特許第6317752号(P6317752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6317752燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6317752
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23L 1/00 20060101AFI20180416BHJP
   F23B 40/04 20060101ALI20180416BHJP
   F23J 1/00 20060101ALI20180416BHJP
   F23L 9/02 20060101ALI20180416BHJP
【FI】
   F23L1/00 E
   F23B40/04
   F23J1/00 Z
   F23L9/02
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-542946(P2015-542946)
(86)(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公表番号】特表2016-502638(P2016-502638A)
(43)【公表日】2016年1月28日
(86)【国際出願番号】KR2013010276
(87)【国際公開番号】WO2014077574
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2016年11月10日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0128977
(32)【優先日】2012年11月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515129445
【氏名又は名称】キム,ジ ウォン
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ ウォン
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−085523(JP,A)
【文献】 特開昭48−047176(JP,A)
【文献】 特開2007−107845(JP,A)
【文献】 特開2012−197952(JP,A)
【文献】 特開昭53−080836(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0126607(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23B 10/00−99/00
F23J 1/00−1/08
F23L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼空気を燃焼室の内部へ供給し、該燃焼空気を介して完全燃焼の行われた火柱が排出される上部燃焼室と、
前記上部燃焼室の下側に結合し、燃料が供給され燃焼空気と燃料が混合されて完全燃焼が行われるように燃焼空気を燃焼室の内部へ供給する下部燃焼室と、
前記上部燃焼室と下部燃焼室にそれぞれ燃焼空気を供給することができるように一端が分岐される形で設けられ、上側に分岐される上部供給管および下側に分岐される下部供給管からなる空気供給管と、
前記下部燃焼室に接続構成され、該下部燃焼室で発火燃焼が行われるとき、燃焼空気に対して遠心力の維持を提供する回転部と、
前記回転部の下端に設けられ、前記下部燃焼室に燃料の定量供給が行われるように定量供給器を備える燃料供給部と、を含む燃焼装置であって、
前記回転部は、
前記下部燃焼室の下側に接続され、前記燃焼装置を地面に固定させる支柱体が結合する回転ハウジングと、
前記回転ハウジングの内部に設けられ、正・逆方向に回転して、下方に移動しながら予熱された燃焼空気が遠心力を維持するようにする回転本体と、
前記回転部の一側の前記回転ハウジングと回転本体との間に設けられ、燃焼した燃料が焼却されて発生する焼却灰、クリンカー、飛散灰を捕集して処理する焼却灰処理室と、を含ことを特徴とする燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置。
【請求項2】
前記上部燃焼室は、
火柱が排出される燃焼ガス排気パネルを備え、上部供給管に接続され、上側へ供給された燃焼空気が移動できるようにする上部燃焼室外筒と、
前記上部燃焼室外筒の上端に設けられ、燃焼空気が下方に移動できるようにする方向転換部と、
前記上部燃焼室外筒の内周から一定間隔離れて設けられて上側空気供給部を形成し、前記上部供給管が連通可能に固定される上部燃焼室内筒と、
を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置。
【請求項3】
前記下部燃焼室は、
前記上部燃焼室の下端に結合し、下端が前記回転部と接続構成され、前記下部供給管に接続されて供給される燃焼空気を下側へ移動させる下部燃焼室外筒と、
前記下部燃焼室外筒の内側に配置されて下側空気供給部を形成し、前記下部供給管が連通可能に固定される下部燃焼室内筒と、
を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置。
【請求項4】
前記空気供給管の分岐点には、燃焼空気が予熱されるとき、空気の温度および空気の供給量を調節することができるように調節ダンパーが設けられることを特徴とする請求項1に記載の燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置。
【請求項5】
前記回転本体は、 回転ハウジングと回転可能に結合するように、駆動モーターに接続されて回転力を提供する回転軸と、
前記回転軸に接続されて回転軸の回転力を回転本体へ伝達し、該回転本体の回転範囲を案内するガイドレールと、
前記回転軸およびガイドレールの回転を支持する軸受本体と、
前記回転本体の下側に設けられ、燃焼が完了した後に発生する粉塵、焼却灰およびクリンカーを破砕する破砕刃と、
前記破砕刃によって破砕された粉塵、焼却灰およびクリンカーが焼却灰処理室測に流入できるように設けられた開閉ドアと、
を含むことを特徴とする請求項に記載の燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置。
【請求項6】
前記回転本体には、破砕刃が正方向に回転すると、クリンカーを破砕し、燃料は燃焼室の中央に集め、粉塵は連続排出させ、破砕刃が逆方向に回転すると、流入する粉塵、焼却灰およびクリンカーを開閉ドアを介して焼却灰処理室へ連続排出させ、該焼却灰処理室に集められる粉塵、焼却灰およびクリンカーを焼却灰貯留筒へ排出させる両方向機能性排出スクレーパーがさらに設けられることを特徴とする請求項に記載の燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置。
【請求項7】
前記燃料供給部には、定量の固体燃料が半球状を成して均一にはみ出るように上部が漏斗状をした燃料投入コーンが設けられることを特徴とする請求項1に記載の燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置に係り、より詳しくは、本発明は、強いエアカーテン方式であって、耐火壁がなく、遠心分離空間分割によって不純物入りの低級燃料を精製された燃料のように完全燃焼させることができるように燃焼空気投入速度の調節のみで燃料投入領域、燃焼空気予熱領域、発火燃焼領域、飛散灰と不燃灰分離排出領域、および燃焼熱とガス排出領域を完全に分離することにより、連続的に完全燃焼させ、燃焼の後に燃焼熱およびガスを飛散灰から完全に分離して排出するので熱利用施設を汚染させないため、熱効率を向上させることができる、燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃焼装置は、産業用温水、スチームまたは高温のガスを必要とする産業施設では、熱エネルギーを得るために、燃焼筒の内部で燃料を点火、燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置が用いられており、また、このような燃焼装置に使用される燃料として、生活廃棄物を燃料化したRDFや、廃プラスチックを燃料化したRPFなどの固形燃料が経済性および資源リサイクルの観点から多く使用されている。
このような燃焼装置で廃棄物を燃焼させるときには、可燃性物質を燃焼炉の燃焼室内に投入した後、着火バーナーを用いて点火させ、燃焼炉の上中下の各側面から燃焼空気が燃焼室の内部へ直線方向に供給されるように送風を加え、供給される燃焼空気により燃焼するようにした。
ところが、従来技術の燃焼装置は、単に送風機から供給される冷却空気のみで燃焼が行われると、燃焼効率が低いうえ、各種の高熱量・低熱量・高湿な物質が不完全燃焼して完全焼却ができず、特に人体に致命的なダイオキシンを始めとする多量の有害物質を大気中に排出させて周囲の空気汚染および公害を誘発させるので、深刻な社会的環境問題が提起されているのが実情である。
【0003】
また、従来技術の燃焼装置は、高い温度を必要とする可燃性物質の燃焼炉においても、 所望の高温の燃焼を実現するためには高速高温で使用できるように特殊製作されたバーナーの設置、高圧酸素の注入、炉壁の耐火レンガ築造などにより高価の設置コストおよび手間を必要とし、金属材からなる燃焼室が高温に耐えられず腐食現象が発生することにより燃焼炉の寿命を短縮させるという問題点があった。
しかも、従来の技術に係る燃焼装置の場合、築炉があるストーカー、流動床焼却炉、サイクロン焼却炉、ロータリーキルン焼却炉などの構造は耐火壁があってこそ蓄熱がされて完全燃焼が可能であったが、必然的にクリンカー(Clinker)が生成されて連続稼働の制限または熱効率の低下があった。遠心分離燃焼方法の場合、耐火壁なしに燃焼空気の流れのみで熱を遮断したが、これもクリンカー生成などの現象により連続稼働が難しいという問題点があった。
【0004】
これにより、次のような遠心分離燃焼装置を採用することになった。
図1は従来の技術に係る燃焼装置を示す図である。
図示したとおり、従来の技術に係る燃焼装置は、1次燃焼室1の下端にはフランジ2が外向きに突設され、フランジ2の外周部の上面と底面には上部外筒3と下部外筒4がそれぞれ固定設置され、1次燃焼室1の下方には、上部が開口し且つ燃料タンク着脱用油圧ジャッキ5が底部に結合した燃料タンク6が設置され、その上面が1次燃焼室1のフランジ2の底面に密着するように接触し、上部外筒3の上面には、上部に排気筒7を有する2次燃焼室8の下端に外向きに突設されたフランジ9が固定設置され、上部外筒3の下側に接線方向に接続された空気供給管10には、1つまたは多数の送風機11が、下部外筒4の上側に接続された空気吸引管12および空気連結管13に連通するように連設され、上部外筒3の上側には、1次燃焼室1と上部外筒3との間の空間の上部に位置した空気方向調節板14と、空気方向調節板が固定されて回転可能に結合された調節棒15とからなる多数の空気調節装置16が設置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、強いエアカーテン方式であって、耐火壁がなく、遠心分離空間分割によって不純物入りの低級燃料を精製された燃料のように完全燃焼させることができるように燃焼空気投入速度の調節のみで燃料投入領域、燃焼空気予熱領域、発火燃焼領域、飛散灰と不燃材分離排出領域、および燃焼熱とガス排出領域を完全に分離することにより、連続的に完全燃焼が行われるようにすることにある。
また、本発明は、完全燃焼の後、燃焼熱とガスを焼却灰、クリンカーおよび飛散粉塵から燃焼室で分離させてクリーンな燃焼熱とガスのみを熱利用施設に流入させることにより、汚染を防止するとともに熱効率を極大化することを目的とする。
また、本発明は、低級燃料までも、発火点以上の燃焼空気の予熱と発火室の負圧を介して不燃物はフロートしたまま、可燃物のみ燃焼が行われるようにして、飛散粉塵は高速回転による遠心分離で完全分離されて排出されるようにすることにより、クリンカーの生成を遮断することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、燃焼空気を燃焼室の内部へ供給し、該燃焼空気を介して完全燃焼の行われた火柱が排出される上部燃焼室と、上部燃焼室の下側に結合し、燃料が供給され燃焼空気と燃料が混合されて完全燃焼が行われるように燃焼空気を燃焼室の内部へ供給する下部燃焼室と、上部燃焼室と下部燃焼室にそれぞれ燃焼空気を供給することができるように一端が分岐される形で設けられ、上側に分岐される上部供給管および下側に分岐される下部供給管からなる空気供給管と、下部燃焼室に接続構成され、下部燃焼室で発火燃焼が行われるとき、燃焼空気が遠心力を維持するように道を整理する回転部と;回転部の下端に設けられ、下部燃焼室に燃料の定量供給が行われるように定量供給器を備える燃料供給部と、回転部の一側に設けられ、燃焼した燃料が焼却されて発生する焼却灰、クリンカー、飛散灰を捕集して処理する焼却灰処理室とを含んでなることを特徴とする燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置を提供する。
【0007】
また、本発明において、上部燃焼室は、火柱が排出される燃焼ガス排気パネルを備え、上部供給管に接続され、上側へ供給された燃焼空気が移動できるようにする上部燃焼室外筒と、上部燃焼室外筒の上端に設けられ、燃焼空気が下方に移動できるようにする方向転換部と、上部燃焼室外筒の内周から一定間隔離れて設けられて上側空気供給部を形成し、上部供給管が連通可能に固定される上部燃焼室内筒と、を含むことを特徴とする燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置を提供する。
また、本発明において、下部燃焼室は、上部燃焼室の下端に結合し、下端が回転部と接続構成され、下部供給管に接続されて供給される燃焼空気を下側へ移動させる下部燃焼室外筒と、下部燃焼室外筒の内側に配置されて下側空気供給部を形成し、下部供給管が連通可能に固定される下部燃焼室内筒と、を含むことを特徴とする燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置を提供する。
【0008】
また、本発明において、空気供給管の分岐点には、燃焼空気が予熱されるとき、空気の温度および空気の供給量を調節することができるように調節ダンパーが設けられることを特徴とする燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置を提供する。
また、本発明において、回転部は、下部燃焼室の下側に接続され、燃焼装置を地面に固定させる支柱体が結合する回転ハウジングと、回転ハウジングの内部に設けられ、一定の方向に回転して、下方に移動しながら予熱された燃焼空気が遠心力を維持するように道を整理する回転本体と、回転ハウジングと回転本体との間に設けられ、完全燃焼が行われた後に発生する焼却灰、クリンカー、飛散灰が捕集される焼却灰処理室と、を含むことを特徴とする燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置を提供する。
【0009】
また、本発明において、回転本体は、回転ハウジングと回転可能に結合するように、駆動モーターに接続されて回転力を提供する回転軸と、回転軸に接続されて回転軸の回転力を回転本体へ伝達し、この回転本体の回転範囲を案内するガイドレールと、回転軸およびガイドレールの回転を支持する軸受本体と、回転本体の下側に設けられ、燃焼が完了した後に発生する粉塵、焼却灰およびクリンカーを破砕する破砕刃と、破砕刃によって破砕された粉塵、焼却灰およびクリンカーが焼却灰処理室測に流入できるように設けられた開閉ドアと、を含むことを特徴とする燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置を提供する。
また、本発明において、回転本体には、開閉ドアの開放に応じて流入する粉塵、焼却灰およびクリンカーが燃焼装置の外部へ連続排出されるように捕集された粉塵、焼却灰およびクリンカーを焼却灰貯留筒へ排出させる排出スクレーパーがさらに設けられることを特徴とする燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置を提供する。
また、本発明において、燃料供給部には、定量の固体燃料が半球状を成して均一にはみ出るように燃料投入コーンが設けられることを特徴とする燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
上述したような本発明によれば、遠心分離空間分割によって不純物入りの低級燃料を精製された燃料のように完全燃焼させることができるように燃焼空気投入速度の調節のみで燃料投入領域、燃焼空気予熱領域、発火燃焼領域、飛散灰と不燃材分離排出領域、および燃焼熱とガス排出領域を完全に分離することにより、連続的に完全燃焼ができるという効果がある。
また、本発明によれば、完全燃焼の後、燃焼熱とガスを飛散粉塵などから分離して排出することにより、熱利用施設の汚染を防止するとともに熱効率を極大化することができるという効果がある。
また、本発明によれば、低級燃料までも、発火点以上の燃焼空気の予熱と発火室の負圧を介して不燃物はフロートしたまま、可燃物のみ燃焼が行われるようにして飛散粉塵は高速回転による遠心分離で完全分離されて排出されるようにすることにより、クリンカーの生成を遮断することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の技術に係る燃焼装置を示す図である。
図2】本発明の好適な実施形態に係る燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置の断面図である。
図3図2の要部拡大図であり、上部燃焼室、空気供給管、及び、下部燃焼室を示す。
図4図2の要部拡大図であり、回転部及び燃料供給部を示す。
図5】本発明の空気供給管に流入した空気の流れを示す作動状態図である。
図6】本発明の回転部の要部拡大図であり、灰出口部の周囲を示す。
図7】本発明の回転部の要部拡大図であり、開閉ドアの作動を示す。
図8図16におけるA−A’断面に沿った断面図である。
図9図16におけるB−B’断面に沿った断面図である。
図10図16におけるC−C’断面に沿った断面図である。
図11図16におけるD−D’断面に沿った断面図である。
図12図16におけるE−E’断面に沿った断面図である。
図13図16におけるF−F’断面に沿った断面図である。
図14図16におけるH−H’断面に沿った断面図である。
図15図16におけるG−G’断面に沿った断面図である。
図16】本発明の好適な実施形態に係る燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置の作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を基にして、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
まず、各図面の構成要素に符号を付するにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されても、出来る限り同一の符号を持つようにしたことに留意すべきである。また、本発明を説明するにあたり、関連した公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にするおそれがあると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
図2は本発明の好適な実施形態に係る燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置を示す断面図、図3図4図2の要部拡大図である。図5は本発明の空気供給管に流入した空気の流れを示す作動状態図であり、図6図7は本発明の回転部の要部拡大図であり、図8図15図16におけるA−A’〜H−H’断面に沿った断面図、図16は本発明の好適な実施形態に係る燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置の作動状態図である。
【0013】
図示したとおり、本発明の領域別遠心分離燃焼装置は、燃焼空気が遠心力によって回転し、この燃焼空気を介して完全燃焼が行われた火柱が排出される上部燃焼室310と、上部燃焼室310の下側に結合し、燃料が供給され燃焼空気と燃料とが混合されて完全燃焼が行われるように設けられる下部燃焼室210と、下部燃焼室210と接続構成され、この下部燃焼室210で燃焼が行われるとき、燃焼空気が遠心力を維持することができるように調整する回転部410と、下部燃焼室210へ燃料を供給する燃料供給部510と、燃焼した燃料が焼却されて発生する焼却灰、クリンカー、飛散灰などを捕集して処理する焼却灰処理室420とを含んで構成される。
上部燃焼室310は、上部燃焼室外筒318、上部燃焼室内筒316、燃焼ガス排気パネル314、および結合フランジ320を含んで構成される。
上部燃焼室外筒318は、領域別遠心分離燃焼装置の外形をなす構成要素であり、上、下に貫通した円筒状の形状に形成され、供給される燃焼空気の流出を防止するように構成される。このような上部燃焼室外筒318は、燃焼空気を供給する空気供給管330の上部供給管332に接続されて燃焼空気の供給を受け、該燃焼空気が上側へ移動できるように構成される。
【0014】
このような上部燃焼室外筒318の上側端部には完全燃焼した火柱が排出されるように燃焼ガス排気パネル314が設けられ、この燃焼ガス排気パネル314の中央には火柱が垂直に排出されるガス排出口312が設けられる。
また、上部燃焼室外筒318の上端には、上側空気供給部338を介して燃焼室の内部へ供給される燃焼空気が下方に移動できるようにする方向転換部350が設けられる。
上部燃焼室内筒316は、円筒状をし、上部燃焼室外筒318の内周から一定間隔離れて設けられ、下端には、上部燃焼室外筒318に結合し、空気供給管330の上部供給管332が連通可能に固定されるようにする結合フランジ320が設けられる。
【0015】
ここで、空気供給管330は、上部燃焼室310と下部燃焼室210にそれぞれ燃焼空気を供給することができるように一端が分岐される形で設けられ、上側に分岐される上部供給管332と下側に分岐される下部供給管334とから構成される。
また、空気供給管330の分岐点には、燃焼空気が予熱されるとき、空気の温度および空気の供給量を調節することができるように調節ダンパー336が設けられる。
このような上部燃焼室外筒318の内周面と上部燃焼室内筒316の外周面との間には、燃焼空気が供給されて上方に移動するように上側空気供給部338を形成する。
【0016】
下部燃焼室210は、上部燃焼室310の下端に接続構成され、空気供給管330の下部供給管334に接続されて燃焼空気を燃焼室の内部へ供給する構成要素である。
このような下部燃焼室210は、下端に回転部410と一体に接続構成されるように接続フランジ220が設けられる下部燃焼室外筒218、およびこの下部燃焼室外筒218の内側に配置されて下側空気供給部238を形成する下部燃焼室内筒216を含んで構成される。
このように構成された本発明の上部燃焼室310および下部燃焼室210では、上側空気供給部338を介して一定の投入圧力に応じて燃焼空気が供給されると、この燃焼空気は投入圧力に対する速度で上側空気供給部338を回転しながら上昇して方向転換部350に衝突した場合、燃焼空気の進行方向が下部燃焼室210側へ下方に移動し、燃焼室の内部で燃焼が点火による燃料の燃焼が行われることにより、下方に移動する燃焼空気は一定の温度に予熱されるのである。
【0017】
そして、下部燃焼室210の下側空気供給部238へ投入される燃焼空気も、投入圧力に対する速度で下側空気供給部238を回転しながら下方に移動し、前述した上部燃焼室310から下方に移動する予熱された燃焼空気と回転部410の回転本体440内で混合されることになる。
すなわち、下部燃焼室210を介して供給される燃焼空気を上部燃焼室310からの予熱された燃焼空気の温度を調節することにより、調整ダンパー336の作動に応じて予熱空気の温度を調節することができる。
しかも、混合された燃焼空気は、下部燃焼室210の下側に設けられた回転部410へ回転しながら移動し、燃焼室底板441にぶつかって上昇回転しながら燃料の完全燃焼が行われるようにする。
【0018】
一方、回転部410は、下部燃焼室210の下側に接続され、燃焼装置を地面に固定させる支柱体102が結合する回転ハウジング412と、この回転ハウジング412の内部に設けられ、燃料燃焼の際に回転ハウジング412の内部で一定の方向に回転して上部燃焼室310および下部燃焼室210から下方に移動しながら予熱された燃焼空気に遠心力を加える回転本体440と、回転ハウジング412と回転本体440との間に設けられ、完全燃焼が行われた後に発生する焼却灰、クリンカー、飛散灰などが捕集される焼却灰処理室420とを含んで構成される。
ここで、回転本体440は、回転ハウジング412と回転可能に結合するように動力伝達手段を備える。この動力伝達手段は、モーターなどの駆動モーターに接続されて回転力を提供する回転軸446と、一端が回転軸446に接続され、回転軸446の回転力に基づいて回転本体440が安定的に回転するように案内するガイドレール444と、回転軸446およびガイドレール444の回転を支持する軸受本体442とを含んで構成される。
【0019】
また、回転本体440の下側には、燃焼が完了した後に発生する粉塵や焼却灰、クリンカーなどを破砕する破砕刃470が設けられ、この破砕刃470によって破砕された粉塵や焼却灰、クリンカーなどが焼却灰処理室420側に流入できるように開閉ドア430が設けられる。
この開閉ドア430は、回転本体440の回転方向によって自動的に開閉されるように設けられるもので、回転本体が正方向に回転すると、回転本体440の下側内周に設けられた燃焼室底板441を介して粉塵、焼却灰が遠心分離によって吐出され、破砕刃470に押し付けられて燃料は中央に整理され、回転本体440が逆方向に回転すると、破砕刃470に外側に押し付けられる焼却灰やクリンカーなどにより開かれることになり、その結果、焼却灰やクリンカーなどを焼却灰処理室420に流入させるのである。
【0020】
一方、焼却灰処理室420に粉塵や焼却灰、クリンカーなどの異物が捕集され、燃焼装置の外部に連続排出されるように捕集された異物が一定量積もると、異物を連続的に焼却灰出口溝421を介して焼却灰貯留筒106へ排出させる排出スクレーパー450が設けられる。
また、焼却灰処理室420の内部には、捕集された異物がさらに燃焼室内に流入するのを防止する機械室保護板413が設けられる。
燃料供給部510は、回転部410の回転ハウジング412に一定の空間をおいて設置され、燃料の定量供給が行われるように定量供給器530を備える。
また、燃料供給部510は、定量の固体燃料が半球状を成して均一にはみ出るように上部が漏斗状をした燃料投入コーン512を備え、燃料投入コーン512の上端部の外周面が灰出口部460と同様に下端に位置するように設けられ、供給される燃料が漏れることなく、予熱された空気と共に混合されて完全燃焼が行われるように構成される。
【0021】
このように構成された本発明の燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置は、上部燃焼室310および下部燃焼室210を介して予熱された燃焼空気が回転部410の内周面に沿って回転しながら下方に移動し、燃焼室底板441にぶつかって方向を上方に変え、燃料供給部510から投入された半球状にはみ出る燃料と混合されながら第1燃焼領域を形成し、中間まで下方に移動した燃焼空気が該第1燃焼領域と混合されながら第2燃焼領域を形成し、ガス排出口312に進入しながら上部燃焼室310からの残余燃焼空気と混合されて第3燃焼領域を形成することになる。
すなわち、本発明の燃焼装置は、第1〜第3燃焼領域を形成して燃料の完全燃焼が行われるようにし、回転部410の回転に応じて回転力障害物を除去または整理して遠心力を維持し、燃焼の際に発生する火炎が高速回転による火柱の形状を成してガス排出口312を介して排出されるように構成されるのである。
このような本発明の燃焼装置は、上部燃焼室310および下部燃焼室210の内筒壁側に隣接して高速回転する燃焼空気の高い気圧による反作用として、燃焼室の中央部にはガス排出口312に吸い込まれていく強力な負圧が生じることになる。
【0022】
そして、燃焼熱とガス、および不燃物たる粉塵は、燃焼空気から分離され、燃料供給部の外側表面をきれいに掃除しておき、未使用の残りの燃焼空気と共に急回転しながら、燃焼室の中央上部に設置された燃焼ガス排気パネル314のガス排出口312内の火柱の中に高速回転しながら吸い込まれて完全燃焼し、完璧な直線火柱の形で上昇導出される。
この際、飛散灰などは、燃焼室の外に排出される前に、火柱の中で高速の回転力により遠心分離され、これにより遠心力を持ったまま排出される火柱の外側に離脱して燃焼室の内壁に集まることになり、上部燃焼室内筒316、下部燃焼室内筒216に沿って急旋回しながら下りていく燃焼空気に乗せられ、焼却灰処理室420へ分離排出されることになる。
【0023】
一方、本発明の図8および図9に示したA−A’断面とB−B’ 断面に沿った断面は、第1燃焼領域と第2燃焼領域との境界線上であって、第1燃焼領域で1次燃焼が発生した後、第2燃焼領域へ進む境界線上を示している図である。
また、図10および図11は、第1燃焼領域で燃焼が行われる部分を表わすC−C’ 断面およびD−D’ 断面に沿った断面図であって、第1燃焼領域における飛散灰および予熱空気の回転方向を示す。
また、図12および図13は、燃料供給部510の上端で回転する飛散灰と予熱空気を示しているE−E’ 断面およびF−F’ 断面に沿った断面図である。
【0024】
このような本発明の燃焼空気の流れを用いた領域別遠心分離燃焼装置は、遠心分離空間分割によって不純物入りの低級燃料を精製された燃料のように完全燃焼させることができるように燃焼空気投入速度の調節のみで燃料投入領域、燃焼空気予熱領域、発火燃焼領域、飛散灰と不燃材分離排出領域、燃焼ガス排出領域を完全分離して連続的に完全燃焼が行われるようにすることができ、完全燃焼の後、燃焼熱とガスを飛散灰から分離して排出してクリーンな燃焼ガスのみを熱利用施設に投入して利用することにより、汚染を防止するとともに熱効率を極大化することができ、低級燃料までも、発火点以上の燃焼空気の予熱および発火室の負圧を介して不燃物はフロートしたまま、可燃物のみ燃焼が行われるようにして飛散粉塵は高速回転による遠心分離によって完全分離排出されるようにすることにより、クリンカーの生成を遮断することができる発明である。
一方、本発明の詳細な説明に記載されていない図面符号「104」は火柱を指し示す。
【0025】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものにすぎない。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱することなく、様々な修正および変形が可能であろう。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものである。このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるのではない。本発明の保護範囲は添付の請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0026】
1:1次燃焼室
2:フランジ
3:上部外筒
4:下部外筒
5:燃料タンク着脱用油圧ジャッキ
6:燃料タンク
7:排気筒
8:2次燃焼室
9:フランジ
10:空気供給管
11:送風機
12:空気吸引管
13:空気連結管
14:空気方向調節板
15:調節棒
16:空気調節装置
102:支柱体
104:火柱
106:焼却灰貯留筒
210:下部燃焼室
216:下部燃焼室内筒
218:下部燃焼室外筒
220:接続フランジ
238:下側空気供給部
310:上部燃焼室
312:ガス排出口
314:燃焼ガス排気パネル
316:上部燃焼室内筒
318:上部燃焼室外筒
320:結合フランジ
330:空気供給管
332:上部供給管
334:下部供給管
336:調節ダンパー
338:上側空気供給部
350:方向転換部
410:回転部
412:回転ハウジング
413:機械室保護板
420:焼却灰処理室
421:焼却灰出口溝
430:開閉ドア
440:回転本体
441:燃焼室底板
442:軸受本体
444:ガイドレール
446:回転軸
450:排出スクレーパー
460:灰出口部
470:破砕刃
510:燃料供給部
512:燃料投入コーン
530:定量供給器

図1
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