特許第6317277号(P6317277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6317277
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】内燃機関の燃料ガス濃度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20180416BHJP
【FI】
   G01N21/27 B
   G01N21/27 Z
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-29795(P2015-29795)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-151515(P2016-151515A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124730
【弁理士】
【氏名又は名称】正津 秀明
(72)【発明者】
【氏名】森田 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 毅彦
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−350334(JP,A)
【文献】 特開2006−145268(JP,A)
【文献】 特開2004−184175(JP,A)
【文献】 特開2001−147157(JP,A)
【文献】 特表2008−516126(JP,A)
【文献】 特開2014−038069(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0327943(US,A1)
【文献】 特開2003−139699(JP,A)
【文献】 特開2005−256764(JP,A)
【文献】 特開2009−175024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/958
G01M 15/00−15/14
G01L 7/00−27/02
F02B 23/00−23/10
F02D 35/00
F02D 45/00
F02P 1/00−23/00
H01T 7/00−23/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室に向けて設けられ、先端部が前記燃焼室内に配置される本体と、前記本体の内部に配設され、前記燃焼室内に向けて照射される照射光を伝送する第一光ファイバと、前記燃焼室内における前記本体の先端側に設けられ、前記照射光を反射するミラーと、前記本体の内部に配設され、前記ミラーによって反射された反射光を伝送する第二光ファイバと、を備え、前記第一光ファイバ及び第二光ファイバの先端部が、前記本体の先端部よりも基端側に所定距離だけ離間した位置に配置される内燃機関の燃料ガス濃度測定装置であって、
前記本体の先端部に設けられる耐熱ガラスと、
前記本体における、前記第一光ファイバ及び前記第二光ファイバの先端部と前記耐熱ガラスとの間に設けられ、前記第一光ファイバの先端部から前記ミラーに向けて照射される前記照射光が通過するとともに、前記ミラーによって反射されて前記第二光ファイバの先端部に向かう前記反射光が通過する集光レンズと、
を備える、
内燃機関の燃料ガス濃度測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の内燃機関の燃料ガス濃度測定装置であって、
前記集光レンズを通過する前記照射光及び前記反射光の光路が、それぞれ前記集光レンズの中心に対して偏心している、
内燃機関の燃料ガス濃度測定装置。
【請求項3】
請求項2記載の内燃機関の燃料ガス濃度測定装置であって、
前記本体は、前記内燃機関に装着される点火装置であり、
前記ミラーは、前記点火装置の点火部近傍に配置される、
内燃機関の燃料ガス濃度測定装置。
【請求項4】
請求項3記載の内燃機関の燃料ガス濃度測定装置であって、
前記点火装置の内部には、前記燃焼室に向かって開口する空間が形成され、
前記空間の前記燃焼室に向かって開口する開口部には、前記耐熱ガラスが設けられ、
前記空間には、前記点火装置の軸方向に対して直列に複数枚の集光レンズが設けられる、
内燃機関の燃料ガス濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃料ガス濃度測定装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス濃度測定装置は、公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示されるガス濃度測定装置は、光源からの光を伝送する照射用光ファイバと、計測対象ガスを通過した光等を受光装置に伝送する受光用光ファイバとを略平行に配置し、照射用光ファイバおよび受光用光ファイバの端部近傍にそれぞれ照射用耐熱レンズと受光用耐熱レンズとを配置することによって、高温環境下におけるガス濃度を測定するものである。
【0003】
また、ガス濃度測定装置の一つであるエンジンの燃料ガス濃度測定装置として、エンジンの燃焼室に向けて設けられた点火プラグの内部に設けられたものがある。
【0004】
このような燃料ガス濃度測定装置では、点火プラグの内部に配設される光ファイバによって光源からの照射光を燃焼室内に伝送し、燃焼室内に伝送された照射光を点火プラグの点火部近傍に配置されるミラーによって反射させ、ミラーによって反射された反射光を点火プラグの内部に配設される光ファイバによって受光装置に伝送し、照射光の強度に対する反射光の強度に基づいて点火部近傍の燃料ガス濃度を測定している。
【0005】
ここで、光ファイバの耐熱温度は、略200℃である。一方、燃焼室内部に配置される点火プラグの先端部の温度は、略400℃まで上昇する。そのため、点火プラグの先端部に配設された光ファイバは、熱によって劣化し変形するおそれがある。熱によって劣化し変形した光ファイバでは、光の透過量が減少又は変動する。光の透過量が減少又は変動した燃料ガス濃度測定装置では、正確な燃料ガス濃度を測定することができない。
【0006】
また、エンジンの燃料ガス濃度測定装置においては、燃焼室内の燃料ガス濃度を測定するために、光ファイバや集光用のレンズ等が、燃焼室内に挿入される点火プラグ等の内部に設けられるが、点火プラグ等の内部は狭小であるため、特許文献1に記載されているように、照射用耐熱レンズと受光用耐熱レンズとの両方を配置することができず、照射用光ファイバおよび反射光用ファイバの熱による劣化や変形を防止することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−038069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、光ファイバの熱による劣化及び変形を防止すると共に照射光及び反射光を確実に伝送することができる内燃機関の燃料ガス濃度測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、内燃機関の燃焼室に向けて設けられ、先端部が前記燃焼室内に配置される本体と、前記本体の内部に配設され、前記燃焼室内に向けて照射される照射光を伝送する第一光ファイバと、前記燃焼室内における前記本体の先端側に設けられ、前記照射光を反射するミラーと、前記本体の内部に配設され、前記ミラーによって反射された反射光を伝送する第二光ファイバと、を備え、前記第一光ファイバ及び第二光ファイバの先端部が、前記本体の先端部よりも基端側に所定距離だけ離間した位置に配置される内燃機関の燃料ガス濃度測定装置であって、前記本体の先端部に設けられる耐熱ガラスと、前記本体における、前記第一光ファイバ及び前記第二光ファイバの先端部と前記耐熱ガラスとの間に設けられ、前記第一光ファイバの先端部から前記ミラーに向けて照射される前記照射光が通過するとともに、前記ミラーによって反射されて前記第二光ファイバの先端部に向かう前記反射光が通過する集光レンズと、を備えるものである。
【0011】
請求項2においては、請求項1記載の内燃機関の燃料ガス濃度測定装置であって、前記集光レンズを通過する前記照射光及び前記反射光の光路が、それぞれ前記集光レンズの中心に対して偏心しているものである。
【0012】
請求項3においては、請求項2記載の内燃機関の燃料ガス濃度測定装置であって、前記本体は、前記内燃機関に装着される点火装置であり、前記ミラーは、前記点火装置の点火部近傍に配置されるものである。
【0013】
請求項4においては、請求項3記載の内燃機関の燃料ガス濃度測定装置であって、前記点火装置の内部には、前記燃焼室に向かって開口する空間が形成され、前記空間の前記燃焼室に向かって開口する開口部には、前記耐熱ガラスが設けられ、前記空間には、前記点火装置の軸方向に対して直列に複数枚の集光レンズが設けられるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の内燃機関の燃料ガス濃度測定装置によれば、光ファイバの熱による劣化及び変形を防止すると共に照射光及び反射光を確実に伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】燃料ガス濃度測定装置の構成を示す模式図。
図2】同じく測定装置本体の構成を示す模式図。
図3】同じく作用を示す模式図。
図4】別の実施形態の測定装置本体の構成を示す模式図。
図5】同じく作用を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を用いて、燃料ガス濃度測定装置100の構成について説明する。
なお、図1では、燃料ガス濃度測定装置100の構成を模式的に表している。なお、図1では、光ケーブルを実線によって表し、電気信号線を破線によって表している。また、以下では、点火プラグ510については、図1に示す軸方向の先端側又は基端側に従って説明するものとする。
【0017】
燃料ガス濃度測定装置100は、本発明の内燃機関の燃料ガス濃度測定装置に係る実施形態である。燃料ガス濃度測定装置100は、自動車用のエンジン500の燃焼室Rの燃料ガス濃度を測定するものである。本実施形態の燃料ガス濃度測定装置100は、燃焼室Rに向けて設けられた点火プラグ510の点火部A近傍の燃料ガス濃度を測定するものである。
【0018】
本実施形態では、燃料ガス濃度測定装置100の測定対象である内燃機関を自動車用のエンジン500としたが、これに限定されない。例えば、燃料ガス濃度測定装置100の測定対象である内燃機関を舶用エンジン等としても良い。
【0019】
エンジン500は、シリンダヘッド501と、シリンダブロック502と、ピストン503と、吸気バルブ506と、排気バルブ507と、点火装置としての点火プラグ510と、を備えている。
【0020】
点火プラグ510はシリンダヘッド501に装着されており、シリンダヘッド501に装着された点火プラグ510の先端部は燃焼室R内に配置されている。このように、燃焼室R内に向けて設けられる点火プラグ510は、先端部に配置される電極511に火花を発生させて、燃焼室R内の混合気に点火する装置である。
【0021】
燃焼室Rは、シリンダヘッド501、シリンダブロック502及びピストン503の頂部で形成される空間である。また、上述したように、混合気が点火される点火プラグ510の電極511近傍を点火部Aとする。
【0022】
本実施形態の点火プラグ510は、電気的に火花を発生させるスパークプラグとしているが、これに限定されない。例えば、点火プラグ510を電熱線または燃焼熱によって金属を赤熱させるグロープラグとしても良い。
【0023】
燃料ガス濃度測定装置100は、本体としての測定装置本体110と、測定装置本体110に設けられる第一光ファイバとしての照射光用ファイバ111、第二光ファイバとしての反射光用ファイバ112、ミラー115、耐熱ガラス114、および集光レンズ113と、光源130と、受光素子140と、解析用コントローラ150と、を備えている。本実施形態では、点火プラグ510が測定装置本体110として用いられている。
【0024】
測定装置本体110には、光ケーブルを介して、光源130と、受光素子140と、が接続されている。測定装置本体110について、詳しくは後述する。
【0025】
光源130は、照射光を発振するものである。光源130は、光ケーブルを介して測定装置本体110に接続されている。受光素子140は、反射光を受光するものである。受光素子140は、光ケーブルを介して測定装置本体110に接続されている。光源130と受光素子140とは、電気信号線を介して解析用コントローラ150に接続されている。
【0026】
解析用コントローラ150は、光源130により発振する照射光の強度に対する、受光素子140が受光する反射光の強度に基づいて点火プラグ510の点火部A近傍の燃料ガス濃度を算出する機能を有している。解析用コントローラ150は、電気信号線を介して光源130と受光素子140とに接続されている。
【0027】
本実施形態では、照射光及び反射光をレーザー光としているが、これに限定されない。例えば、照射光及び反射光をランプ光としても良い。
【0028】
図2を用いて、測定装置本体110の構成について説明する。
なお、図2では、測定装置本体110の構成を一部断面視とした側面視によって表している。
【0029】
上述したように、本実施形態では、点火プラグ510が測定装置本体110として用いられており、点火プラグ510の内部には、空間120と、照射光用ファイバ挿通孔121と、反射光用ファイバ挿通孔122と、が形成されている。
【0030】
空間120は、点火プラグ510の先端部に形成されており、点火プラグ510がシリンダヘッド501に装着された状態で、燃焼室Rに向かって開口するように形成されている。言い換えれば、空間120は、点火プラグ510の内部にて、軸方向の所定位置から先端側に向かって形成されている。空間120は、点火プラグ510の内部にて軸方向と略平行な円柱形状に形成されている。
【0031】
なお、点火プラグ510の内部における軸方向の所定位置とは、エンジン500の稼働時において点火プラグ510の内部が燃焼室Rの温度影響を受けた場合であっても、照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112の耐熱温度よりも十分低い温度となる、点火プラグ510の内部の軸方向の位置としている。
【0032】
照射光用ファイバ挿通孔121は、点火プラグ510の内部にて、空間120の基端側端部(軸方向の所定位置)から点火プラグ510の基端側に向かって形成されている。照射光用ファイバ挿通孔121は、軸方向に沿って点火プラグ510の基端側端部から空間120まで貫通している。
【0033】
照射光用ファイバ111は、光源130から発振される照射光を空間120まで伝送するものである。照射光用ファイバ111は、略円柱形状に形成されている。照射光用ファイバ111は、照射光用ファイバ挿通孔121に挿通され、点火プラグ510の内部に配設されている。
【0034】
照射光用ファイバ111の基端側の端部は、光ファイバによって光源130と接続されている。照射光用ファイバ111の先端側の端部は、空間120に臨んでいる。
光源130にて生じた照射光は、照射光用ファイバ111から、空間120を通じて、燃焼室R内の点火部A近傍に向かって照射される。
【0035】
反射光用ファイバ挿通孔122は、照射光用ファイバ挿通孔121と略平行に、空間120の基端側端部(軸方向の所定位置)から点火プラグ510の基端側に向かって形成されている。反射光用ファイバ挿通孔122は、軸方向に沿って点火プラグ510の基端側端部から空間120まで貫通している。
【0036】
反射光用ファイバ112は、ミラー115にて反射された反射光を受光素子140に伝送するものである。反射光用ファイバ112は、略円柱形状に形成されている。反射光用ファイバ112は、反射光用ファイバ挿通孔122に挿通され、点火プラグ510の内部に配設されている。
【0037】
反射光用ファイバ112の基端側の端部は、光ファイバによって受光素子140と接続されている。反射光用ファイバ112の先端側の端部は、空間120に臨んでいる。
【0038】
つまり、照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112は、点火プラグ510の内部にて、互いに略平行となるように基端側から空間120に至るまで配設されており、その先端部が空間120に面している。従って、照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112の先端部は、点火プラグ510の先端部よりも基端側に軸方向の所定距離だけ離間した位置に配置されることとなる。
【0039】
ミラー115は、照射光用ファイバ111を通じて空間120内から燃焼室R内の点火部A近傍に向かって照射された照射光を反射するものである。ミラー115は、点火プラグ510の先端側の点火部A近傍に配置され、支持部材116によって支持されている。
【0040】
ミラー115は、電極511に隣接するように支持部材116によって支持されている。空間120内から点火部A近傍に向かって照射された照射光は、ミラー115によって空間120側へ反射される。
【0041】
耐熱ガラス114は、一般的な耐熱ガラスであって、熱膨張率を低く構成して急激な温度変化を加えても割れないよう強化したガラスである。耐熱ガラス114は、略円盤形状に形成され、空間120の先端側端部に設けられている。より具体的には、耐熱ガラス114は、空間120の先端側にて空間120に隙間なく嵌合されている。
【0042】
耐熱ガラス114は、エンジン500の稼働時において燃焼室Rの温度影響を受けた場合であっても、十分に耐え得る耐熱温度のものとしている。
【0043】
集光レンズ113は、集光レンズ113の中心に対して一側に偏心した部分にて空間120の基端側より入射した照射光を先端側に向かって集光し、集光レンズ113の中心に対して他側に偏心した部分にて空間120の先端側より入射した反射光を基端側に向って集光するレンズである。つまり、集光レンズ113を通過する前記照射光及び前記反射光の光路は、それぞれ集光レンズの中心に対して偏心している。
【0044】
集光レンズ113は、先端側を偏平した球面形状とした略円盤形状に形成されている。集光レンズ113は、空間120にて軸方向に直列に配置されている。本実施形態では、3枚の集光レンズ113が空間120内において軸方向に直列に配置されている。集光レンズ113の作用について、詳しくは後述する。
【0045】
このように、測定装置本体110には、照射光用ファイバ111、反射光用ファイバ112、集光レンズ113、耐熱ガラス114、およびミラー115が設けられている。
【0046】
図3を用いて、照射光用ファイバ111、反射光用ファイバ112、集光レンズ113、耐熱ガラス114、およびミラー115が設けられた測定装置本体110の作用について説明する。
なお、図3では、測定装置本体110の作用を模式的に表している。また、図3では、光の経路を実線矢印によって表している。
【0047】
光源130より光ケーブルを介して伝送された照射光は、照射光用ファイバ111によって点火プラグ510内部を伝送され照射光用ファイバ111の端部から空間120に至る。
【0048】
空間120に至った照射光は、各集光レンズ113の中心Cに対して一側に偏心した部分を通過する。このとき、照射光は、各集光レンズ113によって屈折されて先端側に向かって集光される。複数の集光レンズ113によって屈折されて集光された照射光は、耐熱ガラス114を通過して、空間120の外部に照射される。
【0049】
耐熱ガラス114を通過して空間120の外部に照射された照射光は、点火部A近傍にてミラー115によって反射され、再度耐熱ガラス114を通過し反射光として空間120に至る。
【0050】
空間120に至った反射光は、各集光レンズ113の中心Cに対して他側に偏心した部分を通過する。このとき、反射光は、各集光レンズ113によって屈折されて基端側に向って集光される。複数の集光レンズ113によって屈折されて集光された反射光は、反射光用ファイバ112の先端部に至る。
【0051】
反射光用ファイバ112の先端部に至った反射光は、反射光用ファイバ112内を伝送された後、光ケーブルを介して受光素子140に至る。
【0052】
燃料ガス濃度測定装置100の効果について説明する。
燃料ガス濃度測定装置100によれば、照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112の熱による劣化及び変形を防止すると共に照射光及び反射光を確実に伝送することができる。
【0053】
ここで、照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112の耐熱温度は、略200℃である。一方、燃焼室Rの内部に配置される点火プラグ510の先端部は、略400℃まで上昇する。
【0054】
そのため、点火プラグ510の先端部(例えば本実施形態において、空間120の耐熱ガラス114が配置された部分)まで照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112を配設した場合には、照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112が熱によって劣化し変形するおそれがあった。
【0055】
そこで、照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112を燃焼室Rの温度影響の少ない点火プラグ510の軸方向中途部まで配設し、点火プラグ510の中途部(照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112の先端部)から燃焼室Rまで(点火プラグ510の先端部まで)連続的に十分な長さの耐熱ガラスを設ける構成も考えられる。
【0056】
しかし、耐熱ガラスが長い構成では、照射光が耐熱ガラス内を伝送される間に減衰して、受光素子140が本来受光すべき光量の反射光を受光することができず、燃料ガス濃度測定装置100おけるガス濃度の測定値の精度が悪化することとなる。
【0057】
また、照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112を燃焼室Rの温度影響の少ない点火プラグ510の軸方向中途部まで配設し、点火プラグ510の中途部(照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112の先端部)から燃焼室Rに至るまで(点火プラグ510の先端部まで)2本の管路を形成し、それぞれの管路に集光レンズを設ける構成も考えられる。
【0058】
しかし、点火プラグ510の内部は狭小であるため、形成される2本の管路、及びそれぞれの管路に設けられる集光レンズは非常に小さなものとなり、これらの管路や集光レンズを高精度で製作することが困難である。
【0059】
そこで、燃料ガス濃度測定装置100によれば、照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112を点火プラグ510の内部にて基端側から、点火プラグ510の先端部よりも基端側に奥まった、軸方向の所定位置まで配設することによって、燃焼室Rの温度影響を低減し、熱による照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112の劣化及び変形を防止することができる。
【0060】
また、集光レンズ113の中心に対して一側に偏心した部分にて、集光レンズ113の基端側より入射した照射光を先端側に向かって集光し、集光レンズ113の中心に対して他側に偏心した部分にて、集光レンズ113の先端側より入射した反射光を基端側に向って集光することによって、狭小な点火プラグ510の内部において照射光及び反射光を確実に伝送することができる。
【0061】
なお、本実施形態においては、複数の集光レンズ113を空間120内に設けたが、照射光及び反射光を必要な程度に集光することが可能であれば、空間120に配置する集光レンズ113を1枚にすることも可能である。
【0062】
また、点火プラグ510の空間120内においては、照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112の先端部と集光レンズ113との間、集光レンズ113と集光レンズ113との間(集光レンズ113を複数枚設けた場合)、集光レンズ113と耐熱ガラス114との間にそれぞれ隙間が空いており、その隙間が空気層を形成している。
【0063】
このような構成とすることで、空間120内に構成される空気層は断熱層として作用するため、燃焼室R内の熱の、照射光用ファイバ111及び反射光用ファイバ112の先端部までの伝熱を効果的に抑制することが可能となっている。
【0064】
図4を用いて、別の実施形態の燃料ガス濃度測定装置200の測定装置本体210の構成について説明する。
なお、図4では、測定装置本体210の構成を一部断面視とした側面視によって表している。
【0065】
燃料ガス濃度測定装置200は、本発明の内燃機関の燃料ガス濃度測定装置に係る別の実施形態である。燃料ガス濃度測定装置200は、自動車用のエンジン500の燃焼室Rに向けて設けられた点火プラグ510の点火部A近傍の燃料ガス濃度を測定するものである。エンジン500及び点火プラグ510の構成については、上述したため説明を省略する。
【0066】
燃料ガス濃度測定装置200は、測定装置本体210と、測定装置本体210に設けられる第一光ファイバとしての照射光用ファイバ211、第二光ファイバとしての反射光用ファイバ212、ミラー215、耐熱ガラス214、およびコリメートレンズ213と、光源230と、受光素子240と、解析用コントローラ250と、を備えている。
【0067】
光源230、受光素子240及び解析用コントローラ250については、上述した燃料ガス濃度測定装置100の光源130、受光素子140及び解析用コントローラ150と同様の構成であるため説明を省略する。
【0068】
本実施形態では、点火プラグ510が測定装置本体210として用いられており、点火プラグ510の内部には、空間220と、照射光用ファイバ挿通孔221と、反射光用ファイバ挿通孔222と、が形成されている。
【0069】
照射光用ファイバ211、反射光用ファイバ212、ミラー215及び耐熱ガラス214については、上述した燃料ガス濃度測定装置100の反射光用ファイバ112、ミラー115及び耐熱ガラス114と同様の構成であるため説明を省略する。
【0070】
また、測定装置本体210としての点火プラグ510に形成される空間220、照射光用ファイバ挿通孔221及び反射光用ファイバ挿通孔222については、上述した燃料ガス濃度測定装置100の空間120、照射光用ファイバ挿通孔121及び反射光用ファイバ挿通孔122と同様の構成であるため説明を省略する。
【0071】
コリメートレンズ213は、一般的なコリメートレンズであって、平行光線を高精度に形成するレンズである。コリメートレンズ213は、照射光用ファイバ挿通孔221における照射光用ファイバ211の先端側に、空間220に臨むように設けられている。本実施形態のコリメートレンズ213は、グリンレンズとしているがこれに限定されない。
【0072】
図5を用いて、測定装置本体210の作用について説明する。
なお、図5では、測定装置本体210の作用を模式的に表している。また、図5では、光の経路を実線矢印によって表している。
【0073】
光源230より光ケーブルを介して伝送された照射光は、照射光用ファイバ211によって伝送されコリメートレンズ213に至る。コリメートレンズ213に至った照射光は、コリメートレンズ213によって高度な平行光となって空間220を通過し、さらに耐熱ガラス214を通過して、空間120の外部に照射される。
【0074】
耐熱ガラス214を通過して空間120の外部に照射された照射光は、点火部A近傍においてミラー216によって反射され、再度耐熱ガラス214を通過し反射光として空間220に至る。空間120に至った反射光は、空間120内を通過して反射光用ファイバ212の先端部に至り、反射光用ファイバ212によって伝送され光ケーブルを介して受光素子240に至る。
【0075】
燃料ガス濃度測定装置200の効果について説明する。
燃料ガス濃度測定装置200によれば、照射光用ファイバ211及び反射光用ファイバ212の熱による劣化及び変形を防止すると共に照射光及び反射光を確実に伝送することができる。
【0076】
すなわち、照射光用ファイバ211及び反射光用ファイバ212を点火プラグ510の内部にて基端側から、点火プラグ510の先端部よりも基端側に奥まった、軸方向の所定位置まで配設することによって、燃焼室Rの温度影響を低減し、熱による照射光用ファイバ211及び反射光用ファイバ212の劣化及び変形を防止することができる。
【0077】
また、反射光をコリメートレンズ213によって高度な平行光とすることによって、照射光及び反射光を確実に伝送することができる。
【符号の説明】
【0078】
100 燃料ガス濃度測定装置
110 測定装置本体(本体)
111 照射光用ファイバ(第一光ファイバ)
112 反射光用ファイバ(第二光ファイバ)
113 集光レンズ
114 耐熱ガラス
116 ミラー
120 空間
500 エンジン
510 点火プラグ
図1
図2
図3
図4
図5