(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の縦長ブロックは、前記横長ブロックの左側及び右側にそれぞれ配置され且つそれぞれが縦方向の一方側及び他方側に向かって延びる縦長ブロックを有する、請求項3に記載のプラスチックボトル。
前記複数の横長ブロックは、前記縦長ブロックの上側及び下側にそれぞれ配置され且つそれぞれが横方向の一方側及び他方側に向かって延びる横長ブロックを有する、請求項3又は4に記載のプラスチックボトル。
前記窪み部の底部は、当該プラスチックボトルにトップロードがかかったときに膨らむように変形し、且つ、当該トップロードが解放されたときに前記変形が元に戻るように構成された加圧吸収面を有しており、
前記加圧吸収面の少なくとも一部は、前記ブロック無し領域に形成されている、請求項7に記載のプラスチックボトル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の省資源に対する意識の高まりなどを受け、上記のような最大限軽量化を図ったボトルについても、更なる軽量化が要求されている。しかし、さらなる軽量化・薄肉化が進むと、ユーザーがボトルを持ったときの小さな力でさえも、ボトルがすぐにへこんでしまい、ユーザーにはボトルが持ちにくいという印象を与えてしまうなど、要求される仕様(ユーザビリティ、ベンダビリティ)を満たすことが難しくなってきている。
【0006】
このような背景の中で軽量化ボトルの設計・開発を行ってきた本発明者は、これまでのような、周リブを設ける一般的なアプローチだけでは、軽量化と強度維持を両立させるには限界があるだろうとの知見を得た。
【0007】
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、その目的は、従来とは全く異なるアプローチにより、ユーザビリティに適した強度を確保しつつ軽量化を図ることができるプラスチックボトルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、一般に認識されているのは、重くて肉厚のあるボトルの場合、ボトル表面の模様や彫刻といったパターンは、ボトルの見た目を向上するためにのみ使用され、ボトルの強度には影響を与えないということである。
【0009】
これに対し、本発明者は、軽量化ボトルの場合には、そういったパターンであっても、ボトルの強度に影響を与えるとの知見を得た。加えて、本発明者は、ユーザーがボトルがへこみ易い・持ちにくいと感じるのはボトルが1mm以上容易にへこんでしまう場合であり、その1mmまでの剛性を高めることができれば、ユーザビリティに適した強度を確保することができるとの知見を得た。
【0010】
これらの知見の下、本発明者は、鋭意検討を行い、その結果、ある規則性をもったブロックパターンをボトル周面に形成することで、ボトルの初期剛性が向上し、ボトルが容易にへこまないような印象(しっかり感)をユーザーに体感させることができ、軽量化に寄与することができる本発明のプラスチックボトルを完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明のプラスチックボトルは、ボトル周面と、ボトル周面に形成され、複数種の凹状ブロックを縦方向及び横方向に組み合せてなるブロックパターンと、を備え、複数種の凹状ブロックは、少なくとも1つの基本ブロックと、基本ブロックよりも縦方向に長い複数の縦長ブロックと、基本ブロックよりも横方向に長い複数の横長ブロックと、を含み、次の(a)及び(b)の少なくとも一方を満たすものである。
(a)複数の横長ブロックは、縦方向において
連続するように並んだ、互いに
隣の関係にある横長ブロック同士が横方向に位置ずれして配置されている。
(b)複数の縦長ブロックは、横方向において
連続するように並んだ、互いに
隣の関係にある縦長ブロック同士が縦方向に位置ずれして配置されている。
【0012】
このように、横長ブロック及び/又は縦長ブロックを位置ずれして配置することで、ブロックパターンを設けない場合や単純に基本ブロックのみでブロックパターンを構成する場合に比べて、横方向、縦方向及び曲げ方向の少なくとも一つの方向への初期変形に対してより強く抗することができる。これにより、ブロックパターンが形成された部位の初期剛性を高めることができるので、当該ブロックパターンをボトルの所定部位(ユーザーが持つことが想定される部位)に形成しておくことで、ユーザーにはボトルが容易にはへこまないような印象(しっかり感)を体感させることができる。また、このような初期剛性を確保することができる結果、ボトルをより一層軽量化することも可能となる。
【0013】
好ましくは、ブロックパターンは、ボトル周面に周方向に形成されているとよい。こうすることで、ユーザーがボトルをどの方向から掴んでもブロックパターンを持つことが可能となり、また、ユーザーが持った際にボトル周面に作用する力がブロックパターンを介して周方向に伝達されるようになるため、上記のしっかり感をより一層体感させることができる。
【0014】
好ましくは、前記(a)及び(b)の両方を満たすとよい。かかる構成によれば、単純に基本ブロック、横長ブロック及び縦長ブロックのいずれか一つのみでブロックパターンを構成する場合に比べて、横方向、縦方向及び曲げ方向の全方向への初期変形に対してより強く抗することができる。よって、ブロックパターンが形成された部位の初期剛性をより一層高めることができる。
【0015】
好ましくは、複数の縦長ブロックは、横長ブロックの左側及び右側にそれぞれ配置され且つそれぞれが縦方向の一方側及び他方側に向かって延びる縦長ブロックを有するとよい。同様に、複数の横長ブロックは、縦長ブロックの上側及び下側にそれぞれ配置され且つそれぞれが横方向の一方側及び他方側に向かって延びる横長ブロックを有するとよい。
【0016】
好ましくは、ボトル周面には、縦方向に互いに離間して少なくとも2つの凹状リブが周方向に形成され、ブロックパターンは、当該少なくとも2つの凹状リブの間に形成されるとよい。この構成によれば、凹状リブ間の面部分の初期剛性をブロックパターンによって向上することができる。
【0017】
より好ましくは、ボトル周面には、さらに、指挿入用の窪み部が形成されており、前記少なくとも2つの凹状リブの間の縦方向の領域には、前記窪み部の一部が形成されたブロック無し領域と、当該領域の下側に基本ブロックのみを横方向に並べて形成したブロック有り領域と、が含まれるとよい。かかる構成によれば、窪み部の一部によって縦長ブロックを配置するのに十分な領域が確保できない場合であっても、基本ブロックを配置しておくことができる。
【0018】
この場合、前記窪み部の底部は、プラスチックボトルにトップロードがかかったときに膨らむように変形し、且つ、当該トップロードが解放されたときに前記変形が元に戻るように構成された加圧吸収面を有し、この加圧吸収面の少なくとも一部は、ブロック無し領域に形成されているとよい。かかる構成によれば、加圧吸収面の下側がブロック有り領域の基本ブロックによって初期剛性が高められているので、トップロードがかかったときに変形する加圧吸収面が、より変形しやすくなる。
【0019】
本発明の別の実施態様に係るプラスチックボトルは、ボトル周面と、ボトル周面に周方向に形成され、複数種の凹状ブロックを縦方向及び横方向に組み合せてなるブロックパターンと、を備え、複数種の凹状ブロックは、少なくとも1つの基本ブロックと、基本ブロックよりも縦方向に長い少なくとも1つの縦長ブロックと、該基本ブロックよりも横方向に長い複数の横長ブロックと、を含み、複数の横長ブロックは、縦方向において
連続するように並んだ、互いに隣の関係にある横長ブロック同士が横方向に位置ずれして配置されているものである。
【0020】
本発明のまた別の実施態様に係るプラスチックボトルは、ボトル周面と、ボトル周面に周方向に形成され、複数種の凹状ブロックを縦方向及び横方向に組み合せてなるブロックパターンと、を備え、複数種の凹状ブロックは、少なくとも1つの基本ブロックと、基本ブロックよりも縦方向に長い複数の縦長ブロックと、基本ブロックよりも横方向に長い少なくとも1つの横長ブロックと、を含み、複数の縦長ブロックは、横方向において
連続するように並んだ、互いに隣の関係にある縦長ブロック同士が縦方向に位置ずれして配置されているものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係るブロックパターンとは異なる比較例に係る表面パターンを示す図であり、(a)は縦方向に沿ったリブを形成した表面パターンであり、(b)及び(c)は(a)の表面パターンが横方向及び曲げ方向に弱いことを示す図である。
【
図2】本実施形態に係るブロックパターンとは異なる比較例に係る表面パターンを示す図であり、(a)は横方向に沿ったリブを形成した表面パターンであり、(b)及び(c)は(a)の表面パターンが縦方向及び曲げ方向に弱いことを示す図である。
【
図3】本実施形態に係るブロックパターンとは異なる比較例に係る表面パターンを示す図であり、(a)はブロックを縦方向及び横方向に格子状に並べた表面パターンであり、(b)及び(c)は(a)の表面パターンが曲げ方向に弱いことを示す図である。
【
図4】本実施形態に係るブロックパターンを示す図であり、(a)はブロックパターンの斜視図、(b)は基本ブロックの拡大斜視図、(c)は横長ブロックの拡大斜視図である。
【
図5】本実施形態に係るブロックパターンにおける横長ブロック及び縦長ブロックの配置の規則性を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【
図6】(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本実施形態に係るブロックパターンと同じ規則性をもった別のブロックパターンを示す図である。
【
図7】本実施形態の第1の変形例に係るブロックパターンを示す図であり、(a)はブロックパターンの斜視図、(b)は基本ブロックの拡大斜視図、(c)は横長ブロックの拡大斜視図である。
【
図8】本実施形態の第2の変形例に係るブロックパターンを示す図であり、(a)はブロックパターンの斜視図、(b)は基本ブロックの拡大斜視図、(c)は横長ブロックの拡大斜視図である。
【
図9】本実施形態の第3の変形例に係るブロックパターンを示す図であり、(a)はブロックパターンの斜視図、(b)は基本ブロックの拡大斜視図、(c)は横長ブロックの拡大斜視図である。
【
図10】本実施形態の第4の変形例に係るブロックパターンを示す斜視図である。
【
図11】本実施形態の第5の変形例に係るブロックパターンを示す図であり、(a)はブロックパターンの斜視図、(b)は基本ブロックの拡大斜視図、(c)は横長ブロックの拡大斜視図である。
【
図12】本実施形態の第6の変形例に係るブロックパターンを示す図であり、(a)はブロックパターンの斜視図、(b)は基本ブロックの拡大斜視図、(c)は横長ブロックの拡大斜視図である。
【
図13】本実施形態の第7の変形例に係るブロックパターンを示す図であり、(a)はブロックパターンの斜視図、(b)は基本ブロックの拡大斜視図、(c)は横長ブロックの拡大斜視図である。
【
図14】本実施形態の第8の変形例に係るブロックパターンを示す図であり、(a)はブロックパターンの斜視図、(b)は基本ブロックの拡大斜視図、(c)は横長ブロックの拡大斜視図である。
【
図15】本実施形態に係るプラスチックボトルをグレースケールで示す正面図である。
【
図16】
図15のプラスチックボトルを線図で示す右側面図であり、
図15のプラスチックボトルを90度だけ横方向から見た図である。
【
図17】(a)は
図15のプラスチックボトルについて行った実験条件を示す図であり、(b)当該実験における二つの測定箇所を示す図である。
【
図18】
図15のプラスチックボトル及び比較例に係るプラスチックボトルについて行った実験結果を示すグラフである。
【
図19】
図15のプラスチックボトル及び比較例に係るプラスチックボトルについて行った数値解析の結果を示す図であり、変形初期の状態を示す側面図である。
【
図20】別の実施形態に係るプラスチックボトルの斜視図である。
【
図22】(a)は比較例に係るプラスチックボトルのくびれ部まわりを示す拡大正面図であり、(b)は
図20のプラスチックボトルのくびれ部まわりを示す拡大正面図である。
【
図23】
図20のプラスチックボトル及び比較例に係るプラスチックボトルについて行った実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
以下では、まず、ブロックパターンについて説明し、その上で、ブロックパターンを適用したプラスチックボトルについて説明する。なお、以下の説明では、ボトルの口部が存在する方を上側とし、ボトルの底部が存在する方を下側とする。横断面形状とは、ボトルの中心軸に直交する平面における断面形状を意味する。
【0023】
1.ブロックパターンについて
一般に、物体の表面の強度を上げる手法として、
図1(a)又は
図2(a)に示すように、縦方向又は横方向に沿った複数のリブ200、202を表面210、220に形成することが知られている。
図1(a)に示す表面210は、縦方向に対しては強度がでるものの、
図1(b)及び(c)に示すように、横方向及び曲げ方向への力に対しては弱くなる。同様に、
図2(a)に示す表面220は、横方向に対しては強度がでるものの、
図2(b)及び(c)に示すように、縦方向及び曲げ方向への力に対しては弱くなる。
【0024】
図3(a)に示す表面230は、
図1(a)及び
図2(a)に示す表面パターンを組み合せたものであり、これによれば、縦方向及び横方向への力に対しては強くなる。しかし、
図3(b)及び(c)に示すように、
図3(a)に示す表面パターンは、依然として、曲げ方向への力に対しては弱いままである。これは、縦方向及び横方向に延びるそれぞれの稜線240、250が一つの線として直線的に延びているからである。
【0025】
図4は、本実施形態のブロックパターン300を示す図である。
図4(a)に示すように、このブロックパターン300では、
図3(a)に示したような稜線240、250を一方向においてところどころで分断したものとなっている。そして、そのような分断した態様となるように、ブロックパターン300は、3つの異なる凹状ブロック310、320、330を縦方向及び横方向に組み合せたもので構成されている。凹状ブロック310、320、330は、それぞれボトル表面に凹状に形成された模様、装飾又は彫刻とみることもできる凹状デザインである。
【0026】
具体的には、ブロックパターン300における3つの異なる凹状ブロックは、基本ブロック310と、基本ブロック310よりも縦方向に長い縦長ブロック320と、基本ブロックよりも横方向に長い横長ブロック330と、で構成されている。基本ブロック310は、
図4(b)に示すように、正四角錐の形状からなり、4つの三角形の斜面を有している。横長ブロック330は、
図4(c)に示すように、基本ブロック310の正四角形底面を当該正四角形の一辺と同じ長さだけ横方向に延ばした長方形底面を持つ四角錐の形状からなる。詳細には、横長ブロック330の横側の斜面350、352は、基本ブロック310の斜面と同じ三角形状からなり、横長ブロック330の縦側の斜面354、356は、台形形状からなる。縦長ブロック320は、その長手方向の向きが横長ブロック330と90°異なる点を除き、横長ブロック330と同じ形状で構成されている。
【0027】
ブロックパターン300は、ある規則性をもって、縦長ブロック320及び横長ブロック330を配置している。
【0028】
具体的には、
図5(a)に示すように、複数の縦長ブロック320は、横方向において互いに隣の関係にある縦長ブロック同士320a,320bが縦方向に位置ずれするように、配置されている。すなわち、横方向において互いに連続するように並べられた2つの縦長ブロック同士320a,320bは階段状に配置されている。この場合、左側の縦長ブロック320aは右側の縦長ブロック320bに対して縦方向の一方側(下側)に位置ずれすることが好ましい。また、複数の縦長ブロック320には、横長ブロック330の右側及び左側にそれぞれ配置され且つそれぞれが縦方向の一方側(下側)及び他方側(上側)に向かって延びる縦長ブロック320c,320dが含まれることが好ましい。
【0029】
また、
図5(a)に示すように、複数の横長ブロック330は、縦方向において互いに隣の関係にある横長ブロック同士330a,330bが横方向に位置ずれするように、配置されている。すなわち、縦方向において互いに連続するように並べられた2つの横長ブロック同士330a,330bは階段状に配置されている。この場合、上側の横長ブロック330aが下側の横長ブロック330bに対して横方向の一方側(右側)に位置ずれすることが好ましい。また、複数の横長ブロック330には、縦長ブロック320の下側及び上側にそれぞれ配置され且つそれぞれが横方向の一方側(右側)及び他方側(左側)に向かって延びる横長ブロック330c,330dが含まれることが好ましい。
【0030】
そして、例えば
図5(a)に示す左隅の領域など、縦長ブロック320及び横長ブロック330の組み合わせではカバーできない領域に、基本ブロック310を配置している。
【0031】
その結果、
図5(b)に示すように、ブロックパターン300では、縦方向に連続する稜線360は、長くとも、基本ブロック310の3つ分の長さとなる。すなわち、この3つ分の長さの稜線360の縦方向の両端にはそれぞれ、稜線360の切れ目となるように、横長ブロック330の中央部が位置している。同様に、横方向に連続する稜線362は、長くとも、基本ブロック310の3つ分の長さとなっており、この3つ分の長さの稜線362の横方向の両端にはそれぞれ、稜線362の切れ目となるように、縦長ブロック320の中央部が位置している。このようにして、ブロックパターン300では、
図3(a)に示したような稜線240、250を一方向においてところどころで分断している。
【0032】
図6は、
図5(a)のブロックパターン300と同じ規則性を有する別のブロックパターンを示す図である。
図6(a)のブロックパターン300aは、
図5(a)のブロックパターン300を縦方向に短く、且つ、横方向に長くしたものである。
図6(b)のブロックパターン300bは、
図6(a)のブロックパターン300aと対称のパターンである。
図6(c)のブロックパターン300cは、縦方向及び横方向に連続する稜線360c,362cが、それぞれ、長くとも基本ブロック310の4つ分の長さとなっている。すなわち、この4つ分の長さの稜線360c,362cの縦方向及び横方向の両端に、それぞれ、これら稜線360c,362cの切れ目となるように、横長ブロック330及び縦長ブロック320の中央部が位置している。また、2つの縦長ブロック320及び2つの横長ブロック330で囲まれる内側の領域には、基本ブロック310が位置している。
図6に示すいずれのブロックパターン300a、300b、300cについても、上述した縦長ブロック320及び横長ブロック330の配置の規則性が担保されている。例えば、横方向において互いに隣の関係にある縦長ブロック同士320,320は、縦方向に位置ずれしている。また、縦方向において互いに隣の関係にある横長ブロック同士330,330が横方向に位置ずれしている。
【0033】
ここで、ブロックパターン300における上述の規則性が保たれる限り、基本ブロック310、縦長ブロック320及び横長ブロック330については、適宜の形状を採用することができる。以下、
図7〜14を参照して、上記のブロックパターン300との相違点を中心に説明する。
【0034】
図7に示すブロックパターン300dでは、基本ブロック310dの斜面が湾曲面となっている。また、縦長ブロック320d及び横長ブロック330dについても、同様に各斜面が湾曲面となっている。
【0035】
図8に示すブロックパターン300eでは、基本ブロック310eが円錐形状からなり、横長ブロック330eが横方向の両側を基本ブロック310eの半部で構成しかつ横方向の中間部を矩形の斜面で構成している。縦長ブロック320eは、横長ブロック330eの向き90度回転させたものである。
【0036】
図9に示すブロックパターン300fは、基本ブロック310f、縦長ブロック320f及び横長ブロック330fが、
図8に示すブロックパターン300eにおける基本ブロック310e、縦長ブロック320e及び横長ブロック330eの各斜面を湾曲面としたもので構成されている。
【0037】
図10に示すブロックパターン300gは、
図8に示す基本ブロック310eと、
図4に示す縦長ブロック320及び横長ブロック330との組み合わせからなるものである。このように、基本ブロックの形状を基調としない形状からなる縦長ブロック及び横長ブロックを用いて、一つのブロックパターンを構成することも可能であり、これら各凹状ブロックの組み合わせは任意である。なお、この場合、縦長ブロックと横長ブロックとを異なる形状のもので構成してもよいことは言うまでもない。
【0038】
図11〜14に示すブロックパターン300h〜kは、基本ブロック、縦長ブロック及び横長ブロックを台形錐で形成したものである。
【0039】
図11に示すブロックパターン300hでは、基本ブロック310hが、四角錐台形からなり、正方形の頭頂面の周縁に4つの台形状の傾斜面をつなげたものとなっている。また、横長ブロック330hは、基本ブロック310hと比べて頭頂面を横方向に長く形成したものとなっている。縦長ブロック320hは、横長ブロック330hの向きを90度回転させたものである。
【0040】
図12に示すブロックパターン300iでは、基本ブロック310i、縦長ブロック320i及び横長ブロック330iが、
図11に示すブロックパターン300hにおける基本ブロック310h、縦長ブロック320h及び横長ブロック330hの各斜面を湾曲面としたもので構成されている。
【0041】
図13に示すブロックパターン300jでは、基本ブロック310jが円錐台形状からなり、円形の頭頂面の周縁に筒状の傾斜面をつなげたものとなっている。横長ブロック330jは、頭頂面を横長の長円で形成し、横方向の両側を基本ブロック310jの半部で構成している。縦長ブロック320jは、横長ブロック330jの向きを90度回転させたものである。
【0042】
図14に示すブロックパターン300kでは、基本ブロック310k、縦長ブロック320k及び横長ブロック330kが、
図13に示すブロックパターン300jにおける基本ブロック310j、縦長ブロック320j及び横長ブロック330jの各斜面を湾曲面としたもので構成されている。
【0043】
ここで、ブロックパターンを適用するに際し、ブロックパターンをどのような構成とするかは、プラスチックボトルの形状、仕様、強度等の観点や、ブロックパターンが配置される領域の大きさ等の観点を考慮して、適宜決定すればよい。また、その際、上述のブロックパターン300、300a〜hにおける各基本ブロック、縦長ブロック及び横長ブロックを相互に適宜組み合せてもよい。以下では、
図4に示すブロックパターン300を採用したプラスチックボトルを例に説明する。
【0044】
2.プラスチックボトルについて
図15及び16に示すように、プラスチックボトル1(以下、「ボトル1」という。)は、上側から順に、口部2、肩部3、胴部4及び底部5を有する。これらの部分(2、3、4及び5)は、一体に形成され、内部に飲料を貯留するための有底筒状のボトル壁を構成する。飲料としては、水、緑茶、ウーロン茶、ブレンド茶、スポーツドリンク又は果汁等の非炭酸飲料を貯留するのに適している。ここでは、ボトル1は、満注容量が約570mlとなっているが、容量はこれに限られない。
【0045】
ボトル1は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を主材料として、二軸延伸ブロー成形等の延伸成形法により成形される。
ボトル1の製造工程の一例を説明する。先ず、金型内に熱可塑性樹脂を射出し、プリフォームを射出成形する。プリフォームは、口部2と同形状の口部と、その下側に連なる有底の筒状部と、で構成される。射出成形後は、プリフォームをブロー成形機にセットして、プリフォームの筒状部を加熱する。そして、延伸ロッドによって筒状部を縦方向に延伸させると共に、圧縮空気を吹き込んで筒状部を横方向に延伸させる。延伸させた筒状部の部位を金型の内面に押し付け、その後固化させる。これにより、肩部3、胴部4及び底部5が成形され、ボトル1の一連の成形が完了する。
【0046】
口部2は、上端が開口しており、飲料の注ぎ口として機能する。口部2の開口は、キャップ2aにより開閉される。肩部3は、円形の横断面形状が下方にかけて徐々に拡大してなり、ボトル1において最小径の口部2を、ボトル1において最大幅を構成する胴部4の上端につなげる。底部5は、底壁21及び周壁22で構成される。周壁22は、底壁21の周縁から上方に拡開するように立ち上がる円筒状の部分であり、下方にかけて僅かにすぼめられてなり、胴部4の下端を底壁21につなげる。
【0047】
胴部4は、肩部3と底部5との間で上下方向に延在している。胴部4は、くびれ部41と、くびれ部41の上下に連続する非くびれ部42,43と、で構成される。くびれ部41は、飲料満注時におけるボトル1の重心よりも下側に位置している。くびれ部41は、略12角形からなる多角形の横断面形状を有しており、当該横断面形状が上下方向で徐々に変化している。くびれ部41の上下方向の中心には、横断面形状が円形の凹状リブ51が形成されている。また、くびれ部41の上側部分及び下側部分(いずれも多角形の横断面形状部分)には、それぞれ、横断面形状が円形の凹状リブ52,53が形成されている。さらに、上側の非くびれ部43には、複数の凹状リブ11,12,13,14,15が周方向に亘って形成され、また、下側の非くびれ部42には、複数の凹状リブ16,17,18が周方向に亘って形成されている。これら縦方向に互いに離間した凹状リブ51〜53、11〜18によって、ボトル1の強度(特に横強度)が補強されている。なお、凹状リブ11は肩部3と胴部4との境界に位置し、凹状リブ18は胴部4と底部5との境界に位置している。
【0048】
ボトル1には、4つのブロックパターン400,401,402,403が設けられている。
【0049】
ブロックパターン400は、肩部3の下側のボトル周面に周方向に亘って形成されている。ブロックパターン400は、縦方向においては横長ブロックが最大2つ配置されるものであるが、その配置については上述の横長ブロック330の規則性が確保されている。すなわち、縦方向において互いに隣の関係にある横長ブロック同士430a,430bに関して、上側の横長ブロック430aが下側の横長ブロック430bに対して横方向の一方側(左側)に位置ずれしている。この場合、上側の横長ブロック430aの左側には、下方向に向かって延びる縦長ブロック420を配し、下側の横長ブロック430bの右側には、上方向に向かって延びる縦長ブロック420を配している。また、2つの横長ブロック430a、430bと1つの縦長ブロック420との間にある領域には、基本ブロック410を配している。
【0050】
ブロックパターン401は、凹状リブ15と凹状リブ52との間のボトル周面に周方向に亘って形成されている。ブロックパターン401は、縦方向においては横長ブロックが最大3つ配置されるものであるが、その配置については上述の横長ブロック330及び縦長ブロック320の規則性が確保されている。すなわち、縦方向において互いに隣の関係にある横長ブロック同士430a,430bに関して、上側の横長ブロック430aが下側の横長ブロック430bに対して横方向の一方側(左側)に位置ずれしている。また、横方向において互いに隣の関係にある縦長ブロック同士420a,420bに関して、左側の縦長ブロック420aが右側の縦長ブロック420bに対して縦方向の一方側(上側)に位置ずれしている。さらに、複数の縦長ブロックには、中央の横長ブロック430cの左側及び右側にそれぞれ配置され且つそれぞれが縦方向の一方側(下側)及び他方側(上側)に向かって延びる縦長ブロック420c,420dが含まれている。そして、2つの横長ブロック430a、430bと1つの縦長ブロック420との間にある領域には、基本ブロック410を配している。
【0051】
ブロックパターン402は、凹状リブ53と凹状リブ16との間のボトル周面に周方向に亘って形成されている。ブロックパターン402は、縦方向においては横長ブロックが最大4つ配置されるものであるが、その配置については上述の横長ブロック330及び縦長ブロック320の規則性が担保されている。とりわけ、ブロックパターン402は、ブロックパターン401に比べて、複数の横長ブロックが、中央の縦長ブロック420の下側及び上側にそれぞれ配置され且つそれぞれが横方向の一方側(左側)及び他方側(右側)に向かって延びる横長ブロック430c,430dを含んでいる点を追加したものとなっている。
【0052】
ブロックパターン403は、凹状リブ17と凹状リブ18と間のボトル周面に周方向に亘って形成されている。ブロックパターン403は、横長ブロック430a,430bの位置ずれ方向が反対方向である点を除き、ブロックパターン400と同じである。
【0053】
続いて、
図17〜19を参照して、ボトル1及び比較例に係るボトルについて行った実験及び解析について説明する。なお、比較例に係るボトルは、ブロックパターン400,401,402,403を有しない以外は、ボトル1と同じ構造を有している。
【0054】
図17(a)に示すように、実験では、ボトル1を机上に横向きに置いた状態でブロックパターン402に横荷重F(鉛直方向に直交する方向に荷重)を作用させた。この場合、
図17(b)に示すように、ブロックパターン402の二つの測定箇所500、502で、ボトル1の変位量(鉛直方向に直交する方向の変位量)を測定した。測定箇所500は、凹状リブ52,53間にあるくびれ部40の多角形横断面形状のうち、長い一辺に相当する箇所の直下に位置する箇所であり、測定箇所502は、当該多角形横断面形状のうち、短い一辺に相当する箇所の直下に位置する箇所である。なお、比較例に係るボトルについても、ボトル1と同じ測定箇所で同様の実験を行った。
【0055】
図18は、上記の実験の結果を示すグラフである。縦軸は横荷重Fによる強度を示し、横軸はボトル1の変位量を示している。
図18に示すように、比較例に係るボトルでは、測定箇所500,502によって強度が異なることがわかる。これは、くびれ部40における多角形横断面形状の影響を受けるためであると思われる。このように、比較例に係るボトルは、押される箇所によって変形量が異なり、変形時には楕円形に変形しやすいものである。これは、ユーザーにとってみれば、変形しやすいボトルであると認知しやすいものとなることを意味する。また、自動販売機特性(ベンダビリティ)としても改善の余地があることを意味する。
【0056】
これに対し、本実施形態に係るボトル1では、測定箇所500,502による強度の違いが現れないことがわかる。つまり、ボトル1は、くびれ部40における多角形横断面形状の影響を受けていない。このように、ボトル1は、押される箇所によって変形量が異ならず、変形時には真円を保とうと安定するものである。これは、ユーザーにとってみれば、変形しにくいボトルであると認知しやすいものとなることを意味する。また、自動販売機特性にとって適正且つ重要な真円を保つことができることを意味する。
【0057】
加えて、上述したように、ユーザーがボトルをへこみ易いと感じるのはボトルが1mm以上容易にへこんでしまう場合であり、その1mmまでの領域における強度が高いと、ユーザーは、柔らかいボトルであるにも関わらず、変形しにくい又は剛性があるボトルであると認知しやすい。この点、変位量1mmまでの両データを比較すると、実施形態に係るボトル1の方が比較例に係るボトルよりも強度が高くなっている。このため、実施形態に係るボトル1について、容易にはへこまないような印象(しっかり感)をユーザーに体感させ易いものとなっている。すなわち、実施形態に係るボトル1は、ユーザビリティに適した強度を確保することができている。
【0058】
図19は、本実施形態に係るボトル1及び比較例に係るボトル1´に対し、横荷重Fを測定箇所500の位置に作用させた場合の変形と応力に関する数値解析の結果を示す図である。ここでは、汎用プログラムによって両ボトル1、1´の数値解析モデルを作成し、FEMを用いた構造解析を行うことで、机上に横向きに置いた状態の両ボトル1、1´に生じる変形と応力を評価した。
【0059】
これによれば、
図19(a)に示す実施形態に係るボトル1の方が、
図19(b)に示す比較例に係るボトル1´に比べて、応力分布が荷重点部に集中し、周囲への広がりが小さい様子がわかる。これは、ブロックパターン402が上述の規則性をもって形成されていることで、これを設けない場合に比べて、横方向、縦方向及び曲げ方向の全方向への初期変形に対してより強く抗することができるようになったことが原因であると考えられる。これにより、実施形態に係るボトル1は、初期剛性が向上していることがわかる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係るボトル1によれば、ボトル表面に所定のブロックパターン400,401,402,403を形成しているため、当該ブロックパターンが形成された部位の初期剛性を高めることができる。とりわけ、ブロックパターン402,403については、ボトル1の上下方向の中間部又は飲料満注時におけるボトル1の重心よりも下側に位置しており、ユーザーがボトル1を把持するときに掴む部位となる。このため、ブロックパターン402,403を把持するユーザーは、ボトル1が容易にはへこまないような印象(しっかり感)を体感することができる。また、このような初期剛性を確保することができる結果、ボトル1をより一層軽量化することが可能となる。
【0061】
なお、ボトル表面に形成するブロックパターンは、上述の規則性を有する限り、適宜設計変更することができる。例えば、肩部3のブロックパターン400について、胴部4のブロックパターン402を採用することもできるし、その逆も可能である。ただし、ブロックパターンを配置できる縦方向のスペース(2つの凹状リブ間の領域)を十分に確保できる限り、縦方向に短いブロックパターン400よりも、縦方向に長いブロックパターン402を採用した方が、初期剛性上、有利である。
【0062】
また、ボトル表面に形成するブロックパターンにおける基本ブロック310、縦長ブロック320及び横長ブロック330の深さは、例えば0.3〜1.3mmの範囲で適宜設計することができるが、いずれも深い方が浅い場合に比べて初期剛性を高めることができる。また、ブロックパターンにおける基本ブロック310、縦長ブロック320及び横長ブロック330間の縦方向の幅Wh及び横方向の幅Wv(参照:
図4(b))は、例えば0.3〜1.3mmの範囲で適宜設計することができるが、いずれも短い方が長い場合に比べて初期剛性を高めることができる。
【0063】
次に、
図20及び21を参照して、別の実施形態に係るプラスチックボトル600(以下、「ボトル600」という。)について説明する。このボトル600は、容量が1リットルを超えるような大型サイズのボトルに適したものであり、ここでは2リットル用となっている。
【0064】
ボトル600は、ボトル1と同様に、上側から順に、口部602、肩部603、胴部604及び底部605を有している。口部602は、キャップ602aにより開閉される。肩部603は、横断面が下方にかけて徐々に拡大してなり、口部602と胴部604とをつなぐ。底部605は、底壁621及び周壁622で構成される。
【0065】
胴部604は、正方形の横断面形状を基調とする角筒状の部分である。詳細には、胴部604の正方形の横断面形状は、正方形の4つの角部が円弧からなり、隣り合う角部の間に直線部を有している。また、胴部604は、その上下方向の途中にくびれ部640を有すると共に、くびれ部640よりも一段深い位置に指挿入用の窪み部680を有している。胴部604を上下方向に3つのエリアで区分けすると、胴部604は、くびれ部640と、くびれ部640の上側にある上側胴部642と、くびれ部640の下側にある下側胴部644と、からなる。くびれ部640は、胴部604において最も絞られているピンチ部660と、ピンチ部660を上側胴部642につなぐ上側傾斜部662と、ピンチ部660を下側胴部644につなぐ下側傾斜部664と、を有している。上側胴部642及び下側胴部644は、上下方向において一定の正方形の横断面形状からなる部分である。上側胴部642及び下側胴部644には、それぞれ、周方向に複数の凹状リブ650,652が形成されている。
【0066】
窪み部680は、胴部604の正方形の横断面形状における4つの各面(直線部)に、前後対称及び左右対称となるように形成されている。窪み部680の高さは、幅よりも長く、成人のユーザーであれば、例えば2〜3本の指を縦に挿入することができる程度の高さとなっている。窪み部680は、上下方向に平行に延在する上側底面682と、下方に向かって外方に傾斜した下側底面684と、を底部に有している。くびれ部分640には、上側底面682の上側部分を横断する凹状リブ654と、上側底面682の中央位置ではリブ部分が分断されている凹状リブ655と、上側底面682と下側底面684との境界位置を横断する凹状リブ656と、下側底面684の中央位置ではリブ部分が分断されている凹状リブ657と、が形成されている。このような分断された凹状リブ655、657を用いることで、窪み部680の上側底面682及び下側底面684は、それぞれ、ボトル1に所定値以上のトップロードがかかったときには膨らむように変形し、かつ、トップロードが解放されたときにはその変形が元に戻るように構成された加圧吸収面として機能するようになっている。
【0067】
ブロックパターン700は、凹状リブ657と凹状リブ652との間のボトル周面に周方向に亘って形成されている。ブロックパターン700の位置は、ボトル600の上下方向の中間部又は飲料満注時におけるボトル600の重心よりも下側である。ブロックパターン700は、
図4に示すブロックパターン300を採用したものである。具体的には、ブロックパターン700は、縦方向においては横長ブロックが最大3つ配置されるものであるが、その配置については上述の横長ブロック330及び縦長ブロック320の規則性が担保されている。
【0068】
すなわち、
図22(b)に示すように、縦方向において互いに隣の関係にある横長ブロック同士730a,730bに関して、上側の横長ブロック730aが下側の横長ブロック730bに対して横方向の一方側又は他方側に位置ずれしている。また、横方向において互いに隣の関係にある縦長ブロック同士720a,720bに関して、左側の縦長ブロック720aが右側の縦長ブロック720bに対して縦方向の一方側又は他方側に位置ずれしている。さらに、複数の縦長ブロックには、中央の横長ブロック730cの右側及び左側にそれぞれ配置され且つそれぞれが縦方向の一方側及び他方側に向かって延びる縦長ブロック720c,720dが含まれている。
【0069】
ただし、ブロックパターン700には、横方向において互いに隣接した横長ブロック730f、730fも含まれている。また、ブロックパターン700には、基本ブロック710を横方向に複数並べたパターンも含まれている。この点、換言すると、ブロックパターン700が配される2つの凹状リブ657、652の間の縦方向の領域には、窪み部680の一部が形成されたブロック無し領域800と、ブロック無し領域800の下側に基本ブロック710のみを横方向に並べて形成したブロック有り領域810と、がある。ブロック無し領域800には、窪み部680の下側底面684が形成されている。
【0070】
図22(a)は、比較例に係るボトル600´を示しており、このボトル600´は、ブロックパターン700を有しない以外は、ボトル600と同じ構造を有している。両ボトル600、600´について、矢印Fで示す向き(鉛直方向下向き)にトップロード(縦圧縮荷重)を作用させる実験を行った。この実験では、飲料を充填したボトル600を6個ずつ段ボール箱に詰めて、キャップの上面に対してトップロードを作用させた。また、ボトル600´についても同様に段ボール箱に詰めてトップロードを作用させた。
【0071】
図23は、上記の実験の結果を示すグラフである。縦軸は座屈強度を示し、横軸はボトル1の鉛直方向の変位量を示している。
図23に示すように、比較例に係るボトル600´は、一見、座屈強度の絶対値は高いように見えるが、初期に発生するピークP1がはっきりしている。これは、ボトル600´が変形しやすいことを意味する。これに対し、実施形態に係るボトル600は、ボトル600´よりも小さい力で座屈が始まるものの、ピークが出にくくなっており、ボトル600´よりもピークP2が遅れて発生する。これは、ブロックパターン700によってボトル600の強度が大きくなっているため、トップロード下において作動する加圧吸収面(窪み部680の上側底面682及び下側底面684)が、ボトル600´よりもボトル600の方がより動き易くなったためであると思われる。
【0072】
また、ボトル600を詰めた段ボール箱を二段積載した際の下段の段ボール箱の変形量と、ボトル600´を詰めた段ボール箱を二段積載した際の下段の段ボール箱の変形量とを測定した。その結果、前者では、高さ方向の変位が11.5mmで、胴部604の膨らみが10mmであったのに対し、後者では、高さ方向の変位が14mmで、胴部604の膨らみが13mmであった。つまり、実施形態に係るボトル600の方が、段ボール箱の変形量が小さく、結果が良好であることが確認できた。なお、段ボール箱の胴膨れが大きくなると、最悪な場合には段ボール箱の荷崩れが生じることになり、運搬・保管に支障をきたすことになる。
【0073】
以上説明した本実施形態に係るボトル600によれば、ボトル表面にブロックパターン700を形成したことで、トップロードに対しても有効なものとなる。また、詳述しないが、ボトル1と同様に、ボトル600についても、ブロックパターン700が形成された部位の初期剛性を高めることができる。とりわけ、ブロックパターン700の位置は、くびれ部640の直下で且つ窪み部680の近傍であるため、ユーザーがボトル600を把持するときに、手の平が添えられる部位となる。このため、ユーザーには、ボトル1が容易にはへこまないような印象(しっかり感)を体感させることができる。また、このような初期剛性を確保することができる結果、ボトル600をより一層軽量化することが可能となる。
【0074】
なお、ボトル表面に形成するブロックパターンは、上述の規則性を有する限り、適宜設計変更することができる。例えば、本実施形態のボトル600においても、上述のブロックパターン400、401、402、403を用いることができる。
【0075】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、ブロックパターンにおける縦長ブロック及び横長ブロックの上述の規則性のうち、少なくとも一方を満たすボトルであってもよい。また、胴部604の横断面形状を長方形としてもよい。さらには、ブロックパターンを周方向ではなく、ボトル周面において縦方向に形成することも可能である。例えば、奥行きが幅よりも小さい扁平なボトルの場合には、ボトル周面の奥行き方向における両面にブロックパターンを縦方向に形成するとよい。また、ブロックパターンにおける複数種の凹状ブロックは3種類に限るものではないし、横長ブロック及び縦長ブロックは、長手方向の長さが基本ブロックの長さの2倍以上であってもよい。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。