特許第6318013号(P6318013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6318013
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20180416BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20180416BHJP
   C11D 3/40 20060101ALI20180416BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20180416BHJP
   C11D 7/02 20060101ALI20180416BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20180416BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180416BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20180416BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20180416BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20180416BHJP
【FI】
   C11D3/37
   C11D7/22
   C11D3/40
   C11D3/20
   C11D7/02
   C11D7/26
   A61K8/81
   A61Q5/02
   A61Q19/10
   A61K8/49
【請求項の数】11
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-116152(P2014-116152)
(22)【出願日】2014年6月4日
(65)【公開番号】特開2015-17245(P2015-17245A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2017年4月3日
(31)【優先権主張番号】特願2013-124623(P2013-124623)
(32)【優先日】2013年6月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】森岡 美沙子
(72)【発明者】
【氏名】堀端 達也
(72)【発明者】
【氏名】松元 樹
【審査官】 安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−229807(JP,A)
【文献】 特開2002−363436(JP,A)
【文献】 特開2008−081496(JP,A)
【文献】 特開2000−119171(JP,A)
【文献】 特開2000−119172(JP,A)
【文献】 特開平09−003348(JP,A)
【文献】 特開2011−136983(JP,A)
【文献】 特開2001−072887(JP,A)
【文献】 特開2007−022938(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/070578(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/125483(WO,A1)
【文献】 特開2014−108951(JP,A)
【文献】 特開2014−108952(JP,A)
【文献】 特開2014−109003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D,
A61K8,
A61Q,
C09B67/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水不溶性色素(A)10〜95質量%、並びにポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルピロリドン誘導体から選ばれる2種以上(B)を含有する色素顆粒を、配合してなる洗浄剤組成物であって、
(B)成分が、20℃における4%水溶液のB型粘度計により測定した粘度が15mPa・s以上であるポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体から選ばれる1種以上(b1)と、20℃における4%水溶液の粘度が15mPa・s未満であるポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンから選ばれる1種以上(b2)を含む、洗浄剤組成物
【請求項2】
水不溶性色素(A)の含有量が18〜80質量%である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
(B)成分が、前記ポリビニルアルコール誘導体(b1)と前記ポリビニルアルコール(b2)の組み合わせ、前記ポリビニルアルコール誘導体(b1)と前記ポリビニルピロリドン(b2)の組み合わせ、前記ポリビニルアルコール(b1)と前記ポリビニルピロリドン(b2)の組み合わせのいずれかを含む、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
色素顆粒の配合量が0.001質量%以上5質量%以下である、請求項1〜のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
色素顆粒中における、エタノール及び多価アルコールから選ばれるアルコール(C)の含有量が5質量%以下である、請求項1〜のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
ポリビニルアルコール誘導体が、アニオン変性ポリビニルアルコール誘導体及びカチオン変性ポリビニルアルコール誘導体から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
アニオン変性ポリビニルアルコール誘導体が、カルボン酸変性ポリビニルアルコール、ウンデシレン酸変性ポリビニルアルコール、及びスルホン酸変性ポリビニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上である、請求項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
カチオン変性ポリビニルアルコール誘導体が、アンモニウム変性ポリビニルアルコール、スルホニウム変性ポリビニルアルコール、及びアミノ基変性ポリビニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上である、請求項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
色素顆粒中の(B)成分の含有量が0.05質量%以上50質量%以下である、請求項1〜のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項10】
洗浄剤組成物の5倍希釈液の電気伝導率が0.1S/m以上1.7S/m以下である請求項1〜のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項11】
水不溶性色素(A)を含有する粉体と(B)成分の溶液とを混合して造粒した後、乾燥して得た色素顆粒を、洗浄剤と混合する工程を有する、請求項1〜10のいずれかに記載の洗浄剤組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄剤組成物に関し、詳しくは、使用時に立つ泡が十分に着色する洗浄剤組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全身洗浄料や洗顔料等の洗浄剤は、通常、泡立てて使用する。洗浄剤を泡立てて使用する効果としては、(i)少量の洗浄剤で広範囲の洗浄が可能となる、(ii)洗浄部位における感触が向上する、(iii)泡を着色することで洗浄時の使用感を高めることができる、等が挙げられる。
従来、使用時の楽しさや使用感を向上させる目的で、色素を含有する顆粒を配合した組成物や、泡に色を付与した組成物が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、炭素数12〜20の脂肪酸塩の100質量部に対して、少量のグリセリン、キレート剤、抗酸化剤と、花弁抽出エキス0.001〜10質量部とからなる、オレンジから赤色に着色された固形石けんが開示されている。
特許文献2には、水不溶性で平均粒径が50μm以下の1次粒子を水溶性結合剤を用いて造粒した顆粒を、水不溶性コーティング剤でコーティングした特定粒径の崩壊性顆粒を配合した化粧料組成物が開示されている。
特許文献3には、色が異なる内芯と外層からなり、内芯を構成する粉体は非疎水化粉体で、外層を構成する粉体が疎水化粉体である二重構造顆粒を含有する、マッサージ行為等によって容易に崩壊され速やかに内芯色に変化し、該行為の終点を知ることができる化粧料が開示されている。
特許文献4には、糖類粉末又は糖アルコール類粉末を含まない平均粒子径20μm以下のスクラブ微粉末を水溶性結合剤を用いて顆粒にし、洗浄剤を含む粉末又は顆粒と混合してなる、洗浄の終了が分るスクラブ洗浄料が開示されている。
特許文献5には、洗剤を泡立てたときの泡色が有色であって、かつ洗い流しの水で容易に泡の色が消える分量だけ色素を添加した、泡色を視覚的に楽しむことができる洗剤が開示されている。
特許文献6には、コア部に、着色剤、セルロース、ポリオールを含み、シェル部に特定のポリマーを含んでなる、マイクロカプセル化された着色剤顆粒を含む洗浄組成物であって、洗浄剤を使用する際に、こすり洗いのような物理的刺激によってマイクロカプセルが徐々に崩壊し、泡色の変化により洗浄時間を知らしめる洗浄組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−202615号公報
【特許文献2】特開2000−169338号公報
【特許文献3】特開平4−338314号公報
【特許文献4】特開平4−198116号公報
【特許文献5】特開平11−263996号公報
【特許文献6】特表2012−533637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、泡に色をつけるために製剤(バルク)を予め水性の植物エキスにより濃く着色し、希釈や泡沫化を経ても着色が泡に反映される石けんであり、水不溶性色素を含有する顆粒を用いるものではない。
特許文献2は、マッサージする時に顆粒の色が変色し、皮膚への塗布及びマッサージの程度を知ることができる化粧料組成物であり、希釈や泡沫化によりその色が泡にまで反映されるものではない。
特許文献3及び4は、使用時間の目安を与えることを目的として、水不溶性色素を用い顆粒に色を付け使用時の顆粒の変化を追うことで洗浄の終了が分かるように、顆粒を濃く着色した化粧料、洗浄料である。
特許文献5は、合成色素や有色薬効エキスをある特定の範囲まで増やすことで有色の泡を現出させたものであるが、色素量を増やすことで製剤(バルク)は濃く着色されてしまうため、エアゾール容器やポンプフォーム容器に充填し、有色の泡を吐出する例が記載されている。また具体的に使用されている色素は水溶性色素である。
特許文献6は、こすり洗いのような物理的刺激によりシェル部を崩壊させ、コア部を放出することで有色の泡を現出させているが、具体的な手洗い試験では、泡色が変わるまで約2分間を要している。
【0006】
洗浄剤は、通常、使用時に希釈され、泡沫化して使用されるが、泡の液膜は非常に薄いため、泡の外観は光の全反射や乱反射により概ね白色を呈する。このため、泡を十分に着色するためには、洗浄剤そのものを強く着色をすることが必要である。その結果、洗浄剤の液色が濃くなり過ぎて、利用者が使ってみようと思う使用動機を獲得することが難しい。また、着色剤を単に増量すると、製剤の安定性や起泡性が低下するという問題があった。また、水溶性色素の方が少ない量で着色できるが、製剤(バルク)への色の滲出、皮膚への着色といった問題があった。
上記の特許文献1、5は、いずれも泡へ着色する組成物としてある程度の改善がなされているが、泡立ちや安定性、泡への十分な着色性と、利用者の使用動機を獲得できるバルク外観特性を得られていない。特許文献2〜4は、顆粒への着色に関するもので、製剤(バルク)、泡への着色という点については考慮されていない。
特許文献6では、色素をマイクロカプセル化することでバルク外観特性について改善がなされているが、泡を十分に着色させるには長時間の強い物理的刺激が必要であり、使用者に心理的・身体的負担を与えてしまう。また、マイクロカプセルの崩壊性を調節する方法は具体的に示されておらず、例えば、シェル部の厚みを調節する方法では、製造・充填時の物理的刺激による顆粒の崩壊性と、使用時のこすり洗いによる顆粒の崩壊性が連動して上昇又は下降するため、製造・充填時の安定性とこすり洗いによる易崩壊性を両立することはできていない。
そこで、本発明は、豊かな泡立ちと製剤安定性を両立すると共に、利用者の使用動機を損なうことなく、泡への十分な着色性を発揮し、泡への着色時間を容易に制御することができるため、利用者の用途に応じた心地よい使用感と好適な使用形態を提供できる優れた洗浄剤組成物、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、水不溶性色素の含有量が10〜95質量%であり、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルピロリドン誘導体から選ばれる2種以上を含有する色素顆粒を配合してなる洗浄剤組成物が、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、次の[1]及び[2]を提供する。
[1]水不溶性色素(A)10〜95質量%、並びにポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルピロリドン誘導体から選ばれる2種以上(B)を含有する色素顆粒を、配合してなる洗浄剤組成物。
[2]水不溶性色素(A)を含有する粉体と(B)成分の溶液とを混合して造粒した後、乾燥して得た色素顆粒を、洗浄剤と混合する工程を有する、前記[1]の洗浄剤組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、豊かな泡立ちと製剤安定性を両立すると共に、利用者の使用動機を損なうことなく、製剤(バルク)への着色を抑え、泡への十分な着色性を発揮し、泡への着色時間を容易に制御することができるため、利用者の用途に応じた心地よい使用感と好適な使用形態を提供できる優れた洗浄剤組成物、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[洗浄剤組成物]
本発明の洗浄剤組成物は、水不溶性色素(A)10〜95質量%、並びにポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルピロリドン誘導体から選ばれる2種以上(B)を含有する色素顆粒を、配合してなる洗浄剤組成物であり、使用時の泡が有色となる洗浄剤組成物である。
以下、本発明に用いられる各成分、及び製造方法について説明する。
【0010】
[色素顆粒]
本発明に用いられる色素顆粒(以下、単に「顆粒」ともいう)は、泡への十分な着色性と製剤安定性の観点から、水不溶性色素(A)を10〜95質量%含有し、泡への着色を制御するという観点から、(B)成分、及び必要に応じて粉体等を含むことが好ましい。
<水不溶性色素(A)>
水不溶性色素(A)(以下、単に「色素」ともいう)は、洗浄料、化粧料等で使用されているものであれば特に限定なく使用することができる。ここで、色素の「水不溶性」とは、20℃の水100g中の溶解量が好ましくは1g以下、より好ましくは0.1g以下であることを意味する。
また、本明細書において、「色素」とは、色素顆粒に配合することで洗浄剤使用時に発色する成分を意味し、色素という名称の如何を問わない。
水不溶性色素としては、合成又は天然の無機色素及び有機色素から選ばれる任意の色素を用いることができる。
水不溶性無機色素の具体例としては、トルマリン、酸化クロム、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、酸化コバルト、グンジョウ、水酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マンガンバイオレット等が挙げられる。
水不溶性有機色素の具体例としては、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドン、イソインドリノン、ジオキサジン等が挙げられる。
これらの色素は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
水不溶性色素は、泡を十分に着色させる観点から、有機顔料が好ましく、その具体例としては、リコピン、カロテン、キサントフィル、クロロフィル、ヘリンドンピンク(赤色226号)、レーキレッド(赤色203、204号)、リソールレッド、パーマネントオレンジ、フタロシアニンブルー、ハンザエロー等が挙げられる。
【0012】
色素顆粒中の水不溶性色素(A)の含有量は、バルクの外観色や、製剤安定性、洗浄時の泡立ち、泡への着色性の観点から、10〜95質量%である。
色素顆粒中の水不溶性色素(A)の含有量は、上記の観点から、好ましくは12質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは18質量%以上であり、その上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。具体的な範囲としては、12〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がより好ましく、18〜80質量%が更に好ましい。
【0013】
<粉体>
本発明に用いられる色素顆粒には、洗浄時の顆粒の崩壊性、硬さの調節、安定性、製剤中の色素の分散効果、顆粒外観、及び洗浄時の泡への着色性を向上させる観点から、水不溶性粉体を含有させることが好ましい。
ここで、粉体の「水不溶性」とは、25℃において水99質量部に対象の粉体1質量部を溶解させたとき、溶解度が50質量%未満であることを意味する。なお、溶解度は、水溶液を濾紙(No.2)で濾過し、濾液中の固形分量より算出する。
【0014】
水不溶性粉体としては、無機粉体及び有機粉体が挙げられる。
水不溶性無機粉体としては、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト、セリサイト、セピオライト、シリカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、雲母チタン、酸化チタン、酸化アルミニウム、無水珪酸、ヒドロキシカルシウムアパタイト等の他、真珠質等が挙げられる。
水不溶性有機粉体としては、(i)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリウレタン及びそれらの架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル及びそれらの架橋体、エチレンゴム、プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム等のゴム類及びそれらの架橋体等の合成高分子微粒子からなる粉体、(ii)セルロース及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、コーンスターチ等の澱粉、果実の殻、脂肪酸、植物抽出末、酵素、シクロデキストリン、シルクパウダー、金属石鹸、ヒアルロン酸ナトリウム、ビタミンC、グリチリチン酸ジカリウム等の天然高分子及びそれらの誘導体等からなる粉体が挙げられる。
これらの粉体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
これらの中では、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト、セリサイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、雲母チタン、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機粉体、ポリエチレン、ポリプロピレン、結晶セルロース、変性セルロース、コーンスターチ、澱粉、脂肪酸、植物抽出末、酵素、シクロデキストリン、シルクパウダー、金属石鹸、ヒアルロン酸ナトリウム、ビタミンC、グリチリチン酸ジカリウム等の有機粉体が好ましい。
粉体の形状は特に限定されず、真球状、略球状、平板状、棒状、及び粉砕等により異形化したものでもよく、また中空、多孔質の粒子等も用いることができる。
粉体の平均粒径は、造粒のしやすさ、及び粉体粒子が崩壊した場合の違和感や洗い流し性の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また好ましくは70μm以下、より好ましくは60μm以下である。
色素顆粒中の粉体の含有量は、好ましくは0〜80質量%であり、洗浄剤中での顆粒の安定性及び造粒性の観点から、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下であり、また造粒時に顆粒内の色素を均一に分散させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。
色素と粉体との質量比(色素/粉体)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上であり、また、好ましくは6以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは2.5以下である。
【0016】
<(B)成分>
本発明に用いられる(B)成分であるポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルピロリドン誘導体から選ばれる2種以上は、一般的には結合剤として用いられることが多い。
本発明に用いられる色素顆粒に含有される(B)成分は、顆粒の造粒形成、安定性保持、洗浄剤使用時における顆粒への適度な崩壊性付与等の観点から用いられる。
この(B)成分により、バルクの製剤安定性と泡への着色性を両立することが可能であり、剤型や使用状況に応じた好適な性質を調節、付与することができる。
また、色素顆粒中の(B)成分の含有量は、洗浄剤中での顆粒の安定性及び造粒性の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、使用時に色素顆粒内の色素を均一に拡散させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
また、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アセチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、カラギーナン、寒天、ゼラチン、アルギン酸、アルギン酸誘導体、アラビアガム、セラック、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、酢酸ビニル等の公知の結合剤を、本発明に用いられる(B)成分と組み合わせて任意に用いることができる。
【0017】
(ポリビニルアルコール)
ポリビニルアルコール(PVA)とは、未変性のPVAのことであり、市販品としては、日本合成化学株式会社製のゴーセノールシリーズ(GL―03、EG−05、EG−30、EG−40等)、株式会社クラレ製のポバール(PVA)シリーズ(403、405、420、420H、424H、203、205、210、217、220、224、235、217E、220E、224E等)等が例示されるが、これに限らず使用することができる。
PVAのけん化度は、洗浄剤組成物中での顆粒安定性の観点から、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上であり、使用時に顆粒を崩壊させ、泡を十分に着色させる観点から、好ましくは99%以下、より好ましくは95%以下である。
ポリビニルアルコールの平均分子量は、ハンドリングのし易さの観点から、好ましくは20万以下、より好ましくは18万以下、更に好ましくは15万以下である。ポリビニルアルコールの平均分子量は、粘度測定法によりシュタウディンガーの粘度式を用いて算出することができる。
【0018】
(ポリビニルアルコール誘導体)
ポリビニルアルコール(PVA)誘導体としては、カルボン酸変性PVA、ウンデシレン酸変性PVA、スルホン酸変性PVA等のアニオン変性PVA誘導体、及びアンモニウム変性PVA、スルホニウム変性PVA、アミノ基変性PVA等のカチオン変性PVA誘導体から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
PVA誘導体の市販品としては、日本合成化学株式会社製のゴーセネックスTシリーズ(T−350、T−330H等)、ゴーセネックスLシリーズ(L−3266等)、ゴーセネックスKシリーズ(K−434等)、株式会社クラレ製のKポリマーシリーズ(KL−506、KL−318、KL−118、KM−618、KM−118等)、Cポリマーシリーズ(C−506、CM−318等)が例示されるが、これに限らず使用することができる。これらの中でも、洗浄剤組成物への配合安定性の観点から、アニオン変性PVA誘導体が好ましく、カルボン酸変性PVA及びスルホン酸変性PVAから選ばれる1種又は2種が好ましい。
PVA誘導体のケン化度は、洗浄剤中での顆粒安定性の観点から、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上であり、使用時に顆粒を崩壊させ、泡を十分に着色させる観点から、好ましくは99.5%以下、より好ましくは99%以下である。
【0019】
アニオン変性PVA誘導体、例えばカルボン酸変性PVAは、カルボキシ基を有する化合物を、従来公知の方法により、ポリビニルアルコールに導入することにより製造することができる。カルボキシ基を含有する化合物としては、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、アクリル酸及びそれらの塩等が挙げられる。また、スルホン酸変性PVAは、スルホン酸基を有する化合物を、従来公知の方法により、ポリビニルアルコールに導入することにより製造することができる。スルホン酸基を有する化合物としては、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、P−スルホン酸ベンズアルデヒド及びそれら塩等が挙げられる。
上記のアニオン変性PVA誘導体の中でも、マレイン酸変性PVAが特に好ましい。
アニオン変性PVA誘導体の酸変性度は、使用時に顆粒を速やかに崩壊させ、泡の着色性を向上させる観点から、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1モル%以上であり、洗浄剤中の顆粒の安定性の観点から、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
ポリビニルアルコール誘導体の平均分子量は、ハンドリングのし易さの観点から、好ましくは20万以下、より好ましくは18万以下、更に好ましくは15万以下である。ポリビニルアルコール誘導体の平均分子量は、粘度測定法によりシュタウディンガーの粘度式を用いて算出することができる。
【0020】
(ポリビニルピロリドン及びポリビニルドン誘導体)
ポリビニルピロリドン(PVP)及びその誘導体としては、ポリビニルピロリドンそのものや、ポリビニルピロリドンとアクリル酸やメタクリル酸及びビニルアルコール等とのコポリマー等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。市販品としては、BASF社製のルビスコールシリーズ(K17、K30、K90、VA73E、VA64P、VA37E等)、ISP社製のPVPシリーズ(K−15、K−30、K−90、K−15W、K−30W等)等が例示されるが、これに限らず使用することができる。これらの中でもハンドリング性と使用時に顆粒を崩壊させ、泡を十分に着色させる観点から、ポリビニルピロリドンを使用することが好ましい。
【0021】
(B)成分としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルピロリドン誘導体から選ばれる2種以上を使用する。これらの中では、洗浄剤中での顆粒の安定性及び造粒性の観点から、20℃における4%水溶液のB型粘度計により測定した粘度が、好ましくは15mPa・s以上、より好ましくは18mPa・s以上、更に好ましくは20mPa・s以上であるポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体から選ばれる1種以上(b1)を含むことが好ましい。また、使用時に色素顆粒内の色素を均一に拡散させる観点から、20℃における4%水溶液の粘度が好ましくは15mPa・s未満、より好ましくは13mPa・s未満、更に好ましくは11mPa・s未満であるポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンから選ばれる1種以上(b2)を含むことが好ましい。
【0022】
さらに、洗浄剤組成物中の顆粒の安定性と使用時の崩壊性を効率よく制御するという観点から、前記ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体から選ばれる1種以上(b1)と、前記ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンから選ばれる1種以上(b2)を組み合わせて使用することが好ましい。具体的な好ましい組み合わせとしては、前記ポリビニルアルコール誘導体(b1)と前記ポリビニルアルコール(b2)の組み合わせ、前記ポリビニルアルコール誘導体(b1)と前記ポリビニルピロリドン(b2)の組み合わせ、前記ポリビニルアルコール(b1)と前記ポリビニルピロリドン(b2)の組み合わせが挙げられる。
洗浄剤中の色素顆粒の安定性と使用時の崩壊性を効率よく制御するという観点から、[(b1)/(b2)]の配合質量比は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上であり、また、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下である。具体的な範囲としては、0.05〜3.0が好ましく、0.1〜2.5がより好ましく、0.15〜2.0が更に好ましい。
【0023】
(アルコール(C))
本発明に用いられる色素顆粒は、水不溶性色素(A)と(B)成分を含有し、さらにアルコール(C)を含有していてもよいが、アルコール(C)の量が多くなり過ぎると色素顆粒の造粒性を損ない、製剤バルクへの着色が著しく認められるようになる。そのため、色素顆粒中のアルコール(C)の含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下である。
アルコール(C)は、エタノール及び多価アルコールから選ばれるアルコールである。具体的には、エタノール(合成エタノール、発酵エタノール)、グリセリン、プロパンジオール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、プロピレングリコール等が例示される。これらの中でも、色素顆粒中に含有しても影響が少ないものは、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、1,3−ブチレングリコール等であり、色素顆粒中に含有すると影響が大きいものとしては、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
ここで、アルコール(C)は、色素顆粒の造粒工程中に添加されるアルコールのことを指すものであり、造粒、乾燥過程を経た色素顆粒を用いて洗浄剤組成物を調製する際に、色素顆粒を除く洗浄剤組成物に配合されているアルコールが色素顆粒中に浸潤してきた場合のアルコールは含まれない。これは、造粒、乾燥過程を経た色素顆粒は、(B)成分が均一に分散した状態になっていることから、その後に洗浄剤組成物中のアルコール(C)が浸潤してきても、造粒物の構造を壊すことはないためである。
【0024】
(その他の成分)
本発明に用いられる色素顆粒には前記の成分に加えて、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で通常使用される任意の成分を使用することができる。これらの成分としては、界面活性剤、脂肪酸、シリコーン類、油分、エキス類、防腐剤、保湿剤、ポリマー類、アミノ酸誘導体、糖誘導体、香料、薬剤等が挙げられる。
【0025】
<色素顆粒の製造>
本発明に用いられる色素顆粒は、洗浄剤組成物を使用する際に加えられる化学的刺激及び/又は物理的刺激によって崩壊し、色素等の顆粒中の成分を放出する。ここで、化学的刺激とは、水の添加や蒸発による濃度変化、使用状況におけるpH変化、温度変化等をいい、物理的刺激とは、泡立てや塗布の際にかかる負荷等をいう。
色素顆粒の製造方法としては、上記性質を得られるものであれば特に限定はなく、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、押し出し造粒、噴霧乾燥造粒、プレス(打錠)造粒、コーティング造粒、カプセル造粒等による方法が挙げられる。これらの中でも、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、押し出し造粒、噴霧乾燥造粒による方法で製造した場合、顆粒中の成分全体が均一になっているため、使用時に、色だまりができにくく、徐々に泡が均一に色づくため好ましい。
【0026】
<色素顆粒の形態>
本発明に用いられる色素顆粒の形状に特に制限はなく、真球状、略球状、平板状、棒状、及び粉砕等により異形とした形状のものでもよい。
色素顆粒の平均粒径は特に限定されないが、バルクの外観色を薄くすること、製剤安定性、泡立ちの観点ら、製剤配合時の平均粒径は、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは50μm以上であり、肌への刺激性もしくは使用時の顆粒の均一分配性という面から、好ましくは1500μm以下、より好ましくは900μm以下、更に好ましくは800μm以下である。
色素顆粒の平均粒径は、ロータップ式ふるい振とう機等を用いたふるい分け法から求められた篩下質量分布等によって測定することができる。
【0027】
[洗浄剤組成物]
本発明の洗浄剤組成物においては、使用時に泡を十分に着色させる観点から、水不溶性色素(A)10〜95質量%と(B)成分を含有する色素顆粒を0.001質量%以上5質量%以下配合することが好ましい。
洗浄剤組成物中の色素顆粒の含有量は、泡への着色性の観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、またその上限は、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
また、洗浄剤組成物中の色素濃度は、泡への着色性の観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.007質量%以上であり、肌への着色をまねくおそれと、バルク外観色を薄くする観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0028】
(電気伝導率)
本発明で使用する色素顆粒は、洗浄剤組成物中に含まれる水中のイオン濃度が低下することで崩壊性が高くなり、それは洗浄剤組成物の通常使用形態である水による希釈によっても同様の傾向が現れる。通常、洗浄剤ではイオン性界面活性剤や脂肪酸石鹸等の界面活性剤、塩化ナトリウム等の無機塩、原料生産時における副産物として含まれる塩等、様々なイオンが混合した状態となっており、具体的な水中イオン量を見積もることが難しいが、電気伝導率を測定することにより概算的なイオンの力価を総合的な相対量として見積もることができる。
洗浄剤組成物の電気伝導率の測定は、洗浄剤組成物の性状に関わらず、洗浄剤組成物を1質量部分取し、精製水を4質量部加え、均一混合した溶液又は粘性液を試料として、25℃の条件下において市販の電気伝導率計(例えば、東亜DKK株式会社製、EC METER CM−60G)を使用して行うことができる。
本発明の洗浄剤組成物の5倍希釈液の電気伝導率は、色素顆粒の製造時、充填時、保存時における安定性、及び使用時における易崩壊性の観点から、好ましくは0.1S/m以上、より好ましくは0.2S/m以上、更に好ましくは0.3S/m以上、より更に好ましくは0.5S/m以上であり、また好ましくは1.7S/m以下、より好ましくは1.5S/m以下、更に好ましくは1.0S/m以下、より更に好ましくは0.8S/m以下である。
【0029】
本発明において「泡が有色」とは、色素顆粒を配合していないこと以外は同一の組成である洗浄剤組成物と比較して、目視でその泡色が変化していることを認識できることを意味する。一般的な測色計で測定した場合、L***表色系(ここで、L*は明度、a*は赤−緑方向の色度、b*は黄−青方向の色度を示す。)において、色差ΔEが大きいほど色の変化は認識しやすくなる。なお、ΔEは下記式(1)で表される。
ΔE=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2 (1)
本発明において、「目視で泡色が有色である」と確認できるΔEとしては1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上である。ΔEが1未満であると、目視で泡色の確認をすることが難しく、泡色が十分に有色であると確認できないおそれがある。
また本発明において、「製剤(バルク)への着色を抑えた」又は「製剤(バルク)の外観色が薄い」とは、上記した色素顆粒を配合していないこと以外は同一の組成である洗浄剤組成物と比較して、洗浄剤組成物の原液(バルク)の色差(ΔE)に有意差があることを意味する。具体的には、前記色差(ΔE)が30未満であることが好ましく、より好ましくは20未満、更に好ましくは12未満である。ΔEが30以上であると、利用者が使う時に使いたくない、使うのに躊躇すると感じ、利用者の使用動機が損われるおそれがある。
【0030】
洗浄剤組成物に配合される色素顆粒は、保存安定性の調整又は顆粒外観色の調整のために、外層と内層が異なる組成で構成される多層造粒物を使用してもよい。例えば、内部を崩壊時間がより短くなるようなバインダー組成の一次顆粒として造粒し、顆粒の外層に崩壊時間がより長くなるようなバインダー層を形成することで、弱い物理的刺激では崩壊せず、強い物理的刺激がかかった場合に、効率よく崩壊、分散が起こるようにしたり、内層に色素層、外層に酸化チタン層や別の色素層を形成することで、泡立つまで泡に着色する色を見せないようにしたりすることもできる。
【0031】
<その他の成分>
本発明の洗浄剤組成物には、前記の色素顆粒に加えて、洗浄剤組成物の用途、目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で通常使用されている任意の成分を使用することができる。これらの成分としては、界面活性剤、油剤、増粘剤、保湿剤、湿潤剤、着色剤、防腐剤、感触向上剤、香料、消炎剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、収れん剤、美白剤、抗炎症剤等の薬剤、水、アルコール等が挙げられる。
【0032】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、燐酸エステル系活性剤、硫酸エステル系活性剤、スルホン酸系活性剤、カルボン酸系活性剤、アミノ酸系活性剤、スルホコハク酸系活性剤、タウレート系活性剤、糖系界面活性剤等が挙げられ、非イオン性界面活性剤としては、エステル型、エーテル型、エーテルエステル型、アルカノールアミド型、アルキレングリコール型等の非イオン界面活性剤が挙げられ、両性界面活性剤としては、イミダゾリン型、ベタイン型、アシルアミノ酸型等の両性界面活性剤が挙げられる。
油剤としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、トール油、ラノリン脂肪酸等の天然脂肪酸、カプロン酸等の合成脂肪酸、ジステアリン酸グリコール等のエステル油等が挙げられる。
増粘剤としては、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸等の天然高分子、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の半合成高分子、カルボマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体等のアクリル酸系ポリマー等の合成高分子等が挙げられる。
保湿剤としては、L−アルギニン、アラニン、グリシン等のアミノ酸、ベタイン、ピロリドンカルボン酸、セラミド、リン脂質等の保湿性を有する脂質類、アロエ、オトギリソウ、オクラ等の保湿効果を有する植物抽出物、ヨーグルト、ハチミツ等の天然物及びその抽出物や分画物等が挙げられる。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物の剤型は問わず、固形状、液体状、粉末状、ペースト状、ジェル状等の様々な剤型にすることができる。
本発明の洗浄剤組成物は、例えば、洗顔料、ボディソープ、ボディシャンプー、シャワージェル等の全身洗浄料、ハンドソープ、ヘアシャンプー、食器用洗浄剤、液体洗濯洗剤等に好適に用いることができる。
また、これらの洗浄剤組成物は、泡立ての目安となる容器色や透明な容器を使用した場合においても好適に用いることができる。
【0034】
[洗浄剤組成物の製造方法]
本発明の洗浄剤組成物の製造方法は、色素を含有する粉体と、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン及びその誘導体から選ばれる1種以上の(B)成分の溶液とを混合し造粒して得た前記の色素顆粒を、洗浄剤と混合する工程を有する。
色素顆粒の製造方法は前記のとおりである。
色素顆粒と洗浄剤の混合方法に特に制限はなく、例えば、洗浄剤中に該色素顆粒を直接投入後、ホモミキサー等を用いて攪拌することにより、容易に調製することができる。
【0035】
上述した実施の形態に関し、本発明は以下の洗浄剤組成物、及び洗浄剤組成物の製造方法を開示する。
<1> 水不溶性色素(A)10〜95質量%、並びにポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルピロリドン誘導体から選ばれる2種以上(B)を含有する色素顆粒を、配合してなる洗浄剤組成物。
【0036】
<2> 水不溶性色素(A)の含有量が、好ましくは12質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは18質量%以上であり、また好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である、前記<1>に記載の洗浄剤組成物。
<3> 水不溶性色素(A)の含有量が、12〜90質量%、好ましくは15〜85質量%、更に好ましくは18〜80質量%である、前記<1>又は<2>に記載の洗浄剤組成物。
<4> (B)成分が、20℃における4%水溶液のB型粘度計により測定した粘度が、好ましくは15mPa・s以上、より好ましくは18mPa・s以上、更に好ましくは20mPa・s以上であるポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体から選ばれる1種以上(b1)と、20℃における4%水溶液の粘度が好ましくは15mPa・s未満、より好ましくは13mPa・s未満、更に好ましくは11mPa・s未満であるポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンから選ばれる1種以上(b2)を含む、前記<1>〜<3>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<5> (B)成分が、前記ポリビニルアルコール誘導体(b1)と前記ポリビニルアルコール(b2)の組み合わせ、前記ポリビニルアルコール誘導体(b1)と前記ポリビニルピロリドン(b2)の組み合わせ、前記ポリビニルアルコール(b1)と前記ポリビニルピロリドン(b2)の組み合わせのいずれかを含む、前記<4>に記載の洗浄剤組成物。
<6> [(b1)/(b2)]の配合質量比が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上であり、また、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下である、前記<4>又は<5>に記載の洗浄剤組成物。
【0037】
<7> 色素顆粒中の(B)成分であるポリビニルアルコール誘導体が、アニオン変性ポリビニルアルコール誘導体及びカチオン変性ポリビニルアルコール誘導体から選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>〜<6>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<8> アニオン変性ポリビニルアルコール誘導体が、カルボン酸変性ポリビニルアルコール、ウンデシレン酸変性ポリビニルアルコール、及びスルホン酸変性ポリビニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上である、前記<7>に記載の洗浄剤組成物。
<9> カチオン変性ポリビニルアルコール誘導体が、アンモニウム変性ポリビニルアルコール、スルホニウム変性ポリビニルアルコール、及びアミノ基変性ポリビニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上である、前記<7>に記載の洗浄剤組成物。
<10> 色素顆粒中の(B)成分の含有量が、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である前記<1>〜<9>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<11> (B)成分の含有量が、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である、前記<1>〜<10>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<12> 色素顆粒中における、エタノール及び多価アルコールから選ばれるアルコール(C)の含有量が0〜5質量%である、前記<1>〜<11>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<13> 色素顆粒の平均粒径が、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは50μm以上であり、また、好ましくは1500μm以下、より好ましくは900μm以下、更に好ましくは800μm以下である、前記<1>〜<12>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【0038】
<14> 色素顆粒が、水不溶性粉体を含有する、前記<1>〜<13>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<15> 浄剤組成物中の色素顆粒の含有量が、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、前記<1>〜<14>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<16> 洗浄剤組成物中の色素濃度が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.007質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である、前記<1>〜<15>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<17> 洗浄剤組成物の5倍希釈液の電気伝導率が、好ましくは0.1S/m以上、より好ましくは0.2S/m以上、更に好ましくは0.3S/m以上、より更に好ましくは0.5S/m以上であり、また好ましくは1.7S/m以下、より好ましくは1.5S/m以下、更に好ましくは1.0S/m以下、より更に好ましくは0.8S/m以下である、前記<1>〜<16>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<18> 水不溶性色素(A)を含有する粉体と(B)成分の溶液とを混合して造粒した後、乾燥して得た色素顆粒を、洗浄剤と混合する工程を有する、前記<1>〜<17>のいずれかに記載の洗浄剤組成物の製造方法。
【実施例】
【0039】
以下の実施例及び比較例において、特記しない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
なお、色素顆粒の平均粒径の測定は、以下の方法により行った。
<色素顆粒の平均粒径の測定>
JIS Z 8801−1(2000年5月20日制定、2006年11月20日最終改正)規定の2000、1400、1000、710、500、355、250、180、125、90、63、45μmの12段の篩と受け皿を用いて、受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ね、最上部の2000μmの篩の上から100gの粒子を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機(HEIKO製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、5分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留した当該粒子の質量を測定し、各篩上の当該粒子の質量割合(%)を算出する。受け皿から順に目開きの小さな篩上の当該粒子の質量割合を積算していき、合計が50%となる粒径を平均粒径とした。
【0040】
製造例1(色素顆粒(1)の製造)
撹拌造粒機のFM−20型ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製、容量20L)に、コーンスターチ(商品名:日本薬局方トウモロコシデンプン、松谷化学工業株式会社製)0.8kg及び色素(商品名:赤色226号、癸巳化成株式会社製)1.2kgを仕込み、撹拌羽根の回転数900rpm(撹拌羽根の先端周速度:14m/s)の条件下で5分間混合した。ここに、ポリビニルアルコール誘導体(商品名:KM−118、株式会社クラレ製、マレイン酸変性PVA、平均分子量8万、20℃における4%水溶液粘度30mPa・s)10質量部を精製水90質量部に溶解した10%水溶液210gと共に、ポリビニルピロリドン(商品名:K−15、International Specialty Products, Inc. 製PVP、20℃における4%水溶液粘度5mPa・s)10質量部を精製水90質量部に溶解した10%水溶液630g(温度40℃)を混合して添加し、6分間撹拌を行い、100℃の熱風で30分間乾燥し、篩による分級を行って、表1、2、3及び5に示す平均粒径を有する色素顆粒(1)(色素分58%)を得た。
【0041】
製造例2〜3、10、11、16〜20(色素顆粒(2)〜(3)、(10)、(11)、(16)〜(20)の製造)
製造例1において、表に示す(B)成分又は色素の配合組み合わせと組成割合に変えた以外は、製造例1と同様にして、平均粒径300μmの色素顆粒(2)〜(3)、(10)、(11)、(16)〜(20)を得た。
【0042】
製造例4(色素顆粒(4)の製造)
(B)成分として、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールEG−05、日本合成化学工業株式会社製、平均分子量約12万、20℃における4%水溶液粘度44mPa・s)10質量部を精製水90質量部に溶解した10%水溶液630gと共に、ポリビニルアルコール誘導体(商品名:KM−118、株式会社クラレ製、マレイン酸変性PVA、平均分子量8万、20℃における4%水溶液粘度30mPa・s)10質量部を精製水90質量部に溶解した10%水溶液210g(温度40℃)を添加して用いたこと以外は、製造例1と同様にして、平均粒径300μmの色素顆粒(4)を得た。
【0043】
製造例5(色素顆粒(5)の製造)
(B)成分として、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールEG−40、日本合成化学工業株式会社製、平均分子量約3万、20℃における4%水溶液粘度5mPa・s)10質量部を精製水90質量部に溶解した10%水溶液210gと共に、ポリビニルピロリドン(商品名:K−15、International Specialty Products, Inc. 製PVP、20℃における4%水溶液粘度5mPa・s)10質量部を精製水90質量部に溶解した10%水溶液630g(温度40℃)を添加して用いたこと以外は、製造例1と同様にして、平均粒径300μmの色素顆粒(5)を得た。
【0044】
製造例6〜9(色素顆粒(6)〜(9)の製造)
(B)成分として、ポリビニルアルコール誘導体(商品名:KM−118、株式会社クラレ製、マレイン酸変性PVA、平均分子量8万、20℃における4%水溶液粘度30mPa・s)もしくは、ポリビニルピロリドン(商品名:K−15、International Specialty Products, Inc. 製PVP、20℃における4%水溶液粘度5mPa・s)、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールEG−40、日本合成化学工業株式会社製、平均分子量約12万、20℃における4%水溶液粘度44mPa・s)、(商品名:ゴーセノールEG−05、日本合成化学工業株式会社製、平均分子量約3万、20℃における4%水溶液粘度5mPa・s)のいずれかの10質量部を精製水90質量部に溶解した10%水溶液840g(温度40℃)を添加して用いたこと以外は、製造例1と同様にして、平均粒径300μmの色素顆粒(6)〜(9)を得た。
【0045】
製造例12〜14(色素顆粒(12)〜(14)の製造)
撹拌造粒機のFM−20型ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製、容量20L)に、コーンスターチ(商品名:日本薬局方トウモロコシデンプン、松谷化学工業株式会社製)を所定の量((12)0.76kg、(13)0.71kg、(14)0.63kg)及び色素(商品名:赤色226号、癸巳化成株式会社製)1.2kgを仕込み、撹拌羽根の回転数900rpm(撹拌羽根の先端周速度:14m/s)の条件下で5分間混合した。ポリビニルアルコール誘導体(商品名:KM−118、株式会社クラレ製、マレイン酸変性PVA、平均分子量8万、20℃における4%水溶液粘度30mPa・s)10質量部を精製水90質量部に溶解した10%水溶液210gと共に、ポリビニルピロリドン(商品名:K−15、International Specialty Products, Inc. 製PVP、20℃における4%水溶液粘度5mPa・s)10質量部を精製水90質量部に溶解した10%水溶液630g(温度40℃)を混合し、さらに濃グリセリンを所定量((12)42g、(13)84g、(14)168g)を添加し、6分間撹拌を行い、100℃の熱風で30分間乾燥し、篩による分級を行って、平均粒径300μmの色素顆粒(12)〜(14)を得た。
【0046】
製造例15(色素顆粒(15)の製造)
(B)成分として、ポリビニルアルコール誘導体(商品名:CM−318、株式会社クラレ製、アミノ基変性PVA、20℃における4%水溶液粘度22mPa・s)10質量部を精製水90質量部に溶解した10%水溶液210gと共に、ポリビニルピロリドン(商品名:K−15、International Specialty Products, Inc. 製PVP、20℃における4%水溶液粘度5mPa・s)10質量部を精製水90質量部に溶解した10%水溶液630g(温度40℃)を添加して用いたこと以外は、製造例1と同様にして、平均粒径300μmの色素顆粒(15)を得た。
【0047】
製造例21(色素顆粒(21)の製造)
製造例1において、色素(商品名:赤色226号、癸巳化成株式会社製)をβ−カロテンに代えた以外は、製造例1と同様にして、平均粒径300μmの色素顆粒(21)を得た。
製造例22(色素顆粒(22)の製造)
製造例1において、色素(商品名:赤色226号、癸巳化成株式会社製)を黒酸化鉄に代えた以外は、製造例1と同様にして、平均粒径300μmの色素顆粒(22)を得た。
【0048】
製造例23(色素顆粒(23)の製造)
色素1kg(商品名:赤色226号)、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールEG−40、日本合成化学工業株式会社製、平均分子量約12万、20℃における4%水溶液粘度44mPa・s)の10%水溶液0.2kg、ポリビニルアルコール誘導体(商品名:ゴーセネックスT−330H、日本合成化学工業株式会社製、平均分子量約10万、20℃における4%水溶液粘度30mPa・s)の10%水溶液0.3kg、ポリビニルピロリドン(商品名:K−15)の10%水溶液0.5kgコーンスターチ0.9kgを用い、製造例1と同様にして、平均粒径400μmの色素顆粒(23)(色素分50%)を得た。
製造例24(色素顆粒(24)の製造)
卓上ミキサー(商品名:パナソニック MX−X61−W、パナソニック株式会社製)に色素65g(商品名:赤色226号)とコーンスターチ32gを入れ、5分間攪拌後、ポリビニルアルコール誘導体(商品名:KM−118)の10%水溶液15gとポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールEG−05、日本合成化学工業株式会社製、平均分子量約3万、20℃における4%水溶液粘度5mPa・s)の10%水溶液15gを混合し、ミキサー内に滴下しながら攪拌し、造粒物を得た。得られた造粒物を100℃の熱風で30分間乾燥し、篩による分級を行って、平均粒径300μmの色素顆粒(24)(色素分65%)を得た。
【0049】
製造例25(色素顆粒(25)の製造)
色素78g(商品名:赤色226号)、コーンスターチ20g、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールEG−40)の10%水溶液10gとポリビニルピロリドン(商品名:K−15)の10%水溶液10gを用い、製造例24と同様にして、平均粒径600μmの色素顆粒(25)(色素分78%)を得た。
製造例26(色素顆粒(26)の製造)
色素30g(商品名:赤色226号)、コーンスターチ66g、ポリビニルアルコール(商品名:KM−118)の10%水溶液15gと、ポリビニルピロリドン(商品名:K−15)の10%水溶液25gを用い、製造例24と同様にして、平均粒径150μmの色素顆粒(26)(色素分30%)を得た。
【0050】
実施例1〜26及び比較例1〜12(ボディソープ)
前記製造例で得られた色素顆粒を用いて、表1〜表5に記載の配合組成よりなるボディソープを常法により調製し、下記の評価を行った。結果を表1〜表5に示す。
【0051】
<5倍希釈溶液の電気伝導率の測定>
洗浄剤組成物を10g分取し、精製水を40g加え、均一攪拌した溶液又は粘性液を試料として、電気伝導率計(EC METER CM−60G、東亜DKK株式会社製)を用いて25℃の条件下における伝導率を測定した。
【0052】
<測色計による評価>
(1)洗浄剤の色の評価
実施例及び比較例で得られたボディソープ1gを測色計(コニカミノルタオプティクス株式会社製、D65光源)で測色し、前記式(1)により色差ΔEを算出した。
(2)泡色の評価
実施例及び比較例で得られたボディソープ1gに、水道水(40℃)を9g加えて攪拌部にネットを装着した泡立て器(パナソニック ハンドミキサー MK−H4−W、パナソニック株式会社製)で30秒間泡立てを行ない、50mLガラス容器に泡を充填後、測色計(コニカミノルタオプティクス株式会社製、D65光源)で測色し、前記式(1)により色差ΔEを算出した。
【0053】
<パネラーによる官能評価>
パネラー(5人)に、実施例及び比較例で得られたボディソープを通常の使用方法で使用してもらい、「手に取ったときの外観」、「泡立てた泡の泡色」、「使用時の泡立ち」、「泡が発色するまでにかかる時間」について、下記の各評価基準に従って官能評価を行ない、パネラー5名の平均点を求めた。
なお、「使用時の泡立ち」についてはコントロール洗浄剤組成物(比較例1)のボディソープを使用した場合との比較により評価した。
(1)手に取ったときの外観の評価
4:通常の洗浄剤である。
3:洗浄剤原液(バルク)の液色は、ほんのり色づく程度で、躊躇なく使用できる。
2:洗浄剤原液(バルク)の液色は、やや濃く、使えないこともないが、少し躊躇がある。
1:洗浄剤原液(バルク)の液色が濃すぎて使いたくない。
(2)泡立てた泡の泡色の評価
5:泡に均一に非常に濃い色づきが見られる。
4:泡に均一に濃い色づきが見られる。
3:泡が薄く色づくことが見てとれる。
2:よく見ると泡に色がついていることが分かる。
1:泡色は真っ白である。
(3)使用時の泡立ちの評価
4:泡立ちがとても良い。
3:泡立ちが良い。
2:泡立ちが悪い。
1:泡立ちがとても悪い。
(4)泡が発色するまでにかかる時間
洗浄剤を手にとり、泡立てを開始した時間を測定開始点(始点)とし、基準色(a*=3)を提示し、基準色と同等の色になったら申告してもらい、その申告の時点を測定終了点(終点)とした。始点から終点までの時間を泡が発色するまでにかかる時間として平均値を算出した。
5:10秒以内
4:11〜30秒
3:31〜60秒
2:61〜90秒
1:91秒以上
×:標準色(a*=3)まで至らない
【0054】
<安定性評価>
(1)色素顆粒の配合安定性
実施例及び比較例で用いた色素顆粒を、洗浄剤組成物に配合する際の安定性について、下記の基準で視覚評価を行った。
3:問題なく配合できる。
2:配合時に顆粒から色素の染み出しが見られるが、経時で変化することはない。
1:配合時に色素の染み出しがあり、経時で粒径や製剤の色調に変化がある。
(2)保存安定性
実施例及び比較例で得られたボディソープを、45℃の恒温槽に2週間保存し、製剤の保存安定性(分離や顆粒・色調の均一性)について、下記の基準で視覚評価を行った。
3:安定である。
2:製剤の粘度が低下する傾向にあるが、外観上変化は見られない。
1:製剤が分離する、顆粒が沈降、浮上する、色むらが生じる等の変化がある。
【0055】
【表1】
【0056】
表1から明らかなように、実施例1〜5のボディソープは、製剤自体の着色は抑えられ、使用時の泡の着色性、泡立ち、泡への発色にかかる時間、また安定性の全ての点において優れた性能を示していた。一方、色素を顆粒化せずに配合した比較例8〜11と、水溶性色素を用いた色素顆粒を配合した比較例12のボディソープは、いずれも製剤自体が濃く着色され過ぎており、保存安定性にも劣るものであった。また、色素顆粒中の色素量が5質量%と少ない比較例6及び7のボディソープは、泡の着色性が不十分であった。
【0057】
【表2】
【0058】
表2から明らかなように、実施例1、及び6〜9のボディソープは、いずれも製剤自体の着色は抑えられ、使用したときの泡の着色性、泡立ち、安定性に優れた性能を示していたが、色素顆粒に含まれる濃グリセリンが増加すると、色素顆粒の安定性に影響が出ることが予測された。
【0059】
【表3】
【0060】
表3から明らかなように、5倍希釈用液の電気伝導率が高くなりすぎると、使用時における色素顆粒の易崩壊性に影響が出ることが予測された。
【0061】
【表4】
【0062】
表4から明らかなように、色素顆粒に用いられる(B)成分は、洗浄剤中での顆粒の安定性と使用時の崩壊性を効率よく制御するには、[(b1)/(b2)]の配合質量比が影響することが分かった。
【0063】
【表5】
【0064】
表5から明らかなように、実施例18〜26のボディソープは、いずれも製剤自体の着色は抑えられ、使用したときの泡の着色性、泡立ち、安定性に優れた性能を示していた。
【0065】
実施例27(ヘアシャンプー)
常法により下記組成のヘアシャンプーを調製(pH6/25℃)し、前記と同様の評価を行ったところ、製剤自体の着色は抑えられ、使用したときの泡への着色性、製剤を手に取ったときの外観の印象、泡立ち、安定性のいずれにも優れた結果を得た。また、実施例27で得られた5倍希釈溶液の電気伝導率は0.533S/mであった。

(成分名) 配合量(質量%)
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 5.0
POE(3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム 5.0
ヒドロキシアルキルヒドロキシエチルサルコシン 5.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ラウリン酸モノイソプロパノールアミド 1.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
POEセチルエーテル 1.0
(商品名:N−BC−15TX、日本サーファクタント工業株式会社製)
カチオン化セルロース 0.2
(商品名:レオガードGP、ライオン株式会社製)
カチオン化ファヌグリークガム 0.2
(商品名:カチナールCF−100、東邦化学工業株式会社製)
エデト酸二ナトリウム 0.2
フェノキシエタノール 0.2
安息香酸ナトリウム 0.4
(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/アクリル酸カルボキシ
エチルアンモニウム)クロスポリマー 0.2
(商品名:Aristoflex TAC 、クラリアント社製)
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 0.5
(商品名:マーコート550、カルゴン社製)
グリチリチン酸二カリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
クエン酸 適 量
ニンジンエキス 0.1
(商品名:ニンジン抽出液BG、丸善製薬株式会社製)
オウバクエキス 0.1
(商品名:オウバクリキッドB、一丸ファルコス株式会社製)
オリーブ油 0.1
ジメチコノール 1.0
メントール 0.1
色素顆粒(製造例23により顆粒中色素分50%に調製したもの) 0.2
香料 適 量
精製水 残 余
【0066】
実施例28(ヘアシャンプー)
常法により下記組成のヘアシャンプーを調製(pH6/25℃)し、前記と同様の評価を行ったところ、製剤自体の着色は抑えられ、使用したときの泡への着色性、製剤を手に取ったときの外観の印象、泡立ち、安定性のいずれにも優れた結果を得た。また実施例28で得られた5倍希釈溶液の電気伝導率は0.702S/mであった。

(成分名) 配合量(質量%)
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 3.0
ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム液 3.0
ジプロピレングリコール 4.0
ラウリン酸モノイソプロパノールアミド 1.0
ジステアリン酸エチレングリコール 1.5
セルロース誘導体 0.3
(商品名:カチナールHC−200、東邦化学工業株式会社製)
エデト酸二ナトリウム 0.2
パラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.1
安息香酸ナトリウム 0.4
カルボマー 2.0
(商品名:Carbopol Aqua SF−2、アクゾノーベル社製)
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 2.0
(商品名:マーコート550、オンデオ ナルコ社製)
グリチリチン酸二カリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
クエン酸 適 量
ハチミツ 0.1
加水分解シルク液 0.1
(商品名:プロモイスシルク−1000、株式会社成和化成製)
ムラサキセンブリエキス 0.1
(商品名:ムラサキセンブリ抽出液、丸善製薬株式会社製)
ジメチコン水性エマルジョン 0.5
(商品名:BY22−083、東レ・ダヴコーニング・シリコーン社製)
色素顆粒(製造例24により顆粒中色素分65%に調製したもの) 0.1
黄色4号 0.0002
香料 適 量
精製水 残 余
【0067】
実施例29(ボディシャンプー)
常法により下記組成のボディシャンプーを調製(pH6/25℃)し、前記と同様の評価を行ったところ、製剤自体の着色は抑えられ、使用時の泡への着色性、製剤を手に取ったときの外観の印象、泡立ち、安定性のいずれにも優れた結果を得た。また実施例29で得られた5倍希釈溶液の電気伝導率は0.688S/mであった。

(成分名) 配合量(質量%)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
ラウリル硫酸トリエタノールアミン 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 3.0
N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミン 0.5
POEセチルエーテル 1.0
(商品名:N−BC−10TX、日本サーファクタント工業株式会社製)
ラウリン酸モノイソプロパノールアミド 1.0
POEセトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル 0.1
(商品名:エルファコスGT282S、アクゾ社製)
カルボマー 1.5
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 1.0
(商品名:マーコート550、ナルコ社製)
エデト酸二ナトリウム 0.2
サリチル酸 0.1
パラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.2
オリーブ油 0.2
アルモンド油 0.1
ジメチコノール(100mm2/s;25℃) 1.2
キウイエキス 0.1
(商品名:キウイ抽出液、香栄興業株式会社製)
クエン酸 適 量
色素顆粒(製造例1により顆粒中色素分58%に調製したもの) 0.1
香料 適 量
精製水 残 余
【0068】
実施例30(ボディソープ)
常法により下記組成のボディソープを調製(pH9/25℃)し、前記と同様の評価を行ったところ、製剤自体の着色は抑えられ、使用時の泡への着色性、製剤を手に取ったときの外観の印象、泡立ち、安定性のいずれの特性にも優れた結果を得た。また実施例30で得られた5倍希釈溶液の電気伝導率は0.797S/mであった。

(成分名) 配合量(質量%)
ラウリン酸 8.0
ミリスチン酸 5.0
パルミチン酸 5.0
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 5.0
パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン 1.0
グァーガム誘導体 0.1
(商品名:カチナールCG−100、東邦化学工業株式会社製)
アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム
共重合体液 1.0
(商品名:マーコートプラス3330、ナルコ社製)
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 1.0
(商品名:マーコート550、ナルコ社製)
カルボマー 2.5
(商品名:Carbopol Aqua SF−1)
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
加水分解コンキオリン 0.1
(商品名:真珠たん白抽出液BG−J、丸善製薬株式会社製)
モモ葉エキス 0.1
(商品名:モモ抽出液、丸善製薬株式会社製)
アセロラエキス 0.2
(商品名:ニチレイ・アセロラエキスWB、ニチレイバイオサイエンス社製)
プロピレングリコール 2.0
グリセリン 10.0
エデト酸二ナトリウム 0.2
フェノキシエタノール 0.1
ジメチコノール 0.5
(商品名:YF3802A 、モメンティブ社製、80,000mm2/s;25℃)
水酸化カリウム 適 量
色素顆粒(製造例23により顆粒中色素分50%に調製したもの) 0.1
香料 適 量
精製水 残 余
【0069】
実施例31(洗顔料)
常法により下記組成の洗顔料を調製(pH9/25℃)し、前記と同様の評価を行ったところ、製剤自体の着色は抑えられ、使用時の泡への着色性、製剤を手に取ったときの外観の印象、泡立ち、安定性のいずれにも優れた結果を得た。また実施例31で得られた5倍希釈溶液の電気伝導率は0.590S/mであった。

(成分名) 配合量(質量%)
ラウリン酸 5.0
ミリスチン酸 20.0
ステアリン酸 2.0
ヒドロキシアルキルヒドロキシエチルアラニン 5.0
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 2.0
POEセチルエーテル 1.0
イソステアリン酸グリセリン 1.0
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 1.0
アクリルアミド・アクリル酸・
塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体液 1.0
(商品名:マーコートプラス3330、ナルコ社製)
ジステアリン酸エチレングリコール 1.0
グリセリン 30.0
フェノキシエタノール 0.1
オトギリソウエキス 0.1
(商品名: オトギリソウ抽出液、香栄興業株式会社製)
ローヤルゼリーエキス 0.1
(商品名:ローヤルゼリー抽出液B、池田糖化工業株式会社製)
黒砂糖エキス 0.1
グレープフルーツエキス 0.1
(商品名:ファルコレックス グレープフルーツB、一丸ファルコス株式会社製)
ジオウエキス 0.1
(商品名:ファルコレックス ジオウB、一丸ファルコス株式会社製)
水酸化カリウム 適 量
色素顆粒(製造例25により顆粒中色素分78%に調製したもの) 0.3
香料 適 量
精製水 残 余
【0070】
実施例32(洗顔料)
常法により上記組成の洗顔料を調製(pH6/25℃)し、前記と同様の評価を行ったところ、製剤自体の着色は抑えられ、使用時の泡への着色性、製剤を手に取ったときの外観の印象、泡立ち、安定性のいずれにも優れた結果を得た。また実施例32で得られた5倍希釈溶液の電気伝導率は0.415S/mであった。

(成分名) 配合量(質量%)
ミリストイルグルタミン酸カリウム 6.0
ココイルグリシンカリウム 6.0
PEG−400 15.0
PEG−20 5.0
ヒドロキシアルキルヒドロキシエチルアラニン 2.0
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 1.0
ヒドロキシプロピルセルロース 0.2
POEセチルエーテル 1.0
イソステアリン酸グリセリン 1.0
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 1.0
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 1.0
(商品名:マーコート550、ナルコ社製)
1,3−ブチレングリコール 5.0
グリセリン 10.0
カオリン 5.0
タルク 5.0
フェノキシエタノール 0.1
オトギリソウエキス 0.1
(商品名: オトギリソウ抽出液、香栄興業株式会社製)
ローヤルゼリーエキス 0.1
(商品名:ローヤルゼリー抽出液B、池田糖化工業株式会社製)
黒砂糖エキス 0.1
(商品名:コクトオリゴピュアIII、山川貿易株式会社製)
グレープフルーツエキス 0.1
(商品名:ファルコレックス グレープフルーツB、一丸ファルコス株式会社製)
アンズ果汁 0.1
(商品名:アプリコットエキス、エスペリス社製)
水酸化カリウム 適 量
色素顆粒(製造例26により顆粒中色素分30%に調製したもの) 0.05
香料 適 量
精製水 残 余
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の洗浄剤組成物は、豊かな泡立ちと製剤安定性を両立すると共に、利用者の使用動機を損なうことなく、泡への十分な着色性を発揮し、泡への着色時間を容易に制御することができるため、利用者の用途に応じた心地よい使用感と好適な使用形態を提供することができる。