(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の電動工具におけるPWM制御では、スイッチング素子を高速でオン/オフさせるため、スイッチング回路部にノイズが発生する。しかしながら、上記した従来の電動工具においては比較的大きなノイズ対策部品が必要であり、実装スペースの確保が問題となっていた。
【0005】
そこで本発明は、実装スペースを小さくし効果的にノイズを低減可能な電動工具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、直流電圧を出力する電源回路部と、複数のスイッチング素子を有し、該電源回路部と接続されるスイッチング回路部と、ステータコア及び回転軸を有し、該電源回路部から該スイッチング回路部を介して出力される直流電圧によって駆動されるブラシレスモータと、該複数のスイッチング素子を制御することで該ブラシレスモータの駆動を制御する制御回路部と、を備える電動工具であって、該スイッチング回路部は、第1出力ラインとグランドに接続された第2出力ラインとにより該電源回路部に接続され、該ステータコアは、雑防素子を介して該第2出力ラインに接続されていることを特徴とする電動工具を提供する。
上記課題を解決するために本発明はさらに、直流電圧を出力する電源回路部と、複数のスイッチング素子を有し該電源回路部と接続されるスイッチング回路部と、ステータコア及び回転軸を有し該電源回路部から該スイッチング回路部を介して駆動されるブラシレスモータと、該複数のスイッチング素子を制御することで該ブラシレスモータの駆動を制御する制御回路部と、を備える電動工具であって、該スイッチング回路部は、第1出力ラインと、グランドに接続された第2出力ラインと、により該電源回路部に接続され、該ステータコアは、該電源回路部と該スイッチング回路部とを接続する該第2出力ラインに雑防素子を介して接続されていることを特徴とする電動工具を提供する。
【0007】
このような構成によると、電動工具の電気系統における直流回路部分のノイズ発生源の一つであるブラシレスモータのステータコアが、雑防素子を介してグランドに接続された同じ直流回路部分の第2出力ラインに接続されているため、効果的にスイッチング回路部で発生するノイズを低減することができる。
【0008】
上記構成において、該雑防素子は、コンデンサであることが好ましい。
【0009】
このような構成によると、安価且つ簡易に雑防素子を構成することができる。これにより、製造コストを抑制することができる。
【0010】
また、該電源回路部は、外部電源と接続可能な電源接続部と、該外部電源の交流電圧を直流電圧に変換して出力する変換出力部と、を有し、該変換出力部は、チョークコイルとコンデンサとを含む雑防手段を介して該電源接続部に接続されていることが好ましい。
【0011】
このような構成によると、交流電圧が直流電圧に変換されて出力されるまでの交流回路部分に雑防手段が設けられているため、スイッチング回路部から商用電源に入るノイズを効果的に低減することができる。
【0012】
また、該ブラシレスモータを収容するモータ収容室が形成されたハウジングをさらに備え、該スイッチング回路部、該第1出力ライン、該第2出力ライン及び該雑防素子は、基板に実装され、該基板は、該モータ収容室の内部に配置されていることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、モータ収容室の内部にブラシレスモータ及び雑防素子が収容されるため、ブラシレスモータのステータコアの近傍に雑防素子が位置する。これにより、ステータコアと雑防素子と接続する部材を短くすることができ、製造コストを抑制することができ、且つノイズ低減の効果を向上させることができる。
【0014】
また、該基板は、該回転軸の軸方向における該ブラシレスモータの一端部に取付けられていることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、基板が回転軸の軸方向におけるブラシレスモータの一端部に取付けられているので、ハウジングの当該軸方向と直交する方向における寸法の大型化を抑制することができる。
【0016】
また、該ステータコアと該雑防素子とは、導電性の弾性部材によって接続され、該弾性部材は、該ステータコアの該回転軸の軸方向における一端部と該基板との間に介在していることが好ましい。
【0017】
このような構成によると、ステータコアに弾性部材を接続した後に基板をブラシレスモータに組み付けることで、ブラシレスモータへの基板の取付とステータコアと雑防素子との接続を同時に行うことができ、組立性を向上させることができる。
【0018】
また、該弾性部材は、コイルスプリングであることが好ましい。
【0019】
このような構成によると、安価且つ簡易に弾性部材を構成することができる。これにより、製造コストを抑制することができる。
【0020】
また、該ステータコアと該雑防素子とは、リード線によって接続されていることが好ましい。
【0021】
このような構成によると、安価且つ簡易にステータコアと雑防素子とを接続することができる。これにより、製造コストを抑制することができる。
【0022】
また、該基板は、該回転軸の半径方向における該ステータコアの外周面と対向する位置に配置されていることが好ましい。
【0023】
このような構成によると、ハウジングの回転軸の軸方向における寸法を小型化することが可能となる。
【0024】
また、該スイッチング回路部、該第1出力ライン及び該第2出力ラインは、該回転軸の軸方向における該ブラシレスモータの一端部に取付けられた基板に実装され、該雑防素子は、該回転軸の半径方向における該ステータコアの外周面に取付けられていることが好ましい。
【0025】
このような構成によると、ステータコアの外周面に雑防素子が取付けられているため、ブラシレスモータで発生するノイズをより効果的に低減することができる。
【0026】
また、該ブラシレスモータを収容するモータハウジングと、該モータハウジングから該モータハウジングの長手方向と直交する方向に延びるハンドルハウジングと、をさらに備え、該スイッチング回路部、該第1出力ライン及び該第2出力ラインは、基板に実装され、該基板は、該ハンドルハウジングの内部に配置され、該雑防素子は、該回転軸の半径方向における該ステータコアの外周面に取付けられ、該雑防素子と該第2出力ラインとは、該モータハウジングの内部と該ハンドルハウジングの内部とに亘るリード線によって接続されていることが好ましい。
【0027】
このような構成によると、ハンドルハウジングの内部に基板が配置されており、基板上の第2出力ラインと雑防素子とは、モータハウジングの内部と該ハンドルハウジングの内部とに亘るリード線によって接続されている。モータハウジングの内部に基板を配置する必要がなくモータハウジングの大型化を抑制することができる。
【0028】
上記課題を解決するために本発明はさらに、直流電圧を出力する電源回路部と、複数のスイッチング素子を有し、該電源回路部の出力側に接続されるスイッチング回路部と、ステータコア及び回転軸を有し、該スイッチング回路部により駆動されるブラシレスモータと、を備える電動工具であって、一端側が該電源回路部の出力側のグランドラインに接続され、他端側が該ステータコアに接続される雑防素子を有することを特徴とする電動工具を提供する。
上記課題を解決するために本発明はさらに、直流電圧を出力する電源回路部と、複数のスイッチング素子を有し該電源回路部の出力側に接続されるスイッチング回路部と、ステータコア及び回転軸を有し該スイッチング回路部により駆動されるブラシレスモータと、該電源回路部と該スイッチング回路部とを接続するグランドラインと該ステータコアとの間に接続された雑防素子と、を備えることを特徴とする電動工具を提供する。
【0029】
このような構成によると、電動工具の電気系統における直流回路部分のノイズ発生源の一つであるブラシレスモータのステータコアが、雑防素子を介して電源回路部の出力側のグランドラインに接続されているため、効果的にスイッチング回路部で発生するノイズを低減することができる。
【0030】
また上記構成おいて、該雑
防素子の該一端側は、該電源回路部と該スイッチング回路部とを接続する該グランドラインに接続されていることが好ましい。
【0031】
また、該雑防素子は、セラミックコンデンサであることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の電動工具によれば、効果的にノイズを低減することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。最初に本発明の第1の実施の形態による電動工具であるインパクトドライバ1について
図1乃至
図4を参照して説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるインパクトドライバ1の断面図である。
図1に示されるようにインパクトドライバ1は、ハウジング2、モータ3、ギヤ機構4、ハンマ5、アンビル部6、スイッチング基板7及び電源コード8から主に構成される。以下の説明においては、モータ3に対してアンビル部6が設けられている方向を前方向と定義し、前方向と逆の方向を後方向と定義する。また、モータ3に対して電源コード8が設けられている方向を下方向と定義し、下方向と逆の方向を上方向と定義する。さらに、インパクトドライバ1を後方向から見た場合の左を左方向と定義し、右を右方向と定義する。なお、以下の説明で「接続する」とは電気的に接続されることを含むものとする。
【0036】
図1に示されるようにハウジング2は、樹脂製であってインパクトドライバ1の外郭を成しており、前後方向に延びる略筒状のモータハウジング2aと、モータハウジング2aから下方向に延出するハンドルハウジング2bとによりに構成される。モータハウジング2a内の後部にはモータ収容室2cが画成されており、モータ収容室2c内にモータ3が収容されている。モータ3は回転軸3eを有しており、回転軸3eの軸方向がモータハウジング2aの長手方向に一致するように配置される。また、モータハウジング2a内には、ギヤ機構4、ハンマ5及びアンビル部6が、前後方向において前側に向かって並んで配置されている。なお、
図1乃至
図3、
図5、
図7乃至
図11に示されている直線Aは、回転軸3eの軸心を表わしている。
【0037】
モータハウジング2a内の前側位置には、ハンマ5及びアンビル部6が内蔵される金属製のハンマケース18が配置されている。ハンマケース18は、前方に向かうに従って徐々に径が細くなる略漏斗形状を成しており、前端部分には開口18aが形成され、開口18aから後述する先端工具保持部16の先端部分が露出し、その先端に開口部16aが形成される。また、モータハウジング2a内には、後述する冷却ファン14によりモータハウジング2a内に外気を吸入及び排出するための図示せぬ吸気口及び排気口が形成されている。当該外気により、モータ3及びスイッチング基板7が冷却される。
【0038】
ハンドルハウジング2bは、モータハウジング2aの前後方向略中央位置から下方に向けて延出し、モータハウジング2aと一体に構成されている。ハンドルハウジング2bの内部には、スイッチ機構9が内蔵されると共に、その延出方向先端位置に、交流電源に接続可能な電源コード8が延出している。ハンドルハウジング2bにおいて、モータハウジング2aからの根元部分であって前側位置には、作業者の操作箇所となるスイッチトリガ10が設けられている。このスイッチトリガ10は、スイッチ機構9と接続されており、モータ3への駆動電力の供給と遮断とを切り替えるために用いられる。また、ハンドルハウジング2bとモータハウジング2aとの接続部分であって、スイッチトリガ10の直上には、モータ3の回転方向を切り替える正逆切替スイッチ11が設けられている。更に、ハンドルハウジング2bの下部には、制御回路部12、電源回路部13、ノイズフィルタ部20が収容されている。
【0039】
図1乃至
図3に示されるようにモータ3は、ブラシレスモータであり、回転軸3e及び複数の永久磁石3dを備えるロータ3aと、当該ロータ3aと対向する位置に配置され複数のコイル3cを備えるステータコア3bとから主に構成される。回転軸3eは、軸方向が前後方向と一致するようにモータハウジング2a内に配置され、ロータ3aの前後に突出しており、その突出した箇所でベアリングによりモータハウジング2aに回転可能に支承されている。回転軸3eにおいて、前側に突出している箇所には、回転軸3eと同軸一体に回転する冷却ファン14が設けられている。
【0040】
ギヤ機構4は、モータ3の前方に配置されている。ギヤ機構4は、複数の歯車を備える遊星歯車機構で構成される減速機構であり、回転軸3eの回転を減速してハンマ5に伝達する。ハンマ5は、前端に一対の衝突部15を備えている。また、ハンマ5は、バネ5aにより前方に付勢され、当該付勢力に抗して後方に移動することも可能に構成されている。
【0041】
アンビル部6は、ハンマ5の前方に配置されており、先端工具保持部16と、アンビル17とから主に構成される。アンビル17は、先端工具保持部16の後方に、当該先端工具保持部16と一体に構成され、先端工具保持部16の回転中心に対して対極に配置された一対の被衝突部17aを有する。ハンマ5が回転すると、一方の衝突部15と一方の被衝突部17aとが衝突すると同時に、他方の衝突部15と他方の被衝突部17aとが衝突し、これによりハンマ5の回転力がアンビル17に伝達され、アンビル17に回転打撃力が与えられる。また、衝突部15と被衝突部17aとの衝突後、ハンマ5はバネ5aの付勢力に抗して回転しながら後退する。そして、衝突部15が被衝突部17aを乗り越えると、バネ5aに蓄えられた弾性エネルギーが解放されてハンマ5は前方に移動し、再び、衝突部15と被衝突部17aとが衝突することとなる。なお、先端工具保持部16の先端に形成された開口部16aには、先端工具が着脱可能に保持される。
【0042】
スイッチング基板7は、後面視において略円形状をなした基板であって、回転軸3eの軸方向(前後方向)においてモータ3の後端部に取付けられており、複数のスイッチング素子7aと、セラミックコンデンサ7bとが主に実装されている。複数のスイッチング素子7aは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。セラミックコンデンサ7bは、スイッチング基板7上において複数のスイッチング素子7aの下方に設けられた雑防用のコンデンサであり、主にスイッチング素子7aのスイッチング動作によってモータ3で発生するノイズを低減する。スイッチング基板7は基板の一例であり、セラミックコンデンサ7bは、雑防素子の一例である。なお、セラミックコンデンサ7bは、
図1に示すようなリード式でもよいし、面実装式でもよく、スイッチング基板7に実装できればよい。
【0043】
図3及び
図4に示されるように、スイッチング基板7とモータ3のステータコア3bとの間には導電性のコイルスプリング19が介在している。コイルスプリング19の前端部は、ステータコア3bの後端部に接続されており、後端部はスイッチング基板7の前面と当接している。スイッチング基板7のコイルスプリング19の後端部が当接している部分は導電性の部材で形成されており、コイルスプリング19の後端部とスイッチング基板7とが当接した状態において、セラミックコンデンサ7bの一方の端子とコイルスプリング19とは接続されている。コイルスプリング19は、弾性部材の一例である。
【0044】
電源コード8は、ハンドルハウジング2bの下端部から延出しており、その先端には交流電源24(
図4)と接続可能なプラグを備えている。
【0045】
次に、第1の実施の形態によるインパクトドライバ1の制御/電気系統について説明する。
図4は、インパクトドライバ1におけるブロック図を含む回路図である。
【0046】
図4に示されるようにモータ3は、本実施の形態では3相のブラシレスモータにより構成される。このモータ3のロータ3aは、永久磁石3dを含んで構成される。永久磁石3dは、回転軸3e(
図1)の軸方向に延びる2組のN極及びS極の磁石が、回転方向に90度毎に交互に配置された構成となっている。ステータコア3bは、円筒状の外形を有しており、スター結線された3相のステータ巻線(コイル3c)U、V、Wを備えている。
【0047】
ロータ3aの近傍には、3つのホールIC21i、21j、21kが配置されている。ホールIC21i、21j、21kは、永久磁石3dに対向して回転方向に60度毎に配置される。電磁結合方式により永久磁石3dからの磁力を検出し、位置検出信号を制御回路部12へ出力する。
【0048】
図4に示されるように、モータ3への電力供給を行う回路は、電源回路部13と、スイッチング回路部22と、電源回路部13とスイッチング回路部22とを接続するプラスライン26及びマイナスライン27とにより主に構成されている。
【0049】
電源回路部13は、電源接続部25と、ノイズフィルタ部20と、整流回路部23とを備えており、交流電源24の交流電圧を変換して直流電圧をスイッチング回路部22に出力する回路である。交流電源24は、外部電源の一例である。
【0050】
電源接続部25は、電源コード8と交流電源24とを接続した状態において、交流電源24の電圧が入力される接続端子25a及び25bを備えている。交流電源24の電圧は、電源接続部25を介してノイズフィルタ部20に出力される。
【0051】
ノイズフィルタ部20は、コンデンサ20Aと、チョークコイル20B及び20Cとにより構成されている。コンデンサ20Aは交流電源24と並列に接続されており、チョークコイル20B及び20Cは整流回路部23と交流電源24との間にそれぞれ直列に接続されている。ノイズフィルタ部20は、主にスイッチング回路部22から交流電源24に入るノイズを低減する。ノイズフィルタ部20は、雑防手段として機能する。
【0052】
整流回路部23は、図示せぬダイオードブリッジ回路により構成されており、交流電源24からノイズフィルタ部20を介して出力される交流電圧を整流してスイッチング回路部22に出力している。言い換えれば交流電源24の交流電圧を直流電圧に変換してスイッチング回路部22に出力している。整流回路部23は、変換出力部の一例である。なお、ダイオードブリッジ回路の出力側に平滑コンデンサを設けても良い。
【0053】
プラスライン26は、スイッチング基板7に実装されており、電源回路部13とスイッチング回路部22とを接続している。電源回路部13は、プラスライン26を介してスイッチング回路部22に直流電圧を出力している。プラスライン26は、第1出力ラインの一例である。
【0054】
マイナスライン27(グランドライン)は、スイッチング基板7に実装されており、電源回路部13とスイッチング回路部22とを接続している。またマイナスライン27は、グランドに接続されており、且つセラミックコンデンサ7bの他方の端子と接続されている。さらにマイナスライン27には、モータ3に流れる電流を検出するためのシャント抵抗27Aが設けられている。マイナスライン27は、第2出力ラインの一例である。
【0055】
上述したようにステータコア3bはコイルスプリング19によってセラミックコンデンサ7bの一方の端子と接続されており、且つセラミックコンデンサ7bの他方の端子とマイナスライン27とが接続されている。これにより、ステータコア3bはセラミックコンデンサ7bを介してマイナスライン27に接続される。このように、ノイズの発生源であるモータ3のステータコア3bが直流回路部分であるマイナスライン27にセラミックコンデンサ7bを介して接続されているため、モータ3で発生するノイズを効果的に低減することができる。
【0056】
スイッチング回路部22は、スイッチング基板7上に実装されており、3相ブリッジ形式に接続された6個のスイッチング素子7a(Q1〜Q6)により構成されている。これら6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートは、制御回路部12に接続され、スイッチング素子Q1〜Q6の各コレクタ又は各エミッタは、スター結線されたステータ巻線U、V、Wに接続される。これにより、6個のスイッチング素子Q1〜Q6は、制御回路部12から入力されたスイッチング素子駆動信号(H1〜H6の駆動信号)に基づきスイッチング動作を行い、交流電源24から電源回路部13を介して供給された直流電圧を、3相(U相、V相及びW相)電圧Vu、Vv、Vwとして、ステータ巻線U、V、Wに供給する。
【0057】
制御回路部12は、ホールIC21i、21j、21kからのからの位置検出信号に基づいて、ステータ巻線U、V、Wへの通電方向及び通電時間を制御している。また制御回路部12は、スイッチトリガ10の操作量(ストローク)を検出可能に構成されている。さらにモータ3のステータ巻線U、V、Wに流れる電流値をシャント抵抗27Aによって検出可能に構成されている。
【0058】
制御回路部12は、6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートを駆動するスイッチング素子駆動信号(3相信号)の中、3個の負電源側スイッチング素子Q4、Q5、Q6を駆動するスイッチング素子駆動信号を、パルス幅変調信号(PWM信号)H4、H5、H6として供給する。そして、スイッチトリガ10の操作量に基づいてPWM信号のパルス幅(デューティ比)を変化させることにより、モータ3への駆動電力の供給量を調整し、モータ3の起動/停止と回転速度とを制御する。
【0059】
ここで、PWM信号は、スイッチング回路部22の正電源側スイッチング素子Q1〜Q3及び負電源側スイッチング素子Q4〜Q6の何れか一方に供給され、スイッチング素子Q1〜Q3又は負電源側スイッチング素子Q4〜Q6を高速スイッチングさせることにより、交流電源24から電源回路部13を介して供給される電圧から各ステータ巻線U、V,Wに供給する電力を制御する。本実施の形態では、負電源側スイッチング素子Q4〜Q6にPWM信号が供給され、PWM信号のパルス幅を制御することにより、各ステータ巻線U、V、Wに供給する電力を調整して、モータ3の回転速度を制御することができる。なお、PWM信号H4、H5、H6を、正電源側スイッチング素子Q1〜Q3に出力し、出力切替信号H1、H2、H3をスイッチング素子Q4〜Q6に出力する構成であっても良い。また、PWM信号H1〜H6を対応するスイッチング素子Q1〜Q6にタイミングをずらして出力する構成であっても良い。
【0060】
このように、本発明の第1の実施の形態によるインパクトドライバ1においては、電気系統における直流回路部分のノイズ発生源の一つであるモータ3のステータコア3bが、セラミックコンデンサ7bを介してグランドに接続された同じ直流回路部分のマイナスライン27に接続されているため、効果的にモータ3で発生するノイズを低減することができる。
【0061】
また、整流回路部23は、コンデンサ20Aとチョークコイル20B及び20Cとを含むノイズフィルタ部20を介して電源接続部25に接続されているため、スイッチング回路部22から交流電源24に入るノイズを効果的に低減することができる。
【0062】
また、モータ3を収容するモータ収容室2cが形成されたハウジングを備え、スイッチング回路部22、プラスライン26、マイナスライン27及びセラミックコンデンサ7bは、スイッチング基板7に実装され、スイッチング基板7はモータ収容室2cの内部に配置されているため、モータ3のステータコア3bの近傍にセラミックコンデンサ7bが位置する。これにより、ステータコア3bとセラミックコンデンサ7bとを接続する部材を短くすることができ、製造コストを抑制することができ、且つノイズ低減の効果を向上させることができる。
【0063】
また、スイッチング基板7が回転軸3eの軸方向におけるモータ3の後端部に取付けられているので、ハウジング2の当該軸方向と直交する方向における寸法の大型化を抑制することができる。また、ノイズ対策部品としてセラミックコンデンサ7bを用いたため実装スペースを小さくすることができ電動工具の大型化を抑制することができる。
【0064】
また、ステータコア3bとセラミックコンデンサ7bとは、導電性のコイルスプリング19によって接続され、コイルスプリング19は回転軸3eの軸方向におけるステータコア3bの後端部とスイッチング基板7との間に介在しているため、ステータコア3bにコイルスプリング19を接続した後にスイッチング基板7をモータ3に組み付けることで、モータ3へのスイッチング基板7の取付とステータコア3bとセラミックコンデンサ7bとの接続を同時に行うことができ、組立性を向上させることができる。
【0065】
次に、
図5及び
図6に基づいて本発明の第2の実施の形態によるインパクトドライバ200について説明する。基本的な機械的構成、電気的構成及び制御方法は、第1の実施の形態のインパクトドライバ1と同様である。以下の説明において、上述した第1の実施の形態によるインパクトドライバ1の構成要素と同じ部材や要素は同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0066】
図5及び
図6に示されるようにインパクトドライバ200におけるステータコア3bとセラミックコンデンサ7bとはリード線219によって接続されている。リード線219の一端部は、直線A(回転軸3eの軸心)の半径方向におけるステータコア3bの外周面下部に設けられたアースターミナル203fに接続され、他端部はスイッチング基板7の前面に接続されている。リード線219の他端部とスイッチング基板7との接続部分は、導電性の部材で形成されており、リード線219とセラミックコンデンサ7bの一方の端子とはスイッチング基板7上において接続されている。またスイッチング基板7上においてセラミックコンデンサ7bの他方の端子とマイナスライン27とが接続されている。
【0067】
このようにインパクトドライバ200においては、ステータコア3bとセラミックコンデンサ7bとはリード線219によって接続され、ステータコア3bはセラミックコンデンサ7bを介してマイナスライン27に接続されている。これにより、安価且つ簡易にステータコア3bとセラミックコンデンサ7bとを接続することができ、製造コストを抑制することができる。
【0068】
次に、
図7及び
図8に基づいて本発明の第3の実施の形態によるインパクトドライバ300について説明する。基本的な機械的構成、電気的構成及び制御方法は、第1の実施の形態のインパクトドライバ1と同様である。以下の説明において、上述した第1の実施の形態によるインパクトドライバ1の構成要素と同じ部材や要素は同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0069】
図7及び
図8に示されるようにインパクトドライバ300におけるステータコア3bは、リード線319A、セラミックコンデンサ7b、リード線319Bを介してスイッチング基板7に実装されたマイナスライン27に接続されている。セラミックコンデンサ7bは、ステータコア3bの直線Aの半径方向における外周面に取付けられている。セラミックコンデンサ7bの一方の端子は、ステータコア3bの直線A(回転軸3eの軸心)の半径方向における外周面下部に設けられたアースターミナル303fにリード線319Aによって接続されている。またセラミックコンデンサ7bの他方の端子は、スイッチング基板7のスイッチング素子7aが実装されている面とは反対の面(前面)にリード線319Bによって接続されている。リード線319Bとスイッチング基板7との接続部分は、導電性の部材で形成されており、リード線319Bとスイッチング基板7に実装されているマイナスライン27とはスイッチング基板7上において接続されている。
【0070】
このように、インパクトドライバ300においてはステータコア3bの外周面にセラミックコンデンサ7bが取付けられているため、モータ3で発生するノイズをより効果的に低減することができる。さらに、ノイズ対策部品としてセラミックコンデンサ7bを用いたため、実装スペースが小さくすることができ、ステータコア3bとモータハウジング2a内周部との間の限られたスペースに配置することができる。よって、電動工具(モータハウジング2a)を大型化することなくノイズを効果的に低減することができる。
【0071】
次に、
図9に基づいて本発明の第4の実施の形態によるインパクトドライバ400について説明する。基本的な機械的構成、電気的構成及び制御方法は、第1の実施の形態のインパクトドライバ1と同様である。以下の説明において、上述した第1の実施の形態によるインパクトドライバ1の構成要素と同じ部材や要素は同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0072】
図9に示されるようにインパクトドライバ400におけるスイッチング基板7は、モータ3の前端部に取付けられている。またインパクトドライバ400におけるステータコア3bは、リード線419A、セラミックコンデンサ7b、リード線419Bを介してスイッチング基板7に実装されたマイナスライン27に接続されている。セラミックコンデンサ7bは、ステータコア3bの直線Aの半径方向における外周面に取付けられている。セラミックコンデンサ7bの一方の端子は、ステータコア3bの直線A(回転軸3eの軸心)の半径方向における外周面下部に設けられたアースターミナル403fにリード線419Aによって接続されている。またセラミックコンデンサ7bの他方の端子は、スイッチング基板7のスイッチング素子7aが実装されている面とは反対の面(後面)にリード線419Bによって接続されている。リード線419Bとスイッチング基板7との接続部分は、導電性の部材で形成されており、リード線419Bとスイッチング基板7に実装されているマイナスライン27とはスイッチング基板7上において接続されている。
【0073】
このように、インパクトドライバ400においてはステータコア3bの外周面にセラミックコンデンサ7bが取付けられているため、モータ3で発生するノイズをより効果的に低減することができる。
【0074】
次に、
図10に基づいて本発明の第5の実施の形態によるインパクトドライバ500について説明する。基本的な機械的構成、電気的構成及び制御方法は、第1の実施の形態のインパクトドライバ1と同様である。以下の説明において、上述した第1の実施の形態によるインパクトドライバ1の構成要素と同じ部材や要素は同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0075】
図10に示されるようにインパクトドライバ500は、制御基板507を備えている。制御基板507は、モータ3のハンドルハウジング2b内部の下部に収容されている。制御基板507には、複数のスイッチング素子7a(スイッチング回路部22)と、制御回路部12と、プラスライン26と、マイナスライン27とが実装されている。制御基板507は、基板の一例である。
【0076】
また、インパクトドライバ500におけるステータコア3bは、リード線519A、セラミックコンデンサ7b、リード線519Bを介してマイナスライン27と接続されている。セラミックコンデンサ7bは、ステータコア3bの直線Aの半径方向における外周面に取付けられている。セラミックコンデンサ7bの一方の端子は、ステータコア3bの直線A(回転軸3eの軸心)の半径方向における外周面下部に設けられたアースターミナル503fにリード線519Aによって接続されている。またセラミックコンデンサ7bの他方の端子は、モータハウジング2aのモータ収容室2c内部とハンドルハウジング2bの内部とに亘るリード線519Bによって制御基板507に接続されている。リード線519Bと制御基板507に実装されているマイナスライン27とはスイッチング基板7上において接続されている。
【0077】
このように、インパクトドライバ500においてはモータ3を収容するモータハウジング2aと、モータハウジング2aからモータハウジング2aの長手方向と直交する方向に延びるハンドルハウジング2bとを備えており、スイッチング回路部22、プラスライン26及びマイナスライン27は制御基板507に実装され、制御基板507はハンドルハウジング2bの内部に配置され、セラミックコンデンサ7bは回転軸3eの半径方向におけるステータコア3bの外周面に取付けられ、セラミックコンデンサ7bとマイナスライン27とはモータハウジング2aの内部とハンドルハウジング2bの内部とに亘るリード線519Bによって接続されている。これにより、モータハウジング2aの内部に制御基板507を配置する必要がなくモータハウジング2aの前後方向の寸法を小型化することが可能である。
【0078】
次に、
図11に基づいて本発明の第6の実施の形態によるインパクトレンチ600について説明する。基本的なモータ及びスイッチング基板の機械的構成、電気的構成及び制御方法は、第1の実施の形態のインパクトドライバ1のモータ3及びスイッチング基板7と同様である。以下の説明において、上述した第1の実施の形態によるインパクトドライバ1の構成要素と同じ又は対応する部材や要素は同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0079】
図11に示されるように、インパクトレンチ600におけるスイッチング基板7は、モータハウジング2aのモータ収容室2c内においてモータ3の下方すなわちモータ収容室2cの下部に配置されている。言い換えればスイッチング基板7は、回転軸3eの半径方向におけるステータコア3bの外周面に対向する位置に配置されている。
【0080】
スイッチング基板7の反モータ3側の面(下面)には、複数のスイッチング素子7a(スイッチング回路部22)と、プラスライン26と、マイナスライン27とが実装されている。インパクトレンチ600におけるステータコア3bは、リード線619及びセラミックコンデンサ7bを介してマイナスライン27に接続されている。
【0081】
リード線619の一端部は、直線A(回転軸3eの軸心)の半径方向におけるステータコア3bの外周面下部に設けられたアースターミナル603fに接続され、他端部はスイッチング基板7の下面に接続されている。またセラミックコンデンサ7bの一方の端子は、スイッチング基板7上においてリード線619の他端部と接続されている。リード線619の他端部とスイッチング基板7との接続部分は、導電性の部材で形成されており、リード線619とセラミックコンデンサ7bの一方の端子とはスイッチング基板7上において接続されている。またスイッチング基板7上においてセラミックコンデンサ7bの他方の端子とマイナスライン27とが接続されている。
【0082】
このように、インパクトレンチ600におけるスイッチング基板7は、回転軸3eの半径方向におけるステータコア3bの外周面に対向する位置に配置されているため、モータハウジング2aの前後方向(長手方向)の寸法を小型化することが可能となる。
【0083】
本発明による電動工具は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。また、本発明の実施の形態としてインパクトドライバ、インパクトレンチについて説明したが、例えば、グラインダ、電動丸鋸、卓上丸鋸等の他の電動工具に適用可能である。なお、本実施の形態においてはセラミックコンデンサ7bを雑防素子として採用したが、他の種類のコンデンサでもよい。