(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記予測した混雑状況を解消するために必要な必要車両台数を算出し、混雑すると予測した車両の搭乗者のうち前記必要車両台数以上の所定数の搭乗者に対して、出庫予定情報の変更を促す情報を送信する指令を出力する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の駐車管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施形態に係る駐車管理装置は、駐車エリアにおける車両の駐車を管理する駐車管理装置であって、前記車両の出庫予定に関する情報である出庫予定情報を取得する取得部と、取得した前記出庫予定情報に基づいて、前記駐車エリアの出口の混雑状況を予測し、混雑すると予測した車両の搭乗者に対して、出庫予定情報の変更を促す情報を送信する指令を出力する制御部と、を備える。
【0015】
上記のように構成された駐車管理装置によれば、制御部が、各車両の出庫予定情報に基づいて駐車エリアの出口の混雑状況を予測し、混雑すると予測した車両の搭乗者に対して出庫予定情報の変更を促す情報を送信する。したがって、出庫予定情報の変更を促された搭乗者が例えば車両の出庫予定時刻を変更することで、各車両の出庫予定時刻がばらつき、駐車中の車両が出庫するときの混雑を抑制することができる。
【0016】
(2)前記駐車管理装置において、前記出庫予定情報には、前記車両の出庫予定時刻が含まれており、前記制御部は、混雑すると予測した車両の搭乗者に対して、出庫予定時刻の変更を促す情報を送信する指令を出力するのが好ましい。
この場合、制御部が上記の制御を実行するので、出庫予定時刻の変更を促された搭乗者が出庫予定時刻を変更することで、各車両の出庫予定時刻がばらつき、駐車中の車両が出庫するときの混雑を抑制することができる。
【0017】
(3)前記駐車管理装置において、前記出庫予定情報には、前記駐車エリアに形成された複数の出口のうち前記車両の出庫予定出口が含まれており、前記制御部は、取得した前記出庫予定情報に基づいて、前記出口毎の混雑状況を予測し、混雑すると予測した出口から出庫予定の車両の搭乗者に対して、出庫予定出口の変更を促す情報を送信する指令を出力するのが好ましい。
この場合、制御部が上記の制御を実行するので、出庫予定出口の変更を促された搭乗者が出庫予定出口を変更することで、各車両の出庫予定出口がばらつき、駐車中の車両が出庫するときの混雑を抑制することができる。
【0018】
(4)前記駐車管理装置において、前記出庫予定情報には、前記車両の前記出庫予定時刻に対する許容遅れ時間が含まれており、前記制御部は、取得した前記出庫予定情報の許容遅れ時間が所定値以上の場合に、当該許容遅れ時間の車両の搭乗者に対して、出庫予定時刻を遅らせることを提案する情報を送信する指令を出力するのが好ましい。
この場合、制御部は、出庫予定時刻に対する許容遅れ時間が所定値以上の車両の搭乗者に対して、出庫予定時刻を遅らせることを提案するので、この搭乗者が出庫予定時刻を遅らせる可能性が高まり、各車両の出庫予定時刻を効果的にばらつかせることができる。
【0019】
(5)前記駐車管理装置において、前記出庫予定情報には、前記車両の前記出庫予定時刻に対する許容遅れ時間が含まれており、前記制御部は、取得した前記出庫予定情報の許容遅れ時間が所定値未満の場合に、当該許容遅れ時間の車両の搭乗者に対して、出庫予定時刻を早めることを提案する情報を送信する指令を出力するのが好ましい。
ここで、「所定値」は、上記(4)の「所定値」と同じ値の場合と異なる値の場合とを含む。
この場合、制御部は、出庫予定時刻に対する許容遅れ時間が所定値未満の車両の搭乗者に対して、出庫予定時刻を早めることを提案するので、この搭乗者が車両の出庫予定時刻を早める可能性が高まり、各車両の出庫予定時刻を効果的にばらつかせることができる。
【0020】
(6)前記駐車管理装置において、前記制御部は、前記提案する情報に応じて出庫予定時刻を変更した前記搭乗者に対して特典を付与するのが好ましい。
この場合、制御部が上記の制御を実行するので、上記提案を打診された搭乗者が車両の出庫予定時刻を変更する可能性がさらに高まり、各車両の出庫予定時刻を効果的にばらつかせることができる。
【0021】
(7)前記駐車管理装置において、前記制御部は、前記出庫予定出口の変更を促す情報に応じて出庫予定出口を変更した前記搭乗者に対して特典を付与しても良い。
この場合、制御部が上記の制御を実行するので、出庫予定出口の変更を促された搭乗者がその出庫予定出口を変更する可能性が高まり、各車両の出庫予定出口を効果的にばらつかせることができる。
【0022】
(8)前記駐車管理装置において、前記制御部は、前記予測した混雑状況を解消するために必要な必要車両台数を算出し、混雑すると予測した車両の搭乗者のうち前記必要車両台数以上の所定数の搭乗者に対して、出庫予定情報の変更を促す情報を送信する指令を出力するのが好ましい。
この場合、制御部は、予測した混雑状況を解消するために必要な必要車両台数以上の所定数の搭乗者に対して、出庫予定情報の変更を促す情報を送信するので、これら所定数の搭乗者が例えば車両の出庫予定時刻を変更することで、予測した混雑状況を効果的に解消することができる。
【0023】
(9)他の観点からみた本発明の実施形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、上述の駐車管理装置として機能させるためのコンピュータプログラムである。したがって、本実施形態のコンピュータプログラムは、上述の駐車管理装置と同様の作用効果を奏する。
【0024】
(10)本実施形態の駐車管理方法は、上述の駐車管理装置において実行される駐車決定方法である。したがって、本実施形態の駐車管理方法は、上述の駐車管理装置と同様の作用効果を奏する。
【0025】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
<用語の定義>
本実施形態の詳細を説明するに当たり、まず、本実施形態で用いる用語の定義を行う。
「移動体」:公道、私道及び駐車場などの通行可能な領域を通行する物体の総称である。本実施形態の移動体には、後述の「車両」と「搭乗者」が含まれる。
【0026】
「車両」:道路を通行可能な車両全般のことである。具体的には、道路交通法上の車両を意味する。道路交通法上の車両には、自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスが含まれる。
本実施形態において、単に「車両」というときは、後述の「自律運転車両」、「支援運転車両」及び「手動運転車両」のすべてを含む。
【0027】
「搭乗者」:車両に搭乗する人のことである。本実施形態では、搭乗者が後述の「携帯端末」を用いて他の無線通信機との無線通信が可能である場合を想定している。
【0028】
「無線通信機」:所定の通信フレームを無線で送受信する通信機能を有し、無線通信の送受信主体となる機器のことである。本実施形態の無線通信機には、後述の「路側通信機」と「移動通信機」が含まれる。
「路側通信機」:路側に設置された無線通信機のことをいう。本実施形態では、車載通信機とのローカルな無線通信を独自に実行することができる無線通信機のことをいう。
【0029】
「移動通信機」:移動体に搭載(搭乗者の場合は「携帯」)された無線通信機のことをいう。本実施形態の移動通信機には、後述の「車載通信機」と「携帯端末」が含まれる。
「車載通信機」:車両に恒久的又は一時的に搭載された無線通信機のことをいう。
「携帯端末」:車両の搭乗者が携帯する無線通信機のことをいう。具体的には、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノートパソコンなどがこれに該当する。
「管理装置」:1又は複数の管理対象機器を統合的に管理するコンピュータ装置のことをいう。本実施形態の管理装置は、具体的には、1又は複数の路側通信機などを含む管理対象機器を管理するサーバーコンピュータよりなる。
【0030】
「手動運転」:車両の搭乗者が自車両の運転の全部を行うことをいう。すなわち、後述の「自動運転」の対比概念であり、加減速及び操舵などの基本操作の主体がすべて搭乗者である運転のことをいう。
「自動運転」:車両の各種センサによるセンシング結果に基づいて、車両の制御システムが自車両の運転の一部又は全部を自動的に行うことをいう。本実施形態の自動運転には、後述の「支援運転」と「自律運転」が含まれる。
【0031】
「支援運転」:車両の各種センサによるセンシング結果に基づいて、車両の制御システムが自車両の運転の一部を自動的に行って、搭乗者による自車両の運転を支援することをいう。車両の制御システムによる支援には、減速又は方向転換の自動的な介入や、音声又は画面表示による搭乗者への注意喚起などがある。
「自律運転」:車両の各種センサによるセンシング結果に基づいて、車両の制御システムが自車両の運転の全部を自動的に行うことをいう。従って、自律運転では、加減速及び操舵などの基本操作の主体が、搭乗者(人間)ではなく車両の制御システムである。
【0032】
「手動運転車両」:手動運転のみに対応する制御システムを有する車両のこという。
「自動運転車両」:自動運転が可能な制御システムを有する車両のことをいう。
【0033】
「支援運転車両」:支援運転が可能な制御システムを有する車両のことをいう。本実施形態では、支援運転車両は支援運転と手動運転のいずれかに切り替え可能であるとする。
「自律運転車両」:自律運転が可能な制御システムを有する車両のことをいう。本実施形態では、自律運転車両は自律運転、支援運転又は手動運転のいずれかに切り替え可能であるとする。
【0034】
<全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る駐車管理システムを採用した駐車場2の一例を示す斜視図である。
図1の例では、フェンス3で囲まれた敷地内の北側よりに、ショッピングセンターなどの店舗施設である建物1が設置されており、敷地内における建物1南側の大半が駐車場2となっている。
【0035】
駐車場2の西側のフェンス3には入口4及び出口5Aが設けられ、駐車場2の東側のフェンス3には出口5Bが設けられている。建物1周囲の広場と駐車場2とを仕切るフェンス3には、広場から駐車場2に向かって車両20やその搭乗者24が出入りするための出入口6が設けられている。
駐車場2内の駐車エリアは、混在エリア8及び専用エリア9の2種類のエリアに区画されている。
【0036】
混在エリア8は、車両20の運転種別すなわち手動運転か自動運転かに関係なく、すべての車両20が駐車可能なエリアであり、敷地内の中央のほぼ大部分を占めている。
図1の例では、混在エリア8には、10台分の駐車スペースを有する駐車区画11が6つ設けられている。駐車区画11同士の間のスペース及び駐車区画11とフェンス3の間のスペースは、車両20や搭乗者24が混在エリア8を通行するための通路12となっている。
【0037】
専用エリア9は、無人の自律運転車両21専用に用意された駐車エリアであり、駐車場2の南側よりに設けられている。専用エリア9は、一般車両が駐車可能な専用一般エリア9Aと、大型車両が駐車可能な専用大型エリア9Bとに区分されている。
【0038】
図1の例では、専用一般エリア9Aには、37台分の一般車両の駐車スペースを有する駐車区画13が1つ設けられている。専用大型エリア9Bには、8台分の大型車両の駐車スペースを有する駐車区画14が1つ設けられている。なお、専用エリア9には、自律運転車両21や搭乗者24が通行するための通路は設けられていない。
専用エリア9は、フェンス3によって混在エリア8から隔離されている。専用エリア9を仕切るフェンス3には、混在エリア8から専用エリア9に向かって自律運転の車両20が出入りするための専用出入口7が設けられている。
【0039】
駐車場2には、更に、路側通信機31及び監視カメラ33が設けられている。
路側通信機31は、駐車場2の適所に立設された支柱に設置されている。
図1の例では、路側通信機31は、設置位置の違いに応じて次の3種類の路側通信機31A〜31Cに分類される。
【0040】
路側通信機31A:入口4、出口5A,5B及び出入口6に設置された路側通信機31
路側通信機31B:専用出入口7に設置された路側通信機31
路側通信機31C:通路12の交差点に設置された路側通信機31
なお、本実施形態では、各路側通信機31A〜31Cの共通事項を説明する場合は、それらの共通符号「31」を用いて「路側通信機31」と記載する。
監視カメラ33は、駐車場2の北西の角部に立設された支柱に設置されている。
【0041】
建物1の東側には、管理室15が設置されている。管理室15の内部には、管理装置(駐車管理装置)38が収納されている。
管理装置38は、通信線(
図1及び
図3の破線)を介してルータ37に接続されている。駐車場2の各種の管理対象機器31,33も、通信線を介してルータ37に接続されている(
図3参照)。従って、管理装置38と管理対象機器31,33は、ルータ37を介して有線通信が可能となるように接続されている。
【0042】
なお、管理装置38と管理対象機器31,33との通信は、例えば無線LAN(Local Area Network)などの通信規格を利用した無線通信であってもよい。
図1に示す建物1及び駐車場2の内部の構造及び配置はあくまでも一例であって、その構造及び配置は
図1のものに限定されるものではない。
【0043】
<無線通信システムの通信主体の組み合わせ>
図2は、無線通信システムにおける通信主体の組み合わせの説明図である。
本実施形態の無線通信システムでは、
図1に示す駐車場2において、路側通信機31、車両20の車載通信機54及び搭乗者24の携帯端末70が、それぞれ、所定のフォーマットの通信フレーム(
図7参照)を用いた無線通信によりデータ交換を行う。
【0044】
従って、本実施形態の無線通信システムを通信主体の相違で区別すると、
図2に示す「路車間通信」、「路歩間通信」及び「車歩間通信」の3種類となる。なお、各通信の内容を簡単に定義すると次の通りである。
路車間通信:路側通信機31と車両20の車載通信機54の間の無線通信
路歩間通信:路側通信機31と搭乗者24の携帯端末70の間の無線通信
車歩間通信:車両20の車載通信機54と搭乗者24の携帯端末70の間の無線通信
【0045】
上記3種類の通信を共存させるマルチアクセス(Multiple Access)方式としては、周波数分割多重(FDMA:Frequency Division Multiple Access)や符号分割多重(CDMA:Code Division Multiple Access)などを採用することができる。
路側通信機31による送信の優先度を向上させる場合には、「700MHz帯高度道路交通システム標準規格(ARIB STD-T109)」に倣ったマルチアクセス方式を採用することにしてもよい。本実施形態ではこの方式が採用されているものとする。
【0046】
上記標準規格のマルチアクセス方式は、路側通信機31が送信する専用のタイムスロットをTDMA(Time Division Multiple Access)方式で割り当て、路側専用のタイムスロット以外のタイムスロットをCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/ Collision Avoidance)方式による車車間通信に割り当てる方式である。
なお、本実施形態では、携帯端末70も、車載通信機54と同様に、路側専用のタイムスロット以外の時間帯にCSMA/CA方式による無線通信を行うものとする。
【0047】
<駐車管理システムの構成>
図3は、駐車場2の管理システム30の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、管理システム30は、路側通信機31、監視カメラ33、ルータ37及び管理装置38を含む。
路側通信機31は、通信部81、制御部82、記憶部83及びアンテナ84を含む。通信部81は、無線通信及び有線通信の機能を有する通信インターフェースよりなる。
【0048】
従って、通信部81は、アンテナ84から受信したRF信号をデジタル信号に変換して制御部82に出力し、制御部82から入力されたデジタル信号をRF信号に変換してアンテナ84から送信する。
また、通信部81は、管理装置38から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部82に出力し、制御部82から入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して管理装置38に送信する。
【0049】
制御部82は、公知のCPU、RAM及びROMなどを含む。制御部82は、記憶部83に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行し、路側通信機31の全体の動作を制御する。
記憶部83は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどより構成されており、各種のコンピュータプログラムやデータを記憶する。
【0050】
制御部82が実行する制御には、通信部81に対する中継制御が含まれる。例えば、制御部82は、通信部81が受信した通信フレームを管理装置38に転送する。
また、制御部82は、顧客全員に通知すべき情報が格納された管理フレームを通信部81が管理装置38から受信すると、受信した管理フレームを通信部81により無線でブロードキャスト送信させる。
【0051】
監視カメラ33は、駐車場2の内部の動画映像を撮影するビデオカメラよりなる。監視カメラ33は、撮影した映像の画像データを管理装置38の通信部91に送信する。
管理装置38の制御部88は、通信部91が受信した画像データを記憶部93に一時的に記憶するとともに、出力部94のモニタにライブ映像として表示する。
【0052】
管理装置38は、内部バス89を介して通信可能に接続された制御部(管理制御部)88及び入出力インターフェース90と、このインターフェース90に接続された通信部(取得部)91、ドライブ92、記憶部93、出力部94、入力部95を備えている。
制御部88は、公知のCPU、RAM及びROMなどを含む。制御部88は、記憶部93に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行し、管理装置38の全体の動作を制御する。
【0053】
記憶部93は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどより構成されており、各種のコンピュータプログラムやデータを記憶する。入力部95は、キーボード、マウス及び音声マイクなどよりなり、出力部94は、ディスプレイ及びスピーカなどよりなる。
通信部91は、ネットワークインターフェースよりなる。通信部91は、ルータ37に接続された各路側通信機31と有線LANを構成している。通信部91は、監視カメラ33ともデータ通信が可能である。
【0054】
ドライブ92は、CDやDVDなどのディスク記録媒体を駆動し、そのディスクに対して所定のデータを読み書き可能である。
制御部88が実行するコンピュータプログラムは、上記ディスクに書き込まれたコンピュータプログラムであってもよい。
【0055】
制御部88が実行する制御には、各管理対象機器31,33に対する上述の制御の他に、路側通信機31や携帯端末70から受信した通信フレームを用いた入庫及び出庫管理制御(
図10〜
図13参照)、出口の混雑予測処理(
図14参照)、出庫予定情報の変更処理(
図16〜
図21参照)などがある。
また、制御部88は、顧客全員に通知すべき情報がある場合には、その情報を格納した管理フレームを生成し、生成した管理フレームを通信部91により各路側通信機31宛てにブロードキャスト送信させる。
【0056】
<車両の構成>
(自律運転車両の場合)
図4は、自律運転車両21の制御システム50の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、自律運転車両21の制御システム50は、内部バス52を介して通信可能に接続された中央制御部(運転制御部)51及び入出力インターフェース53と、このインターフェース53に接続された車載通信機54、走行制御ユニット55、操舵制御ユニット56、ナビゲーションユニット57、第1センサ58及び第2センサ59を備えている。
【0057】
中央制御部51は、公知のECU(Engine Control Unit)よりなり、記憶装置(図示せず)を内部に有している。中央制御部51は、記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行し、制御システム50の全体の動作を制御する。
車載通信機54は、通信部104、制御部105、記憶部106及びアンテナ107を含む。通信部104は、外部との無線通信機能とシステム内での通信機能とを有する通信インターフェースよりなる。
【0058】
従って、通信部104は、アンテナ107から受信したRF信号をデジタル信号に変換して制御部105に出力し、制御部105から入力されたデジタル信号をRF信号に変換してアンテナ107から送信する。
また、通信部104は、中央制御部51から受信した制御信号を制御部105に出力し、制御部105から入力された制御信号を中央制御部51に送信する。
【0059】
制御部105は、公知のCPU、RAM及びROMなどを含む。制御部105は、記憶部106に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行し、車載通信機54の全体の動作を制御する。
記憶部106は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどより構成されており、各種のコンピュータプログラムやデータを記憶する。記憶部106は、自車両の識別情報である車両IDを記憶している。車両IDは、例えば、エンジンの始動時に乱数発生器が生成する数値などよりなる。
【0060】
制御部105が実行する制御には、制御システム50の現時点の状態情報を格納した通信フレーム(
図8参照)を外部に送信する情報発信処理(
図9参照)が含まれる。
具体的には、制御部105は、
図8に定義する格納領域A1〜A7に格納すべき現時点の識別情報を制御システム50内の各部から収集し、その識別情報を記憶部106に一時的に記憶させる。そして、記憶した識別情報を格納した通信フレームを生成し、生成した通信フレームを通信部104に無線送信させる。
【0061】
走行制御ユニット55は、車両20の走行に関するすべての制御を管轄する制御ユニットである。
走行制御ユニット55が行う制御には、例えば、アクセルペダルの踏み込み量に応じてエンジンや電気モータなどの回転数を調整する加減速制御、ブレーキペダルの踏み込み量に応じて油圧ブレーキの油圧力を調整する制動制御、トルクコンバータに対する変速制御などが含まれる。
【0062】
操舵制御ユニット56は、車両20の操舵に関するすべての制御を管轄する制御ユニットである。
操舵制御ユニット56が行う制御には、例えば、ハンドルの回転量に応じて前輪の操舵角を調整する方向制御、方向指示器などの灯器類の点滅を制御する灯器制御、急な制動によるタイヤのロックを防止して操舵可能状態を維持するABS(Antilock Brake System)制御などが含まれる。
【0063】
ナビゲーションユニット57は、自車両が目的地まで通行する場合の最適経路を探索するコンピュータ装置よりなる経路探索部と、経路探索部に入力するための操作部と、演算結果である経路を画像や音声で搭乗者24に案内するディスプレイ及びスピーカを有する。
経路探索部は、リンクコストが最小となる最小コスト経路を特定の経路探索ロジックによって算出するのが一般的である。この経路探索ロジックとしては、例えばダイクストラ法やポテンシャル法が利用される。
【0064】
ナビゲーションユニット57は、GPS信号から現在時刻を取得する時刻同期機能と、GPS信号から自車両の現在位置(緯度、経度及び高度)を計測する位置検出機能と、方位センサによって自車両の方位及び角速度を計測する方位検出機能などを有する。
ナビゲーションユニット57は、道路地図データが格納された記憶装置も備えている。道路地図データは、経路探索部による探索処理に際して自車両の位置情報をマップマッチングするために使用される。
【0065】
第1センサ58は、支援運転に必要なセンシング結果を得るためのセンサ類である。
図4に示すように、例えば、第1センサ58は、車両20の前後左右の四隅に配置された超音波センサやビデオカメラなどよりなる。
前側に設けられた第1センサ58は、主として自車両の前方に存在する物体の存在を検出するためのセンサであり、後側に設けられた第1センサ58は、主として自車両の後方に存在する物体の存在を検出するためのセンサである。
【0066】
第2センサ59は、自律運転に必要なセンシング結果を得るためのセンサ類である。
図4に示すように、例えば、第2センサ59は、車両20の天井部分に配置された超音波センサやビデオカメラなどよりなる。
第2センサ59は、縦軸心回りに比較的高速で回転自在となっており、自車両の周囲に存在する物体の存在を検出するためのセンサである。
【0067】
自律運転車両21の中央制御部51は、第1及び第2センサ58,59によるセンシング結果に基づいて自律運転を行うことができる。自律運転が可能な車両の実例としては、例えば特許文献4に記載の車両(いわゆる「グーグルカー」)がある。
自律運転の制御原理は、第1及び第2センサ58,59によって検出した物体に予期される挙動を過去のデータから予測し、予測した挙動に基づいて自車両が目的位置に指向するよう、各ユニット55〜57に指令を与えるものである。
【0068】
なお、自律運転では、自車両の運転の全部を中央制御部51が行うが、ナビゲーションユニット57に対する目的地の入力などの初期設定については、自律運転車両21の所有者(搭乗又は非搭乗を問わない。)や所有者から管理委託を受けた者などが行う。
【0069】
自律運転車両21の中央制御部51は、第1センサ58によるセンシング結果に基づいて支援運転を行うこともできる。支援運転が可能な車両の実例としては、例えば特許文献1〜3に記載の車両がある。
支援運転の制御例としては、第1センサ58によって検出した物体と自車両の間の距離から衝突可能性を予測し、衝突可能性が高いと判断した場合に減速介入したり、搭乗者24に注意喚起したりするよう、各ユニット55〜57に指令を与えるものがある。
【0070】
自律運転車両21の中央制御部51は、第1及び第2センサ58,59によるセンシング結果を利用せず、搭乗者24の手動運転に切り替えることもできる。
このように、自律運転車両21に搭載された制御システム50は、自律運転が可能であることは勿論のこと、ダウングレードした動作モードとして、支援運転又は手動運転のいずれかを実行することができる。動作モードの切り替えは、例えば搭乗者24による手動の操作入力や、携帯端末70からの制御指令の送信などによって行われる。
【0071】
(支援運転車両の場合)
図5は、支援運転車両22の制御システム50の構成例を示すブロック図である。
以下、
図4と共通する機能部分については、同じ参照符号を付して詳細な説明を省略し、
図4に示す自律運転車両21との相違点について説明する。
【0072】
図5に示す支援運転車両22の制御システム50は、中央制御部51が自律運転に対応しておらず、このため第2センサ59が省略されている。
すなわち、支援運転車両22の中央制御部51は、第1センサ58によるセンシング結果に基づいて支援運転を行うことができるが、第2センサ59によるセンシング結果を用いた自律運転を行うことはできない。
【0073】
支援運転車両22の中央制御部51は、第1センサ58によるセンシング結果を利用せず、搭乗者24の手動運転に切り替えることもできる。
このように、支援運転車両22に搭載された制御システム50は、支援運転が可能であることは勿論のこと、ダウングレードした動作モードとして、手動運転を実行することができる。動作モードの切り替えは、例えば搭乗者24による手動の操作入力や、携帯端末70からの制御信号の送信などによって行われる。
【0074】
(手動運転車両の場合)
図6は、手動運転車両23の制御システム50の構成例を示すブロック図である。
以下、
図4及び
図5と共通する機能部分については、同じ参照符号を付して詳細な説明を省略し、
図4に示す自律運転車両21及び
図5に示す支援運転車両22との相違点について説明する。
【0075】
図6に示す手動運転車両23の制御システム50は、中央制御部51が自律運転及び支援運転に対応しておらず、このため第1及び第2センサ58,59が省略されている。
すなわち、手動運転車両23の中央制御部51は、第1及び第2センサ58,59によるセンシング結果を用いた自律運転と、第1センサ58によるセンシング結果を用いた支援運転を行うことができず、手動運転のみを実行することができる。
【0076】
<携帯端末の構成>
図7は、携帯端末70の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図7に示すように、携帯端末70は、通信部120、制御部121、記憶部122、操作部124、表示部123及びアンテナ125を含む。通信部120は、契約したキャリアの携帯基地局の他に、路側通信機31及び車載通信機54とも無線通信できる通信インターフェースを備えている。
【0077】
従って、通信部120は、携帯基地局からのRF信号だけでなく、路側通信機31や車載通信機54からアンテナ125に到達したRF信号についても、デジタル信号に変換して制御部121に出力することができる。
また、通信部120は、制御部121から入力されたデジタル信号をRF信号に変換して、路側通信機31や車載通信機54宛てにアンテナ125から送信することもできる。
【0078】
制御部121は、公知のCPU、ROM及びRAMなどを含む。制御部121は、記憶部122に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行し、携帯端末70の全体の動作を制御する。
記憶部122は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどより構成されており、各種のコンピュータプログラムやデータを記憶する。記憶部122は、携帯端末70の識別情報である携帯IDを記憶している。携帯IDは、例えば、契約者の固有IDやMACアドレスなどよりなる。
【0079】
記憶部122は、利用者が任意にインストールした各種のアプリケーションソフトを記憶している。
このアプリケーションソフトには、例えば、路側通信機31及び車載通信機54との無線通信を行うための制御プログラムなどが含まれる。
【0080】
制御部121が実行する制御には、携帯端末70の現時点の状態情報を格納した通信フレーム(
図8参照)を外部に送信する情報発信処理(
図9参照)が含まれる。
具体的には、制御部121は、
図8に定義する格納領域A1〜A7に格納すべき現時点の識別情報を携帯端末70内の各部から収集し、その識別情報を記憶部122に一時的に記憶させる。そして、記憶した識別情報を格納した通信フレームを生成し、生成した通信フレームを通信部120に無線送信させる。
【0081】
操作部124は、各種の操作ボタンや表示部123のタッチパネル機能により構成されている。操作部124は、利用者の操作に応じた操作信号を制御部121に出力する。
表示部123は、例えば液晶ディスプレイよりなり、各種の情報を利用者に表示する。例えば、表示部123は、管理装置38から送信された画像データなどを画面表示することができる。
【0082】
携帯端末70は、GPS信号から現在時刻を取得する時刻同期機能と、GPS信号から自端末の現在位置(緯度、経度及び高度)を計測する位置検出機能と、方位センサによって自端末の方位及び角速度を計測する方位検出機能なども有する。
【0083】
<通信フレームのフレームフォーマット>
図8は、通信フレームのフレームフォーマットの一例を示す説明図である。
図8に示すように、本実施形態の無線通信システムにおいて送受信される「通信フレーム」には、「プリアンブル」、「ヘッダ」、「データ」及び「CRC」(Cyclic Redundancy Check)が含まれる。
【0084】
「データ」には、番号A1から番号A7までの「格納領域」が含まれている。
「格納領域A1」は、端末IDの格納領域である。格納領域A1には、通信フレームの送信時における移動通信機54,70の端末IDの値が格納される。
例えば、車載通信機54の制御部105は、フレーム送信時に記憶部106が記憶する車両IDの値を格納領域A1に格納する。また、携帯端末70の制御部121は、フレーム送信時に記憶部122が記憶する携帯IDの値を格納領域A1に格納する。
【0085】
「格納領域A2」は、時刻情報の格納領域である。格納領域A2には、通信フレームの送信時刻が格納される。
移動通信機54,70による通信フレームの送信時刻は、厳密にはアンテナ107,125からの電波送出時刻である。しかし、RF部の遅延時間は非常に小さいので、制御部105,121による通信フレームの生成時点における現在時刻値であればよい。
【0086】
「格納領域A3」は、現時点の位置情報の格納領域である。格納領域A3には、現時点の位置情報として緯度と経度が格納される。
例えば、移動通信機54,70の制御部105,121は、フレーム送信時に記憶部106,122が記憶する緯度と経度(フレーム送信時における現在位置)を格納領域A3に格納する。
【0087】
「格納領域A4」は、移動体の種別を定義するための格納領域である。従って、格納領域A4には、移動体の種別の識別情報が格納される。
本実施形態では、移動体の種別として、「車両」及び「搭乗者」を想定している。従って、移動体の種別の識別情報としては、少なくとも1ビットのデータ量を割り当てればよい。
【0088】
例えば、「車両」=0、「搭乗者」=1のように識別情報が割り当てられている場合には、車載通信機54の制御部105は、記憶部106が記憶する自車両の種別に対応する識別情報(=0)を格納領域A4に格納する。
また、携帯端末70の制御部121は、記憶部122が記憶する移動体の種別に対応する識別情報(=1)を格納領域A4に格納する。
【0089】
「格納領域A5」は、車両20の動作モードの種別を定義するための格納領域である。従って、格納領域A5には、モード種別の識別情報が格納される。
本実施形態では、車両20の動作モードのモード種別として、「手動運転」、「支援運転」及び「自律運転」を想定している。従って、モード種別の識別情報としては、少なくとも2ビットのデータ量を割り当てればよい。
【0090】
例えば、「手動運転」=00、「支援運転」=01、「自律運転」=10のように識別情報が割り当てられている場合、車載通信機54の制御部105は、現時点のモード種別に対応する識別情報を決定し、決定した識別情報(00,01又は10)を格納領域A5に格納する。
制御部105によるモード種別の決定は、例えば、制御部105が中央制御部51にアクセスして現時点の動作モードを問い合わせることによって行うことができる。
【0091】
手動運転車両23では、手動運転のみが実行される。従って、手動運転車両23の車載通信機54が送信する通信フレームに含まれるモード種別の識別情報は、必然的に「手動運転」(=00)となる。
支援運転車両22では、支援運転と手動運転のいずれかの動作モードが実行される。従って、支援運転車両22の車載通信機54が送信する通信フレームに含まれるモード種別の識別情報は、「支援運転」(=01)又は「手動運転」(=00)となる。
【0092】
自律運転車両21では、自律運転、支援運転、又は手動運転のいずれかの動作モードが実行される。従って、自律運転車両21の車載通信機54が送信する通信フレームに含まれるモード種別の識別情報は、「自律運転」(=10)、「支援運転」(=01)又は「手動運転」(=00)となる。
なお、移動体が搭乗者24の場合は、動作モードの種別は無関係であるから、携帯端末70の制御部121は格納領域A5に識別情報を格納しない。
【0093】
「格納領域A6」は、車両の寸法を認識可能な車両情報を定義するための格納領域である。従って、格納領域A6には、車両情報の識別情報が格納される。
本実施形態では、車両情報として、「一般車両」及び「大型車両」を想定している。従って、車両情報の識別情報としては、少なくとも1ビットのデータ量を割り当てればよい。
例えば、「一般車両」=0、「大型車両」=1のように識別情報が割り当てられている場合、車載通信機54の制御部105は、記憶部106が記憶する自車両の種別に対応する識別情報(=0又は1)を格納領域A6に格納する。
【0094】
「格納領域A7」は、自由領域を定義するための格納領域である。本実施形態では、格納領域A7には、自律運転車両21の搭乗者24により、駐車場2の専用エリア9において自車両を入庫及び出庫する場合に必要となる各種の情報が格納される。
例えば、格納領域A7には、入庫時に必要な情報である「入庫要請情報」と、出庫時に必要な情報である「出庫予定情報」及び「出庫要請情報」と、搭乗者24に付与される後述の特典の種類を示す「特典情報」とが格納される。
【0095】
入庫要請情報には、車両21に対して自律運転による移動を指示する権利を示す権利情報である一時パスワードが格納される。
出庫予定情報には、車両21の出庫予定に関する情報として、車両21が出庫する出庫予定出口及び出庫予定時刻と、この出庫予定時刻に対する許容遅れ時間とが格納される。出庫予定出口には、例えば西側の出口5A=0、東側の出口5B=1のように識別情報が割り当てられている場合、車載通信機54の制御部105は、対応する識別情報(=0又は1)を出庫出予定口に格納する。
【0096】
出庫要請情報には、前記一時パスワード、及び車両21に搭乗者24が搭乗する搭乗位置(経度及び緯度)が格納される。
特典情報には、駐車場2の利用割引券である「駐車場割引券」、及び施設内の店舗の商品割引券である「店舗割引券」などに関する情報が格納される。
【0097】
格納領域A7に格納される上記情報は、車両21の搭乗者24が携帯端末70の操作部124に手動で入力することよって行うことができる。
なお、
図8に示す通信フレームの例では、格納領域が番号A7まで定義されているが、番号A8以上の格納領域を定義することにしてもよいし、A7未満の格納領域が定義された通信フレームを採用してもよい。
【0098】
<移動通信機による情報発信制御>
図9は、移動通信機54,70が実行する情報発信制御のフローチャートである。
図9に示すように、移動通信機54,70の制御部105,121は、まず、移動体の状態情報を取得する(ステップS1)。
移動体の「状態情報」とは、
図8に定義する通信フレームの各格納領域A1〜A7に格納すべき現時点の識別情報のことをいう。
【0099】
従って、移動体が車両20である場合、車載通信機54の制御部105は、
図8に定義する格納領域A1〜A7に格納すべき現時点の識別情報を、制御システム50内の各部から収集し、その識別情報を記憶部106に一時的に記憶させる。
また、移動体が搭乗者24である場合、携帯端末70の制御部121は、
図8に定義する格納領域A1〜A7に格納すべき現時点の識別情報を収集し、その識別情報を記憶部122に一時的に記憶させる。
【0100】
次に、移動通信機54,70の制御部105,121は、状態情報を所定の格納領域A1〜A7に格納して通信フレーム(
図8参照)を生成し、生成した通信フレームを通信部104,120に無線送信させる(ステップS2)。
そして、路側通信機31は、車両20の状態情報を含む通信フレームを受信すると、管理装置38に転送する転送処理を実行する。
【0101】
これにより、管理装置38は、通信フレームを用いた路車間通信や路歩間通信により、駐車場2に存在する車両20及び搭乗者24の状態情報を把握できる。
なお、
図8の情報発信制御は、車載通信機54の制御部105ではなく、制御システム50の中央制御部51が実行することにしてもよい。
【0102】
本実施形態の無線通信システムでは、
図8に示す通信フレームを用いて、各々の移動体の無線通信機が自身の状態情報を外部に発信している。
従って、通信フレームの受信側において、その通信フレームに含まれる識別情報の内容に応じて、管理システム30による効率的な管理制御など、種々の有用な制御を実行できるようになる。以下、この制御の内容について説明する。
【0103】
<入庫管理制御>
図10は、管理装置38が実行する入庫管理制御のフローチャートである。
図10の例は、自律運転車両21が、敷地内の出入口6(
図1参照)付近で搭乗者24を降ろした後、無人の自律運転モードで敷地内の南側にある専用エリア9に入庫するように指令された場合を想定している。なお、
図10中の丸印はフレームの受信を意味する。
【0104】
図10に示すように、搭乗者24は、携帯端末70から入庫要請情報を含む通信フレームを、場内の路側通信機31を介して管理装置38に送信するとともに、車歩間通信により自車両21にも送信する(ステップS11)。
次に、自律運転車両21の車載通信機54は、車両の状態情報を含む通信フレームを路側通信機31Aを介して管理装置38に送信する(ステップS12)。
【0105】
管理装置38は、携帯端末70及び自律運転車両21から受信した通信フレームに基づいて、自律運転車両21の専用エリア9における駐車位置を決定する(ステップS13)。
この駐車位置の決定は、自律運転車両21から受信した通信フレームに含まれる車両情報と、携帯端末70から受信した出庫予定情報に基づいて、以下のように行われる。
まず、管理装置38の制御部88は、車両情報に基づいて駐車エリアを決定する。具体的には、制御部88は、車両情報が「一般車両」の場合には専用一般エリア9Aと決定し、車両情報が「大型車両」の場合には専用大型エリア9Bと決定する。
【0106】
次に、制御部88は、出庫予定情報に含まれる出庫予定時刻に基づいて、上記決定されたエリア9A,9B内のいずれの位置に車両21を駐車させるかを決定する。
具体的には、制御部88は、出庫予定情報が早い場合には、専用出入口7(
図1参照)から近い位置にある空き駐車スペースを駐車位置として決定し、出庫予定情報が遅い場合には、専用出入口7から遠い位置にある空き駐車スペースを駐車位置として決定する。
【0107】
このように、管理装置38の制御部88は、車両情報に基づいて車両21の駐車位置を決定するので、車両の大きさによってその駐車エリアを容易に区別することができる。
また、制御部88は、出庫予定時刻が早い車両21を、出庫し易いように専用出入口7から近い駐車位置に駐車させるので、車両21が出庫するまでの時間を短縮することができ、駐車管理を効率的に行うことができる。
【0108】
次に、制御部88は、上記決定された駐車位置に車両21を移動させる際に妨げとなる駐車中の他の車両を一時的に退避させる「他車両の退避処理」を実行する(ステップS14)。この退避処理の詳細については後述する。
【0109】
制御部88は、他車両の退避処理が終了すると、「駐車指令」を含む制御フレームを生成し、その制御フレームを自律運転車両21に送信する指令を通信部91に出力する。通信部91は、前記指令に従って制御フレームを自律運転車両21の車両ID宛てで送信する(ステップS15)。
駐車指令には、携帯端末70から受信した通信フレームに格納された入庫要請情報(一時パスワード)と、上記ステップS13で決定された駐車位置を示す移動先情報とが含まれる。
【0110】
上記制御フレームは、自律運転車両21の車載通信機54で受信され、車載通信機54から中央制御部51に通知される。そして、この制御フレームを取得した中央制御部51は、権利認証としてパスワードの認証判定を行う(ステップS16)。
具体的には、中央制御部51は、制御フレームの駐車指令に含まれる一時パスワードと、上記ステップS11において携帯端末70から受信した通信フレームの入庫要請情報に含まれる一時パスワードとを比較し、両パスワードが一致するか否かを判定する。
【0111】
上記の判定結果が否定的である場合、中央制御部51は、ステップS19に移行し、認証が不成立であることを示す「認証不成立情報」を管理装置38及び携帯端末70に送信して、処理を終了する。
上記の判定結果が肯定的である場合、中央制御部51は、駐車指令に含まれる移動先情報に従って、自車両を自律運転モードで駐車位置まで移動して駐車させる制御を実行する(ステップS17)。
【0112】
中央制御部51は、自車両を駐車位置に駐車させた後は、自車両の駐車が完了したことを示す「駐車完了情報(移動完了情報)」を、車載通信機54により管理装置38及び携帯端末70に送信して(ステップS18)、処理を終了する。搭乗者24は、携帯端末70が駐車完了情報を受信することで、自車両が駐車されたことを把握することができる。
【0113】
管理装置38の制御部88は、自律運転車両21から駐車完了情報を受信すると、上記ステップS14において一時退避させた他の車両を、新たな駐車位置に駐車させる「他車両の再駐車処理」を実行して(ステップS20)、処理を終了する。この再駐車処理の詳細については後述する。
【0114】
以上のように、本実施形態の駐車管理システムによれば、管理装置38が、車両21に対して自律運転による移動を指示する権利を示す権利情報である一時パスワードを予め取得しておけば、車両21の移動先の位置を示す移動先情報を車両21に送信することで、車両21を移動先まで自律運転により移動させることができる。これにより、管理装置38側で自律運転車両21を移動させることができるため、自律運転車両21の駐車管理を効率的に行うことができる。
また、車両21の中央制御部51は、パスワード認証に成功したか否かを判定し、その判定結果が肯定的であることを条件として、自車両を自律運転により移動先の位置まで移動させる制御を実行するので、移動対象の車両と異なる車両が移動するのを防止することができる。
【0115】
<出庫管理制御>
図11は、管理装置38が実行する出庫管理制御のフローチャートである。
図11の例は、敷地内の専用エリア9に駐車されている自律運転車両21が、出入口6(
図1参照)付近で搭乗者24を搭乗させるために、無人の自律運転モードで専用エリア9から出庫するように指令された場合を想定している。なお、
図11中の丸印はフレームの受信を意味する。
【0116】
図11に示すように、搭乗者24は、携帯端末70から出庫要請情報を含む通信フレームを、場内の路側通信機31を介して管理装置38に送信する(ステップS31)。
次に、管理装置38は、携帯端末70から通信フレームを受信すると、パスワードの認証判定を行う(ステップS32)。具体的には、管理装置38の制御部88は、通信フレームの出庫要請情報に含まれる一時パスワードと、制御部88自身が予め有する一時パスワードとを比較し、両パスワードが一致するか否かを判定する。制御部88自身が予め有する一時パスワードは、自律運転車両21の入庫時(
図10のステップS11)に、通信部91が携帯端末70から取得した入庫要請情報に含まれる一時パスワードを記憶しておいたものである。
【0117】
上記の判定結果が否定的である場合、制御部88は、ステップS40に移行し、認証不成立情報を携帯端末70に送信して、処理を終了する。
上記の判定結果が肯定的である場合、制御部88は、出庫対象の車両21をその駐車位置から出庫させる際に妨げとなる駐車中の他の車両を一時的に退避させる「他車両の退避処理」を実行する(ステップS33)。この他車両の退避処理は、上述の入庫時に実行される他車両の退避処理(ステップS14)と同様の処理であり、詳細については後述する。
【0118】
制御部88は、他車両の退避処理が終了すると、「出庫指令」を含む制御フレームを生成し、その制御フレームを自律運転車両21に送信する指令を通信部91に出力する。通信部91は、前記指令に従って制御フレームを自律運転車両21の車両ID宛てで送信する(ステップS34)。
出庫指令には、携帯端末70から受信した通信フレームに格納された出庫要請情報(一時パスワード、及び搭乗者24の搭乗位置を示す移動先情報)が含まれる。
【0119】
上記制御フレームは、自律運転車両21の車載通信機54で受信され、車載通信機54から中央制御部51に通知される。そして、この制御フレームを取得した中央制御部51は、パスワードの認証判定を行う(ステップS35)。
具体的には、中央制御部51は、制御フレームの出庫指令に含まれる一時パスワードと、中央制御部51自身が予め有する一時パスワードとを比較し、両パスワードが一致するか否かを判定する。中央制御部51自身が予め有する一時パスワードは、自律運転車両21の入庫時(
図10のステップS11)に、車載通信機54が携帯端末70から取得した入庫要請情報に含まれる一時パスワードを記憶しておいたものである。
【0120】
上記の判定結果が否定的である場合、中央制御部51は、ステップS38に移行し、認証不成立情報を管理装置38及び携帯端末70に送信して、処理を終了する。管理装置38の制御部88は、認証不成立情報を受信すると、後述する他車両の再駐車処理を実行して(ステップS38)、処理を終了する。
上記の判定結果が肯定的である場合、中央制御部51は、出庫指令に含まれる移動先情報に従って、自車両を自律運転モードで搭乗位置まで移動させる制御を実行する(ステップS36)。
【0121】
中央制御部51は、自車両を搭乗位置まで移動させた後は、自車両の搭乗位置への移動が完了したことを示す「移動完了情報」を、車載通信機54により管理装置38及び携帯端末70に送信して(ステップS37)、処理を終了する。搭乗者24は、携帯端末70が移動完了情報を受信することで、自車両が搭乗位置まで移動したことを把握することができる。
【0122】
管理装置38の制御部88は、自律運転車両21から移動完了情報を受信すると、上記ステップS33において一時退避させた他の車両を、新たな駐車位置に駐車させる「他車両の再駐車処理」を実行して(ステップS39)、処理を終了する。この他車両の再駐車処理は、上述の入庫時に実行される他車両の再駐車処理(ステップS20)と同様の処理であり、詳細については後述する。
【0123】
以上のように、自律運転車両21の中央制御部51は、出庫要請情報を受信すると、パスワードの認証判定を行い、その判定結果が肯定的であることを条件として、自車両を自律運転により搭乗位置まで移動させる制御を実行する。これにより、出庫要請された車両と異なる車両が搭乗位置へ移動するのを防止することができる。
【0124】
<他車両の退避処理>
図12は、管理装置38が実行する他車両の退避処理のフローチャートである。
図12の例は、自律運転車両21の入庫時に、当該車両21を所定の駐車位置に駐車させる際に妨げとなる駐車中の他の車両を一時的に退避させる場合や、出庫対象の車両21をその駐車位置から出庫させる際に妨げとなる駐車中の他の車両を一時的に退避させる場合を想定している。なお、
図12中の丸印はフレームの受信を意味する。
【0125】
入庫時に上記退避処理が行われる具体的としては、
図1に示すように、例えば、専用一般エリア9Aの駐車区画13において、車両21を南西の角部の空き駐車スペースである駐車位置13Aに車両21を駐車させるが考えられる。この場合、駐車位置13Aよりも北側の駐車位置13B,13Cには他の車両が駐車されており、これらの他の車両により駐車位置13Aへの駐車が妨げられる。このため、これらの他の車両を、一時的に退避位置(例えば、他の空き駐車スペースである駐車位置13D,13E)へ退避させる必要がある。
【0126】
出庫時に上記退避処理が行われる具体的としては、
図1に示すように、例えば、専用一般エリア9Aの駐車区画13において、車両21を南東の角部の空き駐車スペースである駐車位置13Fに車両21を駐車させる場合が考えられる。この場合、駐車位置13Aよりも北側の駐車位置13G,13Hに他の車両が駐車されており、これらの他の車両により駐車位置13Fへの駐車が妨げられる。このため、これらの他の車両を、一時的に退避位置(例えば、他の空き駐車スペースである駐車位置13D,13E)へ退避させる必要がある。
【0127】
図12に示すように、管理装置38の制御部88は、まず、退避させる必要がある他の車両と、その退避順序を決定する(ステップS51)。
上記入庫時の具体例では、制御部88は、駐車位置13B,13Cに駐車中の車両を、退避させる必要がある他の車両として決定する。また、制御部88は、退避順序として、例えば、先に駐車位置13Cの車両を退避させ、その次に駐車位置13Bの車両を退避させるという順序に決定する。
上記出庫時の具体例では、制御部88は、駐車位置13G,13Hに駐車中の車両21を、退避させる必要がある他の車両として決定する。また、制御部88は、退避順序として、例えば、先に駐車位置13Hの車両を退避させ、その次に駐車位置13Gの車両を退避させるという順序に決定する。
【0128】
次に、制御部88は、退避させる必要がある車両が存在するか否かを判定する(ステップS52)。
上記の判定結果が否定的である場合、制御部88は、処理を終了する。
上記の判定結果が肯定的である場合、制御部88は、他の車両の退避位置を決定する(ステップS53)。
【0129】
他の車両の退避位置は、具体的には以下のようにして決定される。
上記入庫時の具体例では、制御部88は、例えば、駐車位置13Bに駐車中の車両の退避位置を駐車位置13Dに決定し、駐車位置13Cに駐車中の車両の退避位置を駐車位置13Eに決定する。
上記出庫時の具体例では、制御部88は、例えば、駐車位置13Gに駐車中の車両の退避位置を駐車位置13Dに決定し、駐車位置13Hに駐車中の車両の退避位置を駐車位置13Eに決定する。
【0130】
次に、制御部88は、「退避指令」を含む制御フレームを生成し、その制御フレームを退避対象の他の車両に送信する指令を通信部91に出力する。通信部91は、前記指令に従って制御フレームを当該他の車両の車両ID宛てで送信する(ステップS54)。
退避指令には、退避対象の他の車両の入庫時にその搭乗者の携帯端末70から管理装置38が取得した入庫要請情報(一時パスワード)と、上記ステップS53で決定された退避位置を示す情報である移動先情報とが含まれる。
【0131】
上記制御フレームは、自律運転車両21の車載通信機54で受信され、車載通信機54から中央制御部51に通知される。そして、この制御フレームを取得した中央制御部51は、パスワードの認証判定を行う(ステップS55)。
具体的には、中央制御部51は、制御フレームの退避指令に含まれる一時パスワードと、中央制御部51自身が予め有する一時パスワードとを比較し、両パスワードが一致するか否かを判定する。中央制御部51自身が予め有する一時パスワードは、退避対象の他の車両の入庫時に、その搭乗者の携帯端末70から車載通信機54が取得した入庫要請情報に含まれる一時パスワードを記憶しておいたものである。
【0132】
上記の判定結果が否定的である場合、中央制御部51は、ステップS58に移行し、認証不成立情報を管理装置38に送信して、処理を終了する。管理装置38の制御部88は、認証不成立情報を受信すると、後述するステップS59の判定を行う。
上記の判定結果が肯定的である場合、中央制御部51は、退避指令に含まれる移動先情報に従って、自車両を自律運転モードで退避位置まで移動させる制御を実行する(ステップS56)。
【0133】
中央制御部51は、自車両を退避位置まで移動させた後は、自車両の退避位置への移動が完了したことを示す「退避完了情報」を、車載通信機54により管理装置38に送信して(ステップS57)、処理を終了する。
管理装置38の制御部88は、他の車両から退避完了情報を受信すると、退避させる必要がある全車両の退避位置への移動が完了したか否かを判定する(ステップS59)。
【0134】
上記の判定結果が肯定的である場合、制御部88は、処理を終了する。
上記の判定結果が否定的である場合、制御部88は、ステップS53に戻り、退避位置への移動が完了していない他の車両について退避処理を行う。
【0135】
以上のように、管理装置38は、他車両の退避処理を実行することで、車両21を入庫又は出庫する際に、その入庫又は出庫を妨げている駐車中の他の車両を一時的に退避位置へ移動させることができる。これにより、自律運転車両21の入庫又は出庫を効率的に行うことができる。
【0136】
<他車両の再駐車処理>
図13は、管理装置38が実行する他車両の再駐車処理のフローチャートである。
図13の例は、自律運転車両21の入庫時又は出庫時に、上述の他車両の退避処理により一時的に退避させた他の車両を新たな駐車位置に駐車させる場合を想定している。なお、
図13中の丸印はフレームの受信を意味する。
【0137】
入庫時に上記再駐車処理が行われる具体的としては、
図1に示すように、例えば、専用一般エリア9Aの駐車区画13において、駐車位置13Aに車両を駐車させるために、駐車位置13B,13Cに駐車中の車両を退避位置(例えば駐車位置13D,13E)に一時的に退避させた後、元の駐車位置13B,13Cに駐車させる場合が考えられる。
出庫時に上記再駐車処理が行われる具体的としては、
図1に示すように、例えば、専用一般エリア9Aの駐車区画13において、駐車位置13Fの車両を出庫させるために、駐車位置13G,13Hに駐車中の車両を退避位置(例えば駐車位置13D,13E)に一時的に退避させた後、新たな空き駐車スペースである駐車位置13F,13Gに駐車させる場合が考えられる。
【0138】
図13に示すように、管理装置38の制御部88は、まず、再駐車させる必要がある他の車両と、その再駐車の順序を決定する(ステップS71)。
上記入庫時及び出庫時の具体例では、制御部88は、駐車位置13D,13Eに退避させた車両を、再駐車させる必要がある他の車両として決定する。また、制御部88は、再駐車の順序として、先に駐車位置13Dの車両を再駐車させ、その次に駐車位置13Eの車両を再駐車させるという順序に決定する。
【0139】
次に、制御部88は、再駐車させる必要がある車両が存在するか否かを判定する(ステップS72)。
上記の判定結果が否定的である場合、制御部88は、処理を終了する。
上記の判定結果が肯定的である場合、制御部88は、他の車両の新たな駐車位置を決定する(ステップS73)。
【0140】
他の車両の新たな駐車位置は、具体的には以下のようにして決定される。
上記入庫時の具体例では、制御部88は、例えば、駐車位置13Dに退避中の車両の新たな駐車位置を駐車位置13Bに決定し、駐車位置13Eに退避中の車両の新たな駐車位置を駐車位置13Cに決定する。
上記出庫時の具体例では、制御部88は、例えば、駐車位置13Dに退避中の車両の新たな駐車位置を駐車位置13Fに決定し、駐車位置13Eに退避中の車両の新たな駐車位置を駐車位置13Gに決定する。
【0141】
次に、制御部88は、「駐車指令」を含む制御フレームを生成し、その制御フレームを再駐車対象の他の車両に送信する指令を通信部91に出力する。通信部91は、前記指令に従って制御フレームを当該他の車両の車両ID宛てで送信する(ステップS74)。
駐車指令には、再駐車対象の他の車両の入庫時にその搭乗者の携帯端末70から管理装置38が取得した入庫要請情報(一時パスワード)と、上記ステップS73で決定された新たな駐車位置を示す情報である移動先情報とが含まれる。
【0142】
上記制御フレームは、自律運転車両21の車載通信機54で受信され、車載通信機54から中央制御部51に通知される。そして、この制御フレームを取得した中央制御部51は、パスワードの認証判定を行う(ステップS75)。
具体的には、中央制御部51は、制御フレームの駐車指令に含まれる一時パスワードと、中央制御部51自身が予め有する一時パスワードとを比較し、両パスワードが一致するか否かを判定する。中央制御部51自身が予め有する一時パスワードは、再駐車対象の他の車両の入庫時に、その搭乗者の携帯端末70から車載通信機54が取得した入庫要請情報に含まれる一時パスワードを記憶しておいたものである。
【0143】
上記の判定結果が否定的である場合、中央制御部51は、ステップS78に移行し、認証不成立情報を管理装置38に送信して、処理を終了する。管理装置38の制御部88は、認証不成立情報を受信すると、後述するステップS79の判定を行う。
上記の判定結果が肯定的である場合、中央制御部51は、駐車指令に含まれる移動先情報に従って、自車両を自律運転モードで新たな駐車位置まで移動させる制御を実行する(ステップS76)。
【0144】
中央制御部51は、自車両を新たな駐車位置まで移動させた後は、自車両の新たな駐車位置への移動が完了したことを示す「駐車完了情報」を、車載通信機54により管理装置38及び携帯端末70に送信して(ステップS77)、処理を終了する。搭乗者24は、携帯端末70が駐車完了情報を受信することで、自車両が新たな駐車位置に駐車されたことを把握することができる。
管理装置38の制御部88は、他の車両から駐車完了情報を受信すると、再駐車させる必要がある全車両の新たな駐車位置への移動が完了したか否かを判定する(ステップS79)。
【0145】
上記の判定結果が肯定的である場合、制御部88は、処理を終了する。
上記の判定結果が否定的である場合、制御部88は、ステップS73に戻り、新たな駐車位置への移動が完了していない他の車両について再駐車処理を行う。
【0146】
以上のように、管理装置38は、他車両の再駐車処理を実行することで、車両21を入庫又は出庫した後に、一時的に退避させていた他の車両を新たな駐車位置に駐車させることができる。これにより、自律運転車両21の入庫又は出庫を効率的に行うことができる。
【0147】
<出口の混雑予測処理>
図14は、管理装置38が実行する出口の混雑予測処理のフローチャートである。
図14の例は、敷地内の専用エリア9に駐車中の自律運転車両21が出庫する予定時刻において、駐車場2の西側の出口(以下、「西出口」ともいう)5A、及び東側の出口(以下、「東出口」ともいう)5Bの混雑状況を予測する場合を想定している。
【0148】
図14に示すように、管理装置38の制御部88は、自律運転車両21の搭乗者24の携帯端末70から、場内の路側通信機31を介して、通信フレームに含まれる出庫予定情報を取得する(ステップS91)。
次に、制御部88は、取得した出庫予定情報等に基づいて、「各出口の混雑予測処理」を実行する(ステップS92)。
【0149】
図15は、管理装置38が実行する出口の混雑予測処理の一例を示す表である。
図15に示すように、管理装置38の制御部88は、まず専用エリア9に駐車されている全ての自律運転車両21から取得した出庫予定情報に基づいて、各出口5A,5Bの出庫予定台数を、所定の時間間隔毎(図例では19:00〜22:00の間において15分毎)に算出する。
【0150】
そして、制御部88は、各出口・各時刻の出庫予定台数と、予め定められた「混雑閾値」との比較に基づいて、混雑状況を予測する。
具体的には、制御部88は、出庫予定台数が混雑閾値以上である場合は「混雑する」と予測し、出庫予定台数が混雑閾値未満である場合は「混雑しない」と予測する。
したがって、
図15の例では、ハッチングで示す部分、すなわち、東出口5Bは、19:45、20:00及び20:15の各時刻において混雑すると予測され、西出口5Aは、20:15及び20:30の各時刻が混雑すると予測される。
【0151】
なお、本実施形態では、出庫予定台数に基づいて各出口の混雑状況を予測しているが、これに加えて各出口5A,5Bから合流する道路の交通渋滞等を勘案して混雑状況を予測するようにしても良い。
また、各出口の混雑予測処理の対象となる車両の駐車エリアは、専用エリア9に替えて、又は専用エリア9と共に、混在エリア8を適用しても良い。
【0152】
図14に戻り、制御部88は、ステップS92の各出口の混雑予測処理を実行した後、各出口に混雑する時刻があるか否かを判定する(ステップS93)。
上記の判定結果が否定的である場合、制御部88は、ステップ91に戻る。
上記の判定結果が肯定的である場合、制御部88は、各出口・各時刻で予測した混雑状況を解消するために必要な「必要車両台数」を算出する(ステップS94)。
【0153】
前記必要車両台数は、次の式を用いて算出される。
必要車両台数=各出口・各時刻の出庫予定台数−(混雑閾値−1)
例えば、
図15の例では、東出口の20:00の混雑を解消するために必要な必要車両台数は、上記式を用いて、34−(30−1)=5台となる。
【0154】
次に、制御部88は、混雑が予測される出口・時刻に出庫する全ての車両21の搭乗者24のうちから所定数の搭乗者を抽出する(ステップS95)。
具体的には、制御部88は、前記全ての車両21の搭乗者24の携帯端末70から取得した通信フレームに含まれる携帯IDのうち、通信フレームの出庫予定情報に含まれる許容遅れ時間が大きい順に、当該許容遅れ時間が所定値以上となる第1所定数の携帯IDを抽出する。
【0155】
また、制御部88は、前記全ての車両21の搭乗者24の携帯端末70から取得した通信フレームに含まれる携帯IDのうち、通信フレームの出庫予定情報に含まれる許容遅れ時間が小さい順に、当該許容遅れ時間が所定値未満となる第2所定数の携帯IDを抽出する。ここで、「所定値未満となる第2所定数」の「所定値」は、上述の「所定値以上となる第1所定数」の「所定値」と同じ値の場合であっても良いし、異なる値であっても良い。
なお、前記第1所定数及び第2所定数は、次の関係式を満たすように設定される。
第1所定数+第2所定数≧必要車両台数
【0156】
次に、制御部88は、混雑する出口・時刻を示す「混雑情報」、及び出庫予定情報の変更を促す情報を含む制御フレームを生成し、その制御フレームを、許容遅れ時間が所定値以上の第1所定数の搭乗者24、及び許容遅れ時間が所定値未満の第2所定数の搭乗者24の携帯端末70に送信する指令を通信部91に出力する。通信部91は、前記指令に従って前記制御フレームを携帯端末70の携帯ID宛てで送信する(ステップS96)。
【0157】
制御部88は、前記制御フレームを送信した搭乗者24全員から回答されるまで、又は所定時間が経過するまで待機した後(ステップS97)、ステップS92に戻り、再び各出口の混雑予測処理を行う。
なお、制御部88は、前記搭乗者24から回答を得た結果、出庫予定を変更する車両が所定台数よりも少ない場合には、再度、前記出庫予定情報の変更を促す情報等を含む制御フレームを携帯端末70の携帯ID宛てで送信する指令を通信部91に出力しても良い。但し、この場合には、過去に送信した携帯端末70の携帯ID以外の携帯ID宛てで送信するのが好ましい。
【0158】
以上のように、本実施形態の駐車管理システムによれば、管理装置38の制御部88が、各車両21の出庫予定時刻に基づいて駐車エリアの出口5A,5Bの混雑状況を予測し、混雑すると予測した車両21の搭乗者24に対して出庫予定情報の変更を促す情報を送信する。したがって、出庫の変更を促された搭乗者24が例えば車両21の出庫予定時刻を変更することで、各車両21の出庫予定時刻がばらつき、駐車中の車両21が出庫するときの混雑を抑制することができる。
【0159】
また、制御部88は、予測した混雑状況を解消するために必要な必要車両台数以上の所定数の搭乗者24に対して、出庫予定情報の変更を促す情報を送信するので、これら所定数の搭乗者24が例えば車両21の出庫予定時刻を変更することで、予測した混雑状況を効果的に解消することができる。
【0160】
<出庫予定情報の変更処理>
(許容遅れ時間が所定値以上の場合)
図16は、許容遅れ時間が所定値以上の搭乗者24の携帯端末70の表示部123に表示される出庫予定情報の変更を促す情報の一例を示している。
携帯端末70の制御部121は、通信部120が管理装置38から上記制御フレームを受信すると、その制御フレームに基づいて表示部123に所定の出力指令を出す。その出力指令を受けた表示部123は、
図16に示すように、出庫予定出口の渋滞が予測される旨のメッセージを表示するとともに、出庫予定情報の変更を選択する応答ボタンを表示する。
【0161】
図例では、上記応答ボタンとして、「出庫を遅らせる」、「出庫予定出口を変更する」、及び「予定通り出庫する」の3種類のボタンが表示される。
これらのボタンのうち、「出庫を遅らせる」は、車両21の出庫予定時刻を遅らせることを提案するものであり、「出庫予定出口を変更する」は、車両21の出庫予定出口の変更を促すものである。なお、図例では、前記応答ボタンとして、「出庫を遅らせる」及び「出庫予定出口を変更する」を表示しているが、少なくとも一方が表示されていれば良い。
【0162】
図17(a)は、
図16の画面において「出庫を遅らせる」を選択した場合に、表示部123が表示する画面の一例である。
図17(a)に示すように、表示部123は、現在時刻及び変更前の出庫予定時刻を表示するとともに、変更後の出庫予定時刻を選択する応答ボタンを表示する。この応答ボタンは、制御フレームに含まれる混雑情報に基づいて生成される。
【0163】
図17(a)の例では、変更前の出庫予定時刻から1時間後までの所定時間毎の時刻が、応答ボタンとして表示される。
したがって、図例では、「20:15」、「20:30」、「20:45」及び「21:00」が応答ボタンとして表示される。
【0164】
これら応答ボタンとして表示される表示時刻のうち、混雑すると予測された表示時刻には、その表示時刻の横に「混」と表示して当該表示時刻の選択が不可とされ、混雑しないと予測された表示時刻には、その表示時刻の横に「空」と表示して当該表示時刻の選択が可能とされる。
図例では、「20:15」は、その横に「混」と表示されているため、搭乗者24は、当該表示時刻を選択することはできない。一方、「20:30」、「20:45」及び「21:00」は、これらの横に「空」と表示されているため、搭乗者24は、これらの表示時刻のいずれかを選択することができる。
【0165】
図17(b)は、
図17(a)の画面において、例えば「20:30」を選択した場合に、表示部123が表示する画面の一例である。
図17(b)に示すように、表示部123は、現在時刻及び変更後の出庫予定時刻を表示するとともに、搭乗者に付与される特典であるクーポンを選択する応答ボタンを表示する。図例では、「駐車場割引券」及び「店内割引券」の2種類の応答ボタンを表示する。搭乗者24は、これら2種類の応答ボタンのいずれかを選択することができる。
なお、前記クーポンは、搭乗者24が出庫予定時刻を遅らせた時間に応じて割引額を変更し、その割引額を表示部123に表示させるようにしても良い。
【0166】
搭乗者24がクーポンの選択を終了すると、携帯端末70の制御部121は、通信フレームの格納領域A7に、変更後の出庫予定時刻を格納するとともに、選択したクーポンを特典情報として格納する。
そして、制御部121は、前記通信フレームを管理装置38に送信する指令を通信部120に出力する。通信部120は、前記指令に従って制御フレームを管理装置38に送信する。
【0167】
図18(a)は、
図16の画面において、「出庫予定出口を変更する」を選択した場合に、表示部123が表示する画面の一例である。
図18(a)に示すように、表示部123は、変更前の出庫予定出口を表示するとともに、変更後の出庫予定出口を選択する応答ボタンを表示する。この応答ボタンは、制御フレームに含まれる混雑情報に基づいて生成される。
【0168】
図18(a)の例では、変更前の出庫予定出口の「東出口」以外の出口である「西出口」が応答ボタンとして表示される。その表示出口は、混雑すると予測された場合には、その表示出口の横に「混」と表示して当該表示出口の選択が不可とされ、混雑しないと予測された場合には、その表示出口の横に「空」と表示して当該表示出口の選択が可能とされる。
図例では、「西出口」の横に「空」と表示されているため、搭乗者24は、この「西出口」を選択することができる。
【0169】
図18(b)は、
図18(a)の画面において、「西出口」を選択した場合に表示部123が表示する画面の一例である。
図18(b)に示すように、表示部123は、変更後の出庫予定出口を表示するとともに、搭乗者に付与される特典であるクーポンを選択する応答ボタンを表示する。この応答ボタンは、
図17(b)で表示される応答ボタンと同一であるため、その説明は省略する。
【0170】
搭乗者24がクーポンの選択を終了すると、携帯端末70の制御部121は、通信フレームの格納領域A7に、変更後の出庫予定出口を格納するとともに、選択したクーポンを特典情報として格納する。
そして、制御部121は、前記通信フレームを管理装置38に送信する指令を通信部120に出力する。通信部120は、前記指令に従って制御フレームを管理装置38に送信する。
【0171】
図19は、
図16の画面において、「予定通り出庫する」を選択した場合に、表示部123が表示する画面の一例である。
図19に示すように、表示部123は、出庫予定時刻及び出庫予定出口に変更がない旨のメッセージを表示するとともに、現在時刻、出庫予定時刻及び出庫予定出口を表示する。
この場合、出庫予定情報や特典情報に変更はないため、携帯端末70の制御部121は、管理装置38に対して通信フレームを送信することなく、処理を終了する。
【0172】
以上のように、管理装置38の制御部88は、混雑すると予測した車両21の搭乗者24に対して、出庫予定時刻の変更を促す情報を送信する。したがって、出庫予定時刻の変更を促された搭乗者24は、出庫予定時刻を変更することで、各車両21の出庫予定時刻がばらつき、駐車中の車両21が出庫するときの混雑を抑制することができる。
また、制御部88は、混雑すると予測した出口から出庫予定の車両21の搭乗者24に対して、出庫予定出口の変更を促す情報を送信する。したがって、出庫予定出口の変更を促された搭乗者24は、出庫予定出口を変更することで、各車両21の出庫予定出口がばらつき、駐車中の車両21が出庫するときの混雑を抑制することができる。
【0173】
また、制御部88は、出庫予定時刻に対する許容遅れ時間が所定値以上の車両21の搭乗者24に対して、出庫予定時刻を遅らせることを提案するので、この搭乗者24が車両21の出庫予定時刻を遅らせる可能性が高まり、各車両21の出庫予定時刻を効果的にばらつかせることができる。
また、制御部88は、出庫予定時刻を遅らせる提案に応じて、出庫予定時刻を変更した搭乗者24に対して、特典(クーポン)を付与するので、上記提案を打診された搭乗者24が車両21の出庫予定時刻を遅らせる可能性がさらに高まり、各車両21の出庫予定時刻を効果的にばらつかせることができる。
【0174】
また、制御部88は、出庫予定出口の変更を促す情報に応じて、出庫予定出口を変更した搭乗者24に対して、特典(クーポン)を付与するので、出庫予定出口の変更を促された搭乗者24が車両21の出庫予定出口を変更する可能性がさらに高まり、各車両21の出庫予定出口を効果的にばらつかせることができる。
【0175】
(許容遅れ時間が所定値未満の場合)
図20は、許容遅れ時間が所定値未満の搭乗者24の携帯端末70の表示部123に表示される出庫予定情報の変更を促す情報の一例を示している。
携帯端末70の制御部121は、通信部120が管理装置38から上記制御フレームを受信すると、その制御フレームに基づいて表示部123に所定の出力指令を出す。その出力指令を受けた表示部123は、
図20に示すように、出庫予定出口の渋滞が予測される旨のメッセージを表示するとともに、出庫予定情報の変更を選択する応答ボタンを表示する。
【0176】
図例では、上記応答ボタンとして、「出庫を早める」、「出庫予定出口を変更する」、及び「予定通り出庫する」の3種類のボタンが表示される。
これらのボタンのうち、「出庫を早める」は、車両21の出庫予定時刻を早めることを提案するものであり、「出庫予定出口を変更する」は、車両21の出庫予定出口の変更を促すものである。なお、図例では、前記応答ボタンとして、「出庫を早める」及び「出庫予定出口を変更する」を表示しているが、少なくとも一方が表示されていれば良い。
【0177】
図21(a)は、
図20の画面において「出庫を早める」を選択した場合に、表示部123が表示する画面の一例である。
図21(a)に示すように、表示部123は、現在時刻及び変更前の出庫予定時刻を表示するとともに、変更後の出庫予定時刻を選択する応答ボタンを表示する。この応答ボタンは、制御フレームに含まれる混雑情報に基づいて生成される。
【0178】
図21(a)の例では、変更前の出庫予定時刻から1時間前までの所定時間毎の時刻が、応答ボタンとして表示される。なお、これらの時刻のうち、現在時刻よりも早い時刻がある場合は、その時刻は表示されない。
したがって、図例では、「19:15」、「19:30」、「19:45」が応答ボタンとして表示される。
【0179】
これら応答ボタンとして表示される表示時刻のうち、混雑すると予測された表示時刻には、その表示時刻の横に「混」と表示して当該表示時刻の選択が不可とされ、混雑しないと予測された表示時刻には、その表示時刻の横に「空」と表示して当該表示時刻の選択が可能とされる。
図例では、「19:15」及び「19:30」は、これらの横に「空」と表示されているため、搭乗者24は、これらの表示時刻のいずれかを選択することができる。一方、「19:45」は、その横に「混」と表示されているため、搭乗者24は、当該表示時刻を選択することはできない。
【0180】
図21(b)は、
図21(a)の画面において、例えば「19:15」を選択した場合に、表示部123が表示する画面の一例である。
図21(b)に示すように、表示部123は、現在時刻及び変更後の出庫予定時刻を表示するとともに、搭乗者に付与される特典であるクーポンを選択する応答ボタンを表示する。図例では、「駐車場割引券」及び「店内割引券」の2種類の応答ボタンを表示する。搭乗者24は、これら2種類の応答ボタンのいずれかを選択することができる。
なお、前記クーポンは、搭乗者24が出庫予定時刻を早めた時間に応じて割引額を変更し、その割引額を表示部123に表示させるようにしても良い。
【0181】
搭乗者24がクーポンの選択を終了すると、携帯端末70の制御部121は、通信フレームの格納領域A7に、変更後の出庫予定時刻を格納するとともに、選択したクーポンを特典情報として格納する。
そして、制御部121は、前記通信フレームを管理装置38に送信する指令を通信部120に出力する。通信部120は、前記指令に従って制御フレームを管理装置38に送信する。
【0182】
なお、
図20の画面において、「出庫予定出口を変更する」を選択した場合に表示される画面は、上述の許容遅れ時間が所定値以上の場合に表示される
図18(a),(b)と同一の画面であるため、その説明は省略する。
同様に、
図20の画面において、「予定通り出庫する」を選択した場合に表示される画面は、上述の許容遅れ時間が所定値以上の場合に表示される
図19と同一の画面であるため、その説明は省略する。
【0183】
以上のように、制御部88は、出庫予定時刻に対する許容遅れ時間が所定値未満の車両21の搭乗者24に対して、出庫予定時刻を早めることを提案するので、この搭乗者24が車両21の出庫予定時刻を早める可能性が高まり、各車両21の出庫予定時刻を効果的にばらつかせることができる。
また、制御部88は、出庫予定時刻を早める提案に応じて、出庫予定時刻を変更した搭乗者24に対して、特典(クーポン)を付与するので、上記提案を打診された搭乗者24が車両21の出庫予定時刻を早める可能性がさらに高まり、各車両21の出庫予定時刻を効果的にばらつかせることができる。
【0184】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。