(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被着部が形成された前記副フランジ部であって、前記被着部の内側及び外側には、前記被着部が形成されていない前記副フランジ部へ向けて突出する規制壁部がそれぞれ設けられている請求項3に記載のエアクリーナ。
【背景技術】
【0002】
この種のエアクリーナとして、上端に開口を有する第1ケースと、第1ケースの上側に配置され、かつ下端に開口を有する第2ケースとによってハウジングが構成され、両ケースの間にフィルタエレメントが着脱可能に装着されたものが知られている。
【0003】
また、
図7(a),(b)に示すように、エアクリーナ60に用いられるフィルタエレメント61として、濾過部62と、その濾過部62に隣接する枠部63と、これら濾過部62及び枠部63のそれぞれの外周縁に沿って設けられたシール部64,65とが、不織布によって一体に形成されたものが、例えば特許文献1に記載されている。両シール部64,65は、第1ケース66の開口67の外周縁に沿って形成されたフランジ部68と、第2ケース71の開口72の外周縁に沿って形成されたフランジ部73とによって上下両側から挟み込まれる。そして、第2ケース71は、ヒンジ部及びクランプ部によって、又はクランプ部のみによって第1ケース66に対し、開閉可能に組み付けられる。
【0004】
ハウジング74の下部を構成する第1ケース66には、空気をハウジング74内に流入させるインレット部75と、ハウジング74内の空気を外部へ流出させるアウトレット部76とが設けられている。ハウジング74内には、インレット部75及びアウトレット部76を繋ぐ空気通路77が形成されている。
【0005】
上記構成のエアクリーナ60では、インレット部75を通じて第1ケース66内に流入した空気は、フィルタエレメント61の濾過部62を通過することで濾過される。濾過後の空気は、第2ケース71内を流れた後、枠部63を通って再び第1ケース66に流入し、アウトレット部76からハウジング74の外部へ流出される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、エアクリーナの一実施形態について、
図1〜
図6を参照して説明する。
本実施形態のエアクリーナは、車載エンジンの吸気通路に設けられて、その吸気通路を通じてエンジンに吸引される空気を濾過するためのものである。
図1に示すように、エアクリーナ10の合成樹脂材料よりなるハウジング11は、第1ケース12と、その第1ケース12の上側に配置される第2ケース25とによって構成されている。
【0016】
図4に示すように、第1ケース12には、その上端開口を主開口14と副開口15とに区画する共通フランジ部13が形成されている。第1ケース12には、主開口14の外周縁に沿って延び、かつ共通フランジ部13を一部に有する主フランジ部16が形成されている。また、第1ケース12には、副開口15の外周縁に沿って延び、かつ共通フランジ部13を一部に有する副フランジ部17が形成されている。主フランジ部16及び副フランジ部17は、共通フランジ部13において相互に結合されている。第1ケース12の底壁部18において共通フランジ部13の長さ方向に互いに離間した複数箇所には、支持板部19がそれぞれ立設されている。各支持板部19は上下方向に加え、副開口15及び主開口14の配列方向に延びる板状をなしている。各支持板部19の上端部は共通フランジ部13に繋がっており、これらの支持板部19によって共通フランジ部13が下側から支えられている。
【0017】
共通フランジ部13を有する主フランジ部16は、副開口15及び主開口14の配列方向に細長い四角環状をなしている。共通フランジ部13を含む主フランジ部16の上面には、上方へ向けて突出し、かつ同主フランジ部16の長さ方向に延びる突起部21が形成されている。
【0018】
共通フランジ部13を有する副フランジ部17は、主フランジ部16よりも上記配列方向の寸法の小さな環状をなしている。
図6に示すように、第1ケース12の副フランジ部17のうち、共通フランジ部13を除く箇所には、その上面から下方へ凹み、かつ同副フランジ部17の長さ方向に延びる溝部22が、被着部として形成されている。副フランジ部17であって、溝部22の内側(
図6の右側)及び外側(
図6の左側)には、上方へ向けて突出し、かつ同副フランジ部17の長さ方向に延びる規制壁部23がそれぞれ設けられている。
【0019】
図5に示すように、第2ケース25内であって、共通フランジ部13(
図4参照)の上方には区画壁26が形成されており、第2ケース25の内部空間が区画壁26により主空間27及び副空間28に区画されている。主空間27は下端に主開口31を有し、副空間28は下端に副開口32を有している。第2ケース25には、主開口31の外周縁に沿って主フランジ部33が形成されるとともに、副開口32の外周縁に沿って副フランジ部34が形成されている。区画壁26の下端には、上記共通フランジ部13に対向する共通フランジ部35が形成されている。共通フランジ部35は、主フランジ部33の一部を構成するとともに、副フランジ部34の一部を構成している。主フランジ部33及び副フランジ部34は、共通フランジ部35において相互に結合されている。
【0020】
共通フランジ部35を有する主フランジ部33は、副空間28及び主空間27の配列方向に細長い四角環状をなしている。共通フランジ部35を有する副フランジ部34は、主フランジ部33よりも上記配列方向の寸法が小さな環状をなしている。
【0021】
図1及び
図5に示すように、第2ケース25の壁部であって、副空間28に面する箇所には、ハウジング11の外部の空気を同副空間28に流入させるための筒状のインレット部36が突設されている。インレット部36には、大気に開放されたインレットダクト(図示略)が接続される。また、第2ケース25の壁部であって主空間27に面する箇所には、同主空間27の空気をハウジング11の外部へ流出させるための筒状のアウトレット部37が突設されている。アウトレット部37には、エンジンの吸気側との間に位置するアウトレットダクト(図示略)が接続される。
【0022】
図4及び
図5に示すように、ハウジング11内には、インレット部36及びアウトレット部37を繋ぐ空気通路38が形成されている。空気通路38は、第2ケース25の副空間28、第1ケース12の内部空間24、及び第2ケース25の主空間27によって構成されている。空気通路38は、副空間28と内部空間24との間に両副開口32,15を有している。また、空気通路38は、両副開口32,15の下流に、より詳しくは、内部空間24と主空間27との間に両主開口14,31を有している。上記構成の空気通路38は、インレット部36から流入した空気を、両副開口32,15及び両主開口14,31の順に通過させてアウトレット部37に導く流路となっている。
【0023】
第2ケース25は、主フランジ部33を主フランジ部16に対向させ、かつ副フランジ部34を副フランジ部17に対向させた状態で第1ケース12上に配置されている。
図1及び
図2に示すように、空気通路38の途中には、フィルタエレメント41が配置されている。フィルタエレメント41は、波形状に形成された濾過部42と、濾過部42の上端部の外周縁に沿って設けられた四角環状のシール部43とを備え、全体が不織布によって一体に形成されている。フィルタエレメント41は、特許文献1とは異なり、枠部もその外周縁のシール部も濾過部42の側部に有していない。濾過部42は、平面視で略矩形状をなし、両主開口14,31を塞ぐ大きさを有している。
【0024】
シール部43の下面には、その長さ方向に延びる溝部(図示略)が、同シール部43の全周にわたって形成されている。シール部43は、共通フランジ部13を含む主フランジ部16の上に重ねられ、溝部において突起部21(
図4参照)に係合されており、この係合により、フィルタエレメント41の位置決めがなされている。
【0025】
図2及び
図4に示すように、副フランジ部17の上には、フィルタエレメント41のシール部43とは別体で、かつ同シール部43よりもシール性能の低いガスケット44が装着されている。本実施形態では、ガスケット44として、ゴム等の弾性材料によって長尺状に形成されたものが用いられている。
図6に示すように、ガスケット44の下面には、下方へ向けて突出し、かつ同ガスケット44の長さ方向に延びる突条部45が、装着部として一体に形成されている。
【0026】
長尺状をなすガスケット44は、副フランジ部17から上方へ突出する一対の規制壁部23間に入り込むように撓ませられることにより、副フランジ部17の平面形状に沿った形状にされる。そして、突条部45が溝部22に嵌合されることにより、ガスケット44は副フランジ部17に装着されている。従って、ガスケット44は環状ではないものの、これを副フランジ部17の形状に沿わせながら装着する作業は、溝部22及び突条部45の少なくとも一方が設けられていない場合に比べ容易である。
【0027】
さらに、第2ケース25が第1ケース12に開閉可能に組み付けられることにより、フィルタエレメント41が、第1ケース12及び第2ケース25の間に着脱可能に装着されている。
【0028】
第2ケース25の第1ケース12に対する組み付けは、
図3〜
図5に示すヒンジ部46及びクランプ部51によって行なわれている。すなわち、第2ケース25は、シール部43(
図2参照)の隣り合う2つの角部の近くにそれぞれ設けられたヒンジ部46によって、第1ケース12に傾動可能に連結されている。各ヒンジ部46は、第1ケース12に形成された門形の被係合部47と、第2ケース25に形成され、かつ被係合部47の挿入口48に挿入されて係合される係合突部49とによって構成されている。
【0029】
これに加え、第2ケース25は、シール部43(
図2参照)の残りの2つの角部の近くにそれぞれ設けられたクランプ部51によって第1ケース12に対し閉鎖状態にクランプされている。クランプ部51は、第2ケース25に形成された被係止部52と、板ばね等のばねによって形成されて第1ケース12に軸支され、かつ被係止部52に係止されるクランプ部材53とによって構成されている。クランプ部材53の被係止部52との係止により、シール部43が、
図4及び
図5に示す両主フランジ部33,16によって上下両側から圧接された状態で挟み込まれている。このシール部43により、両主フランジ部33,16間が高い気密性でシールされている。また、ガスケット44が、
図6に示す両副フランジ部34,17によって上下両側から圧接された状態で挟み込まれている。このガスケット44により、両副フランジ部34,17間が、上記シール部43による場合よりも低い気密性でシールされている。
【0030】
次に、上記のように構成された本実施形態のエアクリーナ10の作用について説明する。
ハウジング11の外部の空気は、
図1、
図4及び
図5において矢印で示すように、インレット部36を通じて第2ケース25内であって、空気通路38の両副開口32,15よりも上流の副空間28に流入する。この空気は、両副開口32,15を通って第1ケース12の内部空間24へ流れ、両主開口14,31を通って第2ケース25の主空間27へ流れる。空気は、第1ケース12内を流れる際に、隣り合う支持板部19間等を通過するが、この際、支持板部19は、その面に沿う方向(副開口15及び主開口14の配列方向)へ空気を流れさせることで整流機能を発揮する。
【0031】
この際、空気は、フィルタエレメント41の濾過部42を下方から上方へ通過する。空気に含まれているダストは、空気が濾過部42を通過する際に捕捉される。ダストが捕捉されて清浄となった空気は、主空間27からアウトレット部37を通じてハウジング11の外部へ流出される。この空気は、アウトレットダクトを経由してエンジンの吸気側に導かれる。このように、空気は濾過部42に対し下方から上方へ流れる。濾過部42に捕捉されたダストは、自重等により落下しやすい。その結果、空気が濾過部42を上方から下方へ流れる場合に比べ、ダストが濾過部42に堆積しにくい。
【0032】
ところで、空気通路38の濾過部42よりも下流では、濾過後の清浄な空気が流れることから、両主フランジ部16,33間には高い気密性が求められる。これに対し、空気通路38の濾過部42よりも上流では、濾過前の空気が流れることから、両副フランジ部34,17間には、上記両主フランジ部16,33間ほど高い気密性は求められない。
【0033】
この点、本実施形態では、両主フランジ部16,33間に、高い気密性を発揮し得るシール部43が配置され、両副フランジ部34,17間に、シール部43とは別体で、かつシール部43ほどは気密性の高くないガスケット44が配置されている。
【0034】
それぞれ共通フランジ部13,35を含めて環状をなす一対の主フランジ部16,33によってシール部43が圧接状態で挟み込まれることにより、両主フランジ部16,33間が高い気密性でシールされる。また、それぞれ共通フランジ部35,13を含まず非環状をなす一対の副フランジ部34,17によってガスケット44が圧接状態で挟み込まれることにより、両副フランジ部34,17間が、両主フランジ部16,33間よりも低い気密性でシールされる。
【0035】
なお、両副フランジ部34,17間には、上述したように両主フランジ部16,33間ほど高い気密性が求められないことから、
図2に示すように環状をなすシール部43と、非環状をなすガスケット44の端部との間に隙間Gが生じていても問題となりにくい。
【0036】
このように、両主フランジ部16,33間と両副フランジ部34,17間とで、シール性能の異なるシール部43及びガスケット44が用いられることで、両主フランジ部16,33間が要求に応じた高い気密性でシールされるとともに、両副フランジ部34,17間が要求に応じた、両主フランジ部16,33間よりも低い気密性でシールされる。
【0037】
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)主開口14及び副開口15を有する第1ケース12と、主開口31及び副開口32を有する第2ケース25とによりハウジング11を構成する。各主開口14,31の外周縁に沿って設けられた主フランジ部16,33と、各副開口15,32の外周縁に沿って設けられた副フランジ部17,34とにおいて、第2ケース25を第1ケース12に開閉可能に組み付ける。ハウジング11内に、両副開口32,15を有するとともに、同両副開口32,15の下流に両主開口14,31を有する空気通路38を形成する(
図4、
図5)。
【0038】
空気通路38の途中にフィルタエレメント41を配置し、そのフィルタエレメント41の濾過部42の外周縁に沿って設けられたシール部43を両主フランジ部33,16によって上下両側から圧接状態で挟み込む。シール部43とは別体のガスケット44を、両副フランジ部34,17によって上下両側から圧接状態で挟み込むようにしている(
図1、
図2)。
【0039】
そのため、濾過部62と枠部63とシール部64,65とを不織布によって一体に形成した、特殊な構造のフィルタエレメント61(
図7(a),(b))を用いずに、両主フランジ部16,33間を適切にシールするとともに、両副フランジ部34,17間を適切にシールすることができる。
【0040】
また、両副フランジ部34,17間のガスケット44として、両主フランジ部16,33間のシール部43よりも安価なものを使用することができ、エアクリーナ10のコスト低減を図ることができる。
【0041】
(2)ガスケット44を、交換部品であるフィルタエレメント41に対し別体にしている(
図2)。
そのため、フィルタエレメント41を交換する際には、ガスケット44を第1ケース12の副フランジ部17から取り外さなくてもすみ、交換作業がしやすくなる。
【0042】
(3)第1ケース12の上側に配置される第2ケース25にインレット部36及びアウトレット部37をそれぞれ設ける。ハウジング11内に設けられた空気通路38により、インレット部36から流入した空気を、両副開口32,15及び両主開口14,31の順に通過させてアウトレット部37に導くようにしている(
図1、
図4、
図5)。すなわち、空気を濾過部42の下方から上方へ通過させている。
【0043】
そのため、フィルタエレメント41の濾過部42によって捕捉された空気中のダストが、その濾過部42に堆積するのを抑制することができる。
(4)互いに隣接する主フランジ部33,16及び副フランジ部34,17の各一部を共通フランジ部35,13によって構成し、それら主フランジ部33,16及び副フランジ部34,17を共通フランジ部35,13において相互に結合する。濾過部42のシール部43を環状に形成し、それぞれ共通フランジ部35,13を含めて環状をなす一対の主フランジ部33,16によって上下両側から挟み込む。ガスケット44として非環状をなすものを用い、それぞれ共通フランジ部35,13を含まず非環状をなす一対の副フランジ部34,17によって上下両側から挟み込むようにしている(
図4、
図5)。
【0044】
そのため、ガスケット44として非環状をなすものを用いているものの、両副フランジ部34,17間を必要な気密性でもってシールすることができる。
(5)ガスケット44に突条部45を形成し、第1ケース12の副フランジ部17に、突条部45が凹凸の嵌合関係により装着される溝部22を形成している(
図6)。
【0045】
そのため、ガスケット44は環状ではないものの、副フランジ部17の形状に沿わせながら装着する作業を容易にすることができる。
(6)溝部22が形成された副フランジ部17であって、溝部22の内側及び外側には、溝部22が形成されていない副フランジ部34へ向けて突出する規制壁部23をそれぞれ設けている(
図6)。
【0046】
そのため、ガスケット44を両規制壁部23間で、同規制壁部23に沿うように撓ませることで、突条部45を溝部22に沿わせることができ、突条部45を溝部22に嵌合しやすくすることができる。ガスケット44の副フランジ部17に対する装着作業が一層容易となる。
【0047】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
・上記エアクリーナは、
図1において二点鎖線で示すように、インレット部36が第1ケース12の壁部のうち、副開口15と支持板部19との間の空間に面する箇所に設けられたものにも適用可能である。この場合、インレット部36とアウトレット部37とを繋ぐ空気通路38は、両副開口15,32を有さず、かつ両主開口14,31を有することとなる。そのため、空気は、インレット部36を通じて空気通路38の両副開口15,32よりも下流側の内部空間24へ流入する。空気は、両副開口15,32を通過しないか、通過したとしてもわずかである。しかし、この場合にも上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0048】
・上記エアクリーナは、第1ケース12と第2ケース25との上下関係が上記実施形態とは逆の場合、すなわち、第2ケース25が下側に位置し、かつ第1ケース12が上側に位置するエアクリーナにも適用可能である。この場合、インレット部36は、第2ケース25又は第1ケース12に設けられ、アウトレット部37は第2ケース25に設けられる。空気は、フィルタエレメント41の濾過部42に対し上方から下方に流れる。
【0049】
・ガスケット44を副フランジ部17に装着する際に、同ガスケット44の突条部45及び副フランジ部17の溝部22の少なくとも一方に接着剤が塗布されてもよい。この場合、溝部22の内側及び外側にそれぞれ設けられた規制壁部23は、接着剤が副フランジ部17の外へはみ出るのを規制する機能を発揮する。
【0050】
・ガスケット44の装着部として、上記突条部45に代えて、ガスケット44の長さ方向に延びる溝部が形成され、副フランジ部17の被着部として、上記溝部22に代えて、副フランジ部17の長さ方向に延びる突条部が形成されてもよい。この場合には、ガスケット44の溝部に副フランジ部17の突条部が嵌合されることで、ガスケット44が副フランジ部17に装着される。
【0051】
・ガスケット44として、上記実施形態とは異なり、環状をなすものが用いられてもよい。