(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内筒に形成された係止部に、前記ブロック体に形成された被係止部が係止されることにより、ブロック体の移動が阻止され、内針の挿通が遮断された状態が固定化されることを特徴とする請求項3に記載された穿刺具。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の第1の実施形態にかかる穿刺具について、
図1乃至
図11に基づいて説明する。
穿刺具1は、
図1および
図2に示すように、外針21と、前記外針21に先端部(紙面左端部)が挿入される内針3と、前記内針3の一端部(基端部)を保持する筒状の注射具4と、前記外針21および前記内針3を覆うプロテクタ5とを備えている。また、前記穿刺具1において、前記内針3を除く全ての部品は樹脂製である。尚、
図1では、前記外針21および前記内針3は、前記プロテクタ5に覆われて見ることができない。
また、前記カテーテル2は、
図2、3に示すように可撓性を有する中空の管からなる外針21と、外針21の基端部を保持する外針ハブ22とを有する。
【0027】
前記注射具4は、
図2〜
図5に示すように、筒状の内針ハブ41と、前記内針ハブ41の基端(紙面右端)に圧入によって取り付けられると共に、前記内針3の基端部が保持される略円筒状の針保持部42aを有する尾栓42とを備えている。
【0028】
また、前記注射具4は、前記内針ハブ41の内部に進退自在に取り付けられた外筒6と、前記外針ハブ22を把持する4つのアーム71Aを有し、前記外筒6の内部に進退自在に取付けられた内筒7とを備えている。
尚、本実施形態では、前記内筒7に、前記4つのアーム71Aが形成された場合を示しているが、2つ以上のアームで外針ハブ22を保持できれば良い。
【0029】
前記外筒6は、
図6に示すように、前記外筒6の軸部64の軸線に沿って形成された(内筒7の進退方向に沿って形成された)溝部61と、前記4つのアーム71Aを収容するアーム開閉部62とを備え、全体として筒状に形成されている。
尚、前記4つのアーム71Aは、前記アーム開閉部62の内面の上下部、両側部に形成された4つのガイド溝部62Aに、案内されながら進退可能に形成されている。
【0030】
前記溝部61は、
図4、
図6(c)に示すように、前記外筒6の周面における上部および下部の2箇所に対称となるように形成されている。
また、前記アーム開閉部62は、
図4、
図5に示すように、前記外筒6に前記内筒7が収容されている場合には、前記4つのアーム71Aは閉じられ前記外針ハブ22を把持する。
一方、前記外筒6から前記内筒7が引抜かれた(進出した)場合には、
図11に示すように、ガイド溝部62A(アーム開閉部62)による規制がなくなるため、アーム71A自体の弾発力により、前記4つのアーム71Aは開き、前記外針ハブ22を解放する。
【0031】
このように、前記4つのアーム71Aと、前記アーム開閉部62とによって、前記外針ハブ22を把持する把持手段が構成され、前記4つのアーム71Aがアーム開閉部62内に後退している状態にあっては、
図4、
図5に示すように、外針ハブ22を把持する状態となり、前記4つのアーム71Aがアーム開閉部62から進出している状態にあっては、
図11に示すように、外針ハブ22を解放する状態となる。
【0032】
具体的には、前記4つのアーム71Aは、
図3に示すように、内筒7の周面に対して、予め開いた形状に形成されている。
そして、前記外筒6のガイド溝62A(
図6参照)に、前記内筒7のアーム71Aを挿入(収容)されている場合には、前記4つのアーム71Aは前記アーム開閉部62によって閉じた状態になされている。即ち、前記アーム開閉部62は、前記4つのアーム71Aを閉じ、前記4つのアーム71Aが前記外針ハブ22を把持する状態になされている。
【0033】
また、前記外筒6から前記内筒7が引き抜かれる(進出する)と、
図11に示すように、前記4つのアーム71Aは前記アーム開閉部62から抜出されて、元の開いた状態に戻る。即ち、前記アーム開閉部62によって、前記4つのアーム71Aは開状態となり、前記4つのアーム71Aは前記カテーテル2を解放する状態となる。
【0034】
前記内筒7は、
図7に示すように、前記4つのアーム71Aを備えた首部71と、前記首部71よりも縮径した軸部72と、前記首部71および前記軸部72の中心を貫通し、前記内針3を挿通させる貫通孔73とを有し、全体として筒状に成形されている。
前記軸部72は、前記外筒6の前記溝部61内を移動可能に収容される突出部72Aと、前記貫通孔73内の内針3によって押し出されて起立し、前記溝部61に係合する起立片72Bとを備えている。
尚、前記貫通孔73の径は、内針3の径よりも僅かに大きく形成され、内針3の引抜き操作の際の摺動抵抗を小さくように構成されている。
【0035】
前記突出部72Aは、前記溝部61のそれぞれに対応するように、前記軸部72の上面および下面の2箇所に対称となるように形成されている(
図4参照)。そして、前記溝部61と前記突出部72Aとによって、前記外筒6に対する前記内筒7の進退方向(内筒7に対する前記外筒6の進退方向)を規制している。
尚、前記内筒7を前記外筒6に対して進出させた際、前記外筒6および内筒7は互いに分離することのないように、溝部61の端部61aに前記突出部72Aが係止されるように構成されている。
【0036】
ここで、前記内筒7は、
図8に示すように、前記起立片72Bを備えた下部7A(紙面左側)と、中心線lを挟んで反対側に形成された上部7B(紙面右側)とを一体として形成された部品であり、前記上部7Aおよび前記下部7Bを折曲げ線(中心線l)を中心に折り畳むことによって形成される。
また、前記下部7Aおよび前記上部7Bの中央には、前記内筒7の軸線方向に沿って断面半円状の溝部73A,73Bがそれぞれ形成されている。これらの溝部73A,73Bは、前記下部7Aおよび前記上部7Bを折り畳むことによって、一つの貫通孔73が形成される。
【0037】
また、前記起立片72Bは、
図4に示すように、前記貫通孔73に前記内針3が挿入される(収容される)ことによって、前記内針3の周面よって押し出されて起立し、前記溝部61の端部に係合する。
ここで、前記起立片72Bは、前記溝部61のうち、前記カテーテル2側の端部に係合するので、前記内筒7の前記首部71と共働して前記外筒6を挟み込むようにして前記外筒6に係止される。
換言すれば、前記起立片72Bは、前記貫通孔73に内針3が存在する場合には、前記内針3によって起立し、外筒6と内筒7が一体となり、前記内筒7の前記外筒6からの引抜きが規制される。
【0038】
また、前記起立片72Bは、前記貫通孔73内から前記内針3が引き抜かれ、内針3による押し出しがなくなると、前記貫通孔73を遮断する方向に回動し、前記内筒7の内部に収納され(復帰し)、前記溝部61との係合が解除される。
換言すれば、前記起立片72Bは、前記貫通孔73に内針3が存在しない場合には、前記外筒6に係止されないため、外筒6と内筒7とが分離可能となり、前記外筒6から前記内筒7を引抜くことができる。
【0039】
このとき、起立片72Bが弾性力(復元力)を備えている場合には、自らの弾性力(復元力)によって、前記貫通孔73を遮断する方向に回動し、前記貫通孔73を遮断する。
一方、起立片72Bが弾性力(復元力)を失い、あるいは起立片72Bの弾性力(復元力)が弱く、自らの弾性力(復元力)によって前記貫通孔73を遮断する方向に回動しない場合であっても、外筒6から内筒7が分離する際、前記起立片72Bは、外筒6の溝部61の端部61aによって引き起こされて、前記貫通孔73を遮断する方向に回動し、前記貫通孔73を遮断する。
【0040】
このように、起立片72Bは、外筒6の溝部61の端部61aによって引き起こされて、前記貫通孔73を遮断する方向(
図4、
図10に示す矢印方向)に回動し、前記貫通孔73を遮断するため、例えば、穿刺具が長期間保管されていた等、未使用の期間が長い場合において、起立片72Bの弾性力(復元力)を喪失した場合にも、前記貫通孔73を確実に遮断することができる。
また、起立片72Bと内針3との圧接力を弱く設定している場合(起立片72Bの弾性力(復元力)が弱く接している場合)にも、前記したように起立片72Bは、外筒6の溝部61の端部61aによって引き起こされて、前記貫通孔73を遮断する方向に回動し、前記貫通孔73を遮断するため、内針3の引抜き操作の際の摺動抵抗を小さくすることができる。
【0041】
また、内筒7の首部71には、
図4、
図5、
図8に示すように、前記内針3が挿通する貫通孔73と繋がる円柱状の空間部74が形成されている。
また、前記空間部74には、
図9に示すような、前記内針3が挿通する貫通孔75a(貫通孔73の少なくとも一部を構成する)が形成された円柱状のブロック体75が収容されている。この空間部74は、空間部74内においてブロック体75が移動できるように、ブロック体75の外径よりも大きく形成されている。
【0042】
そして、前記空間部74とブロック体75によって、前記貫通孔73の少なくとも一部を、内針3が挿通する状態における位置から、内針3が挿通しない位置に移動させ、前記貫通孔73の連通状態を遮断する貫通孔遮断手段が構成される。
【0043】
このように内筒7の首部71の空間部74内にブロック体75が設けられているため、内針3の先端が前記ブロック体75の貫通孔75aを通過して引き抜かれた際、ブロック体75は自重により前記空間部74内を落下移動する。これにより、前記貫通孔75aは前記貫通孔73の延長線上からずれた位置に配置されることとなり、前記貫通孔73の連通状態を遮断することができる。
尚、前記貫通孔75aの径を内針3よりも僅かに大きく形成することにより、内針3の引抜き操作の際の摺動抵抗を小さくすることができる。
【0044】
また、
図4、
図5に示すように、前記内針ハブ41と外筒6との間に、外筒6を延伸する中継筒8が設けられている。この中継筒8は、必ず必要というものでななく、
図3に示すように省略しても良い。
例えば、柔軟な合成樹脂で形成すること等により、柔軟性を付与した中継筒8を設けることにより、内針ハブ41の引抜き動作方向が、斜め方向(内針3の延長線上ではない方向)になされ、中継筒8に曲げ力が加わった場合にも、中継筒8が座屈する等の破損を防止することができる。
【0045】
この中継筒8は円筒形状に形成され、前記内針ハブ41の内部に収納可能な外径寸法を有すると共に、外筒6を内部に収容可能な内径寸法を有している。
この中継筒8の一端には係止部8aが形成され、外筒6の端部63に形成された係止部に係止されるように構成されている。またこの中継筒8の他端には係止部8bが形成され、内針ハブ41の端部41aに形成された係止部に係止されるように構成されている。
尚、中継筒8が設けられていない場合には、前記内針ハブ41の端部41aの係合部が、前記外筒6の端部63の係合部に係止することによって、互いに分離(離間)することのないように構成される。
【0046】
次に、このような穿刺具1を使用する場合について説明する。尚、以下の説明おいては、起立片72Bの弾性力(復元力)が弱く、起立片72Bが内針に圧接していない場合を例に説明する。
まず、
図1に示す穿刺具1からプロテクタ5を外し、
図4、
図5に示すようにカテーテル2および内針3を露出させる。そして、前記外針21および前記内針3を血管(患者の身体)に穿刺する。
【0047】
その後、前記外針21を留め置きするために、
図4、
図5の矢印方向に、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間する方向に移動させる(引抜動作を行う)。この内針ハブ41の引抜き動作により、前記注射具4は伸長する。
具体的には、前記外針21を留置した状態において、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間させると、前記内針ハブ41が軸方向に沿って移動し、前記注射具4は全体として伸長することになる。このとき、外針ハブ22は内筒7によって保持され、内筒7と外筒6は起立片72Bによって一体化している。
【0048】
したがって、内針3の後端部(基端部)を保持する内針ハブ41を軸方向に沿って移動すると、内針3も同様に軸方向に沿って移動する。そして、外針21内から引出されることで、引抜き出された内針3が内筒7、外筒6、内針ハブ41内に覆われる(
図10参照)。
【0049】
この内針ハブ41の引抜き動作中、内針3の先端が前記ブロック体75の貫通孔75aを通過し、ブロック体75から内針3が引き抜かれると、ブロック体75は自重により前記空間部74の下方向に移動する。これにより、前記貫通孔75aは前記貫通孔73の延長線上からずれた位置に配置されることとなり、前記貫通孔73の連通状態は遮断される(
図10参照)。
したがって、ブロック体75によって、貫通孔73が遮断された後は、内針ハブ41をカテーテル2側に移動させる力が作用しても、内針3は、前記ブロック体75によって移動が規制され、再び外針21内に戻ることはない。
【0050】
更に、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間させる。そして、
図10に示すように、内針3の先端が起立片72Bを通過すると、起立片72Bは前記内針3の側面から力を受けない状態となる。このとき、起立片72Bの弾性力(復元力)が弱いために、起立片72Bは、前記貫通孔73を遮断する方向に回動することなく、外筒6との係止状態が維持される。
【0051】
そして、前記中継筒8が外筒6から引き出され、その後、中継筒8の係止部8bが、内針ハブ41の端部41aに形成された係止部に係止され伸長しなくなると、前記起立片72Bは、外筒6の溝部61の端部61aによって引き起こされる。この引き起こされた起立片72Bは、前記貫通孔73を遮断する方向(
図10の矢印方向)に回動し、貫通孔73を遮断すると共に、前記外筒6との係止状態が解除される。
その結果、外筒6と内筒7が分離可能となり、前記内針ハブ41の移動に伴って、前記外筒6が軸方向に沿って移動することになる。前記溝部61は前記突出部72Aに案内されるため、前記内筒7の突出部72Aに案内されながら、前記内筒7は外筒6から引抜き出される。
【0052】
また、起立片72Bが引き起こされた後は、内針ハブ41をカテーテル2側に移動させる力が作用しても、内針3は、前記起立片72Bによって移動が規制され、再び外針21内に戻ることはない。
このように、起立片72Bが引き起こされた後は、内針3は、前記起立片72Bによって移動が規制され、更に前記ブロック体75によっても移動が規制されるため、再び外針21内に戻ることを、より確実に防止することができる。
【0053】
更に、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間させ、前記外筒6を移動させ、前記外筒6から前記内筒7が抜出されると、
図11に示すように、前記4つのアーム71Aを開いて、前記4つのアーム71Aによる外針ハブ22の保持状態を解放する。
即ち、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間させて前記注射具4を伸長させることによって、前記カテーテル2から抜出された前記内針3が前記外筒6、内針ハブ41の内部に収容されると、前記4つのアーム71Aとアーム開閉部62による外針ハブ22の保持状態から、外針ハブ22を解放する。
【0054】
これによって、前記カテーテル2(外針21)を血管に留置しつつ、前記内針3を前記外針21から引抜き出して前記内針ハブ4の内部に収容するとともに、前記外針ハブ22は前記注射具4から取り外される。
このように、前記穿刺具1は、前記内針3を前記外針21から引抜き動作のみによって、前記内針3を前記内針ハブ4等の内部に収容することができ、しかも前記外針ハブ22を前記内針ハブ41等から取り外すことができる。
【0055】
尚、上記使用方法の説明おいては、起立片72Bの弾性力(復元力)が弱く、起立片72Bが内針に圧接していない場合を例にとって説明したが、内針3の引抜き操作の際の摺動抵抗を過度に大きくしない範囲で、起立片72Bの弾性力(復元力)を付与しても良い。
【0056】
また、第1の実施形態では、ブロック体75及び空間部74を円柱形状として説明したが、特にこの形状に限定されるものではなく、例えば、ブロック体7を球状としても良く、また空間部74を矩形形状としても良い。少なくとも空間部74内をブロック体7が移動可能な形状であれば良い。
【0057】
次に、第2の実施形態について、
図12乃至
図20に基づいて説明する。
この実施形態における貫通孔遮断手段は、前記内筒に対して外筒が移動すると、前記内筒と外筒とが相対的に回転するように構成され、前記回転に伴って、前記内筒の貫通孔が、内針が挿通する状態における位置から内針が挿通しない位置に移動し、前記貫通孔の連通状態を遮断するように構成されている点に特徴がある。
【0058】
穿刺具100は、
図12および
図13に示すように、外針102と、前記外針102に先端部(紙面左端部)が挿入される内針103と、前記内針3の一端部(基端部)を保持する筒状の注射具104と、前記外針102および前記内針103を覆うプロテクタ(図示せず)とを備えている。また、前記穿刺具100において、前記内針103を除く全ての部品は樹脂製である。
【0059】
また、前記カテーテル101は、
図12、13に示すように可撓性を有する中空の管からなる外針102と、外針102の基端部を保持する外針ハブ102aとを有する。
尚、外針ハブ102aにおける外針102の配置位置は、
図12、
図13(b)に示すように、外針ハブ102aの中心Oからずれた位置に形成されている。
【0060】
前記注射具104は、
図13に示すように、筒状の内針ハブ105と、前記内針ハブ105の基端(紙面右端)に圧入によって取り付けられると共に、前記内針103の基端部が保持される略円筒状の針保持部106aを有する尾栓106とを備えている。
【0061】
また、前記注射具104は、前記内針ハブ105の内部に進退自在に取り付けられた外筒107と、前記外針ハブ102aを把持する2つのアーム108Aを有し、前記外筒106の内部に進退自在に取付けられた内筒108とを備えている。
【0062】
前記外筒107は、
図14に示すように、前記外筒107の軸部107aの軸線に沿って形成された(内筒7の進退方向に沿って形成された)溝部107bと、前記2つのアーム108Aを収容するアーム開閉部107cとを備え、全体として筒状に形成されている。
前記軸部107aの中心は、
図14(b)に示すように、アーム開閉部107cの中心線から変位した位置Lに形成されている。即ち、前記軸部107aは、アーム開閉部107cの下方向にずれた位置に形成され、アーム開閉部107cの中心線と軸部107aの軸線は一致していない。
【0063】
前記溝部107bは、
図14(b)に示すように、前記外筒107の周面における上部および下部の2箇所に対称となるように形成されている。
また、前記アーム開閉部107cは、
図13(a)に示すように、前記外筒107に前記内筒108が収容されている場合には、前記2つのアーム107Aは閉じられ前記外針ハブ102aを把持する。
一方、前記外筒107から前記内筒108が引抜かれた(進出した)場合には、
図20に示すように、アーム開閉部107cによる規制がなくなるため、アーム108A自体の弾発力により、前記アーム108Aは開き、前記外針ハブ102aを解放する。
【0064】
また、前記アーム開閉部107cの内周面には、内筒108の外面に形成された突起部108Fが移動可能に取り付けられる溝部107dが形成されている。
この溝部107dは、左右対称に一対形成されており、軸部107a側に溝が直線状の直線部107d1が形成され、続いて溝が螺旋状の螺旋部107d2が形成されている。
【0065】
また、前記内筒108は、
図15に示すように、前記2つのアーム108Aを備えた首部108Bと、前記首部108Bよりも縮径した軸部108Cと、前記首部108Bおよび前記軸部108Cを貫通し、前記内針3を挿通させる貫通孔108Dとを有している。
前記軸部108Cは、
図15(c)に示すように、前記首部108Bの中心線から変位した位置に形成されている。即ち、前記軸部108Cは、首部108Bの下方向にずれた位置に形成され、首部108Bの中心線と軸部108Cの軸線は一致していない。
このように、前記内筒108に形成された貫通孔108Dは、内筒108の中心軸から離れた位置L(変位した位置)に形成されている。
また、前記内筒108の首部108Bを外筒107のアーム開閉部107c内に収容した際、前記軸部108Cは、外筒107の軸部107a内に収容されるように構成されている。
【0066】
また、前記軸部108Cには、前記貫通孔108D内の内針103によって押し出されて起立し、前記溝部107bに係合する起立片108Eを備えている。
この起立片108Eは、第1の実施形態の起立片72Bと同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。尚、前記貫通孔108Dの径は、内針3の径よりも僅かに大きく形成され、内針3の引抜き操作の際の摺動抵抗を小さくように構成されている。
【0067】
また、前記首部108Bの軸部108C側の端部外周面には、一対の突起部108Fが設けられている。この一対の突起部108Fは、前記したように、前記溝部107dのそれぞれに対応するように、対称となるように形成されている(
図15参照)。
そして、前記内筒108が外筒107に対して移動する際、一対の突起部108Fが外筒108の溝部107dに沿って移動するため、前記内筒108と外筒107は相対的に回転する。
【0068】
このように、前記内筒108に形成された貫通孔108Dが、内筒108の中心軸から離れた位置Lに形成され、前記貫通孔遮断手段を、前記外筒107の内面に形成された螺旋状部を含む溝部107dと、前記内筒108の外面に形成された、前記溝部107d内を移動可能な突起部108Fとで構成することにより、前記内筒108と外筒107とが相対的に回転し、前記内筒108の貫通孔108Dを、内針103が挿通する状態における位置から内針103が挿通しない位置に移動させることができる。
【0069】
また、一対の突起部108Fが外筒108の溝部107dに沿って移動し、前記アーム108Aが拡開した後、前記外筒107の溝部107dの螺旋部107d2の終端部に、前記一対の突起部108Fが係止されることにより、前記外筒107に対する前記内筒108の進退が規制される。即ち、前記外筒107および内筒108は互いに分離することがないように構成されている。
【0070】
また、
図13に示すように、前記内針ハブ105と外筒107との間に、外筒107を延伸する中継筒109が設けられている。この中継筒109は、第1の実施形態と同様であり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0071】
次に、この第2の実施形態にかかる穿刺具100を使用する場合について説明する。尚、以下の説明おいては、第1の実施形態と同様に、起立片102Eの弾性力(復元力)が弱く、起立片102Eが内針103に圧接していない場合を例に説明する。
まず、穿刺具100からプロテクタを外し、
図13に示すようにカテーテル101および内針103を露出させる。そして、前記外針102および前記内針103を血管(患者の身体)に穿刺する。
【0072】
その後、前記外針102を留め置きするために、
図13の矢印方向に、前記内針ハブ105を軸方向に沿って前記外針102から離間する方向に移動させる(引抜動作を行う)。この内針ハブ105の引抜き動作により、前記注射具104は伸長する。
【0073】
具体的には、前記外針102を留置した状態において、前記内針ハブ105を軸方向に沿って前記外針102から離間させると、前記内針ハブ105が軸方向に沿って移動し、前記注射具4は全体として伸長することになる。このとき、外針ハブ105は内筒108によって保持され、内筒108と外筒107は起立片108Eによって一体化している。
【0074】
したがって、内針103の後端部(基端部)を保持する内針ハブ105を軸方向に沿って移動すると、内針103も同様に軸方向に沿って移動する。そして、外針102内から引出されることで、引抜き出された内針103が外筒107、内針ハブ105内に覆われる(
図16参照)。
【0075】
更に、前記内針ハブ105を軸方向に沿って前記外針102から離間させる。そして、
図16に示すように、内針103の先端が起立片108Eを通過すると、起立片108Eは前記内針103の側面から力を受けない状態となる。このとき、起立片108Eの弾性力(復元力)が弱いために、起立片108Eは、前記貫通孔108Dを遮断する方向に回動することなく、外筒107との係止状態が維持される。
【0076】
そして、
図17に示すように、前記中継筒109が内針ハブ105から引き出され、その後、中継筒109の係止部109aが、内針ハブ105の端部105aに形成された係止部に係止され伸長しなくなると、前記起立片108Eは、外筒107の溝部107bの端部107b1によって引き起こされる。この引き起こされた起立片108Eは、前記貫通孔108Dを遮断する方向に回動し、貫通孔108Dを遮断すると共に、前記外筒107との係止状態が解除される。
その結果、外筒107と内筒108が分離可能となり、前記内針ハブ105の移動に伴って、前記外筒107が軸方向に沿って移動することになる。
【0077】
また、起立片72Bが引き起こされた後は、
図18(b)に示すように、内針ハブ105をカテーテル101側に移動させる力が作用しても、内針103は、前記起立片72Bによって移動が規制され、再び外針21内に戻ることはない。
【0078】
そして、外筒107と内筒108が分離し、前記外筒107が軸方向に沿って移動するすると、
図18に示すように、内筒108の突起部108Fが、外筒107の溝部107dの直線部107d1に案内されながら、移動する。
続いて、内筒108の突起部108Fが、
図19に示すように、外筒107の溝部107dの螺旋部107d2に案内されながら移動すると、内筒108と外筒107とが相対的に回転する。実際は、固定されているカテーテル101を把持している内筒108に対して、外筒107が回転する。
その結果、前記内筒108の貫通孔108Dが、内針103が挿通する状態における位置から、内針103が挿通しない位置に移動し、前記貫通孔103の連通状態を遮断する。
【0079】
そして更に内筒108と外筒107とを相対的に回転させながら、前記外筒107を移動させ、前記外筒107から前記内筒108が抜出されると、
図20に示すように、前記2つのアーム108Aを開いて、前記アーム108Aによる外針ハブ102aの保持状態を解放する。
即ち、前記内針ハブ105を軸方向に沿って前記外針102から離間させて前記注射具104を伸長させることによって、前記カテーテル101から抜出された前記内針103が前記外筒107、内針ハブ105(場合によっては、中継筒109)の内部に収容されると、前記アーム108Aとアーム開閉部107cによる外針ハブ102aの保持状態から、外針ハブ102aを解放する。
【0080】
これによって、前記カテーテル101(外針102)を血管に留置しつつ、前記内針103を前記外針102から引抜き出して前記内針ハブ105の内部に収容するとともに、前記外針ハブ102aは前記注射具4から取り外される。
このように、前記穿刺具100は、前記内針103を前記外針102から引抜き動作のみによって、前記内針103を前記内針ハブ105の内部に収容することができ、しかも前記外針ハブ102aを前記内針ハブ105から取り外すことができる。
【0081】
このように、起立片108Eが引き起こされた後は、内針ハブ105をカテーテル101側に移動させる力が作用しても、内針103は、前記起立片108Eによって移動が規制され、再び外針102内に戻ることはない。
更に、内筒108と外筒107とを相対的に回転させ、前記内筒108の貫通孔108Dを、内針103が挿通する状態における位置から、内針103が挿通しない位置に移動させることにより、前記貫通孔103を遮断するため、再び外針102内に戻ることはない。
したがって、起立片108E及び内筒108の貫通孔108Dの移動により、内針103の挿通が規制されるため、内針103が外針21内に再び戻ることをより確実に防止することができる。
【0082】
尚、上記第2の実施形態にあっては、前記外筒107の内面に溝部107dを形成し、前記内筒108に突起部108Fを形成した場合について説明したが、この場合とは逆に、前記内筒に溝部を形成し前記外筒に突起部を形成しても良い。
【0083】
次に、第3の実施形態について、
図21乃至
図29に基づいて説明する。
この実施形態における貫通孔遮断手段は、内針が挿通する貫通孔が形成されたブロック体と、前記ブロック体と移動可能に収容する、内筒に形成された空間部とからなり、前記内針の先端が前記ブロック体を通過して引き抜かれ、外筒に対して前記内筒が移動すると、前記ブロック体が外筒内面に形成された突起により前記空間部内を移動し、前記内針の挿通(内針が挿通する貫通孔)が遮断されるように構成されている点に特徴がある。尚、第1の実施形態と同一、あるいは相当する部材については、同一の符号を付することにより、その詳細な説明は省略する。
【0084】
この第3の実施形態の穿刺具200は、外筒201、内筒210、ブロック体220が、第1の実施形態の外筒6、内筒7、ブロック体7と異なる。
即ち、前記外筒201は、
図21、
図22に示すように、2つのアーム71Aを収容するアーム開閉部204において、平面視がコ状の貫通孔203によって囲まれた舌状片202が形成され、前記舌状片202の先端部に、内方に突出した突起205が形成されている。また、前記舌状片202の基端部が前記外筒201の先端部側に位置するように、前記舌状片202が配置されている。
前記舌状片202の先端部に形成された突起205は、ブロック体220と接し、内筒210が外筒201内を移動する際、前記ブロック体220を上方に移動させるものである。
【0085】
次に、内筒210について説明する。
この内筒210は、
図21、
図23、
図24、
図25に示すように、前記2つのアーム71Aを備えた直方体状の首部211と、前記首部211よりも外形寸法が小さい円筒状の軸部72と、前記首部211および前記軸部72の中心を貫通し、前記内針3を挿通させる貫通孔73とを有している。
【0086】
前記内筒210の首部211には、前記内針3が挿通する貫通孔73と繋がる一面が開放された凹部状の空間部212が形成されている。
また前記首部211の前壁213及び後壁214には、凹部状の空間部211の開放面側に開放された切欠き部215、216が形成されている。
更に、前記首部211の先端側に形成された軸部72における前記切欠き部215側には、平面部72Cが形成されている。
【0087】
また、前記空間部212は、上記ブロック体220を収容するための空間であり、この空間部212内においてブロック体220が移動できるように、ブロック体220の外径よりも大きく形成されている。
また、前記首部211の側壁217及び側壁218の内面には、前記空間部212側に突出する突起219a,219bが形成されている。この突起219a,219bは、
図25に示すように、凹部状の空間部211の開放面側からみて前記貫通孔73よりも奥側に配置され、前記貫通孔73の軸線と平行に延設されている。
この突起219a,219bはブロック体220が移動した後、前記ブロック体220を係止するためのものである。
【0088】
次に、ブロック体220について説明する。
このブロック体220は、
図26に示すように、本体部221の上面221aに半円状の凹部221bが形成され、更に前記上面221aから上方に突出した爪部222a、222bが設けられている。
前記凹部221bは、本体部221の前後方向に形成され、前記ブロック体220が前記空間部211に収容された際には、内針3が接し、前記内針3が前記凹部221b内を摺動するように構成されている。
また、前記爪部222a、222bは、ブロック体220が前記空間部212を移動した際、前記突起219a,219bに係止されることにより、前記ブロック体220を前記空間部212に固定し、前記ブロック体220の移動を阻止するものである。
【0089】
前記本体部221の前面221cは、前面221c側から後面221d側に向かって、下方向に傾斜する傾斜面221eになされている。
この本体部221の傾斜面221eは、
図27に示すように、舌状片202の先端部の突起205と接するように、前記空間内212内に収容される。即ち、前記突起205は、前記凹部215から空間部212内に侵入し、前記傾斜面221eと接する。
【0090】
そして、通孔遮断手段は、前記空間部212、ブロック体220、外筒201によって構成され、前記内筒210に対して外筒201が移動すると、前記ブロック体220が突起205によって空間内212内を押し上げられ(移動させられ)、内針3が挿通する状態から、内針3が挿通しない状態になし、前記貫通孔73の連通状態を遮断する。
【0091】
このように構成された第3の実施形態にかかる穿刺具200の動作、作用について、
図27乃至
図29に基づいて説明する。
まず、穿刺具200からプロテクタ5を外し、
図27に示すようにカテーテル2および内針3を露出させる。そして、前記外針21および前記内針3を血管(患者の身体)に穿刺する。
【0092】
その後、前記外針21を留め置きするために、
図27の矢印方向に、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間する方向に移動させる(引抜動作を行う)。そして、内針3の後端部(基端部)を保持する内針ハブ41を軸方向に沿って移動すると、内針3も同様に軸方向に沿って移動する。外針21内から引出されることで、引抜き出された内針3が内筒210、外筒201、内針ハブ41内に覆われる。
【0093】
そして更に、
図28に示すように、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間させると、内筒210に対して外筒210が移動し、前記突起205が前面221c上を摺動し、前記ブロック体220は前記突起205によって上方に押し上げられる。
これにより、前記凹部221bは前記貫通孔73の延長線上からずれた位置に配置されることとなり、ブロック体220の本体部221によって前記貫通孔73の連通状態は遮断される。
【0094】
更に内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間させると、
図29に示すように、上方に押し上げられたブロック体220の爪部222a、222bが突起219a、219bに係止されることにより、前記ブロック体220は固定され、遮断状態が固定化される。
したがって、ブロック体220の爪部222a、223bが突起219a、219bに係止された後は、ブロック体220によって、貫通孔73が遮断された後は、内針ハブ41をカテーテル2側に移動させる力が作用しても、内針3は、前記ブロック体220によって移動が規制され、再び外針21内に戻ることはない。
【0095】
尚、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、前記外筒201から前記内筒210が抜出されると、
図28に示すように、前記2つのアーム71Aを開いて、前記2つのアーム71Aによる外針ハブ22の保持状態を解放する。即ち、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間させて前記注射具4を伸長させることによって、前記カテーテル2から抜出された前記内針3が前記外筒201、内針ハブ41の内部に収容されると、前記2つのアーム71Aとアーム開閉部62による外針ハブ22の保持状態から、外針ハブ22を解放する。
【0096】
これによって、前記カテーテル2(外針21)を血管に留置しつつ、前記内針3を前記外針21から引抜き出して前記内針ハブ4の内部に収容するとともに、前記外針ハブ22は前記注射具4から取り外される。
このように、前記穿刺具1は、前記内針3を前記外針21から引抜き動作のみによって、前記内針3を前記内針ハブ4等の内部に収容することができ、しかも前記外針ハブ22を前記内針ハブ41等から取り外すことができる。
【0097】
次に、第4の実施形態について、
図29乃至
図36に基づいて説明する。
この実施形態における貫通孔遮断手段は、内針が挿通する貫通孔が形成されたブロック体と、前記ブロック体を回動可能に収容する、内筒に形成された空間部とからなり、前記内筒に対して外筒が移動すると、ブロック体が外筒内面に形成された突起により前記空間部内を回動し、前記内針の挿通が遮断されるように構成されている点に特徴がある。
また、第3の実施形態ではブロック体が上下方向に移動可能に構成されているのに対して、この第4の実施形態では前記ブロック体を回動可能に構成されている点において異なる。尚、第1、3の実施形態と同一、あるいは相当する部材については、同一の符号を付することにより、その詳細な説明は省略する。
【0098】
次に、内筒301について説明する。
この第4の実施形態の穿刺具300は、内筒301、ブロック体310が、第3の実施形態の内筒210、ブロック体220と異なる。また、外筒は第3の実施形態と同一の構成を備えている、
【0099】
また前記内筒301は、
図30、
図31に示すように、前記2つのアーム71Aを備えた直方体状の首部302と、前記首部302よりも外形寸法が小さい円筒状の軸部72と、前記首部302および前記軸部72の中心を貫通し、前記内針3を挿通させる貫通孔73とを有している。
前記首部302の内部には、
図30、
図31に示すように、前記内針3が挿通する貫通孔73と繋がる空間部303が形成されている。
【0100】
また、前記空間部303は、
図32に示すような、前記内針3が挿通する貫通孔75aが形成されたブロック体310を収容するための空間である。この空間部303内においてブロック体310が移動できるように、前記空間部303はブロック体310の外径よりも大きな略円柱状に形成されている。
前記空間部303は、ブロック体310の本体が収容される第1の円柱状の空間部303aと、前記第1の円柱状の空間部303aの左右に形成された第2の円柱状の空間部303bとから構成されている。第2の円柱状の空間部303bは、前記ブロック体310の回転軸が収容される空間である。
【0101】
また、前記首部302の上壁302aには、前後方向(貫通孔73の軸線方向)に延びる凹部302bが形成され、その凹部302bの底面に、前記空間部303の開口部303cが形成されている。
更に、前記空間部303aを形成する首部302の内壁面には、空間部303内部に突出した突起304が形成されている。この突起304は、ブロック体310を係止するためのものであり、前記貫通孔73の軸線と直交する方向に延設されている。
【0102】
ここで、前記内筒301は、
図31に示すように、上部301A(紙面左側)と、中心線lを挟んで反対側に形成された下部301B(紙面右側)とを一体として形成された部品であり、前記上部301Aおよび前記下部301Bを折曲げ線(中心線l)を中心に折り畳むことによって形成される。
また、前記上部301Aおよび前記下部301Bの中央には、前記内筒301の軸線方向に沿って断面半円状の溝部73A,73Bがそれぞれ形成されている。これらの溝部73A,73Bは、前記下部7Aおよび前記上部7Bを折り畳むことによって、一つの貫通孔73が形成される。
【0103】
また、前記上部301Aおよび前記下部301Bの端部には、首部302A、302Bがそれぞれ形成されている。これら首部302A、302Bには、断面半円状の凹部303A,303Bがそれぞれ形成され、前記上部301Aおよび前記下部301Bを折り畳むことによって、一つの空間部303が形成される。
尚、首部302A、302Bのそれぞれにアーム71A1、アーム71A2形成され、前記上部301Aおよび前記下部301Bを折り畳むことによって、首部302に2つアーム71Aが形成される。
【0104】
次に、ブロック体310について説明する。
このブロック体310は、
図31乃至
図33に示すように、円柱状の本体部311と、前記本体部311の両端面に形成された軸部312とを備えている。
また、円柱状の本体部311には、本体部311の軸線と直交する方向に、前記内針3が挿通する貫通孔75aが形成されている。
【0105】
また、円柱状の本体部311の周面には、前記空間部303の開口部303cから前記凹部302b内に突出する突起部313が形成されている。
前記突起部313の先端部は前記凹部302b内に突出しているため、前記外筒に対して内筒301が移動することにより、前記外筒201に形成された突起205(
図22参照)が前記突起部313と接し、前記ブロック体310を回動させる。
【0106】
また、円柱状の本体部311の周面には、前記突起304と係合する爪部314が設けられている。また、前記爪部314は、ブロック体310が前記空間部303を回動した際、前記突起304に係止されることにより、前記ブロック体310を前記空間部303に固定し、前記ブロック体310の回動を阻止するものである。
このように外筒201の突起205によって、前記ブロック体310を内針3が挿通する状態における位置から、内針3が挿通しない位置に回動させ、前記貫通孔73の連通状態を遮断する。
【0107】
次に、第4の実施形態にかかる穿刺具300の動作、作用について説明する。
まず、穿刺具300からプロテクタ5を外し、
図35に示すようにカテーテル2および内針3を露出させる。そして、前記外針21および前記内針3を血管(患者の身体)に穿刺する。
【0108】
その後、前記外針21を留め置きするために、
図35の矢印方向に、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間する方向に移動させる(引抜動作を行う)。そして、内針3の後端部(基端部)を保持する内針ハブ41を軸方向に沿って移動すると、内針3も同様に軸方向に沿って移動する。外針21内から引出されることで、引抜き出された内針3が内筒301、外筒210、内針ハブ41内に覆われる。
【0109】
そして更に、前記内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間させると、内筒301が外筒210内を移動し(外筒210が内筒301に対して移動し)、前記突起205が前記ブロック体310の突起部313と当接し、前記ブロック体310を回動させる(
図36参照)。
このブロック体310の回動に伴い、ブロック体310の貫通孔75aも回動し、この貫通孔75aは、前記貫通孔73の延長線上からずれた位置に配置されることとなり、前記貫通孔73の連通状態は遮断される(
図36(b)参照)。
これにより、内針ハブ41をカテーテル2側に移動させる力が作用しても、内針3は、前記ブロック体220によって移動が規制され、再び外針21内に戻ることはない。
【0110】
更に内針ハブ41を軸方向に沿って前記外針21から離間させると、
図37に示すように、ブロック体310の爪部314が突起304に係止されることにより、前記ブロック体310は固定され、遮断状態が固定化され、前記ブロック体310の回動が阻止される。
前記ブロック体310の爪部314が突起304に係止された後は、ブロック体310が回動しないため、貫通孔73の遮断が確実になされ、内針ハブ41をカテーテル2側に移動させる力が作用しても、内針3は、前記ブロック体220によって移動が規制され、再び外針21内に戻ることはない。
【0111】
尚、第4の実施形態においても、
図37に示すように、上記した実施形態と同様に、前記外筒201から前記内筒301が抜出されると、前記2つのアーム71Aを開いて、前記2つのアーム71Aによる外針ハブ22の保持状態を解放する。
これによって、前記カテーテル2(外針21)を血管に留置しつつ、前記内針3を前記外針21から引抜き出して前記内針ハブ4の内部に収容するとともに、前記外針ハブ22は前記注射具4から取り外される。
このように、前記穿刺具1は、前記内針3を前記外針21から引抜き動作のみによって、前記内針3を前記内針ハブ4等の内部に収容することができ、しかも前記外針ハブ22を前記内針ハブ41等から取り外すことができる。