(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶部は、前記燃料電池システムが起動運転、発電運転または停止運転中において、前記オン信号である前記流れ有無検知スイッチの出力が前記オフ信号になった場合に前記記憶を行い、
前記設定部は、前記記憶部に記憶された前記切替制御指令値に基づいて前記設定を行う請求項1乃至請求項3の何れか一項記載の燃料電池システム。
前記切替制御指令値は、前記オフ信号である前記流れ有無検知スイッチの出力が前記オン信号に切り替わるときの前記換気ファンの駆動量に相当する前記換気ファンの制御指令値である請求項1乃至請求項4の何れか一項記載の燃料電池システム。
前記切替制御指令値は、前記流れ有無検知スイッチの出力が前記オフ信号から前記オン信号に切り替わる場合のオン制御指令値と、前記流れ有無検知スイッチの出力が前記オン信号から前記オフ信号に切り替わる場合のオフ制御指令値と、を有し、
前記流れ有無検知スイッチは、前記オン制御指令値に相当する前記流体の第一流量が、前記オフ制御指令値に相当する前記流体の第二流量よりも大きくなるヒステリシスを有し、
前記制御装置は、前記ヒステリシスを考慮して、前記設定部によって設定された前記換気ファンの最小制御指令値の補正を行う補正部をさらに備えている請求項1乃至請求項5の何れか一項記載の燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による燃料電池システムの第一実施形態について説明する。なお、本明細書においては説明の便宜上、
図1および
図2における上側および下側をそれぞれ燃料電池システムの上方および下方として説明する。
図1に示すように、燃料電池システムは、発電ユニット10および貯湯槽21を備えている。発電ユニット10は、筐体10a、燃料電池モジュール11、熱交換器12、インバータ装置13、水タンク14、および制御装置15を備えている。
【0014】
燃料電池モジュール11は、後述するように燃料電池34を少なくとも含んで構成されるものである。燃料電池モジュール11は、改質用原料、改質水およびカソードエアが供給されている。具体的には、燃料電池モジュール11は、一端が供給源Gsに接続されて改質用原料が供給される改質用原料供給管11aの他端が接続されている。改質用原料供給管11aは、原料ポンプ11a1が設けられている。さらに、燃料電池モジュール11は、一端が水タンク14に接続されて改質水が供給される水供給管11bの他端が接続されている。水供給管11bは、改質水ポンプ11b1が設けられている。さらに、燃料電池モジュール11は、一端がカソードエアブロワ11c1に接続されてカソードエアが供給されるカソードエア供給管11cの他端が接続されている。
【0015】
熱交換器12は、燃料電池モジュール11から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽21からの貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水とが熱交換する熱交換器である。具体的には、貯湯槽21は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水が循環する(図にて矢印の方向に循環する)貯湯水循環ライン22が接続されている。貯湯水循環ライン22上には、貯湯槽21の下端から上端に向かって順番に貯湯水循環ポンプ22aおよび熱交換器12が配設されている。熱交換器12は、燃料電池モジュール11からの排気管11dが接続(貫設)されている。熱交換器12は、水タンク14に接続されている凝縮水供給管12aが接続されている。
【0016】
熱交換器12において、燃料電池モジュール11からの燃焼排ガスは、排気管11dを通って熱交換器12内に導入され、貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは排気管11dを通り燃焼排気用ダクト52(後述する)を通って外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管12aを通って水タンク14に供給される。なお、水タンク14は、凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化するようになっている。
【0017】
上述した熱交換器12、貯湯槽21および貯湯水循環ライン22から、排熱回収システム20が構成されている。排熱回収システム20は、燃料電池モジュール11の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
【0018】
さらに、インバータ装置13は、燃料電池34から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して、交流の系統電源16aおよび外部電力負荷16c(例えば電化製品)に接続されている電源ライン16bに出力する。また、インバータ装置13は、系統電源16aからの交流電圧を電源ライン16bを介して入力し所定の直流電圧に変換して補機(各ポンプ、ブロワなど)や制御装置15に出力する。なお、制御装置15は、補機を駆動して燃料電池システムの運転を制御する。
【0019】
燃料電池モジュール11(30)は、ケーシング31、蒸発部32、改質部33および燃料電池34を備えている。ケーシング31は、断熱性材料で箱状に形成されている。
蒸発部32は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部32は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部33に供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPガスなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
【0020】
蒸発部32には、一端(下端)が水タンク14に接続された水供給管11bの他端が接続されている。また、蒸発部32には、一端が供給源Gsに接続された改質用原料供給管11aが接続されている。供給源Gsは、例えば都市ガスのガス供給管、LPガスのガスボンベである。
【0021】
改質部33は、上述した燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部32から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部33内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素などを含んだガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部33は改質用原料(原燃料)と改質水とから改質ガス(燃料)を生成して燃料電池34に供給する。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
【0022】
燃料電池34は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル34aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池34の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。動作温度は400〜1000℃程度である。水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなども直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部33は省略することができる。
【0023】
セル34aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路34bが形成されている。セル34aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路34cが形成されている。
【0024】
燃料電池34は、マニホールド35上に設けられている。マニホールド35には、改質部33からの改質ガスが改質ガス供給管38を介して供給される。燃料流路34bは、その下端(一端)がマニホールド35の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ11c1によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管11cを介して供給され、空気流路34cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
【0025】
燃焼部36は、燃料電池34と蒸発部32および改質部33との間に設けられている。燃焼部36は、燃料電池34からのアノードオフガス(燃料オフガス)と燃料電池34からのカソードオフガス(酸化剤オフガス)とが燃焼されて改質部33を加熱する。
【0026】
燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されて火炎37が発生している。燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されてその燃焼排ガスが発生している。燃焼部36には、アノードオフガスを着火させるための一対の着火ヒータ36a1,36a2が設けられている。
【0027】
筐体10aは、中パネル10bによって燃料電池室R1と排気ダクト室R2に区画されている。燃料電池室R1内には、燃料電池モジュール11、熱交換器12、インバータ装置13、水タンク14、および制御装置15が配置されている。排気ダクト室R2内には、換気排気用ダクト51および燃焼排気用ダクト52が配置されている。
【0028】
中パネル10bは、燃料電池室R1内に外気を吸い込むための吸気口10c、燃料電池室R1内の空気を外部に排出するための換気用排気口10d、および熱交換器12からの燃焼排ガスを外部に排出するための燃焼排ガス用排気口10eが形成されている。吸気口10cには、逆止弁41が設けられている。逆止弁41は、排気ダクト室R2から燃料電池室R1への空気の流れは許容するが、逆方向の流れを規制するものである。
【0029】
換気用排気口10dには、換気ファン42が設けられている。換気ファン42は、燃料電池室R1内の空気を外部に送出するものである。換気用排気口10dには、換気排気用ダクト51が接続されている。換気排気用ダクト51の他端は、煙突部53の内管53aに接続されている。換気ファン42が駆動されると、燃料電池室R1内の空気(換気排気)は、換気用排気口10d、換気排気用ダクト51および煙突部53の内管53aを通って外部に排出される(破線の矢印で示す)。
【0030】
燃焼排ガス用排気口10eには、燃焼排気用ダクト52の一端が接続されている。燃焼排気用ダクト52の他端は、換気排気用ダクト51に合流されている。燃料電池システムの発電中において、燃料電池モジュール11から排出される燃焼排ガスは、燃焼排ガス用排気口10e、および燃焼排気用ダクト52を通って換気排気用ダクト51に導出され(一点破線の矢印で示す)、換気排気と合流されて、換気排気用ダクト51および煙突部53の内管53aを通って外部に排出される。
煙突部53は、2重管構造であり、内管53aと外管53bとから構成されている。内管53aと外管53bとの間に、吸気用流路FP1が形成されている。吸気用流路FP1は、外部と排気ダクト室R2と連通している。外気は、吸気用流路FP1を通って排気ダクト室R2内に流入(吸気)される。
【0031】
また、燃料電池システムは、温度センサ17および流れ有無検知スイッチ60をさらに備えている。温度センサ17は、筐体10a内に配設され、筐体10a内を流通する流体の温度Thを検出するものである。
流れ有無検知スイッチ60は、換気ファン42による筐体10a内の換気が行われる際に、換気に伴って流れる流体の流路上に配設され、流体の流れの有無を検出するものである。流れ有無検知スイッチ60は、圧力導入部61およびスイッチ部62を備えている。
【0032】
圧力導入部61は、換気排気用ダクト51内に配設され、流体の圧力をスイッチ部62に導入するものである。上述したように、燃焼排ガスが燃焼排気用ダクト52を通って換気排気用ダクト51内に流入するため、流れ有無検知スイッチ60が導入する流体の圧力は、換気排気および燃焼排ガスの少なくとも一方の流体の圧力である。
圧力導入部61は、一般的なピトー管と同様な機能を有する。圧力導入部61は、
図2に示すように、絞り管61a、第一圧力導入管61bおよび第二圧力導入管61cを備えている。
【0033】
絞り管61aは、中空円筒状に形成され、流体の流れ(実線の矢印にて示す)に沿うように、かつ、絞り管61a内にて流体が流通するように配設されている。
第一圧力導入管61bの一端は、絞り管61a内にて下方向に開口し、換気が行われる際に、絞り管61aを流通する流体の全圧が作用する。流体の全圧は、流体の静圧および動圧を合わせた圧力である。また、第二圧力導入管61cの一端は、絞り管61a内にて上方向に開口し、絞り管61aを流通する流体の静圧が作用する。
【0034】
スイッチ部62は、流体の流れを検知した場合にオン信号を出力し、流体の流れを検知していない場合にオフ信号を出力するスイッチである。スイッチ部62は、ハウジング62a、転動子62b、可動片62c、第一固定片62dおよび第二固定片62eを備えている。
【0035】
ハウジング62aの内部は、転動子62bによって、第一圧力室RP1と第二圧力室RP2に区画されている。第一圧力室RP1は、第一圧力導入管61bと連通している(破線にて示す)。これにより、第一圧力室RP1には、第一圧力導入管61bの一端に作用する圧力(絞り管61aを流通する流体の全圧)が導入する。
第二圧力室RP2には、可動片62c、第一固定片62dおよび第二固定片62eが配設されている。第二圧力室RP2は、第二圧力導入管61cと連通している(破線にて示す)。これにより、第二圧力室RP2には、第二圧力導入管61cの一端に作用する圧力(絞り管61aを流通する流体の静圧)圧力が導入する。
【0036】
転動子62bは、弾性変形可能に弾性材料によって形成されたダイアフラムである。
可動片62cは、導電性材料によって平板状に弾性変形可能に形成されている。可動片62cの下面には、転動子62bに形成された突出部62b1の突出端が接触している。
第一固定片62dおよび第二固定片62eは、導電性材料によって形成され、可動片62cを挟んで空間をおいて配設されている。
【0037】
ここで、流体の流れが無く、両圧力室RP1,RP2の間の圧力差が無い場合、
図2に示すように、可動片62cと第一固定片62dとが接触している。この場合、スイッチ部62は、オフ信号を制御装置15に出力する。
一方、流体の流れが発生し、第一圧力室RP1に導入する圧力と第二圧力室RP2に導入する圧力とにより、両圧力室RP1,RP2の間の圧力差が生じた場合、転動子62bが平板状(
図2に示す)から上方に凸となる形状に変形する。このとき、突出部62b1が可動片62cを上方に押圧するため、可動片62cが平板状(
図2に示す)から上方に凸となる形状に変形する。これにより、可動片62cと第二固定片62eとが接触した場合、スイッチ部62は、オン信号を制御装置15に出力する。
【0038】
流れ有無検知スイッチ60は、
図3に示すように、オフ信号を出力している状態から、絞り管61aを流通する流体の流量Qが徐々に増加して第一流量Q1になったときに、可動片62cと第二固定片62eとが接触して、オン信号を出力する。第一流量Q1は、流れ有無検知スイッチ60がオン信号を出力するために必要な両圧力室RP1,RP2の間の圧力差(動圧)を生じさせる流量である。なお、第一流量Q1の大きさは、流れ有無検知スイッチ60がさらに備える調整部62fによって調整可能である。
【0039】
一方、流れ有無検知スイッチ60は、オン信号を出力している状態から、流量Qが徐々に減少して第一流量Q1より小さい第二流量Q2になったときに、可動片62cと第一固定片62dとが接触して、オフ信号を出力する。第一流量Q1と第二流量Q2との差は、流れ有無検知スイッチ60が有するヒステリシスによって定まる。
【0040】
次に、上述した燃料電池システムの基本的動作の一例について説明する。制御装置15は、スタートスイッチ(図示なし)が押されて運転が開始される場合、または計画運転にしたがって運転が開始される場合には、起動運転を開始する。
【0041】
起動運転が開始されるときは、制御装置15は、補機を作動させる。具体的には、制御装置15は、ポンプ11a1,11b1を作動させ、蒸発部32に改質用原料および凝縮水(改質水)の供給を開始する。そして、燃焼部36において、燃料電池34から導出された改質用原料および改質ガスが着火ヒータ36a1,36a2によって着火される。改質部33が所定温度(例えば、600℃)以上となれば、起動運転が終了し、発電運転を開始する。発電運転中では、制御装置15は、燃料電池34の発電する電力が、外部電力負荷16cの消費電力となるように補機を制御して、改質ガスおよびカソードエアを燃料電池34に供給する。
【0042】
このような発電運転中に、ストップスイッチ(図示なし)が押されて発電運転が停止される場合、または運転計画にしたがって運転が停止される場合には、制御装置15は、燃料電池システムの停止運転(停止処理)を実施する。制御装置15は、改質用原料および凝縮水の蒸発部32への供給を停止し、改質ガスおよび空気の燃料電池34への供給を停止する。残原料による燃料電池34の発電が終了すれば、停止運転は終了する。
【0043】
このような停止運転が終了すると、燃料電池システムは待機状態(待機時)となる。待機時は、燃料電池システムの発電停止状態(すなわち、起動運転、発電運転、停止運転のいずれの運転中でない状態である。)のことであり、発電指示(スタートスイッチのオンなど)を待っている状態のことである。
【0044】
次に、制御装置15が行う換気制御について説明する。制御装置15は、起動運転、発電運転および停止運転時に、換気ファン42を制御して、筐体10a内の換気を行う。換気ファン42は、PWM制御によって駆動されている。制御装置15は、換気ファン42の制御指令値(回転数)をPWM制御のデューティ比Dにて、換気ファン42のドライバ回路(図示なし)に出力する。換気ファン42に出力されるデューティ比Dは、
図4に示すように、温度センサ17によって検出される温度Thに応じて定められている。具体的には、温度Thが高いほど、デューティ比Dが大きくなるように設定されている。これにより、換気ファン42の駆動量が増加するほど、温度Thが下がるようになっている。さらに、デューティ比Dは、最小デューティ比Dmin(特許請求の範囲の最小制御指令値に相当)と最大デューティ比Dmaxとの間にて設定される。最大デューティ比Dmaxは、例えば100%に設定されている。
【0045】
最小デューティ比Dminは、
図3に示すように、最小デューティ比Dminに相当する換気ファン42の最小駆動量による絞り管61aを流通する流体の最小流量Qminが、第二流量Q2よりも大きくなるように、制御装置15によって設定される(後述する)。また、第二流量Q2は、所定排出流量Qxよりも大きくなるように設定される。所定排出流量Qxは、制御装置15による換気制御中に、例えば燃料が燃料電池モジュール11から筐体10a内に流出して、流体が燃料を含む場合に、流体が可燃性を有する程度の流体の流量Qのうち最大流量に相当する。換言すれば、所定排出流量Qxは、流体が燃料を含む場合において着火源があったときに、流体が燃焼する程度の燃料濃度のうち最小燃料濃度に相当する流量Qである。すなわち、流体が燃料を含み、かつ、流量Qが所定排出流量Qx以下である場合、着火源があるときには、流体が燃焼する。一方、流量Qが所定排出流量Qxより大きい場合は、着火源があっても流体は燃焼しない。
【0046】
また、制御装置15は、例えば筐体10a内の圧力損失が大きくなっている等により、流量Qが第二流量Q2以下になることで、オン信号である流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号になった場合、燃料電池システムの運転を停止する。このように、換気制御中においては、流量Qが第二流量Q2よりも大きくなる。第二流量Q2は、所定排出流量Qxより大きいため、換気制御中においては、煙突部53から排出される流体の燃料濃度が、流体が可燃性を有さない燃料濃度以下となる。
【0047】
次に、上述した燃料電池システムおいて、制御装置15が最小デューティ比Dminを設定する制御について、
図5に示すフローチャートに沿って説明する。制御装置15は、スタートスイッチ等が押されて運転が開始された場合、起動運転を開始する前に、
図5に示すフローチャートを実行する。燃料電池システムが起動運転を開始する前であることにより、燃焼排ガスが排出されないため、換気排気用ダクト51を流通する流体、ひいては、絞り管61aを流通する流体は換気排気のみとなる。
【0048】
制御装置15は、燃焼排ガスが排出されていない状態において、デューティ比Dを0%にて出力する(ステップS102)。このとき、換気ファン42による換気排気が発生しないため、流体の流量Qは、ゼロである。制御装置15は、ステップS104にて、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号であるか否かを確認する。流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号である場合、制御装置15は、ステップS104にて「NO」と判定して、流れ有無検知スイッチ60の異常を検知する(ステップS106)。この場合、制御装置15は、例えば使用者に警告等を行った後、燃料電池システムの運転を停止する。一方、制御装置15は、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号である場合、流れ有無検知スイッチ60の誤検知等が無いとして、ステップS104にて「YES」と判定して、第一デューティ比D1を出力する(ステップS108)。第一デューティ比D1は、第二流量Q2に相当するデューティ比Dより十分小さいデューティ比Dである。第一デューティ比D1は、例えば25%である。
【0049】
そして、制御装置15は、第一所定時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS110)。第一所定時間T1は、制御装置15が換気ファン42に第一デューティ比D1を出力してから、流量Qが安定するまでの時間(例えば60秒)である。制御装置15は、第一所定時間T1が経過していない場合、ステップS110にて「NO」の判定を繰り返し実行する。一方、制御装置15は、第一所定時間T1が経過した場合、ステップS110にて「YES」と判定し、プログラムをステップS112に進める。
【0050】
制御装置15は、ステップS112にて、デューティ比Dを第二デューティ比D2だけ増加させる。第二デューティ比D2は、例えば5%である。そして、制御装置15は、第二所定時間T2が経過したか否かを判定する(ステップS114)。第二所定時間T2は、制御装置15が換気ファン42に第二デューティ比D2を出力してから、流量Qが安定するまでの時間(例えば15秒)である。制御装置15は、第二所定時間T2が経過していない場合、ステップS114にて「NO」の判定を繰り返し実行する。一方、制御装置15は、第二所定時間T2が経過した場合、ステップS114にて「YES」と判定し、流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号であるか否かを判定する(ステップS116)。
【0051】
制御装置15は、流れ有無検知スイッチ60がオフ信号である場合、ステップS116にて「NO」と判定し、デューティ比Dが第三デューティ比D3より小さいか否かを判定する(ステップS118)。第三デューティ比D3は、最大デューティ比Dmaxに比較的近いデューティ比D以上のデューティ比Dである。第三デューティ比D3は、例えば、100%である。煙突部53が閉塞に近い状態になっている等により圧力損失が比較的大きくなっている場合には、換気ファン42が最大デューティ比Dmaxに比較的近いデューティ比D以上である第三デューティ比D3にて駆動しているにもかかわらず、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号になる。よって、制御装置15は、デューティ比Dが第三デューティ比D3以上である場合、ステップS118にて「NO」と判定し、換気ファン42および各ダクト51,52により構成される換気装置が異常であると検知する(ステップS106)。一方、制御装置15は、デューティ比Dが第三デューティ比D3より小さい場合、ステップS118にて「YES」と判定し、プログラムをステップS112に戻す。
【0052】
制御装置15は、ステップS116にて、流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号になるまで「NO」と判定し、上述したステップS112〜S118を繰り返してデューティ比Dを増加させる。デューティ比Dが増加して、オフ信号である流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号になった場合、制御装置15は、ステップS116にて「YES」と判定し、有無検知スイッチ60の出力がオン信号に切り替わった時点のデューティ比Dであるオンデューティ比Don(特許請求の範囲のオン制御指令値に相当)を切替デューティ比Dk(特許請求の範囲の切替制御指令値に相当)として記憶する(記憶部:ステップS120)。
【0053】
そして、制御装置15は、切替デューティ比Dk(すなわちオンデューティ比Don)が第四デューティ比D4より小さいか否かを確認する(ステップS122)。第四デューティ比D4は、換気ファン42の経年変化等を考慮した場合においても、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号からオン信号に切り替わるために十分な大きさのデューティ比Dである。第四デューティ比D4は、例えば、50%である。制御装置15は、切替デューティ比Dkが第四デューティ比D4以上である場合、例えば流れ有無検知スイッチ60の故障や、換気ファン42の経年変化により所定のデューティ比Dに対する駆動量が比較的大きく低下しているとして、ステップS122にて「NO」と判定し、換気ファン42および各ダクト51,52により構成される換気装置が異常であると検知する(ステップS106)。
【0054】
一方、制御装置15は、切替デューティ比Dkが第四デューティ比D4より小さい場合、最小デューティ比Dminを切替デューティ比Dkに基づいて設定する(設定部:ステップS124)。具体的には、最小デューティ比Dminは、切替デューティ比Dkと同じ値のデューティ比Dに設定される。さらに、制御装置15は、最小デューティ比Dminの補正を行う(補正部:ステップS126)。具体的には、制御装置15は、ステップS124にて設定した最小デューティ比Dmin(切替デューティ比Dk)から補正値αを減算する。補正値αは、流れ有無検知スイッチ60が有するヒステリシスを考慮して設定されている。流れ有無検知スイッチ60のヒステリシスとデューティ比Dとの関係は、予め実験により実測されて導出されている。具体的には、補正値αは、
図3に示すように、最小デューティ比Dminとして設定した切替デューティ比Dkから、流れ有無検知スイッチ60の出力をオン信号からオフ信号に切り替わるデューティ比Dであるオフデューティ比Doff(特許請求の範囲のオフ制御指令値に相当)にできるだけ接近するように設定されている。
【0055】
次に、上述したフローチャートに沿って、最小デューティ比Dminが設定される際の燃料電池システムの作動について、流れ有無検知スイッチ60の誤検知がない場合や、換気ファン42の経年変化による駆動量の低下が比較的小さい場合について、
図3を用いて説明する。上述したように、最小デューティ比Dminの設定は、燃料電池システムが起動運転を開始する前に行われるため、燃焼排ガスが排出されないことにより、
図3に示す換気排気用ダクト51を流通する流体、ひいては、絞り管61aを流通する流体の流量Qは、換気排気のみの流量である。
【0056】
制御装置15によって換気ファン42にデューティ比Dをゼロとして出力された場合(ステップS112)、換気ファン42の駆動量がゼロであることにより、流量Qは第二流量Q2より十分小さいゼロである。よって、流れ有無検知スイッチ60の出力はオフ信号であるため、換気ファン42は、第一デューティ比D1にて駆動される(ステップS108)。第一デューティ比D1にて換気ファン42が駆動して、換気排気が発生した場合においても、流量Qが第二流量Q2より十分小さいため、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号のままとなる。そして、第一デューティ比D1からデューティ比Dが徐々に増加して(ステップS112〜S118)、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号からオン信号に切り替わるときのオンデューティ比Donが、切替デューティ比Dkとして制御装置15に記憶される(ステップS120)。なお、オンデューティ比Donにて換気ファン42が駆動した場合の流量Qが、第一流量Q1に相当する。
【0057】
そして、オンデューティ比Donが最小デューティ比Dminに設定され(ステップS124)、さらに、補正値αによってオフデューティ比Doffに接近するように補正される(ステップS126)。よって、最小デューティ比Dminは、オンデューティ比Donとオフデューティ比Doffとの間の補正デューティ比Dhに設定される。
【0058】
一方、流れ有無検知スイッチ60の誤検知がある場合、煙突部53が閉塞に近い状態である場合、または、換気ファン42の経年変化等による所定のデューティ比Dに対する駆動量の低下が比較的大きい場合には、制御装置15は、流れ有無検知スイッチ60または換気装置の異常として検知する(ステップS106)。
【0059】
さらに、本発明を適用しない場合において、最小デューティ比Dminを設定する場合について説明する。本発明のように、最小デューティ比Dminを燃料電池システムの運転中に設定しない場合には、予め経年変化による換気ファン42の駆動量の低下等を考慮して、
図4に示すように、オンデューティ比Donよりも比較的高い第五デューティ比D5を最小デューティ比Dminに設定する必要がある。
【0060】
本実施形態によれば、燃料電池システムは、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池34と、燃料電池34を収納する筐体10aと、筐体10a内の換気を行う換気ファン42と、換気ファン42による筐体10a内の換気が行われる際に、換気に伴って発生する流体の流路上に配設され、流体の流れがある場合にオン信号を出力し、流体の流れがない場合にオフ信号を出力する流れ有無検知スイッチ60と、換気ファン42を少なくとも制御する制御装置15と、を備えた燃料電池システムである。制御装置15は、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号である換気ファン42の駆動量から、換気ファン42の駆動量を増加させて、オフ信号である流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号に切り替わるときの駆動量に相当する換気ファン42のオンデューティ比Donを切替デューティ比Dkとして記憶をする記憶部(ステップS120)と、記憶部に記憶された切替デューティ比Dkに基づいて換気ファン42の最小デューティ比Dminの設定をする設定部(ステップS124)と、を備えている。
これによれば、制御装置15は、切替デューティ比Dkとして記憶部に記憶されたオンデューティ比Donに基づいて換気ファン42の最小デューティ比Dminの設定を行う。このため、換気ファン42の最小デューティ比Dminを、オフ信号である流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号に切り替わるときの駆動量に相当するオンデューティ比Donと同一、または、できる限り接近させることができる。よって、本発明を適用しない場合に、比較的高く設定されていた換気ファン42の駆動量(第五デューティ比D5に相当)を低減することができるため、換気ファン42の消費電力を比較的低減できる。したがって、燃料電池システムの消費電力を低減することができる。
また、オフ信号である流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号に切り替わるときの第一流量Q1に相当するオンデューティ比Donは、換気ファン42の駆動量の個体差や筐体10aの圧力損失の個体差等によって、燃料電池システム毎に異なっている。このような場合においても、燃料電池システム毎に適切に換気ファン42の最小デューティ比Dminを設定することができるため、燃料電池システム毎に消費電力を適切に低減することができる。
【0061】
また、記憶部は、燃料電池システムの起動運転を開始する前に、記憶を行い、設定部は、切替デューティ比Dkとして記憶部に記憶されたオンデューティ比Donに基づいて設定を行う。
これによれば、設定部は、燃料電池システムの起動運転が開始される前に、切替デューティ比Dkとして記憶部にて記憶されたオンデューティ比Donに基づいて換気ファン42の最小デューティ比Dminの設定を行う。燃料電池システムの起動運転前においては、例えば燃焼排ガス等の排出がないため、燃焼排ガスの流量が流れ有無検知スイッチ60の作動に影響することなく、換気ファン42の最小デューティ比Dminが設定される。したがって、換気ファン42の最小デューティ比Dminの設定を精度よく行うことができる。
また、燃料電池システムの起動運転が開始される前である場合は、換気ファン42のデューティ比Dはゼロであり、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号である。この場合、記憶部は、そのときの換気ファン42のデューティ比Dをゼロから増加させることにより、オフ信号である流れ有無検知スイッチ60の出力をオン信号に切り替えることができる。よって、記憶部は、換気ファン42のデューティ比Dを増加させた後、デューティ比Dを減少させて、オン信号である流れ有無検知スイッチ60の出力をオフ信号に切り替える場合より、流れ有無検知スイッチ60の出力の切替を比較的短時間にて行うことができる。したがって、換気ファン42の最小デューティ比Dminの設定を比較的短時間にて行うことができる。
【0062】
また、切替デューティ比Dkは、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号からオン信号に切り替わる場合のオンデューティ比Donと、流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号からオフ信号に切り替わる場合のオフデューティ比Doffと、を有し、流れ有無検知スイッチ60は、オンデューティ比Donに相当する流体の第一流量Q1が、オフデューティ比Doffに相当する流体の第二流量Q2よりも大きくなるヒステリシスを有し、制御装置15は、ヒステリシスを考慮して、設定部によって設定された換気ファン42の最小デューティ比Dminの補正を行う補正部(ステップS126)をさらに備えている。
これによれば、補正部は、設定部により第一流量Q1に相当するオンデューティ比Donにできる限り接近させるように設定された換気ファン42のデューティ比Dの最小値を、流れ有無検知スイッチ60が有するヒステリシスに基づいて、第一流量Q1より小さい第二流量Q2に相当するオフデューティ比Doffにできる限り接近させるように補正することができる。よって、換気ファン42の駆動量を適切に低減することができるため、換気ファン42の消費電力を適切に低減することができる。したがって、燃料電池システムの消費電力を適切に低減することができる。
【0063】
次に、本発明による燃料電池システムの第二実施形態について、主に第一実施形態と異なる部分について説明する。
第一実施形態において、制御装置15は、最小デューティ比Dminの設定を、燃料電池システムの起動運転開始前に行っているのに対し、第二実施形態においては、制御装置15は、燃料電池システムの起動運転、発電運転または停止運転中に定期的(例えば、発電運転開始時点から96時間毎)に
図6に示すフローチャートを実行する。なお、第一実施形態と同一内容については、第一実施形態と同一符号が付されている。燃料電池システムが発電運転中においては、燃焼排ガスが排出されるため、第二実施形態において、流れ有無検知スイッチ60が検知する流体は、換気排気と燃焼排ガスとが混合したものである。すなわち、
図3に示す流量Qは、換気排気の流量と燃焼排ガスの流量とを合わせた流量である。
【0064】
制御装置15は、燃料電池34の発電量を最小発電量にする(ステップS202)。燃料電池34の発電量が最小発電量である場合、絞り管61aを流通する燃焼排ガスの流量は、第二流量Q2より十分小さい第三流量Q3となる。第三流量Q3は、予め実験等により実測され、制御装置15に記憶されている。そして、制御装置15は、第六デューティ比D6を換気ファン42に出力する(ステップS204)。第六デューティ比D6は、第三流量Q3と、第六デューティ比D6に相当する換気ファン42の駆動量に相当する換気排気の流量とを合わせた流量Qを第二流量Q2より十分小さい流量とするデューティ比Dである。第六デューティ比D6は、例えば15%である。そして、制御装置15は、第一所定時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS208)。制御装置15は、第一所定時間T1が経過していない場合、ステップS208にて「NO」の判定を繰り返し実行する。一方、制御装置15は、第一所定時間T1が経過した場合、ステップS208にて「YES」と判定し、プログラムをステップS210に進める。このとき、換気ファン42が第六デューティ比D6にて駆動しているため、流量Qは第二流量Q2より十分小さい。
【0065】
制御装置15は、ステップS210にて、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号であるか否かを判定する。流量Qが第二流量Q2より十分小さいにもかかわらず、流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号である場合、制御装置15は、ステップS210にて「NO」と判定して、流れ有無検知スイッチ60が異常であると検知する(ステップS106)。一方、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号である場合、流れ有無検知スイッチ60の異常が無いとして、ステップS210にて「YES」と判定し、プログラムをステップS112に進める。そして、制御装置15は、第一実施形態と同様に、ステップS112〜S124を実行することにより最小デューティ比Dminを設定する(設定部:ステップS124)。第二実施形態においては、燃焼排ガスが第三流量Q3にて排出されているため、流量Qが第一流量Q1となる場合の換気ファン42による換気排気の流量は、
図3に示すように、第一流量Q1より第三流量Q3だけ小さい第四流量Q4に相当する(すなわち、Q1=Q3+Q4)。よって、第二実施形態におけるオンデューティ比Donは、換気排気を第四流量Q4とする第七デューティ比D7に相当する。
【0066】
そして、
図6に示すように、制御装置15は、ステップS226にて、最小デューティ比Dminの補正を行う(補正部:ステップS226)。第一実施形態において、制御装置15は、ステップS126(補正部)にて、補正値αを用いて最小デューティ比Dminを補正している。これに対し、第二実施形態においては、制御装置15は、最小デューティ比Dminから補正値βを減算することにより最小デューティ比Dminを補正する(補正部:ステップS226)。補正値βは、流れ有無検知スイッチ60が有するヒステリシスを考慮して定められている。具体的には、補正値βは、最小デューティ比Dminとして設定された第七デューティ比D7から、オフデューティ比Doffに接近させたデューティ比Dに補正するように設定されている。ここで、第一実施形態と同様に、補正後のデューティ比Dを補正デューティ比Dhとする場合には、補正値βは、補正値αに対して、第三流量Q3に相当するデューティ比Dだけ小さく設定される。このように、補正値βを設定することにより、発電運転中に燃焼排ガスが排出されなくなった場合においても、換気排気の流量のみによって流量Qが第二流量Q2以上を確保されるように、換気ファン42が制御される。
【0067】
上述した第一実施形態においては、例えば燃料電池システムが発電運転を長時間連続して行う際に、制御装置15が同じ値のデューティ比Dを換気ファン42に出力している場合においても、換気ファン42の劣化等による駆動量の低下によって、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号になる場合がある。すなわち、換気ファン42が作動しているにもかかわらず、流れ有無検知スイッチ60が誤検知をする場合がある。
これに対して、第二実施形態は、記憶部は、燃料電池システムが起動運転、発電運転または停止運転中において定期的に記憶を行い、設定部は、切替デューティ比Dkとして記憶部に記憶されたオンデューティ比Donに基づいて設定を行う。
これによれば、設定部は、切替デューティ比Dkとして記憶部にて記憶されたオンデューティ比Donに基づいて換気ファン42の最小デューティ比Dminの設定を定期的に行う。このため、設定部による設定が行われる時点の換気ファン42の駆動量に相当するオンデューティ比Donに基づいて、換気ファン42の最小デューティ比Dminが定期的に更新される。よって、燃料電池システムが長時間連続して運転を行う際においても、換気ファン42が作動しているにもかかわらず、流れ有無検知スイッチ60が誤検知することを抑制することができる。
【0068】
次に、本発明による燃料電池システムの第二実施形態の変形例について、主に第二実施形態と異なる部分について、
図7を用いて説明する。なお、第二実施形態と同一内容については、第一実施形態と同一符号が付されている。
【0069】
第二実施形態において、最小デューティ比Dminの設定が起動運転、発電運転または停止運転中に定期的に行われているが、本実施形態においては、燃料電池システムの起動運転、発電運転または停止運転中において、換気制御中に流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号からオフ信号に切り替わったときに行われる。
制御装置15は、換気制御中において、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号であるか否かを判定する(ステップS302)。制御装置15は、流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号である場合、ステップS302にて「NO」と判定し、換気制御を継続する。一方、例えば煙突部53が閉塞に近い状態になることで、流量Qが第二流量Q2より小さくなることにより、流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号からオフ信号となった場合、制御装置15は、ステップS302にて「YES」と判定し、燃料電池34の発電量を最小発電量にする(ステップS304)。そして、制御装置15は、プログラムをステップS112に進める。ステップS112以降は、第二実施形態と同様である。
【0070】
本変形例によれば、記憶部は、燃料電池システムが起動運転、発電運転または停止運転中において、オン信号である流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号になった場合に記憶を行い、設定部は、切替デューティ比Dkとして記憶部に記憶されたオンデューティ比Donに基づいて設定を行う。
これによれば、設定部は、燃料電池システムが起動運転、発電運転または停止運転中において、オン信号である流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号になった場合に、切替デューティ比Dkとして記憶部にて記憶されたオンデューティ比Donに基づいて換気ファン42の最小デューティ比Dminの設定を行う。よって、燃料電池システムが長時間連続して運転を行う場合においても、換気ファン42の最小デューティ比Dminの更新を比較的簡便に行うことができる。
また、燃料電池システムが起動運転、発電運転または停止運転中において、オン信号である流れ有無検知スイッチの出力がオフ信号になった場合は、換気ファンの駆動量が比較的低くなっている等により、流れ有無検知スイッチの出力がオフ信号になっている。この場合、記憶部は、そのときの換気ファン42のデューティ比Dをその時点のデューティ比Dから増加させることにより、オフ信号である流れ有無検知スイッチ60の出力をオン信号に切り替えることができる。よって、記憶部は、換気ファン42のデューティ比Dを増加させた後、デューティ比Dを減少させて、オン信号である流れ有無検知スイッチ60の出力をオフ信号に切り替える場合より、流れ有無検知スイッチ60の出力の切替を比較的短時間にて行うことができる。したがって、換気ファン42の最小デューティ比Dminの設定を比較的短時間にて行うことができる。
また、制御装置15による換気制御中に、例えば外部から煙突部53の内管53aを介して換気排気用ダクト51内に風が吹き込む等により、一時的に流量Qが第二流量Q2より小さくなることにより、流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号になる場合が考えられる。このような場合においても、換気ファン42の最小デューティ比Dminの更新を比較的簡便に行うことができるため、一時的な流量Qの変化により、流れ有無検知スイッチ60や換気装置が異常であると検知されることを抑制することができる。
【0071】
なお、上述した実施形態において、燃料電池システムの一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば、記憶部は、オンデューティ比Donを切替デューティ比Dkとして記憶しているが、これに代えて、オフデューティ比Doffを切替デューティ比Dkとして記憶するようにしても良い。すなわち、記憶部は、流れ有無検知スイッチ60の出力がオン信号である換気ファン42の駆動量から、換気ファン42の駆動量を減少させて、オン信号である流れ有無検知スイッチ60の出力がオフ信号に切り替わるときの駆動量に相当する換気ファン42のオフデューティ比Doffを切替デューティ比Dkとして記憶をする。
ここで、上述した実施形態と同様に、設定部が記憶部に記憶された切替デューティ比Dkと同一の値に最小デューティ比Dminの設定をする場合、本実施形態においては、オフデューティ比Doffが最小デューティ比Dminに設定される。ここで、オフデューティ比Doffが、上述した実施形態において最小デューティ比Dminに設定されたオンデューティ比Donよりも小さいデューティ比Dであるため、設定部は、最小デューティ比Dminを上述した実施形態の最小デューティ比Dminより小さく設定することができる。よって、換気ファン42の駆動量をより低減できるため、燃料電池システムの消費電力をより低減することができる。
このように、記憶部は、換気ファン42の駆動量を制御して、流れ有無検知スイッチ60の出力が切り替わるときの換気ファン42の駆動量に相当する換気ファン42のデューティ比Dを切替デューティ比Dkとして記憶をする。
【0072】
また、上述した各実施形態において、設定部は、最小デューティ比Dminを切替デューティ比Dkと同一の値に設定しているが、これに代えて、最小デューティ比Dminを切替デューティ比Dkと異なる値のデューティ比Dに設定しても良い。例えば、制御装置15は、最小デューティ比Dminを切替デューティ比Dkに、例えば経年変化による換気ファン42の駆動量の低下量に相当するデューティ比Dを加算した値のデューティ比Dとするようにしても良い。
また、上述した各実施形態において、補正部は、最小デューティ比Dminを補正値α(または補正値β)によって減算して、オフデューティ比Doffに接近させるように補正しているが、これに代えて、最小デューティ比Dminを増加させるように補正するようにしても良い。例えば経年変化による換気ファン42の駆動量の低下量が予め把握されている場合、制御装置15は、その低下量に相当するデューティ比Dだけ増加させるように、最小デューティ比Dminを補正する。
【0073】
また、上述した各実施形態において、第一所定時間T1と第二所定時間T2とが異なる時間に設定されているが、これに代えて、第一所定時間T1と第二所定時間T2とが同じ時間となるように設定されているようにしても良い。
【0074】
また、上述した各実施形態において、逆止弁41が吸気口10cに配設され、かつ、換気ファン42が換気用排気口10dに配設されているが、これに代えて、換気ファン42が吸気口10cに配設され、かつ、逆止弁41が換気用排気口10dに配設されているようにしても良い。また、燃料電池システムが複数の換気ファン42を備え、各換気ファン42が吸気口10cおよび換気用排気口10dにそれぞれ配設されているようにしても良い。
また、流れ有無検知スイッチ60の圧力導入部61は、換気排気用ダクト51内に配設されているが、これに代えて、換気が行われる際に、排気ダクト室R2内における外気が流通する流路上、または、筐体10a内における流体が流通する流路上に配設されているようしても良い。
【0075】
また、上述した各実施形態において、流れ有無検知スイッチ60は、流体の全圧と静圧とを導入して全圧と静圧との差に基づいて出力を切り替えるスイッチであるが、これに代えて、流体の流量Qを検出して、検出された流体の流量Qに基づいて出力を切り替えるスイッチとするようにしても良い。