特許第6318085号(P6318085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6318085
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】電気接続箱の排水構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20180416BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20180416BHJP
【FI】
   H02G3/16
   B60R16/02 610B
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-260517(P2014-260517)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-123163(P2016-123163A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】奥村 雅和
(72)【発明者】
【氏名】鏡 聡則
(72)【発明者】
【氏名】小田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】吉川 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 聡史
(72)【発明者】
【氏名】小牧 和也
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−003851(JP,A)
【文献】 特開2012−170310(JP,A)
【文献】 特開平09−204952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
別体の取付体が重ね合わされて組み付けられる取付面を有する電気接続箱本体を備え、
電気接続箱本体の前記取付面に開口部が貫設され、前記電気接続箱本体の回路基板に突設された本体側コネクタが前記開口部を通じて外部に突出しており、
前記取付体を前記電気接続箱本体に重ね合わされて組み付けることにより前記本体側コネクタと前記取付体側コネクタが接続される電気接続箱の排水構造であって、
前記電気接続箱本体は、前記本体側コネクタが前記開口部から水平方向に突出するように車両に搭載されるようになっている一方、
前記本体側コネクタは、前記回路基板に接続された端子と、該端子が収容配置されるハウジングを有し
前記ハウジングの上壁が、前記本体側コネクタの突出端部から前記回路基板に亘って前記端子を上方から覆蓋していると共に、前記上壁の上面が少なくとも一方の側縁部に向かって下方に傾斜する下方傾斜面を含む
ことを特徴とする電気接続箱の排水構造。
【請求項2】
前記下方傾斜面が、前記ハウジングの前記上壁の上面の幅方向中央部分から幅方向両側の前記側縁部に向かってそれぞれ下方に傾斜する一対の前記下方傾斜面を含んでいる請求項1に記載の電気接続箱の排水構造。
【請求項3】
前記下方傾斜面は、前記上壁の上面の前記側縁部に至るまで傾斜していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気接続箱の排水構造。
【請求項4】
前記ハウジングの下壁には、排水穴が貫設されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電気接続箱の排水構造。
【請求項5】
前記端子の複数が前記開口部の幅方向に広がって整列配置されている一方、前記ハウジングの前記下壁に貫設された前記排水穴が、前記端子の前記整列方向の全長に亘ると共に前記整列方向の両端に位置する前記端子を超えた範囲に広がり、且つ前記回路基板側に開口して設けられている請求項に記載の電気接続箱の排水構造。
【請求項6】
前記ハウジングの前記上壁の両前記側縁部には、前記上壁の基端部から突出端部に至らない長さで延出するハウジング固定部が突設されている一方、前記ハウジングの前記上壁の前記突出端部の両前記側縁部側には、上方に向かって突出する突壁が設けられており、前記突壁と前記ハウジング固定部の間に位置する前記上壁の突出側縁部が、前記電気接続箱本体の前記取付面よりも外方に突出している請求項1〜の何れか1項に記載の電気接続箱の排水構造。
【請求項7】
電気接続箱本体と該電気接続箱本体の取付面に重ね合わされて組み付けられる別体の取付体とを備え、
前記電気接続箱本体の前記取付面に開口部が貫設され、該開口部を通じて前記電気接続箱本体の回路基板に突設された本体側コネクタが外部に突出している一方、前記取付体の重ね合わせ面に取付体側コネクタが突設されており、
前記取付体を前記電気接続箱本体に重ね合わされて組み付けることにより前記本体側コネクタと前記取付体側コネクタが接続されるようになっている電気接続箱の排水構造であって、
前記電気接続箱本体は、前記本体側コネクタが前記開口部から水平方向に突出するように車両に搭載されるようになっている一方、
前記本体側コネクタは、前記回路基板に接続された端子と、該端子が収容配置されるハウジングを含んで構成されており、
前記ハウジングの上壁が、前記本体側コネクタの突出端部から前記回路基板に亘って広がって前記端子を上方から覆蓋していると共に、前記上壁の上面が少なくとも一方の側縁部に向かって下方に傾斜する下方傾斜面によって構成され、
前記ハウジングの下壁には、排水穴が貫設されている
ことを特徴とする電気接続箱の排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱本体に対して制御装置等の別体の取付体が組み付けられてコネクタ接続される電気接続箱の排水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等に搭載される電気接続箱には、例えば電子部品を実装した配線基板やバスバーを装着した絶縁基板等が収容されている。その一種として、例えば特開2008−172889号公報(特許文献1)に記載されているように、制御回路を収容したECU等の電子制御ユニットを別体の取付体として、この取付体を電気接続箱本体に対して着脱可能にしたものが知られている。このような電気接続箱によれば、電子制御ユニットを別体構造とすることによって、電子制御ユニットの交換や変更を容易に行うことが出来る等の利点がある。
【0003】
ところで、このような電気接続箱本体と取付体の組付構造体からなる電気接続箱には、電気接続箱本体の取付面とそこに重ね合わされる取付体の重ね合わせ面との対応する位置にそれぞれコネクタが設けられている。具体的には、電気接続箱本体の取付面に開口部が貫設され、かかる開口部を通じて内部の回路基板に突設された本体側コネクタの一部が外部に突出されている。取付体の重ね合わせ面には、取付体側コネクタが突設されている。そして、電気接続箱本体に取付体を組付ける際に本体側コネクタと取付体側コネクタを接続することにより、電気接続箱本体に設けられた電気回路と取付体に設けられた電気回路が相互に導通接続されるようになっている。
【0004】
ところが、このような従来構造の電気接続箱では、電気接続箱本体の取付面に開口部が設けられていることから、電気接続箱が被水した際にはかかる開口部を通じてコネクタの内部に水が浸入する可能性が考えられる。これに対して、電気接続箱本体の開口部は組み付けられた取付体によって外部から覆われることもあり、開口部からの浸水に対する具体的な排水構造が設けられていないのが現状であった。それ故、電気接続箱本体と取付体の対向面間を伝って電気接続箱本体の開口部まで至った水が、開口部から内部に浸入した際に本体側コネクタの端子が被水して内部回路がショートする等の不具合が発生するおそれがあったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−172889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題は、電気接続箱本体の開口部から内部に水が浸入した場合でも、本体側コネクタの端子が被水することを未然に防止することができる、新規な電気接続箱の排水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、別体の取付体が重ね合わされて組み付けられる取付面を有する電気接続箱本体を備え、電気接続箱本体の前記取付面に開口部が貫設され、前記電気接続箱本体の回路基板に突設された本体側コネクタが前記開口部を通じて外部に突出しており、前記取付体を前記電気接続箱本体に重ね合わされて組み付けることにより前記本体側コネクタと前記取付体側コネクタが接続される電気接続箱の排水構造であって、前記電気接続箱本体は、前記本体側コネクタが前記開口部から水平方向に突出するように車両に搭載されるようになっている一方、前記本体側コネクタは、前記回路基板に接続された端子と、該端子が収容配置されるハウジングを有し、前記ハウジングの上壁が、前記本体側コネクタの突出端部から前記回路基板に亘って前記端子を上方から覆蓋していると共に、前記上壁の上面が少なくとも一方の側縁部に向かって下方に傾斜する下方傾斜面を含むことを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、電気接続箱本体が車両に搭載された際に開口部から水平方向に突出する本体側コネクタのハウジングの上壁が、本体側コネクタの突出端部から回路基板に亘って広がって、端子が上方から覆蓋されている。これにより、電気接続箱本体の開口部から水が浸入しても、ハウジングの上壁が庇となって端子の被水を防止することができる。しかも、上壁の上面が少なくとも一方の側縁部に向かって下方に傾斜する下方傾斜面によって構成されていることから、ハウジングの上壁に水が浸入しても速やかに側縁部に導かれて下方に排水されるようになっている。
【0009】
なお、ハウジングの下壁には、排水穴が貫設されていてもよい。これにより、仮に水がハウジングの内部に浸入したとしても、重力に従って水が下方の排水穴から外部に速やかに排水され、水がハウジング内に溜まってショート等の不具合が発生することが未然に防止されている。
【0010】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記下方傾斜面が、前記ハウジングの前記上壁の上面の幅方向中央部分から幅方向両側の前記側縁部に向かってそれぞれ下方に傾斜する一対の前記下方傾斜面を含んでいるものである。
【0011】
本態様によれば、ハウジングの上壁の上面が、中央から両側側縁部に向かって下方傾斜する一対の下方傾斜面によって構成されていることから、ハウジングの上壁の何れの部位に水が流下されても速やかに下方に導き排水することができる。しかも、上壁の上面の最高部位と最低部位の離隔距離を小さく抑えることができることから、上壁全体の重量バランス等を保持することができ、成形時の樹脂のヒケ等の問題を未然に防止することができる。
【0012】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記端子の複数が前記開口部の幅方向に広がって整列配置されている一方、前記ハウジングの前記下壁に貫設された前記排水穴が、前記端子の前記整列方向の全長に亘ると共に前記整列方向の両端に位置する前記端子を超えた範囲に広がり、且つ前記回路基板側に開口して設けられているものである。
【0013】
本態様によれば、複数の端子の下方に位置するハウジングの下壁が、少なくとも基端部側で完全に無くされて排水穴が形成されていることから、仮に本体側コネクタの内部に水が浸入した場合でも、下壁に至った水が端子と接触することを未然に防止することができ、確実な排水とショート等の防止を促すことができる。
【0014】
本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記ハウジングの前記上壁の両前記側縁部には、前記上壁の基端部から突出端部に至らない長さで延出するハウジング固定部が突設されている一方、前記ハウジングの前記上壁の前記突出端部の両前記側縁部側には、上方に向かって突出する突壁が設けられており、前記突壁と前記ハウジング固定部の間に位置する前記上壁の突出側縁部が、前記電気接続箱本体の前記取付面よりも外方に突出しているものである。
【0015】
本態様によれば、ハウジングの上壁の下方傾斜により側縁部に集められた水は、ハウジング固定部で止水される。一方、上壁の突出端部には集水される側縁部側に突壁が設けられており上壁の突出端面からハウジングの内部に水が回り込んで浸入することが防止されている。その結果、上壁に付着した水は、突壁とハウジング固定部の間に位置する上壁の突出側縁部へと導かれ、突出側縁部に導かれた水が、電気接続箱本体の取付面外方に排水されるようになっている。これにより、開口部からハウジング内部や電気接続箱本体の内部への浸水が一層有利に防止され得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、開口部から水平方向に突出する本体側コネクタのハウジングの上壁が、本体側コネクタの突出端部から回路基板に亘って広がって、端子が上方から覆蓋されている。これにより、開口部から水が浸入しても、ハウジングの上壁が庇となって端子の被水を防止できる。しかも、上壁の上面が下方傾斜面によって構成されていることから、ハウジングの上壁に水が浸入しても速やかに側縁部に導かれて下方に排水される。さらに、ハウジングの下壁に排水穴が貫設されていることから、仮に水がハウジングの内部に浸入したとしても、重力に従って水が下方の排水穴から外部に速やかに排水され、水がハウジング内に溜まってショート等の不具合が発生することが未然に防止されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態としての電気接続箱の排水構造を有する電気接続箱の組立途中状態を示す斜視図。
図2図1に示す電気接続箱本体の斜視図。
図3図2に示す電気接続箱本体の分解斜視図。
図4図3に示す本体側コネクタの斜視図。
図5図3に示す回路基板に突設された本体側コネクタの平面図。
図6図3に示す回路基板に突設された本体側コネクタの底面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1〜6に、本発明の一実施形態に従う電気接続箱の排水構造を備えた電気接続箱10が示されている。電気接続箱10は、図1に示されているように、電気接続箱本体12と、開口部14を有する電気接続箱本体12の取付面16に重ね合わされて組み付けられる別体の取付体18を備えている。電気接続箱本体12は、図3に示されているように、アッパケース20とロアケース22により形成されており、それらの内部に回路基板24が収容されている。なお、以下の説明において、上方とは、図1中の上方、下方とは、図1中の上方を言うものとする。
【0020】
アッパケース20は、合成樹脂から形成された一体成形品とされており、下方に開口する略縦長矩形状の箱体形状とされている。図2〜3に示されているように、アッパケース20の上面には取付面16が形成されており、取付面16の長手方向の一端側(図2〜3中、右斜め上側)には、一端側に沿って延びる略横長矩形状の開口部14が貫設されている。一方、取付面16において、開口部14が設けられた一端側(図2中、右斜め上側)と長手方向に対向する他端側(図2中、左斜め下側)における幅方向の両端部には、一対の支持部26,26が設けられている。また、取付面16の一端側における側壁28の中央部には、外方に向かって突出する略三角断面形状の係合突起30(図3参照)が設けられている。
【0021】
ロアケース22は、合成樹脂から形成された一体成形品とされている。図2〜3に示されているように、ロアケース22は、平面視でアッパケース20と略同一形状を有し、上方に開口する略箱体形状とされている。
【0022】
回路基板24は、平面視でロアケース22と略同一の縦長矩形状を有する板形状とされている。回路基板24の中央部分には、例えばリレー32や抵抗34等の各種電気部品が適宜に設けられている(図3参照)。一方、回路基板24の長手方向の一端側(図3中、右斜め上側)には、上方に突出する略横長矩形状の本体側コネクタ36が、一端側に沿って配設されている。本体側コネクタ36は、図3に示されているように、回路基板24に接続され且つ取付体18と電気的に接続するための端子38と、略矩形筒状に形成されて端子38が収容配置される合成樹脂製のハウジング40を含んで構成されている。そして、端子38は、図2に示されているように、開口部14の幅方向に広がって整列するように配置されている。
【0023】
また、本体側コネクタ36は、その幅方向両端部において回路基板24に対して固定されている。すなわち、本体側コネクタ36は、図4 (図3) に示されているように、ハウジング40の上壁42の両側縁部において、基端部44から突出端部46に至らない長さで延出するハウジング固定部48のボルト孔50に、回路基板24の下面側から図示しないボルトを螺合することにより固定されている。さらに、ハウジング40の上壁42の突出端部46において、長手方向の両側縁部側には、上方に向かって突出する平板状の突壁52が設けられている。
【0024】
加えて、本体側コネクタ36では、図4に示されているように、ハウジング40の上壁42の上面54が、その幅方向中央部分から幅方向両側の側縁部に向かって(図4中、矢印で示す方向)それぞれ下方に向かって傾斜する一対の下方傾斜面56,56を含んで構成されている。また、ハウジング40の上壁42は、図5に示されているように、本体側コネクタ36の突出端部46から回路基板24に亘って広がって形成されている。これにより、回路基板24に立設された端子38がハウジング40の上壁42によって上方から覆蓋されるようになっている。一方、ハウジング40の下壁58には、図6に示されているように、回路基板24に向かって開口する底面視で略矩形状の排水穴60が貫設されている。かかる排水穴60は、端子38の整列方向(図6中、左右方向)の全長に亘って設けられていると共に、整列方向の両端に位置する端子38を超えた範囲にまで広がって構成されている。
【0025】
また、回路基板24の長手方向の他端側(図2中、左斜め下側)には、ヒューズモジュール62が設けられている。ヒューズモジュール62には、複数のヒューズ装着部64が、上下方向で2段に積層して、ヒューズモジュール62の長手方向に並列して形成されている。
【0026】
さらに、図2図3)に示されているように、回路基板24の長手方向に延びる両側の側縁部には、側方接続型コネクタ66が配設されている。側方接続型コネクタ66は、合成樹脂から形成されて電気接続箱10の側方に開口するコネクタ収容部材68に、複数の図示しない基板端子が挿通された構造とされている。そして、コネクタ収容部材68から回路基板24側の外方に突出された基板端子の端部が、回路基板24に向けてL字形状に屈曲されて、回路基板24に半田付けされることにより、回路基板24に形成された図示しないプリント配線と接続されるようになっている。
【0027】
このような構成とされた回路基板24が、アッパケース20とロアケース22の間に収容されることにより、電気接続箱本体12が構成されている。そして、かかる収容状態において、図2に示されているように、回路基板24に設けられた本体側コネクタ36が、取付面16に開口された開口部14を通して、外部すなわち取付面16上に突出されている。これにより、突壁52とハウジング固定部48の間に位置する上壁42の突出側縁部70(図2及び図4参照)が、取付面16よりも外方に突出されている。
【0028】
一方、取付体18は、ECU等の車両の電子制御ユニットであり、図1に示されているように、電気接続箱本体12に取り付けられ電気接続されることで、電気接続箱本体12から電源供給を受け、また、電気接続箱本体12内に実装されているリレー32等の電子部品の制御を行う。なお、本発明における電気接続箱10とは、ジャンクションブロックやヒューズボックス、リレーボックス等を含む。
【0029】
図1に示されているように、取付体18は、合成樹脂から形成されたケース72の内部に図示しない回路基板が収容された構造とされている。ケース72は、平面視で電気接続箱本体12の取付面16と略同一の矩形状とされており、取付体18の電気接続箱本体12への取付状態において、ケース72の底面74が取付面16への重ね合わせ面とされている。
【0030】
ケース72内に収容された回路基板には、図1に示されているように、電気接続箱本体12の回路基板24に設けられた本体側コネクタ36と接続する取付体側コネクタ76が設けられている。取付体側コネクタ76は、ケース72の長手方向の一端側(図1中、右方)に沿って延在しており、ケース72の底面74が電気接続箱本体12の取付面16に平行となるように対向させた状態で、本体側コネクタ36(図2参照)と対向する位置において、本体側コネクタ36に向かって突設されている。すなわち、取付体側コネクタ76は、取付体18の重ね合わせ面である底面74に突設されているのである。また、ケース72の長手方向の一端側の側壁78には、側壁78の上端部に片持ち状に接続された係合枠体80が下方に向かって突設されている。一方、ケース72の一端側に対向する他端側(図1中、左方)の両端部には、一対の回動部82,82が外方に向かって突設されている。
【0031】
上述の如き構造とされた電気接続箱本体12と取付体18の組み付けは、先ず、図1に示されているように、取付体18の底面74を電気接続箱本体12の取付面16と対向させた向きで、一対の回動部82,82を、電気接続箱本体12の一対の支持部26,26に挿入する。これにより、取付体18の他端側に設けた一対の回動部82,82と、取付面16の他端側に設けた一対の支持部26,26とによりヒンジ機構が構成される。すなわち、取付面16と取付体18の他端側が着脱可能なヒンジ機構を介して回動自在に組み付けられるのである。そして、一対の回動部82,82を回転中心として取付体18を回動させることにより、取付体18が電気接続箱本体12の取付面16に重ね合わされて組み付けられる。
【0032】
この結果、取付体18において一端側に設けられた係合枠体80が、電気接続箱本体12の同じく一端側に設けられた係合突起30(図3参照)に係合することにより、取付体18が電気接続箱本体12に固定されて、組み付けが完了する。かかる組み付け状態において、取付体18に設けられた取付体側コネクタ76が、取付面16に突出された本体側コネクタ36の内部に挿し入れられて、本体側コネクタ36内に配設された端子38が取付体側コネクタ76内に配設された図示しない雌端子と接続される。これにより、電気接続箱本体12の回路基板24と取付体18の回路基板が電気的に接続されるようになっている。また、電気接続箱本体12に設けられた側方接続型コネクタ66に対して、図示しないコネクタが接続されるようになっている。そして、このような構造とされた電気接続箱10は、電気接続箱本体12が、本体側コネクタ36が開口部14から水平方向に突出するように車両に搭載されるようになっている。
【0033】
このような本実施形態に従う電気接続箱10の排水構造によれば、ハウジング40の上壁42は、本体側コネクタ36の突出端部46から回路基板24に亘って広がって形成されている。これにより、電気接続箱10が車両に搭載された際に、回路基板24に立設された端子38がハウジング40の上壁42によって上方から覆蓋されるようになっている。それ故、開口部14から水が浸入しても、ハウジング40の上壁42が庇となることにより、端子38が被水することを防止することができるのである。しかも、ハウジング40の上壁42の上面54が、その幅方向中央部分から幅方向両側の側縁部に向かってそれぞれ下方に向かって傾斜する一対の下方傾斜面56,56から構成されていることから、上面54の何れの部位に被水したとしても速やかに下方に導き排水することができる。
【0034】
さらに、ハウジング40の下壁58は、回路基板24側において、端子38が立設された全領域に亘って切り欠かれることにより、排水穴60が貫設されている。すなわち、電気接続箱10が車両に搭載された際に、端子38の下方に位置するハウジング40の下壁58が回路基板24側で完全に無くされて排水穴60が形成されているのである。それ故、仮に本体側コネクタ36の内部に水が浸入したとしても、下壁58に水が溜まって端子38と接触することを未然に防止することができることから、確実な排水とショート等の防止を促すことができる。
【0035】
加えて、ハウジング40の上壁42の両側縁部にハウジング固定部48が設けられている一方、ハウジング40の上壁42の突出端部46の両側縁部に突壁52が設けられている。これにより、開口部14から水が浸入し、ハウジング40の上壁42に達したとしても、水は下方傾斜面56により両側縁部に集められた後、突壁52とハウジング固定部48の間に位置し且つ取付面16よりも外方に突出されている突出側縁部70から、外部に排水されるようになっている。それ故、開口部14からハウジング40内部や電気接続箱本体12内部への浸水が一層有利に防止され得るのである。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでない。例えば、上記実施形態の電気接続箱本体12や取付体18の構成は他の如何なる公知の構成も採用可能である。また、上記実施形態では、ハウジング40の上壁42の上面54が一対の下方傾斜面56,56から構成されているたが、一方の側縁部に向かって下方に傾斜する1つの下方傾斜面によって構成されていてもよい。
【0037】
さらに、上記実施形態では、ハウジング40の下壁58が回路基板24側において切り欠かれることにより排水穴60が貫設されていたが、ハウジング40の下壁58の突出端部側がさらに切り欠かれることにより排水穴が形成されていてもよい。また、上記実施形態では、ハウジング40の下壁58において、端子38の整列方向の全長に亘って設けられていたが、水が集まる整列方向の両端側のみに設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10:電気接続箱、12:電気接続箱本体、14:開口部、16:取付面、18:取付体、24:回路基板、36:本体側コネクタ、38:端子、40:ハウジング、42:上壁、44:基端部、46:突出端部、48:ハウジング固定部、52:突壁、54:上面、56:下方傾斜面、58:下壁、60:排水穴、70:突出側縁部、74:底面(重ね合わせ面)、76:取付体側コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6