特許第6317240号(P6317240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6317240
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180416BHJP
【FI】
   A63F7/02 312Z
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-235830(P2014-235830)
(22)【出願日】2014年11月20日
(65)【公開番号】特開2016-96992(P2016-96992A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2016年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】中村 徳秀
【審査官】 酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−173926(JP,A)
【文献】 特開2006−289122(JP,A)
【文献】 特開2014−076135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域の所定位置に設置された始動口への入賞を契機として特別図柄抽選を実行し、当該抽選結果に対応する図柄変動ゲームを表示し、前記特別図柄抽選の結果が当たりの場合に、前記図柄変動ゲームの表示を停止して当たり図柄を確定させた後に特別入賞口の開放を伴う特別遊技を実行する様に構成された遊技機において、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)遊技球の打ち出し位置と前記始動口との間の遊技領域に、遊技球の進路を、前記始動口への入賞可能性を高め得る特定ルート又は当該特定ルート以外のルートへと振り分ける振分装置を備えていること。
(1B)前記振分装置は、最上流部に遊技球を受け入れる受入口を開口すると共に最下流部に前記特定ルートへの出口を開口する本体流路と、該本体流路の途中に形成され、前記特定ルート以外のルートへの出口を有する分岐流路とを備えると共に、前記本体流路から前記分岐流路が分岐する位置に振分部材を備え、該振分部材によって前記本体流路と前記分岐流路との間で遊技球が振り分けられる様子を遊技者が目視可能に構成されていること
(1C)前記特定ルートは前記始動口へと直接的に遊技球を誘導し得るルートとして構成されていること
(1D)前記特定ルート以外のルートは、最上流部の分岐流路をアウト口へと直接的に遊技球を誘導するアウト口誘導ルートとし、中間部の分岐流路を遊技球が通過する遊技領域であって、前記始動口への入賞も可能な遊技領域へと遊技球を放出する第3のルートとしたこと
(1E)前記振分装置は、前記アウト口誘導ルートへの振り分け率を1/2、前記特定ルートへの振り分け率を1/2、前記第3のルートへの振り分け率を(2N−1 −1)/2とする様に、N個の振分部材を備えていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動入賞を契機として特別図柄抽選を実行し、当たりの場合に特別入賞口の開放を伴う特別遊技を実行する様に構成された遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機で遊技する際、遊技者は、センター役物の中央下部等に備えられた始動口へと遊技球を集める様に発射ハンドルを操作するが、障害釘や風車などの障害物によって遊技球の動きには様々な変化が生じるため、遊技球を始動口付近に集めることは初心者には困難な場合も多い。一方、こうした障害物による遊技球の動きの変化がないならば、遊技自体が単調になり過ぎる。
【0003】
そこで、従来より、始動入賞安定化手段として、ワープ装置を設ける提案(特許文献1)、ワープ領域に第1入口(有利な位置へ誘導)と第2入口(不利な位置へ誘導)とを備えさせる提案(特許文献2)、略均等な確率で受入孔へと遊技球を跳躍させる跳躍部をステージに設ける提案(特許文献3)、風車の右上位置に屋根部材を設けて道釘列へと安定して遊技球を誘導する提案(特許文献4,特許文献5)など、がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−269543
【特許文献2】特開2004−290584
【特許文献3】特開2005−102824
【特許文献4】特開2006−325765
【特許文献5】特開2010−246637
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら特許文献1〜5の技術は、始動入賞の安定化を向上することができるとしても、入賞間隔のバラツキを解消することはできない。このため、図柄表示装置が作動していない時間が発生して遊技者の興趣の低下を招くという問題を解決するには至っていなかった。また、入賞釘の設定によっては意図した入賞率を得ることができず、ゲーム性が損なわれるおそれもあった。逆に、始動入賞の安定化を高めすぎる設計をした場合は、遊技の単調化によりゲーム性が損なわれるという問題が発生する。
【0006】
そこで、本発明は、始動入賞の安定化を図りつつもゲーム性を損なうことなく遊技者の興趣を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためになされた本発明の遊技機は、遊技領域の所定位置に設置された始動口への入賞を契機として特別図柄抽選を実行し、当該抽選結果に対応する図柄変動ゲームを表示し、前記特別図柄抽選の結果が当たりの場合に、前記図柄変動ゲームの表示を停止して当たり図柄を確定させた後に特別入賞口の開放を伴う特別遊技を実行する様に構成された遊技機において、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1A)前記遊技球の打ち出し位置と前記始動口との間の遊技領域に、遊技球の進路を、前記始動口への入賞可能性を高め得る特定ルート又は当該特定ルート以外のルートへと振り分ける振分装置を備えていること。
(1B)前記振分装置は、最上流部に遊技球を受け入れる受入口を開口すると共に最下流部に前記特定ルートへの出口を開口する本体流路と、該本体流路の途中に形成され、前記特定ルート以外のルートへの出口を有する分岐流路とを備えると共に、前記本体流路から前記分岐流路が分岐する位置に振分部材を備え、該振分部材によって前記本体流路と前記分岐流路との間で遊技球が振り分けられる様子を遊技者が目視可能に構成されていること。
【0008】
本発明の遊技機によれば、遊技領域に打ち出され、振分装置の受入口に入球した遊技球は、当該振分装置が備えている振分部材により、特定ルートへの出口、特定ルート以外のルートへの出口の中のいずれかへと振り分けられる。このとき、特定ルートへの出口に振り分けられた遊技球は始動口への入賞可能性が高まるが、特定ルート以外のルートへの出口に振り分けられた遊技球は必ずしも始動口への入賞可能性は高まらない。この結果、振分装置に入球したら必ずステージへと放出される従来のワープ通路などとは異なり、始動入賞の可能性が高いルートとそうでもないルートへと遊技球が振り分けられることとなる。従って、本発明の遊技機によれば、特定ルートへの振り分けによる始動入賞安定化作用と、特定ルート以外への振り分けによるゲームの単調化防止作用とが発揮されることとなる。加えて、振分装置の最上流部から本体流路内を通過し、振分部材による振り分けで本体流路内をそのまま最下流部の出口(特定ルートへの出口)に向かって通過する様子や、途中で分岐路へと分岐させられる様子自体を遊技者に楽しませることができる。なお、特定ルート以外のルートには複数のルートが設定されていても構わない。
【0009】
ここで、本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(2)前記特定ルートは前記始動口へと直接的に遊技球を誘導し得るルートとして構成されていること。
【0010】
本発明の遊技機では、特定ルート以外のルートへも振り分けられる構成により、振分装置への入球=始動入賞とはならない。従って、(2)の構成においてほぼ確実に始動口へと入球させる様な特定ルートを備えて始動入賞の安定化を図った場合にも、遊技が単調になり過ぎることがない。
【0011】
これら本発明の遊技機は、さらに、以下の(3)〜(5)の一つ以上の構成をも備えることができる。
(3)前記特定ルートは、前記始動口の上方に設置されているステージへと遊技球を誘導し得るルートとして構成されていること。
(4)前記特定ルート以外のルートがアウト口へと直接的に遊技球を誘導するアウト口誘導ルートとされていること。
(5)前記特定ルート以外のルートへの出口は、前記振分装置に入球しなかった遊技球が通過する遊技領域であって、前記始動口への入賞も可能な遊技領域へと遊技球を放出する位置に備えられていること。
【0012】
(3)の構成を備える場合において(2)の構成をも備える場合には、ステージ上へ放出された遊技球がほぼ必ず始動口へと入賞する様ないわゆる王道ルートをステージに設けておくとよい。
【0013】
(4)の構成を備えることで、(2)の構成をも備えた場合にあっても、始動口へと誘導する特定ルートへと振り分けられることによる高揚感だけでなく、アウト口誘導ルートへの振り分けによる喪失感をも遊技者に感じさせることとなり、遊技球の振り分けへの興趣を高めることができる。
【0014】
そして、(5)の構成をも備える場合には、特定ルートへと振り分けられなかった場合においても十分に始動口へと入賞し得る余地を感じさせることとなり、遊技球の動きへの興趣を高めることができる。
【0015】
これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(6)前記振分装置は、前記遊技球の打ち出し位置と前記始動口との間の所定の遊技領域に打ち込まれた全ての遊技球を受け入れ得る様に前記受入口を備えていること。
【0016】
ここで、「遊技球の打ち出し位置と前記始動口との間の所定の遊技領域に打ち込まれた全ての遊技球」というのは、「左打ち遊技における始動入賞の安定化だけを意図した遊技機」の場合は、「センター役物の左側遊技領域を流下する遊技球の全て」という意味であり、この様な遊技機に対して「敢えて強く発射させてセンター役物の右側領域へと打ち込まれあ遊技球」までは対象にしなくてもよい。逆に、「右打ち遊技における始動入賞の安定化だけを意図した遊技機」の場合は、「センター役物の右側遊技領域を流下する遊技球の全て」という意味であり、この様な遊技機に対して「敢えて弱く発射させて右側領域まで達しない様な遊技球」までは対象にしなくてもよい。なお、「左打ちでも右打ちでも始動入賞の安定化を意図した遊技機」の場合は、「遊技領域を流下する全ての遊技球」を対象とする。(6)の構成をも備えることにより、遊技球の何個かに1個は特定ルートへと振り分けられる様に、入賞間隔のバラツキをなくした設計をすることが可能になる。
【0017】
これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(7)前記振分部材は、下部中央付近を揺動中心として揺動し得る揺動部材によって構成され、当該揺動部材は、前記揺動中心から上方に伸びる仕切部材と、前記仕切部材を挟んで左右に振り分ける様に設けられた左受け止め部及び右受け止め部と、を備え、前記左受け止め部で遊技球を受け止めた場合に前記右受け止め部を遊技球受け止め位置へと移動させる様に揺動して停止し、前記右受け止め部で遊技球を受け止めた場合に前記左受け止め部を遊技球受け止め位置へと移動させる様に揺動して停止する動作を遊技球の重量を利用して実行し得る様に構成されていること。
【0018】
かかる構成をも備えることにより、振分装置へと入球した遊技球は、振分部材の設置個数をnとすると2のn乗に1個の割合で始動入賞させるという設計も可能になる。即ち、振分部材を3個備える場合には8個の入球で1個が、振分部材を4個備える場合には16個の入球で1個が、必ず特定ルートへと振り分けられることとなり、特定ルートをほぼ確実に始動入賞させ得る様に設定すれば、入賞間隔をばらつかせることなく始動入賞の安定化を図ることができる。
【0019】
そして、これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(8)前記振分装置が、前記特定ルートへの出口以外の出口がセンター役物に対して外を向くように、該センター役物の側部に設けられていること。
【0020】
この場合、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(9)前記振分装置が、前記センター役物の左右両側に設けられていること。
【0021】
(8)の構成を備える場合、特定ルート以外のルートへの出口をセンター役物に対して外向きにすることで特定ルート以外のルートへの出口を容易に設定し易く、特定ルートをステージの王道ルートへと繋げることも容易となる。そして、(9)の構成を備える場合には、特に、(6)の構成をも備える様にすると、全ての遊技球を一旦は振分装置へと入球させることが可能となる。また、(6)に加えて(7)の構成をも備えるならば、発射個数4個ごと、8個ごと、16個ごとなど、特定ルートへ誘導される遊技球を発射個数に対して一定の割合で一定の順番で発生させることができるから、始動入賞間隔のバラツキ解消効果がさらに高まることとなる。
【0022】
そして、これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(10)前記特別図柄抽選は、前記始動口に遊技球が入賞したことを契機として取得された特別図柄判定用乱数と、予め定めた判定値との一致・不一致に基づいて前記当たりか否かの判定を行うことによって実行され、前記特別図柄判定用乱数を所定個数を限度として保留記憶すると共に、限度いっぱいまで保留記憶している状態で取得された特図判定用乱数は前記特別図柄抽選には用いない様に構成される上限個数付き保留記憶手段を備えていること。
【0023】
いわゆる保留機能を備える遊技機においては、始動口への入賞間隔がばらつくと、入賞個数が多いにも拘わらず図柄変動ゲームの実行回数が少なくなり、いわゆる「回らない遊技機」という感覚を遊技者に抱かせることとなるが、本発明の遊技機によれば、連続して発射している状態での始動口への入賞間隔のバラツキをなくしつつ始動入賞の安定化を図ることができるから、遊技者にとっては捨てられる乱数が少なくなり、安心して連続発射を続けることができる。これにより、止め打ちの様な複雑な操作による疲労もなく、いわゆるゴト師と疑われることもなく、安心して遊技を楽しむことができるものとなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、始動入賞の安定化を図りつつもゲーム性を損なうことなく遊技者の興趣を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例1のパチンコ機を示し、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は分解斜視図である。
図2】実施例1のパチンコ機が備える遊技盤を示し、(A)は正面図、(B)は要部拡大正面図である。
図3】実施例1のパチンコ機が備える振分装置を示し、(A),(B)は左側振分装置の拡大正面図、(C),(D)は右側振分装置の拡大正面図である。
図4】実施例1のパチンコ機が備える始動入賞装置を示す拡大正面図である。
図5】実施例1のパチンコ機が備える振分装置による振り分けの様子を示す模式図である。
図6】実施例1のパチンコ機が備える振分装置による振り分けの様子を示す模式図である。
図7】実施例1のパチンコ機の制御装置の構成を示すブロック図である。
図8】実施例1のパチンコ機における特図入力処理を説明する図であって、(A)は制御系統のブロック図、(B)は演算処理のフローチャートである。
図9】実施例1のパチンコ機における特図開始処理を説明する図であって、(A)は制御系統のブロック図、(B)は演算処理のフローチャートである。
図10】実施例2としての遊技盤の正面図である。
図11】実施例3としての振分装置を示し、(A),(B)は左側振分装置の拡大正面図、(C),(D)は右側振分装置の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態として、具体的な実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機Pは、図1に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤1、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び打球発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機Pの外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤1は、中枠Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは遊技盤1の透視保護窓であって、施錠装置Hの操作によって開閉可能な様に中枠Bの前面側に組み付けられる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、本実施例においては前枠Dの下部と一体に構成されている。従って、前枠Dを中枠Bに対して開閉するときに上の球受け皿Eも共に開閉される。下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿であって、中枠Bの下部に固定されている。打球発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置であって、中枠Bの右下部に装備される。
【0028】
中枠Bは、上縁をなす上枠部材B1と、下縁をなし打球発射装置G等が設置された下枠部材B2と、左側縁をなす左枠部材B3と、右側縁をなす右枠部材B4とから構成されて、これら上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に開口する開口部分が、遊技盤1を設置する遊技盤保持部B5として機能する。ここで、中枠Bは、外枠Aの左上端部及び左下端部に設けられた支軸を介して枢支され、左側端部を中心として中枠Bを回転させることで外枠Aに対して中枠Bを開閉し得るようになっている。
【0029】
[2 遊技盤の概要]
遊技盤1は、ベニヤ板、透明合成樹脂板などによって形成される板部材1aの中央開口に裏面側から臨む様に液晶表示装置LCDが取り付けられ、この液晶表示装置LCDを取り囲む様に、板部材1aの前面側からセンター役物30が取り付けられている。液晶表示装置LCDは、遊技盤1の裏側に取り付けられる裏ユニット3に対して、可動体役物や電飾装置などと共に組み付けられ、板部材1aの背面側から組み付けられる。なお、センター役物30と液晶表示装置LCDの間には、こうした可動体役物が液晶表示装置LCDの前面へ出没するためのスペースを確保する様に、液晶表示装置LCDは、板部材1aの背面よりも後方に控えた状態の前後方向位置に組み付けられる。
【0030】
遊技盤1は、図2(A)に示す様に、センター役物30の中央直下に始動入賞装置7を備えると共に、センター役物30の左側と右側に風車12,12を備え、風車12,12から始動入賞装置7へと遊技球を誘導する道釘列11,11を備え、センター役物30の左右にそれぞれ、ほぼ同じ面積の左側遊技領域10L、右側遊技領域10Rを備えた左右対称の盤面構成を備えている。
【0031】
始動入賞装置7の下には特別入賞口15を備えると共に、特別入賞口15の左右斜め上方に各2個ずつの普通入賞口18,18,…を備えている。また、中央最下部にはアウト口19が備えられている。遊技球PBは、遊技盤1の左側に設置された内側誘導レール17a及び外側誘導レール17bの間を誘導されて遊技領域10へと打ち出され、左側遊技領域10L又は右側遊技領域10Rを流下する。
【0032】
センター役物30は、液晶表示窓31を形成する大型装飾体32と、ステージ33とを備えると共に、左右にそれぞれ左側振分装置50L及び右側振分装置50Rを備えている。
【0033】
ステージ33には、図2(A),(B)に示す様に、始動入賞装置7の真上から遊技球PBを落下させるトンネル41が備えられている。このトンネル41は、ステージ奥の王道ルートKRT(図2(B)の二点鎖線のルート)へと転がり出た遊技球PBが必ず誘導される構造となっている。そして、王道ルートKRTからトンネル41へと転動した遊技球PBは、ほぼ全てが、入球口7Aから始動入賞装置7へと入球する。
【0034】
始動入賞装置7は、図2(B)に示す様に、入球口7Aの直下に左右振分部材8を備えている。この左右振分部材8は、図3(A),(B)に示す様に、下部中央付近を揺動中心として揺動し得る揺動部材によって構成され、当該揺動部材は、揺動中心から上方に伸びる仕切部材8Cと、仕切部材8Cを挟んで左右に振り分ける様に設けられた左受け止め部8L及び右受け止め部8Rと、を備え、左受け止め部8Lで遊技球PBを受け止めた場合に右受け止め部8Rを遊技球受け止め位置へと移動させる様に揺動して停止し、右受け止め部8Rで遊技球を受け止めた場合に左受け止め部8Lを遊技球受け止め位置へと移動させる様に揺動して停止する動作を遊技球PBの重量を利用して実行し得る様に構成されている。
【0035】
これにより、入球口7Aから入球した遊技球PBは、左右振分部材8により、左右に均等に振り分けられて始動入賞装置7内を流下し、左排出口7L又は右排出口7Rから遊技盤の裏面側へと排出される。この際、特図1スイッチSW1又は特図2スイッチSW2によって検知されることで、特別図柄抽選のための乱数取得契機が与えられる。
【0036】
[3 左側振分装置及び右側振分装置]
図2(A)に示す様に、遊技球PBが誘導レール17a,17bに誘導された遊技領域へと打ち出される位置と始動入賞装置7との間の左側遊技領域10Lに左側振分装置50Lが設置され、同様に遊技球の打ち出し位置と始動入賞装置7との間の右側遊技領域10Rに右側振分装置50Rが設置されている。
【0037】
左側振分装置50Lは、図4(A),(B)に示す様に、最上流部に遊技球PBを受け入れる受入口51Lを開口すると共に最下流部にステージ33の奥に形成された王道ルートKRTへの右向き出口52Lを開口する本体流路53Lと、本体流路53Lの途中に形成され、左側遊技領域10Lへの左向き出口を有する第1分岐流路56L、第2分岐路57L、及び第3分岐路58Lとを備えると共に、本体流路53Lから分岐流路56L等が分岐する位置に第1振分部材60L、第2振分部材70L、及び第3振分部材80Lを備え、各振分部材60L,70L,80Lによって本体流路53Lと各分岐流路56L,57L,58Lとの間で遊技球PBが振り分けられる様子を遊技者が目視可能に構成されている。
【0038】
右側振分装置50Rは、図4(C),(D)に示す様に、最上流部に遊技球PBを受け入れる受入口51Rを開口すると共に最下流部にステージ33の奥に形成された王道ルートKRTへの左向き出口52Rを開口する本体流路53Rと、本体流路53Rの途中に形成され、左側遊技領域10Rへの右向き出口を有する第1分岐流路56R、第2分岐路57R、及び第3分岐路58Rと、を備えると共に、本体流路53Rから各分岐流路56R等が分岐する位置に第1振分部材60R、第2振分部材70R、及び第3振分部材80Rを備え、各振分部材60R,70R,80Rによって本体流路53Rと各分岐流路56R,57R,58Rとの間で遊技球PBが振り分けられる様子を遊技者が目視可能に構成されている。
【0039】
各振分部材60L,70L,80L,60R,70R,80Rは、下部中央付近を揺動中心として揺動し得る揺動部材によって構成され、当該揺動部材は、揺動中心から上方に伸びる仕切部材60L1,70L1,80L1,60R1,70R1,80R1と、仕切部材60L1等を挟んで左右に振り分ける様に設けられた左受け止め部60L2,70L2,80L2,60R2,70R2,80R2、及び右受け止め部60L3,70L3,80L3,60R3,70R3,80R3と、を備え、左受け止め部60L2等で遊技球PBを受け止めた場合に右受け止め部60L3等を遊技球受け止め位置へと移動させる様に揺動して停止し、右受け止め部60L3等で遊技球PBを受け止めた場合に左受け止め部60L2等を遊技球受け止め位置へと移動させる様に揺動して停止する動作を遊技球PBの重量を利用して実行し得る様に構成されている。
【0040】
[4.1 左側振分装置の動作]
次に、左側振分装置50Lについて、各振分部材60L,70L,80Lが全て左受け止め部60L2,70L2,80L2を遊技球受け止め位置へと移動させた状態にあるときを最初の状態として、遊技球PBの振り分け動作について、図5図6にて説明する。
【0041】
1個目の遊技球PB1は、図5(A)に示す様に、左側振分装置50Lに入球すると第1振分部材60Lの左受け止め部60L2に受け止められ、第1振分部材60Lを図示反時計周りに揺動させながら第1分岐路56Lを介して左側遊技領域10Lの下部へ向かって放出される。これにより、左側振分装置50Lは、第1振分部材60Lが右受け止め部60L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態となる。
【0042】
2個目の遊技球PB2は、図5(B)に示す様に、左側振分装置50Lに入球すると第1振分部材60Lの右受け止め部60L3に受け止められ、第1振分部材60Lを図示時計周りに揺動させながら流下し、第2振分部材70Lの左受け止め部70L2に受け止められ、第2振分部材70Lを図示反時計周りに揺動させつつ第2分岐路57Lを介して左側遊技領域10Lの下部へ向かって放出される。これにより、左側振分装置50Lは、第1振分部材60Lが左受け止め部60L2を遊技球受け止め位置へと移動させ、第2振分部材70Lが右受け止め部70L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態となる。
【0043】
3個目の遊技球PB3は、図5(C)に示す様に、左側振分装置50Lに入球すると第1振分部材60Lの左受け止め部60L2に受け止められ、第1振分部材60Lを図示反時計周りに揺動させながら第1分岐路56Lを介して左側遊技領域10Lの下部へ向かって放出される。これにより、左側振分装置50Lは、第1振分部材60Lが右受け止め部60L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態となる。このとき、第2振分部材70Lは右受け止め部70L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態のままである。
【0044】
4個目の遊技球PB4は、図5(D)に示す様に、左側振分装置50Lに入球すると第1振分部材60Lの右受け止め部60L3に受け止められ、第1振分部材60Lを図示時計周りに揺動させながら流下し、第2振分部材70Lの右受け止め部70L3に受け止められ、第2振分部材70Lを図示時計周りに揺動させながらさらに流下し、第3振分部材80Lの左受け止め部80L2に受け止められ、第3振分部材80Lを図示反時計周りに揺動させながら第3分岐路58Lを介して左側遊技領域10Lの下部へ向かって放出される。これにより、左側振分装置50Lは、第1振分部材60Lが左受け止め部60L2を遊技球受け止め位置へと移動させ、第2振分部材70Lも左受け止め部70L2を遊技球受け止め位置へと移動させ、第3振分部材80Lが右受け止め部80L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態に変化する。
【0045】
5個目の遊技球PB5は、図6(A)に示す様に、左側振分装置50Lに入球すると第1振分部材60Lの左受け止め部60L2に受け止められ、第1振分部材60Lを図示反時計周りに揺動させながら第1分岐路56Lを介して左側遊技領域10Lの下部へ向かって放出される。これにより、左側振分装置50Lは、第1振分部材60Lが右受け止め部60L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態となる。このとき、第2振分部材70Lは左受け止め部70L2を遊技球受け止め位置へと移動させた状態、第3振分部材80Lは右受け止め部80L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態のままである。
【0046】
6個目の遊技球PB6は、図6(B)に示す様に、左側振分装置50Lに入球すると第1振分部材60Lの右受け止め部60L3に受け止められ、第1振分部材60Lを図示時計周りに揺動させながら流下し、第2振分部材70Lの左受け止め部70L2に受け止められ、第2振分部材70Lを図示反時計周りに揺動させつつ第2分岐路57Lを介して左側遊技領域10Lの下部へ向かって放出される。これにより、左側振分装置50Lは、第1振分部材60Lが左受け止め部60L2を遊技球受け止め位置へと移動させ、第2振分部材70Lは右受け止め部70L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態に変化する。なお、第3振分部材80Lは右受け止め部80L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態のままである。
【0047】
7個目の遊技球PB7は、図6(C)に示す様に、左側振分装置50Lに入球すると第1振分部材60Lの左受け止め部60L2に受け止められ、第1振分部材60Lを図示反時計周りに揺動させながら第1分岐路56Lを介して左側遊技領域10Lの下部へ向かって放出される。これにより、左側振分装置50Lは、第1振分部材60Lが右受け止め部60L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態となる。このとき、第2振分部材70Lは右受け止め部70L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態、第3振分部材80Lも右受け止め部80L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態のままである。これにより、各振分部材60L,70L,80Lが左受け止め部60L2,70L2,80L2を遊技球受け止め位置へと移動させた最初の状態とは全く逆に、右受け止め部60L3,70L3,80L3を遊技球受け止め位置へと移動させた状態となる。
【0048】
そして、8個目の遊技球PB8は、図6(D)に示す様に、左側振分装置50Lに入球すると第1振分部材60Lの右受け止め部60L3に受け止められ、第1振分部材60Lを図示時計周りに揺動させながら流下し、第2振分部材70Lの右受け止め部70L3に受け止められ、第2振分部材70Lを図示時計周りに揺動させながらさらに流下し、第3振分部材80Lの右受け止め部80L3に受け止められ、第3振分部材80Lを図示時計周りに揺動させながらさらに流下することにより、本体流路53Lの最下流部まで流下し、右向き出口52Lから、ステージ33の奥に形成された王道ルートKRTへと放出される。この結果、8個目の遊技球PB8は、ほぼ確実に、始動入賞装置7へと入賞する。このとき、図示の様に、各振分部材60L,70L,80Lは、それぞれの左受け止め部60L2,70L2,80L2を遊技球受け止め位置へと移動させた最初の状態へと戻る。
【0049】
この結果、左側振分装置50Lに入球した遊技球PB1〜PB8は、入球8個目に1個となる間隔で王道ルートKRTへと放出され、始動入賞装置7へと入賞することになる。なお、王道ルートKRTに達することができなかった遊技球PB1〜PB7は、左側遊技領域10Lを転動し、あるものは風車12に絡み、道釘列11に拾われて始動入賞装置7へと向かう。従って、左側振分装置50Lによって王道ルートKRT以外のルートへと放出された遊技球PB1〜PB7は、始動入賞装置7への入賞機会を全く失う訳ではない。
【0050】
[4.2 右側振分装置の動作]
右側振分装置50Rは、左右が逆になるだけで、左側振分装置50Lと同様の振り分け動作を実行し、右側遊技領域10Rへ打ち込まれ、右側振分装置50Rに入球した遊技球を8個目に1個となる間隔で王道ルートKRTへと遊技球を放出する。また、王道ルートKRTに達することができなかった遊技球は、右側遊技領域10Rを転動し、あるものは風車12に絡み、道釘列11に拾われて始動入賞装置7へと向かう。従って、右側振分装置50Rによって王道ルートKRT以外のルートへと放出された遊技球についても、始動入賞装置7への入賞機会を全く失う訳ではない。
【0051】
[5.1 制御装置の構成]
次に、本実施例のパチンコ機Pのゲーム性等について説明する。まず、制御系統について図7に基づいて説明する。CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対し、始動入賞装置7の特図1スイッチSW1、特図2スイッチSW2、普通入賞口18の入賞検知スイッチSW11〜SW14、特別入賞口15の入賞スイッチSW7、裏ユニットの球排出通路へと遊技球が排出されたことを検知する排出球検知スイッチSW21,SW22からの検知信号が入力される様になっている。
【0052】
また、主制御基板310からは、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、特図表示器350、特別入賞口15の扉開閉用ソレノイドSOL7へとコマンドが出力される様になっている。演出制御基板320は、発光装置LED、スピーカSP、モータMT及びソレノイドSOLに対して制御信号を出力して発光演出、音声演出、可動体演出を実行すると共に、表示制御基板370へと演出表示のためのコマンドを出力している。表示制御基板370は、演出制御基板320からの演出表示のための指令信号に基づいて、液晶表示装置LCDに対して制御信号を出力し、表示演出を実行する。また、演出制御基板320には、演出操作ボタンSからの操作信号も入力される様に構成されている。
【0053】
払出制御基板330は、主制御基板310からの払出コマンドに従って、賞球の払出を実行する。前述の様に、賞球払出個数は、どの入賞口に入賞したかによって予め定められている。また、主制御基板310は、払出制御基板330の外部出力端子を介してホールコンピュータへとエラー信号を出力する機能も備えている。
【0054】
発射制御基板340は、主制御基板310からの制御コマンドに従って、発射装置Gによる打球の発射・停止を実行する。打球の停止は、例えば、何らかのエラーが発生したときなどに指令される。なお、演出制御基板320をはじめとして、図示省略したランプ制御基板、音声制御基板などを総称して「サブ制御基板」という。
【0055】
[5.2 特図入力]
主制御基板310は、図8(A)に示す制御系統により、特図スイッチSW1,SW2のいずれかからの検知信号が入力されると、特別図柄を決定するための乱数を取得し、その結果を始動保留情報としてRAMに記憶する特図入力処理を実行している。
【0056】
本実施例においては、始動保留情報として第1特図スイッチSW1による検知信号に基づく始動保留情報(以下、「特図1始動保留情報」という。)を最大4個、第2特図スイッチSW2による検知信号に基づく始動保留情報(以下、「特図2始動保留情報」という。)を最大4個記憶することができ、最大8個の始動保留情報を貯めることができる構成となっている。
【0057】
本実施例における特図入力処理は、図8(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、まず、特図1スイッチSW1からの検知信号が入力されたか否かを判定する(S110)。特図1スイッチSW1からの検知信号が入力された場合は(S110:YES)、特図1始動保留情報の記憶数N1(以下、「特図1保留数N1」という。)が4未満か否かを判定する(S120)。N1<4ならば(S120:YES)、特図1保留数N1をインクリメントし(S130)、上述の乱数1〜乱数4を取得し、RAMの始動保留情報記憶領域へと記憶する(S140)。
【0058】
S110が「NO」の場合は、特図2スイッチSW2からの検知信号が入力されたか否かを判定する(S150)。S150が「YES」となった場合は、特図2始動保留情報の記憶数N2(以下、「特図2保留数N2」という。)が4未満か否かを判定する(S160)。N2<4ならば(S160:YES)、特図2保留数N2をインクリメントし(S170)、上述の乱数1〜乱数4を取得し、RAMの始動保留情報記憶領域へと記憶する(S180)。
【0059】
始動保留情報は、主制御基板310からび演出制御基板320へと送信され、液晶表示装置LCDを介して実施される保留アイコン表示に反映される。なお、主制御基板310による制御処理として特図表示器350を介して実施されている保留表示にも反映される。この結果、遊技者は、保留個数が増加する様子を把握しながら遊技をすることができる。
【0060】
[5.3 特図開始]
主制御基板310は、図9(A)に示す制御系統により、RAM内に記憶された始動保留情報を読み出し、「当たり/はずれ」に応じた特別図柄変動を特図表示器350に実行させると共に、演出制御基板320を介して表示演出(背景、キャラクタ等)、音声演出、発光演出、可動体演出等を実行させる。
【0061】
主制御基板310は、図9(B)のフローチャートに示す様な特図開始処理を、所定の周期(実施例では4ms)毎に実行している。この処理においては、まず、遊技演出(図柄変動または特別遊技)の実行中であるか否かを判定し(S210)、遊技演出実行中であるときは(S210:YES)、今回の処理を終了する。一方、遊技演出実行中でないときは(S210:NO)、RAM内の所定の記憶領域に始動保留情報が記憶されているか否かを判定する(S220)。始動保留情報が記憶されていない場合は(S220:NO)、デモ演出実行中か否かを判定し(S230)、デモ演出実行中であるならば処理を終了し(S230:YES)、デモ演出実行中でない場合は(S230:NO)、デモ演出開始を演出制御基板320に対して指令する(S240)。
【0062】
始動保留情報の記憶がある場合は(S220:YES)、記憶順の一番早い始動保留情報が特図1始動保留情報であるか否かを判定する(S250)。特図1始動保留情報である場合は(S250:YES)、特図1記憶数N1をデクリメントし(S260)、記憶順の一番早い始動保留情報(乱数1〜乱数4)を読み出す(S270)。これにより、RAM内の記憶領域における始動保留情報の記憶順が更新され、特図表示器350や液晶表示装置LCDを介して実施されている保留表示も更新される。
【0063】
こうして読み出した特図1始動保留情報中の乱数1が、主制御基板310のROMに記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定する(S310)。大当り判定の判定結果が肯定の場合には(S310:YES)、大当りの変動であることを示す大当りフラグに「1」が設定される(S320)。そして、主制御基板310は、乱数2の値に基づき、特図表示器350に確定停止表示させる「大当り図柄」を決定する(S330)。ここで、乱数2の値には、特図1始動保留情報に対する当たり種別の振り分け率に対応して大当り図柄が対応付けられている。従って、主制御基板310は、S330の処理においては、読み出した乱数2の値に対応付けられた大当り図柄を決定することになる。大当り図柄(特図)が決定されると、乱数4の値に基づいて「大当り演出用の変動パターン」の中から1つの変動パターンを決定する(S340)。
【0064】
判定結果が否定である場合には(S310:NO,S312:NO)、主制御基板310は、S270で読み出した特図1始動保留情報中の乱数3に基づいてリーチ演出を実行させるか否かを判定する(S350)。本実施例では、主制御基板310は、乱数3の値が、ROMに記憶してあるリーチ演出実行判定値と一致するか否かによりS315の判定を行う。S350の判定結果が肯定の場合には(リーチ演出を行う場合には)、主制御基板310は、特図表示器350に確定停止表示させる「はずれ図柄」を決定し(S335)、乱数4の値に基づいて「はずれリーチ演出用の変動パターン」の中から1つの変動パターンを決定する(S345)。
【0065】
また、S350におけるリーチ判定の判定結果が否定の場合には(リーチ演出を行わない場合には)、主制御基板310は、特図表示器350に確定停止表示させる「はずれ図柄」を決定する(S338)。次に、主制御基板310は、乱数4の値に基づいて「はずれ演出用の変動パターン」の中から1つの変動パターンを決定する(S348)。
【0066】
こうして変動パターンおよび最終停止図柄を決定した主制御基板310は、演出制御基板320に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する(S360)。具体的には、主制御基板310は、変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力すると共に、変動パターンで特定された演出時間の計測を開始する。これと同時に、主制御基板310は、特図変動表示を開始させるように特図表示器350を制御する。また、主制御基板310は、最終停止図柄となる特別図柄を指示するための特図指定コマンドを出力する。こうして、主制御基板310は、特図開始処理を終了する。その後、特図開始処理とは別の処理において、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、決定した最終停止図柄を表示させるように特図表示器350の表示内容を制御する。また、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、演出制御基板320に対して飾図の変動停止を指示し、図柄組み合わせを確定停止表示させるための全図柄停止コマンドを出力する。
【0067】
これに対し、記憶順の一番早い始動保留情報が特図1始動保留情報でない場合は(S250:NO)、特図2始動保留情報であるか否かを判定する(S255)。特図2始動保留情報である場合は(S255:YES)、特図2記憶数N2をデクリメントし(S265)、記憶順の一番早い始動保留情報を読み出す(S275)。その後は、特図2変動表示用処理(S400)を実行する。S400の特図2変動表示用処理は、S310〜S360と同様に構成されている。
【0068】
特図開始処理により、「大当たり」となった場合は、主制御基板310は、特別入賞口15の扉開閉用ソレノイドSOL7を駆動する大当たり用の特別遊技を実行する。
【0069】
本実施例によれば、上述の様に、左側振分装置50L、右側振分装置50Rによって、始動入賞装置7に対して、8個目に1個ごとの間隔で遊技球を入賞させることが可能となり、連続して発射している状態での始動入賞の間隔のバラツキをなくしつつ始動入賞の安定化を図ることができるから、遊技者にとっては捨てられる乱数が少なくなり、安心して連続発射を続けることができる。これにより、止め打ちの様な複雑な操作による疲労もなく、いわゆるゴト師と疑われることもなく、安心して遊技を楽しむことができるものとなる。
【実施例2】
【0070】
実施例2は、遊技盤1の構成を実施例1と異なるものとしている。図10に示す様に、遊技盤1の左側遊技領域10Lの上部に、左側振分装置50Lの受入口51Lへと遊技球PBを誘導する右下がりの誘導壁91Lを設けると共に、第1分岐路56Lの出口に連続して左下がりの誘導壁92Lを設け、この誘導壁92Lの下端に水平壁93Lとアウト口94Lとを備えている。同様に、遊技盤1の右側遊技領域10Lの上部にも、右側振分装置50Rの受入口51Rへと遊技球PBを誘導する左下がりの誘導壁91Rを設けると共に、第1分岐路56Rの出口に連続して右下がりの誘導壁92Rを設け、この誘導壁92Rの下端に水平壁93Rとアウト口94Rとを備えている。
【0071】
この実施例によれば、左側遊技領域10L、右側遊技領域10Rのどちら側についても、遊技領域に打ち込まれた遊技球PBは全て振分装置50L,50Rに受け入れられる。この結果、打球の8個ごとに1個が王道ルートKRTへと振り分けられることとなる。
【0072】
また、第1分岐路56L,56Rから放出される遊技球PBは、アウト口94L,94Rへと直接的に誘導される。この結果、1個目、3個目、5個目、7個目の4個は、全てアウト玉となる。
【0073】
従って、8個の内、1個が始動入賞し、4個がアウトとなり、後の3個は、流下経路によって始動入賞装置7への入賞可能性や、普通入賞口18への入賞可能性を有するものとなり、より一層、始動入賞の安定化を図ることが可能となる。
【実施例3】
【0074】
実施例3は、振分装置の構成を実施例1と異なるものとしている。図11(A),(B)に示す様に、左側振分装置100Lは、最上流部に受入口101Lを開口すると共に最下流部に王道ルートKRTへの出口102Lを開口する本体流路103Lと、本体流路103Lの途中に形成され、左側遊技領域10Lへの左向き出口を有する第1分岐流路106L、第2分岐路107L、第3分岐路108L、及び第4分岐路109Lとを備えると共に、本体流路103Lから分岐流路106L等が分岐する位置に第1振分部材160L、第2振分部材170L、第3振分部材180L、及び第4振分部材190Lを備え、各振分部材160L,170L,180L,190Lによって本体流路103Lと各分岐流路106L,107L,108L,109Lとの間で遊技球PBが振り分けられる様子を遊技者が目視可能に構成されている。
【0075】
右側振分装置100Rは、図11(C),(D)に示す様に、最上流部に受け入れる受入口101Rを開口すると共に最下流部に王道ルートKRTへの出口102Rを開口する本体流路103Rと、本体流路103Rの途中に形成され、左側遊技領域10Rへの左向き出口を有する第1分岐流路106R、第2分岐路107R、第3分岐路108R、及び第4分岐路109Rとを備えると共に、本体流路103Rから分岐流路106R等が分岐する位置に第1振分部材160R、第2振分部材170R、第3振分部材180R、及び第4振分部材190Rを備え、各振分部材160R,170R,180R,190Rによって本体流路103Rと各分岐流路106R,107R,108R,109Rとの間で遊技球PBが振り分けられる様子を遊技者が目視可能に構成されている。
【0076】
各振分部材160L,170L,180L,190L,160R,170R,180R,190Rは、下部中央付近を揺動中心として揺動し得る揺動部材によって構成され、当該揺動部材は、揺動中心から上方に伸びる仕切部材160L1,170L1,180L1,190L1,160R1,170R1,180R1,190R1と、仕切部材160L1等を挟んで左右に振り分ける様に設けられた左受け止め部160L2、170L2,180L2,190L2,160R2,170R2,180R2,190R2、及び右受け止め部160L3,170L3,180L3,190L3,160R3,170R3,180R3,190R3と、を備え、左受け止め部160L2等で遊技球PBを受け止めた場合に右受け止め部160L3等を遊技球受け止め位置へと移動させる様に揺動して停止し、右受け止め部160L3等で遊技球PBを受け止めた場合に左受け止め部160L2等を遊技球受け止め位置へと移動させる様に揺動して停止する動作を遊技球PBの重量を利用して実行し得る様に構成されている。
【0077】
この第3実施例の振分装置100L,100Rによれば、振分部材160L,160R等を4個備えることにより、16個目に1個が王道ルートKRTへと導かれる動作が行われる。
【0078】
以上、発明を実施するための最良の形態としての実施例を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0079】
例えば、王道ルートKRTから始動入賞装置7へと入賞させる構成に変えて、振分装置の出口に特図スイッチを備えさせ、8個目、16個目等の一定の打球間隔で必ず始動入賞する構成としてもよい。逆に、王道ルートKRTよりも入賞の確実性が低いルートを特定ルートとしても構わない。また、振分装置を左側遊技領域10Lだけに備えるもの、逆に、右側遊技領域10Rだけに備えるものとしてもよい。さらに、振分部材の個数は3個,4個に限らず、2個、5個などとしても構わない。加えて、特定ルート以外のルートは全て、アウト口へと遊技球を誘導するルートとなっていても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明はパチンコ機に利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1・・・遊技盤、7・・・始動入賞装置、7A・・・入球口、7L・・・左排出口、7R・・・右排出口、8・・・左右振分部材、10L・・・左側遊技領域、10R・・・右側遊技領域、11・・・道釘列、12・・・風車、15・・・特別入賞口、18・・・普通入賞口、19・・・アウト口、30・・・センター役物、33・・・ステージ、41・・・トンネル。
50L・・・左側振分装置、51L・・・受入口、52L・・・出口、53L・・・本体流路、56L・・・第1分岐流路、57L・・・第2分岐路、58L・・・第3分岐路、60L・・・第1振分部材、70L・・・第2振分部材、80L・・・第3振分部材、60L1,70L1,80L1・・・仕切部材、60L2,70L2,80L2・・・左受け止め部、60L3,70L3,80L3・・・右受け止め部。
50R・・・右側振分装置、51R・・・受入口、52R・・・出口、53R・・・本体流路、56R・・・第1分岐流路、57R・・・第2分岐路、58R・・・第3分岐路、60R・・・第1振分部材、70R・・・第2振分部材、80R・・・第3振分部材、60R1,70R1,80R1・・・仕切部材、60R2,70R2,80R2・・・左受け止め部、60R3,70R3,80R3・・・右受け止め部。
91L,92L・・・誘導壁、93L・・・水平壁、94L・・・アウト口。
91R,92R・・・誘導壁、93R・・・水平壁、94R・・・アウト口。
100L・・・左側振分装置、101L・・・受入口、102L・・・出口、103L・・・本体流路、106L・・・第1分岐流路、107L・・・第2分岐路、108L・・・第3分岐路、109L・・・第4分岐路、160L・・・第1振分部材、170L・・・第2振分部材、180L・・・第3振分部材、190L・・・第4振分部材、160L1,170L1,180L1,190L1・・・仕切部材、160L2、170L2,180L2,190L2・・・左受け止め部、160L3,170L3,180L3,190L3・・・右受け止め部。
100R・・・左側振分装置、101R・・・受入口、102R・・・出口、103R・・・本体流路、106R・・・第1分岐流路、107R・・・第2分岐路、108R・・・第3分岐路、109R・・・第4分岐路、160R・・・第1振分部材、170R・・・第2振分部材、180R・・・第3振分部材、190R・・・第4振分部材、160R1,170R1,180R1,190R1・・・仕切部材、160R2,170R2,180R2,190R2・・・左受け止め部、160R3,170R3,180R3,190R3・・・右受け止め部。
310・・・主制御基板、320・・・演出制御基板、330・・・払出制御基板、340・・・発射制御基板、350・・・特図表示器、370・・・表示制御基板。
KRT・・・王道ルート、P・・・パチンコ機、PB、PB1〜PB8・・・遊技球、
SW1・・・特図1スイッチ、SW2・・・特図2スイッチ。
図1
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