特許第6319186号(P6319186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6319186
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】画像制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20180423BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20180423BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20180423BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   H04N1/04 106Z
   H04N1/387
   H04N1/10
   G06T1/00 430J
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-105397(P2015-105397)
(22)【出願日】2015年5月25日
(62)【分割の表示】特願2012-275308(P2012-275308)の分割
【原出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-181275(P2015-181275A)
(43)【公開日】2015年10月15日
【審査請求日】2015年8月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】目木 正治
【審査官】 宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−120962(JP,A)
【文献】 特開2007−282096(JP,A)
【文献】 特開2000−4390(JP,A)
【文献】 特開2000−308045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/207
G06T 1/00
H04N 1/38 − 1/393
H04N 5/222 − 5/257
H04N 7/14 − 7/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に対する制御を行う画像制御装置であって、
撮像手段で撮像される画像の変化の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段により前記画像の変化を検出し、その後にその画像の変化が無くなったことを検出した場合は、その変化が無くなった時の画像を特定画像として特定する特定手段と、
前記特定手段での特定された特定画像が見開き頁の文書画像か否かを判別し、見開き頁の文書画像であれば前記特定画像をその画像内に含まれている各頁の画像に分割してそれぞれ独立して保存し、見開き頁の文書画像でなければ前記特定画像を1頁の画像として保存する保存制御手段と、
を具備したことを特徴とする画像制御装置。
【請求項2】
前記保存制御手段は、前記見開き頁の文書画像か否かの判別を、前記検出手段で検出される画像の変化に応じて判別し、前記特定の画像を前記各頁の画像あるいは前記1頁の画像として保存する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像制御装置。
【請求項3】
前記保存制御手段は、前記検出手段で検出される画像変化の変化方向が、文書の頁めくり方向への変化方向か否かに基づいて、前記文書画像が見開き頁か否かを判別する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像制御装置。
【請求項4】
前記保存制御手段は、前記検出手段で検出される画像変化の変化領域が、前記文書画像内のほぼ半分の領域か否かに基づいて、前記文書画像が見開き頁か否かを判別する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像制御装置。
【請求項5】
前記特定手段は、前記画像の変化検出後にあって当該画像の変化が無くなった時の変化後画像を、前記画像の変化を検出する前の変化前画像と比較し、前記変化前画像と前記変化後画像とが異なっている場合に、前記変化後画像を前記特定画像として特定する、
ことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の画像制御装置。
【請求項6】
画像に対する制御を行う画像制御装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
撮像手段で撮像される画像の変化の有無を検出する検出手段、
前記検出手段により前記画像の変化を検出し、その後にその画像の変化が無くなったことを検出した場合は、その変化が無くなった時の画像を特定画像として特定する特定手段、
前記特定手段での特定された特定画像が見開き頁の文書画像か否かを判別し、見開き頁の文書画像であれば前記特定画像をその画像内に含まれている各頁の画像に分割してそれぞれ独立して保存し、見開き頁の文書画像でなければ前記特定画像を1頁の画像として保存する保存制御手段、
として機能させるようにしたプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、書物などを連続撮像してその画像を順次記録する技術としては、例えば、書物などを手に持って頁を順次捲ると、その様子を連続撮像した各画像を解析することで頁捲りを検出して各頁の画像を記録保存するようにした技術が知られている(特許文献1参照)。すなわち、特許文献1の技術は、頁が順次捲られると、画像内では頁端辺の位置が順次変化するようになるため、その頁端辺の位置変化を検出し、その頁端辺の位置に基づいて頁が完全に捲られたことを検出すると、そのときの撮像画像を1頁分の画像として取得して記録保存するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−65261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献の技術のように頁端辺の位置変化を検出する方法では、コントラストが強い箇所では頁端辺を検出できたとしても常に安定的に検出することは困難となり、また、見開き頁の間の折り曲げ部(縦のセンタライン)と頁端辺とを混同することによって頁捲りの誤検出を招くおそれもあった。また、見開きの各頁を撮影した場合には、見開き2頁分のデータが1画像分のデータとして記録保存されることになる。
【0005】
本発明の課題は、撮像される画像の変化に応じて適切な処理を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1は、画像に対する制御を行う画像制御装置であって、撮像手段で撮像される画像の変化の有無を検出する検出手段と、前記検出手段により前記画像の変化を検出し、その後にその画像の変化が無くなったことを検出した場合は、その変化が無くなった時の画像を特定画像として特定する特定手段と、前記特定手段での特定された特定画像が見開き頁の文書画像か否かを判別し、見開き頁の文書画像であれば前記特定画像をその画像内に含まれている各頁の画像に分割してそれぞれ独立して保存し、見開き頁の文書画像でなければ前記特定画像を1頁の画像として保存する保存制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像される画像の変化に応じて適切な処理を行えるようにすることである。

【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の情報読取装置の基本的な構成要素を示したブロック図。
図2】情報読取装置によって紙媒体を読み取る場合の状態を示した情報読取装置の外観斜視図。
図3】(1)〜(4)は、紙媒体が見開き頁か否かを判定する一つの判定方法を説明するための図。
図4】(1)、(2)は、紙媒体が見開き頁か否かを判定する他の判定方法を説明するための図。
図5】(1)、(2)は、紙媒体が見開き頁か否かを判定する更に他の判定方法を説明するための図。
図6】ユーザ操作による動作モード切り替えに応じて文書頁捲り撮影モードが指定された際に実行開始される動作(本実施形態の特徴的な動作)を説明するためのフローチャート。
図7】文書形式に応じて頁画像を保存する処理(図6のステップA12)を詳述するフローチャート。
図8】本実施形態の変形例を説明するための図。
図9】本実施形態の他の変形例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図7を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の情報読取装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
情報読取装置は、情報が記録されている情報記録媒体(例えば、資料などの紙媒体)を撮影してその情報を読み取るもので、その中核となる制御部1は、電源部2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこの情報読取装置の全体動作を制御する中央演算処理装置やメモリなどを有している。記憶部3は、後述する図6及び図7のフローチャートに示すプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているプログラムメモリ3aと、この情報読取装置が動作するために必要となる各種の情報(例えば、フラグなど)を一時的に記憶するワークメモリ3bなどを有している。なお、記憶部3は、SDカードなどの記録メディアを含む構成であってもよく、他のサーバ装置(図示省略)側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0010】
操作部4は、押しボタン式のキーとして、図示省略したが、電源をオン/オフさせる電源キーなどを備え、制御部1は、この操作部4から操作キーに対応して出力される入力操作信号に応じた処理を行う。タッチ表示部5は、表示パネル5aにタッチパネル5bを積層配設した構成となっている。撮像部6は、画像読取機能を構成するもので、図示省略したが、光学レンズからの被写体像が撮像素子(CCDやCMOSなど)に結像されることにより被写体を高精細に撮影可能なデジタルカメラ部であり、撮影レンズ、撮像素子、各種のセンサ、アナログ処理部、デジタル処理部などを有している。無線LAN(Local Area Network)通信部7は、高速大容量の通信が可能な無線通信モジュールで、最寄りの無線LANルータ(図示省略)を介してインターネットに接続可能となっている。
【0011】
図2は、情報読取装置によって紙媒体を読み取る場合の状態を示した情報読取装置の外観斜視図である。
情報読取装置は、両開き式のバインダ10上にタブレット装置11と紙媒体12を装着した構成で、基本的にはタブレット装置11と同義である。バインダ10は、第1の筐体10aと第2の筐体10bとをヒンジ部10cを介して見開き状に開閉可能となるように取り付けた構成で、第1の筐体10aと第2の筐体10bとは、180°開いた状態から第1の筐体10aの上に第2の筐体10bが重なり合う状態(完全に閉じた状態)まで開閉可能となっている。タブレット装置11のタッチ表示部5及び撮像部6は、タブレット装置11の表面側に位置するように配設され、更に撮像部6は、表面側の一端中央部(図示の例では表面左端中央部)に位置するように配設されている。
【0012】
タブレット装置11は、第1の筐体10aと第2の筐体10bとの角度が所定の角度範囲となったとき、第1の筐体10aに載置されている紙媒体12の全体を撮影した画像を読み取り画像として取得するようにしている。例えば、第1の筐体10aを机面などに載置した状態において、第2の筐体10bが斜めに立ち上がっているときの角度、つまり、第2の筐体10bの立ち上げ角度が所定の角度範囲となったとき、つまり、紙媒体12を撮影するのに適した最適角度を、例えば、70°とすると、その最適角度を中心としてその前後の所定角度(例えば、±5°)の撮影角度範囲(65°〜75°)になったときに、紙媒体12を撮影するようにしている。
【0013】
なお、上述の場合とは逆に、第2の筐体10bを机面などに載置した状態で第1の筐体10aを斜めに立ち上げるように設置して利用することも可能である。また、紙媒体12は、文字や図表などを光学的に読み取る情報が記載されている媒体を示すものであり、例えば、ノート、リポート用紙、書籍などであるが、素材が紙であることを特定するものではなく、情報が記載されている被写体を意味し、情報を電子的に表示可能な電子ペーパーも含まれる。
【0014】
図3は、紙媒体12が見開き頁であるか否かを判定する一つの判定方法を説明するための図である。図3(1)は、複数枚の用紙を束ねて、その右上隅部をクリップなどで留められている紙媒体12(以下、片留め型の文書資料と称する)が頁捲りされている途中の状態を示した図である。このように用紙の一隅部が留められている片留め型の文書資料が頁捲りされている途中の状態を撮影したライブビュー画像内において、頁捲り時の画像の変化は上下方向及び右方向に大きく現れる。すなわち、図3(2)に示すように、その文書資料の用紙領域aから頁捲りにより画像の一部(捲られている頁)が、はみ出している画像変化領域bは、図中、上下方向及び右方向が大きくなっている。
【0015】
図3(3)は、紙媒体12として、ノートなどのように左右2頁の見開き型の文書資料を頁捲りされている途中の状態を示した図である。このように見開き型の文書資料が頁捲りされている状態を撮影したライブビュー画像内において、図3(4)に示すようにその文書資料の用紙領域aから頁捲りにより画像の一部(捲られている頁)がはみ出している画像変化領域bは、図中、左右方向にはほとんどなく、上下方向に若干大きくなっている。そこで、本実施形態においては、頁捲り時の画像の変化が文書形式(片留め型の文書あるいは見開き型の文書)に応じて異なり、用紙領域aの右側方向への変化が顕著なものとなるために、画像変化領域bが用紙領域aの右側に、はみ出しているかを文書形式の判定基準としている。
【0016】
図4は、紙媒体12が見開き頁であるか否かを判定する他の判定方法を説明するための図である。図4(1)は、図3(1)と同様に、片留め型の文書資料が頁捲りされている途中の状態を示した図である。このように片留め型の文書資料が頁捲りされている途中の状態を撮影したライブビュー画像内において、頁捲り時の画像の変化は、次頁(後頁)の文書内容の変化が斜め上方向(図中、矢印方向)の変化として現れる。図4(2)は、図3(3)と同様に、見開き型の文書資料を頁捲りされている途中の状態を示した図である。このように見開き型の文書資料が頁捲りされている途中の状態を撮影したライブビュー画像内において、頁捲り時の画像の変化は、次頁(後頁)の文書内容の変化が右真横方向(図中、矢印方向)の変化として現れる。そこで、本実施形態においては、頁捲り時における次頁(後頁)の文書内容の変化方向が文書形式に応じて異なるために、文書内容の変化方向を文書形式の判定基準としている。
【0017】
図5は、紙媒体12が見開き頁であるか否かを判定する更に他の方法を説明するための図である。図5(1)は、片留め型の文書資料における頁捲り開始時の状態を示した図である。このように片留め型の文書資料の頁捲り開始時を撮影したライブビュー画像内において、頁捲りによりその頁全体が若干湾曲したり、撓んだり、ずれたりするために、文書内容が変化している画像変化領域bは、その文書資料の用紙領域aと略同様の領域(図中、破線で囲んだ領域)となる。図5(2)は、見開き型の文書資料を頁捲りを開始したときの状態を示した図である。このように見開き型の文書資料の頁捲り開始時を撮影したライブビュー画像内において、見開きの左頁を捲り始めるとその頁全体が若干湾曲したり、撓んだり、ずれたりするが、右頁には、このような変化が生じないために文書内容が変化している画像変化領域bは、その文書資料の用紙領域aに対して左半分の領域(図中、破線で囲んだ領域)となる。そこで、本実施形態においては、頁捲り開始時において文書内容が変化している画像変化領域bの用紙領域aに対する大きさが文書形式に応じて異なるために、この画像変化領域bの大きさを文書形式の判定基準としている。
【0018】
このように本実施形態において制御部1は、複数の判定方法、つまり、画像変化領域bが用紙領域aの右側に、はみ出しているかに応じて判定する方法、頁捲り時における次頁(後頁)の文書内容の変化方向が右真横方向であるかに応じて判定する方法、画像変化領域bが用紙領域aに対して左半分の領域であるかに応じて判定する方法にしたがって判定を行うが、その際、予め決められている優先順位にしたがって複数の判定方法に応じた判定を順次行うことにより見開き頁であるか否かを判定するようにしている。
【0019】
次に、本実施形態における情報読取装置の動作概念を図6及び図7に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。なお、図6及び図7は、情報読取装置の全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、この図6及び図7のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
【0020】
図6は、ユーザ操作による動作モードの切り替えに応じて文書頁捲り撮影モードが指定された際に実行開始される動作(本実施形態の特徴的な動作)を説明するためのフローチャートである。
先ず、制御部1は、文書頁捲り撮影モードへの切り替えに応じて撮像部6を起動させて撮影動作を開始させると共に(ステップA1)、撮像部6からその撮影画像を取得してワークメモリ3bに一時記憶させておく(ステップA2)。そして、その撮影画像をプレビュー(ライブビュー)画像として取得すると共に(ステップA3)、このプレビュー画像を解析することによってコントラスト比を検出したり、矩形領域を検出したりしながら文書資料の用紙領域aを特定する(ステップA4)。
【0021】
そして、更に撮像部6からプレビュー画像を取得し(ステップA5)、前回取得のプレビュー画像と今回取得のプレビュー画像とを比較することによって(ステップA6)、それらの画像内容に変化があるかを調べ(ステップA7)、画像の変化を検出したときには(ステップA7でYES)、頁が捲られていると判断して、その変化内容をワークメモリ3bに一時記憶させておく(ステップA8)。次に、文書頁捲り撮影モードが解除されてその撮影終了が指示されたかを調べるが(ステップA9)、いま、文書頁捲り撮影モードのままであれば(ステップA9でNO)、上述のステップA5に戻り、撮像部6からプレビュー画像を取得し、以下、画像の変化を検出する毎に(頁捲りが終わるまで)、その変化内容を一時記憶させる動作を繰り返す(ステップA5〜A8)。
【0022】
ここで、画像の変化を検出しなければ(ステップA7でNO)、頁捲りが終わったものと判断して、ステップA10に移り、ワークメモリ3bに一時記憶されている撮影画像を前回の撮影画像として読み出して、今回取得のプレビュー画像と前回の撮影画像とを比較し、画像内容に変化があるかを調べる(ステップA11)。ここで、画像内容に変化がなければ(ステップA11でNO)、頁捲りによる画像の変化ではないと判断して、ステップA13に移り、ワークメモリ3bに一時記憶されている変化内容をクリアする処理を行った後、文書頁捲り撮影モードの解除を判別するステップA9に戻る。一方、今回取得のプレビュー画像と前回の撮影画像とを比較した結果、画像内容の変化を検出したときには(ステップA11でYES)、頁捲りによる画像の変化であると判断して、文書形式に応じて頁画像を保存する処理に移る(ステップA12)。その後、一時記憶の変化内容をクリアする処理(ステップA13)を行った後、文書頁捲り撮影モードの解除を判別するステップA9に戻る。
【0023】
図7は、文書形式に応じて頁画像を保存する処理(図6のステップA12)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、制御部1は、読み出頁が捲られているときの画像の変化内容が順次記憶されているワークメモリ3bを参照して(ステップB1)、その画像の変化状態を解析することにより、図3(1)、(2)に示すように、頁捲りによって画像の一部(捲られている頁)が文書資料の用紙領域aの右側から画像変化領域bが所定の閾値よりも大きく、はみ出しているかを調べる(ステップB2)。
【0024】
ここで、画像変化領域bが用紙領域aの右側に閾値よりも大きく、はみ出しているときには(ステップB2でYES)、図3(1)、(2)に示すように、片留め型の文書資料が頁捲りされている場合であると判断して、撮影画像の全体を1画像1頁のデータとして記録保存する(ステップB3)。そして、ワークメモリ3bに一時記憶されている撮影画像をクリア(ステップB4)した後、この図7のフローから抜ける。
【0025】
一方、画像変化領域bが用紙領域aの右側に大きく、はみ出していなければ(ステップB2でNO)、見開き型の文書資料が頁捲りされている可能性があると判断して、図4(2)に示すように、文書内容の変化方向は右真横方向であるかを調べる(ステップB5)。ここで、変化方向が右真横方向でなければ(ステップB5でNO)、片留め型の文書資料が頁捲りされている可能性があると判断して、文書内容の変化領域は用紙領域aの左半分領域であるかを調べる(ステップB6)。
【0026】
いま、変化方向が右真横方向ではなく(ステップB5でNO)、かつ画像変化領域bが用紙領域aの左半分領域でなければ(ステップB6でNO)、片留め型の文書資料が頁捲りされている場合であると判断して、撮影画像の全体を1頁のデータとして記録保存する処理に移る(ステップB3)。また、変化方向が右真横方向である場合(ステップB5でYES)又は画像変化領域bが用紙領域aの左半分領域である場合には(ステップB6でYES)、見開き型の文書資料が頁捲りされている場合であると判断して、用紙領域aの縦中心線を境にして左右の頁に分割する処理を行う(ステップB7)。これによって二等分された左右の領域を左右の独立頁として、例えば、右頁と左頁としてそれぞれ分けて記録保存する(ステップB8)。そして、ワークメモリ3bに一時記憶されている撮影画像をクリア(ステップB4)した後、この図7のフローから抜ける。
【0027】
以上のように、本実施形態において制御部1は、紙媒体(情報記録媒体)12としての文書資料の全体を撮像部6によって撮影した撮影画像を解析することによってその紙媒体12が見開き頁であるか否かを判定し、見開き頁であれば、その撮影画像を見開きの各頁にそれぞれ分割するようにしたので、見開き頁の紙媒体12の全体を1回で撮影したとしても1画像1頁として処理することができ、見開き頁の撮影画像をユーザ操作で分割するという編集作業の手間を省くことができ、書物などを連続撮像した画像を頁単位毎に効率良く処理することが可能となる。
【0028】
制御部1は、紙媒体12の頁捲り時に順次撮影された各撮影画像を比較して、その画像内容の変化を検出し、この画像内容の変化に基づいて見開き頁であるか否かを判定するようにしたので、頁捲りの状態から見開き頁であるかの判定が可能となる。
【0029】
制御部1は、頁捲り時に順次撮影された各撮影画像を比較してその画像内容の変化として、紙媒体12の頁捲り方向に、はみ出した領域を検出し、このはみ出し領域に基づいて見開き頁であるか否かを判定するようにしたので、頁捲りの状態から見開き頁を精度良くかつ安定的に判定することができる。
【0030】
制御部1は、紙媒体12の頁捲り方向に、はみ出した領域の大きさが所定値以上であれば、見開き頁であると判定するようにしたので、更に見開き頁を精度良く判定することができる。
【0031】
制御部1は、頁捲り時に順次撮影された各撮影画像を比較してその画像内容の変化として、頁捲り方向への変化を検出し、この頁捲り方向への変化であるか否かに基づいて見開き頁であるか否かを判定するようにしたので、頁捲りの状態から見開き頁を精度良くかつ常に安定的に判定することができる。
【0032】
制御部1は、頁捲り時に順次撮影された各撮影画像を比較してその画像内容の変化として、頁捲り中の変化が紙媒体12の略全体の領域か略半分の領域を検出し、この変化領域の大きさに基づいて見開き頁であるか否かを判定するようにしたので、頁捲りの状態から見開き頁を精度良くかつ常に安定的に判定することができる。
【0033】
制御部1は、予め決められている優先順位にしたがって複数の判定方法に応じた判定を順次行うことにより見開き頁であるか否かを判定するようにしたので、更に見開き頁を精度良く判定することができる。
【0034】
制御部1は、撮影画像をその中央を境にして各頁の間の折り曲げ部(縦のセンタライン)L1で左右の頁に二分割するようにしたので、見開き頁から正確に右頁及び左頁を得ることができる。
【0035】
なお、上述した実施形態においては、複数の判定方法として、画像変化領域bが用紙領域aの右側に、はみ出しているかに応じて判定する方法、頁捲り時における次頁(後頁)の文書内容の変化方向が右真横方向であるかに応じて判定する方法、画像変化領域cが用紙領域aに対して左半分の領域であるかに応じて判定する方法を例示したが、これらに限らず、例えば、図8に示した判定方法であってもよい。すなわち、上述した実施形態においては、頁捲りの状態から見開き頁であるかを判定するようにしたが、紙媒体12の撮影画像を解析することによってそのフォーム及び撓み状態を検出し、その検出フォーム及び撓み状態に基づいて見開き頁であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0036】
例えば、紙媒体12において、見開き頁の間の折り曲げ部(縦のセンタライン)L1が存在していること、その折り曲げ部(縦のセンタライン)L1を中心として横線L2が左右対称のレイアウト(用紙フォーム)となっていること、折り曲げ部(縦のセンタライン)L1を中心として左右対称の撓みL3が存在していることに基づいて見開き頁であると判定するようにしてもよい。これによって頁捲りを行わなくても見開き頁の判定が可能となる。
【0037】
上述した実施形態においては、見開き頁であると判定した場合にその撮影画像を見開きの各頁にそれぞれ分割するようにしたが、更に、撮影画像を解析することにより紙媒体12の向きを更に判定し、分割した各頁データの向きを紙媒体12の向きに合わせるように回転制御するようにしてもよい。この場合、見開き型の文書は、図9(1)に示すように画像の上が用紙上となっている可能性が高く、また、用紙の右上隅部が留められている片留め型の文書は、図9(2)に示すように画像の上又は右が用紙上となっている可能性が高いために文書形式の判定と共に用紙の向きを合わせて判定することが可能となる。これによって、例えば、文字認識機能を使用して文字の方向などから用紙の向きを判定する方法に比べて全体の処理効率を良くすることができる。
【0038】
上述した実施形態においては、予め決められている優先順位にしたがって複数の判定方法に応じた判定を順次行うことにより見開き頁であるか否かを判定するようにしたが、ユーザ操作により所望する判定方法が選択された場合に、その判定方法で見開き頁であるか否かを判定するようにしてもよい。このように判定方法を任意に選択可能とすれば、個性的な頁捲りであっても対応可能となり、精度良く判定することが可能となる。
【0039】
上述した実施形態においては、画像変化領域bが用紙領域aの右側に、はみ出しているかに応じて判定するようにしたが、用紙領域aの右側及び上側に、はみ出しているかに応じて判定するようにしてもよい。
【0040】
上述した実施形態においては、画像変化領域bが用紙領域aの右側に閾値よりも大きく、はみ出していなければ、見開き型の文書資料が頁捲りされている可能性があると判断して、文書内容の変化方向は右真横方向であるかを調べたり、文書内容の変化領域は用紙領域aの左半分領域であるかを調べたりするようにしたが、この複数の判定方法をどのように組み合わせて判定を行うかは、任意に変更可能としてもよい。また、複数の判定方法における全ての条件を満たす場合に見開き頁として判定するようにしてもよく、逆に、複数の判定方法のいずれか一つでもその条件を満たす場合に見開き頁として判定するようにしてもよい。
【0041】
上述した実施形態においては、撮影画像を用紙中央で左右の頁に分割するようにしたが、用紙領域の中央で上下の頁に分割するようにしてもよい。また、分割数は、2分割に限らず、頁単位であれば3分割などであってもよい。
【0042】
上述した実施形態においては、複数枚の用紙を束ねてその右上隅部がクリップなどで留められている片留め型の文書資料を例示したが、クリップなどで留める位置は用紙の右上隅部に限らず、左上隅部や上端中央部などであってもよい。
【0043】
上述した実施形態においては、撮影画像を用紙中央で左右の頁に分割して、その左右頁をそれぞれ記録保存するようにしたが、見開き型であっても、片面のみ印刷又は手書きされていて、他面が白紙の場合には白紙の頁を除いて、印刷/手書き頁だけを抽出して記録保存するようにしてもよい。
【0044】
上述した実施形態において情報読取装置は、両開き式のバインダ10上にタブレット装置11と紙媒体12とを装着した構成としたが、これに限らず、支柱などに撮像部を取り付けて紙媒体12を斜め上方向から撮影するなど、その構成は任意である。
【0045】
また、上述した実施形態において情報読取装置をタブレット装置11としたが、これに限らず、例えば、カメラ付きのパーソナルコンピュータ・PDA(個人向け携帯型情報通信機器)・スマートフォン、又はデジタルカメラ自体であってもよい。
【0046】
また、上述した実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0047】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下、原出願の願書に最初に記載した発明を付記する。
(付記)
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、
情報が記録されている情報記録媒体を撮影してその情報を読み取る情報読取装置であって、
前記情報記録媒体の撮影画像を解析することによって当該情報記録媒体が見開き頁であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により見開き頁であると判定された場合に、前記情報記録媒体の撮影画像を見開きの各頁にそれぞれ分割する分割手段と、
を備えたことを特徴とする情報読取装置である。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報読取装置において、
前記判定手段は、複数頁を有する情報記録媒体の頁捲り時に順次撮影された各撮影画像を比較することによってその画像内容の変化を検出し、この画像の変化に基づいて見開き頁であるか否かを判定する、
ようにしたことを特徴とする情報読取装置である。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報読取装置において、
前記判定手段は、頁捲り時に順次撮影された各撮影画像を比較してその画像内容の変化として、当該情報記録媒体の頁捲り方向に、はみ出した領域を検出し、このはみ出した領域に基づいて見開き頁であるか否かを判定する、
ようにしたことを特徴とする情報読取装置である。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の情報読取装置において、
前記判定手段は、情報記録媒体の頁捲り方向に、はみ出した領域の大きさが所定値以上であれば、見開き頁であると判定する、
ようにしたことを特徴とする情報読取装置である。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の情報読取装置において、
前記判定手段は、頁捲り時に順次撮影された各撮影画像を比較してその画像内容の変化として、当該情報記録媒体の頁捲り方向への変化を検出し、この頁捲り方向への変化であるか否かに基づいて見開き頁であるか否かを判定する、
ようにしたことを特徴とする情報読取装置である。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の情報読取装置において、
前記判定手段は、頁捲り時に順次撮影された各撮影画像を比較してその画像内容の変化として、頁捲り中の変化が当該情報記録媒体の略全体の領域か略半分の領域を検出し、この変化領域の大きさに基づいて見開き頁であるか否かを判定する、
ようにしたことを特徴とする情報読取装置である。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の情報読取装置において、
前記判定手段は、前記情報記録媒体の撮影画像を解析することによって情報記録媒体のフォーム及び撓み状態を検出し、その検出フォーム及び撓み状態に基づいて見開き頁であるか否かを判定する、
ようにしたことを特徴とする情報読取装置である。
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の情報読取装置において、
前記判定手段は、予め決められている優先順位にしたがって複数の判定方法に応じた判定を順次行うことにより見開き頁であるか否かを判定する、
ようにしたことを特徴とする情報読取装置である。
(請求項9)
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の情報読取装置において、
前記判定手段は、予め決められている複数の判定方法の中からユーザ操作に応じて任意に選択された判定方法により見開き頁であるか否かを判定する、
ようにしたことを特徴とする情報読取装置である。
(請求項10)
請求項10に記載の発明は、請求項1〜記載9のいずれかに記載の情報読取装置において、
前記分割手段は、撮影画像をその中央を境にして左右の頁に二分割する、
ようにしたことを特徴とする情報読取装置。
(請求項11)
請求項11に記載の発明は、請求項1〜記載10のいずれかに記載の情報読取装置において、
前記判定手段は、前記撮影画像を解析することにより情報記録媒体の向きを更に判定し、
前記分割手段によって分割された各頁の向きを前記判定手段によって判定された情報記録媒体の向きに合わせる制御を行う制御手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする情報読取装置である。
(請求項12)
請求項12に記載の発明は、
コンピュータに対して、
情報が記録されている情報記録媒体を撮影した撮影画像を解析することによって当該情報記録媒体が見開き頁であるか否かを判定する機能と、
前記見開き頁であると判定された場合に、前記情報記録媒体の撮影画像を見開きの各頁にそれぞれ分割する機能と、
を実現させるためのプログラムである。

【符号の説明】
【0048】
1 制御部
3 記憶部
3a プログラムメモリ
4 操作部
6 撮像部
11 タブレット装置
12 紙媒体
a 文書資料の用紙領域
b 画像変化領域
図1
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図9