特許第6316062号(P6316062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6316062
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】容器用キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/58 20060101AFI20180416BHJP
【FI】
   B65D41/58
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-71312(P2014-71312)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-193389(P2015-193389A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
(72)【発明者】
【氏名】栗原 誠明
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−241219(JP,A)
【文献】 特許第4152717(JP,B2)
【文献】 特開2011−073746(JP,A)
【文献】 特開2011−116413(JP,A)
【文献】 特開2000−255610(JP,A)
【文献】 特開平07−069358(JP,A)
【文献】 特開昭58−052053(JP,A)
【文献】 実開昭57−024248(JP,U)
【文献】 特開平09−221155(JP,A)
【文献】 米国特許第05762217(US,A)
【文献】 米国特許第04216872(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の注出開口を閉塞する天板を、下向きに開放された環状溝を形成する内外二重の筒体に一体連結して、該環状溝を容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持するベースと、このベースを取り囲んで該筒体の該口頚部先端に対する嵌合力を強化する環状帯とを備えた容器用キャップであって、
前記ベースと前記環状帯との相互間に、該ベースおよび該環状帯をその天面上端部の少なくとも一部分において分離可能に連結する天面弱化片と、該天面弱化片よりも下方の部位で該ベースおよび該環状帯を分離不能に連結するとともに該環状帯の引き起こしにより該天面弱化片を破断して該ベースを容器の口頚部先端より離脱させる連結片を設け
該天面弱化片が設けられた領域を除く下方領域において前記ベースおよび前記環状帯を分離可能に連結する少なくとも1つの弱化ブリッジを設けたことを特徴とする容器用キャップ。
【請求項2】
前記天面弱化片は、前記環状帯の引き起こし起点となる該環状帯の前面側の側方位置に設けられたものであることを特徴とする請求項1に記載した容器用キャップ。
【請求項3】
前記天面弱化片は、破断が始まる前側端縁と破断が完了する後側端縁と該前側端縁および該後側端縁の相互間に形成される破断予定端とを有する薄肉板状部材からなることを特徴とする請求項1または2に記載した容器用キャップ。
【請求項4】
前記ベースの外周壁および前記環状帯の内周壁の少なくとも一方に、前記弱化ブリッジに隣接する保護突起を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載した容器用キャップ。
【請求項5】
前記ベースの外周壁および前記環状帯の内周壁の少なくとも一方に、前記天面弱化片に隣接する保護突起を設けたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載した容器用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲みきりタイプの飲料ボトルや詰め替え容器等に多く用いられている簡易型の容器用キャップに関するものであり、とくには、容器の注出開口を閉塞する天板を、下向きに開放された環状溝を形成する内外二重の筒体に一体連結して、その環状溝を打栓によって容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持するベースと、このベースを取り囲んで、筒体の口頚部先端に対する嵌合力を強化する環状帯とを備えたものである。
【背景技術】
【0002】
この種の容器用キャップは、ドリンク剤等で使用される飲みきりタイプの飲料容器や、詰め替え容器等に多用されており、たとえば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
これは、ビン口内壁に嵌合する胴部を円盤部で被冠するとともに、その円盤部と、それの外側に同心円状に位置する環状把手部とを一部破断可能に、一部一体的に連結し、環状把手部を引き上げることによって、胴部をビン口から抜き出して開栓するものである。
【0004】
【特許文献1】特許第4152717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるにこの従来の容器用キャップは、胴部がビン口内壁に単に嵌合しているにすぎず、破断可能連結部を破断せずとも容器の注出開口から引き抜くことできるおそれがあり、不正な開封が行われたかどうかを確実に判断できるとはいえないところに問題を残している。
【0006】
本発明の課題は、容器の注出開口に対する嵌合力を高めて容器の確実な密封が行える一方、開封時には容易に開封を行うことが可能であり、しかも容器を正規に開封する前に不正な開封が行われたか否かを目視で確実に判断できる容器用キャップを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の容器用キャップは、容器の注出開口を閉塞する天板を、下向きに開放された環状溝を形成する内外二重の筒体に一体連結して、該環状溝を容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持するベースと、このベースを取り囲んで該筒体の該口頚部先端に対する嵌合力を強化する環状帯とを備えた容器用キャップであって、
前記ベースと前記環状帯との相互間に、該ベースおよび該環状帯をその天面上端部の少なくとも一部分において分離可能に連結する天面弱化片と、該天面弱化片よりも下方の位置で該ベースおよび該環状帯を分離不能に連結するとともに該環状帯の引き起こしにより該天面弱化片を破断して該ベースを容器の口頚部先端より離脱させる連結片を設け、該天面弱化片が設けられた領域を除く下方領域において前記ベースおよび前記環状帯を分離可能に連結する少なくとも1つの弱化ブリッジを設けたことを特徴とする容器用キャップである。
【0008】
また、本発明は、上記の構成からなる容器用キャップにおいて以下の構成要素を付加するのが好ましい。すなわち、
1)天面弱化片は、環状帯の引き起こし起点となる該環状帯の前面側の側方位置に設けられたものであること。
)ベースの外周壁および前記環状帯の内周壁の少なくとも一方に、前記弱化ブリッジに隣接する保護突起を設けること。さらに、
)ベースの外周壁および前記環状帯の内周壁の少なくとも一方に、前記天面弱化片に隣接する保護突起を設けること。
【0009】
ここで、「天面弱化片に隣接する」、「弱化ブリッジに隣接する」とは、文字通り隣接する場合の他、天面弱化片、弱化ブリッジから離隔して位置する場合、あるいは天面弱化片、弱化ブリッジの縁部に一体的に連結している場合をも含むものとする。
【0010】
また、「保護突起」は、突起状のもの、あるいはリブ状のものを適用することができ、天面弱化片、弱化ブリッジの破断痕が残る部分(ベース、環状帯のいずれか一方)に隣接する場合のみならず、その上方および下方の少なくとも一方に設けることもできる。
【0011】
また、天面弱化片、弱化ブリッジには、その破断を容易にするため、薄肉部、ミシン目状の穿孔あるいはスリット状の切れ込み等の分断予定端を設けておくことが好ましい。保護突起については、ベースを構成する外側の筒体の外周壁に設けておくのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成からなる本発明の容器用キャップによれば、ベースの周りに環状帯を設け、該環状帯をベースの箍として機能させるようにしたため容器用キャップの、容器の口頚部に対する嵌合がより強固になる。
【0013】
また、本発明の容器用キャップによれば、環状帯の引き起こすことにより、容器用キャップの、容器の口頚部における嵌合力を弱めることが可能となり、連結部を介してベースキャップを引き上げるだけで容器を簡単に開封することができる。
【0014】
また、本発明の容器用キャップによれば、環状帯を引き起こす際に、天面弱化片が破断するため、容器の正規の開封前に不正な開封が行われたかどうかを、容器用キャップの天面側を視認するだけで簡単に見分けることができる。
【0015】
また、本発明の容器用キャップによれば、天面弱化片を、環状帯の引き起こし起点となる該環状帯の前面側の側方位置に設けたことにより、環状帯を引き起こす向きと天面弱化片が破断する向きがほぼ一致することになり、該天面弱化片をより小さな力でスムーズに破断することができる。
【0016】
また、本発明の容器用キャップによれば、天面弱化片が設けられた領域を除く下方領域に、該ベースおよび該環状帯を分離可能に連結する少なくとも1つの弱化片を設けたため、環状帯の、ベースに対する取り付け姿勢を安定的に保持することができる。
【0017】
また、本発明の容器用キャップによれば、ベースの外周壁および環状帯の内周壁の少なくとも一方に、弱化ブリッジに隣接する保護突起を設けたため、容器の開封時に該弱化ブリッジの破断箇所に、先端が尖った、内向きまたは外向きの破断痕が発生しても、保護突起の作用下で、開封作業を行う需要者の手指への破断痕の接触の程度を小さくすることが可能となり、それによる不快な刺激が軽減される。
【0018】
とくに、天面弱化片に隣接する部位に保護突起を設ける場合にあっては、該天面弱化片の破断箇所に、先端が尖った、内向きまたは外向きの破断痕が発生しても、保護突起の作用下で、開封作業を行う需要者の手指への破断痕の接触の程度を小さくすることが可能となり、それによる不快な刺激が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の容器用キャップの実施例を模式的に示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面を断面で示した図である。
図2図1に示した容器用キャップの外観斜視図である。
図3図1に示した容器用キャップのB−B断面を示した図である。
図4図1に示した容器用キャップの抜栓状況を示した図である。
図5】本発明の容器用キャップの他の例を平面について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)(b)は、本発明に従う容器用キャップの実施例を模式的に示した図であり、図2図1に示した容器用キャップの外観斜視図であり、図3は、図1のB−B断面を示した図であり、さらに図4図1に示した容器用キャップにおいて環状帯を引き起こした状態(抜栓状態)を示した図である。
【0021】
図1〜4において、符号1は、容器用キャップである。この容器用キャップ1は、容器の口頚部先端2の注出開口2aを閉塞する天板1aと、上端同士を一体連結して下向きに開放された環状溝1bを形成するとともにその内側下端を連結部1hに連結した内外の筒体1c、1d(以下、内側の筒体を内筒1cで表示し、外側の筒体を外筒1dで表示する)とによって構成されたベース1eを備えている。
【0022】
このベース1eは、内筒1cと外筒1dとの間の環状溝1bを打栓によって容器の口頚部先端2に嵌合させて該ベース1eを固定保持するものであって、このベース1eの外側には、該ベース1eを取り囲んで内筒1c、外筒1dの口頚部先端2に対する嵌合力を強化する環状帯3が設けられている。なお、環状帯3はその前面側の外壁(その中心軸線に対し連結片の形成位置とは、直径方向に対向する外周面)に、半径方向外方へ突出する、たとえばリップ状の平面形状の指掛け片3aを設けられる。
【0023】
なお、図1(a)(b)に示すところでは、外筒1dの一条の内周突状1fと口頚部先端2の一条の外周突状2bとのアンダーカット嵌合によって、口頚部先端2を内筒1cと外筒1dとの間で挟持する嵌合固定状態を実現している。
【0024】
また、符号4は、ベース1eの外筒1dと環状帯3との相互間に設けられた天面弱化片である。この天面弱化片4は、ベース1eの外筒1dおよび環状帯3を、その天面上端部の少なくとも一部分において分離可能に連結する薄肉板状部材から構成されている。指掛け片3aを把持して帯状体3を引き起こしベース1eの外筒1dと環状帯3を分離するとき、該天面弱化片4は前側端縁4aから破断が始まり後側端縁4bにおいて破断を完了するものであって、この前側端縁4aと後側端縁4bとの相互間に破断予定端(線)4cが形成される。
【0025】
ここでは、天面上端部の少なくとも一部分として、天面弱化片4を、環状帯3の引き起こし起点となる該環状帯3の前面側(指掛け片3aが設けられている側)の側方位置に二つ設け、前側端縁4a、後側端縁4bおよびこれらを結ぶ破断予定端4cをベース1eの外筒1dの外周壁に一致させることにより該天面弱化片4を該外筒1dの外周壁に沿わせて破断させるものを例として示したが、前側端縁4a、後側端縁4bおよび破断予定端4cを環状帯3の内周壁に一致させて天面弱化片4を破断することも可能であり、この点については限定されない。
【0026】
前側端縁4a、後側端縁4bおよび破断予定端4cをベース1eの外周壁に一致させて天面弱化片4を破断する場合、その破断痕は、環状帯3の内周壁に残ることになり、逆に、前側端縁4a、後側端縁4bおよび破断予定端4cを環状帯3の内周壁に一致させて天面弱化片4を破断する場合には、その破断痕は、ベース1eの外筒1dの外周壁に残ることになる。なお、天面弱化片4の破断を容易ならしめるため、破断予定端4cは、薄肉部、ミシン目状の穿孔あるいはスリット状の切れ込み等によって形成するのが好ましい。
【0027】
天面弱化片4の平面形状は所要に応じて適宜変更することができるものであって図示のものに限定されることはない。
【0028】
また、5は、ベース1eの外筒1dおよび環状帯3を分離不能に連結する連結片である。この連結片5は、ベース1eの背面側(指掛け片3aが設けられた対向位置)で、天面弱化片4よりも下方の部位に設けられており、環状帯3を引き起こして容器を開封する際に、ベース1eはこの連結片5を介して容器の口頚部先端2から離脱する。
【0029】
連結片5は、天面弱化片4よりも下方に設けられていればよいが、とりわけ、ベース1eの外筒1dの下端および環状帯3の下端に設けるのが好ましく、これにより、環状帯3を引き起こす際に、外筒1dに設けられた内周突状1fが径方向の外側へ向けて引っ張られるため、口頚部先端2に設けられた外周突条2bとの嵌合が解除しやすくなり、より小さい力で容器の開封が可能となる。
【0030】
また、符号6は、天面弱化片4が設けられた領域を除く下方領域、とくに、ベース1eと環状帯3との下端に設けられた弱化ブリッジである。この弱化ブリッジ6は、ベース1eおよび環状帯3を分離可能に連結するものであって、この弱化ブリッジ6によって環状帯3の、ベース1eに対する取り付け姿勢の安定化が図られている。この弱化ブリッジ6は、環状帯3の引き起こしに際して破断する。
【0031】
弱化ブリッジ6は、少なくとも1つ設けられるものである。弱化ブリッジン6を複数設ける場合には、ベース1eの周りに沿って間隔をおいて配置するのがよい。
【0032】
弱化ブリッジ6の平面形状は、環状帯3に向けて先細りとなる台形形状としたものを例示したが、弱化ブリッジ6の配設個所や平面形状等は、適宜変更することができる。
【0033】
弱化ブリッジ6の平面形状を、環状帯3に向けて先細りとなる台形形状とし、かつ、その断面形状を、環状帯3に向けて漸次に薄肉化したものを適用する場合には、該弱化ブリッジ6の分断予定端6aは、環状帯3との連結部位(環状帯3と弱化ブリッジ6の境界)に位置し、抜栓時に弱化ブリッジ4の破断痕は、外筒1d側に残ることになる。とくに弱化ブリッジ4の破断痕が外筒1d側に残る場合においては、環状帯3そのものに指を掛けて引き起こす際に、弱化ブリッジ4の破断痕による手指への不快な刺激を無くすことができる利点がある。
【0034】
なお、弱化ブリッジ6の分断予定端6aは、外筒1dとの連結部位としてもよく、その場合には、先端が尖った弱化ブリッジ6の破断痕は環状帯3の内周壁に残ることになる。
【0035】
分断予定端6aは、弱化ブリッジ6の幅寸法や厚さを適宜変更してその平面形状を変化させることによって容易に形成することができる(幅寸法の変更等)が、薄肉部を設けたり、ミシン目状の穿孔、あるいはスリット状の切れ込みを設けることによって形成してもよい。
【0036】
また、符号7は、弱化ブリッジ6に隣接して設けられた保護突起である。この保護突起7は、弱化ブリッジ6の破断痕が残る部位、すなわち、ベース1eの外筒1dの外周壁あるいは環状帯3の内周壁のいずれかに一方に設けられるものであって、容器の口頚部先端2から容器用キャップ1を取り外す際に需要者の手指を、弱化ブリッジ6の、先端が尖った破断痕から保護して破断痕による手指への不快な刺激を軽減する。
【0037】
保護突起7の数は、それが弱化ブリッジ6に隣接して存在する限りにおいて種々に変更することができる。また、保護突起7の形態は、凸状とすることもでき、しかも、該保護突起7は、弱化ブリッジ6の上方および下方の少なくとも一方に設けることを可としている。なお、保護突起7が弱化ブリッジ6に隣接して設けられているとは、上記の保護突起6と同様に、数ミリ程度の間でもって離間して位置する場合や弱化ブリッジ6に一体的に連結している場合を含んでいる。
【0038】
この実施例では、容器の注出開口2aを閉塞する天板1aは、内筒1c、外筒1dと同心の環状周壁1gおよび連結部1hを介して外周縁を内筒1cの下端部に一体連結したものを例として示したが、天板1aは外周縁を内筒1cの上端部に一体連結することもできる。また、天板1aの上面を、内筒1cの下端部もしくはそれよりも低い位置に設けることも可能であり、この点については、図示のものに限定されることはない。
【0039】
上記の構成からなる容器用キャップ1においては、図4の矢印で示すように、天面弱化片4、その下方に位置する弱化ブリッジ6をそれぞれ破断させて環状帯3を引き起こし、その環状帯3を引っ張ることで、連結片5を介してベース1eの一端部(図では右端部)が引き上げられ、この引き上げにより、容器の口頚部先端2とベース1eとのアンダーカット嵌合が上記一端部側から解除されて容器の開封が可能となる。その際、ベース1eと環状帯3とをつなぐ天面弱化片4と弱化ブリッジ6はすでに破断しており、容器の口頚部先端2に対する外筒1dの嵌合力が低下しているので、容器の口頚部先端2とベース1eとの嵌合を容易に解除することができる。
【0040】
また、かかる構成の容器用キャップ1によれば、抜栓前については、環状帯3が容器の口頸部先端2に対する嵌合力が強化されているので、天面弱化片4、弱化ブリッジ6を破断させて環状帯3を引き起こさない限り容器を開栓することはできず、しかも、容器の正規の開封前に不正な開封が行われた場合には、天面弱化片4の破断が見てとれるので、該天面弱化片4の破断の有無を確認するだけで不正な開封が行われたがどうかを簡単かつ確実に見分けることができる。
【0041】
なお、本発明の容器用キャップ1は、容器が開封されたのちにおいても、ベース1は初期形状をそのまま維持されるため容器用キャップ1を再利用できる利点がある。
【0042】
図5は、本発明に従う容器用キャップ1の他の実施例をその平面について示した図である。かかる容器用キャップ1は、天面弱化片4を、指掛け片3aが位置する環状帯3の前面側に設けて両端縁4dの相互間に破断予定端4eを形成した構成のものであり、この場合、弱化ブリッジ6は環状帯3の前面側の側方に設けられることになるが、上掲図1〜4に示した容器用キャップ1と同様に、天面弱化片4の破断の有無を容易に確認できるため、容器の正規の開封前に不正な開封が行われたかどうかの判断がしやすい。
【0043】
本発明の容器用キャップは、天面弱化片4の両端側に隣接して保護突起7と同様の保護突起を設けてもよい。保護突起7と同様の保護突起を設けることにより、容器の口頚部先端2から容器用キャップ1のベース1eを離脱させる際に、需要者の手指を、天面弱化片4の先端が尖った破断痕から保護することが可能であり、これによって破断痕による手指への不快な刺激を軽減することができる。
【0044】
なお、保護突起は、天面弱化片4の破断痕が残る側に設けるのが肝要であり、天面弱化片4の破断痕がベース1eの外筒1dの外周壁に残る場合には、その部位、すなわち、該外筒1dの外周壁に設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、容器の注出開口に対する嵌合力を高めて容器の確実な密封が行える一方、開封時には容易に開封を行うことが可能となる。また、本発明によれば、容器を正規に開封する前に不正な開封が行われたか否かを目視で確実に判断できる。
【符号の説明】
【0046】
1 容器用キャップ
1a 天板
1b 環状溝
1c 内筒
1d 外筒
1e ベース
1f 内筒突条
1g 環状周壁
1h 連結部
2 口頚部先端
2a 注出開口
2b 外周突条
3 環状帯
3a 指掛け部
4 天面弱化片
4a 前側端縁
4b 後側端縁
4c 破断予定端
4d 端縁
4e 破断予定端
5 連結片
6 弱化ブリッジ
6a 分断予定端
7 保護突起
図1
図2
図3
図4
図5