特許第6317151号(P6317151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6317151
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180416BHJP
【FI】
   A63F7/02 316Z
   A63F7/02 312Z
【請求項の数】2
【全頁数】54
(21)【出願番号】特願2014-58998(P2014-58998)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-181573(P2015-181573A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】松下 睦孝
【審査官】 阿部 知
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−223590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域が画成された遊技盤と、前記遊技盤の遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な入球口を有する入賞部とを備えた遊技機において、
前記入賞部は、
前記遊技盤の前面に当接すると共に前面側を遊技球が流下可能な台板部と、
前記台板部の前側に離間して遊技球の前方移動を規制する前側規制部と、
前記前側規制部および台板部の間に形成されて遊技球が流下する流路に開口し、当該入球口とは異なる位置へ向かう遊技球が通過する球通過領域と、
駆動手段の駆動に伴って作動され、前記球通過領域を遊技球が通過可能な第1状態および当該球通過領域を遊技球が通過不能な第2状態に変位可能な作動部材と、
前記第2状態において前記入球口へ向かう遊技球の流路の下流側へ下方傾斜するよう前記作動部材に設けられ、前記球通過領域の通過を規制された遊技球を入球口へ向けて転動させる転動面とを備え、
前記作動部材が前記第1状態にある場合には、当該第1状態での前記転動面の少なくとも一部が前記前側規制部の下端部に対向するよう構成され、
前記入球口は、前記台板部の前面側で左右方向に開口するよう形成され、
前記作動部材は、前記第2状態において前記転動面が前記台板部および前記前側規制部の間に位置して前記入球口へ向けて左右方向に下方傾斜すると共に、該転動面上に複数の遊技球を左右方向に一列で載せ得るよう構成され、
前記転動面は、傾斜上端側の第1の転動面部と、該第1の転動面部よりも前後方向の幅寸法が大きい傾斜下端側の第2の転動面部とにより構成され、
前記第1の転動面部および前記第2の転動面部の連設部に対応する段部が前記作動部材に設けられると共に、該作動部材の前記第1状態において前記段部と係合して該作動部材の左右方向への移動を規制する係合凹部が前記前側規制部の下端部に設けられ
前記台板部および前記前側規制部の各対向面に、前記第2状態における前記転動面より上側で左右方向に延在する突部が上下方向に離間して互い違いに位置するよう設けられた
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技領域が画成された遊技盤と、前記遊技盤の遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な入球口を有する入賞部とを備えた遊技機において、
前記入賞部は、
前記遊技盤の前面に当接すると共に前面側を遊技球が流下可能な台板部と、
前記台板部の前側に離間して遊技球の前方移動を規制する前側規制部と、
前記前側規制部および台板部の間に形成されて遊技球が流下する流路に開口し、当該入球口とは異なる位置へ向かう遊技球が通過する球通過領域と、
駆動手段の駆動に伴って作動され、前記球通過領域を遊技球が通過可能な第1状態および当該球通過領域を遊技球が通過不能な第2状態に変位可能な作動部材と、
前記第2状態において前記入球口へ向かう遊技球の流路の下流側へ下方傾斜するよう前記作動部材に設けられ、前記球通過領域の通過を規制された遊技球を入球口へ向けて転動させる転動面とを備え、
前記作動部材が前記第1状態にある場合には、当該第1状態での前記転動面の少なくとも一部が前記前側規制部の下端部に対向するよう構成され、
前記入球口は、前記台板部の前面側で左右方向に開口するよう形成され、
前記作動部材は、前記第2状態において前記転動面が前記台板部および前記前側規制部の間に位置して前記入球口へ向けて左右方向に下方傾斜すると共に、該転動面上に複数の遊技球を左右方向に一列で載せ得るよう構成され、
前記転動面は、傾斜上端側の第1の転動面部と、該第1の転動面部よりも前後方向の幅寸法が大きい傾斜下端側の第2の転動面部とにより構成され、
前記第1の転動面部および前記第2の転動面部の連設部に対応する段部が前記作動部材に設けられると共に、該作動部材の前記第1状態において前記段部と係合して該作動部材の左右方向への移動を規制する係合凹部が前記前側規制部の下端部に設けられ
前記入賞部は、前記作動部材を揺動可能に支持するよう構成され、
前記作動部材の揺動端部には、左右方向における中央よりも前記転動面の傾斜上端側に偏倚した位置に、左右方向に延在する錘部材を内側に保持する錘部が設けられ、
前記錘部の移動範囲の上方を覆う庇部を備えた
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入賞口が設けられた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の代表例の一つとしてのパチンコ機には、固定枠に開閉自在に組み付けられた本体枠に、パチンコ球が流下可能な遊技領域が前面側に形成された遊技盤が着脱自在に配設されている。遊技領域には、パチンコ球が入賞可能な入賞口が形成された入賞部が複数設けられており、該入賞部の入賞口にパチンコ球が入賞するか否かによって遊技者の興趣が高められる。ここで、遊技内容を変化に富んだものとするために、入賞部の形態の1つとして入賞口を開閉する開閉部材を該入賞口に付随して設けた入賞部が採用されることがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−248507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来において可変式の入賞部は、前側に開口する入賞口を塞ぐ開閉部材の上辺側を前側に傾倒させて入賞口を開放するものが大半を占めており、入賞部でのパチンコ球の動きによって遊技の興趣を向上させることが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、従来の技術に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、新規な構造の入賞部を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に係る遊技機は
技領域(21)が画成された遊技盤(18)と、前記遊技盤(18)の遊技領域(21)に設けられ、遊技球が入球可能な入球口(70a)を有する入賞部(70)とを備えた遊技機において、
前記入賞部(70)は、
前記遊技盤(18)の前面に当接すると共に前面側を遊技球が流下可能な台板部(71)と、
前記台板部(71)の前側に離間して遊技球の前方移動を規制する前側規制部(88)と、
前記前側規制部(88)および台板部(71)の間に形成されて遊技球が流下する流路(R)に開口し、当該入球口(70a)とは異なる位置へ向かう遊技球が通過する球通過領域(P)と、
駆動手段(64)の駆動に伴って作動され、前記球通過領域(P)を遊技球が通過可能な第1状態および当該球通過領域(P)を遊技球が通過不能な第2状態に変位可能な作動部材(100)と、
前記第2状態において前記入球口(70a)へ向かう遊技球の流路(R)の下流側へ下方傾斜するよう前記作動部材(100)に設けられ、前記球通過領域(P)の通過を規制された遊技球を入球口(70a)へ向けて転動させる転動面(101)とを備え、
前記作動部材(100)が前記第1状態にある場合には、当該第1状態での前記転動面(101)の少なくとも一部が前記前側規制部(88)の下端部に対向するよう構成され、
前記入球口(70a)は、前記台板部(71)の前面側で左右方向に開口するよう形成され、
前記作動部材(100)は、前記第2状態において前記転動面(101)が前記台板部(71)および前記前側規制部(88)の間に位置して前記入球口(70a)へ向けて左右方向に下方傾斜すると共に、該転動面(101)上に複数の遊技球を左右方向に一列で載せ得るよう構成され、
前記転動面(101)は、傾斜上端側の第1の転動面部(102)と、該第1の転動面部(102)よりも前後方向の幅寸法が大きい傾斜下端側の第2の転動面部(103)とにより構成され、
前記第1の転動面部(102)および前記第2の転動面部(103)の連設部に対応する段部(105)が前記作動部材(100)に設けられると共に、該作動部材(100)の前記第1状態において前記段部(105)と係合して該作動部材(100)の左右方向への移動を規制する係合凹部(88c)が前記前側規制部(88)の下端部に設けられ
前記台板部(71)および前記前側規制部(88)の各対向面に、前記第2状態における前記転動面(101)より上側で左右方向に延在する突部(76,88a,88b)が上下方向に離間して互い違いに位置するよう設けられたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、作動部材が第1状態にある場合に、当該第1状態での転動面の少なくとも一部が前側規制部の下端部に対向するよう構成することで、意外性のある動作態様により作動部材を第1状態および第2状態に切り換えることができ、遊技者の興趣を向上させ得ると共に、前側規制部によって第1状態とされた作動部材に対する遊技球の接触を防止することができる。また、転動面の傾斜下端部の幅寸法を確保することで当該転動面の傾斜下端部から入球口への遊技球の受け渡しをスムーズに行うことができる。更に、作動部材の段部と前側規制部の係合部とを係合させることにより、第1状態にある作動部材の設置状態を安定させることができる。
また、台板部および前側規制部の間を通過する遊技球を減勢することができる。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願請求項2に係る遊技機は、
遊技領域(21)が画成された遊技盤(18)と、前記遊技盤(18)の遊技領域(21)に設けられ、遊技球が入球可能な入球口(70a)を有する入賞部(70)とを備えた遊技機において、
前記入賞部(70)は、
前記遊技盤(18)の前面に当接すると共に前面側を遊技球が流下可能な台板部(71)と、
前記台板部(71)の前側に離間して遊技球の前方移動を規制する前側規制部(88)と、
前記前側規制部(88)および台板部(71)の間に形成されて遊技球が流下する流路(R)に開口し、当該入球口(70a)とは異なる位置へ向かう遊技球が通過する球通過領域(P)と、
駆動手段(64)の駆動に伴って作動され、前記球通過領域(P)を遊技球が通過可能な第1状態および当該球通過領域(P)を遊技球が通過不能な第2状態に変位可能な作動部材(100)と、
前記第2状態において前記入球口(70a)へ向かう遊技球の流路(R)の下流側へ下方傾斜するよう前記作動部材(100)に設けられ、前記球通過領域(P)の通過を規制された遊技球を入球口(70a)へ向けて転動させる転動面(101)とを備え、
前記作動部材(100)が前記第1状態にある場合には、当該第1状態での前記転動面(101)の少なくとも一部が前記前側規制部(88)の下端部に対向するよう構成され、
前記入球口(70a)は、前記台板部(71)の前面側で左右方向に開口するよう形成され、
前記作動部材(100)は、前記第2状態において前記転動面(101)が前記台板部(71)および前記前側規制部(88)の間に位置して前記入球口(70a)へ向けて左右方向に下方傾斜すると共に、該転動面(101)上に複数の遊技球を左右方向に一列で載せ得るよう構成され、
前記転動面(101)は、傾斜上端側の第1の転動面部(102)と、該第1の転動面部(102)よりも前後方向の幅寸法が大きい傾斜下端側の第2の転動面部(103)とにより構成され、
前記第1の転動面部(102)および前記第2の転動面部(103)の連設部に対応する段部(105)が前記作動部材(100)に設けられると共に、該作動部材(100)の前記第1状態において前記段部(105)と係合して該作動部材(100)の左右方向への移動を規制する係合凹部(88c)が前記前側規制部(88)の下端部に設けられ、
前記入賞部(70)は、前記作動部材(100)を揺動可能に支持するよう構成され、
前記作動部材(100)の揺動端部には、左右方向における中央よりも前記転動面(101)の傾斜上端側に偏倚した位置に、左右方向に延在する錘部材(123)を内側に保持する錘部(122)が設けられ、
前記錘部(122)の移動範囲の上方を覆う庇部(87)を備えたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、作動部材が第1状態にある場合に、当該第1状態での転動面の少なくとも一部が前側規制部の下端部に対向するよう構成することで、意外性のある動作態様により作動部材を第1状態および第2状態に切り換えることができ、遊技者の興趣を向上させ得ると共に、前側規制部によって第1状態とされた作動部材に対する遊技球の接触を防止することができる。また、転動面の傾斜下端部の幅寸法を確保することで当該転動面の傾斜下端部から入球口への遊技球の受け渡しをスムーズに行うことができる。更に、作動部材の段部と前側規制部の係合部とを係合させることにより、第1状態にある作動部材の設置状態を安定させることができる。
また、作動部材に錘部を設けることにより、作動部材を迅速に変位させることができる。また、作動部材の錘部の移動範囲の上方に庇部を設けることにより、作動部材の錘部に対する遊技球の接触を防止することができる。
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記突部(76,88a,88b)のうち特定の突部(88b)が、前記前側規制部(88)における前記台板部(71)との対向面に、前記第1の転動面部(102)が位置する範囲に対応して該第1の転動面部(102)に沿うよう延在すると共に該第1の転動面部(102)上の遊技球が接触し得るよう設けられたことを要旨とする。
上記構成によれば、第2の転動面部での遊技球の転動が突部により阻害されることがない
【0007】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
遊技球が入球可能な始動口(28a,33a)に入球した遊技球を検出する始動検出手段(66,67)と、
前記始動検出手段(66,67)による遊技球の検出に基づいて当り判定を実行する当り判定手段(60a)と、
前記当り判定手段の判定結果に基づいて前記作動部材(100)を第1状態から第2状態へ作動させることを決定する作動決定手段(60a)と、
前記作動決定手段(60a)が前記作動部材(100)の作動を決定した場合に、前記第1状態から第2状態へ変位して第1状態に復帰するまでの1回の作動における当該作動部材(100)の作動時間(T1,T2,T3)を決定する期間決定手段(60a)と、
前記作動決定手段(60a)が前記作動部材(100)の作動を決定した場合に、前記期間決定手段(60a)が決定した作動時間(T1,T2,T3)で前記作動部材(100)を変位させるよう前記駆動手段(64)を駆動制御する駆動制御手段(60a)とを備え、
前記期間決定手段(60a)が決定可能な作動時間(T1,T2,T3)として、前記第2状態への変位と共に前記転動面(101)で受けた遊技球が当該時間の経過までに転動面(101)上から前記入球口(70a)へ向かって離脱可能な第1の作動時間(T1,T2)と、前記第2状態への変位と共に前記転動面(101)で受けた遊技球を当該時間の経過まで転動面(101)上に留まらせて前記作動部材(100)の第1状態への変位に伴い前記球通過領域(P)に通過させ得る第2の作動時間(T3)とが設定されたことを要旨とする。
上記構成によれば、当り判定手段により実行された判定の結果に基づいて作動部材を第1状態から第2状態へ作動させると共に、第2状態から第1状態に変位する作動部材が転動面上の遊技球を球通過領域に通過させる構成において、作動部材の作動時間としての第1の作動時間を、第2状態への変位と共に転動面で受けた遊技球が時間の経過までに転動面上から入球口へ向かって離脱可能な時間に設定することで、作動部材の第2状態において入球口への遊技球の入球を期待できる作動状態を付与することができる。また、第2の作動時間を、第2状態への変位と共に転動面で受けた遊技球を当該時間の経過まで転動面上に留まらせて作動部材の第1状態への変位に伴い球通過領域に通過させ得る時間に設定することで、入球口への遊技球の入球を防止することができ、作動部材の作動状態の1つとして入球口への遊技球の入球を期待できない作動状態を付与することができる。第1および第2の作動時間を少なくとも含む複数の作動時間から期間決定手段が作動部材の作動時間を決定することで、作動部材の動作態様に幅を持たせることができ、遊技の興趣を向上させ得る。
【0008】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記作動部材(100)は、前記第1状態から第2状態へ変位する際に、前記前側規制部(88)の下端部から下方へ離間すると共に前記台板部(71)に近接するよう前記転動面(101)が移動して前記球通過領域(P)を遊技球が通過不能に閉鎖するよう構成されたことを要旨とする。
上記構成によれば、作動部材の第1状態において転動面の少なくとも一部が前側規制部の下端部に対向し、作動部材が第1状態から第2状態に変位する際に転動面が台板部に近接する側に移動するよう構成することにより、転動面への遊技球の接触によって意図せず転動面が球通過領域を閉鎖する側に移動して入球口に遊技球を案内し得る状態となるの防止できる。
【0009】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記入賞部(70)は、
前記台板部(71)の前面側で前記入球口(70a)が左右方向に開口するよう形成されると共に、複数の遊技球を左右方向に一列で載せ得るよう形成された前記転動面(101)が前記第2状態において前記台板部(71)の前側で当該入球口(70a)へ向けて左右方向に下方傾斜するよう構成され、
前記入球口(70a)に連通する球通路(70b)が台板部(71)の裏側に延在し、当該球通路(70b)を介して入球口(70a)に入球した遊技球を台板部(71)の裏側へ誘導するよう構成されたことを要旨とする。
上記構成によれば、左右方向に延在させた転動面の広い範囲で遊技球を受け止めて入球口へ向けて一列で案内することができる。また、作動部材を第2状態から第1状態に変位させる際には、転動面上に複数の遊技球が位置していたとしても当該複数の遊技球を一度に球通路側に排出することができる。
【0010】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記作動部材(100)は、前記入球口(70a)を遊技球が通過不能に閉鎖する開閉部(113)を前記転動面(101)の傾斜下端側に備え、
前記作動部材(100)が前記球通過領域(P)を開放する第1状態において前記開閉部(113)が入球口(70a)を閉鎖すると共に、当該作動部材(100)が球通過領域(P)を閉鎖する第2状態において開閉部(113)が入球口(70a)を開放するよう構成されたことを要旨とする。
上記構成によれば、第1状態において球通過領域への遊技球の通過を規制する作動部材に、入球口を開放および閉鎖する開閉部を設けることにより、作動部材の第1状態において開閉部により入球口が確実に閉鎖されるから、入球口への遊技球の入球を確実に防止することができる。また、作動部材と開閉部とを個別に駆動する場合と比較して駆動機構を簡略化できる。
【0011】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記入賞部(70)は、前記駆動手段(64)が配設されたケース体(91)の前側に台板部(71)を備えた本体部(M)を有し、当該台板部(71)の前面側を遊技球が流下し得るよう前記遊技盤(18)の前面に当接させた状態で固定されると共に、
前記作動部材(100)は、
前記台板部(71)の前面側で左右方向に離間するよう設けられ、一方端部が前記本体部(M)に対して揺動可能に支持された一対のアーム部(110,120)と、
前記一対のアーム部(110,120)の他方端部を連結するよう設けられて前記台板部(71)と対向し、当該一対のアーム部(110,120)とで囲む領域を遊技球が通過し得る連結部(130)とを備え、
前記連結部(130)において前記一対のアーム部(110,120)の枢支端側を向く面に前記転動面(101)が形成され、
前記第1状態では、前記台板部(71)との間を遊技球が通過し得るよう前記連結部(130)が台板部(71)の前方に位置して前記一対のアーム部(110,120)および連結部(130)により囲まれる領域を通過した遊技球の前記球通過領域(P)の通過を許容し、
前記第2状態では、前記台板部(71)との間を遊技球が通過不能となるよう前記連結部(130)が台板部(71)の前方に位置して前記入球口(70a)とは異なる位置へ向かう遊技球を当該転動面(101)で受け止めるよう構成されたことを要旨とする。
上記構成によれば、作動部材が第2状態から第1状態に変位する際に、台板部の前方で転動面を変位させて、一対のアーム部および該アームの揺動先端側を連結する連結部により囲まれる領域から遊技球を球通過領域に通過させることで、遊技球を入球口に案内し得る状態から案内し得ない状態への切換えを速やかに行うことができる。また、台板部の後側に位置する本体部に設けた駆動手段により一対のアーム部を揺動させて連結部を台板部の前方で移動させるよう構成することで、駆動手段の設置により遊技領域の流路が狭められることはない。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る遊技機によれば、新規な構造の入賞部を採用することができ、入賞部の選択の幅を拡げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
図2】実施例に係る遊技盤を示す正面図である。
図3】実施例に係る特別入賞部を示し、(a)は正面側から視た斜視図、(b)は背面側から視た斜視図である。
図4】実施例に係る作動部材が待機状態にある特別入賞部を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図5】実施例に係る作動部材が作動状態にある特別入賞部を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図6】(a)は、図4(a)のA−A線断面図であり、(b)は、図5(a)のD−D線断面図である。
図7】(a)は、図4(b)のB−B線断面図であり、(b)は、図4(b)のC−C線断面図である。
図8図5(b)のE−E線断面図である。
図9】実施例に係る特別入賞部を示す正面側から視た分解斜視図である。
図10】実施例に係る特別入賞部を示す背面側から視た分解斜視図である。
図11】実施例に係る前収容体を示し、(a)は正面図、(b)は背面図である。
図12】実施例に係る作動部材が待機状態にある連繋機構を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
図13】実施例に係る作動部材が作動状態にある連繋機構を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
図14】実施例に係るパチンコ機の制御構成を示すブロック図である。
図15A】実施例に係る大当り遊技の種類を示す説明図である。
図15B】実施例に係る大当り遊技における作動部材の作動パターンを示すタイミングチャートである。
図16】実施例に係る特図入力処理を示すフローチャートである。
図17】実施例に係る特図開始処理を示すフローチャートである。
図18】実施例に係る当り判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行うパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0015】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤18(図2参照)を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられると共に、遊技盤18の後側に、図柄を変動表示可能な図柄表示装置17が着脱し得るよう配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤18の前面領域20を透視可能に保護する透明部材13aを窓部に備えた装飾枠としての前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられる。なお、実施例では、前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。
【0016】
前記図柄表示装置17は、後述する始動入賞口28a,33aへのパチンコ球の入賞を契機として演出用の図柄(飾図という場合もある)を表示部17aに変動表示させる図柄変動演出を行うよう構成される。また図柄表示装置17では、図柄変動に関連して実行される各種の表示演出を表示部17aに表示し得るようになっている。実施例では、前記図柄表示装置17として、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の表示装置やドットマトリックス式の表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。
【0017】
実施例のパチンコ機10の前面(実施例では前枠13の前面)には、図1に示す如く、下球受け皿15の右側方に、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル16が設けられる。この操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤18に向けて発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー16aの回動量に応じて前記打球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aを操作して回動量を調節することで、前記遊技盤18に形成された第1流下経路21a(後述)をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該遊技盤18に形成された第2流下経路21b(後述)をパチンコ球が流下する所謂「右打ち」とを打ち分け得るようになっている。
【0018】
(遊技盤18について)
前記遊技盤18は、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材等からなる透明な平板状の板部材であって、該遊技盤18の裏側に配設された前方へ開口する箱状の設置部材(図示せず)に、前記図柄表示装置17や可動演出装置や発光演出装置等の各種演出装置が配設されている。遊技盤18および設置部材は、正面視における外郭形状が略整合する大きさおよび形状に形成されて、遊技盤18の後面に設置部材を取着した状態で、設置部材が遊技盤18の後面を全面的に覆うよう構成されている。また、前記図柄表示装置17は、設置部材の裏側に取り付けられて、当該設置部材の開口部(図示せず)および枠状装飾体27(後述)の窓口27aを介して遊技盤18に臨んでパチンコ機10の前側から視認し得るよう構成されている。なお、遊技盤18は、木材板の表面に各種絵柄等が描かれた合成樹脂シート等を貼付けて装飾したものであってもよい。
【0019】
(レール部材23について)
前記遊技盤18の前面(盤面)には、図2に示す如く、略円形状に湾曲形成されたレール部材23が配設され、該レール部材23の内側に前面領域20が画成されている。前記レール部材23は、図2に示す如く、遊技盤18の左下部から右上部に至るよう左方向に膨出する円弧状に形成された第1レール24と、遊技盤18の右上部および右下部に至るように右方向に膨出する円弧状に形成された第2レール25と、遊技盤18の下部および左上部に至るように左方向に膨出する円弧状に形成された第3レール26とから構成されている。第2レール25は、第1レール24の右上端部に連接して遊技盤18の右上部から下部に亘って配設され、左端縁が右方に凹む円弧状に形成された盤面飾り部材で構成される。また、第3レール26は、第2レール25の下端部に連接して遊技盤18の下部から左上部に亘って配設されて、前記第1レール24の右方(内側)に離間して位置しており、該第1レール24および第3レール26により1個のパチンコ球が通過可能な発射通路23aが画成される。ここで、前記第1レール24の下端部は遊技盤18の下端に位置して、該第1レール24の下端部と第3レール26との間に、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が発射通路23aに通入する下方開口23bが画成されている。また、第3レール26は、前記遊技盤18の左上部に開放端を臨ませて第1レール24との間に前記前面領域20の遊技領域21に開口する打出し口23cを画成するよう構成される。すなわち、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球は、下方開口23bから発射通路23aに通入し、該発射通路23aを上方に飛翔して、第3レール26の開放端側の打出し口23cから遊技領域21内に打ち出されるようになっている。
【0020】
前記遊技盤18には、前後に貫通する複数の装着口(図示せず)が前記レール部材23で画成される前記前面領域20内に開設されて、各装着口を介して各種の遊技部品(実施例では、枠状装飾体27、仕切りユニット43、第2始動入賞部33、特別入賞部70等)が前側から取り付けられる。具体的に、前記遊技盤18における前面領域20の下部位置には、左右方向に延在する仕切部44を備えた仕切りユニット43が配設されており、当該仕切りユニット43の仕切部44により上側の遊技領域21と下側の非遊技領域22とに前面領域20が仕切られるようになっている。ここで、前記仕切部44は、前記レール部材23(第2レール25および第3レール26)の内周面に左右の端部が接続すると共に、前記打出し口23cが上側の遊技領域21に開口するよう構成されて、打出し口23cから遊技領域21に打ち出されて当該遊技領域21を流下するパチンコ球が、下側の非遊技領域22に流入しないよう構成されている。
【0021】
ここで、前記仕切部44は、図2に示すように、左右方向の略中央部で上方へ膨出すると共に、左右両端側では下方に膨出する曲状に形成されており、前記遊技領域21を流下したパチンコ球が仕切部44上を左右方向に移動して左右何れかの最下部に集まるよう構成される。そして、前記仕切りユニット43において前記仕切部44の左右の最下部に対応する位置に、前記遊技領域21に開口するアウト口52,53が開設されており、仕切部44の最下部に集まるパチンコ球を、当該アウト口52,53を介して遊技領域21から遊技盤18の裏側に排出するよう構成されている。なお、前記遊技盤18の裏側には、該遊技盤18の外部に連通する排出通路(図示せず)がアウト口52,53の夫々に対応して設けられており、アウト口52,53を通過したパチンコ球が遊技盤18の外部に排出されるようになっている。右側のアウト口53は、後述する特別入賞部70(作動部材100)の下方に位置している(図2参照)。
【0022】
また、図2に示すように、前記遊技盤18には、前記レール部材23で囲まれると共に仕切部44の上側に画成された遊技領域21の略中央に、前後に開口する窓口27aが形成された枠状装飾体27が配設され、該枠状装飾体27の窓口27aを介して図柄表示装置17の表示部17aが遊技盤18の前側に臨むよう構成されている。すなわち、前記遊技領域21は、枠状装飾体27および第1レール24、第3レール26の間に形成される左側の第1流下経路21aと、枠状装飾体27および第2レール25の間に形成される右側の第2流下経路21bに分かれており、前記打球発射装置により遊技領域21に発射されたパチンコ球が、その到達位置に応じて第1流下経路21aまたは第2流下経路21bの何れかを流下するよう構成される。
【0023】
また、図2に示すように、前記遊技盤18には、パチンコ球が入賞可能な複数の入賞部28,31,33,70が前記遊技領域21内に配設されており、当該入賞部28,33,70にパチンコ球が入賞することで遊技が行われるようになっている。具体的に、実施例のパチンコ機10では、前記第1流下経路21aに位置するよう前記入賞部としての第1始動入賞部28が枠状装飾体27の下方に配置されると共に、前記第2流下経路21bに位置するよう前記入賞部としてのゲート部31、第2始動入賞部33および特別入賞部70が当該枠状装飾体27の右側方に配置されている。ここで、遊技盤18に設けられた遊技釘等により、前記第2流下経路21bを流下したパチンコ球が第1始動入賞部28に略入賞し得ないよう構成されると共に、前記第1流下経路21aを流下したパチンコ球が第2始動入賞部33や特別入賞部70に略入賞し得ないよう構成されている。すなわち、実施例に係るパチンコ機10では、前記第1流下経路21aをパチンコ球が流下する場合(左打ちの場合)に、パチンコ球が第2流下経路21bを流下する場合に較べて第1始動入賞部28の第1始動入賞口28aにパチンコ球が入賞する可能性が高くなるよう構成されると共に、該第2流下経路21bをパチンコ球が流下する場合(右打ちの場合)に、パチンコ球が第1流下経路21aを流下する場合に較べて特別入賞部70の特別入賞口70aや第2始動入賞部33の第2始動入賞口33aへパチンコ球が入賞する可能性が高くなるよう構成されて、操作レバー16aの回動操作により左打ちおよび右打ちを能動的に打ち分けることで、パチンコ球が入賞可能な入賞部28,33,70を切り替え得るようになっている。
【0024】
(第1始動入賞部28について)
前記第1始動入賞部28は、上方に膨出する前記仕切部44の上方に位置するよう前記仕切りユニット43に設けられている。この第1始動入賞部28には、パチンコ球が入賞(入球)可能な第1始動入賞口(始動口)28aが上方に常時開口するよう設けられており、前記第1流下経路21aを流下するパチンコ球が一定の割合で第1始動入賞口28aに入賞し得るようになっている。また、前記第1始動入賞部28は、第1始動入賞口28aに入賞したパチンコ球の排出経路(図示せず)に、パチンコ球を検出する検出手段としての第1始動入賞検出センサ66が配設されている。第1始動入賞検出センサ66は、前記設置部材の裏面に配設されたメイン制御基板60に配線接続されており(図14参照)、該第1始動入賞検出センサ66からの球検出信号がメイン制御基板60のCPU60aに入力されることを判定条件としてメイン制御基板60のCPU60aが特図当り判定(当り判定)を行うと共に、当該球検出信号の入力を賞球の払出条件として、該CPU60aが賞球の払い出しを決定し、当該決定に基づいてメイン制御基板60から払出制御基板に対して払出制御信号が出力されるようになっている。
【0025】
(第2始動入賞部33について)
前記第2始動入賞部33は、第2流下経路21b内で開口する第2始動入賞口33aを開閉部材33bによって開閉するよう構成されており、駆動手段としての始動入賞ソレノイド63(図14参照)の駆動に伴って開閉部材33bが第2始動入賞口33aを閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成されている。すなわち、第2始動入賞口33aは、始動入賞ソレノイド63を駆動することでパチンコ球の入賞確率を可変し得るよう構成される。なお、実施例における第2始動入賞部33は、第2始動入賞口33aが前後に開口するよう設けられており、当該第2始動入賞口33aを開閉部材33bで閉鎖した状態を図2に示してある。前記第2始動入賞部33は、前記第2始動入賞口33aに入賞したパチンコ球の排出経路(図示せず)に、パチンコ球を検出する検出手段としての第2始動入賞検出センサ67を備えている。第2始動入賞検出センサ67は、前記メイン制御基板60に配線接続されており(図14参照)、該第2始動入賞検出センサ67からの球検出信号がメイン制御基板60のCPU60aに入力されることを判定条件としてメイン制御基板60のCPU60aが特図当り判定(当り判定)を行うと共に、当該球検出信号の入力を賞球の払出条件として、該CPU60aが賞球の払い出しを決定し、当該決定に基づいてメイン制御基板60から払出制御基板に対して払出制御信号が出力されるようになっている。
【0026】
(ゲート部31について)
前記ゲート部31は、上下に貫通するよう通過口(図示せず)が形成されており、第2流下経路21bを流下するパチンコ球がゲート部31の上方から下方へ通過し得るようになっている。また、ゲート部31には、当該該ゲート31を通過するパチンコ球を検出するゲートセンサ65が設けられている。このゲートセンサ65は、前記メイン制御基板60に配線接続されており(図14参照)、該ゲートセンサ65からメイン制御基板60への球検出信号の入力(すなわちパチンコ球の検出)に伴って普図の当り判定が行われ、該普図当り判定の結果に応じて前記第2始動入賞部33の始動入賞ソレノイド63が駆動制御されて開閉部材33bが開閉動作するようになっている。なお、ゲート部31は、図2に示す如く、第2流下経路21bにおいて第2始動入賞部33の第2始動入賞口33aより上流側(上側)に位置している。
【0027】
ここで、実施例のパチンコ機10では、第1および第2始動入賞検出センサ66,67によるパチンコ球の検出(第1始動入賞口28aまたは第2始動入賞口33aへのパチンコ球の入賞)に伴って各種情報(乱数)が取得され、この取得した情報に基づいて特図の当り判定が行われるよう構成されている。そして、特図当り判定の結果に基づいて前記図柄表示装置17において図柄変動演出が実行され、該図柄表示装置17での図柄変動演出の結果、該図柄表示装置17の表示部17aに所定の組み合わせ(例えば同一飾図の3つ揃い等)で飾図が確定停止表示されることで、遊技者に有利な当り遊技(大当り遊技や小当り遊技)が付与されるようになっている。そして、当り遊技の発生に伴って特別入賞部70の作動部材100(後述)がパチンコ球を特別入賞口70aに案内し得る作動状態に所定の作動条件(後述する作動パターン)で変位されて、特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞に伴い遊技者が賞球を獲得し得る機会が与えられるよう構成されている。
【0028】
(特別入賞部70について)
前記特別入賞部70は、図2および図9に示すように、前記遊技盤18に取り付けられると共に前記遊技領域21(第2流下経路21b)に開口するよう特別入賞口(入球口)70aが形成された装置本体(本体部)Mと、当該装置本体Mに配設された駆動手段としての特別入賞ソレノイド64と、待機状態(第1状態)および作動状態(第2状態)に変位し得るよう装置本体Mに支持されると共にパチンコ球を特別入賞口70aに向けて転動させる転動面101を有する作動部材100と、特別入賞ソレノイド64の駆動力を作動部材100に伝達する連繋機構150とを備え、当該特別入賞ソレノイド64を駆動することで作動部材100が待機状態および作動状態に変位するよう構成されている。また、前記特別入賞部70は、図4(a)および図7(a)に示すように、前記特別入賞口70aとは異なる位置へ向かうパチンコ球が通過する球通過領域Pが、当該特別入賞口70aに入賞するパチンコ球が通過する入賞ルート(流路)R(図5および図8参照)に開口するよう設けられて、当該球通過領域Pの形成位置に前記作動部材100が配設されている。そして、前記特別入賞ソレノイド64の駆動に伴い作動部材100を変位させることで、球通過領域Pをパチンコ球が通過可能な状態(待機状態、図4参照)と、当該球通過領域Pをパチンコ球が通過不能な状態(作動状態、図5参照)に切り替わるようになっている。
【0029】
すなわち、前記作動部材100を作動状態に変位させることで、当該作動部材100により前記入賞ルートRが形成されて遊技領域21(第2流下経路21b)のパチンコ球を入賞ルートRから外れることなく流下させて特別入賞口70aに入賞可能とされる一方で、当該作動部材100を待機状態に変位させることで、パチンコ球を入賞ルートRから外れた球通過領域Pを通過させて特別入賞口70aに入賞させないように構成されている。ここで、実施例の特別入賞部70は、後述するように、前記第1始動入賞部28または第2始動入賞部33へのパチンコ球の入賞を契機として当り遊技(大当り遊技)が付与される場合に、当り遊技の種類に応じた作動条件(作動パターン)に従って作動部材100が作動状態に変位するよう構成されている。なお、実施例では、前記作動部材100は、左右の軸部111,121(図9参照)を中心として揺動し得るよう前記装置本体Mに支持されている。
【0030】
また、前記特別入賞部70は、特別入賞口70aに入賞したパチンコ球の排出経路に、パチンコ球を検出する入賞検出手段としての特別入賞検出センサ68(図9および図14参照)が設けられており、当該特別入賞検出センサ68が前記メイン制御基板60に配線接続されている。そして、特別入賞検出センサ68からの球検出信号がメイン制御基板60のCPU60aに入力されることを賞球の払出条件として、該CPU60aが賞球の払い出しを決定し、当該決定に基づいてメイン制御基板60から払出制御基板に対して払出制御信号が出力されるようになっている。なお特別入賞検出センサ68によるパチンコ球の検出(すなわち特別入賞部70へのパチンコ球の入賞)を契機として賞球の払出条件が成立した場合には、前記第1始動入賞部28や第2始動入賞部33への入賞に伴って賞球の払出条件が成立した場合よりも多数(実施例では15個)の賞球の払い出しが決定されるよう設定されている。
【0031】
(装置本体Mについて)
前記装置本体Mは、図9および図10に示すように、前面側をパチンコ球が流下可能な状態で遊技盤18に固定される平板状の台板部71と、当該台板部71の前面側に固定され、前記特別入賞口70aが開設される前側部材81と、当該台板部71の後面側に固定され、前記特別入賞ソレノイド64および連繋機構150が収容される箱状のケース体91とから構成されている。そして、前記ケース体91を前記装着口に前側から挿通させて前記遊技盤18の前面に当接させた前記台板部71を、当該遊技盤18に対して前側からネジ固定することで、装置本体M(特別入賞部70)が遊技盤18に固定されるようになっている。すなわち、実施例の特別入賞部70は、前記遊技盤18(台板部71)よりも前側に位置するよう前記特別入賞口70aが設けられている。また、前記台板部71および前側部材81により形成された軸受け部74a,74b,89a,89b(後述)に対して前記作動部材100の左右の軸部111,121が枢支されて、前記待機状態および作動状態に揺動変位し得るよう構成されている。
【0032】
(台板部71について)
前記台板部71は、図2図9および図10に示すように、左右方向に横長な平板状に形成され、前記遊技盤18の前面に当接させた状態で、前記遊技領域21(第2流下経路21b)のパチンコ球が台板部71の前面側を流下し得るよう形成されている。また、前記台板部71には、当該台板部71の左端部近傍に通孔71aが前後に貫通するよう開設されると共に、当該通孔71aから後方に延在する樋状の後側球通路部72が形成されている。前記台板部71の通孔71aには、前記前側部材81に形成された後述する前側球通路部83(図10参照)が連通するよう構成されており、当該前側球通路部83および後側球通路部72により前記特別入賞口70aに入賞したパチンコ球を当該台板部71の裏側へ誘導する球通路70bが形成されるようになっている。そして、前記後側球通路部72の後端部に、前記遊技盤18の裏側に設けられた排出経路(図示せず)が連通するよう構成されている。すなわち、特別入賞口70aに入賞したパチンコ球は、前側部材81に形成された前側球通路部83および台板部71に形成された後側球通路部72から形成される球通路70bを介して遊技盤18の裏側に誘導されて排出されるようになっている。また、前記台板部71の右側上端部には、前後および上方に開口する球樋部71bが形成されている。そして、前記球樋部71bの前端部に、前記前側部材81に形成された普通入賞部84b(後述)が連通すると共に、当該球樋部71bの後端部に、前記遊技盤18の裏側に設けられた排出経路(図示せず)が連通するよう構成されて、普通入賞部84bに入賞したパチンコ球を遊技盤18の裏側に誘導して排出し得るようになっている。
【0033】
図10に示すように、前記台板部71には、前記後側球通路部72の右側に隣接して、前後方向に貫通するセンサ挿通口73が形成されると共に、このセンサ挿通口73の開口縁から後方に延在するセンサ係止片77が上下方向に弾性変形可能に形成されている。すなわち、センサ挿通口73に後方から特別入賞検出センサ68を挿通した際に、特別入賞検出センサ68の後端にセンサ係止片77が係止して、当該特別入賞検出センサ68の後方への移動を規制すると共に、当該センサ係止片77を弾性変形して係止状態を解除することで、特別入賞検出センサ68を取り外し得るようになっている。なお、前記特別入賞検出センサ68は、前記センサ係止片77が係止した状態で、左右の側面が前記台板部71の前記後側球通路部72および前記ケース体91に当接すると共に、前端面が前記前側部材81の左支持部82(後述)に当接するようになっており、これにより特別入賞検出センサ68の前後および左右への移動が規制されて、特別入賞検出センサ68が所定位置(パチンコ球を検出する検出口68aが特別入賞口70aで開口する位置)に保持されるようになっている。
【0034】
前記台板部71には、図9に示すように、前面上部において左右方向に離間する位置に、前方へ開口すると共に左右方向に延在する凹状の後側凹状部74a,74bが形成されて、当該一対の後側凹状部74a,74bに、前記作動部材100に設けられた左右の軸部111,121が前側から嵌合するよう構成されている。そして、前記一対の後側凹状部74a,74bの前方開口は、各後側凹状部74a,74bに対応して前記前側部材81に形成された前側凹状部89a,89b(図10参照)により閉塞されるようになっており、当該前後の凹状部74a,74b,89a,89bの間に前記作動部材100の各軸部111,121が回転可能に支持されるようになっている。すなわち、前記台板部71に形成された各後側凹状部74a,74bおよび前記前側部材81に形成された前側凹状部89a,89bの夫々により前記作動部材100の軸部111,121を枢支する軸受け部を形成している。ここで、前記軸受け部(後側凹状部74a,74bおよび前側凹状部89a,89b)は、前記特別入賞口70a(センサ挿通口73)の形成位置より上方に位置するよう設けられると共に、該軸受け部74a,74b,89a,89bに枢支された作動部材100の軸部111,121の軸線が、特別入賞口70aから当該入賞口70aの開口外側方向(実施例では右方向)へ離間するにつれて上方へ傾斜するよう構成されて、当該軸線と平行に設けられた前記転動面101が作動状態において特別入賞口70aへ向けて下方傾斜するようになっている。
【0035】
図9に示すように、前記台板部71には、前記左側に位置する後側凹状部74aの右側方に、前後に貫通するアーム挿通口75aが隣接した状態で上下方向に延在するよう形成されている。そして、前記アーム挿通口75aを介して前記作動部材100(具体的には後述する左アーム部110)が台板部71の後方に突出するよう構成されて、当該台板部71の後方において作動部材100を前記連繋機構150と連繋接続させ得るよう構成されている。なお、前記作動部材100(左アーム部110)の一部は、待機状態および作動状態に変位する間、前記アーム挿通口75aから後方に突出している。更に、前記台板部71には、前記右側に位置する後側凹状部74bの左側方に隣接して、前方へ開口する凹状のアーム支持溝75bが上下方向に延在するよう形成されている。前記アーム支持溝75bの左右方向の幅寸法は、前記作動部材100における後述の右アーム部120の左右の幅寸法と略一致するよう形成されており、作動状態に変位した作動部材100の右アーム部120がアーム支持溝75bに前側から嵌まり込むことで、当該作動部材100が前記軸部111,121の軸線方向に変位するのを規制するようになっている。
【0036】
また、図9に示すように、前記台板部71の前面には、前記アーム挿通口75aおよびアーム支持溝75bの間に、左右方向に直線状に延在する減勢リブ(減勢部)76が前方へ向けて突出するよう形成されている。この減勢リブ76は、作動状態にある作動部材100の転動面101の上方に位置するよう設けられており、前記遊技領域21(第2流下経路21b)を流下するパチンコ球を当該転動面101に受け止められる前に減勢リブ76に接触させて減勢させ得るよう構成されている。更に、前記減勢リブ76は、作動状態にある作動部材100の転動面101を転動するパチンコ球が接触不能な高さ位置に設けられており、パチンコ球の転動を妨害しないように構成されている。
【0037】
(前側部材について)
前記前側部材81は、図3(a)に示すように、前記台板部71の前面に固定されると共に前記特別入賞口70aが形成された左支持部82と、当該左支持部82から右方向へ離間して位置するよう当該台板部71の前面に固定された右支持部84とを備えており、当該左右の支持部82,84の間に、前記遊技領域21(第2流下経路21b)を流下するパチンコ球が上方から下方へ通過可能な空間部S(図7(a)参照)を画成するよう構成されている。ここで、前記特別入賞口70aは、前記左支持部82の右側面に、右方向(右支持部84側)に開口するよう開設されると共に、左右の支持部82,84の間に前記作動部材100が配置されている。すなわち、実施例の特別入賞部70では、前記左右の支持部82,84の間に画成される空間部Sの下方開口が、前記特別入賞口70aとは異なる位置へ向かうパチンコ球が通過する前記球通過領域Pとされ、前記作動部材100により当該球通過領域Pをパチンコ球が通過不能に塞がれることで、当該空間部Sに前記入賞ルートRが形成されるようになっている。また、左右の支持部82,84は、パチンコ球の直径の複数個分(実施例では概ね4個分)だけ離間する位置に設けられており、遊技領域21(第2流下経路21b)を流下する複数のパチンコ球が前記空間部Sに一度に入り込み得るよう構成されている。
【0038】
(左支持部82について)
図9および図10に示すように、前記左支持部82は、前記台板部71の通孔71aおよびセンサ挿通口73の前側を覆うよう配設されると共に、前記特別入賞口70aを台板部71の通孔71a(後側球通路部72)に連通させる前側球通路部83が形成されている。すなわち、前記空間部Sに流入して当該特別入賞口70aに入賞したパチンコ球は前側球通路部83を介して台板部71側の後側球通路部72に案内されて遊技盤18の外部に排出されるよう構成されている。また、前記前側球通路部83における特別入賞口70aの開口端部には、前記特別入賞検出センサ68の前端上部および前端下部を位置決めする凹状溝83aが上下に対向するよう形成されて、該凹状溝83aによって特別入賞検出センサ68を特別入賞口70aの直下流に位置決めするようになっている。なお、前記左支持部82には、前記台板部71に形成された左側の後側凹状部74aと対応する位置に、前記軸受け部を構成する左側の前側凹状部89aが形成されており、作動部材100の左軸部111を支持するようになっている。
【0039】
(右支持部84について)
前記右支持部84は、図9および図10に示すように、後方に開口する基板収容部86と、基板収容部86の上壁に連続して形成され、前記左支持部82へ向かって延在する庇部87とを備えている。前記基板収容部86を形成する前記右支持部84の上壁部84aは、前記空間部S側に向けて下方傾斜するよう形成され、該上壁部84aで受け止めた第2流下経路21bを流下するパチンコ球を、特別入賞口70aへ向かう前記入賞ルートRへ向けて誘導し得るようになっている。また、前記庇部87は、図8に示すように、前記右支持部84の上壁部84aに連続する上壁部87aと、当該上壁部87aの左端部から下方へ垂下する垂下壁部87bとからL字状に形成されて、前記作動部材100に設けられた後述する錘部122における移動範囲の上方を当該庇部87で囲うよう構成されている。すなわち、第2流下経路21bを流下するパチンコ球が錘部122に接触するのを前記庇部87で防止するよう構成されて、当該パチンコ球の錘部122への接触により作動部材100が意図せず作動状態から待機状態へ向けて変位するのを防いでいる。なお、前記右支持部84には、前記台板部71に形成された右側の後側凹状部74bと対応する位置に、前記軸受け部を構成する右側の前側凹状部89bが形成されており、作動部材100の右軸部121を支持するようになっている。
【0040】
また、図3に示すように、右支持部84の右上部には、パチンコ球が入賞可能な普通入賞部84bが形成されている。この普通入賞部84bは、上方および後方へ開口する樋状に形成されて、後端部が前記台板部71の球樋部71bに接続するようになっている。すなわち、第2流下経路21bを流下する過程で普通入賞部84bに入賞したパチンコ球は、前記台板部71の球樋部71bを介して台板部71の後側に案内されて、球樋部71bに接続する図示しない排出経路を介して遊技盤の外部に排出されるようになっている。なお、普通入賞口84に入賞したパチンコ球の排出経路に、パチンコ球を検出する検出手段としての普通入賞検出センサが配設されており、当該普通入賞検出センサが前記メイン制御基板60に配線接続されている。そして、普通入賞検出センサからの球検出信号がメイン制御基板60のCPU60aに入力されることを賞球の払出条件として、該CPU60aが賞球の払い出しを決定し、当該決定に基づいてメイン制御基板60から払出制御基板に対して払出制御信号が出力されるようになっている。
【0041】
前記基板収容部86は、光を透過可能な合成樹脂により、前方へ向けて光を照射するLED(発光手段)85aを実装した発光基板85を収容可能に形成され、該基板収容部86に収容した発光基板85が台板部71の前側に位置するように構成されている。発光基板85のLED85aは、メイン制御基板60からの制御信号に基づいて制御を実行するサブ制御基板61に配線接続されている。そして、前記作動部材100に長時間動作を行わせる当り遊技(後述する16R大当り遊技、16R短縮大当り遊技およびジャンプアップ大当り遊技)において作動部材100が作動状態に変位している期間(特別入賞口70aにパチンコ球が案内される期間)に対応してLED85aを発光させるようサブ制御基板61により発光制御されて、特別入賞部70へ向けたパチンコ球の打ち出しを遊技者に促すようになっている。
【0042】
また、前記前側部材81には、図4および図5に示すように、前記台板部71の前方に離間する位置に前側規制部88を備えており、当該前側規制部88により前記左右の支持部82,84の前端部間が連結されている。前記前側規制部88は、左支持部82および右支持部84の各前端部の間に位置すると共に、台板部71との間をパチンコ球が通過可能な距離だけ当該台板部71の前面から離間するように設けられて、前記空間部S(入賞ルートR)を通過するパチンコ球の前方移動を規制するようになっている。すなわち、前記球通過領域Pは、前記台板部71と前側規制部88との間に位置するよう形成されている。ここで、前記前側規制部88の下端部には、前記待機状態において前記作動部材100の前記転動面101の少なくとも一部が近接位置して、当該前側規制部88の下端部に対向するよう構成されている。すなわち、待機状態での作動部材100の転動面101が前側規制部88によって保護されることで、遊技領域21(第2流下経路21b)を上方から流下して前記空間部Sに流入するパチンコ球が当該作動部材100の転動面101に接触するのを防止している。実施例では、前記転動面101の全長が前側規制部88の下端部に対向するよう構成されている。ここで、前記作動部材100は、待機状態から作動状態へ範囲する際に、前記前側規制部88の下端部から離間するよう下方へ移動して前記台板部71に近接するよう円弧状に移動すると共に、前記球通過領域Pをパチンコ球が通過不能に閉鎖するようになっている。
【0043】
また、図5(a)に示すように、前記作動部材100が作動状態にある場合に、前記転動面101が前記前側規制部88の下端部より下方に位置するよう構成されている。すなわち、前記作動部材100が作動状態にある場合には、前記転動面101と前側規制部88の下端部との間に、前方へ開口する空間部(隙間)が形成されるよう構成されており、当該転動面101と前側規制部88の下端部との間の空間部(隙間)を介して、転動面101上のパチンコ球を前側から視認し得るようになっている。更に、前記前側規制部88の下端部には、前記待機状態にある前記作動部材100の段部105(後述)と係合可能な凹状の係合凹部(係合部)88cが左端部に形成されており、待機状態において当該段部105が係合凹部88cと係合することで、作動部材100の左右方向のがたつきを抑制して、当該待機状態における設置状態の安定性を高めるようになっている。
【0044】
前記前側規制部88には、図3(b)および図7(b)に示すように、当該前側規制部88の上辺に沿って左右方向に延在する減勢リブ(減勢部)88aが後方(台板部71側)へ向けて突出するよう形成されている。この減勢リブ88aは、作動状態にある作動部材100の転動面101から上方へ向けてパチンコ球の直径以上に離間した位置に形成され、上方から転動面101側に流下するパチンコ球の流速を低減させる一方で、転動面101上を転動するパチンコ球の移動を妨害しないように形成されている。ここで、前記台板部71に設けられた減勢リブ76と、前側規制部88に設けられた減勢リブ88aとは、図8に示すように、上下に離間して互い違いに位置するように形成されている。すなわち、特別入賞部70は、台板部71および前側規制部88の間へ向けて流入するパチンコ球を各減勢リブ76,88aに順に接触させることで流速を低下させ、当該パチンコ球を転動面101(連結部130)で受け止めた際の衝撃を緩和し得るように構成されている。
【0045】
更に、図7(b)および図8に示すように、前記前側規制部88の後面には、当該前側規制部88の下辺に沿って左右方向に延在する突条88bが形成されている。この突条88bは、前記作動状態における転動面101の左右方向の傾斜に沿って延在するよう設けられると共に、当該転動面101上に位置するパチンコ球が接触可能な位置に設けられている。前記突条88bは、前記転動面101および突条88bに接触したパチンコ球の重心を転動面101の前端縁と突条88bとの間に位置させない突出寸法で前側規制部88の後面から後方へ突出するよう形成されている。すなわち、転動面101で受け止められたパチンコ球を、前記突条88bとの接触により台板部71側に誘導し得るよう構成してある。すなわち、作動状態から待機状態への作動部材100の変位に伴って前記台板部71から離間するよう転動面101が移動した際に、当該転動面101上にあるパチンコ球を台板部71と転動面101との間から速やかに落下させて球通過領域Pへ通過させ得るようになっている。また、前記突条88bは、前記前側規制部88の右端部から前記係合凹部88cの形成位置までの間の範囲に形成されている。すなわち、前記作動部材100の転動面101における傾斜下端側(後述する第2の転動面部103)に対応する部分には設けられておらず、転動面101における傾斜下端側を除く傾斜上端側に対応する範囲(後述する第1の転動面部102の形成位置に対応する範囲)に前記突条88bが形成されている。すなわち、パチンコ球が転動面101の第2の転動面部103を転動する状態では、前記作動部材100の開閉部113(後述)の傾斜に沿って前記台板部71から離間するように移動するパチンコ球の動きを突条88bが阻害しないようになっている。
【0046】
(ケース体91について)
前記ケース体91は、台板部71の裏面側に固定されると共に後方に開口する箱状に形成された前収容体91aと、この前収容体91aの開口を塞ぐように当該前収容体91aに組み付けられると共に前方に開口する箱状に形成された後収容体91bとから横長の矩形箱状に構成されており、これら前収容体91aおよび後収容体91bの間に、前記特別入賞ソレノイド64および連繋機構150が収容される収容空間95が画成されている。そして、ケース体91の前面(前収容体91aの前面)には、前記台板部71に形成されたアーム挿通口75aの後方位置に、前記収容空間95に開口する連繋開口91c(図9および図11(a)参照)が形成されており、当該連繋開口91cを介して前記作動部材100(後述の作用部112)が収容空間95の側に臨んで前記連繋機構150(後述する第3連繋部材159)に接続するようになっている。また、前記ケース体(前収容体91a)には、上下方向に延在するガイド壁部94a(図11(b)参照)が前記連繋開口91cの開口右端縁から後方(収容空間95の内部側)に延出するよう形成されると共に、当該ケース体(後収容体91b)において連繋開口91cの後方の臨む位置に、上下方向に延在するガイド溝94b(図9参照)が形成されており、当該ガイド壁部94aおよびガイド溝94bにより第3連繋部材159の上下移動を案内するようになっている。
【0047】
なお、特別入賞ソレノイド64は、コイルバネ64cにより付勢されたプランジャ64bの先端部が当該特別入賞ソレノイド64の駆動停止状態(非通電状態)において基体64aから突出し、駆動状態(通電状態)とした場合にプランジャ64bが駆動停止状態よりも基体64a側に引き付けられるように構成されている。特別入賞ソレノイド64は、プランジャ64bが基体64aに対し左側に位置して左右方向に移動可能となる横向き姿勢で前記収容空間95の右側に偏倚した位置に収容されている。
【0048】
(連繋機構150について)
前記連繋機構150は、図9および図10に示すように、前記特別入賞ソレノイド64のプランジャ64bに連結されて当該プランジャ64bと一体的に移動する第1連繋部材151と、該第1連繋部材151に連繋する第2連繋部材155と、該第2連繋部材155に連繋して特別入賞ソレノイド64の駆動力を前記作動部材100の作用部112に伝達する第3連繋部材159とにより構成されている。
【0049】
前記第1連繋部材151は、図12および図13に示すように、プランジャ64bの先端部に固定されて前記後収容体91bの上下の壁部に摺接する第1基部152と、該第1基部152の前側上端部から上方へ延出する板状の上側摺動板153と、第1基部152の前側下端部から下方へ延出する板状の下側摺動板154とを備え、前記特別入賞ソレノイド64の駆動に伴って前記収容空間95内を左右方向に移動するよう構成されている。また、前記上側摺動板153には、当該上側摺動板153において第1基部152より左側に延在する部位の下端部に、下方に開口する凹部153aが形成されており、当該凹部153aに前記第2連繋部材155が接続して第1連繋部材151の動作に伴って第2連繋部材155が作動されるようになっている。ここで、前記上側摺動板153および下側摺動板154は、各摺動板153,154を前後から挟むよう前記ケース体91に設けられた前側の案内壁92aおよび後側の案内壁92bに摺接するよう構成されており、特別入賞ソレノイド64を駆動した際に、前記第1連繋部材151が一定の姿勢(凹部153aが下方に開口する姿勢)で左右方向に移動するようになっている。
【0050】
前記第2連繋部材155は、図12および図13に示すように、前後に貫通孔156aが貫通する円筒状の第2基部156と、該第2基部156の外周面から当該第2基部156の径方向に突出して前記第1連繋部材151に接続する連繋第1突部157と、該第2基部156の外周面から当該第2基部156の径方向に突出して前記第3連繋部材159に接続する連繋第2突部158とを備えている。そして、前記第2基部156の貫通孔156aに、前記ケース体91(前収容体91a)に形成された前後に延在する連繋用軸93(図10参照)が挿通されて、当該連繋用軸93を中心として前記第2連繋部材155が収容空間95内で揺動可能に支持されている。また、前記連繋第1突部157の突出端部には、前記連繋用軸93の軸線と平行となるよう後方へ突出する連繋第1作用軸157aが形成されて、当該連繋第1作用軸157aが前記第1連繋部材151の凹部153aに係合するよう構成されており、該第1連繋部材151が左右方向へ移動することで、第2連繋部材155が連繋用軸93を中心として揺動するようになっている。更に、前記連繋第2突部158の突出端部には、前記連繋用軸93の軸線と平行となるよう後方へ突出する連繋第2作用軸158aが形成されており、当該連繋第2作用軸158aに前記第3連繋部材159が接続して第2連繋部材155の動作に伴って第3連繋部材159が作動されるようになっている。
【0051】
前記第3連繋部材159は、図12および図13に示すように、前記連繋開口91cを介して前記ケース体91(収容空間95)の外部に露出して前記作動部材100に接続する第3基部160と、該第3基部160の下端部から右方に延出して前記第2連繋部材155に接続する延出係合部165とを備えて、第2連繋部材155の作動に伴い第3基部160が連繋開口91cに臨んだ状態で前記収容空間95内を上下方向に移動するよう構成されている。ここで、前記第3基部160には、前記連繋開口91cに臨む左側面に、前方および左側方へ開口する連繋凹部164が形成されている。そして、連繋凹部164における上下の壁部の間に、前記作動部材100の作用部112が位置するよう構成されている。ここで、自重により待機状態から作動状態へ変位するよう実施例の作動部材100が構成されていることから、前記作用部112が前記連繋凹部164の上側に位置する作用壁部164aに当接するようになっている。すなわち、前記第3連繋部材159の上下方向への移動に伴って前記連繋凹部164の作用壁部164aに当接した作用部112が上下に移動することで、前記作動部材100が待機状態および作動状態に変位するようになっている。
【0052】
また、図9図12および図13に示すように、前記第3基部160の右側縁には、前方へ開口する凹溝状の連繋前側係合部161が上下方向に延在するよう設けられると共に、当該第3基部160の後端部には、後方へ突出する連繋後側係合部162が上下方向に延在するよう設けられている。そして、前記連繋前側係合部161に対して前記ケース体91のガイド壁部94aが前側から摺接可能に差し込まれると共に、連繋後側係合部162がケース体91のガイド溝94bに前側から摺接可能に差し込まれて、第3連繋部材159が一定の姿勢(連繋凹部164に作用部112が臨む姿勢)で上下方向に移動可能になっている。
【0053】
前記延出係合部165は、図9図12および図13に示すように、前記第3連繋部材159の移動方向(上下方向)に直交する方向へ延在する平板状の摺動板165aと、当該摺動板165aの後端部に設けられ、前後に開口する長孔165cが左右方向に延在するよう開設された作動孔部165bとを備えている。そして、前記摺動板165aの上面に、前記第2連繋部材155における連繋第2突部158の突出端部が摺接すると共に、前記作動孔部165bの長孔165cに、当該連繋第2突部158に設けられた前記連繋第2作用軸158aが挿入されている。すなわち、前記特別入賞ソレノイド64の駆動に伴って、前記第2連繋部材155が揺動するのに伴い、前記連繋第2作用軸158aが作動孔部165bを作動することで、前記第3連繋部材159が上下方向に移動するようになっている。
【0054】
ここで、前記第3連繋部材159が最下部に位置する状態(すなわち作動部材100の待機状態に対応した状態)では、前記摺動板165aおよび連繋第2突部158の接触点と前記連繋用軸93(貫通孔156aの中心)とを結ぶ直線が、当該摺動板165aに直交するようになっている。すなわち、前記第3連繋部材159が最下部に位置する状態では、当該第3連繋部材159を上方へ移動させる力が作用した場合(作動部材100を待機状態から作動状態に変位させる力が作用した場合)に、前記第2連繋部材155を揺動させる方向へ力が作用しないよう構成されており、当該第3連繋部材159の上方移動が規制されるよう構成されている。言い換えると、前記第2連繋部材155および第3連繋部材159は、前記特別入賞ソレノイド64を非駆動時に作動部材100を待機状態に保持させるロック手段として機能し、当該特別入賞ソレノイド64を駆動した場合に限り作動部材100を待機状態から作動状態に変位させ得るようになっている。
【0055】
(作動部材100について)
前記作動部材100は、図9および図10に示すように、前記装置本体Mに対して一方端部が揺動可能に支持されると共に前記台板部71の前面側において左右方向に離間する左右一対のアーム部110,120と、当該一対のアーム部110,120の枢支端部と反対側に位置する他方端部を連結する連結部130とを備えた略コ字状に形成されて、当該アーム部110,120が揺動した際に、台板部71の前面側において連結部130が台板部71に対して近接および離間するよう構成されている。そして、前記連結部130において一対のアーム部110,120の枢支端部側(装置本体Mに枢支される一方端部側)を向く面に、前記転動面101が当該連結部130の長手方向に沿って延在するよう設けられている。なお、前記左右のアーム部110,120には、前記作動状態において上方に位置する上端部(一方端部)に、相互に離間する方向へ突出するよう左右の軸部111,121が形成されて、軸線が左下がりに傾く姿勢で当該左右の軸部111,121が前記装置本体Mの軸受け部74a,74b,89a89bに支持されている。なお、以下の説明では、左側のアーム部を左アーム部110と指称し、右側のアーム部を右アーム部120と指称して区別する場合がある。
【0056】
(アーム部110,120について)
前記左アーム部110は、図7(a)に示すように、前記特別入賞口70aの開口縁に隣接して位置するよう設けられて、前記台板部71のアーム挿通口75aを介して当該左アーム部110の後端部が台板部71の後側に突出するよう構成されている。そして、左アーム部110において台板部71の後側に突出する位置に作用部112が設けられており、当該作用部112が前記連繋機構150の第3連繋部材(連繋凹部164)に前側から差し込まれるようになっている。これにより、前記特別入賞ソレノイド64の駆動に伴って作動部材100が待機状態および作動状態に変位するよう構成されている。ここで、前記待機状態から作動状態に作動部材100が揺動する際には、前記軸部111,121を中心として連結部130(転動面101)が下方へ移動しつつ台板部71に近接移動し、反対に作動状態から待機状態に作動部材100が揺動する際には、軸部111,121を中心として連結部130(転動面101)が台板部71から離間しつつ上方へ移動するようになっている(図6参照)。すなわち、前記作動部材100は、作動状態から待機状態に変位する際に、前記転動面101上のパチンコ球を前記球通過領域Pに通過させるように揺動するよう構成されている。
【0057】
ここで、図6に示すように、前記一対のアーム部110,120は、当該一対のアーム部110,120および連結部130で囲まれる領域をパチンコ球が通過し得るよう当該連結部130を台板部71から離間させ得る長さ寸法で形成されている。そして、前記待機状態では、前記台板部71との間をパチンコ球が通過し得るよう前記連結部130を台板部71から前方へ離間させると共に、前記作動状態では、台板部71との間をパチンコ球が通過不能となるよう連結部130を待機状態よりも台板部71の前方へ近接させるよう構成されている。すなわち、前記作動部材100は、左アーム部110および右アーム部120の揺動に伴って連結部130が台板部71の前面側で前後動することで待機状態と作動状態とに変位すると共に、待機状態において台板部71との間をパチンコ球が通過し得るよう連結部130が台板部71の前方に離間して、左右のアーム部110,120および連結部130により囲まれる領域を通過したパチンコ球の球通過領域Pの通過を許容し、作動状態において台板部71との間をパチンコ球が通過不能となるよう連結部130が台板部71の前方に位置して特別入賞口70aとは異なる位置(右側のアウト口53)へ向かうパチンコ球を連結部130(転動面101)で受け止めるように構成されている。
【0058】
また、図6に示すように、前記作動部材100が待機状態にある場合には、前記特別入賞口70aの開口前側に前記左アーム部110の一部が位置して当該特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を防止すると共に、当該作動部材100が作動状態にある場合には、特別入賞口70aの開口前側から後方へ左アーム部110が退避して当該特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を許容するよう構成されている。すなわち、前記左アーム部110は、前記作動部材100が待機状態および作動状態に変位するのに伴い、前記特別入賞口70aが左アーム部110により開閉されるようになっている。そこで、以下の説明では、前記左アーム部110において特別入賞口70aを開閉する部位を開閉部113と指称するものとする。すなわち、前記作動部材100は、前記特別入賞口70aをパチンコ球が入賞不能に閉鎖する開閉部113を前記転動面101の左右方向の傾斜下端側に備えており、前記作動部材100が前記球通過領域Pを開放する待機状態において前記開閉部113が特別入賞口70aを閉鎖すると共に、当該作動部材100が球通過領域Pを閉鎖する作動状態において開閉部113が特別入賞口70aを開放するよう構成されている。実施例では、作動状態を基準として、前記左アーム部110(開閉部113)を後方に向かって凹となる湾曲形状に形成することで、当該作動状態において前記特別入賞口70aの開口前側に重ならないよう左アーム部110(開閉部113)が後方へ退避するよう構成されている。なお、前記開閉部113により特別入賞口70aが閉鎖された状態において、パチンコ球が入賞し得ない開口幅で特別入賞口70aの一部が前記空間部Sに開口するよう構成してあるが、当該特別入賞口70aの開口前側が開閉部113で完全に塞がれる構成とすることも可能である。
【0059】
また、前記開閉部113は、図6および図9に示すように、前記特別入賞口70aと反対側を向く右側面が前縁側に近づくにつれて特別入賞口70a側に傾斜する傾斜面状に形成されて、作動部材100が作動状態から待機状態に変位した際に、特別入賞口70aの開口前縁に近接する位置で、当該特別入賞口70aと転動面101上のパチンコ球との間に開閉部113を差し込ませ得るようになっている。すなわち、前記開閉部113を傾斜面状に形成することで、特別入賞口70aに入賞する間際のパチンコ球(特別入賞検出センサ68で検出される間際のパチンコ球)を当該特別入賞口70aから前記空間部S側に押し戻し得るようになっている。また、前記作動部材100が作動状態にある場合に、前記開閉部113の一部が前記台板部71の前側に突出すると共に、前記転動面101より上方に位置するよう構成されており(図5(b)および図6(a)参照)、台板部71に接した状態で転動面101を転動するパチンコ球が開閉部113に接触するようになっている。すなわち、前記台板部71に接した状態で転動面101を転動するパチンコ球が、当該転動面101の左右方向の傾斜下端部において前記開閉部113に接触することで、当該開閉部113の傾斜に沿ってパチンコ球を台板部71から離間させて、前記特別入賞口70aの開口の中心にパチンコ球を誘導し得るようになっている。このように、実施例における作動部材100の開閉部113は、前記転動面101を転動するパチンコ球を前記台板部71から離間させて特別入賞口70aに誘導する誘導面として機能している。
【0060】
前記右アーム部120は、図9および図10に示すように、前記右軸部121および連結部130を直線状に連結する棒状に形成されており、前記作動部材100が作動状態に変位した際に、前記台板部71に形成された前記アーム支持溝75bに前側から嵌まり込んで当該右アーム部120が左右方向に移動しないよう構成されている。また、前記右アーム部120における連結部130との接続端部(他方端部)に錘部122が設けられており、前記作動部材100を待機状態から作動状態へ向けて付勢するよう構成されている。すなわち、作動部材100において台板部71に枢支される軸部111,121から離間する端部側に錘部122を設けることで、作動部材100を待機状態から作動状態へ速やかに変位させ得ると共に、作動状態における作動部材100の安定性を錘部122により高めて、前記遊技領域21(第2流下経路21b)を流下するパチンコ球が転動面101に接触した際の衝撃により作動部材100が作動状態から待機状態に変位するのを防止し得るよう構成されている。
【0061】
前記錘部122は、図7に示すように、右側方へ開口する円筒状の錘固定部122aの側方開口から金属製の錘部材123を嵌入固定することで形成されている。また、前記錘部122は、前記装置本体M(前側部材81)の上壁部84aに連続する上壁部87a(庇部87)の下方に位置すると共に庇部87の垂下壁部87bよりも右側方に離間して位置するよう設けられており、遊技領域21(第2流下経路21b)を流下するパチンコ球が錘部122に接触するのを防止している。すなわち、前記装置本体M(前側部材81)には、前記台板部71の前面側で錘部122の移動範囲の上方に、当該錘部122に対するパチンコ球の接触を防止する庇部87が設けられており、遊技領域21(第2流下経路21b)を流下するパチンコ球が錘部122に接触して待機状態から作動状態へ向けて付勢されるのを防ぐようになっている。
【0062】
(連結部130について)
前記連結部130は、図8図9および図10に示すように、前記軸部111,121の軸線と平行に延在する棒状に形成されており、前記作動部材100が装置本体Mに支持された状態で、当該連結部130の左端部が右端部より下側に位置して左下がりに傾斜するよう構成されている。そして、前記連結部130において左アーム部110および右アーム部120の枢支端側を向く面(作動状態において上側を向く面)に前記転動面101が形成されており、図5に示すように、作動部材100が作動状態にある状態で連結部130(転動面101)に受け止められたパチンコ球を、左右方向の傾斜下端となる左端部へ向けて転動させ得るようになっている。ここで、前記作動状態にある転動面101の左端部は、前記特別入賞口70aの開口下端部と略整合する高さ位置に位置するよう構成されており、当該転動面101上のパチンコ球を特別入賞口70aへ向けて転動させ得るよう構成されている。すなわち、前記転動面101は、作動状態において特別入賞口70aへ向かうパチンコ球の流路の下流側へ下方傾斜するよう前記作動部材100に設けられており、前記球通過領域Pの通過を連結部130(転動面101)で規制されたパチンコ球を特別入賞口70aへ向けて転動させるようになっている。また、作動状態において前記連結部130(転動面101)は、パチンコ球の直径より狭い間隔で前記台板部71の前側に離間するよう構成されており(図6(b)参照)、作動部材100を待機状態へ向けて変位させることで、当該連結部130(転動面101)と台板部71との間の間隔をパチンコ球の直径以上の間隔に速やかに拡大して転動面101上のパチンコ球を球通過領域P側に落下させ得るようになっている。
【0063】
また、図4(a)および図6(a)に示すように、前記待機状態にある場合には、前記前側部材81における前記前側規制部88の下端部に前記連結部130が当接するよう構成されており、当該待機状態での転動面101の少なくとも一部が前側規制部88の下端部に対向するようになっている。実施例では、待機状態において前記連結部130(転動面101)の全長が前側規制部88の下端部に当接するよう構成されている。すなわち、待機状態における転動面101に対して上方から流下するパチンコ球が接触しないよう構成されており、パチンコ球との接触により作動部材100が待機状態から作動状態に変位されるのを防止している。
【0064】
(転動面101について)
また、図5(a)および図6(b)に示すように、前記転動面101は、前記作動状態において前記特別入賞口70aへ向けて下方傾斜すると共に台板部71側に下方傾斜するよう形成されている。すなわち、前記転動面101は、前記作動状態において左右方向および前記台板部71側の夫々に下方傾斜しており、当該転動面101上のパチンコ球を台板部71に接した状態で特別入賞口70aへ向けて転動させるよう構成されている。このため、作動状態から待機状態に作動部材100が変位するのに伴って前記連結部130(転動面101)が台板部71から離間するよう移動することにより、当該転動面101上のパチンコ球を台板部71と転動面101との間から速やかに落下させて球通過領域Pを通過させ得るようになっている。
【0065】
また、図5(b)に示すように、前記転動面101は、左右方向における傾斜上端側と傾斜下端側とで幅寸法が異なるよう形成されている。具体的に、前記転動面101は、左右方向の傾斜上端側に位置する帯状の第1の転動面部102と、当該第1の転動面部102における左右方向の傾斜下端に連設して第1の転動面部102より幅寸法が大きな第2の転動面部103とを有している。この第1の転動面部102および第2の転動面部103は、作動状態において前記台板部71に対向する後端部(他方の部材に近接する側の端部)が両転動面部102,103の形成部位に亘って連続した直線状に形成されている。そして、前記第2の転動面部103における前記前側部材81の前側規制部88側に位置する前端部(一方の部材に近接する側の端部)は、前記第1の転動面部102における前側規制部88側に位置する前端部よりも前方へ位置するよう形成されている。すなわち、前記作動部材100には、前記転動面101(第1および第2の転動面部102,103)の前端部に、両転動面部102,103の連設部に対応して段部105が形成されている。この段部105は、前記作動部材100が待機状態にある場合に、前記前側部材81(前側規制部88)に形成された前記係合凹部88cに下方から係合するよう構成されて、作動部材100の軸線方向への位置ずれを防止している。
【0066】
このように、前記転動面101において前記開閉部113が形成された傾斜下端部に対応して第2の転動面部102を幅広にすることで、当該開閉部113の傾斜に沿って台板部71に接した状態で転動面101(第1の転動面部102)を転動するパチンコ球を特別入賞口70aの中心に揃うよう前方へ誘導したとしても、第2の転動面部103上を転動させ得るから、パチンコ球を安定して転動面101上を転動させることができる。なお、前記第2の転動面部103は、前記開閉部113の右端部(左側のアーム部110の右側面)からパチンコ球の直径より大きな範囲に亘って形成してある。
【0067】
(特図表示部について)
図2に示すように、遊技盤18の遊技領域21の右下部位置には、メイン制御基板60により表示制御される特図表示部(特別図柄表示手段)36が設けられている。特図表示部36は、複数個のLED(発光部)から構成されており、前記始動入賞口28a,33aへのパチンコ球の入賞を契機として、特図表示部36のLEDが変動表示(点灯・消灯する点滅変動)されて、最終的にLEDが確定的に点灯した点灯位置(点灯パターン)により、特図当り判定の判定結果を示す特別図柄(特図)を表すよう構成されている。なお、実施例では、前記第1始動入賞部28における第1始動入賞口28aへのパチンコ球の入賞を契機として変動表示される複数個のLED(実施例では7個)から構成された第1特図表示部36aと、前記第2始動入賞部33における第2始動入賞口33aへのパチンコ球の入賞を契機として変動表示される複数個のLED(実施例では6個)から構成された第2特図表示部36bとから構成されている(図10(a)参照)。ここで、前記特図は、大当りか否かなどの特図当り判定の結果を示す報知用の図柄とされて、前記特図表示部36では、LEDの点灯位置の組み合わせで複数種類の特図が表示されるようになっている。そして、前記図柄表示装置17では、メイン制御基板60からの制御信号に基づいて、前記特図表示部36で行われる特図変動表示に係わる表示演出(図柄変動演出)が行われるようサブ制御基板61が制御を行うようなっている。具体的には、図柄表示装置17では、変動画像(または画像表示)に基づく表示演出が行われると共に、複数種類の図柄(飾図)を複数列で変動させて図柄組み合わせを表示する図柄変動演出が行われる。なお、特図表示部36と図柄表示装置17では、特図変動表示と飾図変動表示が同時に開始され、同時に終了する(すなわち、同時に特図と飾図が確定停止表示される)。
【0068】
実施例において特図表示部36には、複数種類(実施例では101種類)の特図の中から、特図当り判定の判定結果に対応する1つの特図が選択され、特図変動表示の終了に伴って選択された特図が個別に確定停止表示される。なお、前記特図表示部36に表示される特図には、大当りを認識し得る図柄となる100種類の大当り図柄(大当り表示結果に相当する)と、はずれを認識し得る図柄となる1種類のはずれ図柄とに分類される。そして、特図表示部36に大当り図柄が表示された場合に、遊技者に大当り遊技が付与される。実施例のパチンコ機10に設定された大当り遊技については後で詳細に説明する。
【0069】
また、前記図柄表示装置17には、左右列に「0」〜「7」の8種類の数字が飾図として表示されると共に、中央列に「0」〜「7」の8種類の数字および「A」の英字が飾図として表示されるようになっている。そして、図柄表示装置17に停止表示された全列の飾図が同一種類の場合には、その図柄組み合わせ(「777」等)から大当り遊技が付与される大当りの発生を認識できる。この大当りを認識できる図柄組み合わせが飾図による大当りの図柄組み合わせ(大当り表示結果)となる。そして、図柄変動演出の結果、大当り表示が確定停止表示されると、その後に大当り遊技が遊技者に付与される。一方、図柄表示装置17に確定停止表示された全列の飾図が異なる種類の場合または1列の図柄が他の2列の図柄とは異なる種類の場合には、原則として、その図柄組み合わせ(「123」等)からはずれを認識できる。このはずれを認識できる図柄組み合わせが飾図によるはずれの図柄組み合わせ(はずれ表示結果)となる。
【0070】
そして、特図表示部36に大当り図柄が確定停止表示される場合には、原則として図柄表示装置17にも大当りの図柄組み合わせ(例えば「333」等)が確定停止表示されるようになっている。また、特図表示部36にはずれ図柄が停止表示される場合には、図柄表示装置17にもはずれの図柄組み合わせ(例えば「754」等)が確定停止表示されるようになっている。なお、特図に対する飾図の図柄組み合わせは一対一の関係となっているとは限らず、1つの特図に対して複数の飾図による図柄組み合わせの中から1つの飾図による図柄組み合わせが選択されるようになっている。
【0071】
(特図保留表示部について)
また、図2に示すように、遊技盤18の右下部位置には、第1始動入賞口28aへのパチンコ球の入賞に応じて機内部(RAM60c)の特定の記憶エリアに入賞単位で記憶された入賞情報(各種乱数の乱数値)の記憶数(始動保留数)を表示する複数のLED(実施例では2個)から構成された第1特図保留表示部37が配設されると共に、第2始動入賞口33aへのパチンコ球の入賞に応じて機内部(RAM60c)の特定の記憶エリアに入賞単位で記憶された特図に関する入賞情報(各種乱数の乱数値)の記憶数(始動保留数)を表示する複数のLED(実施例では2個)から構成された第2特図保留表示部38が配設されており、該第1および第2特図保留表示部37,38の表示内容によって保留されている特図変動表示(図柄変動演出)の回数が報知される。
【0072】
ここで、前記第1特図保留表示部37で表示される第1特図始動保留記憶数は、第1始動入賞口28aへパチンコ球が入賞することで1加算されると共に、特図変動表示(図柄変動演出)が行われることにより1減算される。同様に、前記第2特図保留表示部38で表示される第2特図始動保留記憶数は、第2始動入賞口33aへパチンコ球が入賞することで1加算されると共に、特図変動表示(図柄変動演出)が行われることにより1減算される。なお、第1および第2特図始動保留記憶数には所定の上限数(実施例では「4」)が設定されており、該上限数まで第1および第2特図始動保留記憶数を加算し得るよう設定されている。なお、前記第1および第2特図保留表示部37,38の夫々は、複数(実施例では2つ)のLEDから構成されており、実施例では、当該2つのLEDの発光態様にて4種類の特図始動保留記憶数を示している。具体的には、特図変動表示の保留数に応じて、右上側LEDだけが点灯する態様と、左下側LEDだけが点灯する態様と、2つのLEDが共に点滅する態様と、2つのLEDが共に点灯する態様とに第1および第2特図保留表示部37,38の夫々を発光制御することにより、特図変動表示の保留数を把握し得るようになっている。
【0073】
(普図表示部について)
また、図2に示すように、遊技盤18の右下部位置には、複数のLED(実施例では2個)から構成された普図表示部39が配設されている。この普図表示部39では、複数種類の普通図柄(以下、「普図」と示す場合がある)を変動させて1つの普図を導出する普図変動表示が行われるようになっている。実施例では、2つのLEDの発光態様にて2種類の普図を示しており、具体的には、右上側LEDだけが点灯する態様と、左下側LEDだけが点灯する態様とにより、2種類の普図を示している。なお、以下では、説明の都合上、右上側LEDだけが点灯することにより示す普図を普図「0」とし、左下側LEDだけが点灯することにより示す普図を普図「1」とする。そして、前記普図表示部39の最終的な表示結果から普図当りまたははずれを認識できるようになっている。具体的には、普図当りの場合に普図表示部39に普図「1」が表示され、はずれの場合に普図「0」が表示される。すなわち、この普図当りを認識できる普図が普図当りの表示結果となり、はずれを認識できる普図が普図はずれの表示結果となる。
【0074】
(普図保留について)
また、図2に示すように、遊技盤18の右下部位置には、ゲート部31に対するパチンコ球の通過に応じて機内部(RAM60c)の特定の記憶エリアに入賞単位で記憶された普図に関する検出情報(各種乱数の乱数値)の記憶数(始動保留球)を表示する複数のLED(実施例では2個)から構成された普図保留表示部40が配設されており、該普図保留表示部40の表示内容によって保留されている普図の変動回数が報知される。前記普図保留表示部40で表示される普図始動保留記憶数は、ゲート部31をパチンコ球が通過すると1加算され、普図変動表示が開始されることにより1減算される。なお、普図始動保留記憶数には所定の上限数(実施例では「4」)が設定されており、該上限数まで普図始動保留記憶数を加算し得るよう設定されている。なお、前記普図保留表示部40は、複数(実施例では2つ)のLEDから構成されており、実施例では、当該2つのLEDの発光態様にて4種類の普図始動保留記憶数を示している。具体的には、普図変動表示の保留数に応じて、右上側LEDだけが点灯する態様と、左下側LEDだけが点灯する態様と、2つのLEDが共に点滅する態様と、2つのLEDが共に点灯する態様とに普図保留表示部40を発光制御することにより、普図変動演出の保留数を把握し得るようになっている。
【0075】
(確変について)
実施例のパチンコ機10は、大当り遊技終了後に遊技者に有利な特別遊技状態として確率変動状態(以下「確変」という)を付与する機能を備えている。確変機能は、確定停止表示された大当り図柄(特図)の種類が予め定めた確変図柄であることを条件として、大当り遊技終了後に、特図当り判定において当り判定(当選)となる確率(当り確率)を低確率(通常状態)である通常確率(実施例では、175/65536)から高確率(実施例では、903/65536)に変動させる確変状態(確率変動状態)を付与する機能である。確変状態が付与されると、特図当り判定による当り確率が高確率に変動して大当りが生起され易くなるため、確変状態は遊技者にとって有利であり、遊技者は確変大当りになることを期待しつつ遊技を行っている。なお、実施例では、大当り遊技終了後に必ず確変状態が付与されるようになっている。確変状態は、予め定めた確変回数(実施例では100回)の特図変動表示が行われるか、当該確変回数の特図変動表示が行われる前に大当り遊技が発生するまでの間継続して付与される。
【0076】
(入賞率向上状態について)
また、実施例のパチンコ機10は、大当り遊技終了後に遊技者に有利な特別遊技状態として入賞率向上状態を付与する機能を備えている。この入賞率向上状態は、前記普図表示部39で行われる普図変動表示の変動時間が短縮されると共に、普図変動表示の普図当り確率が通常確率(実施例では、1125/65536)から高確率(実施例では、65535/65536)に変動した状態である。また、入賞率向上状態が付与された状態では、入賞率向上状態が付与されていない状態とは異なる動作パターンで開閉部材33bを開閉動作するようになっている。具体的には、入賞率向上状態が付与されていない状態では、普図変動表示で当選した場合(普図当りの場合)に、開閉部材33bが開放してから300ms経過するまで開放状態を維持する開放動作を1回行なうようになっている。一方で、入賞率向上状態が付与されている状態では、普図変動表示に当選した場合(普図当りの場合)に、開閉部材33bは開放してから1024msが経過するまで開放状態を維持する開放動作を5回繰り返すようになっている。すなわち、入賞率向上状態が付与されている状態では、入賞率向上状態が付与されていない状態と比較して、開閉部材33bの合計開放時間が長く、遊技者にとって有利に動作するように設定されている。なお、実施例では、確変状態が付与される場合に入賞率向上状態が併せて付与されるよう構成されており、予め定めた回数(実施例では100回)の特図変動表示が行われるか、当該回数の特図変動表示が行われる前に大当り遊技が発生するまでの間継続して付与される。
【0077】
(大当り遊技について)
次に、実施例のパチンコ機10で付与される大当り遊技について説明する。大当り遊技は、特図変動表示の結果として特図表示部36に大当り図柄が停止表示された後に開始されるよう設定されており、大当り遊技の開始を示す演出を実行可能なオープニング時間OPと、オープニング時間OPの経過後に行われる規定ラウンド数(実施例では16ラウンドおよび2ラウンドの2種類)だけ繰り返されるラウンド遊技Rと、大当り遊技の終了を示す演出を実行可能なエンディング時間EDとにより構成されている。前記ラウンド遊技Rでは、発生した大当りの種類に応じた作動パターンに基づいて、特別入賞部70の作動部材100が待機状態および作動状態の間を1回の往復動作または複数回の往復動作を行うようメイン制御基板60のCPU60aにより作動されて、1回のラウンド遊技Rにおいて特別入賞口70aに規定個数(例えば9個)のパチンコ球が入賞するか、或いは各ラウンド遊技Rの開始から規定時間(ラウンド遊技時間)が経過することを条件(ラウンド終了条件)として1回のラウンド遊技Rが終了する。大当り遊技における各ラウンド遊技Rの後には、作動部材100が待機状態(閉鎖状態)で保持される所定のラウンド間インターバル時間Ina1,Ina2が設定されている。また、作動部材100が待機状態および作動状態の間を複数回の往復動作を行うように作動されるラウンド遊技Rでは、ラウンド終了条件が成立する場合を除いて作動部材100が待機状態(閉鎖状態)で保持される所定のラウンド内インターバル時間Inbが設定されている。ここで、オープニング時間OP、エンディング時間ED、ラウンド間インターバル時間Ina1,Ina2およびラウンド内インターバル時間Inbの夫々は、作動部材100を待機状態に保持させるようCPU60aにより作動制御される。
【0078】
前述のように実施例の特別入賞部70は、作動部材100が待機状態にある場合にパチンコ球が特別入賞口70aに入賞し得ない閉鎖状態となり、作動部材100が作動状態にある場合にパチンコ球が特別入賞口70aに入賞可能な開放状態となる。すなわち、待機状態から作動状態に変位して再び待機状態に復帰する作動部材100の一連の動作が、特別入賞口70aを閉鎖状態から開放状態として再び閉鎖状態とする開閉動作となっている。そこで、前記作動部材100を待機状態から作動状態に変位させる動作を開放動作と指称し、当該作動部材100を作動状態から待機状態に変位させる動作を閉鎖動作と指称する場合がある。
【0079】
ここで、前記大当り遊技の各ラウンド遊技Rにおいて作動部材100が作動する作動パターンは、パチンコ球を所定の発射間隔で連続的に発射した条件において、前記待機状態から作動状態へ変位して待機状態に復帰するまでの1回(1往復)の作動においてラウンド遊技Rに定められた規定個数のパチンコ球が入賞可能な時間(第1の作動時間T1,T2)だけ作動部材100を作動状態に継続保持する長時間動作と、該長時間動作よりも作動部材100を作動状態に継続保持する時間が短く、前記1回(1往復)の作動においてパチンコ球の入賞が実質的に不可能な時間または入賞可能な開放時間であっても規定個数のパチンコ球の入賞は実質的に不可能な時間(第2の作動時間T3)だけ作動部材100を作動状態に継続保持する短時間動作とを適宜に組み合わせて構成されている。
【0080】
また、実施例の前記ROM60bには、前記作動時間として、作動部材100に長時間動作を行わせる作動時間(「第1の作動時間T1,T2」)と、作動部材100に短時間動作を行わせる作動時間(「第2の作動時間T3」)とが設定されている。第1の作動時間T1,T2は、作動部材100が閉鎖状態から開放状態へ変位すると同時に当該作動部材100の転動面101で受けたパチンコ球が当該第1の作動時間T1,T2の経過までに当該転動面101上から特別入賞口70aへ向かって離脱可能な時間として設定される。言い換えると、第1の作動時間T1,T2は、作動部材100が待機状態から作動状態に変位する(転動面101でパチンコ球を受け止め可能となる)のと同時に転動面101の傾斜上端部で受けたパチンコ球が当該転動面101の傾斜下端部まで転動するのに要する時間よりも長い時間に設定されて、当該転動面101から離脱したパチンコ球を特別入賞口70aに入賞させ得るようになっている。より具体的には、転動面101の傾斜上端部から傾斜下端部までパチンコ球が転動するのに要する時間よりも充分に長い時間(具体的には、「25(秒)」および「24.92(秒)」)に第1の作動時間T1,T2が設定されており、パチンコ球を所定の発射間隔で連続的に発射した条件において、作動部材100が待機状態から作動状態に変位してからラウンド終了条件となる規定個数(実施例では9個)のパチンコ球を特別入賞口70aに入賞させ得るよう構成されている。
【0081】
また、前記第2の作動時間T3は、作動部材100が待機状態から作動状態へ変位すると同時に当該作動部材100の転動面101で受けたパチンコ球を当該第2の作動時間T3の経過まで転動面101上に留まらせて当該作動部材100の待機状態への変位に伴って前記球通過領域Pに通過させ得る時間として設定される。言い換えると、第2の作動時間T3は、作動部材100が待機状態から作動状態に変位する(転動面101でパチンコ球を受け止め可能となる)のと同時に転動面101の傾斜上端部で受けたパチンコ球が当該転動面101の傾斜下端部まで転動するのに要する時間よりも短い時間に設定されて、当該転動面101からパチンコ球を離脱させることなく留まらせ得るようになっている。より具体的には、転動面101の傾斜上端部から傾斜下端部までパチンコ球が転動するのに要する時間よりも充分に短い時間(具体的には、「0.04(秒)」)に第2の作動時間T3が設定されており、作動部材100が待機状態から作動状態に変位してからパチンコ球を特別入賞口70aに殆ど入賞させ得ないよう構成されている。また、第2の作動時間T3は、前記遊技領域21(第2流下経路21b)を流下して転動面101に受け止められたパチンコ球が当該転動面101の左右の傾斜方向へ移動方向を転換するのが困難な極めて短い時間に設定されており、当該時間の経過まで転動面101上に留まらせ得るように設定されている。
【0082】
また、大当り遊技には、オープニング時間OP、ラウンド遊技Rおよびエンディング時間EDを利用して、大当り遊技の種類に応じた大当り遊技演出が図柄表示装置17の表示部17aで実行されるようになっている。大当り遊技演出としては、大当り遊技の開始を報知するオープニング演出や、特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を狙うことができる期間を報知するラウンド演出や、大当り遊技の終了を報知するエンディング演出が、大当り遊技の種類に応じて行われる。前記オープニング演出では、サブ制御基板61により図柄表示装置17が制御されて大当り遊技の開始を報知する表示画像(動画)が表示部17aに表示される。このオープニング演出は、オープニング時間OPの開始(大当り遊技の開始)に合わせて開始されると共に、特定の大当り遊技(後述する2R大当り遊技)を除き、オープニング時間OPの終了に合わせて終了される。また、前記エンディング演出では、サブ制御基板61により図柄表示装置17が制御されて大当り遊技の終了を報知する表示画像(動画)が表示部17aに表示される。このエンディング演出は、エンディング時間EDの終了(大当り遊技の終了)に合わせて終了される。ここで、エンディング演出は、大当り遊技の種類に応じて、エンディング時間EDの開始タイミングより早いタイミングで開始されて、大当り遊技の終了を報知するようになっている。
【0083】
(大当り遊技の種類)
実施例のパチンコ機10では、図15Aに示すように、当り判定に当選した(判定結果が肯定である)場合に、遊技者に与える価値が異なる複数種類(実施例では4種類)の大当り遊技の中から1つの大当り遊技がCPU60aにより決定され、その決定された大当り遊技が付与される。ここで、種類の大当り遊技の内で何れの大当り遊技が付与されるかは、大当り判定に当選した際に決定される大当り図柄(特図1および特図2)の種類に基づいて決定されるようになっている。実施例において第1特図表示部36aに表示可能な100種類の大当り図柄としての特図1は、図柄A、図柄B、図柄C、図柄Dの4つのグループに分類されており、第1特図表示部36aに確定停止表示された特図1に応じて4種類の大当り遊技が付与されるようになっている。また、実施例において第2特図表示部36bに表示可能な100種類の大当り図柄としての特図2は、図柄a、図柄b、図柄c、図柄dの4つのグループに分類されており、第2特図表示部36bに確定停止表示された特図2に応じて4種類の大当り遊技が付与される。これらの特図に対応して付与される大当り遊技は、長時間動作のみを作動部材100に行わせる第1作動パターンに対応した16R大当り遊技が特図1(図柄A)および特図2(図柄a)に対応して設定され、短時間動作を含んだ開放動作を作動部材100に行わせる第2作動パターン〜第4作動パターンの夫々に対応した16R短縮大当り遊技、2R大当り遊技およびジャンプアップ大当り遊技が、特図1(図柄B、図柄C、図柄D)および特図2(図柄b、図柄c、図柄d)に対応して設定されている。各大当り遊技と作動部材100の作動パターンとの関係について説明する。
【0084】
(16R大当り遊技について)
図柄Aおよび図柄aに対応する前記16R大当り遊技は、図15Aに示すように、規定ラウンド数が「16回」に設定された大当り遊技であって、各ラウンド遊技Rの入賞上限個数が「9個」に設定されている。そして、16R大当り遊技では、特図当り判定の判定結果が当り判定となった時点での遊技状態に関係なく、大当り遊技終了後に、100回の特図の変動表示が行われるまでの間、大当り遊技終了後に確変状態および入賞率向上状態が付与されるようになっている。16R大当り遊技では、図15Bに示すように、1回のラウンド遊技Rのラウンド遊技時間として「25(秒)」が設定されており、各ラウンド遊技Rにおいて前記作動部材100が最大で第1の作動時間T1(25(秒))に亘って待機状態から作動状態に作動されるようになっている。なお、16R大当り遊技の大当り遊技では、オープニング演出が行われるオープニング時間OPとして「10.0(秒)」が設定され、エンディング演出が行われるエンディング時間EDとして「11.0(秒)」が夫々設定されている。また、ラウンド間インターバル時間Ina1は「2.0(秒)」に設定されている。
【0085】
すなわち、16R大当り遊技に対応した第1作動パターンは、ラウンド遊技Rの開始から終了まで継続して作動部材100を作動状態に保持して特別入賞口70aを開放する長時間動作を作動部材100に行わせるよう設定されている。具体的に、第1作動パターンでは、各ラウンド遊技Rに対応して各ラウンド遊技時間と一致する16回の第1の作動時間T1(25.0秒)が設定されて、各ラウンド遊技Rにおいて当該第1の作動時間T1に基づいて作動部材100を待機状態から作動状態に作動して特別入賞口70aを開放させることで、16回の開放動作を作動部材100に行わせるよう設定されている。なお、第1作動パターンでは、16R大当り遊技のオープニング時間OP、エンディング時間EDおよびラウンド間インターバル時間Ina1において作動部材100を待機状態に保持するよう設定されている。
【0086】
ここで、16R大当り遊技では、オープニング時間OPに合わせて「10.0(秒)」のオープニング演出が行われた後、作動部材100に長時間動作を行わせる16回のラウンド遊技Rに合わせてラウンド演出が行われ、16ラウンド目のラウンド遊技Rの後のラウンド間インターバルIna1の開始タイミングからエンディング時間EDの終了タイミングにかけて「13.0(秒)」のエンディング演出が行われるようになっている。なお、16R大当り遊技のエンディング演出では、16R短縮大当り遊技およびジャンプアップ大当り遊技のエンディング演出と同じ内容の表示画像(動画)が図柄表示装置17の表示部17aに表示されるように設定されている。
【0087】
(16R短縮大当り遊技について)
図柄Bおよび図柄bに対応する前記16R短縮大当り遊技は、図15Aに示すように、規定ラウンド数が「16回」に設定された大当り遊技であって、各ラウンド遊技Rの入賞上限個数が「9個」に設定される。そして、16R短縮大当り遊技では、特図当り判定の判定結果が当り判定となった時点での遊技状態に関係なく、大当り遊技終了後に、100回の特図の変動表示が行われるまでの間、大当り遊技終了後に確変状態および入賞率向上状態が付与されるようになっている。16R短縮大当り遊技では、図15Bに示すように、1ラウンド目〜9ラウンド目の1回のラウンド遊技Rのラウンド遊技時間として「25(秒)」が設定されており、各ラウンド遊技Rにおいて前記作動部材100が最大で第1の作動時間T1(25(秒))に亘って待機状態から作動状態に作動されるようになっている。一方で、10ラウンド目〜16ラウンド目の1回のラウンド遊技Rのラウンド遊技時間として「0.04(秒)」が設定されており、各ラウンド遊技Rにおいて前記作動部材100が最大で第2の作動時間T3(0.04(秒))に亘って待機状態から作動状態に作動されるようになっている。なお、この大当り遊技では、オープニング時間として「10.0(秒)」が設定され、エンディング時間として「0.22(秒)」が夫々設定されている。また、16R短縮大当り遊技では、長時間動作を行わせる1ラウンド目〜9ラウンド目のラウンド遊技Rの後のラウンド間インターバル時間Ina1は「2.0(秒)」に設定され、短時間動作を行わせる10ラウンド目〜16ラウンド目でラウンド遊技Rの後のラウンド間インターバル時間Ina2は「1.5(秒)」に設定されている。
【0088】
すなわち、16R短縮大当り遊技に対応した第2作動パターンは、1ラウンド目〜9ラウンド目のラウンド遊技Rにおいて、ラウンド遊技Rの開始から終了まで継続して作動部材100を作動状態に保持して特別入賞口70aを開放する長時間動作を作動部材100に行わせると共に、10ラウンド目〜16ラウンド目のラウンド遊技Rにおいて短時間動作を作動部材100に行わせるよう設定されている。具体的に、第2作動パターンでは、1ラウンド目〜9ラウンド目のラウンド遊技Rに対応してラウンド遊技時間と一致する9回の第1の作動時間T1(25.0秒)が設定されると共に、9回の第1の作動時間T1の後に10ラウンド目〜16ラウンド目のラウンド遊技Rに対応してラウンド遊技時間と一致する7回の第2の作動時間T3(0.04秒)が設定され、各ラウンド遊技Rにおいて当該第1の作動時間T1または第2の作動時間T3に基づいて作動部材100を待機状態から作動状態に作動して特別入賞口70aを開放させることで、16回の開放動作を作動部材100に行わせるよう設定されている。なお、第2作動パターンでは、16R短縮大当り遊技のオープニング時間OP、エンディング時間EDおよびラウンド間インターバル時間Ina1,Ina2において作動部材100を待機状態に保持するよう設定される。
【0089】
ここで、16R短縮大当り遊技における10ラウンド目以降のラウンド遊技時間(0.04(秒))は、1回のラウンド遊技Rにおいて、特別入賞部70に入賞するパチンコ球の入賞個数が入賞上限個数を満たさないような時間に設定されている。因みに、パチンコ機10では、1分間あたりのパチンコ球の発射個数が略「100球」に設定されているので、パチンコ球を1球発射させるために要する時間は「0.6(秒)」となる。すなわち、16R短縮大当り遊技の10ラウンド目以降のラウンド遊技Rでは、ラウンド遊技時間内に入賞上限個数となる「9球」のパチンコ球を入賞させるのは実質的に不可能な短時間動作を行なうようになっており、前述した16R大当り遊技における9ラウンド分のラウンド遊技Rでの入賞球数(すなわち賞球数)と実質的に同等になる。従って、16R短縮大当り遊技では、前述した16R大当り遊技と同様に、各ラウンド遊技Rにおいて作動部材100が1回だけ開放し、大当り遊技の全体で16回の開閉動作を作動部材100が繰り返すものの、大当り遊技の全体での作動部材100の開放時間が16R大当り遊技と較べて短くなっている。
【0090】
ここで、16R短縮大当り遊技では、オープニング時間OPに合わせて「10.0(秒)」のオープニング演出が行われた後、作動部材100に長時間動作を行わせる9回のラウンド遊技Rに合わせてラウンド演出が行われ、9ラウンド目のラウンド遊技Rの後のラウンド間インターバルIna1の開始タイミングからエンディング時間EDの終了タイミングにかけて「13.0(秒)」のエンディング演出が行われるようになっている。なお、16R短縮大当り遊技のエンディング演出では、16R大当り遊技およびジャンプアップ大当り遊技のエンディング演出と同じ内容の表示画像(動画)が図柄表示装置17の表示部17aに表示されるように設定されている。
【0091】
(2R大当り遊技について)
図柄Cおよび図柄cに対応する前記2R大当り遊技は、図15Aに示すように、規定ラウンド数が「2回」に設定された大当り遊技であって、各ラウンド遊技Rの入賞上限個数が「9個」に設定されている。そして、2R大当り遊技では、特図当り判定の判定結果が当り判定となった時点での遊技状態に関係なく、大当り遊技終了後に、100回の特図の変動表示が行われるまでの間、大当り遊技終了後に確変状態および入賞率向上状態が付与されるようになっている。2R大当り遊技では、図15Bに示すように、1回のラウンド遊技Rのラウンド遊技時間として「0.04(秒)」が設定されており、各ラウンド遊技Rにおいて前記作動部材100が最大で第2の作動時間T3(0.04(秒))に亘って待機状態から作動状態に作動されるようになっている。なお、この2R大当り遊技では、オープニング時間OPとして「0.02(秒)」が設定され、エンディング時間EDとして「3.0(秒)」が夫々設定されている。また、これらの大当り遊技のラウンド間インターバル時間Ina2は「1.5(秒)」に設定されている。すなわち、2R大当り遊技におけるオープニング時間OPおよびラウンド遊技時間は、後述するジャンプアップ大当り遊技のオープニング時間OPおよび1ラウンド目における1回目と2回目の特別入賞部70の作動部材100の作動時間と同一時間に設定されている。従って、ジャンプアップ大当り遊技が開始してから2ラウンド目において作動部材100が2回目に閉鎖するまでの作動部材100の開閉動作は、2R大当り遊技が開始してから2ラウンド目で特別入賞部70の作動部材100が閉鎖するまでの作動部材100の開閉動作と見た目上は同じ開閉動作を行なうようになっている。
【0092】
すなわち、2R大当り遊技に対応した第3作動パターンは、各ラウンド遊技Rにおいてラウンド遊技Rの開始から終了まで継続して特別入賞口70aを開放する短時間動作を作動部材100に行わせるよう設定されている。具体的に、第3作動パターンでは、各ラウンド遊技Rの各ラウンド遊技時間と一致する2回の第2の作動時間T3(0.04秒)が設定されて、各ラウンド遊技Rにおいて当該第2の作動時間T2に基づいて作動部材100を待機状態から作動状態に作動して特別入賞口70aを開放させることで、2回の開放動作を作動部材100に行わせるよう設定されている。なお、第3作動パターンでは、2R大当り遊技のオープニング時間OP、エンディング時間EDおよびラウンド間インターバル時間Ina2において作動部材100を待機状態に保持するよう設定されている。
【0093】
2R大当り遊技における各ラウンド遊技時間(0.04(秒))は、1回のラウンド遊技Rにおいて、特別入賞部70に入賞するパチンコ球の入賞個数が入賞上限個数を満たさないような時間に設定されている。すなわち、2R大当り遊技では、前述した16R短縮大当り遊技の10ラウンド目以降のラウンド遊技Rと同じように、ラウンド遊技時間内に入賞上限個数となる「9球」のパチンコ球を入賞させるのは実質的に不可能な短時間動作を行なうようになっており、2R大当り遊技での入賞球は殆ど発生しない。
【0094】
ここで、2R大当り遊技では、オープニング時間OPの開始タイミングから2ラウンド目のラウンド遊技Rの後のラウンド間インターバルIna2の終了タイミングにかけて「3.1(秒)」のオープニング演出が行われた後、エンディング時間EDに合わせて「3.0(秒)」のエンディング演出が行われるようになっている。
【0095】
(ジャンプアップ大当り遊技について)
図柄Dに対応する前記ジャンプアップ大当り遊技は、図15Aに示すように、規定ラウンド数が「16回」に設定された大当り遊技であって、各ラウンド遊技Rの入賞上限個数が「9個」に設定される。また、ジャンプアップ大当り遊技では、特図当り判定の判定結果が当り判定となった時点での遊技状態に関係なく、大当り遊技終了後に、100回の特図の変動表示が行われるまでの間、大当り遊技終了後に確変状態および入賞率向上状態が付与されるようになっている。
【0096】
このジャンプアップ大当り遊技では、図15Bに示すように、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいて特別入賞部70の作動部材100を複数回(実施例では3回)開放させ、2ラウンド目〜16ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド遊技Rの開始から終了まで継続して特別入賞口70aを開放する長時間動作を作動部材100に行わせるよう設定されている。すなわち、ジャンプアップ大当り遊技は、最初のラウンド遊技Rが特殊ラウンド遊技で構成されている。ここで、前記特殊ラウンド遊技(1ラウンド目のラウンド遊技R)は、2R大当り遊技における短時間動作と略同じ開放時間となる短時間動作を、2R大当り遊技における作動回数分だけ作動部材100に行わせるよう設定されている。
【0097】
ジャンプアップ大当り遊技では、1ラウンド目のラウンド遊技Rの開放1回目〜開放2回目における作動部材100の開放時間が「0.04(秒)」に夫々設定され、開放3回目の作動部材100の開放時間が「24.92(秒)」に設定されている。また、開放1回目と開放2回目の間には、ラウンド内のインターバル時間として「1.5(秒)」が設定され、開放2回目と開放3回目の間には、ラウンド内インターバル時間Inbとして「1.5(秒)」が設定されて、ジャンプアップ大当り遊技における1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいて前記作動部材100が第2の作動時間T3(0.04(秒))に亘って待機状態から作動状態に2回作動されると共に、作動部材100が第1の作動時間T1(24.92(秒))に亘って待機状態から作動状態に1回作動されるようになっている。すなわち、ジャンプアップ大当り遊技における1ラウンド目のラウンド遊技Rのラウンド遊技時間として「28(秒)」が設定されている。また、ジャンプアップ大当り遊技における2ラウンド目以降の1回のラウンド遊技Rのラウンド遊技時間として「25(秒)」が設定されており、各ラウンド遊技Rにおいて前記作動部材100が最大で第1の作動時間T1(25(秒))に亘って待機状態から作動状態に作動されるようになっている。なお、ジャンプアップ大当り遊技では、オープニング時間OPとして「0.02(秒)」が設定され、エンディング時間EDとして「11.0(秒)」が夫々設定されている。また、ジャンプアップ大当り遊技では、ラウンド間インターバル時間Ina1は「2.0(秒)」に設定されている。
【0098】
すなわち、ジャンプアップ大当り遊技に対応した第4作動パターンは、1ラウンド目において、2回の短時間動作と1回の長時間動作を作動部材100に行わせると共に、2ラウンド目〜16ラウンド目のラウンド遊技Rにおいて長時間動作を作動部材100に行わせるよう設定される。具体的に、第4作動パターンでは、1ラウンド目のラウンド遊技Rに対応してラウンド遊技時間より短い時間と一致する時間に設定された作動部材100を作動状態に保持する2回の第2の作動時間T3(0.04秒)および1回の第1の作動時間T2(24.92秒)と、作動部材100を作動状態に保持する2回のラウンド内インターバル時間Inb(1.5秒)とが設定されると共に、2ラウンド目〜16ラウンド目のラウンド遊技Rに対応した各ラウンド遊技Rのラウンド遊技時間と一致する時間に設定された15回の第1の作動時間T1(25.0秒)が設定され、各ラウンド遊技Rにおいて当該第1の作動時間T1または第2の作動時間T3に基づいて作動部材100を待機状態から作動状態に作動して特別入賞口70aを開放させることで、18回の開放動作を作動部材100に行わせるよう設定されている。なお、第4作動パターンでは、ジャンプアップ大当り遊技のオープニング時間OP、エンディング時間ED、ラウンド間インターバル時間Ina1およびラウンド内インターバル時間Inbにおいて作動部材100を待機状態に保持するよう設定されている。
【0099】
ここで、ジャンプアップ大当り遊技では、オープニング時間OPの開始タイミングから1ラウンド目における2回目のラウンド内インターバルInbの終了タイミングにかけて「3.1(秒)」のオープニング演出が行われた後、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいて作動部材100の3回目の開放動作(長時間動作)が開始される時点から2〜16ラウンド目のラウンド遊技Rが行われる期間に亘ってラウンド演出が行われ、16ラウンド目のラウンド遊技Rの後のラウンド間インターバルIna1の開始タイミングからエンディング時間EDの終了タイミングにかけて「13.0(秒)」のエンディング演出が行われるようになっている。なお、ジャンプアップ大当り遊技のエンディング演出では、16R大当り遊技および16R短縮大当り遊技のエンディング演出と同じ内容の表示画像(動画)が図柄表示装置17の表示部17aに表示されるように設定されている。
【0100】
(パチンコ機10の制御構成について)
次に、パチンコ機10の制御構成について説明する。図14に示すように、パチンコ機10が備えるメイン制御基板60は、制御処理を実行するCPU60a、該CPU60aが実行する制御プログラムを記憶するR0M60b、当該CPU60aが読み出しを行なう各種乱数値が記憶されると共に制御処理に伴って各種情報を一時的に記憶可能なRAM60c等が備えられている。そして、前記ゲートセンサ65、始動入賞検出センサ66,67および特別入賞球検出センサ68等の各種センサが前記CPU60aに接続されている。また、CPU60aには、サブ制御基板61、特図表示部36a,36b、特図保留表示部37,38、普図表示部39、普図保留表示部40等の各表示部が接続されて、各検出センサ65,66,67,68の検出を契機としてCPU60aで実行された制御処理に基づいて、各表示部36a,36b,37,38,39,40の表示制御が実行されると共に、前記始動入賞部33および特別入賞部70に設けられた始動入賞ソレノイド63および特別入賞ソレノイド64の駆動制御が行われるようになっている。CPU60aは、前記図柄表示装置17が配線接続されるサブ制御基板61に各種のコマンドを送信し、当該サブ制御基板61を介して間接的に前記図柄表示装置17の表示制御を実行するように構成されている。なお、メイン制御基板60のCPU60aによってサブ制御基板61に送信されるコマンドとしては、第1および第2始動入賞口28a,33aへのパチンコ球の入賞(始動入賞検出センサ66,67によるパチンコ球の検出)に基づいて決定された特図当り判定の判定結果や特図の種類および変動パターン(後述)等の入賞情報が含まれるコマンドの他に、CPU60aによる作動部材100の開放時に送信される特別入賞口開放コマンド、CPU60aによる作動部材100の閉鎖時に送信される特別入賞口閉鎖コマンドおよび特別入賞検出センサ68によるパチンコ球の検出時に送信される特別入賞口入賞コマンドが設定されている。CPU60aは、当り判定用乱数などの各種乱数の値を所定の周期(例えば4ミリ秒)毎に更新し、更新後の値をRAM60cの設定領域に記憶させて更新前の値を書き換えている。
【0101】
ここで、前記R0M60bには、特図が変動開始してから確定的に停止表示されるまで(特図変動表示が終了するまで)の変動時間を特定した複数種類の変動パターンが記憶されている。すなわち、変動パターンにより、特図が変動開始してから確定停止表示されるまでの間の図柄変動演出の演出内容や演出時間(特図や飾図の変動時間)を特定している。従って、前記特図表示部36には、特図の変動が開始してから、変動パターンに定める変動時間の経過時に変動が停止し、大当り図柄またははずれ図柄が確定停止表示される。また、サブ制御基板61は、遊技演出(図柄表示装置17での演出内容等)のベースとなるパターンを示す演出パターンが複数種類記憶されており、メイン制御基板60のCPU60aから変動パターン等の入賞情報がコマンドとしてサブ制御基板61に送信された際に、サブ制御基板61は、変動パターンの変動時間に対応する演出時間の演出パターンを決定する。そして、前記図柄表示装置17において演出パターンで特定された演出内容で図柄変動演出が行われて、演出パターンに定める図柄変動演出時間の経過時(変動パターンに定める特図変動時間の経過時)に飾図の変動が停止し、前記特図表示部36に停止表示される特図に対応する飾図の図柄組み合わせが確定停止表示される。
【0102】
また、前記R0M60bには、特図当り判定値が記憶されている。特図当り判定値は、当り遊技(大当たり遊技)を発生するか否かの特図当り判定で用いる判定値であり、特図当り判定用乱数の取り得る数値(0〜65535までの全65536通りの整数)の中から定められている。なお、特図当り判定値は、確変状態が付与されているか否かでその数が異なっており、確変状態時の当り判定値の数(実施例では903個)は、通常状態時の当り判定値の数(実施例では175個)よりも多く設定されている。なお、実施例において第1特図始動保留記憶数に基づく当り判定のときに使用する当り判定値と、第2特図始動保留記憶数に基づく当り判定のときに使用する特図当り判定値とは同じものである。
【0103】
前記RAM60cには、特図当り判定に使用する特図当り判定用乱数が記憶される。RAM60cが記憶する当り判定用乱数の値は所定の周期(例えば4ミリ秒)毎に更新され、更新後の値をRAM60cの設定領域に記憶させて更新前の値を書き換えている。そして、上下の始動入賞口28a,33aへパチンコ球が入賞したことを契機にCPU60aが特図当り判定用乱数を取得するようになっている。そして、前記CPU60aが取得した特図当り判定用乱数の値が予め定められた前記特図当り判定値と一致するか否かを判定して、特図当り判定用乱数に基づく特図変動表示(図柄変動演出)の結果が大当りになるか否かの特図当り判定を行なうよう設定されている。すなわち、前記CPU60aは、乱数取得手段および大当り判定手段としての機能を備えている。
【0104】
また、RAM60cには、大当り図柄となる特図1,特図2の種類を決定する際に用いる特図判定用乱数が記憶されている。各特図には、この特図判定用乱数が所定個数ずつ振り分けられており、CPU60aは、大当りの決定時(大当り判定が肯定となった場合)に、取得した特図判定用乱数に基づき大当り図柄を決定する。この特図判定用乱数は、予め定められた特図判定値の範囲内(実施例では「0」〜「99」の全100通りの整数)の数値を取り得るように、CPU60aが所定の周期毎(4ms毎)に数値を1加算して更新するようになっている。そして、CPU60aは、更新後の値を特図判定用乱数の値としてRAM60cに記憶し、既に記憶されている特図判定用乱数の値を書き換えることで特図判定用乱数の値を順次更新するようになっている。実施例において、特図判定用乱数は、第1および第2始動入賞口28a,33aへパチンコ球が入賞(第1および第2始動入賞検出センサ66,67がパチンコ球を検出)したことを契機に取得するようになっている。
【0105】
ここで、前記特図判定値は、大当り遊技の種類毎に適宜振り分けられており、特図当り判定が肯定となった場合には特図判定用乱数の値が定まることで一義的に大当り遊技の種類も定まるようになっている。具体的に、実施例では、図15Aに示すように、第1始動入賞検出センサ66による検出を契機として参照される特図判定値は、大当り図柄となる図柄Aに対応して「48(個)」の特図判定値が割り当てられ、大当り図柄となる図柄Bに対応して「28(個)」の特図判定値が割り当てられ、大当り図柄となる図柄Cに対応して「22(個)」の特図判定値が割り当てられ、大当り図柄となる図柄Dに対応して「2(個)」の特図判定用値が割り当てられている。同様に、第2始動入賞検出センサ67による検出を契機として参照される特図判定値は、大当り図柄となる図柄aに対応して「48(個)」の特図判定値が割り当てられ、大当り図柄となる図柄bに対応して「28(個)」の特図判定値が割り当てられ、大当り図柄となる図柄cに対応して「22(個)」の特図判定値が割り当てられ、大当り図柄となる図柄dに対応して「2(個)」の特図判定用値が割り当てられている。すなわち、特図変動表示の結果大当りとなる場合に、決定された大当り図柄(特図)に応じて大当り遊技の種類が特定され、該大当り図柄としての特図が確定表示された後に、特定された大当り遊技を付与されるようになっている。また、決定された大当り図柄に応じて、大当り遊技後の遊技において確変状態および入賞率向上状態を付与するか否かが決定されると共に、確変状態および入賞率向上状態を付与する期間が決定されるようになっている。なお、はずれの決定時(大当り判定が否定となった場合)には、1種類のはずれ図柄の中から特図が決定され、該はずれ図柄としての特図が確定表示されることで特図変動表示が終了して次の特図変動表示が行われる。
【0106】
また、R0M60bには、普通当り判定値が記憶されている。普通当り判定値は、普通当りか否かの普図当り判定で用いる判定値であり、普通当り判定用乱数の取り得る数値(0〜65535までの全65536通りの整数)の中から定められている。なお、普通当り判定値は、入賞率向上状態が付与されているか否かでその数が異なっており、入賞率向上状態が付与されている時の普通当り判定値の数(実施例では、65535個)は、通常状態時の普通当り判定値の数(実施例では、1125個)よりも多く設定されている。また、RAM60cには、普通当り判定時に使用する普通当り判定用乱数が記憶されている。実施例において、普通当り判定用乱数は、ゲート部31をパチンコ球が通過したことを契機に取得するようになっている。
【0107】
すなわち、複数種類の当り遊技の中から付与する当り遊技の種類を決定する当り遊技決定手段および決定した種類の当り遊技を特図変動表示終了後(図柄変動演出終了後)に付与する当り遊技付与手段としての機能を前記CPU60aが備えている。また、前記CPU60aは、大当りが発生する確率(当り判定手段による判定結果が肯定となる確率)が通常よりも高確率となる確変状態を付与することを決定する確変付与決定手段として機能すると共に、大当り遊技終了後に確変状態を付与する確変付与手段として機能するよう構成されている。なお実施例の前記CPU60aは、大当り全てが発生する場合(当り判定手段の判定結果が肯定の場合)において確変状態を付与することを決定するようになっている。更に、前記CPU60aは、当りが発生する場合(当り判定手段の判定結果が肯定の場合)に、第2始動入賞口33aへパチンコ球が入賞する確率が高確率となる入賞率向上状態を付与することを決定する入賞率向上状態付与決定手段として機能し、入賞率向上状態を付与する場合に、大当り遊技の終了後から予め決められた回数の特図変動表示(図柄変動演出)が実行されるまでの間、或いは次回の大当り遊技が付与されるまでの間の何れかの期間を、入賞率向上状態を付与する期間として決定する入賞率向上状態付与期間決定手段として機能すると共に、大当り遊技終了後に決定された入賞率向上状態を付与する期間だけ入賞率向上状態を付与する入賞率向上状態付与手段としても機能している。
【0108】
前記CPU60aは、特図当り判定の判定結果が当り判定となったことに伴い、作動部材100が開閉動作する大当り遊技の付与を決定する。すなわち、CPU60aは、特図当り判定の判定結果に基づいて作動部材100を待機状態から作動状態へ作動させることを決定する作動決定手段として機能している。ここで、前記ROM60bには、大当り遊技の開始から終了までに作動部材100を待機状態および作動状態に変位させるタイミングおよび当該待機状態および作動状態で作動部材100を保持する時間をパターン化した作動パターンが設定されている。そして、大当り図柄となる特図の種類に応じて1つの作動パターンをCPU60aが決定することにより、大当り遊技における作動部材100の作動タイミングおよび作動時間が決定されるようになっている。このように、CPU60aは、当該CPU60aによる大当り遊技の付与の決定に伴い作動部材100が作動されることが決定した場合に、待機状態から作動状態に変位して待機状態に復帰するまでの1回(1往復)の作動における当該作動部材100の作動時間を決定する期間決定手段として機能している。またCPU60aは、決定した作動パターンに基づくタイミングおよび時間で作動部材100を待機状態および作動状態に変位させるよう特別入賞ソレノイド64の駆動制御を行なう。このように、CPU60aは、前記作動部材100の作動を決定した場合(当り遊技の付与を決定した場合)に、決定された作動時間で作動部材100を変位させるよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御する駆動制御手段として機能している。
【0109】
次に、メイン制御基板60のCPU60aが制御プログラムに基づき実行する各種処理について具体的に説明する。
【0110】
(特図処理について)
特図入力処理では、図16に示すように、第1始動入賞部28の第1始動入賞口28aにパチンコ球が入賞したか否かをCPU60aが判定する(ステップS11)。すなわち、ステップS11においてCPU60aは、第1始動入賞口28aに対応する第1始動入賞検出センサ66がパチンコ球を検出した時に出力する検出信号が入力されたか否かを判定する。そしてステップS11の判定結果が否定の場合には、ステップS15に移行する。ステップS11の判定結果が肯定の場合には、CPU60aは、RAM60cに記憶されている第1特図始動保留記憶数が上限数の4未満であるか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12の判定結果が否定(すなわち第1特図始動保留記憶数が4)の場合には、CPU60aは、ステップS15に移行する。
【0111】
ステップS12の判定結果が肯定(第1特図始動保留記憶数<4)の場合には、第1特図始動保留記憶数を1加算し、RAM60cが記憶する第1特図始動保留記憶数を書き換える(ステップS13)。続いて、RAM60cから当り判定用乱数の値と、特図判定用乱数の値とをCPU60aが読み出して、当該乱数の値を第1特図始動保留記憶数に対応付けたRAM60cの所定の記憶領域に設定する(ステップS14)。これにより、ステップS15に移行する。
【0112】
また、ステップS15では、第2始動入賞部33の第2始動入賞口33aにパチンコ球が入賞したか否かをCPU60aが判定する。すなわち、ステップS15においてCPU60aは、第2始動入賞口33aに対応する第2始動入賞球検出センサ67がパチンコ球を検出した時に出力する検出信号が入力されたか否かを判定する。そしてステップS15の判定結果が否定の場合には、特図入力処理を終了する。ステップS15の判定結果が肯定の場合には、CPU60aは、RAM60cに記憶されている第2特図始動保留記憶数が上限数の4未満であるか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16の判定結果が否定(すなわち第2特図始動保留記憶数が4)の場合には、特図入力処理を終了する。
【0113】
ステップS16の判定結果が肯定(第2特図始動保留記憶数<4)の場合には、第2特図始動保留記憶数を1加算し、RAM60cが記憶する第2特図始動保留記憶数を書き換える(ステップS17)。続いて、RAM60cから当り判定用乱数の値と、特図判定用乱数の値とをCPU60aが読み出して、当該乱数の値を第2特図始動保留記憶数に対応付けたRAM60cの所定の記憶領域に設定し(ステップS18)、特図入力処理を終了する。
【0114】
(特図開始処理について)
次に、特図開始処理について図17に基づき説明する。特図開始処理では、CPU60aは、特図表示部36における特図の変動表示期間中(すなわち、図柄表示装置17における飾図の図柄変動演出期間中)であるか、或いは大当り遊技中であるか否かを判定する(ステップS201)。そして、ステップS201の判定結果が肯定の場合には、CPU60aは、特図開始処理を終了する。また、ステップS201の判定結果が否定の場合には、第2特図始動保留記憶数を読み出し(ステップS202)、第2特図始動保留記憶数が「0」よりも大きいか否かを判定する(ステップS203)。ステップS203の判定結果が否定の場合には(第2特図始動保留記憶数=0の場合には)、CPU60aは、ステップS206の処理に移行する。ステップS203の判定結果が肯定の場合には(第2特図始動保留記憶数>0)の場合には、第2特図始動保留記憶数を1減算して(ステップS204)、当該第2特図始動保留記憶数に対応付けられたRAM60cの所定の記憶領域に記憶されている当り判定用乱数および特図判定用乱数の値をCPU60aが取得して(ステップS205)、次いで当り判定処理を実行する。CPU60aは、当り判定処理の実行後、特図開始処理を終了する。
【0115】
ステップS203の判定結果が否定の場合には、第1特図始動保留記憶数を読み出し(ステップS206)、第1特図始動保留記憶数が「0」よりも大きいか否かを判定する(ステップS207)。ステップS207の判定結果が肯定の場合には(第1特図始動保留記憶数>0)の場合には、第1特図始動保留記憶数を1減算して(ステップS208)、当該第1特図始動保留記憶数に対応付けられたRAM60cの所定の記憶領域に記憶されている特図当り判定用乱数および特図判定用乱数の値をCPU60aが取得して(ステップS209)、次いで当り判定処理を実行し、当り判定処理の実行後、特図設定処理を終了する。一方、ステップS207の判定結果が否定の場合には(第1特図始動保留記憶数=0の場合には)、CPU60aは、特図開始処理を終了する。
【0116】
(当り判定処理について)
前記当り判定処理では、図18に示すように、CPU60aが取得した特図当り判定用乱数の値がR0M60bに記憶されている当り判定値と一致するか否かを判定する特図当り判定を行なう(ステップS301)。なお、前述したように、通常状態の時(低確率の時)に特図当り判定の判定結果が肯定となる確率(大当り確率)は、175/65536に設定され、確変状態の時(高確率の時)に判定結果が肯定となる確率(大当り確率)は、903/65535に設定されている。そして、ステップS301における特図当り判定の判定結果が肯定の場合には(大当りが発生する場合には)、大当りの変動であることを示す大当りフラグに「1」が設定される(ステップS302)。そして、CPU60aは、取得した特図特図判定用乱数の値に基づき、大当り図柄の中から特図表示部36にて確定停止表示される最終停止図柄(特図)を決定する(ステップS303)。次いで、CPU60aは、決定した最終停止図柄から大当り遊技の種類および作動パターンを特定し、その特定した大当り遊技に対応する変動パターンを決定する(ステップS304)。そして、決定した変動パターンおよび最終停止図柄に基づいて図柄表示装置17での図柄変動演出に関するコマンド設定を行う(ステップS305)。
【0117】
一方、ステップS301の特図当り判定の判定結果が否定の場合には(大当りでない場合には)、CPU60aは、リーチ演出を実行させるか否かを判定するリーチ判定を行なう(ステップS306)。実施例では、CPU60aは、ステップS306の処理時においてRAM60cから取得したリーチ判定用乱数の値が、リーチ判定値と一致するか否かにより当選判定を行なう。なお、リーチ判定値は、リーチ演出を行なうか否かの内部判定で用いる判定値であり、リーチ判定用乱数の取り得る値(0〜240までの全241通りの整数)の中から定められている。そして、ステップS306の判定結果が肯定の場合には(リーチ演出を行なう場合には)、CPU60aは、はずれ図柄を特図表示部36にて確定停止表示される最終停止図柄(特図)として決定する(ステップS307)。次に、CPU60aは、はずれリーチ演出用の変動パターンを決定する(ステップS308)。そして、変動パターンおよび最終停止図柄を決定したCPU60aは、ステップS305の処理に移行し、前述と同様に、決定した変動パターンおよび最終停止図柄に基づいて図柄表示装置17での図柄変動演出に関するコマンドの設定を行う。
【0118】
一方、ステップS306の判定結果が否定の場合には(リーチを行わない場合には)、CPU60aは、はずれ図柄を特図表示部36にて確定停止表示される最終停止図柄(特図)として決定する(ステップS309)。次に、CPU60aは、はずれ通常演出用の変動パターンを決定する(ステップS310)。そして、変動パターンおよび最終停止図柄を決定したCPU60aは、ステップS305の処理に移行し、前述と同様に、決定した変動パターンおよび最終停止図柄に基づいて図柄表示装置17での図柄変動演出に関するコマンドの設定を行う。
【0119】
(大当り遊技が付与される場合について)
CPU60aは、前記特図当り決定において大当りを決定した場合(大当りフラグに「1」が設定された場合)には、特図変動表示(図柄変動演出)の終了後に、決定した種類の大当り遊技の制御を開始する。以下、大当り遊技が付与される場合にメイン制御基板60で行われる作動部材100の作動制御について説明する。
【0120】
(16R大当り遊技が付与される場合)
前記CPU60aが、16R大当り遊技を決定した場合には、前記第1作動パターンに基づいて作動部材100が動作するようCPU60aが特別入賞ソレノイド64を駆動制御する。CPU60aは、特図変動表示(図柄変動演出)が終了すると、タイマ手段(図示しない)が所定のオープニング時間OP(10秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、オープニング時間OPの経過後に、1ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。すなわち、第1の作動時間T1(max25秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に特別入賞部70を待機状態から作動状態へ変位させて特別入賞口70aを開放するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、当該作動部材100に長時間動作を行わせる。そして、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1)の経過または規定個数のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、作動部材100を待機状態へ変位させて特別入賞口70aを閉鎖するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
【0121】
1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、タイマ手段がラウンド間インターバル時間Ina1(2.0秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、ラウンド間インターバル時間Ina1の経過後に、1ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。2ラウンド目では、1ラウンド目の開始と同様に、前記第1の作動時間T1(max25秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に特別入賞部70を待機状態から作動状態へ変位させて特別入賞口70aを開放するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、当該作動部材100に長時間動作を行わせる。そして、2ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1)の経過または規定個数のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、作動部材100を待機状態へ変位させて特別入賞口70aを閉鎖するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、2ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。以降は同様に、各ラウンド遊技Rの間にラウンド間インターバル時間Ina1を挟んで3ラウンド目〜16ラウンド目のラウンド遊技Rが繰り返されて、作動部材100が待機状態および作動状態の間で変位させて特別入賞口70aを開閉するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御する。そして、16ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、タイマ手段がラウンド間インターバル時間Ina1およびエンディング時間ED(11秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、当該時間の経過に伴って大当り遊技が終了する。
【0122】
ここで、前記特別入賞部70の発光基板85のLED85aは、16R大当り遊技の開始と同時に点灯するようサブ制御基板61により制御されるよう設定されている。すなわち、16R大当り遊技の開始と同時にLED85aが点灯することで、「右打ち」により特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を狙う遊技形態に変化することを報知し得るよう構成されている。また、16R大当り遊技において、発光基板85のLED85aは、16R大当り遊技が終了(正確には16ラウンド目のラウンド遊技Rが終了)するまで継続して点灯するようサブ制御基板61により制御される。すなわち、LED85aは、16R大当り遊技において作動部材100の長時間動作が行われる期間に点灯するよう制御されることで、「右打ち」により特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を狙うことができる期間を報知する遊技操作情報報知手段として機能している。
【0123】
(16R短縮大当り遊技が付与される場合)
前記CPU60aが、16R短縮大当り遊技を決定した場合には、前記第2作動パターンに基づいて作動部材100が動作するようCPU60aが特別入賞ソレノイド64を駆動制御する。すなわち、16R短縮大当り遊技における1ラウンド目〜9ラウンド目のラウンド遊技Rでは、CPU60aは、特図変動表示(図柄変動演出)が終了すると、前述した16R大当り遊技の対応する1ラウンド目〜9ラウンド目のラウンド遊技Rと同じ作動態様で作動部材100を待機状態および作動状態に変位させるようCPU60aが特別入賞ソレノイド64を駆動制御する。
【0124】
そして、9ラウンド目のラウンド遊技R後のラウンド間インターバル時間Ina1が経過すると、10ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。すなわち、第2の作動時間T3(max0.04秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に特別入賞部70を待機状態から作動状態へ変位させて特別入賞口70aを開放するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、当該作動部材100に短時間動作を行わせる。そして、10ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第2の作動時間T3)の経過または規定個数のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、作動部材100を待機状態へ変位させて特別入賞口70aを閉鎖するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、10ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
【0125】
10ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、タイマ手段がラウンド間インターバル時間Ina2(1.5秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、ラウンド間インターバル時間Ina2の経過後に、11ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。11ラウンド目では、10ラウンド目の開始と同様に、前記第2の作動時間T2(max0.04秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に特別入賞部70を待機状態から作動状態へ変位させて特別入賞口70aを開放するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、当該作動部材100に短時間動作を行わせる。そして、11ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第2の作動時間T3)の経過または規定個数のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、作動部材100を待機状態へ変位させて特別入賞口70aを閉鎖するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、11ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。以降は同様に、各ラウンド遊技Rの間にラウンド間インターバル時間Ina2を挟んで12ラウンド目〜16ラウンド目のラウンド遊技Rが繰り返されて、作動部材100が待機状態および作動状態の間で変位させて特別入賞口70aを開閉するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御する。そして、16ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、タイマ手段がラウンド間インターバル時間Ina2およびエンディング時間ED(0.02秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、当該時間の経過に伴って大当り遊技が終了する。すなわち、10ラウンド目〜16ラウンド目のラウンド遊技Rでは、作動部材100が第2の作動時間T3で作動部材100が待機状態および作動状態の間を1回(1往復)することで、特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞が実質的に生じないようになっている。
【0126】
ここで、前記特別入賞部70の発光基板85のLED85aは、16R短縮大当り遊技の開始と同時に点灯するようサブ制御基板61により制御されるよう設定されている。すなわち、16R短縮大当り遊技の開始と同時にLED85aが点灯することで、「右打ち」により特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を狙う遊技形態に変化することを報知し得るよう構成されている。また、16R短縮大当り遊技において、発光基板85のLED85aは、9ラウンド目のラウンド遊技Rが終了するまで継続して点灯するようサブ制御基板61により制御され、11ラウンド目から16R大当り遊技が終了(エンディング時間EDが経過)するまでの間、継続して消灯するようサブ制御基板61により制御される。すなわち、LED85aは、16R短縮大当り遊技において作動部材100の長時間動作が行われる期間に限り点灯するよう制御されることで、「右打ち」により特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を狙うことができる期間を報知するよう機能している。
【0127】
(2R大当り遊技が付与される場合)
次に、前記CPU60aが、2R大当り遊技を決定した場合には、前記第3作動パターンに基づいて作動部材100が動作するようCPU60aが特別入賞ソレノイド64を駆動制御する。CPU60aは、特図変動表示(図柄変動演出)が終了すると、タイマ手段(図示しない)が所定のオープニング時間OP(0.22秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、オープニング時間OPの経過後に、1ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。すなわち、第2の作動時間T3(max0.04秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に特別入賞部70を待機状態から作動状態へ変位させて特別入賞口70aを開放するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、当該作動部材100に短時間動作を行わせる。そして、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第2の作動時間T3)の経過または規定個数のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、作動部材100を待機状態へ変位させて特別入賞口70aを閉鎖するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
【0128】
1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、タイマ手段がラウンド間インターバル時間Ina2(1.5秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、ラウンド間インターバル時間Ina2の経過後に、2ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。2ラウンド目では、1ラウンド目の開始と同様に、前記第2の作動時間T3(max0.04秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に特別入賞部70を待機状態から作動状態へ変位させて特別入賞口70aを開放するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、当該作動部材100に短時間動作を行わせる。そして、2ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第2の作動時間T3)の経過または規定個数のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、作動部材100を待機状態へ変位させて特別入賞口70aを閉鎖するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、2ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。そして、2ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、タイマ手段がラウンド間インターバル時間Ina2およびエンディング時間ED(3.0秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、当該時間の経過に伴って大当り遊技が終了する。
【0129】
ここで、前記特別入賞部70の発光基板85のLED85aは、2R大当り遊技の開始から当該大当り遊技が終了(エンディング時間EDが経過)するまでの間、継続して消灯するようサブ制御基板61により制御される。すなわち、LED85aは、2R大当り遊技において点灯しないよう制御されることで、「右打ち」により特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を狙うことができる期間を報知するよう機能している。
【0130】
(ジャンプアップ大当り遊技が付与される場合)
前記CPU60aが、ジャンプアップ大当り遊技を決定した場合には、前記第4作動パターンに基づいて作動部材100が動作するようCPU60aが特別入賞ソレノイド64を駆動制御する。CPU60aは、特図変動表示(図柄変動演出)が終了すると、タイマ手段(図示しない)が所定のオープニング時間OP(0.02秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、オープニング時間OPの経過後に、1ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。すなわち、第2の作動時間T3(max0.04秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に特別入賞部70を待機状態から作動状態へ変位させて特別入賞口70aを開放するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、当該作動部材100に1回目の短時間動作を行わせる。1回目の短時間動作が終了すると、タイマ手段がラウンド内インターバル時間Inb(1.5秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、ラウンド内インターバル時間Inbの経過後に2回目の短時間動作を開始する。すなわち、第2の作動時間T3(max0.04秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に特別入賞部70を待機状態から作動状態へ変位させて特別入賞口70aを開放するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、当該作動部材100に2回目の短時間動作を行わせる。2回目の短時間動作が終了すると、タイマ手段がラウンド内インターバル時間Inb(1.5秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、ラウンド内インターバル時間Inbの経過後に3回目の短時間動作を開始する。すなわち、第1の作動時間T2(max24.92秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に特別入賞部70を待機状態から作動状態へ変位させて特別入賞口70aを開放するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御して、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
【0131】
ジャンプアップ大当り遊技における2ラウンド目〜16ラウンド目のラウンド遊技Rでは、CPU60aは、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、前述した16R大当り遊技の対応する2ラウンド目〜16ラウンド目のラウンド遊技Rと同じ作動態様で作動部材100を待機状態および作動状態に変位させるようCPU60aが特別入賞ソレノイド64を駆動制御する。また、ジャンプアップ大当り遊技において、16ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、タイマ手段がラウンド間インターバル時間Ina1およびエンディング時間ED(11秒)が経過するまで作動部材100を待機状態に保持するよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御し、当該時間の経過に伴って大当り遊技が終了する。
【0132】
ここで、前記特別入賞部70の発光基板85のLED85aは、ジャンプアップ大当り遊技の開始から2ラウンド目のラウンド遊技Rが開始するまで(1ラウンド目の後のラウンド間インターバル時間Ina1が経過するまで)の間、継続して消灯するようサブ制御基板61により制御される。また、ジャンプアップ大当り遊技において、発光基板85のLED85aは、3ラウンド目のラウンド遊技Rが開始してから当該大当り遊技が終了(正確には16ラウンド目のラウンド遊技Rが終了)するまで継続して点灯するようサブ制御基板61により制御される。すなわち、LED85aは、ジャンプアップ大当り遊技において作動部材100の長時間動作が行われる期間に点灯するよう制御されることで、「右打ち」により特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を狙うことができる期間を報知する遊技操作情報報知手段として機能している。
【0133】
(実施例の作用)
次に、前述した実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0134】
実施例のパチンコ機10では、特別入賞部70において、転動面101に対して特別入賞口70aが位置する側(左側)とは異なる側(下方)へ向かうパチンコ球が通過する球通過領域Pを、特別入賞口70aに入賞するパチンコ球の入賞ルートRに開口するように形成すると共に、特別入賞ソレノイド64の駆動に伴って作動する作動部材100を、パチンコ球が球通過領域Pを通過可能な待機状態および当該球通過領域Pをパチンコ球が通過不能な作動状態に変位可能に設け、当該作動部材100には、作動状態において入賞ルートRの下流側へ下方傾斜して球通過領域Pの通過を規制されたパチンコ球を特別入賞口70aへ向けて転動させる転動面101を設け、作動部材100が作動状態から待機状態に変位する際に、転動面101上のパチンコ球を球通過領域Pに通過させるように構成した。従って、作動部材100の変位により転動面101上のパチンコ球に意外性のある動きをさせることができ、遊技の興趣を向上させ得る。また、作動部材100を作動状態から待機状態に変位させる際に転動面101がパチンコ球を特別入賞口70aに案内し得る状態から案内し得ない状態に直ちに切り換わるから、転動面101上のパチンコ球が特別入賞口70aに取り込まれない状態に速やかに移行させ得る。すなわち、入賞上限個数のパチンコ球が特別入賞口70aに入賞したことを契機として作動部材100が作動状態から待機状態に変位させるよう特別入賞ソレノイド64が駆動制御された場合に、転動面101上のパチンコ球を特別入賞口70aに入賞させないようにでき、入賞上限個数を超える特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を防止できる。実施例では、前記待機状態において前側規制部88側に連結部130(転動面101)が近接位置し、当該待機状態から作動状態に変位するのに伴い台板部71に連結部130(転動面101)が近接するよう前記作動部材100が揺動するから、従来にない動きを行う作動部材100に対する印象を高め遊技の興趣を向上することができる。
【0135】
遊技領域21を流下するパチンコ球が第1始動入賞口28aまたは第2始動入賞口33aに入賞して第1始動入賞検出センサ66または第2始動入賞検出センサ67により検出されると、メイン制御基板60のCPU60aは、始動入賞検出センサ66,67の検出に基づいて特図当り判定を実行する。特図当り判定が大当り遊技を付与する判定結果となった場合には、特別入賞部70の作動部材100を作動させることが決定されると共に、付与する大当たり遊技の種類をCPU60aが決定して、当該決定した大当たり遊技の種類に応じて大当り遊技中の作動部材100の作動パターンを第1〜第4作動パターンから決定する。そして大当り遊技中においてCPU60aは、決定された作動パターンにより定められているタイミングで、作動部材100を各ラウンド遊技Rにおいて待機状態から作動状態に変位させ、ラウンド遊技Rに定めた規定個数(9個)のパチンコ球が特別入賞口70aへ入賞するか、または前記作動パターンに定められている作動時間(第1の作動時間T1,T2または第2の作動時間T3)が経過することで、作動部材100を作動状態から待機状態に復帰させるよう特別入賞ソレノイド64が駆動制御される。
【0136】
ここで、前記第1の作動時間T1,T2は、作動部材100を待機状態から作動状態へ変位するのと同時に転動面101で受けたパチンコ球を当該時間の経過までに転動面101の左右方向の傾斜下端部から離脱して特別入賞口70aへ入賞可能な時間(具体的には25秒または24.92秒)に設定してあるから、CPU60aが作動部材100を第1の作動時間T1,T2で作動状態に変位させることで、前記特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を期待できる状態とすることができる。また、前記第2の作動時間T3は、作動部材100を待機状態から作動状態へ変位するのと同時に転動面101で受けたパチンコ球を当該転動面101上に留まらせ得る時間(具体的には0.04秒)に設定してあるから、CPU60aが作動部材100を第2の作動時間T3で作動状態に変位させることで、特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を防いで当該特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を期待できない状態とすることができる。ここで、前記作動部材100は、作動状態から待機状態に変位する際に台板部71から離間するよう前方へ移動して、当該転動面101にあるパチンコ球を前記球通過領域Pに通過させるように動作するから、第2の作動時間T3で作動部材100を作動させた場合に特別入賞口70aへパチンコ球が入賞するのを略確実に防止することができる。すなわち、第1の作動時間T1,T2および第2の作動時間T3で作動部材100を作動させるようにすることで、当該作動部材100が作動する時間によって特別入賞口70aにパチンコ球が入賞可能な状態と入賞不能な状態とを明確に区別することができる。すなわち、第1の作動時間T1,T2および第2の作動時間T3を少なくとも含む複数の作動時間からCPU60aが作動部材100の作動時間を決定することで、当該作動部材100の動作態様に幅を持たせることができ、遊技の興趣を向上させ得る。
【0137】
作動部材100の待機状態において、転動面101が前側規制部88の下端部に対向するよう構成した。従って、意外性のある動作態様により作動部材100を待機状態および作動状態に切り換えることができ、遊技の興趣を向上させ得ると共に、前側規制部88によって待機状態とされた作動部材100に対するパチンコ球の接触を防止することができる。また、待機状態の作動部材100を作動状態とした場合に、当該作動状態における転動面101が前側規制部88より下方に位置し、当該転動面101と前側規制部88との間に前方へ開口する空間部が形成されるようにしたことで、当該転動面101上のパチンコ球を前側から視認することができる。すなわち、作動状態の作動部材100および前側規制部88の間を介して転動面101上を転動するパチンコ球を前側から視認することができることで、前側規制部88を設けた構成としても作動部材100の作動状態において特別入賞口70aへ向けて転動するパチンコ球を見失うことがない。
【0138】
作動部材100の作動状態において転動面101の傾斜下端部に特別入賞口70aが位置すると共に、パチンコ球の入賞を検知する特別入賞検出センサ68を当該特別入賞口70aを設ける構成として、特別入賞口70aへの「9(個)」のパチンコ球の入賞(特別入賞検出センサ68による「9(個)」のパチンコ球の検出)に基づいて作動部材100を作動状態から待機状態に変位するよう構成した。すなわち、転動面101の傾斜下端部に特別入賞口70aを位置させて転動面101から特別入賞口70aにパチンコ球を直接入賞させるよう構成することにより、作動部材100の作動状態から待機状態への変位に伴ってパチンコ球の特別入賞口70aへの入賞を防止できる。また、特別入賞検出センサ68によるパチンコ球の検出に基づいて作動部材100を作動状態から待機状態に変位させる構成において、当該特別入賞検出センサ68を特別入賞口70aに設けることにより、特別入賞口70aに入賞したパチンコ球が作動部材100の待機状態において特別入賞検出センサ68よりも上流側に位置することを防止できるから、特別入賞検出センサ68によるパチンコ球の検出が想定期間後に生じるのを防止してパチンコ機10における制御負担を軽減することができる。
【0139】
特別入賞口70aを、台板部71の前面側で左右方向に開口するよう形成し、転動面101を、作動状態において台板部71の前面側で特別入賞口70aへ向けて左右方向に下方傾斜し、複数のパチンコ球を左右方向に一列で載せ得るよう形成した。また、特別入賞口70aに連通する球通路70bが台板部71の裏側に延在し、特別入賞口70aに入賞した遊技球を当該球通路70bを介して台板部71の裏側へ誘導するよう構成した。従って、作動部材100の作動状態において、左右方向に延在させた転動面101の広い範囲でパチンコ球を受け止めて特別入賞口70aへ向けて一列で案内することができる。また、作動部材100を作動状態から待機状態に変位させる際に、転動面101上に複数のパチンコ球が位置していたとしても当該複数のパチンコ球を一度に球通路70b側に排出することができる。
【0140】
台板部71の前面側に前側規制部88を設けると共に、作動部材100の待機状態において転動面101が前側規制部88に近接位置し、待機状態から作動状態へ変位するのに伴い転動面101が台板部71に近接するよう移動して球通過領域Pをパチンコ球が通過不能に閉鎖するように構成した。従って、前側規制部88によりパチンコ球の前方への移動が規制されることにより、転動面101上のパチンコ球を台板部71および前側規制部88の間で安定して特別入賞口70aへ向けて案内することができる。また、作動部材100が待機状態から作動状態に変位する際に転動面101が台板部71に近接する側に移動して球通過領域Pを閉鎖することで、意外性のある動作態様により待機状態および作動状態に切り換えることができる。
【0141】
作動部材100における転動面101の傾斜下端側に、特別入賞口70aをパチンコ球が通過不能に閉鎖する開閉部113を設け、作動部材100が球通過領域Pを開放する待機状態において開閉部113が特別入賞口70aを閉鎖すると共に、作動部材100が球通過領域Pを閉鎖する作動状態において開閉部113が特別入賞口70aを開放するよう構成した。従って、作動部材100の待機状態において転動面101がパチンコ球を特別入賞口70aに案内しないだけでなく開閉部113により特別入賞口70aが確実に閉鎖されるから、特別入賞口70aへのパチンコ球の入賞を確実に防止することができる。また、作動部材100と開閉部113とを個別に駆動する場合と比較して駆動機構を簡略化できる。
【0142】
作動部材100を、台板部71の前面側で左右方向に離間すると共に上端部が本体部91に対して揺動可能に支持された左アーム部110および右アーム部120と、これら左右のアーム部110,120の下端部を連結するよう設けられて台板部71の前面と対向する連結部130とを備えて、当該連結部130、左アーム部110および右アーム部120で囲む領域をパチンコ球が通過し得るように構成すると共に、連結部130において左右のアーム部110,120の枢支端側を向く面に転動面101を形成することにより、待機状態においてアーム部110,120および連結部130により囲まれる領域を通過したパチンコ球の球通過領域Pの通過を許容し、作動状態において台板部71との間をパチンコ球が通過不能となるよう連結部130が台板部71の前方に位置して特別入賞口70aとは異なる位置へ向かうパチンコ球を当該転動面101で受け止めるよう構成した。従って、台板部71の前方で作動部材100を作動状態から待機状態に変位させることで転動面101を変位させて、一対のアーム部110,120および連結部130により囲まれる領域からパチンコ球を球通過領域Pに通過させることで、パチンコ球を特別入賞口70aに案内し得る状態から案内し得ない状態への切換えを速やかに行うことができる。
【0143】
また、前記作動部材100を、転動面101が前記作動状態において特別入賞口70aへ向けて左右方向に下方傾斜するだけでなく、前記台板部71に向けて下方傾斜するよう構成した。すなわち、前記転動面101上のパチンコ球を、前記台板部71に接した状態で転動させることができる。そして、作動部材100を作動状態から待機状態に変位させた際には、転動面101が台板部71から離間するのに伴って拡大する当該転動面101と台板部71との間の隙間を介してパチンコ球を落下させることができ、当該転動面101上のパチンコ球を球通過領域Pに速やかに通過させることができる。すなわち、作動部材100を作動状態から待機状態に変位させるよう特別入賞ソレノイド64を駆動制御した後に、前記転動面101上のパチンコ球が特別入賞口70aに入賞するのをより確実に防止でき、入賞上限個数を超えるパチンコ球が特別入賞口70aに入賞するのをより確実に防ぐことが可能となる。
【0144】
更に、前記前側規制部88において前記転動面101上のパチンコ球が接触可能な位置に、当該転動面101における左右方向の傾斜に沿って延在する突条88bを形成して、転動面101上のパチンコ球を台板部71側に寄せた状態で転動させるよう構成したから、作動部材100を作動状態から待機状態に変位させた際には当該転動面101上のパチンコ球を球通過領域Pに速やかに通過させることができる。また、前記台板部71および前側規制部88には、当該記台板部71および前側規制部88の対向方向に突出すると共に左右方向に延在する減勢リブ76,88aを上下に離間して互い違いに形成されて、遊技領域21(第2流下経路21b)を流下するパチンコ球を減勢リブ76,88aに接触させて減勢し得るよう構成されていることで、台板部71および前側規制部88の間を通過して転動面101に受け止められるパチンコ球を減勢することができる。ここで、前記減勢リブ76,88aは、前記転動面101上のパチンコ球が接触不能な位置に設けられているから、当該減勢リブ76,88aにより転動面101上のパチンコ球が前側規制部88側に寄せられるのを防ぐことができ、当該転動面101上のパチンコ球を台板部71に接した状態で転動させることができる。
【0145】
また、作動状態において前記台板部71に接した状態で転動面101を転動するパチンコ球は、該転動面101における特別入賞口70a側の端部(左右方向の傾斜下端部)に位置するよう設けられた誘導面としての開閉部113に接触することで、当該開閉部113の傾斜に沿ってパチンコ球を台板部71から離間させて、前記特別入賞口70aの開口の中心に誘導されるようになっている。すなわち、転動面101上のパチンコ球が台板部71に接した状態で転動するよう構成した場合でも、特別入賞口70aの入賞する直前ではパチンコ球を台板部71から離間させて特別入賞口70aに入賞させ易い位置に誘導することができるから、当該特別入賞口70aにパチンコ球を速やかに入賞させることが可能となる。従って、転動面101上に一度に複数のパチンコ球を受け止めて特別入賞口70aへ向けて転動させた場合でも、球詰まり等の不具合を生じさせることなく特別入賞口70aにパチンコ球を入賞させることができる。
【0146】
また、実施例の作動部材100に設けられた転動面101は、特別入賞口70aから離れた左右方向の傾斜上端側に幅寸法の狭い第1の転動面部102を備えると共に、該第1の転動面部102における特別入賞口70a側の下端側(左右方向の傾斜下端側)に、当該第1の転動面部102より幅寸法を大きく設定した第2の転動面部103が連設するよう構成されている。すなわち、転動面101の傾斜下端部の幅寸法を確保することで当該転動面101(第2の転動面部103)から特別入賞口70aへのパチンコ球の受け渡しをスムーズに行うことができる。また、前記第1の転動面部102および第2の転動面部103は、作動状態において前記台板部71に対向する後端部が連続した直線状に形成されているから、転動面101上のパチンコ球を台板部71に接した状態で安定して特別入賞口70aに向けて転動させ得ると共に、作動部材100を作動状態から待機状態に変位させた際には当該転動面101上のパチンコ球を球通過領域Pに速やかに通過させることができる。
【0147】
そして、第1および第2の転動面部102,103において作動状態で前側規制部88側に位置する前端部に、当該第1の転動面部102および第2の転動面部103の連設部に対応する段部105が形成されるよう構成し、転動面101の幅寸法が特別入賞口70a側の端部で前方へ拡大するようにしてあるから、開閉部113の傾斜に沿って台板部71から離間するよう誘導されたパチンコ球を、当該転動面101(第2の転動面部103)上で安定して転動させることができる。また、前記待機状態では、前記作動部材100の段部105が前記前側規制部88の下端部に形成された係合凹部88cと係合することにより、待機状態にある作動部材100の設置状態を安定させることができる。ここで、前記前側規制部88の突条88bは、前記第1の転動面部102の形成位置に対応する範囲で形成されているから、前記開閉部113により台板部71から離間するよう誘導されるパチンコ球の転動を突条88bで規制されることはなく、前記第2の転動面部103部でのパチンコ球の転動が突条88bで阻害されるのを防ぐことができる。
【0148】
作動部材101における右アーム部120と連結部130との接続部に錘部122を設けると共に、台板部71の前面側で錘部122の移動範囲の上方に、錘部122に対するパチンコ球の接触を防止する庇部87を設けた。すなわち、作動部材100に錘部122を設けることにより、当該錘部122の重みを利用して作動部材100を待機状態から作動状態に迅速に変位させて、パチンコ球を特別入賞口70aに入賞させることができない状態から入賞させ得る状態に速やかに切り換えることができる。また、作動部材100の錘部122の移動範囲の上方に庇部87を設けることにより、作動部材100の錘部122に対するパチンコ球の接触を防止することができる。
【0149】
(変更例)
本発明は、前述の実施例に限定されず、以下の如く変更することも可能である。
(1) 実施例では、入賞部(特別入賞部)を、作動部材の転動面が軸部を中心として前後に揺動する構成としたが、作動部材の動作方向は前後方向に限られるものではなく、作動部材の第2状態(作動状態)から第1状態(待機状態)への変位において転動面が入球口から離間し、作動状態から待機状態への変位において転動面が入球口に接近するよう当該転動面が左右方向にスライドまたは揺動する構成であってもよい。
(2) 実施例では、作動部材が第1状態で前側規制部に近接し、第1状態から第2状態に変位する際に台板部に近接するよう構成したが、第1状態で台板部に近接または台板部の後側に位置し、第1状態から第2状態に変位する際に前側規制部に近接するよう構成してもよい。
(3) 実施例では、球通過領域を開放および閉鎖する作動部材に、作動部材の第1状態において入球口を閉鎖すると共に作動部材の第2状態において入球口を開放する開閉部を設けるように構成したが、作動部材および開閉部を別体に構成して個別に駆動手段を設けるようにしてもよい。また、入賞部に開閉部を設けない構成としてもよい。
(4) 実施例では、前側規制部の前側凹状部と、台板部の後側凹状部とで作動部材の軸部を支持するように構成したが、台板部より後側で軸部を支持するように構成してもよいし、台板部の前方に離間した位置で軸部を支持するように構成してもよい。
(5) 実施例では、作動部材における一対のアーム部に軸部を夫々形成したが、転動面の前縁や後縁に沿う軸線を中心に作動部材が回動し得るよう連結部の左右側部の前端位置または後端位置に軸部を設け、作動部材の第2状態から第1状態への変位において軸部を中心として当該作動部材が下方へ回動する構成とすることで、アーム部を省略しつつ、作動部材が第2状態から第1状態に変位する際に転動面上の遊技球を球通過領域に通過させるように作動部材が動作する構成としてもよい。
(6) 実施例では、入球口が台板部の前側で左右方向に開口すると共に、複数の遊技球を一列で載せ得る転動面が作動部材の第2状態において入球口へ向けて左右方向に下方傾斜するよう構成したが、前方へ向けて開口する入球口を台板部に形成して、作動部材の第2状態において転動面が入球口へ向けて後方に下方傾斜する構成としてもよい。
(7) 実施例では、第2状態にある作動部材の転動面が入球口へ向けて左右方向に下方傾斜すると共に台板部側に下方傾斜するよう構成すると共に、台板部に接した状態で転動面上を転動する遊技球を開閉部(誘導面)により台板部から離間する側に転動させて入球口に導くように構成したが、転動面における前後方向の傾斜や開閉部(誘導面)を設けることなく転動面上の遊技球を入球口に導くよう構成してもよい。
(8) 実施例では、作動部材に設けた開閉部を、台板部に接した状態で転動面上を転動する遊技球を台板部から離間する側に転動させて入球口に導く誘導面として用いたが、当該誘導面を作動部材において開閉部とは別に設けるようにしてもよい。
(9) 実施例では、転動面の傾斜下端部の幅寸法を傾斜上端側よりも大きくすることで、転動面に第1の転動面部および第2の転動面部を形成したが、転動面を一定の幅寸法となるように形成してもよい。
(10) 実施例では、作動部材の第2状態で転動面が台板部から離間して隙間に空間部が形成されるように構成したが、作動部材の作動状態で転動面が台板部と接するよう構成してもよい。
(11) 実施例では、作動部材が第1状態から第2状態に変位する際に転動面が前側規制部から下方に離間して隙間に空間部が形成され、当該空間部を介して転動面上の遊技球を前側から視認し得るように構成したが、転動面上を転動する遊技球を光透過性の前側規制部を介して前側から視認できるように構成してもよい。また、転動面上を転動する遊技球の上端が前側規制部の上縁より上側に位置するように転動面および前側規制部を設けることで、作動部材の第2状態において連結部の前側に位置するよう前側規制部を設けつつ、転動面上を転動する遊技球を前側から視認可能としてもよい。更に、転動面を転動した遊技球が入球口に入球してから前側球通路部を通じて台板部の通孔に至るまでの当該遊技球の挙動を前側から視認できるように構成してもよい。この場合には、左支持部の前壁を光透過性素材により形成したり、左支持部の前壁に前側球通路部を視認するための視認孔を形成することにより、前側球通路部を通過する遊技球を前側から視認可能な構成を達成し得る。
(12) 実施例では、入球口への遊技球の入球を検知する球検出手段(特別入賞検出センサ)を入球口に設ける構成としたが、球検出手段を入球口から離間した位置(例えば台板部の後側)に配置してもよい。
(13) 実施例では、前側規制部の後面に突条を形成し、転動面上を転動するパチンコ球が突条に当接して前側への移動が規制されるよう構成したが、台板部の前面に突条を設けるようにしてもよい。
(14) 実施例では、球通過領域を通過したパチンコ球がアウト口に向かうように構成したが、球通過領域は、入賞部の所定の入球口とは異なる位置へ向かう遊技球が通過する領域であればよく、当該入賞部における他の入球口へ向かう遊技球が球通過領域を通過するように構成してもよい。
(15) 実施例では、球検出手段による検出を賞球の払出条件としたが、球検出手段による検出を当り遊技(大当り遊技や小当り遊技)の付与を決定する当り遊技生起条件としてもよい。また、球検出手段による検出を有利状態(確変状態や入賞率向上状態)の付与を決定する有利状態生起条件としてもよい。また、球検出手段による検出を特図当り判定の実行を決定する条件としてもよく、当該特図当り判定に基づいて大当り遊技や小当り遊技が付与され得る構成としてもよい。
(16−1) 実施例では、入賞部に1つの入球口を備えるように構成したが、入賞部において複数の入球口を高さ位置を異ならせて備えるように構成してもよい。この場合には、上側の入球口へ向けて遊技球を転動させる転動面を有する上側の作動部材を設け、当該作動部材が球通過領域を開放および閉鎖するよう構成すると共に、下側の入球口へ向けて遊技球を転動させる下側の転動面を、前記球通過領域を通過した遊技球が導かれ得る位置に設ける。当該構成によれば、上側の作動部材が第2状態から第1状態に変位する際に、当該上側の作動部材における転動面上の遊技球が当該作動部材の動作によって球通過領域に通過させられるとしても、当該球通過領域を通過した遊技球を下側の転動面で受け止めて下側の入球口に入球させ得る構成とすることができ、新たな遊技性を提供することができる。
(16−2) また、上側の入球口に入球した遊技球を検出する第1の球検出手段と、下側の入球口に入球した遊技球を検出する第2の球検出手段とを更に備えるように構成し、第1および第2の球検出手段による各検出を、所定の特典(規定数の賞球の払い出し、大当り遊技、小当り遊技、確変状態、または入賞率向上状態等)の付与を決定する条件としてもよい。この場合には、第1の球検出手段による検出を条件として付与される特典と、第2の球検出手段による検出を条件として付与される特典とを異ならせてもよい。
(16−3) 更に、前記上側の作動部材が第1状態にある場合に開放される前記球通過領域を通過した遊技球が導かれ得る位置に、前記下側の転動面が形成された下側の作動部材を配設し、当該下側の作動部材が第2状態にある場合には、下側の入球口とは異なる位置へ向かう遊技球が通過する下側の球通過領域を当該下側の作動部材が閉鎖すると共に、当該下側の作動部材が第1状態にある場合には、当該下側の作動部材が前記下側の球通過領域を開放するように構成してもよい。
(17) 実施例では、入球口および作動部材を遊技領域に臨むように入賞部に設けたが、遊技領域における遊技球の流下経路を避けた位置に入球口および作動部材を設けてもよい。この場合には、前記流下経路に開口する入口に連通する入賞部の内側空間に入球口および作動部材を設け、前記内側空間に導かれた遊技球が入球口とは異なる位置へ向けて球通過領域を通過するのを第2状態にある作動部材が規制するように構成する。すなわち、前記入口から入賞部の内側空間に導かれた遊技球は作動部材が第2状態にある場合には転動面を転動して入球口に入球し得ると共に、作動部材が第2状態から第1状態に変位する際には、当該作動部材が前記内側空間において転動面上の遊技球を球通過領域に通過させるよう動作することにより、遊技の興趣を向上させ得る。なお、入賞部の内部に入球口および作動部材を設ける場合には、入賞部の入口を開閉する開閉部材を設け、当該開閉部材によって入球口に遊技球が入球し得る期間を限定的に付与するよう構成してもよい。
(18) 実施例では、発光基板のLEDを、第1の作動時間に基づいて作動部材に長時間動作を行わせる期間に点灯させ、第2の作動時間に基づいて作動部材に短時間動作を行わせる期間には点灯させないことで、発光基板のLEDの点灯および消灯の違いにより、入球口への遊技球の入球を狙うことができる期間であるか否かを報知するよう構成したが、点灯するLEDの発光輝度や発光色を異ならせることで、入球口への遊技球の入球を狙うことができる期間であるか否かを報知するよう構成してもよい。
(19) 実施例では、発光基板のLEDの点灯および消灯の違いにより、入球口への遊技球の入球を狙うことができる期間であるか否かを報知するよう構成したが、発光基板のLEDに替えて、液晶表示部等の画像表示部に表示する画像(報知用画像)の有無または相違により入球口への遊技球の入球を狙うことができる期間であるか否かを報知するよう構成してもよい。この場合には、作動部材に長時間動作を行わせる期間と、作動部材に短時間動作を行わせる期間とで報知用画像を異ならせる(作動部材に長時間動作を行わせる場合の報知用画像を、作動部材に短時間動作を行わせる場合より大きくする等)ことで、入球口への遊技球の入球を狙うことができる期間であるか否かを報知し得る。
【0150】
本願には、例えば次のような技術的思想が含まれている。
(A)
請求項4記載の構成を含む遊技機に関し、
前記入賞部(70)は、前記台板部(71)の前側に離間する位置に、遊技球の前方移動を規制する前側規制部(88)を備え、
前記作動部材(100)は、前記第1状態において前記台板部(71)および前側規制部(88)の内の一方の部材(88)に前記転動面(101)が近接位置し、当該第1位置から第2状態に変位するのに伴い前記台板部(71)および前側規制部(88)の内の他方の部材(71)に前記転動面(101)が近接するよう前後方向に移動可能に構成され、
前記転動面(101)は、前記第2状態において左右方向および前記他方の部材(71)側の夫々に下方傾斜するよう形成され、
前記作動部材(100)には、前記転動面(101)における左右方向の傾斜下端部に、当該転動面(101)を転動する遊技球を前記他方の部材(71)から離間させるよう誘導する誘導面(113)が設けられて、
前記他方の部材(71)に接した状態で転動面(101)上を転動する遊技球を前記誘導面(113)の傾斜に沿って前記他方の部材(71)から離間する側に転動させて前記入球口(70a)に導くよう構成されたことを要旨とする。
この構成によれば、遊技球が他方の部材に接した状態で転動面上を転動するよう構成したことで、作動部材を第2状態から第1状態に変位するのに伴って転動面と他方の部材との間に形成される隙間を介して遊技球を球通過領域に速やかに通過させることができる。また、転動面における左右方向の傾斜下端部に誘導面を設けることにより、他方の部材に接した状態で転動面を転動する遊技球を他方の部材から離間させて入球口に入球させ易い位置に誘導することができる。
(B)
前記(A)に記載の構成を含む遊技機に関し、
前記転動面(101)は、左右方向の傾斜上端側に位置する第1の転動面部(102)と、該第1の転動面部(102)における左右方向の傾斜下端に連設されて当該第1の転動面部(102)より幅寸法が大きな第2の転動面部(103)とを有し、
前記作動部材(100)には、前記一方の部材(88)に近接する側の端部に、前記第1の転動面部(102)および第2の転動面部(103)の連設部に対応する段部(105)が形成されると共に、前記他方の部材(71)に近接する側の端部が、前記第1の転動面部(102)および第2の転動面部(103)の形成部位に亘って直線状に形成されたことを要旨とする。
この構成によれば、転動面の傾斜下端部の幅寸法を確保することで当該転動面の傾斜下端部から入球口への遊技球の受け渡しをスムーズに行うことができる。また、作動部材が、第1の転動面部および第2の転動面部の連設部に対応する段部を当該作動部材における一方の部材と近接する側の端部に形成する一方で、他方の部材と近接する側の端部を直線状に形成することで、転動面上の遊技球を他方の部材に接した状態で入球口に向けて転動させることができ、作動部材を第2状態から第1状態に変位させた際には当該転動面上の遊技球を球通過領域に速やかに通過させることができる。
(C)
前記(B)に記載の構成を含む遊技機に関し、
前記前側規制部(88)の下端部に、前記第1状態において前記作動部材(100)の段部(105)と係合する係合部(88c)が形成されたことを要旨とする。
この構成によれば、作動部材の段部と前側規制部の係合部とを係合させることにより、第1状態にある作動部材の設置状態を安定させることができる。
(D)
前記(A)〜(C)の構成の何れかを含む遊技機に関し、
前記一方の部材(88)には、前記転動面(101)上の遊技球が接触可能な位置に、当該転動面(101)における左右方向の傾斜に沿って延在する突条(88b)が形成され、
前記台板部(71)および前側規制部(88)には、前記転動面(101)上の遊技球が接触不能な位置に、当該記台板部(71)および前側規制部(88)の対向方向に突出すると共に左右方向に延在する減勢部(76,88a)が上下に離間して互い違いに形成されたことを要旨とする。
この構成によれば、一方の部材における転動面上の遊技球が接触可能な位置に突条を設けることにより、転動面上の遊技球を他方の部材側に寄せた状態で転動させることができるから、作動部材を第2状態から第1状態に変位させた際には当該転動面上の遊技球を球通過領域に速やかに通過させることができる。また、台板部および前側規制部における転動面上の遊技球が接触不能な位置に減勢部を上下に離間して互い違いに形成することにより、減勢部が転動面上の遊技球の転動を阻害することなく、台板部および前側規制部の間を通過する遊技球を減勢することができる。
(E)
前記(D)の構成を含む遊技機に関し、
前記転動面(101)は、傾斜上端側に位置する第1の転動面部(102)と、該第1の転動面部(102)の傾斜下端に連設されて当該第1の転動面部(102)より幅寸法が大きな第2の転動面部(103)とを有し、
前記突条(88b)は、前記第1の転動面部(102)の形成位置に対応する範囲で形成されたことを要旨とする。
この構成によれば、第1の転動面部の形成位置に対応する範囲で突条を設けることにより、第2の転動面部での遊技球の転動が突条により阻害されることがない。
(F)
前記(E)の構成を含む遊技機に関し、
前記作動部材(100)における一方の前記アーム部(120)と前記連結部(130)との接続部に錘部(122)が設けられると共に、前記台板部(71)の前面側で前記錘部(122)の移動範囲の上方に当該錘部(122)に対する遊技球の接触を防止する庇部(87)が設けられたことを要旨とする。
この構成によれば、作動部材に錘部を設けることにより、作動部材を迅速に変位させることができる。また、作動部材の錘部の移動範囲の上方に庇部を設けることにより、作動部材の錘部に対する遊技球の接触を防止することができる。
【符号の説明】
【0151】
18 遊技盤
21 遊技領域
28a 第1始動入賞口(始動口)
33a 第2始動入賞口(始動口)
4 特別入賞ソレノイド(駆動手段)
0 特別入賞部(入賞部)
70a 特別入賞口(入球口)
1 台板部
76 減勢リブ(突部)
88 前側規制部
88a 減勢リブ(突部)
88b 突条(突部、特定の突部)
88c 係合凹部
100 作動部材
101 転動面
102 第1の転動面部
103 第2の転動面部
105 段部
122 錘部
123 錘部材
P 球通過領域
R 入賞ルート(流路)
図1
図2
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図5
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