(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6318460
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】梱包体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/36 20060101AFI20180423BHJP
B65D 81/113 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
B65D75/36
B65D81/113 110
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-273267(P2012-273267)
(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公開番号】特開2014-118168(P2014-118168A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 孝
(72)【発明者】
【氏名】勝田 孝
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−198378(JP,A)
【文献】
特開2010−100308(JP,A)
【文献】
特開2009−179338(JP,A)
【文献】
特開平11−029134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/36
B65D 81/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包体であって、
前記梱包体は、
平板状部を少なくとも有する被梱包体が配置されるスペーサーと、
平板部と該平板部に対し突出した形状の膨出部とを有するブリスターとを備え、
前記スペーサーは、
平面視して前記被梱包体の平板状部と略同形状である1つの本体部と、
前記平面視して前記1つの本体部の対向する一対の辺に沿って配置される一対の壁部と、を備え、
前記平面視の方向において、前記スペーサーの壁部が前記スペーサーの1つの本体部から突出する高さは、前記被梱包体の平板状部が前記スペーサーの1つの本体部から突出する高さよりも高く、
前記ブリスターは、
前記平板部と前記膨出部との間に前記スペーサーを1つ収容し、
前記梱包体は、
前記被梱包体が、前記ブリスター内の1つの前記スペーサーの前記1つの本体部の前記平面視の方向の上下両側に配置された状態で、当該被梱包体を収容可能とされている、
ことを特徴とする梱包体。
【請求項2】
前記被梱包体は、前記平板状部から立設する立設部をさらに有し、
前記スペーサーの1つの本体部には前記被梱包体の立設部の一部が挿通されて該被梱包体が固定される開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包体。
【請求項3】
前記被梱包体は、前記平板状部から立設する立設部をさらに有し、
前記スペーサーは、該スペーサーの1つの本体部と壁部とを連結する連結片をさらに備え、
前記スペーサーの連結片と1つの本体部の間に前記被梱包体の立設部が介在するように配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包体。
【請求項4】
前記被梱包体は、前記平板状部から立設する立設部をさらに有し、
前記スペーサーは、
前記平面視してその1つの本体部に前記被梱包体の平板状部が重なるように配置されて、且つ、その1つの本体部と壁部との間に前記被梱包体の立設部が介在するように配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の梱包体。
【請求項5】
前記1つの本体部及び前記壁部は一枚の紙を折り曲げることにより一体化して形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の梱包体。
【請求項6】
前記ブリスターは、前記スペーサーの1つの本体部と該ブリスターの膨出部との間に、前記被梱包体が、該ブリスターの膨出部の表面から離間するように配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の梱包体。
【請求項7】
前記ブリスターは、前記スペーサーの1つの本体部と該ブリスターの膨出部との間に、前記被梱包体が、該ブリスターの膨出部の表面から離間して配置され、
前記ブリスターに取付けられる台紙をさらに備え、
前記台紙は、前記スペーサーの1つの本体部と該台紙との間に、別の前記被梱包体が、該台紙の表面から離間して配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、空気調和機等の梱包で、緩衝部材と付属品箱を、ダンボール板を折り曲げ一体で成形し、部品点数の削減と梱包強度を向上させた梱包装置が提案される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−29134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば電子辞書を覆って保護するカバーケースを、緩衝用のスペーサーで支えてブリスターに入れた梱包状態において、振動試験を実施すると、ブリスターと擦れてカバーケースに傷や跡が付いてしまう。
このため、カバーケースを袋に入れて傷を防ぐ必要があるが、袋に入れると、外観性が低下する心配がある。
【0005】
本発明の課題は、機器を覆うカバーケースの梱包状態において、カバーケースがブリスターと擦れるのを防止し、しかも、部品点数を削減してコストダウンを図るとともに、外観性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明は、
梱包体であって、
前記梱包体は、
平板状部
を少なくとも有する被梱包体が配置されるスペーサー
と、
平板部と該平板部に対し突出した形状の膨出部とを有するブリスターとを備え、
前記スペーサーは、
平面視して前記被梱包体の平板状部と略同形状である
1つの本体部と、
前記平面視して前記
1つの本体部の対向する一対の辺に沿って配置される一対の壁部と、を備え、
前記平面視の方向において、前記スペーサーの壁部が前記スペーサーの
1つの本体部から突出する高さは、前記被梱包体の平板状部が前記スペーサーの
1つの本体部から突出する高さよりも高
く、
前記ブリスターは、
前記平板部と前記膨出部との間に前記スペーサーを1つ収容し、
前記梱包体は、
前記被梱包体が、前記ブリスター内の1つの前記スペーサーの前記1つの本体部の前記平面視の方向の上下両側に配置された状態で、当該被梱包体を収容可能とされている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、梱包状態でカバーケースがブリスターと擦れるのを防止でき、しかも、部品点数を削減してコストダウンできるとともに、外観性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明を適用したカバーケースの梱包構造の一実施形態の構成を示す断面図(a)とブリスターの底面図(b)である。
【
図2】
図1のカバーケースとスペーサーの拡大底面図(a)と平面図(b)である。
【
図3】
図2のスペーサーを形成する紙の展開図である。
【
図4】
図3の紙のスペーサーの本体部の組立状態を示した平面図である。
【
図5】
図4の状態から壁部の組立状態を段階的に示した斜視図(a)(b)(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1(a)(b)は本発明を適用したカバーケースの梱包構造の一実施形態の構成を示すもので、1は上カバーケース、2は下カバーケース、3はスペーサー、4は台紙、5はブリスターである。
図2(a)(b)はカバーケース1・2とスペーサー3を拡大したものである。
【0010】
図示のように、例えば電子辞書等の機器を覆って保護する上カバーケース1及び下カバーケース2が、スペーサー3の本体部3Aの上下に装着して支えられて、スペーサー本体部3Aからカバーケース1・2の外部に突出した一対の壁部3Bが、台紙4とブリスター5の間に挟まれて収納された梱包状態となっている。
【0011】
ブリスター5は、台紙4に重なる平板部51と、スペーサー3の本体部3Aの上下に装着して支えられた上カバーケース1及び下カバーケース2、及びそのカバーケース1・2の外部に突出した一対の壁部3Bを収納する膨出部52と、台紙4の裏側に重なるガイド片部53を一体成形したものである。
【0012】
なお、平板部51には、吊り下げ用孔54と折り曲げ用延長部55が形成されて、折り畳み線を仮想線で示した折り曲げ用延長部55の先端に吊り下げ用孔54に対応する切欠部56が形成されている。また、台紙4には、図示しないが、吊り下げ用孔54と対応する孔が形成されている。
【0013】
図3はスペーサー3を形成する紙の展開図で、30は本体部3Aの形成エリア、36は壁部3Bの形成エリアであり、スペーサー3を形成する紙は、折り畳み線を仮想線で示したように、本体部3Aの形成エリア30と、その両側部に連続する一対の壁部3Bの形成エリア36とが設けられている。
【0014】
すなわち、本体部3Aの形成エリア30は、仮想線に沿って折り畳んで底面、長側面、上面及び長側面を形成するメインボックス状形成部31と、その上面から連続する延長片32・33と、ボックス状形成部31の底面の短側面側に連続する一対の連結片34と、メインボックス状形成部31の上面の短側面側に連続する一対の短側面片35とに分けられている。
【0015】
なお、メインボックス状形成部31の底面の長側面側中央に突出するフック片31fが形成されて、同じく上面部の一端寄りに上カバーケース1の端部が入る長いスリット31sが形成されている。さらに、延長片32の基端の折り畳み線の中央に沿ってスリット32sが形成されて、連結片34の中央にスリット34sが形成されている。また、メインボックス状形成部31のフック片31fは延長片32のスリット32sに差し込まれる。
【0016】
また、壁部3Bの形成エリア36は、メインボックス状形成部31の連結片34に連続して、仮想線に沿って折り畳んで上面、外側長側面、下面及び内側長側面を形成するサブボックス状形成部37と、その外側長側面の短側面側に連続する一対の短側面片38とに分けられている。
【0017】
なお、サブボックス状形成部37の上面中央に切り込みによるフック片37fが形成されて、短側面片38の中央の折り畳み線の中央に沿ってスリット38sが形成されている。このスリット38sは短側面片38を中央で折り畳み易くするためのものである。また、サブボックス状形成部37のフック片37fは連結片34のスリット34sに差し込まれる。
【0018】
図4はスペーサー3の本体部3Aの組立状態を示したもので、メインボックス状形成部31を仮想線に沿って直角に順次折り曲げていって底面、長側面、上面及び長側面からなる本体部3Aを形成する。そして、延長片32・33を仮想線に沿って順次折り畳むとともに、フック片31fをスリット32sに差し込む。また、一対の短側面片35を仮想線に沿って直角に折り曲げる。
【0019】
なお、
図4では、連結片34にフック片34fを設けて、サブボックス状形成部37の上面にスリット37sを設けており、このようにフック片とスリットの関係を
図3と逆に構成してもよい。
【0020】
次に、
図5は壁部3Bの組立状態を段階的に示したものである。
先ず、
図5(a)に示すように、連結片34を仮想線に沿って直角に折り曲げるとともに、一対のサブボックス状形成部37を仮想線に沿って上から下に回すように順次折り曲げていって上面、外側長側面、下面及び内側長側面からなる壁部3Bを形成する。そして、フック片37fをスリット34sに(またはフック片34fをスリット37sに)差し込む。
【0021】
続いて、
図5(b)に示すように、壁部3Bの外側長側面の短側面側に連続する一対の短側面片38を仮想線に沿って直角に折り曲げる。この短側面片38の中央での折り曲げはスリット38sの存在により容易に行える。
【0022】
こうして、短側面片38の中央で直角に折り曲げた半分を、
図5(c)に示すように、壁部3Bの端部開口に差し込んで、スペーサー3の組立を終える。
【0023】
このように、上下のカバーケース1・2を本体部3Aに固定する緩衝材としてのスペーサー3に、梱包状態での振動対策部品としての一対の壁部3Bを一つにしている。すなわち、上下のカバーケース1・2を支える本体部3Aと振動対策の壁部3Bを用いたスペーサー3を使用する。
【0024】
そして、スペーサー3は、前述したように、上下のカバーケース1・2を固定する本体部3Aを先に組み立ててから、振動対策の壁部3Bを組み立てている。
【0025】
このスペーサー3の本体部3Aの上面に上カバーケース1を重ね、スリット31sに上カバーケース1の端部を入れて(
図2(b)参照)、本体部3Aの側面に上カバーケース1の両側部を嵌め合わせる(
図1(a)参照)。
【0026】
また、本体部3Aの下面に下カバーケース2を重ね、本体部3Aの側面に下カバーケース2の両側部を嵌め合わせる(
図1(a)参照)。
【0027】
次に、ブリスター5の膨出部52に、一体化された上下のカバーケース1・2及びスペーサー3を入れて、ブリスター5に台紙4を取り付けて、梱包を完了する。
【0028】
この梱包状態において、スペーサー3は、
図1(a)に示すように、本体部3Aに固定した上下のカバーケース1・2の高さよりも、台紙4とブリスター5の膨出部52に上下面が接触する一対の壁部3Bの高さの方が大きく設定されている。そして、上カバーケース1はブリスター5の膨出部52から下方に離れ、下カバーケース2は台紙4から上方に離れて、何れも宙に浮いた状態となっている。
【0029】
こうして、ブリスター5への梱包時、スペーサー3の両側に一体の振動対策の壁部3Bの高さが上下のカバーケース1・2の高さよりも大きくなっており、上下のカバーケース1・2とブリスター5が擦れるのを防ぐことができる。
【0030】
以上、実施形態の梱包構造によれば、ブリスター5と上下のカバーケース1・2の擦れをなくすことができる。
そして、緩衝材であるスペーサー3の本体部3Aと擦れ対策部品である壁部3Bが一つになり、部品点数を削減してコストダウンできる。
また、上下のカバーケース1・2を袋に入れる必要がないため、外観性が向上する。
【0031】
(変形例)
以上の実施形態においては、電子辞書のカバーケースとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、カメラや携帯電話や電卓など他の電子機器のカバーケースであってもよい。
また、カバーケースやスペーサー及び壁部やブリスターの形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0032】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。
付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
機器を覆うカバーケースを梱包時に支える緩衝用のスペーサーに、カバーケースの外部に突出してカバーケースの厚みより厚い壁部を一体化して備えることを特徴とするカバーケースの梱包構造。
<請求項2>
前記スペーサー及び壁部は紙を折り曲げて形成されることを特徴とする請求項1に記載のカバーケースの梱包構造。
<請求項3>
前記カバーケース、スペーサー及び壁部をブリスターに入れたことを特徴とする請求項1または2に記載のカバーケースの梱包構造。
【符号の説明】
【0033】
1 上カバーケース
2 下カバーケース
3 スペーサー
30 本体部形成エリア
31 メインボックス状形成部
32・33 延長片
34 連結片
35 短側面片
36 壁部形成エリア
37 サブボックス状形成部
38 短側面片
3A 本体部
3B 壁部
4 台紙
5 ブリスター
51 平板部
52 膨出部
53 ガイド片部
54 吊り下げ用孔
55 折り曲げ用延長部
56 切欠部