(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による分離装置の一実施形態を示す構成図である。分離装置1は、第1の材料と当該第1の材料に付着した第2の材料とを含む処理対象物を処理することにより、第1の材料から第2の材料を解離させ、処理対象物から第2の材料を分離するものである。処理対象物は、例えば、不良品としての衛生用品である。衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド等が挙げられる。本実施形態においては、処理対象物が紙おむつ、第1の材料がプラスチック、第2の材料が吸水性ポリマー(高吸水性ポリマーも含む)である場合を例にとって説明する。
【0014】
分離装置1は、細断部10(第1の細断部)、叩解部20(第1の叩解部)、分離部30(第1の分離部)、細断部40(第2の細断部)、叩解部50(第2の叩解部)、及び分離部60(第2の分離部)を備えている。
【0015】
細断部10は、プラスチックとプラスチックに付着した吸水性ポリマーとを含む紙おむつを細断する。細断部10としては、例えば、破砕機又は粉砕機を用いることができる。細断部10には、スクリーンが設けられている。スクリーンの穴径は、例えば、50mm以上100mm以下である。
【0016】
図2及び
図3を参照しつつ、叩解部20の構造を説明する。叩解部20は、叩打部材22(第1の叩打部材)、回転軸24(第1の回転軸)及び収容部26(第1の収容部)を有している。叩打部材22は、細断部10によって細断された紙おむつを叩打する。具体的には、叩打部材22は、板状をしており、その板面で紙おむつを叩打する。
【0017】
回転軸24は、略円柱状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。回転軸24の中心軸は、水平である。当該中心軸に平行及び垂直な断面が、それぞれ
図2及び
図3に示されている。上述の叩打部材22は、回転軸24の周囲に取り付けられている。本実施形態においては、複数の叩打部材22が設けられている。
図2からわかるように、叩打部材22は、回転軸24の中心軸に沿って複数箇所(本実施形態においては5箇所)に設けられている。また、
図3からわかるように、各箇所において、複数(本実施形態においては8つ)の叩打部材22が回転軸24の周囲に放射状に取り付けられている。各叩打部材22は、その厚さ方向が上記中心軸と直交するように配置されている。回転軸24の外径は、例えば、15cm以上25cm以下である。
【0018】
収容部26は、略円筒状をしており、叩打部材22及び回転軸24を包囲するように設けられている。収容部26の中心軸は、回転軸24の中心軸に一致する。収容部26には、細断部10によって細断された紙おむつが収容される。収容部26の内径は、例えば、30cm以上50cm以下である。また、収容部26の内周面と叩打部材22の先端との間隔は、例えば、10mm以上30mm以下である。
【0019】
叩解部20は、叩打部材22によって紙おむつを叩打することにより、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離を促す。詳細には、細断部10によって細断された紙おむつが収容部26に収容された状態で、回転軸24を回転させる。すると、回転軸24と共に回転する叩打部材22が紙おむつを繰り返し叩打し、その打撃力等によりプラスチックからの吸水性ポリマーの解離が促される。このとき、吸水性ポリマーの一部は、プラスチックから完全に解離する。このようにして紙おむつから分離された吸水性ポリマーは、図示しない排出手段により、叩解部20の外に排出される。
【0020】
図4及び
図5を参照しつつ、分離部30の構造を説明する。
図4は、分離部30を示す側面図である。
図5は、
図4のV−V線に沿った断面の構造を説明するための図である。分離部30は、ドラム32(第1の筒状部)を有している。ドラム32は、略円筒状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。ドラム32の中心軸は、水平である。ドラム32の内径は、例えば、30cm以上50cm以下である。
【0021】
ドラム32には、多数の孔32a(第1の孔)が形成されている。孔32aは、ドラム32の略全体にわたって形成されている。孔32aは、叩解部20によって叩打された紙おむつに含まれるプラスチックは通過させないが、吸水性ポリマーは通過させる。孔32aの径は、例えば、10mm以上30mm以下である。分離部30は、叩解部20によって叩打された紙おむつが収容された状態でドラム32を回転させることにより、紙おむつから、孔32aを通過した吸水性ポリマーを分離する。
【0022】
ドラム32の内周面上には、突条34(第1の突条)が設けられている。突条34は、ドラム32の中心軸方向に延在している。突条34は、ドラム32の入口側(
図4の左側)から出口側(
図4の右側)までの経路の略全体にわたって延在している。また、突条34は、断面が略三角形である。突条34の高さ(ドラム32の径方向の長さ)は、例えば、5mm以上20mm以下である。突条34は、p本(p:3以上5以下の整数)設けられることが好ましい。p本の突条34は、ドラム32の内周面上に等間隔で配設されている。すなわち、ドラム32の中心軸に垂直な断面(
図5に示す断面)において、1つの突条34と中心軸とを結んだ線分と、その隣の突条34と中心軸とを結んだ線分とのなす角度αは、360°/pに略等しい。本実施形態においては、p=4、α=90°である。
【0023】
ドラム32の内部には、回転ロッド36及びスクリュー部材38が設けられている。回転ロッド36は、略円柱状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。回転ロッド36の中心軸は、ドラム32の中心軸に一致する。ただし、回転ロッド36は、ドラム32とは独立して回転する。回転ロッド36の外径は、例えば、15cm以上25cm以下である。
【0024】
回転ロッド36の周囲には、螺旋を描くようにスクリュー部材38が設けられている。スクリュー部材38は、回転ロッド36に固定されており、回転ロッド36と一緒に回転する。スクリュー部材38には、複数の歯39が形成されている。歯39の端部は、正面視(
図5参照)で、辺39a及び辺39bによって構成されている。
【0025】
辺39aは、ドラム32及び回転ロッド36の径方向に延びている。辺39aの内端(回転ロッド36に近い方の端)は、回転ロッド36から離間した位置に存在する。同様に、辺39aの外端(ドラム32に近い方の端)は、ドラム32から離間した位置に存在する。辺39aの外端とドラム32の内周面との間隔は、例えば10mm以上30mm以下である。ただし、当該間隔は、突条34の高さよりも大きく設定される。辺39bは、辺39aの外端と、隣の歯39の辺39aの内端とを結んでいる。辺39bは、辺39aよりも長い。辺39bの長さの辺39aの長さに対する比は、例えば、2以上2.5以下である。
【0026】
回転ロッド36及びスクリュー部材38は、
図5において左回り(反時計回り)に回転する。つまり、歯39においては、辺39bが回転方向の前方に位置し、辺39aが回転方向の後方に位置している。上述のドラム32の回転方向は、回転ロッド36及びスクリュー部材38の回転方向と同じであってもよいし、反対であってもよい。これらの回転方向が同じである場合、回転ロッド36及びスクリュー部材38の回転速度は、ドラム32の回転速度よりも大きいことが好ましい。
【0027】
細断部40は、分離部30によって孔32aを通過した吸水性ポリマーが分離された紙おむつを細断する。細断部40としては、例えば、破砕機又は粉砕機を用いることができる。細断部40には、スクリーンが設けられている。スクリーンの穴径は、例えば、10mm以上50mm以下である。
【0028】
図6及び
図7を参照しつつ、叩解部50の構造を説明する。叩解部50は、叩打部材52(第2の叩打部材)、回転軸54(第2の回転軸)及び収容部56(第2の収容部)を有している。叩打部材52は、細断部40によって細断された紙おむつを叩打する。具体的には、叩打部材52は、板状をしており、その板面で紙おむつを叩打する。
【0029】
回転軸54は、略円柱状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。回転軸54の中心軸は、水平である。当該中心軸に平行及び垂直な断面が、それぞれ
図6及び
図7に示されている。上述の叩打部材52は、回転軸54の周囲に取り付けられている。本実施形態においては、複数の叩打部材52が設けられている。
図6からわかるように、叩打部材52は、回転軸54の中心軸に沿って複数箇所(本実施形態においては5箇所)に設けられている。また、
図7からわかるように、各箇所において、複数(本実施形態においては8つ)の叩打部材52が回転軸54の周囲に放射状に取り付けられている。各叩打部材52は、その厚さ方向が上記中心軸と直交するように配置されている。回転軸54の外径は、例えば、15cm以上25cm以下である。
【0030】
収容部56は、略円筒状をしており、叩打部材52及び回転軸54を包囲するように設けられている。収容部56の中心軸は、回転軸54の中心軸に一致する。収容部56には、細断部40によって細断された紙おむつが収容される。収容部56の内径は、例えば、30cm以上50cm以下である。また、収容部56の内周面と叩打部材52の先端との間隔は、上述の収容部26の内周面と叩打部材22の先端との間隔よりも小さく、例えば5mm以上15mm以下である。
【0031】
叩解部50は、叩打部材52によって紙おむつを叩打することにより、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離を促す。詳細には、細断部40によって細断された紙おむつが収容部56に収容された状態で、回転軸54を回転させる。すると、回転軸54と共に回転する叩打部材52が紙おむつを繰り返し叩打し、その打撃力等によりプラスチックからの吸水性ポリマーの解離が促される。このとき、吸水性ポリマーの一部は、プラスチックから完全に解離する。このようにして紙おむつから分離された吸水性ポリマーは、図示しない排出手段により、叩解部50の外に排出される。
【0032】
図8及び
図9を参照しつつ、分離部60の構造を説明する。
図8は、分離部60を示す側面図である。
図9は、
図8のIX−IX線に沿った断面の構造を説明するための図である。分離部60は、ドラム62(第2の筒状部)を有している。ドラム62は、略円筒状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。ドラム62の中心軸は、水平である。ドラム62の内径は、例えば、30cm以上50cm以下である。
【0033】
ドラム62には、多数の孔62a(第2の孔)が形成されている。孔62aは、ドラム62の略全体にわたって形成されている。孔62aは、叩解部50によって叩打された紙おむつに含まれるプラスチックは通過させないが、吸水性ポリマーは通過させる。孔62aの径は、例えば、5mm以上10mm以下である。分離部60は、叩解部50によって叩打された紙おむつが収容された状態でドラム62を回転させることにより、紙おむつから、孔62aを通過した吸水性ポリマーを分離する。
【0034】
ドラム62の内周面上には、突条64(第2の突条)が設けられている。突条64は、ドラム62の中心軸方向に延在している。突条64は、ドラム62の入口側(
図8の左側)から出口側(
図8の右側)までの経路の略全体にわたって延在している。また、突条64は、断面が略三角形である。突条64の高さ(ドラム62の径方向の長さ)は、上述の突条34の高さよりも小さく、例えば3mm以上10mm以下である。突条64は、q本(q:3以上5以下の整数)設けられることが好ましい。q本の突条64は、ドラム62の内周面上に等間隔で配設されている。すなわち、ドラム62の中心軸に垂直な断面(
図9に示す断面)において、1つの突条64と中心軸とを結んだ線分と、その隣の突条64と中心軸とを結んだ線分とのなす角度βは、360°/qに略等しい。本実施形態においては、q=4、β=90°である。
【0035】
ドラム62の内部には、回転ロッド66及びスクリュー部材68が設けられている。回転ロッド66は、略円柱状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。回転ロッド66の中心軸は、ドラム62の中心軸に一致する。ただし、回転ロッド66は、ドラム62とは独立して回転する。回転ロッド66の外径は、例えば、15cm以上25cm以下である。
【0036】
回転ロッド66の周囲には、螺旋を描くようにスクリュー部材68が設けられている。スクリュー部材68は、回転ロッド66に固定されており、回転ロッド66と一緒に回転する。スクリュー部材68には、複数の歯69が形成されている。歯69の端部は、正面視(
図9参照)で、辺69a及び辺69bによって構成されている。
【0037】
辺69aは、ドラム62及び回転ロッド66の径方向に延びている。辺69aの内端(回転ロッド66に近い方の端)は、回転ロッド66から離間した位置に存在する。同様に、辺69aの外端(ドラム62に近い方の端)は、ドラム62から離間した位置に存在する。辺69aの外端とドラム62の内周面との間隔は、上述の辺39aの外端とドラム32の内周面との間隔よりも小さく、例えば5mm以上15mm以下である。ただし、辺69aの外端とドラム62の内周面との間隔は、突条64の高さよりも大きく設定される。辺69bは、辺69aの外端と、隣の歯69の辺69aの内端とを結んでいる。辺69bは、辺69aよりも長い。辺69bの長さの辺69aの長さに対する比は、例えば、2以上2.5以下である。
【0038】
回転ロッド66及びスクリュー部材68は、
図9において左回り(反時計回り)に回転する。つまり、歯69においては、辺69bが回転方向の前方に位置し、辺69aが回転方向の後方に位置している。上述のドラム62の回転方向は、回転ロッド66及びスクリュー部材68の回転方向と同じであってもよいし、反対であってもよい。これらの回転方向が同じである場合、回転ロッド66及びスクリュー部材68の回転速度は、ドラム62の回転速度よりも大きいことが好ましい。
【0039】
続いて、分離装置1の動作を説明する。処理対象物である紙おむつは、まず、細断部10によって細断される。細断部10によって細断された紙おむつは、叩解部20に移送される。移送には、例えば、ベルトコンベア又はスクリューコンベアを用いることができる。叩解部20に移送された紙おむつは、収容部26内に収容された状態で、回転軸24と共に回転する叩打部材22によって叩打される。これにより、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離が促される。
【0040】
叩解部20によって叩打された紙おむつは、分離部30に移送される。分離部30に移送された紙おむつは、回転するスクリュー部材38によって、ドラム32の入口側(
図4の左側)から出口側(
図4の右側)へと押し出される。その間、ドラム32の回転による遠心力等により、プラスチックから解離した吸水性ポリマーが孔32aを通じてドラム32の外に排出される。これにより、紙おむつから吸水性ポリマーの一部が分離される。なお、本実施形態のように処理対象物が紙おむつである場合、吸水性ポリマーと共にフラッフパルプも分離される。
【0041】
分離部30による分離が行われた後の紙おむつは、細断部40に移送され、更に細断される。細断部40によって細断された紙おむつは、叩解部50に移送される。叩解部50に移送された紙おむつは、収容部56内に収容された状態で、回転軸54と共に回転する叩打部材52によって叩打される。これにより、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離が促される。
【0042】
叩解部50によって叩打された紙おむつは、分離部60に移送される。分離部60に移送された紙おむつは、回転するスクリュー部材68によって、ドラム62の入口側(
図8の左側)から出口側(
図8の右側)へと押し出される。その間、ドラム62の回転による遠心力等により、プラスチックから解離した吸水性ポリマーが孔62aを通じてドラム62の外に排出される。これにより、紙おむつから残りの吸水性ポリマーが分離される。
【0043】
図10は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材70は、液体を吸収する吸水処理材であり、粒状芯部72(造粒物)及び被覆層部74を備えている。吸水処理材70は、例えば、猫や犬等の愛玩動物用の排泄物処理材である。
【0044】
粒状芯部72は、粒状に成形されている。粒状芯部72の形状としては、例えば、球、楕円体、円柱が挙げられる。粒状芯部72は、尿等の液体を吸水及び保水する機能を有する。粒状芯部72の材料としては、上述の分離装置1を用いて紙おむつから得られたプラスチック(すなわち、吸水性ポリマー及びフラッフパルプが分離されたプラスチック)が用いられている。粒状芯部72は、当該プラスチックのみから構成されていてもよいし、当該プラスチック以外の材料を含んで構成されていてもよい。
【0045】
被覆層部74は、粒状芯部72を覆っている。被覆層部74は、粒状芯部72の表面の全体を覆っていてもよいし、粒状芯部72の表面の一部のみを覆っていてもよい。この被覆層部74は、使用時に尿等の液体を吸収した吸水処理材70どうしを付着させて固まりにする機能を有する。被覆層部74の材料(被覆材料)としては、例えば、紙粉及び吸水性ポリマーを用いることができる。
【0046】
続いて、本発明による吸水処理材の製造方法の一実施形態として、吸水処理材70の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、分離工程、造粒工程、被覆工程、分粒工程及び乾燥工程を含んでいる。分離工程においては、分離装置1を用いて、紙おむつに含まれるプラスチックと吸水性ポリマーとを分離する。
【0047】
造粒工程においては、分離工程において得られたプラスチックを含む被造粒材料を造粒する。造粒には、例えば押出造粒機を用いることができる。このとき、必要に応じて、造粒前の被造粒材料に対する加水が行われる。これにより、粒状芯部72が得られる。
【0048】
被覆工程においては、造粒工程において形成された粒状芯部72の表面に被覆材料を付着させる。被覆材料は、分離工程において得られた吸水性ポリマーを含んでいることが好ましい。被覆材料の付着は、例えば、コーティング装置を用いた散布又は噴霧により行うことができる。これにより、被覆層部74が得られる。
【0049】
分粒工程においては、所定の寸法の篩目を有する篩に、前工程で製造された吸水処理材を通過させる。これにより、所定の規格を満たす吸水処理材のみが抽出される。
【0050】
乾燥工程においては、前工程で抽出された吸水処理材を乾燥機で乾燥させる。乾燥により、粒状芯部72の含水率を適宜調整する。これにより、粒状芯部72の水分が被覆層部74に遷移して吸水能力が低下してしまうのを防ぐとともに、吸水処理材70の保存時にカビ等が発生するのを防ぐことができる。
【0051】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、分離部30による分離に先立って、叩解部20による叩打が行われる。この叩打によってプラスチックからの吸水性ポリマーの解離が促される。すなわち、叩解部20による叩打は、吸水性ポリマーの一部をプラスチックから解離させ、それによりプラスチックに対する吸水性ポリマーの付着量を減らす。このことは、分離部30の処理負担の軽減に資する。さらに、叩解部20においてプラスチックから解離しきれなかった吸水性ポリマーについても、叩打の打撃力等によりプラスチックに対する付着力が低下し、解離しやすい状態となっている。これにより、分離部30において紙おむつから吸水性ポリマーが分離されやすくなるため、分離効率が向上する。
【0052】
このように分離効率に優れた分離装置1は、本実施形態のように処理対象物が紙おむつ等の衛生用品である場合に、特に有用である。かかる衛生用品においては、シート状のプラスチックに粒子状の吸水性ポリマーが付着しているという構造上、吸水性ポリマーを分離しにくく、従来の分離装置では充分な分離効率が得られなかったからである。
【0053】
叩解部20に関し、叩打部材22は、回転軸24の周囲に取り付けられている。かかる構成により、回転軸24と共に叩打部材22を回転させることができる。これにより、叩打部材22による紙おむつの叩打を効率良く行うことができる。
【0054】
叩解部20には、回転軸24の周囲に放射状に取り付けられた複数の叩打部材22が設けられている。これにより、回転軸24が1回転する間に複数の叩打部材22によって紙おむつが叩打されるため、叩打部材22による紙おむつの叩打を一層効率良く行うことができる。
【0055】
叩打部材22は、板状をしており、その板面で紙おむつを叩打するように構成されている。このように叩打部材22の板面で叩打することにより、紙おむつに対して強い打撃力を与えることができる。
【0056】
叩解部20には、叩打部材22及び回転軸24を包囲するように収容部26が設けられている。このため、叩打部材22によって叩打された紙おむつの一部は、収容部26の内周面に擦りつけられることになる。これにより、叩解部20においては、叩打部材22によって叩打される際に紙おむつに働く打撃力に加え、収容部26の内周面に擦りつけられる際に紙おむつに働く摩擦力もまた、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離に寄与する。また、紙おむつの一部は、叩打部材22によって叩き飛ばされて、収容部26の内周面等に衝突する。この際に紙おむつに働く衝撃力も、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離に寄与する。
【0057】
分離部30に関し、ドラム32には、突条34が設けられている。突条34が設けられていない場合、重力の影響により、紙おむつはドラム32の下部に集まりがちになる。これに対し、本実施形態においては、ドラム32内の紙おむつは、突条34により掬い上げられることにより、ドラム32の上部に達し易くなる。かかる掬い上げ作用により、紙おむつは、ドラム32の内周面の広範囲に行き渡るようになるため、分離部30による分離が促進される。また、紙おむつがドラム32の上部から落下する際の衝撃により、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離が促される。さらに、突条34は紙おむつがスクリュー部材38により前方に押し出される際の障害になるため、紙おむつがドラム32内に滞留する時間が長くなる。これにより、紙おむつから、より多くの吸水性ポリマーを分離することができる。
【0058】
ドラム32の内部には、スクリュー部材38が設けられている。スクリュー部材38によって押し出される際、ドラム32内の紙おむつの一部は、ドラム32の内周面に擦りつけられることになる。その際の摩擦力によっても、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離が促される。また、突条34が設けられているため、紙おむつは、突条34に引っ掛かった状態で、ドラム32の内周面に擦りつけられる場合がある。その場合、力が逃げにくくなるため、紙おむつが受ける摩擦力が増大し、それによりプラスチックからの吸水性ポリマーの解離が一層促される。
【0059】
スクリュー部材38は、回転方向(回転ロッド36の接線方向)とのなす角度が略直角である辺39aではなく、その角度が鈍角である辺39bを前方として回転する(
図5参照)。これにより、スクリュー部材38の歯39に紙おむつが過度に引っ掛かるのを防ぐことができる。
【0060】
本実施形態においては、細断部10による細断、叩解部20による叩解及び分離部30による分離の後に、細断部40による細断、叩解部50による叩解及び分離部60による分離が行われる。このように細断、叩解及び分離を2回ずつ行うことにより、分離効率が一層向上する。
【0061】
叩解部50に関し、叩打部材52は、回転軸54の周囲に取り付けられている。かかる構成により、回転軸54と共に叩打部材52を回転させることができる。これにより、叩打部材52による紙おむつの叩打を効率良く行うことができる。
【0062】
叩解部50には、回転軸54の周囲に放射状に取り付けられた複数の叩打部材52が設けられている。これにより、回転軸54が1回転する間に複数の叩打部材52によって紙おむつが叩打されるため、叩打部材52による紙おむつの叩打を一層効率良く行うことができる。
【0063】
叩打部材52は、板状をしており、その板面で紙おむつを叩打するように構成されている。このように叩打部材52の板面で叩打することにより、紙おむつに対して強い打撃力を与えることができる。
【0064】
叩解部50には、叩打部材52及び回転軸54を包囲するように収容部56が設けられている。このため、叩打部材52によって叩打された紙おむつの一部は、収容部56の内周面に擦りつけられることになる。これにより、叩解部50においては、叩打部材52によって叩打される際に紙おむつに働く打撃力に加え、収容部56の内周面に擦りつけられる際に紙おむつに働く摩擦力もまた、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離に寄与する。また、紙おむつの一部は、叩打部材52によって叩き飛ばされて、収容部56の内周面等に衝突する。この際に紙おむつに働く衝撃力も、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離に寄与する。
【0065】
収容部56の内周面と叩打部材52の先端との間隔は、収容部26の内周面と叩打部材22の先端との間隔よりも小さい。すなわち、比較的大きな紙おむつ片を処理する叩解部20においては収容部26と叩打部材22との間隔が比較的大きく、比較的小さな紙おむつ片を処理する叩解部50においては収容部56と叩打部材52との間隔が比較的小さい。このように処理対象物の大きさに応じて上記間隔を設定することにより、何れの叩解部においても、処理対象物に対して適度な摩擦力を与えることができる。ただし、収容部56の内周面と叩打部材52の先端との間隔を収容部26の内周面と叩打部材22の先端との間隔よりも小さくすることは、必須でない。
【0066】
分離部60に関し、ドラム62には、突条64が設けられている。突条64が設けられていない場合、重力の影響により、紙おむつはドラム62の下部に集まりがちになる。これに対し、本実施形態においては、ドラム62内の紙おむつは、突条64により掬い上げられることにより、ドラム62の上部に達し易くなる。かかる掬い上げ作用により、紙おむつは、ドラム62の内周面の広範囲に行き渡るようになるため、分離部60による分離が促進される。また、紙おむつがドラム62の上部から落下する際の衝撃により、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離が促される。さらに、突条64は紙おむつがスクリュー部材68により前方に押し出される際の障害になるため、紙おむつがドラム62内に留する時間が長くなる。これにより、紙おむつから、より多くの吸水性ポリマーを分離することができる。
【0067】
突条64の高さは、突条34の高さよりも小さい。すなわち、比較的大きな紙おむつ片を処理する分離部30においては突条34の高さが比較的大きく、比較的小さな紙おむつ片を処理する分離部60においては突条64の高さが比較的小さい。このように処理対象物の大きさに応じて突条の高さを設定することにより、何れの分離部においても、突条による処理対象物の掬い上げ作用を充分に発揮させることができる。ただし、突条64の高さを突条34の高さよりも小さくすることは、必須でない。
【0068】
ドラム62の内部には、スクリュー部材68が設けられている。スクリュー部材68によって押し出される際、ドラム62内の紙おむつの一部は、ドラム62の内周面に擦りつけられることになる。その際の摩擦力によっても、プラスチックからの吸水性ポリマーの解離が促される。また、突条64が設けられているため、紙おむつは、突条64に引っ掛かった状態で、ドラム62の内周面に擦りつけられる場合がある。その場合、力が逃げにくくなるため、紙おむつが受ける摩擦力が増大し、それによりプラスチックからの吸水性ポリマーの解離が一層促される。
【0069】
辺69aの外端とドラム62の内周面との間隔は、辺39aの外端とドラム32の内周面との間隔よりも小さい。すなわち、比較的大きな紙おむつ片を処理する分離部30においては辺39aの外端とドラム32の内周面との間隔が比較的大きく、比較的小さな紙おむつ片を処理する分離部60においては辺69aの外端とドラム62の内周面との間隔が比較的小さい。このように処理対象物の大きさに応じて上記間隔を設定することにより、何れの分離部においても、処理対象物に対して適度な摩擦力を与えることができる。ただし、辺69aの外端とドラム62の内周面との間隔を辺39aの外端とドラム32の内周面との間隔よりも小さくすることは、必須でない。
【0070】
スクリュー部材68は、回転方向(回転ロッド66の接線方向)とのなす角度が略直角である辺69aではなく、その角度が鈍角である辺69bを前方として回転する(
図9参照)。これにより、スクリュー部材68の歯69に紙おむつが過度に引っ掛かるのを防ぐことができる。
【0071】
吸水処理材70においては、粒状芯部72の材料として、分離工程において得られたプラスチックが用いられている。これにより、紙おむつの不良品ないし廃棄物を有効活用し、プラスチックの調達コストを削減することができる。また、分離工程においては上述のとおり分離効率に優れた分離装置1を用いているため、粒状芯部72に混入する不純物(紙おむつから分離しきれなかった吸水性ポリマー及びフラッフパルプ)の割合を小さく抑えることができる。
【0072】
被覆層部74の材料として、分離工程において得られた吸水性ポリマーを用いる場合、紙おむつの不良品ないし廃棄物を有効活用し、吸水性ポリマーの調達コストを削減することができる。
【0073】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、細断、叩解及び分離を2回ずつ行う例を示した。しかし、細断、叩解及び分離は、1回ずつ行ってもよいし、3回以上ずつ行ってもよい。
【0074】
上記実施形態において例示した各数値は、処理対象物の大きさ等に応じて適宜設定されるものであることは言うまでもない。例えば、処理対象物が生理用ナプキン又は尿取りパッドである場合、細断部10のスクリーンの穴径は30mm以上50mm以下、細断部40のスクリーンの穴径は10mm以上30mm以下とすることができる。
【0075】
上記実施形態において、叩打部材22の板面には、
図11に示すように、開口部22a(第1の開口部)が形成されていてもよい。本例においては、複数の開口部22aが形成されている。これらの開口部22aは、叩打部材22が回転する際の空気抵抗を低減させるために設けられている。すなわち、叩打部材22が回転する際、開口部22aを通じて空気が逃げるため、叩打部材22が受ける空気抵抗を低減させることができる。これにより、叩解部20の消費電力を削減できるとともに、処理対象物が叩打部材22から受ける風圧を小さく抑えることができる。かかる風圧が大きいと、叩打する前に処理対象物が叩打部材22の板面から遠ざかってしまうため、叩打部材22の打撃力を弱める要因となる。したがって、上記風圧を小さく抑えることは、処理対象物に対して強い打撃力を与える上で好ましい。なお、叩打部材22の略全体又は一部を網状にすることにより、開口部22aを形成してもよい。すなわち、その場合、叩打部材22の網目が開口部22aに相当する。叩打部材52の板面にも、
図12に示すように、同様の開口部52a(第2の開口部)が形成されていてもよい。
【0076】
上記実施形態において、叩打部材22の板面には、
図13に示すように、凹凸が形成されていてもよい。すなわち、叩打部材22の板面(処理対象物を叩打する面)は、凹凸面22bとなっている。図中に矢印で示すように、叩打部材22及び回転軸24は、左回り(反時計回り)に回転する。かかる凹凸面22bで叩打することにより、平坦面で叩打する場合よりも強い衝撃を処理対象物に与えることができる。叩打部材52の板面にも、
図14に示すように、同様の凹凸(凹凸面52b)が形成されていてもよい。
【0077】
上記実施形態においては、ドラム32が円筒状である例を示した。しかし、ドラム32は、テーパー状であってもよい。ドラム62についても同様である。
【0078】
上記実施形態においては、ドラム32の中心軸が水平である例を示した。しかし、ドラム32の中心軸は、入口側から出口側に向かって下方に傾いていてもよい。ドラム62についても同様である。
【0079】
上記実施形態においては、孔32aがドラム32の略全体にわたって形成された例を示した。しかし、孔32aは、ドラム32の一部にのみ形成されていてもよい。また、ドラム32の略全体又は一部を網状にすることにより、孔32aを形成してもよい。すなわち、この場合、ドラム32の網目が孔32aに相当する。孔62aについても同様である。
【0080】
上記実施形態においては、突条34がドラム32の入口側から出口側までの経路の略全体にわたって延在している例を示した。しかし、突条34は、ドラム32の入口側から出口側までの経路の一部においてのみ延在していてもよい。突条64についても同様である。
【0081】
上記実施形態においては、略三角形の断面を有する突条34を例示した。しかし、突条34は、
図15に示すように、平板状であってもよい。突条64についても同様である。
【0082】
上記実施形態においては、ドラム32の内周面上に突条34が4本設けられた例を示した。しかし、突条34の本数は、1以上の任意の数にすることができる。突条64についても同様である。
【0083】
上記実施形態においては、ドラム32の内周面上に突条34が設けられた例を示した。しかし、突条34を設けることは必須ではない。突条64についても同様である。
【0084】
上記実施形態においては、ドラム32内に回転ロッド36及びスクリュー部材38が設けられた例を示した。しかし、回転ロッド36及びスクリュー部材38を設けることは必須ではない。回転ロッド66及びスクリュー部材68についても同様である。
【0085】
上記実施形態においては、粒状芯部72及び被覆層部74からなる複層構造の吸水処理材70を例示した。しかし、被覆層部74を設けることは必須でない。すなわち、吸水処理材70は、粒状芯部72のみからなる単層構造であってもよい。