3に記載のPLC機能内蔵型ドライブ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ等の負荷を制御するドライブ制御装置に関し、PLC(Programmable Logic Controller)の機能を内蔵し、効率的なパラメータ情報の管理を可能にするPLC機能内蔵型ドライブ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、インバータ等を備えてモータ等の負荷の効率的な制御を行うドライブ制御装置では、上位装置としてPLCを接続してシーケンス制御を実現していた。さらに近年では、必要とするシーケンス制御が複雑ではない場合には、ドライブ制御装置にPLCオプション装置を組み込んだり、PLCそのものをドライブ制御装置に内蔵したりすることで、PLC機能を内蔵させてシーケンス制御を実現する装置(以下、「PLC機能内蔵型ドライブ制御装置」と言う。)も開発されている。(例えば、特許文献1を参照のこと。)
【0003】
なお、一般にドライブ制御装置では、ユーザの用途に応じて数百から数千種類の動作条件を定めるパラメータ(以下、「動作パラメータ」と言う。)の値を設定する必要がある。従来のドライブ制御装置は、パーソナルコンピュータやオペレータユニット等の外部機器に接続して、動作パラメータの値を設定する方法が用いられている。一方、PLC機能内蔵型ドライブ制御装置では、専用の操作パネルから動作パラメータの値を入力する方法が用いられている。
【0004】
図8は、PLC機能内蔵型ドライブ制御装置の操作パネルの画面説明図である。この図において、操作パネル2は、動作パラメータやその属性情報を選択したり、値を設定したりする操作キー群90と、選択されたデータや設定値を表示する画面エリア91を有している。この操作パネル2は通常ドライブ制御装置とは着脱可能に構成される。
【0005】
図9は、上記操作パネルを用いてドライブ制御装置の動作パラメータを設定する際の画面表示例である。操作パネル2の画面には、動作パラメータの値や初期値、上下限値、単位等の属性情報が表示される。
【0006】
動作パラメータの属性情報はユーザの用途により様々であり、従来からユーザが動作パラメータの設定を誤らないようにするための提案がなされている。
【0007】
例えば、特許文献2では、ユーザ独自のパラメータデータ群を複数備え、任意のデータ群を選択してパラメータの初期設定を行うことができるインバータ装置のパラメータ初期設定法が提案されている。特許文献3では、ユーザによる初期値データ群の設定切り替えや復元が容易に行えるようにして、データ変更におけるユーザのパラメータ設定ミスを回避することができるインバータ装置が提案されている。
【0008】
また、特許文献4では、不具合が発生した場合に調整が必要なパラメータを抽出して表示することで、ユーザは取扱説明書などを参照することなく必要なパラメータ設定を操作することができるインバータ装置およびパラメータ設定方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−280090号公報
【特許文献2】特開平08−237991号公報
【特許文献3】特開2004−040966号公報
【特許文献4】特開2007−135325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、PLCとドライブ制御装置を一体として構成したPLC機能内蔵型ドライブ制御装置では、ドライブ制御装置の操作パネルを通して、当該ドライブ制御装置のみならずPLCの動作パラメータの表示・設定も可能にして、動作パラメータを一元管理したいというニーズがある。
【0011】
しかしながら、PLC機能内蔵型ドライブ制御装置は、ドライブ制御装置のプログラムについては、その動作パラメータの属性情報をあらかじめROM等の不揮発性メモリで保持しているものの、PLC機能として動作するアプリケーションプログラムの動作パラメータの属性情報については保持していない。このため、従来アプリケーションプログラムの動作パラメータを操作パネルに表示する場合は、予め属性情報を一律に一定の値に設定しておき、この属性情報に基づいて操作パネルに表示するという手法がとられていた。この手法では、実際の動作パラメータの値と異なる値が表示されることになるので、ユーザはアプリケーションプログラムの仕様書に書かれている本来の属性情報に基づいて、操作パネルに表示された動作パラメータを解釈する必要があった。
【0012】
このような理由から、PLC機能として動作するアプリケーションプログラムの動作パラメータについては、その設定に時間が掛かったり、設定の間違いを起こしやすいという問題があった。
【0013】
勿論、ドライブ制御装置と同様にPLC側の動作パラメータの属性情報についても、予め正しい値を不揮発性メモリに保存しておくことも考えられるが、PLCのアプリケーションプログラムを追加あるいは変更するたびに不揮発性メモリを書き換えることになり効率的でない。
【0014】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、PLCのアプリケーションプログラムについても、ドライブ制御装置に標準で装備されたプログラムと同様に、操作パネルに動作パラメータを正しく表示させることができ、アプリケーションプログラムの追加・変更時にも効率よく動作パラメータの属性情報を更新することのできるPLC機能内蔵型ドライブ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るPLC機能内蔵型ドライブ制御装置は、
動作パラメータごとに、該動作パラメータの初期値や単位を含む属性情報と、当該動作パラメータを識別するためにコードとを関連付けて記憶する動作パラメータ記憶手段(13)と、
コードの入力を受け付け、属性情報をもとに動作パラメータの値を表示する操作パネル(2)と、
前記操作パネルに入力されたコードを受信し、当該コードに関連付けられた動作パラメータの値と属性情報とを前記操作パネルへ送信する動作パラメータ通信手段(11)と、
プログラマブルロジックコントローラの機能を実現するPLC機能部(4)と、
を備えたPLC機能内蔵型ドライブ制御装置(1)であって、
前記動作パラメータ記憶手段(13)は、前記PLC機能部(4)で動作するアプリケーションプログラムの動作パラメータ用に割り付けられたコードを記憶し、さらに、
前記アプリケーションプログラムの動作パラメータごとに、当該動作パラメータの属性情報と、該動作パラメータを識別するためのインデックスとを関連付けて記憶する更新用動作パラメータ記憶手段(42)と、
前記動作パラメータ記憶手段のコードと前記更新用動作パラメータ記憶手段のインデックスとを対応付けた紐付け情報を保存する紐付け情報記憶手段(14)と、
前記紐付け情報記憶手段(14)に前記動作パラメータ通信手段が受信したコードに対応するインデックスが存在した場合に、前記更新用動作パラメータ記憶手段(42)から当該インデックスに関連付けられた属性情報を抽出し、該属性情報と当該コードに対応する動作パラメータの値とを前記動作パラメータ通信手段(11)を介して前記操作パネル(2)へ送信する動作パラメータ更新手段(12)と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明では、操作パネルからアクセス可能なドライブ制御装置の動作パラメータ記憶手段の属性情報を格納する領域の一部をPLC機能部で動作するアプリケーションプログラム用に割り付ける。また、アプリケーションプログラムの動作パラメータは、インデックスを検索キーにして更新用動作パラメータ記憶手段に記憶する。そして、動作パラメータ更新手段は、操作パネルから入力されたコードの紐付け情報が存在する場合には、更新用動作パラメータ記憶手段にアクセスして、そのコードに紐付けられたインデックスの動作パラメータの属性情報を取得し、この属性情報をもとに動作パラメータの値を操作パネル上に表示する。
【0017】
これにより、PLCのアプリケーションプログラムは、ドライブ制御装置とは独立して開発できるので、当該アプリケーションの流用性を高めることができ開発コストを削減することができる。また、従来からドライブ制御装置の有していた操作パネルによって、PLCアプリケーションプログラムの動作パラメータも含めた一元管理が容易になる。
【0018】
また、本発明に係るPLC機能内蔵型ドライブ制御装置は、前記更新用動作パラメータ記憶手段に更新用の動作パラメータの属性情報を書き込むアプリケーションプログラム実行手段(41)を備えることを特徴とする。好ましくは、前記アプリケーションプログラムは、前記PLC機能部の起動時に前記紐付け情報記憶手段に前記紐付け情報を書き込むようにすると良い。これによりPLC機能部の独立性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明に係るPLC機能内蔵型ドライブ制御装置の前記更新用動作パラメータ記憶手段は、動作パラメータごとに前記操作パネルからの読み出し又は書き込みを禁止するフラグ情報を有し、前記アプリケーションプログラム実行手段は、前記更新用動作パラメータ記憶手段に動作パラメータの属性情報を書き込んだときに、当該動作パラメータに対応する前記フラグ情報をセットすることを特徴とする。特にこのフラグ情報をセットすることによって操作パネル上で動作パラメータのデータ無しと表示することにより、ユーザの動作パラメータの管理の手間を省くと共に、ユーザの不注意による属性情報の変更による誤作動を防止することができる。
【0020】
また、本発明に係るPLC機能内蔵型ドライブ制御装置の前記更新用動作パラメータ記憶手段は、動作パラメータごとに前記操作パネルから当該動作パラメータに対応する属性情報が設定されたか否かを示すフラグ情報を有し、前記アプリケーションプログラム実行手段は、前記フラグ情報がセットされている場合は、当該フラグ情報に対応付けられた前記属性情報の書き込みをしないことを特徴とする。
【0021】
これにより、例えば、電源を切らずに装置がリセットするような所謂ホットスタートの場合、既にユーザがセットした設定値を動作パラメータとして用いて動作するので、再設定の手間を省くことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上の如く、本発明のPLC機能内蔵型ドライブ制御装置によれば、PLCのアプリケーションプログラムについても、ドライブ制御装置に標準で装備されたプログラムと同様に、操作パネルに動作パラメータを正しく表示させることができ、アプリケーションプログラムの追加・変更時にも効率よく動作パラメータの属性情報を更新することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態のPLC機能内蔵型ドライブ制御装置1の全体構成を説明する図である。
図2図1に示す動作パラメータ記憶手段13のデータ構成例である。
図3図1に示す更新用動作パラメータ記憶手段42のデータ構成例である。
図4図1に示す紐付け情報記憶手段14のデータ構成例である。
図5】本実施形態のPLC機能内蔵型ドライブ制御装置1における動作パラメータの置き換え処理の手順を示すフローチャートである。
図6図5に示す動作パラメータの置き換え処理で、動作パラメータを置き換えないときの画面表示例である。
図7図5に示す動作パラメータの置き換え処理で、動作パラメータを置き換えたときの画面表示例である。
図8】従来におけるPLC機能内蔵型ドライブ制御装置の操作パネルの一例を示す正面図である。
図9図8の操作パネルを用いて動作パラメータを設定する際の画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のPLC機能内蔵型ドライブ制御装置における一実施形態を説明する。
図1は、本実施の形態に係るPLC機能内蔵型ドライブ制御装置1の全体構成の説明図である。ここで、PLC機能内蔵型ドライブ制御装置1は、PLC機能内蔵型ドライブ制御装置本体(以下、単に「本体」という。)10と通信回線3を介して接続する操作パネル2から構成されている。PLC機能内蔵型ドライブ制御装置1のユーザは、操作パネル2に表示される情報を監視するとともに、操作パネル2から設定値の変更入力をすることで、図示しないモータ等の負荷を制御する。
【0025】
本体10には、操作パネル2との間で動作パラメータのデータを送受信する動作パラメータ通信手段11、動作パラメータの属性情報を更新する動作パラメータ更新手段12、
ドライブ制御装置用の動作パラメータのデータを保存する領域とPLC用に割り当てられた動作パラメータのデータを保存する領域とを有する動作パラメータ記憶手段13、この動作パラメータ記憶手段13と後述する更新用動作パラメータ記憶手段42のデータを紐付ける紐付け情報記憶手段14を備える。ここで、動作パラメータのデータは、動作パラメータの数値と属性情報とを含む。
【0026】
また、本体10には、PLCまたはPLCオプション装置を内蔵したPLC機能部4を備え、ドライブ制御装置の標準機能では実現できないアプリケーションプログラムを実行する。さらに、PLC機能部4には、アプリケーションプログラムを実行するアプリケーションプログラム実行手段41、前記アプリケーションプログラムの動作パラメータの属性情報を保存する更新用動作パラメータ記憶手段42を備える。
【0027】
図2は本実施形態によるPLC機能内蔵型ドライブ制御装置本体10が備える動作パラメータ記憶手段13のデータ構成例である。
【0028】
動作パラメータ記憶手段13には、PLC機能内蔵型ドライブ制御装置1のすべての動作パラメータの値と、初期値、上下限値、単位等の属性情報とが格納されている。なお、属性情報には、操作パネル2からの変更の可否や、運転中における変更の可否等の情報を加えても良い。
【0029】
上記のごとく、動作パラメータ記憶手段13は、動作パラメータごとに、その値と属性情報をデータセットとして格納する。
【0030】
各動作パラメータは、それぞれの動作パラメータのデータセットを識別するためのコードが設定されており、ユーザは操作パネル2に表示が必要な動作パラメータのコードを入力することで、所望の動作パラメータを選択して、そのデータセットのうち必要な情報を操作パネル2に表示させることができる。すなわち、コードは、動作パラメータの検索キーとして機能する。
【0031】
この動作パラメータ記憶手段13には、標準で装備されたドライブ制御装置のプログラムにおける動作パラメータの本来の属性情報のデータを予め保持しているが、それに加えてPLC機能で動作するアプリケーションプログラムの属性情報のデータも保持している。ただし、アプリケーションプログラムの属性情報については予め暫定的に設定されたものであり、通常は本来の属性情報ではない。
【0032】
なお、図2に示す動作パラメータ記憶手段13において、動作パラメータの値すなわち図2の右欄(値1,値2,値3,〜,値m)の記憶領域は、動作パラメータ更新手段12から読み書き可能な揮発性メモリ(例えばRAM)で構成され、それ以外の属性情報等の記憶領域は、動作パラメータ更新手段12から読み出し可能であって電源を供給しなくても記憶を保持することのできる不揮発性メモリ(例えばROM)で構成される。なお揮発性メモリのデータと不揮発性メモリのデータとの関連付けは、コードをキーにしても良いし、予めメモリアドレスを関連付けておくなど従来の一般的な技術によって行うことができる。
【0033】
ちなみに動作パラメータは、本体10の図示しないドライブ制御装置用プログラムあるいはPLC機能部4のアプリケーションプログラムで使用され、通常その値によって各プログラムの動作条件を変えることができる。また、動作パラメータの値は、各プログラムから設定される場合もあるが、操作パネル2を介してユーザによって設定される場合もある。
【0034】
図3は本実施形態のPLC機能部4が備える更新用動作パラメータ記憶手段42のデータ構成例である。更新用動作パラメータ記憶手段42は、揮発性メモリで構成されている。
【0035】
更新用動作パラメータ記憶手段42には、PLC機能で動作するアプリケーションプログラムの動作パラメータにおける初期値、上下限値、単位等の属性情報が格納される。これらの属性情報は、例えばPLC機能の動作開始時に又は任意のタイミングで属性情報等を管理するアプリケーションプログラムによって更新用動作パラメータ記憶手段42に書き込むようにしても良い。
【0036】
更新用動作パラメータ記憶手段42には、動作パラメータ記憶手段13とは異なり、動作パラメータの値は保持せず、また各動作パラメータの属性情報のデータセットごとにインデックスが検索キーとして設定されている。
【0037】
更新用動作パラメータ記憶手段42には、更新用の属性情報が実際に格納されているか否かを判定するための「データ有無」の項目を備えるのが好ましい。たとえユーザが選択した動作パラメータが更新対象な動作パラメータであったとしても、既にPLC機能の起動時に初期設定された属性情報のままで操作パネル2に表示して良い場合には、アプリケーションプログラム実行手段41は、「データ有無」の項目において「無」に設定する。これにより、動作パラメータ更新手段12は、操作パネル2からの属性情報の置き換え処理を行わないようにすることができる。なお、「データ有無」の項目を別途に設けるのではなく、更新用動作パラメータ記憶手段42の特定の項目を予め決められた所定の値にすることで、判定するようにしても良い。この「データ有無」の項目や更新用動作パラメータ記憶手段42の特定の項目は、操作パネル2からのアクセスを禁止するフラグ情報として機能する。
【0038】
なお、ここではPLC機能部4で用いられるすべての動作パラメータを保持する必要はなく、更新が必要なものだけを保持すれば良い。また、保持する属性情報についても、置き換えが必要な項目だけで良い。これにより、メモリ容量を削減することが可能になり、PLC機能内蔵型ドライブ制御装置1のコストダウンにつなげることができる。
【0039】
図4は本実施形態のPLC機能内蔵型ドライブ制御装置本体10が備える紐付け情報記憶手段14のデータ構成例である。
【0040】
紐付け情報記憶手段14には、動作パラメータの値を更新する対象となる動作パラメータ記憶手段13における個別の動作パラメータのコードと、該コードと対応する更新用動作パラメータ記憶手段42のインデックスとが紐付けられて記憶されている。なお、紐付け情報は、図4のように表形式で予め不揮発性メモリに格納しても良いし、動作パラメータ更新手段12に判定処理を実行するプログラムとして組み込んでおくこともできる。この他、紐付け情報記憶手段14を揮発性メモリで構成し、PLC機能部4の起動時に初期設定処理を実行するアプリケーションプログラムによって紐付け情報が自動展開されるようにしても良い。
【0041】
図5は、動作パラメータ更新手段12による動作パラメータの置き換え処理の手順を示すフローチャートである。
【0042】
ユーザから操作パネル2に任意の動作パラメータのコードが入力され、動作パラメータ更新手段12は動作パラメータ通信手段11を介してこのコードを取得すると(S101)、動作パラメータ記憶手段13から当該コードに対応する動作パラメータの属性情報を取得する(S102)。
【0043】
次に、動作パラメータ更新手段12は紐付け情報記憶手段14を参照して、取得した動作パラメータのコードが更新対象の動作パラメータか否かを確認する(S103)。更新対象ではない場合には(S103で「NO」)、動作パラメータ記憶手段13から取得した動作パラメータの値および属性情報の値を、そのまま動作パラメータ通信手段11を介して操作パネル2へ送信する。操作パネル2は、受信した属性情報の値に基づいて動作パラメータの値を表示する。
【0044】
一方、動作パラメータのコードが更新対象である場合には(S103で「YES」)、動作パラメータ更新手段12は、紐付け情報記憶手段14から当該コードに紐付けられた更新対象のインデックス値を取得して、更新用動作パラメータ記憶手段42から当該インデックス値に対応する動作パラメータの属性情報を取得する(S104)。
【0045】
次に、取得した属性情報から「データ有無」の項目を確認し(S105)、「データ有無」の項目が「無」であった場合には(S105で「NO」)、動作パラメータ通信手段11を介して動作パラメータ記憶手段13から取得した動作パラメータの属性情報を操作パネル2へ送信する。
【0046】
一方、「データ有無」の項目が「有」であった場合には(S105で「YES」)、動作パラメータ更新手段12は、動作パラメータ記憶手段13から取得した動作パラメータの属性情報を、更新用動作パラメータ記憶手段42から取得した属性情報に置き換える(S106)。
【0047】
動作パラメータ更新手段12は、動作パラメータ通信手段11を介して動作パラメータの値と更新された属性情報とを操作パネル2へ送信する(S107)。操作パネル2は、この更新された属性情報の値に基づいて動作パラメータの値を表示する。
【0048】
次に上記の処理について、図6図7に示す操作パネル2の表示画面例に基づいて説明する。ここで、図6はPLCのアプリケーションプログラムの動作パラメータが予め暫定的に一律に不揮発性メモリに設定された属性情報であり、本来の属性情報でない場合の表示例である。一方、図7は、PLCのアプリケーションプログラム実行手段41あるいは操作パネル2から設定された属性情報であり、本来の属性情報の場合の表示例である。
【0049】
ユーザが操作パネル2から検索キーとして「U202」のコードを入力すると、動作パラメータ通信手段11は、入力されたコードを動作パラメータ更新手段12に渡す(S101)。動作パラメータ更新手段12は、動作パラメータ記憶手段13にアクセスして、コード「U202」に対応する動作パラメータの属性情報を抽出する(S102)。いまこの属性情報は、初期値が「0」、設定可能な下限値が「−32768」、上限値が「32767」、単位の欄はブランクであったとする。
そして、動作パラメータ更新手段12は、紐付け情報記憶手段14にコード「U202」が存在するか否かを判定する(S103)。本例の場合は、紐付け情報記憶手段14にコード「U202」は存在しないので(S103で「NO」)、抽出した属性情報と、動作パラメータの値「555」を動作パラメータ通信手段11を介して操作パネル2へ送信する。
【0050】
この結果、操作パネル2では、図6に示すように初期値が「0」、設定可能な下限値が「−32768」、上限値が「32767」とそのまま表示される。また、単位の情報はないので、設定値は「555」とそのまま表示される。
【0051】
一方、ステップS103で置き換え処理が実行される場合には、動作パラメータ更新手段12により、紐付け情報記憶手段14を参照して、コード「U202」について更新対象のインデックス値を抽出する。次に、動作パラメータ更新手段12は、更新用動作パラメータ記憶手段42から抽出したインデックス値に対応する動作パラメータの属性情報を取得する(S104)。
【0052】
動作パラメータ更新手段12は、更新用動作パラメータ記憶手段42から取得した属性情報と、動作パラメータ記憶手段13に保存されているコード「U202」に対応する動作パラメータの値「555」とを動作パラメータ通信手段11を介して、操作パネル2へ送信する(S107)。
【0053】
いま、更新用動作パラメータ記憶手段42の属性情報が、初期値「600」、下限値「250」、上限値「1200」、表示単位「Hz」、および値の表示形式情報「1/10」であったとする。この値の表示形式情報は、小数点第何位までを表示するかを規定する情報であり、「1/10」小数点第一位まで表示することを示す。
【0054】
この場合、操作パネル2には、図7に示すように、初期値「60.0Hz」、設定可能な下限値が「25.0Hz」、上限値「120.0Hz」、現在の設定値「55.5Hz」が表示される。
【0055】
以上、動作パラメータ更新手段12における属性情報の置き換え処理、および置き換えの有無による操作パネル2での表示内容の違いについて説明した。
【0056】
ちなみにPLC機能部4が備えるアプリケーションプログラム実行手段41は、たとえばPLCのようなIEC6113−3準拠のプログラミング言語(ラダー(LD言語)、シーケンス・ファンクション・チャート(SFC言語)、ファンクション・ブロック・ダイアグラム(FBD言語)、ストラクチャード・テキスト(ST言語)およびインストラクション・リスト(IL言語))により作成されたプログラム等の実行管理を行う。なお、アプリケーションプログラムはC言語などの一般的なプログラミング言語で作成されたプログラムであっても良い。
【0057】
上記アプリケーションプログラムは、更新用動作パラメータ記憶手段42の動作パラメータの読み出しおよび書き込みをすることが可能で、動作パラメータの値によって処理内容を変更したり調整したりすることができる。アプリケーションプログラム実行手段41は、その初期化処理時や任意のタイミングで、更新用動作パラメータ記憶手段42のデータを書き換えることができる。
【0058】
なお、ドライブ制御装置用の動作パラメータの処理については従来どおりであるため詳細な説明は割愛するが、動作パラメータ記憶手段13のドライブ制御装置用に割り当てられえたコードに対応する属性情報と動作パラメータの値を操作パネル上に表示し、またドライブ制御装置のプログラムはその動作パラメータに基づいて処理を実行する。
【0059】
以上、本実施の形態によれば、PLCのアプリケーションプグラムが利用する動作パラメータについても、その属性情報をアプリケーションプログラムの仕様に合わせて変更することができる。またアプリケーションプログラムの動作パラメータを本来の属性情報に基づいて操作パネルに表示することができるので、PLC機能およびドライブ制御装置用の動作パラメータを一元管理することが可能になる。
【0060】
本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実現することができる。
例えば、更新用動作パラメータ記憶手段42に、動作パラメータごとに操作パネル2から当該動作パラメータに対応する属性情報が設定されたか否かを示すフラグ情報を設けて、アプリケーションプログラム実行手段41は、このフラグ情報がセットされている場合は、当該フラグ情報に対応付けられた属性情報の書き込みをしないようにしても良い。これにより、電源を切らずに装置がリセットするような所謂ホットスタートの場合に、既にユーザがセットした設定値を動作パラメータとして用いて動作することが可能になるので、ユーザの再設定の手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0061】
1 PLC機能内蔵型ドライブ制御装置
2 操作パネル
3 通信回線
4 PLC機能部
10 本体
11 動作パラメータ通信手段
12 動作パラメータ更新手段
13 動作パラメータ記憶手段
14 紐付け情報記憶手段
41 アプリケーションプログラム実行手段
42 更新用動作パラメータ記憶手段
図1
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図9