(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6316239
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】発光制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 37/02 20060101AFI20180416BHJP
【FI】
H05B37/02 C
H05B37/02 H
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-110974(P2015-110974)
(22)【出願日】2015年5月30日
(65)【公開番号】特開2016-225157(P2016-225157A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2017年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】512222725
【氏名又は名称】ゾルハラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】池田 泰義
【審査官】
安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−070960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別子に対応する発光信号を受信して該発光信号に基づいて発光する複数の発光装置を
制御する発光制御方法であって、
前記発光装置は、
符号を入力する入力部と、
前記符号と発光装置に付された識別子とを制御装置に送信する送信部と、
前記制御装置から送信される発光信号のうち前記識別子に対応する発光信号を受信する受信部と、
前記発光信号に基づいて発光する発光部とを備え、
前記発光装置を観客に配布する手順と、
観客が前記入力部を介して自己の座席番号を入力する手順と、
前記送信部が前記座席番号である前記符号と前記識別子とを制御装置に送信する手順と、
前記制御装置が前記複数の発光装置のそれぞれから、前記符号をそれぞれの前記発光装置に付された前記識別子とともに受信する手順と、
前記符号に対応する発光信号を、その符号とともに受信した識別子とともに、前記複数
の発光装置のそれぞれに送信する手順とを含むことを特徴とする、発光制御方法。
【請求項2】
前記制御装置は、前記座席番号のそれぞれに対応する発光信号を含む発光データを保持することを特徴とする、請求項1に記載の発光制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び発光制御方法に関し、特に、発光信号に基づいて発光する発光装置及び発光信号に基づいて発光する複数の発光装置を制御する発光制御方法に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
コンサート等の催し物の会場において、観客にペンライトのような発光装置を持たせ、その電飾効果で会場の雰囲気を盛り上げる演出が施されることがある。これに対して、特許文献1には、携帯発光装置による演出用発光装置及び演出方法が開示されている。この発明によれば、パソコンの画面上で生成した画像を分割し、それぞれの分割画像にアドレスを付す。同様に、会場の観客席を分割し、それぞれの観客席にアドレスを付した発光装置を配布する。分割画像のそれぞれに対応する発光信号を同じアドレスが付された発光装置に送信することで、観客席のペンライトにより画像と同じ電飾を演出することができる。
【0003】
しかし、特定のアドレスが付された発光装置を同じアドレスが付された観客席に配布しなければならない。入場口等で観客それぞれに発光装置を配布する場合、それぞれの観客の客席の場所を確認しなければならず、多くの労力を要する。また、自由席の場合には、観客に発光装置を配布しても、特定の観客席に配布するのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−36981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、場所等の符号に基づいて制御される発光装置、及びその発光制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発光装置は、
発光信号に基づいて発光する発光装置であって、
符号を入力する入力部と、
前記符号と発光装置に付された識別子とを制御装置に送信する送信部と、
前記制御装置から送信される発光信号のうち前記識別子に対応する発光信号を受信する受信部と、
前記発光信号に基づいて発光する発光部とを備えることを特徴とする。
【0007】
発光装置は、入力部を介して入力される符号とその発光装置に付された識別子とを制御装置に送信する。これにより、制御装置は符号とその発光装置に付された識別子との関連付けをすることができる。これにより、後述するように、符号に対応する発光信号を発光装置に送信して制御することができる。
【0008】
本発明の発光制御方法は、
識別子に対応する発光信号を受信して該発光信号に基づいて発光する複数の発光装置を制御する発光制御方法であって、
前記複数の発光装置のそれぞれから、符号をそれぞれの発光装置に付された識別子とともに受信する受信手順と、
前記符号に対応する発光信号を、その符号とともに受信した識別子とともに、前記複数の発光装置のそれぞれに送信する送信手順とを含むことを特徴とする。
【0009】
複数の発光装置のそれぞれから入力される符号と識別子を受信し、符号に対応する発光信号をその識別子とともに複数の発光装置のそれぞれに送信するため、識別子に対応する信号を受信する複数の発光装置のそれぞれに符号に対応する信号を受信させ、発光を符号に応じて制御することができる。
【0010】
本発明の発光制御方法は、
前記符号は、前記複数の発光装置のそれぞれが配される複数の場所を特定する符号であることを特徴とする。
【0011】
複数の発光装置の発光を場所に応じて制御することができる。例えばコンサートの演出において、座席毎に別々の発光をさせることができる。
【0012】
本発明の発光制御方法は、
前記複数の場所のそれぞれに対応する発光信号を含む発光データを保持することを特徴とする。
【0013】
複数の場所のそれぞれに対応する発光信号は、例えばコンサートの演出であれば、事前に求めておくことができる。場所(符号)と識別子を関連付けることで、複数の場所のそれぞれに配された発光装置に場所に対応する発光信号を送信して制御することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発光装置によれば、入力される符号に対応する発光信号を受信することができ、符号に応じてその発光を制御することが可能となる。
【0015】
本発明の発光制御方法によれば、複数の発光装置のそれぞれに符号に対応する信号を受信させ、発光を符号に応じて制御することができる。符号によって、発光装置が配される場所を特定することにより、コンサート等における効果的な演出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図2は、発光装置及び制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、制御装置による発光装置の制御シーケンスを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
図1は、発光装置の構成を示す図である。発光装置100は、発光信号に基づいて発光する発光装置であり、入力部110、送信部120、受信部130及び発光部140から構成される。図には、入力部110及び発光部140を示す。送信部120、受信部130は、無線信号を送信及び受信する機器であり、発光装置100の本体内に設けられている。
【0019】
入力部110には、一例として「0」から「9」の数字を有する入力キー、「C」キー、「OK」キー及び表示部111が設けられている。なお、符号の種類に応じて、「A」から「Z」のアルファベット等、任意の文字を有する入力キーを含むこととしてもよい。
【0020】
発光部140には、赤、青、黄、白等のうちの2色以上の発光素子が設けられている。発光素子として、例えば発光ダイオード(LED)を採用することができる。また、発光を制御する回路(非図示)を備えている。
【0021】
図2は、発光装置及び制御装置の機能構成を示すブロック図である。なお、発光装置100には、その発光装置に固有のアドレス等の識別子が付されている。
【0022】
ユーザは、入力部110の入力キーを押下して符号を入力することができる。入力された符号は、表示部111に表示される。誤入力をした場合には「C」キーの押下によって最後に入力した1字を取り消すことができる。入力完了後に「OK」キーの押下によって入力された符号が送信部120に出力される。
【0023】
送信部120は、無線通信により情報を送信する送信器を用いて、入力部110から入力された符号を発光装置100に付された識別子とともに制御装置200に送信する。ここで、識別子は発光装置毎に固定の値であり、送信部に保持されている。
【0024】
受信部130は、無線通信により情報を受信する受信器を有し、この受信器を用いて、制御装置200から送信される発光信号と識別子とを一群のデータとして受信する。受信部130は、発光装置100に付された識別子に対応する識別子を含むデータの発光信号を、発光部140に出力する。
【0025】
発光部140は、発光を制御する回路により、入力された発光信号に基づいて発光素子を発光させる。発光信号には、発色する色、発光時間、輝度等の指定を含む。発光部140は、発光信号に基づいて、指定の色の発光素子を、指定の発光時間の間、指定の輝度で動作させる。
【0026】
制御装置200は、発光信号に基づいて発光する複数の発光装置100のそれぞれに発光信号を送信してそれらの発光を制御する制御装置であり、受信部210、制御部220、及び送信部230から構成され。発光データ240を保持している。制御装置200は、例えばWiFi等の無線通信機能を有するコンピュータによって構成することができる。
【0027】
受信部210は、無線通信により情報を受信する受信器を有し、この受信器を用いて、複数の発光装置100から送信される符号とその発光装置100に付された識別子とを一群のデータとして受信する。受信部210は、受信した符号と識別子とを制御部220に出力する。
【0028】
予め符号のそれぞれに対応して作成された発光信号が発光データ240として保持されている。制御部220は、入力された符号に対応する発光データ240に、入力された識別子を付加する。
図3は、発光データの例を示す図である。(A)は制御部220の動作前を示し、(B)は制御部220の動作後を示す。符号に対応する識別子が付加され、識別子と発光信号が関連付けられる。なお、図では発光信号として時間と色彩を示したが、この他に輝度等を含んでもよい。
【0029】
送信部230は、無線通信により情報を送信する送信器を有し、この送信器を用いて、発光信号と識別子とを、発光データ240から読み取り、一群のデータとして発光装置100に送信する。ここで、発光信号は、複数の発光装置100に向けて一斉に送信される。複数の発光装置100は、識別子を用いて発光信号を選別して受信することができる。
【0030】
図4は、制御装置による発光装置の制御シーケンスを示すタイミングチャートである。以下、コンサートにおいて客席毎に異なる発光信号を用いて演出を行う例で説明する。
【0031】
観客には、それぞれ発光装置100が配布される。例えば、コンサート会場に入場する際に手渡す。その際、観客の座席によって区別せずに全観客に1台ずつの発光装置100を配布してよい。
【0032】
発光データ240は、座席毎の発光信号が識別子に関連付けられずに、
図3(A)の形式で予め作成され、保持されている。
【0033】
ステップ310では、発光装置100のそれぞれに符号が入力される。観客は、自己の席に着くと、その座席番号を符号として入力部110を介して発光装置100に入力する。また、コンサート開始前に符号を入力するように観客にガイドするアナウンス等を行ってもよい。
【0034】
入力を完了した観客が「OK」キーを押下すると、ステップ320に移り、符号と識別子が発光装置100から制御装置200に送信される。発光装置100の送信部120がステップ310にて入力された符号と自機に付された識別子を制御装置200に送信するものである。
【0035】
ステップ330では、発光装置100から送信された符号と識別子が制御装置200により受信される。制御装置200の受信部210が発光装置100から送信された符号と識別子を受信し、制御部220に出力するものである。
【0036】
ステップ340では、発光データ240に識別子が付加される。制御部220が入力された符号に対応する発光データ240に入力された識別子を付加するものである。発光データ240は、
図3(A)の状態から
図3(B)の状態になる。
【0037】
ここまでのステップは、コンサートの演奏開始前に実行される。以下、演奏開始直前から演奏中に実行されるステップについて説明する。
【0038】
ステップ350では、発光信号と識別子が制御装置200から発光装置100に送信される。送信部230が発光信号と識別子とを発光データ240から読み取って送信するものである。
【0039】
ステップ350において、演奏全体に係る発光信号を演奏開始前に一括して送信することも、演奏に対応する発光を例えば10分ごとに区分して演奏中に10分おきに発光信号を送ることもできる。演奏開始前に発光信号を送信する場合には、複数の発光装置100が同期するよう、発光装置100に時計を備え演奏開始時刻に複数の発光装置100が一斉に発光を開始する、制御装置200が「演奏開始」を表す信号を全ての発光装置100に同時に送信する等の対応を行う。演奏中に発光信号を送信する場合には、発光装置100は発光信号を受信したら即座に発光するものとすることもできる。多くのコンサートにおいて演奏される曲目毎の演奏時間に多少の変動があるので、演奏中に発光信号を曲目毎に送信する(制御装置200の送信をオペレータが指示する)ことが好ましい。
【0040】
ステップ360では、制御装置200から送信された発光信号と識別子が発光装置100により受信される。受信部130が制御装置200から送信される発光信号と識別子とを一群のデータとして受信し発光部140に出力するものである。
【0041】
ステップ370では、発光信号に基づいて発光装置100が発光する。発光装置100の発光部140は、発光信号に基づいて、指定の色の発光素子を、指定の発光時間の間、指定の輝度で動作する。
【0042】
以上詳細に説明したように、本実施形態の発光装置100及び発光制御方法によれば、発光装置100から入力される符号に応じて発光を制御することができる。符号としてコンサート会場における座席番号等の場所を用いることで、複数の発光装置を同期させて絵を描いたような発光をさせることができる。また、その絵が場所を移動するように発光させることもできる。
【0043】
複数の発光装置の1つ1つを個別に制御することができるので、コンサートにおいて客席をブロック化せずに詳細で緻密な発光を行うように制御することができる。
【0044】
発光装置100と座席の対応について、符号を入力することで、発光装置100を観客に配布した後に設定できる。野球場のように何万人もの観客を収容する施設でコンサートを行う場合にも、発光装置100と座席の対応のための特段の作業を要さない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の発光装置は、入力される符号に対応する発光信号を受信することができ、符号に応じてその発光を制御する。本発明の発光制御方法は、複数の発光装置のそれぞれに符号に対応する信号を受信させ、発光を符号に応じて制御する。符号によって発光装置が配される場所を特定することにより、コンサート等における効果的な演出が可能となる。多くのイベント運営者による利用が考えられる。
【符号の説明】
【0046】
100 発光装置
110 入力部
120 送信部
130 受信部
140 発光部
200 制御装置
210 受信部
220 制御部
230 送信部
240 発光データ