(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検容器又は被検体を含む被検室画成部にて画成された被検室と、基準容器又は基準体を含む基準室画成部にて画成された基準室との差圧によって前記被検体からの漏れを試験するリークテスト装置であって、
(A)前記被検室と前記基準室とを連通してこれら室に加圧気体を導入した後、これら室どうしを遮断して前記差圧を測定する差圧測定回路と、
(B)前記加圧気体の導入前に前記被検室と前記基準室とを同時期に封止状態にし、前記差圧の測定後に前記被検室と前記基準室とを同時期に開放状態にする同時期開閉機構と、
を備え、
前記同時期開閉機構が、
(a)前記被検室を開放する第1開放位置と前記被検室を封止する第1封止位置との間で前記被検室画成部に対して変位可能な被検開閉部材と、
(b)前記基準室を開放する第2開放位置と前記基準室を封止する第2封止位置との間で前記基準室画成部に対して変位可能、かつ前記被検開閉部材が前記第1開放位置のとき前記第2開放位置になり、前記被検開閉部材が前記第1封止位置のとき前記第2封止位置になる基準開閉部材と、
を含み、
前記被検室画成部と前記基準室画成部とが互いに一方向に対向し、
これら画成部どうしの間には、前記被検開閉部材及び基準開閉部材が前記一方向に移動可能に介在され、
かつ前記被検開閉部材が前記被検室画成部と対向するとともに前記基準開閉部材が前記基準室画成部と対向し、
かつ前記被検開閉部材及び基準開閉部材どうしが、互いの間に作動圧室を形成するように嵌め合わされており、
更に、前記同時期開閉機構が、前記作動圧室に流体圧を導入する作動圧導入手段を含み、前記流体圧によって前記被検開閉部材及び基準開閉部材が前記一方向の互いに反対側に押されることを特徴とするリークテスト装置。
前記被検開閉部材及び基準開閉部材の一方が、軸線を前記一方向に向けた筒部を有し、前記被検開閉部材及び基準開閉部材の他方が、前記筒部の内部に前記軸線に対し揺動可能に遊嵌された遊嵌軸部を有していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のリークテスト装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のリークテスト装置において、複数の被検体を順次試験する場合、個々の被検体を試験する度に、被検容器(ワークカプセル)が開放されて被検体が出し入れされる。これに対し、基準容器(マスタカプセル)は封止された状態のままである。そのため、基準容器には、圧縮エアの導入による圧縮熱が被検容器よりも蓄積されやすい。この圧縮熱によって基準体や基準容器が熱膨張を来すと、基準容器の内容積が変化するために、大きな漏れがあったと判定されるおそれがあり、漏れ試験の精度に影響が出てしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明装置は、被検容器又は被検体を含む被検室画成部にて画成された被検室と、基準容器又は基準体を含む基準室画成部にて画成された基準室との差圧によって前記被検体からの漏れを試験するリークテスト装置であって、
(A)前記被検室と前記基準室とを連通してこれら空間に加圧気体を導入した後、これら空間どうしを遮断して前記差圧を測定する差圧測定回路と、
(B)前記加圧気体の導入前に前記被検室と前記基準室とを同時期に封止状態にし、前記差圧の測定後に前記被検室と前記基準室とを同時期に開放状態にする同時期開閉機構と、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明方法は、被検容器又は被検体を含む被検室画成部にて画成された被検室と、基準容器又は基準体を含む基準室画成部にて画成された基準室との差圧によって前記被検体からの漏れを試験するリークテスト方法であって、
前記被検室と前記基準室とを同時期に封止状態にし、
次に、前記被検室と前記基準室とを連通してこれら室に加圧気体を導入した後、これら室どうしを遮断して前記差圧を差圧センサにて測定し、
前記差圧の測定後に前記被検室と前記基準室とを同時期に開放状態にすることを特徴とする。
これによって、被検体の漏れ試験を繰り返した場合であっても、被検体を入れ替える度ごとに被検室と一緒に基準室を開放することで、基準室に圧縮熱が蓄積されるのを防止できる。したがって、基準室画成部の熱膨張を防止できる。要するに、基準室画成部を被検室画成部と実質同じ熱条件に維持できる。この結果、漏れ試験の信頼性を確保することができる。
【0006】
ここで、同時期とは、被検室及び基準室に対して前記封止状態にしたり開放状態にしたりするタイミングが厳密に同時である場合のみならず、熱条件を実質的に同じにできる範囲内でタイミングが多少ずれている場合をも含むことを意味する。例えば、被検室と基準室との封止状態にするタイミング又は開放状態にするタイミングが、0.1秒〜10秒程度ずれていてもよい。この程度のずれであれば、被検室と基準室の熱条件を実質的に同じにすることができる。基準室を開放又は封止するタイミングは、被検室を開放又は封止するタイミングより先でもよく後でもよい。
【0007】
前記同時期開閉機構が、
(a)前記被検室を開放する第1開放位置と前記被検室を封止する第1封止位置との間で前記被検室画成部に対して変位可能な被検開閉部材と、
(b)前記基準室を開放する第2開放位置と前記基準室を封止する第2封止位置との間で前記基準室画成部に対して変位可能、かつ前記被検開閉部材が前記第1開放位置のとき前記第2開放位置になり、前記被検開閉部材が前記第1封止位置のとき前記第2封止位置になる基準開閉部材と、
を含むことが好ましい。
これによって、基準室と被検室とを確実に略同時に封止したり開放したりすることができる。
【0008】
前記被検室画成部と前記基準室画成部とが互いに一方向に対向し、これら画成部どうしの間には、前記被検開閉部材及び基準開閉部材が前記一方向に移動可能に介在され、かつ前記被検開閉部材が前記被検室画成部と対向するとともに前記基準開閉部材が前記基準室画成部と対向し、かつ前記被検開閉部材及び基準開閉部材どうしが、互いの間に作動圧室を形成するように嵌め合わされており、更に、前記同時期開閉機構が、前記作動圧室に流体圧を導入する作動圧導入手段を含み、前記流体圧によって前記被検開閉部材及び基準開閉部材が前記一方向の互いに反対側に押されることが好ましい。
これによって、基準室と被検室とを一層確実に略同時に封止したり開放したりすることができる。
【0009】
前記被検開閉部材が、第1開放受圧面と第1封止受圧面とを有し、
前記基準開閉部材が、前記第1開放受圧面より前記被検室画成部の側に配置されて前記第1開放受圧面と対向する第2開放受圧面と、前記第1封止受圧面より前記基準室画成部の側に配置されて前記第2開放受圧面と対向する第2封止受圧面とを有し、
前記作動圧室として、前記第1、第2開放受圧面どうしの間に開放作動圧室が形成されるとともに、前記第1、第2封止受圧面どうしの間に封止作動圧室が形成されていることが好ましい。
これによって、前記開放作動圧室に流体圧を導入したときは、前記被検開閉部材が前記基準室画成部の側へ押されるとともに前記基準開閉部材が前記被検室画成部の側へ押されるようにできる。したがって、被検室及び基準室を略同時に開放できる。また、前記封止作動圧室に流体圧を導入したときは、前記被検開閉部材が前記被検室画成部の側へ押されるとともに前記基準開閉部材が前記基準室画成部の側へ押されるようにできる。したがって、被検室及び基準室を略同時に封止できる。
【0010】
前記第1開放受圧面又は第2開放受圧面の面積が、前記第1封止受圧面又は第2封止受圧面の面積より小さいことが好ましい。
これによって、前記開放作動圧室の前記一方向への受圧面積が、前記封止作動圧室の前記一方向への受圧面積より小さくなる。被検室及び基準室の開放時には、被検開閉部材が少しでも被検室から離れ、基準開閉部材が少しでも基準室から離れればよいから、開放のための力はそれほど大きくなくてもよい。これに対し、被検室及び基準室の封止時には、封止力を高くして確実に封止できる。
【0011】
前記被検開閉部材及び基準開閉部材の一方が、軸線を前記一方向に向けた筒部を有し、前記被検開閉部材及び基準開閉部材の他方が、前記筒部の内部に前記軸線に対し揺動可能に遊嵌された遊嵌軸部を有していることが好ましい。
これによって、被検開閉部材又は基準開閉部材を、流体圧によって姿勢矯正することで被検室画成部又は基準室画成部にぴったりと押し当てることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、漏れ試験の信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るリークテスト装置1を示したものである。リークテスト装置1は、基準体92を用いて被検体91の圧力漏れを試験する装置である。被検体91は、例えばタブレット型の高機能携帯端末であるが、これに限られず、水晶振動子やMEMSなどの小型精密品をはじめとする各種の電子部品や、車両部品その他の工業製品等であってもよい。基準体92としては、被検体91のうち、漏れが無いことが判明している良品が用いられている。なお、基準体92として、被検体91に模した疑似被検体を用いてもよい。疑似被検体は、被検体91とは材質が異なる樹脂や金属にて構成されていてもよい。
【0015】
図1に示すように、リークテスト装置1は、差圧測定回路2と、容器ユニット3を備えている。差圧測定回路2は、被検圧路2aと、基準圧路2bと、差圧センサ2cを含む。被検圧路2a及び基準圧路2bは、エア圧源2e(加圧流体供給源)から分岐して容器ユニット3へ延びている。被検圧路2aと基準圧路2bとの間に差圧センサ2cが設けられている。
【0016】
図2に示すように、容器ユニット3は、被検容器10(被検室画成部)と、基準容器20(基準室画成部)と、シリンダユニット30と、これら構成要素10〜30を支持する支柱4とを含む。被検容器10は、例えばアルミニウム等の金属にて構成され、四角形の厚板状になっている。被検容器10の上面に凹部が形成されている。この上面凹部の内部空間が被検室19を構成している。被検室19は上方へ開口されている。被検圧路2aの先端部が被検室19に連なっている。
【0017】
被検室19に中子13が着脱可能に収容されている。中子13は、例えばアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、ポリプロチレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの樹脂にて構成されているが、これに限られず、樹脂以外の、金属等の材料にて構成されていてもよい。中子13によって被検室19の大部分が埋められ、被検室19の内容積が縮小されている。中子13の上面には、収容凹部13aが形成されている。この収容凹部13aに被検体91が収容される。ひいては、被検体91が被検室19に収容される。
【0018】
被検容器10の左右側部には支持ローラ15が設けられている。一方、支柱4の下側部には溝状の案内条体4cが設けられている。詳細な図示は省略するが、案内条体4cは、前後方向(
図2、
図3において紙面と直交する方向)へ向けられるとともに、支柱4から前方(
図2、
図3において紙面手前)へ延び出ている。支持ローラ15が、案内条体4cに前後へ転動可能に支持されている。ひいては、被検容器10が、支柱4に前後へ移動可能に支持されている。
【0019】
基準容器20は、被検容器10の上方に離れて、支柱4の上端部にボルト締め等にて固定されている。したがって、基準容器20と被検容器10とが互いに上下(一方向)に離れて対向している。基準容器20は、例えばアルミニウム等の金属にて構成され、四角形の厚板状になっている。基準容器20の底面に凹部が形成されている。この底面凹部の内部空間が基準室29を構成している。基準室29は下方へ開口されている。基準圧路2bの先端部が、基準容器20の内部を通り、基準室29に連なっている。
【0020】
基準室29に中子23が収容されている。中子23は、例えばABS、PP、PEなどの樹脂にて構成されているが、これに限られず、金属等の樹脂以外の材料にて構成されていてもよい。中子23は、基準容器20に対して少なくとも上下に変位可能である。中子23によって基準室29の大部分が埋められ、基準室29の内容積が縮小されている。中子23の上面には、収容凹部13aが形成されている。この収容凹部13aに基準体92が収容されている。ひいては、基準体92が基準室29に収容されている。
【0021】
更に、リークテスト装置1は、同時期開閉機構5を備えている。同時期開閉機構5は、被検室19と基準室29を互いに同時期(略同時)に開放し、かつ互いに同時期(略同時)に封止する機構であり、上記シリンダユニット30と、作動圧導入手段50とを含む。被検容器10と基準容器20との間にシリンダユニット30が介在されている。シリンダユニット30は、被検開閉部材31(シリンダ)と、基準開閉部材32(ピストン)とを含む。被検開閉部材31が、基準開閉部材32より下側へ突出して被検容器10と対向するとともに、基準開閉部材32が、被検開閉部材31より上側へ突出して基準容器20と対向している。
【0022】
被検開閉部材31は、閉塞板31aと、筒部31b(シリンダ部)とを有している。閉塞板31aは、例えばアルミニウム等の金属にて構成され、四角形の厚板状になっている。この閉塞板31aが、被検容器10及び中子13と直接対向している。被検圧路2aの先端部が、閉塞板31aの内部を通って、閉塞板31aの下面に達している。
【0023】
閉塞板31aの上部に筒部31bがボルト締め等にて固定されている。筒部31bは、例えばアルミニウム等の金属にて構成されるとともに、軸線を上下(一方向)に向けた円筒状になっており、かつ上端部31cが径方向内側に突出している。したがって、筒部31bは、上段の小内径筒部31cと下段の大内径筒部31dとを一体に有する2段円筒形状になっている。小内径筒部31cの内周面と大内径筒部31dの内周面との間に、段差面31f(第1開放受圧面)が形成されている。段差面31fは、下方(被検容器10の側)を向くとともに、被検開閉部材31の周方向に沿って環状になっている。段差面31fには、断面三角形状の環状溝32hが形成されている。
【0024】
被検開閉部材31は、支柱4に対して、第1開放位置(
図3)と第1封止位置(
図2)との間で上下に変位可能になっている。
図3に示すように、第1開放位置における被検開閉部材31は、被検容器10から上方へ離れて位置される。したがって、被検室29が外部に開放される。
図2に示すように、第1封止位置における被検開閉部材31は、被検容器10の上面に当接する。これによって、被検室19の上面開口が塞がれ、被検室19が封止される。被検容器10の上面にはOリング61が設けられている。Oリング61によって、第1封止位置の被検開閉部材31と被検容器10との間が気密にシールされる。なお、Oリング61は、被検容器10の上面に代えて、閉塞板31aの底面に設けられていてもよい。
また、被検開閉部材31は、支柱4ひいては鉛直方向に対して若干(例えば0.1度〜0.3度程度)揺動可能になっている。
【0025】
被検開閉部材31の両側部には、被検側支持ピン34が水平に突出するように設けられている。一方、支柱4には、支持溝4aが形成されている。支持溝4aは、長手方向を上下に向けた長孔状になっている。支持溝4aに被検側支持ピン34が上下スライド可能に嵌め込まれている。被検開閉部材31の昇降に伴なって、支持ピン34が支持溝4a内を上下に移動される。
図3に示すように、被検開閉部材31が第1開放位置(上昇位置)のときは、支持ピン34が支持溝4aの中間部に位置する。
図2に示すように、被検開閉部材31が第1封止位置(下降位置)のときは、支持ピン34が支持溝4aの下端部に当たる。
なお、被検開閉部材31が第1封止位置のときも、支持ピン34が支持溝4aの下端部より上に離れていてもよい。
【0026】
被検開閉部材31と基準容器20との間に基準開閉部材32が設けられている。基準開閉部材32は、閉塞板32aと、遊嵌軸部32b(ピストン部)とを有している。閉塞板32aは、アルミニウム等の金属にて構成され、厚肉の平板状になっている。この閉塞板32aが、基準容器20の直下に配置され、基準容器20と直接対向している。閉塞板32aの上面に中子23が載っている。
【0027】
閉塞板32aの下側に遊嵌軸部32bがボルト締め等にて固定されている。遊嵌軸部32bは、アルミニウム等の金属にて構成され、上段の小径軸部32cと下段の大径軸部32dとを一体に有する2段円柱形状になっている。小径軸部32cの外周面と大径軸部32dの外周面との間に、段差面32f(第2開放受圧面)が形成されている。段差面32fは、上方(基準容器20の側)を向くとともに、基準開閉部材32の周方向に沿って環状になっている。
【0028】
基準開閉部材32は、第2封止位置(
図2)と、第2開放位置(
図3)との間で上下に変位可能になっている。
図2に示すように、第2封止位置における基準開閉部材32は、基準検容器10の底面に当接する。これによって、基準室29が封止される。基準容器20の底面にはOリング62が設けられている。このOリング62によって、第2封止位置の基準開閉部材32と基準容器20との間が気密にシールされる。なお、Oリング62は、基準容器20の底面に代えて、閉塞板32aの上面に設けられていてもよい。
図3に示すように、第2開放位置における基準開閉部材32は、基準容器20から下方へ離れて位置される。したがって、基準室29が外部に開放される。
【0029】
閉塞板32aの両側部には基準側支持ピン35が水平に突出するように設けられている。一方、支柱4の上側部の側面には支持溝4bが形成されている。支持溝4bは、長手方向を上下に向けた長孔状になっている。この支持溝4bに支持ピン35が上下スライド可能に嵌め込まれている。基準開閉部材32の昇降に伴なって、支持ピン35が支持溝4b内を上下に移動される。
図2に示すように、基準開閉部材32が第2封止位置(上昇位置)のときは、支持ピン35が支持溝4bの中間部に位置する。
図3に示すように、基準開閉部材32が第2開放位置(下降位置)のときは、支持ピン35が支持溝4bの下端部に当たる。これによって、基準開閉部材32ひいてはシリンダユニット30が支柱4に支持される。
【0030】
さらに、
図2及び
図3に示すように、被検開閉部材31と基準開閉部材32とは、上下(一方向)に相対変位可能に嵌め合わされている。したがって、シリンダユニット30全体の上下方向の軸長が伸縮されるようになっている。しかも、開閉部材31,32どうしは、十分な遊びを持って嵌め合わされている。詳しくは、筒部31bの内部に遊嵌軸部32bが遊嵌されている。大内径筒部31dに大径軸部32dが収容され、小内径筒部31cに小径軸部32cが収容されている。
なお、筒部31bは、円筒形状に限られず、四角筒等の角筒形状であってもよい。これに応じて、遊嵌軸部32bは、四角柱等の角柱形状であってもよい。
【0031】
図2に示すように、小内径筒部31cの内周と小径軸部32cの外周との間には比較的大きなクリアランスg1が形成されている。また、大内径筒部31dの内周と小内径筒部31cの外周とにも比較的大きなクリアランスg2が形成されている。クリアランスg1,g2の大きさは、例えばg1,g2=0.3mm〜0.8mm程度である。(図におけるクリアランスg1,g2は部材31,32等の大きさ(厚み、直径等)に対して誇張されている。)これによって、遊嵌軸部32bひいては基準開閉部材32が、筒部31bの軸線に対して例えば0.1度〜0.3度程度の範囲で揺動可能である。クリアランスg1,g2の大きさは好ましくは互いに等大(g1=g2)であるが、互いに異なっていてもよい(g1≠g2)。
【0032】
さらに、被検開閉部材31及び基準開閉部材32は、互いの間に作動圧室30a,30bを形成するように嵌め合わされている。すなわち、段差面31f(第1開放受圧面)と段差面32f(第2開放受圧面)とが互いに上下(一方向)に対向している。基準開閉部材32の段差面32fが、被検開閉部材31の段差面31fよりも下方(被検容器10の側)に配置されている。これら段差面31f,32fどうしの間に開放作動圧室30aが形成されている。また、閉塞板31aの上面31g(第1封止受圧面)と、大径軸部32dの底面32g(第2封止受圧面)とが互いに上下(一方向)に対向している。基準開閉部材32の第2封止受圧面32gは、被検開閉部材31の第1封止受圧面31gより上方(基準容器20の側)に配置されている。これら封止受圧面31g,32gどうしの間に封止作動圧室30bが形成されている。各段差面31f,32fすなわち開放受圧面31f,32fの面積は、封止受圧面31g,32gの面積より小さい。したがって、開放作動圧室30aの受圧面積S1は封止作動圧室30bの受圧面積S2よりも小さい(S1<S2)。
【0033】
小内径筒部31cの内周面と小径軸部32cの外周面との間は、Oリング63によって気密にシールされている。Oリング63は、小内径筒部31cに設置されているが、小径軸部32cに設置されていてもよい。また、大内径筒部31dの内周面と大径軸部32dの外周面との間は、Oリング64によって気密にシールされている。Oリング64は、大径軸部32dに設置されているが、大内径筒部31dに設置されていてもよい。これらOリング63,64によって、開放作動圧室30aが封止されている。また、Oリング64によって、封止作動圧室30bが封止されるとともに、開放作動圧室30aと封止作動圧室30bとが遮断されている。
【0034】
図1に示すように、同時期開閉機構5は、作動圧導入手段50を更に含む。作動圧導入手段50は、開放作動圧路51と、封止作動圧路52とを有している。エア圧源59(流体圧源)から、作動圧路51,52が分岐して容器ユニット3へ延びている。開放作動圧路51の先端部は、筒部31bの内部を通り、開放作動圧室30aに連なっている。封止作動圧路52の先端部は、基準開閉部材32の内部を通り、該部材32の下面32gに達して、封止作動圧室30bに連なっている。
【0035】
開放作動圧路51には開放路三方弁53が設けられている。開放路三方弁53は、大気解放位置53aと作動圧導入位置53bとを有している。開放路三方弁53が大気解放位置53aのとき、該三方弁53よりも容器ユニット3側の路51を介して開放作動圧室30aが大気解放される。開放路三方弁53が作動圧導入位置53bのとき、エア圧源59のエア圧(流体圧)が開放作動圧路51から開放作動圧室30aに導入される。このエア圧によって、開閉部材10,20どうしが互いに反対側に押される。詳しくは、
図3に示すように、被検開閉部材31が上方(基準容器20側)へ押されるとともに基準開閉部材32が下方(被検容器10側)へ押される。これによって、シリンダユニット30全体の軸長が短くなる。
【0036】
図1に示すように、封止作動圧路52には封止路三方弁54が設けられている。封止路三方弁54は、大気解放位置54aと作動圧導入位置54bとを有している。封止路三方弁54が大気解放位置54aのとき、該三方弁54より容器ユニット3側の路52を介して封止作動圧室30bが大気解放される。封止路三方弁54が作動圧導入位置54bのとき、エア圧源59のエア圧(流体圧)が封止作動圧路52から封止作動圧室30bに導入される。このエア圧によって、開閉部材10,20どうしが互いに反対側に押される。詳しくは、
図2に示すように、被検開閉部材31が下方(被検容器10側)へ押されるとともに基準開閉部材32が上方(基準容器20側)へ押される。これによって、シリンダユニット30全体の軸長が伸長される。
【0037】
上記構成のリークテスト装置1によって被検体91の漏れ試験を行なう方法を、
図4のタイムチャートにしたがって説明する。
いま、
図3に示すように、開閉部材31,32が開放位置にあり、被検室19及び基準室29が開放されているものとする。また、漏れ試験すべき被検体91が収容凹部13aひいては被検室19に収容され、かつ被検容器10がシリンダユニット30の直下にセットされているものとする。
基準体92は継続的に収容凹部13aに収容しておく。
【0038】
<封止工程>
上記被検体91の漏れ試験に際し、後記測定工程におけるエア圧源2eからの圧縮エア導入に先立って封止工程を行なう。すなわち、開放路三方弁53を大気解放位置53aにすることによって開放作動圧室30aを大気解放するとともに、封止路三方弁54を作動圧導入位置54bにすることによって、エア圧源59のエア圧(流体圧)を封止作動圧路52から封止作動圧室30bに導入する。開放作動圧室30aが大気解放されることによって、被検開閉部材31が自重で下降してOリング61に接するとともに、被検容器10及び中子13の上面に近接又はほぼ当接する。また、封止作動圧室30bへのエア圧によって、
図2に示すように、被検開閉部材31が押し下げられて第1封止位置になる。すなわち、被検開閉部材31が、Oリング61を圧し潰しながら被検容器10の上面に押し付けられることで、被検室19の上面開口を塞ぐ。これによって、被検室19が封止(外部と遮断)される。これと同期して、基準開閉部材32が中子23と一緒に押し上げられて第2封止位置になる。すなわち、基準開閉部材32が、Oリング62を圧し潰しながら基準開閉部材32の上面に押し付けられることで、基準室29を封止する。したがって、被検室19と基準室29とを同時期(略同時)に封止できる。被検開閉部材31と被検容器10との当たりを反力にして、基準開閉部材32が基準容器20に押し付けられ、かつ基準閉部材32と基準容器20との当たりを反力にして、被検開閉部材31が被検容器10に押し付けられるため、被検室19と基準室29とを確実に同時期(略同時)に封止できる。
【0039】
ここで、開閉部材31,32が上下に駆動される時に鉛直に対して傾いた姿勢になったとしても、これら開閉部材31,32どうしの間に比較的大きなクリアランスg1,g2があり、かつ各開閉部材31,32と支柱4との間にも比較的大きなクリアランスがあるために、各開閉部材31,32の姿勢を矯正できる。すなわち、封止作動圧室30b内の圧力によって、各開閉部材31,32を、傾いた側とは反対側に揺動させて水平姿勢に戻すことができる。これによって、閉塞板31aの下面が被検容器10の上面に水平にぴったりと当たるようにできるとともに、閉塞板32aの上面が基準容器20の底面に水平にぴったりと当たるようにできる。
また、封止作動圧室30bの受圧面積S2を開放作動圧室30aの受圧面積S1よりも十分大きくすることで(S2>S1)、封止力を十分に高くでき、被検室19及び基準室29を確実に封止することができる。
【0040】
<測定工程>
次に、エア圧源2eの圧縮エア(加圧気体)をエア圧路2a,2bを介して被検室19及び基準室29に導入する。この時、被検室19及び基準室29に圧縮熱が発生する。被検室19の圧縮熱は、被検容器10、中子13、被検体91、Oリング61、被検開被絵部材31等に与えられる。また、基準室29の圧縮熱は、基準容器20、中子23、基準体92、Oリング62等に与えられる。
【0041】
上記圧縮エアの導入後、被検圧路2aと基準圧路2bを遮断する。そして、差圧センサ2cによってこれら圧力路2a,2b間の差圧ひいては被検室19と基準室29との間の差圧を測定する。被検体91が良品であれば差圧は殆ど現れない。一方、被検体91にピンホール等の欠陥部があったときはそこからエアが洩れるために、被検室19と基準室29との間に差圧が生じ、この差圧が差圧センサ2cにて検出される。この検出差圧が所定の閾値以下であれば被検体91を良品と判定し、差圧センサ2cの検出差圧が上記閾値を超えていれば被検体91を不良と判定する。これによって、被検体91の良否判定を行なうことができる。
なお、圧縮エアに代えて、真空圧を被検室19及び基準室29に導入することによって差圧測定を行なってもよい。
【0042】
<開放工程>
上記測定工程の終了後、封止路三方弁54を大気解放位置54aにして、封止作動圧室30bを大気解放するとともに、開放路三方弁53を作動圧導入位置53bにして、エア圧源59のエア圧(流体圧)を開放作動圧路51から開放作動圧室30aに導入する。封止作動圧室30bが大気解放されることによって、基準開閉部材32が自重で下降して第2開放位置になる。そして、支持ピン35が支持溝4bの下端部に引っ掛かることによって、基準開閉部材32が支柱4に支持される。この基準開閉部材32と一緒に中子23も下降する。したがって、基準室29が開放される。また、被検開閉部材31のクランプ力が解除されるために、被検室19の封止状態が少し解除される。さらに、開放作動圧室30aへのエア圧によって、
図3に示すように、筒部31bの上端部が閉塞板32aの底面に当たる位置まで、被検開閉部材31が押し上げられて第1開放位置になる。これによって、被検開閉部材31が被検容器10から上方へ離れ、被検室19が開放される。ひいては、被検室19と基準室29とを同時期(略同時)に開放できる。これによって、被検容器10から上記圧縮熱を放出できるだけでなく、基準容器20からも上記圧縮熱を放出できる。
開放作動圧室30aの受圧面積S1が封止作動圧室30bの受圧面積S2よりも小さいから(S1<S2)、エア圧源59から作動圧室30a,30bへのエア圧が互いに等しいとの条件下では、開閉部材31,32に作用する開放方向の作動力(エア力)は、封止方向の作動力よりも小さくなるが、開閉部材31,32が封止位置から少しでも開放方向に変位すれば、被検室19及び基準室29を開放することができる。
さらに、環状溝31hを形成しておくことによって、段差面31f,32fどうしをスムーズに引き離すことができ、ひいては、被検室19と基準室29とを簡単に開放できる。
なお、段差面32fに環状溝を形成してもよい。
【0043】
<被検体出し入れ工程>
その後、被検容器10を前方へスライドさせて、漏れ試験済みの被検体91を取り出すとともに、新たに漏れ試験査すべき被検体91を収容凹部13aに収容する。次いで、被検容器10をシリンダユニット30の直下の所定位置に戻す。そして、上述した封止工程、測定工程、開放工程を反復する。開放工程の度に被検容器10と同時期(略同時)に基準容器20をも開放することで、基準容器20に圧縮熱が蓄積されるのを回避できる。したがって、基準容器20、中子23、基準体92、Oリング62等の部材が熱変形するのを防止できる。よって、基準室29の容積変化が起きるのを防止でき、大漏れと判定されるおそれを回避できる。このように、本発明装置によれば、基準体92を被検体91と常に略同一条件に置くことができ、リークテストの信頼性を高めることができる。
【0044】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨に反しない範囲内において種々の改変をなすことができる。
例えば、被検体91の内部空間が被検室19を構成していてもよく、被検体91が被検室画成部を構成していてもよい。そして、被検開閉部材31が、第1封止位置のとき、被検体91の上記内部空間を塞ぐようにしてもよい。同様に、基準体92の内部空間が基準室29を構成していてもよく、基準体92が基準室画成部を構成していてもよい。そして、基準開閉部材32が、第2封止位置のとき、基準体92の上記内部空間を塞ぐようにしてもよい。
被検開閉部材31が位置固定され、これに対して被検室画成部が移動することで、被検室19が開閉されるようになっていてもよい。同時期開閉機構5が、被検開閉部材としての固定蓋と、被検室画成部を上記固定蓋に対して変位させる駆動部とを有していてもよい。同様に、基準開閉部材32が位置固定され、これに対して基準室画成部が移動することで、基準室29が開閉されるようになっていてもよい。同時期開閉機構5が、基準開閉部材としての固定蓋と、基準室画成部を上記固定蓋に対して変位させる駆動部とを有していてもよい。
被検室画成部が上側に配置され、基準室画成部が下側に配置されていてもよい。
被検室画成部と基準室画成部との対向方向は、上下に限られず、水平方向であってもよく、鉛直又は水平に対し傾斜した方向であってもよい。
基準開閉部材32が筒部(シリンダ部)を有し、被検開閉部材31が上記筒部内に軸方向移動可能に収容される軸部(ピストン部)を有していてもよい。
開閉部材31,32を駆動する流体圧として、圧縮エアや圧縮不活性ガス等の気体圧に代えて、油圧等の液体圧を用いてもよい。開閉部材31,32を、流体圧に代えて、カム等の機械機構によって変位させるようにしてもよく、電磁気力にて変位させるようにしてもよい。
被検開閉部材31と基準開閉部材32とが殆どクリアランス無く嵌め合わされていてもよく、殆ど揺動しないようにしてもよい。