特許第6318324号(P6318324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6318324
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】みじん切り装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/18 20060101AFI20180416BHJP
   A47J 43/20 20060101ALI20180416BHJP
【FI】
   B26D3/18 A
   A47J43/20
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-256806(P2016-256806)
(22)【出願日】2016年12月11日
【審査請求日】2017年6月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504115460
【氏名又は名称】藤井 信昭
(72)【発明者】
【氏名】藤井 信昭
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0061124(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0123623(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0326291(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/18
A47J 43/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床板の長手方向を3分するよう2箇所に段差を設け、前記段差はそれぞれが段差の隙間を有し前記2箇所の段差の隙間は同間隔Dであって、両方の段差の間の中間の床面が他の床面よりも段差の隙間分だけ低い床であって、前記中間の床面の中央位置に刃先が尖った両刃の刃を刃面が長手方向と平行になるよう且つ刃先を真上に向けて床幅いっぱいに横並びに同間隔Hの間隔をあけて林立させて設置した複数の直立刃を設け、前記2つの段差の隙間の高い方の床面の段差の上縁に床幅いっぱいの刃渡りの刃を刃面が高い方の床面と同一の平面になるよう且つ刃の向きをそれぞれ前記中間の床面方向に向けて設置した2つ水平刃を設けた刃付き床板と、材料の上部を捕捉して支持固定する保持手段と材料を垂直軸周りに4分の一回転させる回転手段とを有する材料保持部とで構成されており、前記複数の直立刃の刃渡りの床面から刃先までの垂直高さBが前記段差の隙間の間隔Dの少なくとも2倍より大きい刃渡りであることを特徴とするみじん切り装置であって、前記材料保持部に材料を投入し前記刃付き床板上を、両端の高い方の床面に来る度に材料を4分の一回転させる操作を入れつつ、往復移動させることにより、たてH×よこH×たかさDのサイズの粒のサイコロ状のみじん切りを段差の隙間を通して得るみじん切り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は玉ねぎ等の固形材料をみじん切りにする道具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玉ねぎをみじん切りにする方法として知られている人手による方法は、先ず玉ねぎを縦半分に切り、切り口を下にして置き、根元を切り離さないように繊維に沿って縦に数ミリ間隔で切り目を入れ、次に水平に2、3本切り込みを入れ、繊維と直角に細かく切っていき、粗くなってしまった分や最後に残ってしまった部分は、まとめてまな板上でトントと刻むやり方であったが、このやり方では、得られたみじん切りの粒は切り目の方向も形状も大きさも不揃いであった上、素手で玉ねぎと包丁を掴んで行うやり難い作業であり不慣れな子供や握力の少ない人には安全とは言えない作業であった。
【0003】
従来求められてきたことは、安全に確実に玉ねぎの繊維と直角な切り目で均一な形状の粒のみじん切りを得る器具の実現であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のやり方は、濡れた丸い形状の玉ねぎを手指で掴んでまな板上に押し付け、包丁を素手で持ち、玉ねぎに幾つも縦に平行な切り目と水平に平行な切り目とを入れる手作業であり、途中で玉ねぎが切り削がれて少なくなると、手指でしっかり掴んでいられなくなり根元を切り離してまな板上で滅多切りする作業に移るのが実際であり、得られた粒は、大半が切り目の方向も形状も大きさも不揃いであった。本発明は、前記従来のやり方の欠点を解決し、玉ねぎや刃物をじかに手で掴まずに安全に、材料を残らず繊維と直角な切り目で均一なサイコロ状の粒のみじん切りにする装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために、床板の長手方向を3分するよう2箇所に段差を設け、前記段差のそれぞれが段差のすき間を有し、両方の段差の間の床面が他の床面よりも段差のすき間分だけ低い床であって、前記中間の低い方の床面の中央位置に複数の先が尖った両刃の刃を刃面が長手方向と平行になるよう且つ矛先を真上に向け横並びに間隔をあけて設置して設け、前記2つの段差の縁に水平刃をそれぞれ中間の床方向に向けて設けた刃付き床板と、材料の上部を捕捉して支持固定する保持手段と材料を垂直軸周りに4分の1回転させる回転手段とを有する材料保持部とで、みじん切り装置を構成している。
【0006】
本発明は、上記構成によって、材料表面に縦の切り目を入れ次にその切り目の向きを4分の1回転させて横の切り目に変え、さらに縦の切り目を加え入れ、そのようにして縦横十文字に切り目が入った材料表面を切り削ぎ刃で切り削ぐことにより、材料をサイコロ状の均一な粒のみじん切りにする装置である。
【0007】
上記の構成要素の一つである前記切り目入れ刃は、刃渡りの長さが第1の段差のすき間の高さと第2の段差のすき間の高さの和よりも大きい刃である。また、前記切り目入れ刃同志は必ずしも真横に横並びである必要はなく、刃付き床板の長手方向と平行にずらして設けてもよい。
【0008】
上記の構成要素の一つである材料保持部は、垂直軸周りに回転することのできる剣山であって複数の下向きの剣先と回転軸に対して遠心方向に突き出た回転駆動把手とを有する剣山と、前記剣山の回転駆動把手を動かすための駆動具を有する保護カバーと、支持脚と、前記支持脚を収納する鞘部とを有している。前記剣山に直結した回転駆動把手を動かすことにより剣山を回転させて材料を4分の1回転させることができる。前記保護カバーが移動すると、前記保護カバーに設けられた駆動具が前記回転駆動把手を押すことにより剣山が回転する。
【0009】
上記保護カバーは材料保持部に被せて保護カバーの両縁を摺動用レールに乗せて摺動するよう設けてある。前記駆動具の代わりに手動で前記駆動具を押して動かすこともできる。
【0010】
以下に、本発明の構成要素の動作を説明する。本説明では刃付き床板の両端を左と右に見る位置で説明する。
【0011】
まず、材料を刃付き床板の右の床上に置き、材料保持部を材料の真上に移動し手で回転部を押し下げることにより剣山で材料を突き刺し保持する。
【0012】
次に、手で保護カバーを左方向に押して移動を開始し、保護カバーの駆動具が剣山を90度回転させる。この時材料表面に縦に平行な切り目が入っていれば、その切り目の向きが横に平行な切り目に変わる。保護カバーが材料保持部を押し、材料表面に複数の縦に平行な切り目を入れ、そのようにして縦横十文字に切り目の入った材料表面を次に水平な切り削ぎ刃が段差のすき間の高さ分の厚さだけ水平に切り削ぐことにより、サイコロ状の均一な粒のみじん切りが段差のすき間から出てくる。材料表面には先程切り削がれずに残された複数の縦に平行な切り目が残っている。材料保持部は左の床上に至る。ここまでが材料保持部が刃付き床板上を右端から左端まで移動する間に実行される動作である。
【0013】
次に、方向を変えて、手で保護カバーを右方向への押して移動を開始すると、前記材料保持部が刃付き床板上を右端から左端まで移動する間に実行された動作と同様に、最初に保護カバーだけが摺動用レール上を摺動して保護カバーの駆動具が回転駆動把手を動かして剣山を90度回転させる。これにより前の工程で材料表面に切り削がれずに残された複数の縦に平行な切り目が複数の横に平行な切り目に変わる。次に、前記剣山が回転し終わった時点に保護カバーの内側が材料保持部の縁に突き当り、保護カバーが材料保持部を押し始め、材料保持部が移動し、中間の床面上の垂直刃が材料表面に新たな複数の縦に平行な切り目を入れる。そのようにして縦横十文字に切り目が入った材料表面を切り削ぎ刃が段差のすき間の高さ分の厚さだけ水平に切り削ぐことにより、サイコロ状の均一な粒のみじん切りが段差のすき間を通って下に出てくる。ここで材料表面には先程切り削がれずに残された複数の縦に平行な切り目が残っている。材料保持部は右の床上に至る。ここまでが材料保持部が刃付き床板上を左端から右端まで移動する間に実行される動作である。
【0014】
上記のように、手で保護カバーを押して材料保持部を刃付き床板上で左右に往復移動させるだけで、その往路と復路のそれぞれの移動毎にサイコロ状の均一な粒のみじん切りを得ることを実現している。
【0015】
上記材料保持部は長い支持脚を有しており、架台上に載った鞘部に緩く差し込まれている。剣山に保持された材料が切り削ぎ刃によって切り削がれて次第に目減りしていくと材料保持部の長い支持脚が鞘部中に収納され下がっていき、保護カバーと共に材料保持部全体が下降していく。材料保持部全体の下降が進行することにより剣山の剣先が刃付き床板の切り目入れ刃の刃先に至近になると、長い支持脚の付け根に設けた摺動用レールが鞘部に突き当たってそれ以上の材料保持部の下降に歯止めが掛かり下降が安全に止まる。これにより、剣山で捕捉されて支持された材料のわずかな部分以外を残らず均一の粒のみじん切りにすることが可能となる。
【0016】
以上のように、本発明は、材料をみじん切りにするまでの工程で人が安全に作業ができるみじん切り装置を実現することにより、従来のやり方の欠点を解決した道具を提供する目的を達成している。
【発明の効果】
【0017】
上述したように本発明のみじん切り装置は、人が素手で刃物を扱うやり難い手作業を誰でも安全に楽に操作できるシンプルな部品構成の調理用具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態を示すみじん切り装置の外観図
図2】同保護カバーの外観図
図3】同材料保持部の外観図
図4】同鞘部の外観図
図5】同刃付き床板上の切り目入れ刃の並び方が長手方向の前後にずらした並べ方である場合の外観図
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を図1図5に基づいて説明する。
【0020】
図においては、1は刃付き床板、2は材料保持部、3は切り削ぎ刃、4は切り目入れ刃、5は段差のすき間、6は剣山、7は回転駆動把手。8は保護カバー、9は駆動具、10は支持脚、11は鞘部、12は摺動用レール、13は刃付き床板の脚、14は高い方の床、15は中間の低い方の床、16は材料保持部の縁、17は保護カバーの内側である。
【0021】
以下、上記構成の動作を説明する。本説明では、刃付き床板の長手方向を左右方向として見た場合で説明する。
【0022】
最初に、材料を刃付き床板の右の高い方の床14上に置き、材料上部を剣山6で捕捉して保持する。
【0023】
手で保護カバー8を左方向に押して移動を開始させると、保護カバー8が摺動用レール12上を摺動し保護カバー8の駆動具9が剣山6の回転駆動把手7を動かし剣山6が90度回転する。もし材料表面に複数の縦に平行な切り目が入れられてあれば、その切り目の向きが横に平行な切り目に変わる。剣山6を回転させ終わった時点に保護カバー8の内側17が材料保持部の縁16に突き当り保護カバーの内側17が材料保持部2を押し始め、材料保持部2が移動して中間の低い方の床15上の刃渡りが前記第1の段差のすき間5の高さと第2の段差のすき間5の高さの和よりも大きい長さの垂直な両刃の切り目入れ刃4によって材料表面に前記刃渡りの長さ分の深さの複数の縦に平行な切り目を入れ、そのようにして縦横十文字に切り目を入れられた材料表面が切り削ぎ刃3により水平に段差のすき間5の高さ分だけ切り削がれ、サイコロ状の均一な粒のみじん切りが段差のすき間5を通って下へ出てくる。材料保持部2は左の高い方の床14上に至る。
【0024】
次に、材料保持部2の保護カバー8を手で右方向に押して移動を開始する。これより実行される動作は材料保持部2が刃付き床板1上を右端から左端まで移動する間に実行される動作と同じである。即ち、保護カバー8が摺動用レール12上を摺動して保護カバー8の駆動具9が回転駆動把手7を動かすことにより剣山6が90度回転して材料表面に残っている前回中間の床上を移動した時に切り目入れ刃によって入れられた複数の縦に平行な切り目の向きが横に平行な切り目に変わる。剣山6を90度回転させ終わった時点に保護カバー8の内側17が材料保持部2の縁16に突き当り保護カバー8が材料保持部2を押し始め、材料保持部2が移動して中間の低い方の床15面上の直立した両刃の切り目入れ刃4が材料表面に複数の縦に平行な切り目を加え入れ、その直後に縦横十文字に切り目の入った材料表面を切り削ぎ刃3が段差のすき間5の高さ分だけ水平に切り削がれ、サイコロ状の均一な粒のみじん切りが段差のすき間5を通って下へ出てくる。材料保持部2は右の高い方の床14上に至る。
【0025】
剣山6に保持された材料が繰返し切り削がれて次第に少なくなっていくと支持脚10が鞘部11中に収納されていき材料保持部2全体が下降していき、剣山6の剣先が切り目入れ刃3の刃先に至近になったとき長い支持脚10の付け根に設けた摺動用レール12が鞘部11に突き当たりそれ以上の材料保持部2の下降を止める。
【0026】
上記のように、手で保護カバーを押して材料保持部を刃付き床板上で往復移動させることを繰り返すことにより、材料保持部が捕捉している材料全部を均一な粒のみじん切りにすることを実現している。
【符号の説明】
【0027】
1 刃付き床板
2 材料保持部
3 切り削ぎ刃
4 切り目入れ刃
5 段差のすき間
6 剣山
7 回転駆動把手
8 保護カバー
9 駆動具
10 支持脚
11 鞘部
12 摺動用レール
13 刃付き床板の脚
14 高い方の床
15 中間の低い方の床
16 材料保持部の縁
17 保護カバーの内側
【要約】      (修正有)
【課題】素材をサイコロ状の均一な粒のみじん切りにすることのできるシンプルな構造の安全で使い易い装置を提供する。
【解決手段】床面の長手方向を3分する2つの段差5を有し中間の低い床15上に長手方向に平行に複数の両刃の切り目入れ刃4を横並びに間隔をあけて設け中間の低い床を挟む2つの高い方の床14の段差側の各ふちに削ぎ切り刃3を水平に設けた刃部本体と、素材を捕捉して支持固定する保持手段と素材を垂直軸周りに90度回転させる回転手段とを有する素材保持回転部2とでみじん切り装置を構成している。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5