(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開口部を見付け方向にスライドして開閉可能な戸体と、該戸体を支持する枠体と、見付け方向に走行可能に構成され前記開口部を開放する前記戸体を収容可能な戸袋を形成する防護体と、を備える出入口用建具において、
前記枠体は、床上に設置されて前記戸体のスライドをガイドするガイドレールと、前記床上に設置されて前記ガイドレールの見込み方向の少なくとも一方の側方に隣接するとともに、上面を前記防護体が走行する傾斜部材と、を有し、
該傾斜部材は、前記ガイドレール側の高さが該ガイドレールの高さと略等しく、該ガイドレールと離間する側の高さが前記床の高さと略等しく形成され、上面に前記ガイドレール側から該ガイドレールと離間する側に向かって前記床からの高さが漸次低くなる第1傾斜面と、該第1傾斜面の前記ガイドレールと離間する側の端部に連続し前記ガイドレールとさらに離間する側に向かって水平に延びて前記防護体が走行可能な水平面と、該水平面の前記ガイドレールと離間する側の端部に連続し前記ガイドレールとさらに離間する側に向かって前記床からの高さが漸次低くなる第2傾斜面と、が形成されていることを特徴とする出入口用建具。
開口部を見付け方向にスライドして開閉可能な戸体と、該戸体を支持する枠体と、見付け方向に走行可能に構成され前記開口部を開放する前記戸体を収容可能な戸袋を形成する防護体と、を備える出入口用建具において、
前記枠体は、床上に設置されて前記戸体のスライドをガイドするガイドレールと、前記床上に設置されて前記ガイドレールの見込み方向の少なくとも一方の側方に隣接するとともに、上面を前記防護体が走行する傾斜部材と、を有し、
該傾斜部材は、前記ガイドレール側の高さが該ガイドレールの高さと略等しく、該ガイドレールと離間する側の高さが前記床の高さと略等しく形成され、上面に前記ガイドレール側から該ガイドレールと離間する側に向かって前記床からの高さが漸次低くなる傾斜面と、前記防護体が走行可能な水平面と、が形成されて、
前記傾斜部材は、上面に前記傾斜面および前記水平面が形成される板部と、前記床に支持されて上面が前記板部の下面と当接した状態で前記板部を支持する板状の支持部と、を有し、
前記支持部は、前記水平面の直下に配置される部分が、他の部分よりも厚く形成されていることを特徴とする出入口用建具。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態による自動ドア(出入口用建具)について、
図1乃至
図7に基づいて説明する。
図1および
図2に示すように、本実施形態によるスライド式(引き戸式)の自動ドア1は、店舗などの建物11の開口部(出入口)12に設けられた枠体2と、枠体2に見付け方向にスライド可能に支持されて開口部12を開閉するドア本体(戸体)3と、枠体2の室内13側に設けられてドア本体3が開口部12を開放した際にドア本体3が収容される戸袋を形成するガードスクリーン(防護体)4と、を有している。
【0013】
本実施形態の自動ドア1は、開口部12を1枚のドア本体3が開閉する片引き(1枚引き)の自動ドアを構成している。ドア本体3は、矩形状に枠組みされた框31の内側にガラス32が嵌めこまれていて、下端部には、框31から下方に突出する振れ止め材33が設けられている。
【0014】
また、本実施形態の自動ドア1は、開口部12に設けられていたスイング式(開き戸式)の既存ドア5を、スライド式の自動ドアに交換する改修工事に使用されている。
既存ドア5は、開口部12の縁部に設けられた既存枠体51と、既存枠体51の内側に配置されて吊元を中心として回動可能な既存ドア本体52と、を有しており、改修工事において、既存枠体51が残されて、既存ドア本体52が撤去されている。
そして、既存枠体51の縦枠53,53の室内13側には、それぞれ改装用縦枠18,18が設置されて、自動ドア1のドア本体3は、改装用縦枠18,18の室内13側において見付け方向にスライドするように構成されている。
また、本実施形態では、既存ドア本体52を支持していたフロアヒンジのケース55が床Fに残されている。
【0015】
建物11には、開口部12の見付け方向の一方側(
図1および
図2の左側)に、既存枠体51の縦枠53を介して床Fから上方に延びるスクリーンタイプの既存のFIX窓15が設けられている。本実施形態では、自動ドア1のドア本体3は、開口部12およびFIX窓15の見付け方向の長さ全体に対応する範囲をスライド可能に構成されている。
【0016】
また、
図2に示すように、このFIX窓15の上方には、FIX窓15の上側の横枠16を介して欄間としてのFIX窓17Aが設けられている。また、開口部12の上方で、既存ドア本体52が設置されていた部分の直上にも、既存枠体51の上枠54を介して欄間としてのFIX窓17Bが設けられている。これらのFIX窓17A,17Bは、見付け方向に隣接している。
なお、欄間としてのFIX窓17A,17Bの代わりに、開閉可能な排煙窓などが設けられていてもよく、欄間を設けずに壁としてもよい。また、スクリーンタイプのFIX窓15の代わりに、腰窓タイプのFIX窓が設けられていてもよく、FIX窓15の代わりに開閉可能な窓や、壁などが設けられていてもよい。
また、開口部12の見付け方向の他方側(
図1および
図2の右側)や、FIX窓15の見付け方向の一方側には、壁、柱、FIX窓などが適宜設置されている。
【0017】
図1乃至
図3に示すように、ガードスクリーン4は、ドア本体3の室内13側においてドア本体3と平行に設置され、矩形状に組まれた框41の内側にガラス42が嵌めこまれたパネル状に形成されている。
ガードスクリーン4は、上端部が自動ドア1の上枠21(
図2参照)に見付け方向にスライド可能に支持されているとともに、下端部には車輪43が設けられていて、この車輪43が後述する下レール22の第2傾斜部材7Bのカバー材91の第2水平板部95の上面95a(以下ガードスクリーン車輪走行面95aとする)を見付け方向に走行可能に構成されている。ガードスクリーン車輪走行面95aは水平面に形成されている。
【0018】
また、ガードスクリーン4には、室外14側の下端部近傍に框41と水平方向に間隔をあけて平行に設けられて、ガードスクリーン4の見付け方向の略全体にわたって延在する鉛直板片44aを有するガードスクリーン側形材44が設けられている。そして、下レール22には、第2傾斜部材7Bのカバー材91の上面から上方に突出し、開口部12と見込み方向に重ならない位置において見付け方向に延在する鉛直板片45aを有する下レール側形材45が設けられている。
そして、ガードスクリーン4が開口部12と見込み方向に重ならないように、FIX窓15の室内13側に配置されると、ガードスクリーン4の框41とガードスクリーン側形材44の鉛直板片44aとの間に、下レール側形材45の鉛直板片45aが挿入され、ガードスクリーン側形材44および下レール側形材45が、ガードスクリーン4が見込み方向に位置ずれすることを防止できるように構成されている。
【0019】
続いて、自動ドア1の枠体2について説明する。
自動ドア1の枠体2は、ドア本体3の上側に配置されて見付け方向のドア本体3がスライドする範囲全体に延在する上枠21(
図2参照)と、床Fの上に設置されて見付け方向のドア本体3がスライドする範囲全体に延在する下レール22と、開口部12を閉鎖するドア本体3の戸先側が当接可能な縦枠23と、を有している。
【0020】
上枠21は、既存枠体51の上枠54およびFIX窓15の上側の横枠16の室内13側に配置されているとともに、既存枠体51の上枠54およびFIX窓15の上側の横枠16に固定されていて、ドア本体3をスライド可能に吊り支持している。この上枠21には、ドア本体3をスライドさせるための公知のモータやローラ、レールなどが適宜設けられている。
縦枠23は、開口部12の見付け方向の他方側に配置された改装用縦枠18の室内13側に配置され、この改装用縦枠18に固定されている。
【0021】
図1および
図3に示すように、下レール22は、ドア本体3の振れ止め材33が挿入されるガイド溝6aが形成されて見付け方向のドア本体3がスライドする範囲全体わたって延在するガイドレール6と、ガイドレール6に隣接して設けられて上面がガイドレール6側がガイドレール6と略同じ高さで、ガイドレール6と離間すると漸次低くなる傾斜面に形成された傾斜部材7と、を有している。これらのガイドレール6および傾斜部材7は、床Fの上面に設置されている。
【0022】
図4および
図5を示すように、ガイドレール6は、ステンレスなどを材料とする板材を折り曲げて形成された部材で、床Fと当接する底板部61と、底板部61の見込み方向の両端部とそれぞれ連続し上方に延びる一対の側板部62,62と、一対の側板部62,62の上端部とそれぞれ連続し他方の側板部62と離間する側へ水平方向に延びる一対の水平板部63,63と、一対の水平板部63,63の側板部62,62と連続する側と反対側の端部とそれぞれ連続し下方に延びて下端部64a,64aが床Fと離間する一対の第1鉛直板部64,64と、一対の第1鉛直板部64,64とそれぞれ溶接されて下端部65a,65aが床Fと当接する一対の第2鉛直板部65,65と、を有している。
底板部61および一対の側板部62,62に囲まれた空間が、ドア本体の振れ止め材33が挿入されるガイド溝6aを形成している。
【0023】
また、ガイドレール6は、底板部61と一対の第2鉛直板部65,65の下端部65a,65aが床Fと当接するため、ガイドレール6をぐらついたりせずに安定した状態で床Fの上部に設置することができる。
そして、ガイドレール6は、例えば床Fに挿入されたフィッシャープラグ66aと、底板部61を係止するとともにフィッシャープラグ66aと係合するネジ66bと、を有する固定具66などによって床Fに固定されている。
また、従来の床Fに埋め込むガイドレールの中には、本実施形態によるガイドレール6の底板部61と、一対の側板部62,62と、一対の水平板部63,63と、一対の第1鉛直板部64,64と、を有する構成のものがあるため、このような従来のガイドレールに一対の第2鉛直板部65,65に相当する部品を溶接すれば、既設のガイドレールを利用して下レール22を構成することができる。
【0024】
図4に示すように、傾斜部材7は、ガイドレール6の見込み方向の室外14側に設けられた第1傾斜部材7Aと、室内13側に設けられた第2傾斜部材7Bと、ガイドレール6の見付け方向の両側にそれぞれ設けられた第3傾斜部材7Cおよび第4傾斜部材7Dと、を有している。
第1傾斜部材7Aは、開口部12の内側において見付け方向全体に配置されている。第2傾斜部材7Bは、ガイドレール6の見付け方向の長さ全体と対応する範囲に配置されている。
また、ガイドレール6の見付け方向の一方側(
図4の左側)に設けられた第3傾斜部材7Cは、見込み方向において第2傾斜部材7Bの室内13側の端部からFIX窓15の室内13側の端面までの範囲に配置されている。ガイドレール6の見付け方向の他方側(
図4の右側)に設けられた第4傾斜部材7Dは、見込み方向において第2傾斜部材7Bの室内13側の端部から縦枠23の室外14側の端面近傍までの範囲に配置されている。なお、この第4傾斜部材7Dは、ガイドレール6とは当接せず、ガイドレール6との間に縦枠23が介在している。
【0025】
これらの傾斜部材7A〜7Dの上面は、いずれもガイドレール6側の高さがガイドレール6の水平板部63の上面63a高さと略等しく、ガイドレール6と離間する側の端部の高さが床Fの高さと略等しくなるように形成されている。
【0026】
また、第2傾斜部材7B、第3傾斜部材7Cおよび第4傾斜部材7Dは、それぞれ第3傾斜部材7Cおよび第4傾斜部材7Dまたは第2傾斜部材7Bと接合される端部が、平面視において見付け方向および見込み方向に対して斜め形成されていて、これらの斜めに形成されている端部どうしが接続されている。本実施形態では、第2傾斜部材7Bと第3傾斜部材7Cおよび第4傾斜部材7Dとの接続部には、シーリング材106が配置されている。
【0027】
ここで、これらの傾斜部材7A〜7Dは、それぞれ同一の断面形状に形成されているため、傾斜部材7A〜7Dの断面形状については、第1傾斜部材7Aの断面形状のみを説明する。なお、第2傾斜部材7Bは、第1傾斜部材7Aを水平面内において180°回転し、延在長さを長くして見付け方向の両端部を斜めに形成したもの、第3傾斜部材7Cは、第1傾斜部材7Aを水平面内において上方から見て反時計回りに90°回転し、延在長さを短くして室内13側の端部を斜めに形成したもの、第4傾斜部材7Dは、第1傾斜部材7Aを水平面内において上方から見て時計回りに90°回転し、延在長さを短くして室内13側の端部を斜めに形成したものに相当する。
【0028】
第1傾斜部材7Aは、見付け方向に延在し床Fの上部に設置される下地材71と、見付け方向に延在し下地材71の上側に設置されるカバー材91と、を有している。下地材71およびカバー材91は、アルミニウムなどを材料として形成されている。
以下に、下地材71およびカバー材91の構成を、ガイドレール6側から室外14側に向かう順番に説明する。
図5に示すように、下地材71は、ガイドレール6の第1鉛直板部64と隣接する第1鉛直板部72と、この第1鉛直板部72の高さ方向の中間部と連続し室外14側に延びる第1水平板部73と、上端部が第1水平板部73の室外14側の端部と連続し下方に延びる第2鉛直板部74と、第2鉛直板部74の下端部と連続し室外14側に延びる第2水平板部75と、下端部が第2水平板部75の室外14側の端部と連続し上方に延びる第3鉛直板部76と、を有している。
【0029】
第1鉛直板部72は、上端部がガイドレール6の水平板部63の上面63aよりも低い位置に配置されていて、下端部に室外14側に延びて面方向を上下方向とし下面が床Fと当接する脚部72aが設けられている。
第2鉛直板部74の下端部、第2水平板部75の下面および第3鉛直板部76の下端部は、床Fと隙間あけるように配置されている。そして、第2水平板部75の下面には、見込み方向の両端部に、見付け方向に延在し下方に突出する第1リブ75a,75aが形成され、これらの第1リブ75a,75aの先端部(下端部)が床Fと当接している。
そして、第2水平板部75、2つの第1リブ75a,75aおよび床Fに囲まれた空間には、見付け方向全体にわたってパッキン(止水材)101が配置されている。
また、第2鉛直板部74および第3鉛直板部76は、それぞれ下端部が第1リブ75aと連続していて、第1リブ75aとともに上側に配置されるカバー材91からの荷重を床Fに伝達可能に構成されている。
【0030】
また、下地材71は、第3鉛直板部76の上端部と連続し室外14側に延びる第3水平板部77と、第3水平板部77の室外14側の端部と連続し室外14側に向かって漸次下方に向かう斜め方向に延びる第1傾斜板部78と、上端部が第1傾斜板部78の室外14側の端部と連続し下方の床Fまで延びる第4鉛直板部79と、第1傾斜板部78の室外14側の端部および第4鉛直板部79の上端部と連続し室外14側に向かって漸次下方に向かう斜め方向に延びる第2傾斜板部80と、を有している。
【0031】
第1傾斜板部78と第2傾斜板部80とは、略同じ勾配で傾斜していて上面が略面一に形成されている。
第3水平板部77および第1傾斜板部78は、略同じ板厚で、第2傾斜板部80および後述する第3傾斜板部84よりも厚く形成されていて、上方から荷重が作用した場合も、この荷重を確実に受けることができる本発明の支持材を構成している、
第4鉛直板部79は、下端部に第1鉛直板部72の脚部72aと同様の脚部79aが設けられている。
【0032】
また、下地材71は、上端部が第2傾斜板部80の室外14側の端部と連続し下方に延びる第5鉛直板部81と、第5鉛直板部81の下端部と連続し室外14側に延びる第4水平板部82と、下端部が第4水平板部82の室外14側の端部と連続し上方に延びる第6鉛直板部83と、第6鉛直板部83の上端部と連続し室外14側に向かって漸次下方に向かう斜め方向に延びる第3傾斜板部84と、上端部が第3傾斜板部84の室外14側の端部と連続し下方の床Fまで延びる第7鉛直板部85と、を有している。
【0033】
第5鉛直板部81、第4水平板部82および第6鉛直板部83は、第2鉛直板部74、第2水平板部75および第3鉛直板部76と同様に床Fと隙間あけるように配置されていて、第4水平板部82には、第2水平板部75に形成された第1リブ75a,75aと同様の第1リブ82a,82aが形成されていて、第4水平板部82、第1リブ75a,75および床Fに囲まれた空間にはパッキン101が配置されている。
また、第5鉛直板部81および第6鉛直板部83は、第2鉛直板部74および第3鉛直板部76と同様に、第1リブ82aとともに上側に配置されるカバー材91からの荷重を床Fに伝達可能に構成されている。
第3傾斜板部84は、第1傾斜板部78および第2傾斜板部80と略同じ勾配で傾斜していて、これらの上面は、同一傾斜面上に配置されている。
【0034】
また、下地材71は、第7鉛直板部85の下端部と連続し室外14側に延びて下面が床Fと当接する第5水平板部86と、第5水平板部86の室外14側の端部と連続し上方に延びる第8鉛直板部87と、第8鉛直板部87の上端部と連続し室内13側および室外14側に向かって斜め方向に延びる第4傾斜板部88と、を有している。
【0035】
下地材71には、第4傾斜板部88の第8鉛直板部87よりも室内13側の部分88a、第8鉛直板部87、および第5水平板部86に囲まれた係合凹部89が形成されていて、この係合凹部89がカバー材91の係合爪部97と係合可能に構成されている。
また、第4傾斜板部88の室外14側の端部88bは、床Fと当接していて、この端部88bおよび床Fと当接するシーリング材104が下地材71の見付け方向の長さ全体にわたって配置されている。
【0036】
このような下地材71は、第2水平板部75および第4水平板部82が、例えば床Fに挿入されたフィッシャープラグ102aと、第2水平板部75および第4水平板部82を係止するとともにフィッシャープラグ102aと係合するネジ102bと、を有する固定具102などによって床Fに固定されている。なお、本実施形態では、第4水平板部82は、床Fに固定されている。
【0037】
カバー材91は、下地材71の第1水平板部73の上面に当接する第1水平板部92と、下端部が第1水平板部92の室外14側の端部と連続し上方に延びる第1鉛直板部93と、第1鉛直板部93の上端部と連続し室外14側に向かって漸次下方に向かう斜め方向に延びる第1傾斜板部
(第1傾斜面)94と、第1傾斜板部94の室外14側の端部と連続し室外14側へ水平方向に延びる第2水平板部
(水平面)95と、第2水平板部95の室外14側の端部と連続し室外14側に向かって漸次下方に向かう斜め方向に延びる第2傾斜板部96と、第2傾斜板部
(第2傾斜面)96の室外14側の端部に連続して形成され断面略L字状の係合爪部97と、を有している。
【0038】
第1水平板部92は、室外14側の端部が下地材71の第1水平板部73よりも室内13側に配置されている。また、第1鉛直板部93は、下地材71の第1水平板部73の上方に配置されている。そして、第1鉛直板部93の室内13側には、ガイドレール6の第1鉛直板部64、下地材71の第1鉛直板部72、第1水平板部73、カバー材91の第1水平板部92、第1鉛直板部93に囲まれた凹部22aが形成されていて、この凹部22aに、シーリング材103が配置されている。
【0039】
第1傾斜板部94は、下地材71の第1水平板部73の室外14側の端部近傍および第2鉛直板部74、第2水平板部75の上方にこれらと間隔をあけて配置されている。
第2水平板部95は、下面が下地材71の第3水平板部77の上面と当接している。また、
図3に示すように、第2傾斜部材7Bのカバー材91の第2水平板部95は、上面のガードスクリーン車輪走行面95aに沿ってガードスクリーン4の車輪が見付け方向に走行可能に構成されている。
【0040】
図5に戻り、第2傾斜板部96は、下地材71の第1傾斜板部78、第2傾斜板部80および第3傾斜板部84の上面と当接しているとともに、第4水平板部82および第5水平板部86の上方にこれらと間隔をあけて配置されている。また、第2傾斜板部96は、係合爪部97が下地材71の係合凹部89と係合すると、上面が下地材71の第4傾斜板部88の上面と略面一となるように構成されている。
【0041】
また、カバー材91の上面には、カバー材91の延在方向に延びて上側に突出する第2リブ98,98…が見込み方向に間隔をあけて複数形成されている。この第2リブ98,98…は、カバー材91の上面の滑り止めとなり、下レール22の安全性を高めている。
本実施形態では、第2リブ98,98…は、第1傾斜板部94の室内13側の端部、第1傾斜板部94と第2水平板部95との境界、第2水平板部95と第2傾斜板部96との境界、第2傾斜板部96の上面に形成されている。そして、これらの第2リブ98,98…は、下地材71の第2〜第7鉛直板部74,76,79,81,83,85の直上近傍や、板厚が厚く形成された第3水平板部77、第1傾斜板部78の上方に配置されている。これにより、通行人が傾斜部材7を踏んだ際にカバー材91作用する上側からの荷重を、第2〜第7鉛直板部74,76,79,81,83,85および第3水平板部77、第1傾斜板部78を介して床Fに伝達させることができるとともに、傾斜部材7が上からの力によって変形することを防止できる。
なお、第2リブ98は、ガードスクリーン車輪走行面95aには形成されておらず、ガードスクリーン車輪走行面95aを走行するガードスクリーン4の車輪43と干渉しないように構成されている。
【0042】
また、第2リブ98,98…は、先端部がそれぞれ室外14側に向かって漸次下方に向かう傾斜面に形成されていて、複数の第2リブ98の先端部の傾斜面は、室外14側に向かって漸次下方に向かう同一の傾斜面上に配置されている。このため、開口部12を通過する通行者が下レール22を踏むと、通行者の靴底(足裏)が同一の傾斜面上に配置された複数の第2リブ98,98…の先端面と当接することになり、通行人がカバー材91上面の凹凸をほとんど感じることなく通行することができるとともに、カバー材91が通行人の体重(荷重)を均等に受けることができる。
【0043】
また、第2リブ98,98…は、基端部側と第1、2傾斜板部94,96および第2水平板部95との角部が鋭角とならないように形成されていて、この角部が鋭角となる場合は、この鋭角を面取りするように第2リブ98,98…と第1、2傾斜板部94,96および第2水平板部95とに連続する面が形成されている。これにより、角部にたまった砂や埃などを、これらの角部から除去しやすい構造とすることができる。
【0044】
このようなカバー材91は、係合爪部97が下地材71の係合凹部89と係合するとともに、第1水平板部92が下地材71の第1水平板部73とネジなどの固定具105で固定され、第2傾斜板部96が下地材71の第2傾斜板部80とネジなどの固定具105で固定されることで下地材71に固定されている。
そして、カバー材91が床Fに固定された下地材71に固定されると、第1傾斜板部94の室内13側の端部に形成された第2リブ98の上端部の高さが、ガイドレール6の水平板部63の上面の高さ63aと略同じ高さとなるように構成されている。
【0045】
次に、建物11に設置されていた既存ドア5を撤去し本実施形態による自動ドア1を設置する改修工事において下レール22を床Fに設置する方法(建具の改修方法)について説明する。
まず、
図6に示すように、ガイドレール6をドア本体3がスライドする範囲の下方の床Fの上に配置し、ガイドレール6の底板部61の下面および第2鉛直板部65,65の下端部65a,65aを床Fと当接させ、底板部61を固定具66で床Fに固定する。
続いて、ガイドレール6の側方にそれぞれ傾斜部材7A〜7Dを設置する。なお、傾斜部材7A〜7Dは同様に設置されるため、ここでは、第1傾斜部材7Aの設置について説明する。
【0046】
第1傾斜部材7Aの設置は、まず、下地材71をガイドレール6の側方の床Fに配置する。このとき、第1鉛直板部72の脚部72a、第4鉛直板部79の脚部79a、および第5水平板部86を床Fと当接させる。
このとき、下地材71の第2水平板部75および第4水平板部82と床Fとの間にパッキン101を配置し、第1リブ75a,75a,82a,82aを床Fと当接させる。
【0047】
続いて、第2水平板部75および第4水平板部82を固定具66で床Fに固定する。このとき、第1リブ75a,75a,82a,82aの下端部は、床Fと当接し、第2水平板部75および第4水平板部82が固定具66で固定されることによって床Fに押し付けられて適宜潰されるように構成されている。これにより、第2水平板部75および第4水平板部82がパッキン101を床Fに押し付け、第2水平板部75および第4水平板部82とパッキン101との間、また、パッキン101と床Fとの間に隙間が生じることを防止できて、下地材71と床Fとの間から室内13へ雨水などの水が浸入することを防止できる。第2水平板部75および第4水平板部82から下方に突出する第1リブ75a,75a,82a,82aが形成されていることにより、パッキン101を隣り合う第1リブ75a,75a,82a,82aの間に配置すればよいため、パッキン101の位置決めを容易に行うことができる。
【0048】
続いて、
図7に示すように、カバー材91を室外14側に配置される係合爪部97側が室内13側に配置される第1水平板部92 側よりも下側となる向きとし、この係合爪部97を下地材71の係合凹部89に上方から挿入させて、係合爪部97を中心としてカバー材91を所定の向きとなるように第1水平板部92側を下側に移動させるように回転させる。
そして、カバー材91の第1水平板部92を下地材71の第1水平板部73の上面に当接させ、カバー材91の第2水平板部95を下地材71の第3水平板部77と当接させ、カバー材91の第2傾斜板部96を下地材71の第1〜第3傾斜板部78,80,84と当接させる。
そして、カバー材91の第1水平板部92を下地材71の第1水平板部73に固定具105で固定するとともに、カバー材91の第2傾斜板部96を下地材71の第2傾斜板部80に固定具105で固定する。
【0049】
続いて、
図5に示すガイドレール6の第1鉛直板部64、下地材71の第1鉛直板部72、第1水平板部73、カバー材91の第1水平板部92、第1鉛直板部93に囲まれた凹部22aにシーリング材103を配置する。このように、凹部22aにシーリング材103を配置することにより、ガイドレール6と傾斜部材7との隙間を埋めることができる。
また、カバー材91の設置と前後して、下地材71の第4傾斜板部88の室外14側の端部88bと床Fとの隙間を塞ぐようにシーリング材104を配置する。
このようにして第1傾斜部材7Aが設置される。
第2〜4傾斜部材7B〜7Dも、第1傾斜部材7Aと同様に設置する。そして、第2傾斜部材7Bと第3傾斜部材7Cおよび第4傾斜部材7Dとの接続部にシーリング材106を配置する。
このようにして下レール22が床Fに設置される。
そして、ガイドレール6の上部にドア本体3を設置するとともに、第2傾斜部材7Bの上部に、ガードスクリーン車輪走行面95aの上面をガードスクリーン4の車輪43が走行可能なようにガードスクリーン4を設置する。
【0050】
次に、上述した自動ドア1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した実施形態による自動ドア1では、傾斜部材7Bは、ガードスクリーン4の車輪43が走行する部分には、ガードスクリーン車輪走行面95aが形成されていることにより、ガードスクリーン4が傾斜部材7B上を安定した状態で移動することができる。また、床上Fに設置されたガイドレール6の側方に、ガイドレール6側の高さがガイドレール6の高さと略等しく、ガイドレール6と離間する側の高さが床Fの高さと略等しい傾斜部材7が設置されることにより、ガイドレール6と床Fとの段差をスロープとすることができ、下レール22の上を通行する通行人がガイドレール6と床Fとの段差につまずいたり、荷物が引っかかったりすることを防止できる。
そして、従来では、ガイドレールと床Fとの段差が生じないようにガイドレールを床Fに埋め込んでいるため、床Fを斫る床斫り工事、この斫った部分にガイドレールを設置して溶接固定する溶接工事、溶接固定されたガイドレールの周囲にモルタルを充填する左官工事等が行われているが、本発明では、下レール22を床Fに設置すればよく、このような工事を行う必要がないため、従来よりも容易にかつ短時間で自動ドア1を設置することができる。
【0051】
また、傾斜部材は、下地材71は、ガードスクリーン車輪走行面95aの直下に配置される第3水平板部77が、下地材71の他の水平板部や傾斜板部よりも厚く形成されていることにより、ガードスクリーン車輪走行面95a上をガードスクリーン4の車輪43が走行した場合に、ガードスクリーン車輪走行面95aに作用したガードスクリーン4の荷重を支持部を介して効率よく床Fに伝達させることができる。これにより、傾斜部材7の強度が増加し、傾斜部材7上をガードスクリーン4が走行することによる変形を抑制できる。
また、本実施形態では、下地材の鉛直板部は、上方からの荷重を床Fに伝達可能に構成されているが、ガードスクリーン車輪走行面95aの直下には、下地材71の鉛直板部が設けられていない構成である。しかし、第3水平板部77が他の部分よりも厚く形成されていることにより、直下に鉛直部材が設けられていなくても、水平板部77が上方からのガードスクリーン4の荷重を負担し、近接する鉛直部材を介して床Fに荷重を伝達させることができる。
【0052】
以上、本発明による出入口用建具および建具の改修方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、自動ドア1は、スイング式の既存ドア本体52を、新設の自動ドアとする改修工事の際に用いられているが、改修工事ではなく、新築工事の際に用いられてもよい。また、手動式のドアや開放のみまたは閉鎖のみドア本体3が自動に移動する半自動式のドアに本実施形態による下レール22が設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、自動ドア1は、片引き(1枚引き)のドアであるが両引き(2枚引き)のドアや、3枚以上のドア本体が見付け方向にスライドするドアとしてもよい。また、上記の実施形態では、ドア本体3は、矩形状に枠組みされた框31の内側にガラス32が嵌めこまれているが、このようなドア本体3に代わってガラスのないパネル式の戸体としてもよい。
また、上記の実施形態では、ドア本体3の振れ止め材33が下レール22のガイド溝6aに挿入される構成であるが、振れ止め材33に代わって、ドア本体3の下端部に車輪が設けられていて、この車輪がガイド溝6aの底面(底板部61)を走行する構成としてもよい。
【0053】
また、上記の実施形態では、ガードスクリーン4は、矩形状に組まれた框41の内側にガラス42が嵌めこまれたパネル状に形成されているが、ガラス部分がないパネル状に形成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、ガードスクリーン車輪走行面95aは、下地材71の他の部分よりも厚く形成されている第3水平板部(支持材)77に支持されているが、ガードスクリーン4の車輪の走行に問題がなければ、第3水平板部(支持材)77に支持されていなくてもよい。
また、上記の実施形態では、傾斜部材7の下地材71およびカバー材91は、水平板部、鉛直板部、傾斜板部がそれぞれ配列されているが、傾斜部材7の上面に傾斜面が設置されていて、傾斜部材7のガイドレール6側がガイドレール6と略等しい高さで、傾斜部材7のガイドレール6と離間する側の端部が床Fと略等しい高さであれば、水平板部、鉛直板部、傾斜板部の配列の順番や数、水平板部および鉛直板部の有無は適宜設定されてよい。また、下地材71が床Fと固定される部分や、下地材71とカバー材91とが固定される部分は適宜設定されてもよい。
また、本実施形態では、傾斜部材7は、下地材71とカバー材91とを有する構成であるが、下地材71とカバー材91とが一体に形成されている構成としたり、下地材71とカバー材91のような2つの部材でなく3つ以上の部材を有する構成としたりしてもよい。
【0054】
また、上記の実施形態では、ガイドレール6は、底板部61、側板部62,62水平板部63.63、第1鉛直板部64および第2鉛直板部65を有しているが、ガイドレール6にガイド溝6aが形成されていれば、上記以外の形態としてもよい。
また、上記の実施形態では、すべての傾斜部材7A〜7Dにガードスクリーン車輪走行面95aが形成されているが、ガードスクリーン4の車輪43が走行しない傾斜部材7(本実施形態では、第1傾斜部材7A、第3傾斜部材7C、第4傾斜部材7D)には、ガードスクリーン車輪走行面95aが形成されていなくてもよい。
【0055】
また、上記の実施形態では、傾斜部材7の下地材71と床Fとの間には、パッキン101が配置され、ガイドレール6と傾斜部材7との境界部分の凹部22aにシーリング材103が配置され、第4傾斜板部88の室外14側の端部88bには、シーリング材104が配置され、第2傾斜部材7Bと第3傾斜部材7Cおよび第4傾斜部材7Dとの接続部にシーリング材106が配置されているが、これらのパッキン101やシーリング材103,104,106は、必要に応じて適宜配置されればよく、配置される箇所も適宜設定されてよい。
【0056】
また、上記の実施形態では、傾斜部材7の下地材71の第2水平板部75および第4水平板部82には,第1リブ75a,75a,82a,82aが形成されているが、第1リブ75a,75a,82a,82aが形成されていなくてもよい。
また、上記の実施形態では、傾斜部材7のカバー材91には第2リブ98,98…が形成されているが、形成されていなくてもよい。また、第2リブ98,98…が配置される位置は、適宜設定されてよい。
また、上記の実施形態では、第3傾斜部材7C、第4傾斜部材7Dが設けられているが、これらが設けられていなくてもよい。