(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6317246
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】車両用ドアミラー
(51)【国際特許分類】
B60R 1/06 20060101AFI20180416BHJP
【FI】
B60R1/06 D
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-257606(P2014-257606)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-117371(P2016-117371A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】株式会社ホンダロック
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】江藤 康之
【審査官】
上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−001231(JP,A)
【文献】
特開2002−274260(JP,A)
【文献】
実開平06−060543(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の樹脂製のカバー部材(13,14,15)の相互結合でミラーハウジング(12)が構成される車両用ドアミラーにおいて、
複数のカバー部材(13〜15)のうち一対のカバー部材(14,15)の一方(15)に、当該一方のカバー部材(15)の内面から内方に突出し且つその突出方向(47)と直交する一方向(46)に撓み可能な単一の係合突部(34)が、その先端部の第1係合爪(35)と、該係合突部(34)の前記突出方向(47)で前記第1係合爪(35)よりも前記一方のカバー部材(15)の基端部側に配置される第2係合爪(36)とを有するようにして一体に突設され、
前記一対のカバー部材(14,15)の他方(14)に、前記第1係合爪(35)を弾発係合させる第1係止部(37)と、前記第2係合爪(36)を弾発係合させる第2係止部(38)とが一体に設けられることを特徴とする車両用ドアミラー。
【請求項2】
前記係合突部(34)の前記突出方向(47)と、該突出方向(47)と直交する前記一方向(46)との両方に直交する方向において前記第1係合爪(35)とオフセットした位置に、前記第2係合爪(36)が配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアミラー。
【請求項3】
前記第2係合爪(36)が前記一方のカバー部材(15)の前記内面から離隔して前記係合突部(34)に一体に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ドアミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の樹脂製のカバー部材の相互結合でミラーハウジングが構成される車両用ドアミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のカバー部材が相互に結合されることでミラーハウジングが構成され、複数のカバー部材のうち一対のカバー部材である上側カバーおよび下側カバーが、係合爪の弾発係合によって相互に結合されるようにしたものが、特許文献1で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−182286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、ミラーハウジングに外力が作用したり、振動が加わったりすると、係合爪が係合解除方向に撓んでしまい、弾発係合が解除されてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ミラーハウジングを構成するカバー部材相互の結合が外力や振動によって外れてしまうことを防止し得るようにした車両用ドアミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の樹脂製のカバー部材の相互結合でミラーハウジングが構成される車両用ドアミラーにおいて、複数のカバー部材のうち一対のカバー部材の一方に、当該一方のカバー部材の内面から内方に突出
し且つその突出方向と直交する一方向に撓み可能な単一の係合突部が、その先端部
の第1係合爪
と、該係合突部の前記突出方向で前記第1係合爪よりも前記一方のカバー部材の
基端部側に配置される第2係合爪
とを有するようにして一体に突設され、前記一対のカバー部材の他方に、前記第1係合爪を弾発係合させる第1係止部と、前記第2係合爪を弾発係合させる第2係止部とが一体に設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記係合突部の
前記突出方向と、該突出方向と直交する
前記一方向との両方に直交する方向
において前記第1係合爪とオフセットした位置に、前記第2係合爪が配置されることを第2の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記第2係合爪が前記一方のカバー部材の前記内面から離隔して前記係合突部に一体に形成されることを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば、外力や振動によって係合突部がその先端部の第1係合爪の弾発係合を解除する側に撓んでも、係合突部の基端部側の撓み量が先端部の撓み量よりも少ないので、第1係合爪よりも係合突部の基端部
側に配置される第2係合爪の弾発係合が解除されることがないようにして、カバー部材相互の結合が外力や振動によって外れてしまうことを防止することができる。
【0010】
また本発明の第2の特徴によれば、第2係合爪が、係合突部の
突出方向
と、該突出方向と直交する
一方向である撓み方向との両方に直交する方向
において第1係合爪とオフセットしているので、第1および第2係合爪を係合させる第1および第2係止部の構造を簡略化することができ、他方のカバー部材を型成形するための型の構造を簡素化することができる。
【0011】
さらに本発明の第3の特徴によれば、第2係合爪が一方のカバー部材の内面から離間していることにより、第2係合爪の存在によって一方のカバー部材の外表面にヒケが生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】起立位置にある車両用ドアミラーの斜め後方からの斜視図である。
【
図2】起立位置にある車両用ドアミラーの斜め前方からの斜視図である。
【
図3】下側カバーおよび上側カバーの分解斜視図である。
【
図4】上側カバーの第1および第2係合爪が下側カバーの第1および第2係止部に弾発係合している状態を示す斜視図である。
【
図6】上側カバーの一部を
図5の6矢視方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について添付の
図1〜
図6を参照しながら説明すると、先ず
図1および
図2において、四輪乗用車両の助手席側のサイドドアに格納可能に支持されるドアミラー11のミラーハウジング12は、複数の樹脂製のカバー部材が相互に結合されて成るものであり、この実施の形態では、ミラー16が収容されるミラー収容凹部17を有する第1のカバー部材としてのハウジング本体13と、該ハウジング本体13の下部を下方から覆う第2のカバー部材としての下側カバー14と、前記ハウジング本体13を前記ミラー16とは反対方向から覆う第3のカバー部材としての上側カバー15とで前記ミラーハウジング12が構成される。
【0014】
前記ハウジング本体13は、前記サイドドアに取付けられるベース部材18に支持されており、このベース部材18の下部には、該ベース部材18の下部を覆うベースカバー19が取付けられる。しかも前記ミラーハウジング12は、前記サイドドアから側方に突出する起立位置と、前記サイドドア側に格納される格納位置との間で回動する。
【0015】
前記下側カバー14には、前記ミラーハウジング12が起立位置にあるときに前方を向くようにして視覚支援ミラー20が取付けられる。この視覚支援ミラー20は、助手席側のサイドドアよりも前方の車両側方を視認するためのものであり、運転者は、車室内の前部に配置されるミラーと、前記視覚支援ミラー20とによって、助手席側のサイドドアよりも前方の車両側方を視認することが可能となる。
【0016】
また前記上側カバー15には、前記ミラーハウジング12が起立位置にあるときに側方および後方に向けて開口する開口部21が設けられており、その開口部21に臨むサイドターンランプ22が、前記上側カバー15の内面に取付けられる。
【0017】
図3において、前記下側カバー14の上部には、前記ベース部材18側から順に間隔をあけて第1、第2、第3、第4および第5位置決め部24,25,26,27,28が、矩形の位置決め孔24a,25a,26a,27a,28aをそれぞれ形成しつつ、前記上側カバー15の下部の内面に重なるように一体に突設される。一方、前記上側カバー15の下部内面には、前記第1〜第4位置決め部24〜27の位置決め孔24a〜27aに挿入されるようにした第1、第2、第3および第4位置決め突起29,30,31,32が一体に突設されるとともに、第5位置決め部28の位置決め孔28aに挿入されるようにした第5位置決め突起(図示せず)が一体に突設される。
【0018】
図4および
図5を併せて参照して、前記ミラーハウジング12を構成する複数のカバー部材のうちの一対のカバー部材は本発明に従って相互に結合されるものであり、この実施の形態では、前記ミラーハウジング12を構成する前記ハウジング本体13、前記下側カバー14および前記上側カバー15のうち前記下側カバー14および前記上側カバー15が、本発明に従って結合される。
【0019】
前記下側カバー14および前記上側カバー15の一方である上側カバー15には、当該上側カバー15の内面から内方に突出する
単一の係合突部34が、その先端部
の第1係合爪35
と、該係合突部34の突出方向47で第1係合爪35よりも前記上側カバー15の
基端部側に配置される一対の第2係合爪36
とを有するようにして一体に突設され、前記下側カバー14および前記上側カバー15の他方である下側カバー14には、前記第1係合爪35を弾発係合させる第1係止部37と、前記第2係合爪36を弾発係合させる一対の第2係止部38とが一体に設けられる。
【0020】
図6を併せて参照して、前記係合突部34は、前記第1および第2位置決め突起29,30間に配置されるようにして前記上側カバー15の下部内面から内方に向かって突出するようにしつつ、先端側に向かうにつれて幅を狭くするようにした台形状に形成されており、第1係合爪35は、前記係合突部34の先端から下方に直角に屈曲するように形成され、前記第2係合爪3
6は、前記第1係合爪35よりも前記上側カバー15の
基端部側で前記係合突部34の両側から下方に突出するように形成される。
【0021】
一方、第1係止部37は、下方を開放した略U字状の横断面形状を有して前記下側カバー14の上部内面に一体に突設されており、この第1係止部37の突出端に第1係合爪35が弾発的に係合可能である。また第2係止部38は、第1係止部37の基端部から両側に延出するようにして前記下側カバー14の上部内面に一体に突設される。
【0022】
ところで前記係合突部34は、第1係止部37への係合時ならびに第1係止部37との係合解除時には、
前記係合突部34の突出方向47と直交する上下方向
46に撓むことが可能であり、また
前記係合突部34の突出方向47で前記第1係合爪35よりも前記上側カバー15の
基端部側に配置されるようして先端側に向かうにつれて幅を狭くするようにした台形状の前記係合突部34の両側に第2係合爪36が一体に形成されるので、第2係合爪36は、前記係合突部34の
突出方向47と、該突出方向47と直交する
前記上下方向46との両方に直交する方向
において前記第1係合爪35とオフセットした
(重ならない)位置に配置されることになる。
【0023】
しかも前記第2係合爪36は、前記上側カバー15の内面から離隔して前記係合突部34に一体に形成される。
【0024】
再び
図3に注目して、前記上側カバー15における下部内面には、第3位置決め突起31および第4位置決め突起32間に配置される第3係合爪39と、第4位置決め突起32を第3係合爪39との間に挟む位置に配置される第4係合爪40とが、内方に向けて突出するようにして一体に突設される。
【0025】
一方、前記下側カバー14の上部内面には、第3係合爪39を弾発係合させる係合孔42を有する第3係止部41と、第4係合爪40を弾発係合させる係合孔44を有する第4係止部43とが一体に突設される。
【0026】
相互に結合された前記下側カバー14および前記上側カバー15の周縁部は、前記ハウジング本体13の周縁部に弾発係合され、それによってミラーハウジング12が構成される。
【0027】
なお運転席側のサイドドアのドアミラーは、視覚支援ミラー20が装備されないようにして、上述のドアミラー11と基本的には同一に構成される。
【0028】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、ミラーハウジング12を構成するハウジング本体13、下側カバー14および上側カバー15のうち下側カバー14および上側カバー15の一方である上側カバー15には、当該上側カバー15の内面から内方に突出
し且つその突出方向47と直交する一方向(上下方向)46に撓み可能な単一の係合突部34が、その先端部
の第1係合爪35
と、該係合突部34の突出方向47で前記第1係合爪35よりも前記上側カバー15の
基端部側に配置される一対の第2係合爪36を有するようにして一体に突設され、前記下側カバー14および前記上側カバー15の他方である下側カバー14には、前記第1係合爪35を弾発係合させる第1係止部37と、前記第2係合爪36を弾発係合させる第2係止部38とが一体に設けられるので、外力や振動によって係合突部34がその先端部の第1係合爪35の弾発係合を解除する側に撓んでも、
図5の鎖線で示すように、係合突部34の基端部側の撓み量が先端部の撓み量よりも少ないので、第1係合爪35よりも係合突部34の基端部寄りにある第2係合爪36の第2係止部38への弾発係合が解除されることがないようにして、前記下側カバー14および前記上側カバー15相互の結合が外力や振動によって外れてしまうことを防止することができる。
【0029】
また前記係合突部34の
突出方向47と、該突出方向47と直交する
前記一方向46との両方に直交する方向
において前記第1係合爪35とオフセットした位置に、前記第2係合爪36が配置されるので、第1および第2係合爪35,36を係合させる第1および第2係止部37,38の構造を簡略化することができ、下側カバー14を型成形するための型の構造を簡素化することができる。
【0030】
さらに前記第2係合爪36が前記上側カバー15の前記内面から離隔して前記係合突部34に一体に形成されるので、第2係合爪36の存在によって上側カバー16の外表面にヒケが生じるのを防止することができる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0032】
たとえば上述の実施の形態では、下側カバー14および上側カバー15の結合構造に本発明を適用した場合について説明したが、ハウジング本体13および下側カバー14の結合構造もしくはハウジング本体13および上側カバー15の結合構造に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0033】
11・・・ドアミラー
12・・・ミラーハウジング
13・・・カバー部材であるハウジング本体
14・・・カバー部材である下側カバー
15・・・カバー部材である上側カバー
34・・・係合突部
35・・・第1係合爪
36・・・第2係合爪
37・・・第1係止部
38・・・第2係止部
46・・・撓み方向
47・・・突出方向