特許第6316268号(P6316268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6316268
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】資産組替シミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20180416BHJP
【FI】
   G06Q40/06
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-247989(P2015-247989)
(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2017-111770(P2017-111770A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2017年11月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512147680
【氏名又は名称】株式会社アーバンレック
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】河野 守邦
(72)【発明者】
【氏名】高本 潤一
【審査官】 毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−265924(JP,A)
【文献】 特開2005−234621(JP,A)
【文献】 特開2003−196372(JP,A)
【文献】 特開2015−132884(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0218937(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
資産の組替による資産額の増減のシミュレーションを行う資産組替シミュレーションシステムであって、
前記資産の組み換えのシナリオを保持するシナリオ情報記憶部と、
前記シナリオを管理するシナリオ管理手段と、
前記資産の前記シナリオに従った組み換えによって生じる、前記資産額の増減を算出する資産組替シミュレーション手段と、
前記資産組替シミュレーション手段によるシミュレーション結果を出力する出力生成手段と、を備え、
前記シナリオ管理手段が、前記資産の売却検討期間の入力を受け付け、前記売却検討期間のうちで前記資産の売却時期を変動した、複数の変更シナリオを生成する、変更シナリオ生成手段を有することを特徴とする、資産組替シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記変更シナリオ生成手段が、前記資産のうちの第1の資産に関する第1の売却検討期間と、前記資産のうちの第2の資産に関する第2の売却検討期間と、の入力を受け付け、
前記第1の売却検討期間内における前記第1の資産の売却時期及び/又は前記第2の売却検討期間内における前記第2の資産の売却時期がそれぞれ異なる、複数の前記変更シナリオを生成することを特徴とする、請求項1に記載の資産組替シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記変更シナリオ生成手段が、追加資産の購入検討期間の入力を受け付け、前記購入検討期間の内で前記追加資産の購入時期を変動し、複数の前記変更シナリオを作成することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の資産組替シミュレーションシステム。
【請求項4】
前記変更シナリオ生成手段が、前記追加資産のうちの第1の追加資産に関する第1の購入検討期間と、前記追加資産のうちの第2の追加資産に関する第2の購入検討期間と、の入力を受け付け、
前記第1の購入検討期間内における前記第1の追加資産の購入時期及び/又は前記第2の購入検討期間内における前記第2の追加資産の購入時期がそれぞれ異なる、複数の前記変更シナリオを生成することを特徴とする、請求項3に記載の資産組替シミュレーションシステム。
【請求項5】
前記出力生成手段が、前記変更シナリオに関する前記シミュレーション結果を、指定された値を基準として並び替えて出力することを特徴とする、請求項1から請求項4の何れかに記載の資産組替シミュレーションシステム。
【請求項6】
複数のユーザ端末装置へと、資産の組替による資産額の増減のシミュレーション手段を提供する資産組替シミュレーションサーバ装置であって、
前記資産の組み換えのシナリオを保持するシナリオ情報記憶部と、
前記シナリオを管理するシナリオ管理手段と、
前記資産の前記シナリオに従った組み換えによって生じる、前記資産額の増減を算出する資産組替シミュレーション手段と、
前記資産組替シミュレーション手段によるシミュレーション結果を出力する出力生成手段と、を備え、
前記シナリオ管理手段が、前記資産の売却検討期間の入力を受け付け、前記売却検討期間のうちで前記資産の売却時期を変動した、複数の変更シナリオを生成する、変更シナリオ生成手段を有することを特徴とする、資産組替シミュレーションサーバ装置。
【請求項7】
資産の組替による資産額の増減のシミュレーションを行う資産組替シミュレーションプログラムであって、
コンピュータ装置を、
前記資産の組み換えのシナリオを保持するシナリオ情報記憶部と、
前記シナリオを管理するシナリオ管理手段と、
前記資産の前記シナリオに従った組み換えによって生じる、前記資産額の増減を算出する資産組替シミュレーション手段と、
前記資産組替シミュレーション手段によるシミュレーション結果を出力する出力生成手段と、として動作させ、
前記シナリオ管理手段が、前記資産の売却検討期間の入力を受け付け、前記売却検討期間のうちで前記資産の売却時期を変動した、複数の変更シナリオを生成する、変更シナリオ生成手段を有することを特徴とする、資産組替シミュレーションプログラム。
【請求項8】
シナリオ情報記憶部と、変更シナリオ生成手段を有するシナリオ管理手段と、資産組替シミュレーション手段と、出力生成手段と、を備え、資産の組替による資産額の増減のシミュレーションを行う資産組替シミュレーションシステムの動作方法であって、
前記シナリオ管理手段が、ユーザの指示に基づいて、前記資産の組み換えを含むシナリオを作成し、前記シナリオ情報記憶部へと記録するステップと、
前記変更シナリオ生成手段が、前記ユーザより前記資産の売却検討期間の入力を受け付け、前記売却検討期間のうちで前記資産の売却時期を変動した、複数の変更シナリオを生成し、前記シナリオ情報記憶部へと記録するステップと、
前記資産組替シミュレーション手段が、前記シナリオ情報記憶部の保持する前記シナリオ及び前記変更シナリオに基づいた前記資産額の増減のシミュレーションを行うステップと、
前記出力生成手段が、前記シミュレーションの結果を前記ユーザが閲覧可能な状態に出力するステップと、を有することを特徴とする、資産組替シミュレーションシステムの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、購入や売却などの資産の組み換えによって生じる保有資産額の増減をシミュレーションする、資産組替シミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
土地や建物などの不動産、各種の証券のような金融商品などの資産について、適切なタイミングでの購入や売却を行うことによる、資産額の増加を目的とした資産運用が、個人、法人を問わず広く行われている。
【0003】
このような資産運用は、大小様々なリスクを伴うものである。そして、それによって生じる損益を検討する場合には、各資産による単純な収支のみでなく、各種の手続きのために生じる費用や、税額なども考慮する必要があり、複雑な計算が必要である。そのため、専門的な知識を持たない者が効率的な資産運用を行うことは容易ではなく、資産の保有状況や、購入、売却による影響などの分析、試算を行い、助言を行う、コンサルティング業が求められてきた。
【0004】
また、資産額の増加のために積極的な資産運用を行うつもりがなくとも、所有資産の相続の際に生じる相続税などの税金の納付義務が生じ、そしてそのような税額の大小が、保有する資産の形態などによって大きく変化することが少なくない。こういった問題を検討する際にも、専門的な知識が必要とされる。
【0005】
このように、効率的な資産運用を行うためには、専門的な知識が必要となると共に、資産運用を行う各人の状況を考慮した、複雑な計算が必要となるため、専門家がコンサルティングを行う場合にも、多大な時間が必要となる。
【0006】
このような状況に対して、資産運用や、そのコンサルティング業を補助するための種々の技術が考案されており、特許文献1には、保有資産による収支額や、その変動率などを入力することによって、将来にわたる資産額の増減をシミュレーションすることのできるシステムが公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−265924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されるようなシステムを利用すれば、保有資産の価値の増減などを予測して、将来にわたる資産額の増減をシミュレーションすることができるが、そのような予想には、専門的な知識や経験が必要となる。
【0009】
また、シミュレーションの結果を得た後に、どのような資産の組み換えなどを行えばより効率的な資産運用ができるか、といった点などを検討する際にも、同様に、専門的な知識や経験が必要となる。
【0010】
そのため、上述したようなシステムは、豊富な知識や経験を有する専門家が利用することにより、計算時間の短縮などを図れるものであって、そうでない者が利用するのは困難であると言える。
【0011】
そこで、本発明では、専門的な知識や経験に乏しいものであっても、多くの可能性を思索し、効率的な資産の運用を検討することのできる、資産組替シミュレーションシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る資産組替シミュレーションシステムは、
資産の組替による資産額の増減のシミュレーションを行う資産組替シミュレーションシステムであって、
前記資産の組み換えのシナリオを保持するシナリオ情報記憶部と、
前記シナリオを管理するシナリオ管理手段と、
前記資産の前記シナリオに従った組み換えによって生じる、前記資産額の増減を算出する資産組替シミュレーション手段と、
前記資産組替シミュレーション手段によるシミュレーション結果を出力する出力生成手段と、を備え、
前記シナリオ管理手段が、前記資産の売却検討期間の入力を受け付け、前記売却検討期間のうちで前記資産の売却時期を変動した、複数の変更シナリオを生成する、変更シナリオ生成手段を有することを特徴とする。
【0013】
このように、売却検討期間の内で売却時期を変動した複数の変更シナリオを生成することで、ユーザは多数のシナリオを検討し、より効率的な資産の組み換えを検討することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記変更シナリオ生成手段が、前記資産のうちの第1の資産に関する第1の売却検討期間と、前記資産のうちの第2の資産に関する第2の売却検討期間と、の入力を受け付け、
前記第1の売却検討期間内における前記第1の資産の売却時期及び/又は前記第2の売却検討期間内における前記第2の資産の売却時期がそれぞれ異なる、複数の前記変更シナリオを生成することを特徴とする。
このように、複数の資産の売却期間を変動して変更シナリオを生成することで、より多様な資産の組み換えを検討することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記変更シナリオ生成手段が、追加資産の購入検討期間の入力を受け付け、前記購入検討期間の内で前記追加資産の購入時期を変動し、複数の前記変更シナリオを作成することを特徴とする。
このように、追加資産の購入についても、その購入時期を変動した複数の変更シナリオを生成することで、資産の購入と売却を絡めた、より複雑な資産運用も検討することができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記変更シナリオ生成手段が、前記追加資産のうちの第1の追加資産に関する第1の購入検討期間と、前記追加資産のうちの第2の追加資産に関する第2の購入検討期間と、の入力を受け付け、
前記第1の購入検討期間内における前記第1の追加資産の購入時期及び/又は前記第2の購入検討期間内における前記第2の追加資産の購入時期がそれぞれ異なる、複数の前記変更シナリオを生成することを特徴とする。
このように、追加資産の購入についても、複数の追加資産についての購入時期を変動した複数の変更シナリオを生成することで、より多くのシナリオを検討することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記出力生成手段が、前記変更シナリオに関する前記シミュレーション結果を、指定された値を基準として並び替えて出力することを特徴とする。
このように、変更シナリオに関するシミュレーション結果の並び替えを行うことで、多くの変更シナリオが生成された場合においても、ユーザはより好ましいシミュレーション結果を得られるようなシナリオから確認することができる。
【0018】
本発明に係る資産組替シミュレーションサーバ装置は、
複数のユーザ端末装置へと、資産の組替による資産額の増減のシミュレーション手段を提供する資産組替シミュレーションサーバ装置であって、
前記資産の組み換えのシナリオを保持するシナリオ情報記憶部と、
前記シナリオを管理するシナリオ管理手段と、
前記資産の前記シナリオに従った組み換えによって生じる、前記資産額の増減を算出する資産組替シミュレーション手段と、
前記資産組替シミュレーション手段によるシミュレーション結果を出力する出力生成手段と、を備え、
前記シナリオ管理手段が、前記資産の売却検討期間の入力を受け付け、前記売却検討期間のうちで前記資産の売却時期を変動した、複数の変更シナリオを生成する、変更シナリオ生成手段を有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る資産組替シミュレーションプログラムは、
資産の組替による資産額の増減のシミュレーションを行う資産組替シミュレーションプログラムであって、
コンピュータ装置を、
前記資産の組み換えのシナリオを保持するシナリオ情報記憶部と、
前記シナリオを管理するシナリオ管理手段と、
前記資産の前記シナリオに従った組み換えによって生じる、前記資産額の増減を算出する資産組替シミュレーション手段と、
前記資産組替シミュレーション手段によるシミュレーション結果を出力する出力生成手段と、として動作させ、
前記シナリオ管理手段が、前記資産の売却検討期間の入力を受け付け、前記売却検討期間のうちで前記資産の売却時期を変動した、複数の変更シナリオを生成する、変更シナリオ生成手段を有することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る資産組替シミュレーションシステムの動作方法は、
シナリオ情報記憶部と、変更シナリオ生成手段を有するシナリオ管理手段と、資産組替シミュレーション手段と、出力生成手段と、を備え、資産の組替による資産額の増減のシミュレーションを行う資産組替シミュレーションシステムの動作方法であって、
前記シナリオ管理手段が、ユーザの指示に基づいて、前記資産の組み換えを含むシナリオを作成し、前記シナリオ情報記憶部へと記録するステップと、
前記変更シナリオ生成手段が、前記ユーザより前記資産の売却検討期間の入力を受け付け、前記売却検討期間のうちで前記資産の売却時期を変動した、複数の変更シナリオを生成し、前記シナリオ情報記憶部へと記録するステップと、
前記資産組替シミュレーション手段が、前記シナリオ情報記憶部の保持する前記シナリオ及び前記変更シナリオに基づいた前記資産額の増減のシミュレーションを行うステップと、
前記出力生成手段が、前記シミュレーションの結果を前記ユーザが閲覧可能な状態に出力するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
条件の異なる複数のシナリオを自動生成し、複数のシミュレーション結果を出力することで、ユーザはより効率的な資産の運用を検討することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る資産組替シミュレーションシステムの構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る資産組替シミュレーションサーバ装置の機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態におけるシナリオの作成に係る処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態における土地・建物に関する情報の入力画面の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態における土地・建物に関する情報の入力画面の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態における生活費に関する情報の入力画面の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態における保有資産による収支などに関する情報の入力画面の一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態における保有資産による収支などに関する情報のグラフ表示画面の一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態における相続人に関する情報の入力画面の一例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態における資産組替シミュレーション結果の表示画面の一例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態におけるシナリオの一覧表示画面の一例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態におけるシナリオの比較画面の一例を示す図である。
図13】本発明の一実施形態における変更シナリオの生成に係る処理を示すフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態における資産の売却期間の入力画面の一例を示す図である。
図15】本発明の一実施形態において生成する変更シナリオのバリエーションの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る資産組替シミュレーションシステムの構成図である。ここに示すように、本実施形態に係る資産組替シミュレーションシステムは、資産組替シミュレーションサーバ装置1と、ユーザの利用するユーザ端末装置2とが、ネットワーク3を介して通信可能に構成されている。
【0025】
資産組替シミュレーションサーバ装置1は、図2に示すように、ユーザの情報を管理するユーザ情報管理手段101と、任意のシミュレーション期間中における資産の組み換えや、各資産による収支の予測などの情報を備えるシナリオの作成、変更などの管理を行うシナリオ管理手段102と、シナリオに基づいて、シミュレーション期間中に生じる資産額の増減などの算出を行う資産組替シミュレーション手段103と、シミュレーション期間中の複数の時点において相続が起きた場合の相続税や、贈与を行う場合の贈与税の算出などを行う相続/贈与シミュレーション手段104と、資産組替シミュレーション手段103及び相続/贈与シミュレーション手段104によるシミュレーション結果をユーザに閲覧可能な状態に出力する出力生成手段105と、ユーザの情報を保持するユーザ情報記憶部106と、シナリオの情報を保持するシナリオ情報記憶部107と、を備える。
【0026】
更に、シナリオ管理手段102は、ユーザ端末装置2からの入力によってシナリオを作成するシナリオ作成手段102aと、シナリオ作成手段102aによって作成されたシナリオに、更にユーザ端末装置2から入力された条件を用いて変更を行った複数の変更シナリオを自動生成する、変更シナリオ生成手段102bと、を有する。
【0027】
また、出力生成手段105は、シミュレーション結果を表形式でユーザへと提示する表データ生成手段105aと、シミュレーション結果をグラフ形式でユーザへと提示するグラフ生成手段105bと、を有する。
【0028】
なお、資産組替シミュレーションサーバ装置1には、演算装置、主記憶装置、補助記憶装置、各種の入出力装置などを備え、ネットワーク3へと接続可能に構成された、汎用的なサーバ装置などを用いることができる。より具体的には、汎用的なサーバ装置の補助記憶装置に、資産組替シミュレーションサーバ装置として動作させるためのプログラムを配し、それを実行することによって実現できる。
【0029】
また、ユーザ端末装置2には、コンピュータ装置や、タブレット端末、スマートフォン端末など、一般的なウェブブラウザソフトウェアを備える各種の端末装置を用いる。
【0030】
そして、本実施形態に係る資産組替シミュレーションシステムは、前記ユーザが、ユーザ端末装置2に設けられた前記ブラウザソフトウェアによって、ネットワーク3を介して資産組替シミュレーションサーバ装置1にアクセスし、利用するものである。なお、予めユーザ情報管理手段101により、ユーザ情報記憶部106にユーザIDやパスワードなどのユーザ情報を記録しておき、ユーザ端末装置2からのアクセスがあった場合に、それらの情報を用いた認証処理を行った上で、各ユーザが資産組替シミュレーションを実施可能な構成とすることが好ましい。
【0031】
<資産組替シミュレーション>
図3は、本実施形態に係る資産組替シミュレーションシステムによる、シミュレーションの実施の流れを示すフローチャートである。
【0032】
まず、ステップS11で、ユーザの保有する種々の資産について、入力を受け付ける。ここでは、例えば、図4に例を示すような画面により、所有する土地や建物に関する情報、また、図5に例を示すような画面により、土地や建物に関連した、収入・支出やローンなどの情報の入力を受け付ける。
【0033】
また、図6に例を示すような画面では、シミュレーション期間中の各年における生活費の入力を受け付ける。この他にも、現預金や生命保険、退職金、有価証券、債務、葬式費用など、収入や支出に影響を与えうる種々の情報について、保有資産としての入力を受け付ける。
【0034】
土地や建物、有価証券などの継続的な収支が見込まれる保有資産については、図7に示すような画面によって、シミュレーション期間中の各年における、該資産による収入と支出、資産価値の上昇率(又は下降率)などの入力を受け付ける。また、図8に示すようなグラフを合わせて表示することにより、価格の上昇率の設定などによる資産の増減、及び指標値の変化などを視覚的にもわかりやすく提示することができる。また、シミュレーション期間中において、土地や建物、有価証券などの資産の売却を行う時期の指定を受け付ける。
【0035】
そして、図7及び図8に示したような保有資産情報の入力画面においては、入力値に変更が加わった際に、表形式のデータ及びグラフの表示を随時更新することにより、ユーザは入力値の設定、及びそれによるキャッシュフローなどの変動の確認を、対話的に実施することができる。
【0036】
また、入力値の変更は、数値による入力のみでなく、グラフ中のプロット点のドラッグ操作によっても行うことができる。これによって、より簡単に入力値の変更を行うことができる。なお、数値による入力値の変更、グラフの操作による入力値の変更共に、開始点と終了点における値のみを指定し、その間において値を線形に補完する操作などを可能としてもよい。 これにより、入力値の変更操作の利便性がより向上する。
【0037】
ステップS11においては、更に、相続/贈与シミュレーション手段104によって利用するために、図9に例を示すような画面において、相続や贈与が生じ得る親族の情報や、それぞれの親族に対する相続分の入力なども受け付ける。
【0038】
以上のように、種々の保有資産に関する情報の入力を受けた後、ステップS12に進み、シミュレーション期間内の購入を検討する、追加資産情報の入力を受け付ける。ここでは、先に保有資産情報の入力画面として示した図7図8などのような画面により、保有資産に関する情報と同様の情報の入力を、追加資産についても受け付ける。
【0039】
以上のように、保有資産と追加資産に関する情報の入力を受け付けた後には、ステップS13に進み、入力された保有資産及び追加資産の情報に基づいて、資産額の増減のシミュレーションを行い、ステップS14にて、図10に例を示すような画面を出力し、資産組替シミュレーションの結果を、表やグラフの形態でユーザへと提示する。
【0040】
シミュレーション結果を確認したユーザが、シナリオに設定する条件の変更を行う場合には、ステップS15からステップS11に戻り、保有資産の追加情報の入力や、入力済みの情報の変更を受け付ける。続くステップS12でも、追加資産についての追加情報の入力や変更を同様に受け付ける。そして、ステップS13での資産組替シミュレーション、ステップS14での結果の表示を再度行う。
【0041】
このように、ステップS11からステップS15の処理を繰り返すことで、ユーザの操作によるシナリオの作成、及びそれに基づいた資産組替シミュレーションの結果の出力を行う。
【0042】
以上のようにして、ユーザの操作によるシナリオの作成が行われる。また、このようにして作成したシナリオの複製の指示を受け付け、複製後に変更を受け付けることで、類似する複数のシナリオを簡単に作成することができる。
【0043】
<複数シナリオの比較>
ユーザによって複数のシナリオが作成され、それぞれについて資産組替シミュレーションを行った後には、図11及び図12に示すような画面によって、シナリオとシミュレーション結果の一覧をユーザへと提示する。
【0044】
図11に示すような画面においては、各シナリオについて、シミュレーション期間中の各年における資産の保有状況やキャッシュフロー、純資産額などの推移を表示する。このような表示により、ユーザは、それぞれのシナリオにおける資産の状況の推移を把握することができる。
【0045】
また、図12に示すような画面においては、各シナリオによるシミュレーション結果のキャッシュフローや純資産などを、それぞれ同一のグラフ上に示すことで、作成した複数のシナリオについて、資産状況の推移などを比較することができる。
【0046】
<変更シナリオ生成>
続いて、変更シナリオ生成手段102bによる変更シナリオの生成処理について説明する。図13は、本実施形態に係る資産組替シミュレーションシステムによる、変更シナリオの生成処理を示すフローチャートである。
【0047】
まず、ステップS21で、ユーザより変更元とするシナリオの指定を受け付ける。ここでは、例えば、先に図11に示したシナリオ一覧画面から、変更元とするシナリオの選択を受け付ける、といった形態で、ユーザからの指定を受ける。
【0048】
そして、ステップS22で、ユーザより資産売却時期の範囲入力を受け付ける。ここでは、例えば、図14に示すような画面上でのスライダーの操作により、保有資産や追加資産の売却を行う年度の範囲指定を受け付ける。なお、ここでは、図14に示すように、「不動産1」と「不動産2」の2つの資産について、「不動産1」を0年目(即時)から5年目までの何れかの年で、同じく「不動産2」を3年目から7年目の何れかの年で売却する、という形での入力がなされた場合を想定する。
【0049】
売却時期の範囲入力を受け付けた後には、ステップS23で、入力された範囲内の各年において資産売却を行った場合を想定した、複数のシナリオを生成する。例として、先に図14に示したように、「不動産1」と「不動産2」の2つの資産についての売却時期の範囲が指定された場合に生成する変更シナリオのイメージを、図15に示す。この場合には、まず、「不動産1」を0年目、「不動産2」を3年目に売却した場合のシナリオ(S03)が作成される。続いて、「不動産1」を0年目、「不動産2」を4年目に売却した場合のシナリオ(S04)が作成される。このようにして、「不動産1」を5年目、「不動産2」を7年目に売却した場合のシナリオ(S57)までの、合計30個の変更シナリオの生成を行う。すなわち、「不動産1」の売却時期を0年目から5年目までの6通りに、「不動産2」の売却時期を3年目から7年目までの5通りにそれぞれ変動させ、5×6=30通りの変更シナリオの生成を行う。
【0050】
そして、ステップS24で、生成した各変更シナリオについての資産組替シミュレーションを実施し、その結果を、図11及び図12に例示した資産組替シミュレーション結果の表示画面によって、ユーザに提示する。
【0051】
なお、ここで、ユーザへと結果を提示する際には、好ましい結果が得られた変更シナリオを優先的に表示することが好ましい。例えば、シミュレーション期間終了時のキャッシュフローの額が高い順に、変更シナリオのシミュレーション結果の表示順を並び替える、あるいは、同様に純資産によって並び替えるなどの方法をとれば、ユーザに対してより有益な情報を優先的に提供することができる。また、変更元のシナリオよりも芳しくない結果が得られたシミュレーション結果を非表示にするなど、ユーザに不要と考えられる情報を非表示に、あるいはそういった変更シナリオを自動的に削除するような構成としてもよい。
【0052】
本実施形態においては、2つの不動産について、売却時期の範囲指定を受け付ける場合の例を示したが、変更シナリオの生成条件は、これに限るものではない。例えば、不動産に代えて有価証券などの売却時期の範囲指定を受け付けてもよい。また、1つの資産についてのみの、あるいは3つ以上など、より多くの資産についての売却時期の範囲指定を受け付けてもよい。例えば、図14を参照して説明した「不動産1」及び「不動産2」の売却時期の指定に加え、更に「有価証券1」の売却時期の指定を、7年目から9年目までの3通りとして受けたとすれば、5×6×3=90通りの変更シナリオを生成することができる。
【0053】
更に、追加資産の購入時期についても、同様に範囲指定を受け付け、購入時期を変動した複数の変更シナリオを生成するような構成としてもよい。なお、このように購入時期の範囲指定を受け付け、先述したような売却時期の範囲指定も共に受け付ける構成とするのであれば、売却時期が購入時期よりも早く、矛盾するような変更シナリオは生成しないようにすればよい。
【0054】
また、売却時期の範囲指定のみでなく、その資産について売却しないといった選択肢を含めるように構成してもよい。購入時期の範囲指定についても同様に、その資産について購入しないといった選択肢を含めるように構成してもよい。
【0055】
なお、本実施形態においては、シミュレーション結果の算出や、購入・売却時期の指定などを年単位で行うものとして示したが、これを月単位や半期単位、四半期単位など、任意の期間を単位として行うような構成としてもよい。
【0056】
また、本実施形態においては、資産組替シミュレーションサーバ装置1とユーザ端末装置2とをネットワーク3を介して接続する構成を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、本実施形態において資産組替シミュレーションサーバ装置1の備える各手段、記憶部をユーザ端末装置2によって実現し、ユーザ端末装置2のみを用いる構成としてもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る資産組替シミュレーションシステムを用いることにより、ユーザは現在の保有資産や、購入を検討している追加資産などの情報からシナリオを作成し、所定のシミュレーション期間における資産額の増減のシミュレーション結果を得ることができる。そして、資産の売却や購入を検討している期間を指定することで、作成したシナリオにバリエーションを持たせ、より効果的な資産の組替を検討することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 資産組替シミュレーションサーバ装置
101 ユーザ情報管理手段
102 シナリオ管理手段
102a シナリオ作成手段
102b 変更シナリオ生成手段
103 資産組替シミュレーション手段
104 相続/贈与シミュレーション手段
105 出力生成手段
105a 表データ生成手段
105b グラフ生成手段
106 ユーザ情報記憶部
107 シナリオ情報記憶部
2 ユーザ端末装置
3 ネットワーク
図1
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