(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、汚泥の固形分に対して所定の添加率となるように繊維を添加することで、汚泥の脱水効果を高めることが検討されている。しかしながら、従来の脱水方法においても、その脱水効果は十分なものとは言えず、さらなる改善が求められていた。また、従来の脱水方法を用いた場合、脱水後の汚泥量(脱水ケーキ量)を十分に低減することが困難であり、この点に関してもさらなる改善が求められていた。
【0007】
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、脱水ケーキの含水率をさらに低減し、より脱水効果の高い汚泥の脱水方法を提供することを目的として検討を進めた。さらに、本発明者らは、脱水後の汚泥量(脱水ケーキ量)を十分に低減することも目的として検討を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、排水に含まれる汚泥に、電荷を有する凝集剤と、電荷を有する繊維を所定の順番で添加することにより、脱水ケーキの含水率を低減し、さらに脱水後の汚泥量(脱水ケーキ量)も低減し得ることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
【0009】
[1]排水に含まれる汚泥に、電荷を有する凝集剤を添加する工程と、電荷を有する凝集剤を添加する工程の後に、電荷を有する繊維を添加する工程とを含み、電荷を有する繊維は、汚泥に対して、乾燥重量比で3重量%以上となるように添加されることを特徴とする汚泥の脱水方法。
[2]電荷を有する繊維は、汚泥に対して、乾燥重量比で5〜70重量%となるように添加される[1]に記載の汚泥の脱水方法。
[3]電荷を有する繊維は、汚泥に対して、乾燥重量比で10重量%より多く70重量%以下となるように添加される[1]又は[2]に記載の汚泥の脱水方法。
[4]電荷を有する凝集剤を添加する工程の後に、さらに、濃縮処理工程を含み、濃縮処理工程の後に、電荷を有する繊維を添加する工程を含む[1]〜[3]のいずれかに基材の汚泥の脱水方法。
[5]電荷を有する繊維は、木材由来のパルプである[1]〜[4]のいずれかに記載の汚泥の脱水方法。
[6]電荷を有する繊維は、広葉樹由来のパルプである[1]〜[5]のいずれかに記載の汚泥の脱水方法。
[7]凝集剤は、カチオン系凝集剤及びアニオン系凝集剤から選択される少なくとも1種である[1]〜[6]のいずれかに記載の汚泥の脱水方法。
[8]排水に含まれる汚泥に電荷を有する凝集剤を添加する手段と、凝集剤を含有する汚泥に電荷を有する繊維を添加する手段とを備え、電荷を有する繊維を添加する手段は、電荷を有する繊維の割合が、汚泥に対して乾燥重量比で3重量%以上となるように添加する手段であることを特徴とする汚泥の脱水装置。
[9]電荷を有する繊維を添加する手段は、電荷を有する繊維の割合が、汚泥に対して乾燥重量比で5〜70重量%となるように添加する手段である[8]に記載の汚泥の脱水装置。
[10]凝集剤を含有する汚泥を濃縮する手段をさらに備える[8]又は[9]に記載の汚泥の脱水装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の脱水方法を用いることによって、脱水ケーキの含水率を十分に低減することができる。また、本発明の脱水方法を用いることによって、脱水後の汚泥量(脱水ケーキ量)を十分に低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0013】
(汚泥の脱水方法)
本発明は、排水に含まれる汚泥に、電荷を有する凝集剤を添加する工程と、電荷を有する凝集剤を添加する工程の後に、電荷を有する繊維を添加する工程とを含む汚泥の脱水方法に関する。ここで、電荷を有する繊維は、汚泥に対して、乾燥重量比で3重量%以上となるように添加される。
【0014】
本発明では、上記のように、電荷を有する凝集剤と、電荷を有する繊維を特定の順番で添加することにより、途中工程で密度の高いフロックを形成することができる。このようなフロックを形成することにより、脱水ケーキの含水率を効果的に低減することができる。さらに、繊維の割合を上記範囲となるように添加することにより、脱水効果を高めることに加え、脱水後の汚泥量(脱水ケーキ量)を十分に低減することができる。通常、繊維の添加率を増やした場合、脱水ケーキ中に繊維分が多量に含有されることとなるため、汚泥量の増加が懸念される。しかし、本発明では、驚くべきことに、繊維を3重量%以上となるように添加することで、脱水効果を高めるだけではなく、汚泥量(脱水ケーキ量)も低減することができる。
【0015】
図1は、本発明の汚泥の脱水方法を説明する概略図である。汚泥は、まず凝集槽10に移送される。凝集槽10には、撹拌機12が備え付けられている。また、凝集槽10には、凝集剤貯留槽20が連結されている。凝集槽10に汚泥が移送された後には、凝集剤貯留槽20から凝集剤が送液され、凝集槽10に投入される。その後、撹拌機12によって撹拌されることで、汚泥と、凝集剤は均一に混合される。なお、汚泥に凝集剤が2種以上添加される場合は、凝集槽10は、凝集剤貯留槽20を複数個備えていてもよい。
【0016】
次いで、凝集槽10において、凝集剤が混合された汚泥は、汚泥減容槽15に移送される。汚泥減容槽15にも、撹拌機17が備え付けられており、汚泥減容槽15には、繊維貯留槽30が連結されている。汚泥減容槽15に凝集剤を含有する汚泥が移送された後には、繊維貯留槽30から電荷を有する繊維が汚泥減容槽15に投入される。その後、撹拌機17によって撹拌されることで、汚泥と、凝集剤と、繊維は均一に混合される。このように、本発明では、汚泥に、凝集剤が混合された後に、凝集剤含有汚泥が汚泥減容槽に移送され、そこで電荷を有する繊維と混合されることとなる。このような添加順序とすることで、効果的に汚泥を脱水することができる。
【0017】
凝集槽10においては、凝集剤が混合された後の総撹拌時間は30分以上であることが好ましく、10分以上であることがより好ましい。また、総撹拌時間が例えば10分の場合、速撹拌時間は2分であることが好ましく、緩撹拌時間は8分であることが好ましい。この場合、速撹拌により凝集剤または繊維の撹拌性(混合性)を促進し、また緩撹拌によりフロックの形成を促進することができる。ここで、緩撹拌とは、速撹拌の撹拌速度の20〜50%の速度で撹拌を行う条件である。具体的には、速撹拌が200rpmの場合は、緩撹拌は40〜100rpmとなる。なお、汚泥減容槽15における繊維との撹拌条件も上記と同様である。
【0018】
なお、凝集剤貯留槽20と繊維貯留槽30は、各々、凝集槽10と汚泥減容槽15中に貯留された汚泥の重量を計測し、その重量から投入する凝集剤と繊維の量を算出するシステムを備えていることが好ましい。
【0019】
本発明では、上述したように、凝集槽10と汚泥減容槽15を備えることが好ましいが、いずれかの槽のみを備えていてもよい。例えば、凝集槽10のみを備える場合、凝集槽10に、凝集剤貯留槽20と繊維貯留槽30の両方が連結される。そして、凝集槽10に移送された汚泥に、まず凝集剤が添加され、撹拌を行った後に、繊維を添加することとしてもよい。このように、業種剤と繊維の添加時間をずらすことで添加順序を調整してもよい。
【0020】
凝集剤と、繊維が混合された汚泥は、脱水機40に移送される。脱水機40では、スクリュープレス、フィルタープレス、遠心脱水機、ベルトプレス、電気浸透脱水機等の脱水システムを用いて汚泥から水分を除去する。中でも、脱水機40としては、スクリュープレスは好ましく用いられる。なお、脱水システムを複数種組み合わせて脱水を行ってもよく、例えば、スクリュープレスを実施した後に遠心脱水を実施してもよい。汚泥から除去された水分は処理水として排出される。また、脱水された汚泥は、脱水ケーキとなり、肥料等として再利用されるか、廃棄処分される。
【0021】
本発明の汚泥の脱水方法においては、電荷を有する凝集剤を添加する工程の後に、さらに、濃縮処理工程を含み、濃縮処理工程の後に、電荷を有する繊維を添加する工程を含むことが好ましい。濃縮処理工程では、凝集沈殿処理、加圧浮上処理、遠心分離処理などで濃縮をすることが好ましい。このような処理工程を設けた後に、電荷を有する繊維を添加することで、汚泥と繊維を効率よく混合することができる。
【0022】
電荷を有する繊維は、スラリーとして添加されてもよい。スラリー中においては、電荷を有する繊維は、均一に分散されている。スラリーには、繊維が0.1〜15重量%含有されていればよく、1〜10重量%含有されていることが好ましい。なお、必要に応じて分散剤などの添加剤を含有していてもよい。繊維をスラリー化した状態で添加することで、汚泥とパルプを均一に混合することができる。これにより、より効果的に脱水ケーキの含水率を低下することができる。また、パルプをスラリー化することで、添加作業を容易にすることができ、脱水処理の作業効率を高めることができる。
【0023】
電荷を有する繊維は、汚泥に対して、乾燥重量比で3重量%以上となるよう添加されればよい。また、電荷を有する繊維の添加率は、5〜70重量%であることが好ましく、10重量%より多く70重量%以下であることがより好ましく、15〜70重量%であることがさらに好ましい。電荷を有する繊維の添加率を上記範囲内とすることにより、より効果的に、脱水ケーキの含水率を低減することができ、汚泥量(脱水ケーキ量)も低減することができる。
【0024】
汚泥に対する繊維の割合を算出する際には、まず、汚泥の乾燥重量を下記の方法で測定する。
(1)汚泥を脱水する。
(2)脱水後の汚泥をろ紙に挟み、5kgの重しを10分間乗せて水分を吸収させる。
(3)その汚泥を105℃の乾燥機にて、24時間乾燥させる。
(4)脱水前の汚泥量と、乾燥後の乾燥汚泥量から汚泥濃度を算出する。
汚泥濃度(%)=乾燥後汚泥量(g)÷脱水前汚泥量(g)×100
次いで、繊維をスラリーとして添加する場合は、上記と同様の方法で繊維濃度を算出する。なお、繊維を固形パルプとして添加する場合は、固形パルプの重量が乾燥繊維量(g)となる。
(1)繊維スラリーを脱水する。
(2)脱水後の繊維スラリーをろ紙に挟み、5kgの重しを10分間乗せて水分を吸収させる。
(3)その繊維スラリーを105℃の乾燥機にて、24時間乾燥させる。
(4)脱水前の繊維スラリー量と、乾燥後の乾燥繊維スラリー量から繊維スラリー濃度を算出する。
繊維スラリー濃度(%)=乾燥後繊維スラリー量(g)÷脱水前繊維スラリー量(g)×100
そして、上記で算出した汚泥濃度と繊維スラリー濃度を用いて、汚泥中に含有される乾燥汚泥量と、繊維スラリーに含有される乾燥繊維量を算出することで、用いた汚泥に対する繊維の割合(乾燥重量比)を求めることができる。
繊維の乾燥重量比(%)=乾燥繊維量(g)÷乾燥汚泥量(g)×100
【0025】
汚泥には、正電荷を持つ物質が含有されていることが好ましい。正電荷を持つ物質としては、硫酸アルミニウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミン、メラミン酸コロイド、ジシアンジアミド等の無機塩や有機化合物が挙げられる。なお、正電荷を持つ物質は、上述した無機塩等が汚泥中で溶解した時に生じるイオンと同じイオンを含む物質でもよく、例えば水に溶解してアルミニウムイオンを供給する物質や鉄イオンを供給する物質であってもよい。
【0026】
(繊維)
本発明で用いることができる電荷を有する繊維としては、木材パルプ、綿、麻、古紙パルプ、非木材パルプ等を挙げることができる。また、電荷を付与したポリプロピレン等の合成繊維も用いることができる。さらに、パルプとしては、紙パルプ製造工場から回収された繊維や、繊維分を多く含むスラッジを用いることもできる。
パルプは電荷を有するものであることが好ましく、電荷を有さないパルプを用いる場合は、パルプに電荷を持つ物質を固定又は吸着させたものを用いることもできる。電荷を持つ繊維は、比表面積が大きく、柔軟性のある素材が好適である。繊維の持つ電荷はアニオン性、カチオン性、その両方でもよい。また、繊維中の電荷の量は特に限定されない。
【0027】
本発明では、電荷を有する繊維として、木材由来のパルプを用いることが好ましい。木材パルプ由来の繊維は、ヘミセルロース由来のカルボキシル基を持つので、アニオン性の電荷を持つ。また、繊維の構造は、多糖類が複雑な構造で高分子化したものであるため、比表面積が大きく、柔軟性があるため脱水ケーキの含水率を効果的に低減することができる。さらに、木材パルプを用いると、繊維と汚泥が良好に絡み合うことで、密度の高いフロックが形成され、脱水機で脱水する前の段階で、水分と汚泥の分離性を向上させることができる。加えて、木材パルプは、天然物であるために持続的に供給でき、安価であるため好適である。
【0028】
木材パルプを使用する場合は、木材パルプに前処理を施してもよい。例えば、前処理工程において、叩解を行うことで、比表面積を増大させることができる。また、木材パルプにオゾン、塩素、二酸化塩素、過硫酸、次亜塩素酸、過酸化水素等の酸化剤による酸化処理や、TEMPO酸化法、フェントン酸化法等の公知の酸化法によって酸化処理を施し、木材パルプ中のアニオン性残基量を増やしてから使用することもできる。また、アニオン性を持つ化合物および/またはカチオン性を持つ化合物を木材パルプに固定又は吸着させてから、使用してもよい。
【0029】
前処理工程において、叩解を行う場合、パルプのフリーネスは750ml以下であることが好ましく、650ml以下であることが好ましく、550ml以下であることがより好ましい。なお、フリーネスとは、JIS−P8220に準拠して標準離解機にて試料を離解処理した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて測定した濾水度の値である。パルプのフリーネスを上記範囲とすることにより、パルプの比表面積を大きくすることができ、柔軟性を高めることができるため、脱水ケーキの含水率を効果的に低減することができる。
【0030】
木材パルプとしては、針葉樹由来のパルプ(NKP)と広葉樹由来のパルプ(LKP)等を挙げることができる。中でも、広葉樹由来のパルプ(LKP)を用いることが好ましい。広葉樹由来のパルプ(LKP)は、比表面積が大きく、柔軟性のある素材であるため、脱水ケーキの含水率をより効果的に低減することができる。
【0031】
(凝集剤)
本発明で用いられる電荷を有する凝集剤は、カチオン系凝集剤、アニオン系凝集剤及びノニオン性凝集剤から選択される少なくとも1種であることが好ましく、カチオン系凝集剤及びアニオン系凝集剤から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。汚泥には少なくとも1種の凝集剤が添加されればよいが、2種以上の凝集剤を添加してもよい。具体的には、カチオン系凝集剤及びアニオン系凝集剤の両方を添加することが好ましい。また、添加順序は特に制限されず、アニオン系凝集剤を添加した後に、カチオン系凝集剤を添加してもよく、カチオン系凝集剤を添加した後に、アニオン系凝集剤を添加してもよい。
【0032】
本発明で用いることができる凝集剤としては、例えば、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、ノニオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリル酸ナトリウム、カチオン性ポリアクリル酸アルキルエステル、カチオン性ポリメタアクリル酸アルキルエステル、カチオン性ポリアミン、カチオン性ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、カチオン性ジシアンジアミド、カチオン性アミノ縮合物、アニオン性アルギン酸ナトリウム、アニオン性カルボキシメチルセルロース、ノニオン性苛性化デンプン等を挙げることができる。凝集剤は、その分子量や主たる特性をもたらす官能基の量に関わらず用いることができる。また、直鎖状もしくは枝分かれ状といった形状にも関わらず用いることができる。
本発明では、凝集剤として、無機塩類も用いることもできる。無機塩類としては、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第三鉄、塩素化コッパラス等を挙げることができる。
【0033】
凝集剤は、一種類のみ使用することもできるし、複数の種類を使用することもできる。また、珪藻土、活性シリカといった助剤、硫酸や塩酸、水酸化ナトリウムといったpH調整剤、マンガン酸塩、次亜塩素酸塩、硫酸第一鉄等の酸化・還元剤、凝集剤等の補助薬剤を使用することもできる。凝集剤や補助薬剤、電荷を持つ繊維の選択や添加量の決定は、ジャーテストや脱水試験等を行い、脱水性を考慮して行われる。
【0034】
(汚泥の脱水装置)
本発明は、汚泥の脱水装置に関するものでもある。本発明の汚泥の脱水装置は、排水に含まれる汚泥に電荷を有する凝集剤を添加する手段と、凝集剤を含有する汚泥に電荷を有する繊維を添加する手段とを備える。ここで、電荷を有する繊維を添加する手段は、電荷を有する繊維の割合が、汚泥に対して乾燥重量比で3重量%以上となるように添加する手段である。電荷を有する繊維を添加する手段は、汚泥に対する繊維の割合が、乾燥重量比で5〜70重量%となるように添加する手段であることが好ましく、より好ましくは10重量%より多く70重量%以下、さらに好ましくは15重量%〜70重量%となるように添加する手段である。
【0035】
本発明の汚泥の脱水装置は、
図1に示されているように、凝集槽10と、凝集剤貯留槽20と、汚泥減容槽15と、繊維貯留槽30と、脱水機40を備えていることが好ましい。また、凝集槽10には、撹拌機12が備え付けられていることが好ましく、汚泥減容槽15にも撹拌機17が備え付けられていることが好ましい。凝集槽10には、凝集剤貯留槽20が、連結されており、凝集剤貯留槽20から凝集剤が汚泥減容槽15に添加される。また汚泥減容槽15には、繊維貯留槽30が連結されており、繊維貯留槽30から繊維が汚泥減容槽15に添加される。
【0036】
本発明の汚泥の脱水装置は、凝集剤を含有する汚泥を濃縮する手段をさらに備えることが好ましい。濃縮する手段は、凝集沈殿装置、加圧浮上装置、遠心分離装置であることが好ましい。このような装置を用いて凝集剤を含有する汚泥を濃縮することで、後工程において、電荷を有する繊維と効率よく混合することができる。
【0037】
凝集剤と、繊維が混合された汚泥は、脱水機40で脱水される。脱水機40としては、スクリュープレス、フィルタープレス、遠心脱水機、ベルトプレス、電気浸透脱水機等を挙げることができる。
【0038】
本発明の汚泥の脱水装置は、その他に、さらに凝集剤貯留槽、凝集沈殿槽、生物処理膜、活性汚泥処理槽等を備えていることが好ましい。
【実施例】
【0039】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0040】
(実施例1)
製紙工場から排出された汚泥であり、硫酸アルミニウムを300ppm含む汚泥500gに、アニオン系凝集剤を100ppmとなるように添加した。添加後120rpmにて1分間撹拌し、更に40rpmで5分間撹拌した。カチオン系凝集剤を100ppmとなるように添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌しフロックを形成させた。その後、繊維を3重量%(対汚泥乾燥重量比)添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌し、フロックを形成させた。得られたフロックをスクリュープレスにて脱水し脱水ケーキを得た。
なお、表1における凝集剤と繊維の添加方法(1)〜(4)は添加順序を表す。
【0041】
(実施例2)
食品工場から排出された汚泥であり、塩化第二鉄を100ppm含む汚泥500gに、アニオン系凝集剤を100ppmとなるように添加した。添加後120rpmにて1分間撹拌し、更に40rpmで5分間撹拌した。カチオン系凝集剤を100ppmとなるように添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌しフロックを形成させた。その後、繊維を5重量%(対汚泥乾燥重量比)添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌し、フロックを形成させた。得られたフロックをスクリュープレスにて脱水し脱水ケーキを得た。
【0042】
(実施例3)
下水処理施設から排出された汚泥であり、ポリ塩化アルミニウムを200ppm含む汚泥500gに、アニオン系凝集剤を100ppmとなるように添加した。添加後120rpmにて1分間撹拌し、更に40rpmで5分間撹拌した。カチオン系凝集剤を100ppmとなるように添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌しフロックを形成させた。その後、繊維を10重量%(対汚泥乾燥重量比)添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌し、フロックを形成させた。得られたフロックをスクリュープレスにて脱水し脱水ケーキを得た。
【0043】
(実施例4)
食品工場から排出された汚泥であり、硫酸アルミニウムを300ppm含む汚泥500gに、アニオン系凝集剤を100ppmとなるように添加した。添加後120rpmにて1分間撹拌し、更に40rpmで5分間撹拌した。カチオン系凝集剤を100ppmとなるように添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌しフロックを形成させた。その後、繊維を30重量%(対汚泥乾燥重量比)添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌し、フロックを形成させた。得られたフロックをスクリュープレスにて脱水し脱水ケーキを得た。
【0044】
(実施例5)
下水処理施設から排出された汚泥であり、塩化第二鉄を100ppm含む汚泥500gに、アニオン系凝集剤を100ppmとなるように添加した。添加後120rpmにて1分間撹拌し、更に40rpmで5分間撹拌した。カチオン系凝集剤を100ppmとなるように添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌しフロックを形成させた。その後、繊維を50重量%(対汚泥乾燥重量比)添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌し、フロックを形成させた。得られたフロックをスクリュープレスにて脱水し脱水ケーキを得た。
【0045】
(実施例6)
製紙工場から排出された汚泥であり、塩化第二鉄を100ppm含む汚泥500gに、アニオン系凝集剤を100ppmとなるように添加した。添加後120rpmにて1分間撹拌し、更に40rpmで5分間撹拌した。カチオン系凝集剤を100ppmとなるように添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌しフロックを形成させ、汚泥を沈殿させた。沈殿した汚泥を抜き出し、ロータリースクリーンにて濃縮した。濃縮した汚泥に繊維を5重量%(対汚泥乾燥重量比)添加しフロックを形成させた。得られたフロックをスクリュープレスにて脱水し脱水ケーキを得た。
【0046】
(比較例1)
食品工場から排出された汚泥であり、硫酸アルミニウムを200ppm含む汚泥500gに、繊維を10重量%(対汚泥乾燥重量比)添加した。120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌し、アニオン系凝集剤を100ppmとなるように添加した。添加後120rpmにて1分間撹拌し、更に40rpmで5分間撹拌した。カチオン系凝集剤を100ppmとなるように添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌しフロックを形成させた。得られたフロックをスクリュープレスにて脱水し脱水ケーキを得た。
【0047】
(比較例2)
下水処理施設から排出された汚泥であり、ポリ塩化アルミニウムを100ppm含む汚泥500gに、アニオン系凝集剤を100ppmとなるように添加した。添加後120rpmにて1分間撹拌し、更に40rpmで5分間撹拌し、カチオン系凝集剤を100ppmとなるように添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌しフロックを形成させた。その後、繊維を1重量%(対汚泥乾燥重量比)添加し、120rpmで1分間撹拌し、更に40rpmで4分間撹拌し、フロックを形成させた。得られたフロックをスクリュープレスにて脱水し脱水ケーキを得た。
【0048】
(評価)
(脱水ケーキ含水率)
得られた脱水ケーキの重量を測定した。また、得られた脱水ケーキを、105℃に設定した乾燥機にて24時間乾燥させた。脱水ケーキの含水率は、乾燥前後の脱水ケーキ重さから、下記の式に従い算出した。
脱水ケーキの含水率(重量%)=(脱水後の重さ−乾燥後の重さ)÷(脱水後の重さ)
×100
【0049】
(脱水ケーキ重量減少率)
脱水ケーキ重量減少率は下記の式にて算出した。
脱水ケーキの重量減少率(%)
=(繊維を添加していない脱水後の脱水ケーキの重量−繊維を添加したものの脱水後の脱水ケーキの重量)÷繊維を添加したものの脱水後の脱水ケーキの重量×100
【0050】
【表1】
【0051】
比較例に比べて実施例1〜6では、脱水ケーキの含水率が低減されていることがわかる。特に、繊維の添加率が30重量%以上の場合に、脱水ケーキの含水率が低減されている。
さらに、実施例では、脱水ケーキ重量減少率も高くなっていることがわかる。脱水後の汚泥重量が減少することで、汚泥を産業廃棄物として埋め立て処理する際の処理費用を削減することができる。また脱水後の汚泥水分が減少することで、汚泥の焼却処理する際に自燃が可能となり、汚泥燃焼させる際の補助燃料費用の削減も可能となる。また自燃が可能となることで、脱水後の汚泥が燃料としても使用できる。