(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高分子バインダーは、澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド(PAM)、及びデキストリンのうちの少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の研磨パッド。
前記緩衝層は、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂のうちのいずれか一つを含む熱硬化性樹脂、及び感光性樹脂のうちの少なくともいずれか一つを含むものである、請求項8に記載の研磨パッド。
前記水性ポリウレタンは、セルフ−コンディショニング成形体に85℃〜100℃で1回以上コーティングされることを特徴とする、請求項10に記載の研磨パッドの製造方法。
前記水性ポリウレタンは、前記第2微粒研磨材100重量部に対して0.1重量部〜20重量部で含まれることを特徴とする、請求項10に記載の研磨パッドの製造方法。
【背景技術】
【0002】
電気、電子、半導体、ディスプレイ及び光学分野で基礎素材として幅広く使用されているソーダ石灰ガラス(Sodalime glass)、ホウケイ酸ガラス(Borosilicate glass)、ケイ酸アルミニウムガラス(Aluminosilicate glass)、石英(Quartz)などの素材からなる平板光学ガラス基板;及びサファイア(Sapphire)、炭化ケイ素(SiC)、ジルコニア(Zirconia)ウエハー基板の製造において、グラインディング(Grinding)、ラッピング(Lapping)、ポリッシング(Polishing)、フィニッシング(Finishing)などを含む研磨工程は非常に核心的な工程の一つである。
【0003】
研磨工程は、被研磨体である基板の厚さを調節したり、基板表面の粗さ(Surface Roughness)を調節したりすることが主な目的である。
【0004】
グラインディングは、主に短い時間内に被研磨体の厚さを低下させ、巨視的な平坦化を実施する段階であって、被研磨体の厚さを数ミリメートル〜数百ミクロンの範囲にして研磨する。この工程では、被研磨体の表面粗さを調節することよりは、巨視的な平坦化が主な目的である。
【0005】
ラッピングは、一般にグラインディング工程後に実施され、数十ミクロン〜数百ミクロンの範囲で被研磨体の厚さを調節し、数百ナノメートルの平均表面粗さ(Ra:Average Surface Roughness)を再現する。ラッピング工程は、金属定盤(Metal plate)或いは金属−樹脂(Metal−resin)複合材料で構成された定盤上に多数の被研磨体をローディングできるようにキャリアを構成し、別途のスラリーという研磨材料を一定の速度で供給して実施する。このとき、被研磨体の密度、硬度などの物性にしたがって、使用されるスラリーの種類、粒径及び濃度は適宜変化させて適用する。
【0006】
ポリッシングは、主にラッピング以後に実施され、数ミクロン〜数百ナノメートルの範囲で被研磨体の厚さを調節し、平均表面粗さも再現する。ポリッシング工程は、気孔を有するウレタン材質の研磨パッド上に被研磨体をローディングし、数十ナノメートル〜数ミクロンの範囲の粒径を有するスラリーを使用して実施する。
【0007】
フィニッシングは、被研磨体の厚さを調節するよりは、表面の粗さを数ナノメートル未満の超精密水準に調節して仕上げることが目的である。フィニッシング工程でも、必要と目的に応じて数ナノメートル〜数十ナノメートルの範囲のスラリーが使用される。
【0008】
すなわち、グラインディング、ラッピング、ポリッシング、フィニッシングなどの多数の研磨工程で表れる共通点は、被研磨体の研磨時、研磨を効率的に助けるためにスラリーを供給して工程を実施するという点にある。
【0009】
スラリーは、主に研磨工程で使用される材料であって、不溶性の固体微粒子(研磨材)がコロイド状態で化学的に又は物理的に分散された流動性を有する固体と液体との混合物である。このようなスラリー中に含有されたダイヤモンド、アルミナ、シリカ、セリアなどの研磨材は、被研磨体と定盤、或いは被研磨体と研磨パッドとの界面で自由に移動しながら被研磨体の表面を摩擦及び摩耗させる機能を通じて効率的に研磨が行われるようにする。
【0010】
ここで、スラリーは、研磨工程前に準備し、研磨工程後に別途に廃棄しなければならないという点で時間と人力を要し、ほとんどのスラリーは作業者にとって有害であり、研磨工程においてスラリーの費用が占める比率が約30%〜40%と非常に高いという短所がある。また、ほとんどのスラリー製造技術が韓国国内よりは韓国国外の製造社に偏重されており、輸入製品を使用しなければならない部分も工程単価を上げる短所として作用する。
【0011】
一方、研磨パッドを用いて被研磨体の研磨を実施する場合、研磨パッドの表面がグレージングされ、スラリー粒子が研磨パッドの気孔を埋めることによって研磨速度が減少し、研磨均一度が低下するという現象が発生する。このような現象を防止するために、研磨工程中にパッドコンディショナー(Pad conditioner)で周期的にパッドの表面を掻くコンディショニング(Conditioning)工程が必要である。パッドコンディショナーは、一般に円形或いは環形の耐食性金属からなるコンディショナーベースにダイヤモンド或いは立方晶窒化ホウ素(Cubic boron nitride;以下、「cBN」という)などの硬質粒子が付着して形成される。これらの硬質粒子は、スラリーと接触して研磨パッドの表面を掻くことによって研磨パッドの表面がコンディショニングされ、研磨条件が一定に維持される。コンディショナーの硬質粒子は、コーナーが鋭いので、クラックと結晶欠陥を内包している場合がある。また、コンディショニングの進行と共に、硬質粒子の鋭いコーナーが摩耗されたり、破片が剥離して研磨パッドの上部に流動したり研磨パッドに嵌まることによってパッドコンディショニング効率が減少し、その結果、研磨速度が減少するという問題がある。また、決定的に研磨パッドのコンディショニングを実施する間に研磨工程を利用できなくなり、装備の遊休時間の増加に伴う生産性が低下し、硬質粒子の破片による欠陥がパッド内に嵌まっていた後、研磨工程時にスクラッチを誘発させ得る。
【0012】
そこで、特許文献1では、ウエハーの表面に接触して研磨を行う研磨パッドを傾斜するように設置することによって、研磨パッドに噴射されたスラリーがウエハーの表面に遠心力とスロープによって効率的に供給され、ウエハーの表面を研磨するのに消耗されるスラリーの量を最小化するための発明を考案した。
【0013】
また、特許文献2では、研磨パッド材料の溶解度パラメーターと略20%未満ほど差がある溶解度パラメーターを有する化学溶剤に露出させることによって研磨パッドの表面コンディショニング処理を行い、研磨面の表面コンディショニングにかかる時間を最小化するための発明を考案した。
【0014】
しかし、特許文献1に公開された技術においては、依然としてスラリーを使用しなければならなく、特許文献2に公開された技術においては、コンディショニング段階を必ず経なければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、前記のような問題を解決するためになされたものであって、ラッピング、ポリッシング、フィニッシングなどの研磨工程でスラリーが必要でないと共に、別途のコンディショニング工程が必要でないセルフ−コンディショニング機能を備えた研磨パッド及びその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の適切な実施形態によると、研磨パッドは、基材層;及び第1微粒研磨材及び研磨補助材を含む第1研磨体と、第2微粒研磨材及び高分子バインダーを含み、水性ポリウレタンでコーティングされた第2研磨体とを含む研磨体層;を含み、前記第2微粒研磨材は、水溶液によって少なくとも第2研磨体の一部が溶解されると前記第2研磨体から放出され、研磨パッドのコンディショニングを行うことを特徴とする。
【0018】
また、前記研磨補助材はシリカパウダーであることを特徴とし、前記研磨補助材は、第1微粒研磨材100重量部に対して10重量部〜100重量部で含まれることを特徴とする。
【0019】
また、前記第1微粒研磨材は、炭化ホウ素(B
4C)、ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素(cBN)のうちの少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする。
【0020】
また、前記第2微粒研磨材は、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、コロイダルシリカ(Coloidal silica)、溶融シリカ(fused silica)、炭化ケイ素(SiC)、酸化ジルコニウム、酸化セリウム(CeO
2)、酸化鉄(Fe
2O
3)及び酸化クロム(Cr
2O
3)のうちの少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする。
【0021】
また、前記高分子バインダーは、澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド(PAM)、及びデキストリンのうちの少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする。
【0022】
また、前記水性ポリウレタンは、前記第2微粒研磨材100重量部に対して0.1重量部〜20重量部で含まれることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、前記研磨体層上に緩衝層をさらに含むことを特徴とし、前記緩衝層は、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂のうちのいずれか一つを含む熱硬化性樹脂、及び感光性樹脂のうちの少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする。
【0024】
本発明の更に他の適切な実施形態によると、研磨パッドの製造方法は、第1微粒研磨材と高分子バインダーとを混合し、研磨スラリーを製造する段階;前記研磨スラリーと研磨補助材とを混合して製造された研磨成形体を焼結し、第1研磨体を準備する段階;第2微粒研磨材と高分子バインダーとを混合し、セルフ−コンディショニング成形体を製造する段階;前記セルフ−コンディショニング成形体を水性ポリウレタンでコーティングし、第2研磨体を準備する段階;前記第1研磨体と前記第2研磨体とを混合し、研磨体層を製造する段階;及び前記研磨体層上に基材層を塗布する段階;を含むことを特徴とする。
【0025】
また、前記焼結段階は、研磨成形体を400℃〜800℃の温度で加熱することを特徴とする。
【0026】
また、前記水性ポリウレタンは、セルフ−コンディショニング成形体に85℃〜100℃で1回以上コーティングされることを特徴とする。
【0027】
また、前記高分子バインダーは、前記第1微粒研磨材100重量部に対して1重量部〜20重量部で含まれ、前記研磨補助材は、前記第1微粒研磨材100重量部に対して10重量部〜100重量部で含まれることを特徴とする。
【0028】
また、前記水性ポリウレタンは、前記第2微粒研磨材100重量部に対して0.1重量部〜20重量部で含まれることを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、前記研磨体層上に緩衝層を塗布する段階をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によって製造された研磨パッドは、セルフ−コンディショニング成形体を水性ポリウレタンでコーティングすることによって溶出速度制御が可能であり、被研磨体の研磨工程時に別途のスラリーを使用しなくてもよく、別途のコンディショニング工程を行わなくてもよいので、装備の遊休時間が消耗されなく、研磨工程の生産性を向上できるという効果を有する。
【0031】
また、本発明によって製造された研磨パッドは、研磨補助材を含んで研磨性能を向上させるという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に対して詳細に説明する。これに先立って、本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈してはならなく、発明者は、自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義できるという原則に立脚して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈しなければならない。よって、本明細書に記載された実施例の構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎなく、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点において、これらに取って代わる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0034】
以下、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る研磨パッドの一実施例を示している。
図1の研磨パッド1は、基材層10及び研磨体層20を含んでいる。
【0035】
本発明の研磨パッド1は、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、石英などの平板光学ガラス基板、及びサファイア、炭化ケイ素(SiC)、ジルコニアウエハー基板の製造に用いられるグラインディング(Grinding)、ラッピング(Lapping)、ポリッシング(Polishing)、フィニッシング(Finishing)などの研磨工程に用いられてもよい。前記研磨工程は、被研磨体である基板の厚さを調節したり、基板表面の粗さを調節したりすることを主な目的とする。
【0036】
また、本発明の研磨パッド1は、リング状であり、前記研磨体層20は、所定間隔で離隔して形成される複数の研磨突起20a、20b、20cからなり、これらの研磨突起20a、20b、20cは、特に限定しないが、前記リングの中心を基準にして同心円状又は放射状に配置されることが好ましい。ここで、研磨突起20a、20b、20cの同心円状又は放射状配置により、既存の平行配置で発生する内径、外径、外郭コーナーで研磨突起20a、20b、20cが割れる現象と、割れた研磨突起20a、20b、20cの破片が不安定な接着力で存在していた後、研磨工程中に研磨パッドから剥離して被研磨体と研磨パッドとの間を移動することによって、被研磨体に大きなスクラッチを発生したり、深刻な場合、被研磨体を破損させたりするという問題を解決することができる。
【0037】
前記基材層10は、バッキング(backing)の役割をするものであって、重合体フィルム、プライミングされた(primed)重合体フィルム、多孔性及び非多孔性重合体フォーム、繊維強化された熱可塑性バッキング、メルトスパン(meltspun)又はメルトブローン(meltblown)不織布、及びこれらの組み合わせから選ばれたいずれか一つを含んでもよい。ここで、前記重合体フィルムは、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)を含むポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むポリエステル、ナイロン−6及びナイロン−6,6を含むポリアミド及びポリカーボネートのうちの少なくとも一つ以上の材料からなってもよいが、これに限定されることなく、一般に研磨パッドの基材層として使用され得る如何なる素材も含んでよく、シート又はフィルム形態である。
【0038】
前記研磨体層20は、第1研磨体21及び第2研磨体23を含み、前記第2微粒研磨材23aは、水溶液によって少なくとも一部が溶解されると前記第2研磨体23から放出され、研磨パッドのコンディショニングを行う。
【0039】
前記第1研磨体21は、研磨工程中に被研磨体を研磨させる用途を有するものであって、第1微粒研磨材21a及び研磨補助材21bを含む。
【0040】
ここで、前記第1微粒研磨材21aは、研磨性能を有するものであればいずれも使用可能であるが、炭化ホウ素(B
4C)、ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素(cBN)のうちの少なくともいずれか一つを含むことが好ましい。前記ダイヤモンドの場合、グレードが特に限定されないが、平均粒径を基準にして1μm〜30μm、好ましくは1μm〜20μm、より好ましくは1μm〜10μmであるものを使用可能である。第1微粒研磨材21aの場合、被研磨体又は第2微粒研磨材23aの硬度と同一又はそれ以上の硬度を有する素材を選ぶことが好ましい。
【0041】
また、前記研磨補助材21bは、研磨性能を有するものであればいずれも使用可能であるが、シリカパウダーを含むことが好ましい。ここで、前記研磨補助材21bは、第1微粒研磨材100重量部に対して10重量部〜100重量部で含まれることが好ましい。前記研磨補助材の含量が記載した含量未満又は以上である場合、研磨性能が低下する。
【0042】
また、前記第1研磨体21は、所定サイズを有するものとして製造可能であるが、前記第1研磨体は、30μm〜300μmのサイズ、好ましくは30μm〜100μmのサイズ、より好ましくは30μm〜50μmのサイズを有するように製造可能である。これは、前記第1研磨体21が30μm以下のサイズを有する場合、被研磨体の研磨時に研磨速度が低下し、製造費用が増加するという短所があり、 前記第1研磨体21が300μm以上のサイズを有する場合、被研磨体の表面にスクラッチが多く発生し、これに伴って表面粗さが高くなるという問題が発生し得るためである。
【0043】
前記第2研磨体23は、研磨パッド1のコンディショニング機能を行う用途であって、水性ポリウレタン23cでコーティングされた第2微粒研磨材23a及び高分子バインダー23bを含む。前記第2微粒研磨材23aは、水溶液によって前記高分子バインダー23b及び前記水性ポリウレタン23cのうちの少なくとも一部が溶解されると前記第2研磨体23から放出され、研磨パッドのコンディショニングを行うことができる。
【0044】
本発明の研磨パッド1は、湿式で研磨工程を進めるようになるが、水によって前記第2微粒研磨材23aの少なくとも一部が溶解されると前記第2微粒研磨材23aが放出され、このように放出された第2微粒研磨材23aが従来に使用される研磨工程中のスラリーとしての役割をするだけでなく、前記研磨体層20の表面、前記研磨体層20に形成された気孔又は前記複数の研磨突起20a、20b、20cの間に挟まれた不純物粒子をコンディショニングすることができる。その結果、本発明によると、別途のスラリーが必要でないので、スラリー使用のための費用を節約することができ、セルフコンディショニングが可能であり、追加的なコンディショニング工程が必要でなく、装備の遊休時間をなくすことができ、研磨工程の生産性を向上できるという効果を有する。
【0045】
前記第2微粒研磨材23aは、研磨性能を有するものであればいずれも使用可能であるが、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、コロイダルシリカ(Coloidal silica)、溶融シリカ(fused silica)、炭化ケイ素(SiC)、酸化ジルコニウム、酸化セリウム(CeO
2)、酸化鉄(Fe
2O
3)及び酸化クロム(Cr
2O
3)のうちの少なくともいずれか一つを含むことが好ましい。第2微粒研磨材23aの場合、第1微粒研磨材21aの硬度と同一又はその未満の硬度を有する素材を選ぶことが好ましい。
【0046】
また、前記高分子バインダー23bは、水溶液上で少なくとも一部が溶解される高分子であればいずれも使用可能であるが、澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド(PAM)及びデキストリンのうちの少なくともいずれか一つを含むことが好ましく、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)及びデキストリンのうちの少なくともいずれか一つを含むことが最も好ましい。前記高分子バインダーとしては、例えば、重量平均分子量が10,000〜100,000であるポリビニルアルコール(PVA)、重量平均分子量が500〜5,000であるポリエチレングリコール(PEG)、及び重量平均分子量が1,000〜10,000であるデキストリンのうちの少なくとも一つを使用することが好ましい。
【0047】
また、前記高分子バインダー23bは、第2微粒研磨材100重量部に対して1重量部〜20重量部で含まれることが好ましい。ここで、前記高分子バインダー23bが記載した含量未満で使用される場合は、セルフコンディショニング効果が十分でなく、作業時の効率が低下し、前記高分子バインダー23bが記載した含量以上に使用される場合は、第2微粒研磨材の溶出速度が遅くなり、研磨効率が低下し、作業性に問題がある。
【0048】
また、前記水性ポリウレタン23cは、前記第2微粒研磨材23aと前記高分子バインダー23bとの混合物の表面に塗布されるコーティング液として使用されることが好ましい。前記水性ポリウレタン23cは、前記第2微粒研磨材100重量部に対して、0.1重量部〜20重量部で含まれることが好ましく、0.1重量部〜10重量部で含まれることがより好ましく、0.5重量部〜5重量部で含まれることが最も好ましい。ここで、前記水性ポリウレタンが記載した含量以上で使用される場合は、第2微粒研磨材の溶出が難しく、セルフコンディショニング効果が少なくなるので、追加的なコンディショニング作業が必要であり、前記水性ポリウレタンが記載した含量未満で使用される場合は、第2微粒研磨材の溶出速度が速くなるので、研磨突起20a、20b、20cが速く摩耗され、耐久性が低下し、寿命が減少するという問題がある。
【0049】
また、前記第2研磨体23のサイズは、10μm〜80μmであることが好ましく、20μm〜50μmであることがより好ましい。ここで、前記第2研磨体23のサイズが10μm以下であるものを使用する場合は、セルフコンディショニング効果が適宜発揮されにくく、前記第2研磨体23のサイズが80μm以上であるものを使用する場合は、研磨突起20a、20b、20c内に気孔が多く形成され、研磨時に被研磨体の表面が均一でなく、研磨突起20a、20b、20cが速く摩耗され、耐久性が低下し、寿命が減少するという問題が発生し得る。
【0050】
本発明は、前記研磨体層20上に位置し、前記研磨体層20の平坦化と緩衝の役割をする緩衝層30をさらに含んでもよい。
【0051】
前記緩衝層30は、30μm〜300μmの厚さで形成されることが好ましく、50μm〜100μmの厚さで形成されることがより好ましい。前記緩衝層30の厚さが前記記載した厚さ未満である場合は、前記緩衝層30の裏面の表面平坦化工程のハンドリングが容易でなくなり、また、弾性が少なくなり、被研磨体の残余物に対して強い圧力を受けるようになり、被研磨体の表面に深いスクラッチを発生させ得るという問題がある。また、前記緩衝層30の厚さが前記記載した厚さ以上である場合は、前記緩衝層30の裏面の表面平坦化工程時間が増加し、生産効率が減少し、弾性が高くなり、被研磨体と研磨体層20との間の摩擦力を減少させ、研磨率が低下するという問題がある。
【0052】
また、前記緩衝層30は、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂のうちのいずれか一つを含む熱硬化性樹脂、及び感光性樹脂のうちの少なくともいずれか一つからなることが好ましく、アクリレート樹脂からなることが最も好ましい。前記アクリレート樹脂としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、イソボニルアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びエトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートのうちの少なくとも一つ以上を含んでもよい。前記緩衝層30は、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及びイソボニルアクリレートの混合体からなることが好ましい。前記アクリレート樹脂の重量平均分子量は2000〜13,000であってもよく、前記記載した分子量から逸脱する樹脂を使用する場合、弾性と引張力が増加し、研磨率が低下するという問題がある。
【0053】
本発明に係る前記研磨体層20は、気孔形成剤、pH調節剤、着火剤、エッチング剤、酸化剤などの添加剤と、防腐剤、防カビ剤などをさらに含んでもよい。
【0054】
前記気孔形成剤は、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、塩化カルシウム及び塩化ナトリウムのうちの少なくともいずれか一つを含んでもよい。また、気孔形成剤は、1g/cm
3〜3g/cm
3範囲の比重を有し、5μm〜50μmのサイズを有してもよい。
【0055】
表1に示すように、本発明に係る気孔形成剤は、従来の気孔形成剤として使用してきたガラスバブルやエクスパンセルなどに比べて比重が相対的に大きいものを使用することによって、研磨体層20の形成のために混合されるとき、添加量に伴う粘度調節が容易であり、均一に分布可能であり、気孔サイズも自由に調節可能である。
【0056】
【表1】
前記pH調節剤は、研磨工程時に使用する溶液のpHを調整するためのものであって、公知の酸、塩基又はそれらの塩を使用してよい。pH調節剤の添加量は、特に制限されることなく、研磨材が望むpHになるように適宜調整すればよい。
【0057】
また、前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過硫酸塩 (例、アンモニウム、カリウムモノ過硫酸及び二過硫酸)、過ヨウ素酸塩、ヨウ素酸塩及び過ヨウ素酸のうちの少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0058】
また、前記防腐剤及び防カビ剤としては、例えば、2−メチル−4−イソチアゾールリン−3−オン又は5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾールリン−3−オンなどのイソチアゾールリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類及びフェノキシエタノールなどを挙げることができる。これらの防腐剤及び防カビ剤は、単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0059】
図2は、
図1の研磨パッド1の製造工程図である。
図1の研磨パッド1の製造方法は、第1微粒研磨材と高分子バインダーとを混合し、研磨スラリーを製造する段階;前記研磨スラリーと研磨補助材とを混合して製造された研磨成形体を焼結し、第1研磨体を準備する段階;第2微粒研磨材と高分子バインダーとを混合し、セルフ−コンディショニング成形体を製造する段階;前記セルフ−コンディショニング成形体を水性ポリウレタンでコーティングし、第2研磨体を準備する段階;前記第1研磨体と前記第2研磨体とを混合し、研磨体層を製造する段階;前記研磨体層上に緩衝層を塗布する段階;及び前記緩衝層上に基材層を塗布する段階;を含む。
【0060】
以下では、本発明の
図1の研磨パッド1の製造方法をより詳細に説明した。ここで、前記研磨パッド1の製造方法に記載された組成物の成分、含量、厚さ、効果などの特徴は、上述した内容を全て含むことを特徴とする。
【0061】
まず、第1研磨体21を準備する。
前記第1研磨体21は、第1微粒研磨材21aと高分子バインダーとを混合することによって研磨スラリーを製造し、前記研磨スラリーと研磨補助材21bとを混合した研磨成形体の焼結段階を経て製造される。前記焼結段階を通じて研磨成形体の高分子バインダーが除去され、第1微粒研磨材21aと研磨補助材21bとが接合された第1研磨体21が製造される。ここで、前記焼結段階は、研磨成形体を400℃〜800℃の温度で加熱することが好ましい。
【0062】
続いて、第2研磨体23を準備する。
前記第2研磨体23は、第2微粒研磨材23aと高分子バインダー23bとを混合することによってセルフ−コンディショニング成形体を製造し、前記セルフ−コンディショニング成形体を水性ポリウレタン23cでコーティングして製造される。前記セルフ−コンディショニング成形体の表面をポリウレタン23cでコーティングすることによって、溶出速度の制御が可能であるという長所がある。また、前記水性ポリウレタンは、セルフ−コンディショニング成形体を85℃〜100℃で1回以上コーティングすることが好ましい。前記コーティングは、バーコーティング、インクジェットプリンティング、グラビア印刷、オフセット印刷、スプレー又はスピンコーティングによって行ってよい。
【0063】
上述したように準備された前記第1研磨体21と前記第2研磨体23とを混合し、研磨体層20を製造する。
【0064】
ここで、前記第1研磨体21と前記第2研磨体23とを混合し、これに前記各成分の接着のために高分子樹脂27をさらに追加して混合した後、これを成形モールド3に注入して硬化させることによって製造することができる。(
図2の(A)参照)。
【0065】
前記成形モールド3は、例えば、陰刻モールドであって、前記陰刻モールドに前記研磨体層20の必須構成成分である混合物をコーティングして硬化させることによって前記研磨体層20を製造することができる。
【0066】
前記陰刻モールドは、一定の形状とサイズのパターンを有する陽刻モールドを製造した後、前記陽刻モールドに弾性のあるソフトな材質の部材を加圧して製造され得る。これによって、前記製造された陽刻モールドの所定の形状及びサイズのパターンに対応する陰刻モールドが製造され得る。よって、前記所定の形状及びサイズのパターンにより、本発明の複数の研磨突起20a、20b、20cの形状及びサイズが決定されるが、これは、多角柱、端部が切られた多角錐、円柱、端部が切られた円錐柱などの多様な形状を有するようになり、前記複数の研磨突起20a、20b、20cは同心円状又は放射状に配列されてよい。
【0067】
上述したように研磨体層20を製造した後、前記研磨体層20上に緩衝層30を塗布する。(
図2の(B)参照)
前記研磨体層20上に基材層10を塗布する。(
図2の(B)参照)ここで、前記基材層10を塗布した後で硬化させ、前記成形モールド3を除去することによって(
図2の(C)参照)
図1の研磨パッド1を製造することができる。
【0068】
本発明において、前記成形モールド3は、基材層10を塗布した後で除去されてもよく、基材層10が塗布される前に除去されてもよい。
【0069】
図3を通じて、本発明に係る一実施例として研磨パッドの製造方法を示した。ここで、
図3の(A)段階は
図2の(A)段階と同一であるので、ここでは、同一又は類似する説明は省略する。
【0070】
図3の(B)段階は、研磨体層20の平坦化段階であって、成形モールド3にコーティング及び硬化されて形成された研磨体層20上に緩衝層30をコーティングした後で硬化させ、研磨体層20を平坦化する。前記緩衝層30の成分は前記
図1の参照説明部分で説明したので、ここで、同一の説明は省略する。
【0071】
前記成形モールド3にコーティング及び硬化されて形成された研磨体層20の場合、研磨表面は、陰刻モールド内に注入されて形状が形成される部分であって、前記研磨表面が平坦であると、被研磨体の研磨工程時に研磨均一度を達成できるようになる。前記研磨体層20上に緩衝層30がUV樹脂からなる場合、薄く塗布可能であるので、追加的に平坦化する段階を含まなくてもよいが、緩衝層30がUV樹脂からなっていない場合、平坦化する段階をさらに含むことが好ましい。ここで、研磨体層20を平坦化する段階が含まれる場合、前記研磨体層20を下側に押すようになり、前記陰刻モールドの平坦な表面に対応する程度に研磨表面が平坦になるという効果を達成できるようになる。このような緩衝層30を用いた研磨表面の平坦化効果を通じて、大面積でも高い平坦度の研磨表面を有する研磨パッド1の製造が可能であるという利点を有する。高い平坦度の研磨パッドは、研磨工程の使用時、最初の研磨体層20の研磨表面のスキン層除去及び平坦度の確保のために実施されるブレーキ・イン工程(break−in process)の時間を大幅に短縮することによって、研磨工程の生産効率を向上させるという効果を有することができる。また、前記緩衝層30は、弾性力を有しており、被研磨体の研磨時に表面スクラッチを防止できるという効果を有することができる。
【0072】
図3の(C)段階は、前記成形モールド3を除去する段階である。前記成形モールド3を除去し、前記緩衝層30が硬化された後、研磨体層20と接触しない裏面の研磨を通じて緩衝層30の表面を平坦化することができる。本実施例において、成形モールド3の除去は緩衝層30の硬化後に行ったが、
図3の(D)段階以後、(E)段階以後、又は(F)段階以後に行っても構わない。
【0073】
図3の(D)段階は、第1減圧粘着層40の形成段階である。
前記緩衝層30の裏面に第1減圧粘着層40を形成する。前記第1減圧粘着層40は、一般に使用される減圧粘着テープ(pressure sensitive adhesive tape)であってもよい。
【0074】
図3の(E)段階は、基材層10を位置させ、前記緩衝層30と前記基材層10が前記第1減圧粘着層40によって接着される段階である。
【0075】
前記第1減圧粘着層40上に基材層10を位置させ、前記基材層10と前記第1減圧粘着層40は、それらの間に気泡が発生せずに均一に接着できるようにラミネーティング装備を用いて粘着させることができる。
【0076】
図3の(F)段階は、第2減圧粘着層50の形成段階である。
前記第1減圧粘着層40が形成されていない基材層10の裏面に第2減圧粘着層50を形成する。第2減圧粘着層50は、前記第1減圧粘着層40と同様に減圧粘着テープであってもよい。前記第2減圧粘着層50は、研磨装置との付着のためのものであって、本発明によって製造された研磨パッド1は、基材層10によって大面積に製造されても容易に曲がらなく、研磨工程時に研磨装置との付着が容易であるという利点を有することができる。
【0077】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。よって、本発明に開示された各実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されることはない。本発明の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈してはならなく、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきであろう。
【0078】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものに過ぎなく、本発明の要旨にしたがって本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないことは、当業界で通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0079】
実施例1.第1研磨体の製造
ダイヤモンドである第1微粒研磨材と水溶性溶剤とをボールミルを用いて混合することによって、凝集現象が発生しないように分散させた。分散が完了した第1微粒研磨材を乾燥し、溶剤を蒸発させることによって第1微粒研磨材パウダーを得た。
【0080】
そして、重量平均分子量が40,000であるポリビニルアルコール(PVA)、重量平均分子量が2,000であるポリエチレングリコール(PEG)及び重量平均分子量が2,000であるデキストリンと水溶性溶剤とを混合し、高分子バインダーを製造した。ここで、第1微粒研磨材100重量部に対して、前記ポリビニルアルコール(PVA)は4重量部、ポリエチレングリコール(PEG)は3重量部、デキストリンは3重量部含んで高分子バインダーを製造した。
【0081】
上述したように得られた第1微粒研磨材パウダーと高分子バインダーとを混合し、これにシリカパウダー80重量部を混合して噴霧乾燥器に投入した。そして、この噴霧乾燥器にセラミック分散剤(Ceraperse 5468cf)、消泡剤(Defoamer 551)、金属離型剤(Lu6318)、界面活性剤(Triton−X)をそれぞれ2phrで添加して噴射し、分級工程を実施した。そして、最終的に分級された第1研磨体粉末を500℃で焼結し、第1研磨体を製造した。
【0082】
実施例2.第1研磨体の製造
シリカパウダーを第1微粒研磨材に対して100重量部混合したことを除いては、実施例1と同一の方法で第1研磨体を製造した。
【0083】
実施例3.第1研磨体の製造
シリカパウダーを第1微粒研磨材に対して200重量部混合したことを除いては、実施例1と同一の方法で第1研磨体を製造した。
【0084】
実験例1.第1研磨体の表面形状測定
実施例1〜3によって製造された第1研磨体の表面形状をSEMで測定し、これを
図4に示した。
【0085】
ここで、実施例1によって製造された第1研磨体の表面は(a)、実施例2によって製造された第1研磨体の表面は(b)、実施例3によって製造された第1研磨体の表面は(c)である。
【0086】
図4を見ると、(a)の第1研磨体は、(c)の第1研磨体より表面が均一に分布されていると示され、研磨効率が高いと予想することができた。
【0087】
実施例4.第2研磨体の製造
アルミナ(Al
2O
3)、炭酸カルシウム及び珪灰石が同一の重量で構成された第2微粒研磨材と水溶性溶剤とをボールミルを用いて混合することによって、凝集現象が発生しないように分散させた。分散が完了した第2微粒研磨材を乾燥し、溶剤を蒸発させることによって第2微粒研磨材パウダーを得た。
【0088】
そして、重量平均分子量が40,000であるポリビニルアルコール(PVA)、重量平均分子量が2,000であるポリエチレングリコール(PEG)及び重量平均分子量が2,000であるデキストリンと水溶性溶剤とを混合し、高分子バインダー10重量%を製造した。ここで、第1微粒研磨材100重量部に対して、前記ポリビニルアルコール(PVA)は4重量部、ポリエチレングリコール(PEG)は3重量部、デキストリンは3重量部含んで高分子バインダーを製造した。
【0089】
上述したように得られた第2微粒研磨材パウダーと高分子バインダーとをボールミルを用いて混合して噴霧乾燥器に投入した。そして、この噴霧乾燥器にセラミック分散剤(Ceraperse 5468cf)、消泡剤(Defoamer 551)、金属離型剤(Lu6318)、界面活性剤(Triton−X)をそれぞれ2phrで添加して噴射し、分級工程を実施した。分級された第2研磨体粉末の表面に水性ポリウレタン溶液(ポリウレタン固形分10重量%を含むもの)を第2微粒研磨材100重量部に対して5重量部でコーティングし、最終的に第2研磨体を製造した。
【0090】
実施例5.研磨パッドの製造
実施例1で製造された第1研磨体と実施例4で製造された第2研磨体とを高分子樹脂と共に陰刻モールドに注入して硬化させ、研磨体層を製造した。続いて、陰刻モールドを除去し、粘着テープで製造された研磨体層と基材とを接着させ、研磨パッドを製造した。
【0091】
比較例1.研磨パッドの製造
シリカ粉末を除いては、実施例1と同一の方法で第1研磨体を製造した。製造された第1研磨体と高分子樹脂を陰刻モールドに注入して硬化させ、研磨体層を製造した。
【0092】
そして、粘着テープで製造された研磨体層と基材とを接着させ、研磨パッドを製造した。
【0093】
実験例2.研磨除去率の測定
実施例5及び比較例1で製造された研磨パッドで光学ガラス基板を研磨することによって研磨除去率を測定し、その結果を
図5に示した。
【0094】
そして、研磨途中に水溶液スラリーを投入することによって研磨除去率を測定し、その結果を
図6に示した。
【0095】
ここで、研磨除去率は、BP310P(ザルトリウス株式会社、GERMANY)を用いて計算した。
【0096】
図5を見ると、実施例5の研磨パッドが、比較例1の研磨パッドに比べて約1.5倍ほど高い研磨除去率を示し、比較例1の研磨パッドより優れた研磨性能を有することが分かった。
【0097】
図6を見ると、水溶液スラリーを投入しながら、研磨性能が既存と同等な水準に表れたことが分かった。
【0098】
実施例6.緩衝層を含む研磨パッドの製造
脂肪族系列のウレタンジアクリレート180gを、撹拌器を通じて撹拌する。これを撹拌前に40℃に設定されたオーブンに入れ、粘度を低下させることによって混合を容易にする。その後、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート5gを添加して混合し、イソボニルアクリレート15gを添加して連続的に撹拌する。撹拌後、BYK9150溶液0.5phr.及び光重合開始剤(Irgacure 819)1.5phr.を添加して混合し、緩衝層の混合物を製造した。
【0099】
そして、実施例5の研磨パッド製造工程で同一の方法で研磨体層を製造し、上述したように製造された緩衝層混合物を研磨体層上に塗布した。続いて、陰刻モールドを除去し、粘着テープで製造された緩衝層と基材とを接着させ、研磨パッドを製造した。
【0100】
実験例3
実施例6及び比較例1で準備された研磨パッドで光学ガラス基板を研磨し、光学ガラス基板の表面をレーザー顕微鏡で測定し、その結果を
図7に示した。
【0101】
図7(a)は、実施例6によって製造された研磨パッドで研磨した光学ガラス基板の表面写真で、(b)は、比較例1によって製造された研磨パッドで研磨した光学ガラス基板の表面写真である。
【0102】
図7を見ると、実施例6によって製造された研磨パッドで研磨した光学ガラス基板の表面においてはスクラッチが一部のみで表れたが、比較例1によって製造された研磨パッドで研磨した光学ガラス基板の表面においては全般的にスクラッチが表れた。よって、緩衝層を含む研磨パッドは、研磨途中の緩衝作用によってスクラッチがほとんど発生することなく被研磨体を研磨できることが分かった。
【課題】ラッピング、ポリッシング、フィニッシングなどの研磨工程でスラリーが必要でないと共に、別途のコンディショニング工程が必要でないセルフ−コンディショニング機能を備えた研磨パッド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材層;及び第1微粒研磨材及び研磨補助材を含む第1研磨体と、第2微粒研磨材及び高分子バインダーを含み、水性ポリウレタンでコーティングされた第2研磨体とを含む研磨体層;を含み、前記第2微粒研磨材は、水溶液によって少なくとも第2研磨体の一部が溶解されると前記第2研磨体から放出され、研磨パッドのコンディショニングを行うことを特徴とする研磨パッドを構成する。