(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6319377
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/56 20060101AFI20180423BHJP
H04M 3/00 20060101ALI20180423BHJP
H04W 76/50 20180101ALI20180423BHJP
H04W 4/10 20090101ALI20180423BHJP
H04W 4/18 20090101ALI20180423BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20180423BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20180423BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
H04M3/56 Z
H04M3/00 B
H04W4/22
H04W4/10
H04W4/18
H04W88/06
H04M11/04
H04M1/00 R
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-157326(P2016-157326)
(22)【出願日】2016年8月10日
(62)【分割の表示】特願2015-14050(P2015-14050)の分割
【原出願日】2015年1月28日
(65)【公開番号】特開2017-11717(P2017-11717A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】坂爪 智
【審査官】
松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−102336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B1/02−1/04
7/24−7/26
H04M1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTT系ネットワークとPoC系ネットワークとのお互いのネットワークのサーバ同士がプロトコル変換を行うことで、PTT通信機能とPoC通信機能とを備えた端末間の通信を相互接続させる通信システムであって、
前記端末に、緊急呼が発生したネットワークに切り替えさせるコマンドを緊急呼が発生した側ではないネットワークから送ること、
を特徴とする通信システム。
【請求項2】
緊急呼が発生した側のネットワークに接続可能な前記端末で、緊急呼が発生した側のネットワークに接続していない前記端末を検出すること、
を特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機と無線機の両方の機能を備えたハイブリッド端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯電話機におけるPTT機能の実現手法が開示されている。PTT機能は、半二重無線機のような使い勝手をユーザに提供する機能である。すなわち、ユーザは電話番号などを入力することなく通話ボタンを押すだけで、他の複数のユーザに発呼し、発話することができる。他のユーザは、応答ボタンを押さなくてもそのユーザの携帯電話機から発話内容が音声出力される。携帯電話機におけるPTT機能は、無線機のPTT機能と区別してPoC(Push−to−Talk
over Cellular)機能とも呼ばれる。
【0003】
一方、携帯電話機と無線機の両方の機能を備えたハイブリッド端末が考えられる。ハイブリッド機では、LTEや3Gなどの携帯電話機の通信ネットワーク(以降、LTE/3Gネットワークとする)におけるPoC機能と、無線機の通信ネットワーク(以降、LMRネットワークとする)におけるPTT機能の双方を目的によって使い分けることができる。例えば、高速通信を行いたい場合にはPoC機能を使い、より離れた場所での通信を行いたい場合にはPTT機能を使えば良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−536928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハイブリッド機の活用を考えた場合、PTT系システムとPoC系システムとを、お互いのネットワークのサーバ同士がプロトコル変換を行うことで相互接続させる通信システムが考えられる。このような通信システムにおいて、ハイブリッド端末がPTT機能とPoC機能のいずれか一方の機能で発信した場合、自端末が発信した信号を他方の機能で受信する可能性がある。
【0006】
本発明では、PTT系システムとPoC系システムで情報が相互変換される通信システムにおいて、自端末で発信した送信情報を受信処理することによる問題を解消できるハイブリッド端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、PTT系ネットワークとPoC系ネットワークとのお互いのネットワークのサーバ同士がプロトコル変換を行うことで、PTT通信機能とPoC通信機能とを備えた端末間の通信を相互接続させる通信システムであって、前記端末に、緊急呼が発生したネットワークに切り替えさせるコマンドを緊急呼が発生した側ではないネットワークから送ること、を特徴とする通信システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、PTT系システムとPoC系システムで情報が相互変換される通信システムにおいて、自端末で発信した送信情報を受信処理することによる問題を解消できるハイブリッド端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】ハイブリッド端末を含む通信システムの構成を示す。
【
図3】ハイブリッド端末を含む通信システムの別の構成を示す。
【
図4】ハイブリッド端末を含む通信システムの別の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るハイブリッド端末の一実施形態ついて、添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1にハイブリッド端末の構成例を示す。
【0012】
ハイブリッド端末100は、アプリケーション処理部110、LTE/3Gモジュール120、LMRモジュール130を含む。アプリケーション処理部110は、信号処理及び装置全体の制御を行うアプリケーションモジュール111、操作入力部と表示部を兼ねたタッチスクリーンディスプレイ112、カメラ113、スピーカ114、マイク115を含む。図示しないGPS機能を実行するユニットや、ブルートゥース等の近距離無線機能を実行するユニットを含んでも良い。
【0013】
アプリケーション処理部110は、各種アプリケーションを実行する。例えば、音声信号の送受信の場合、マイク115から入力された音声信号を符号化してLTE/3Gモジュール120またはLMRモジュール130に送る。また、LTE/3Gモジュール120またはLMRモジュール130から入力した信号を復号化し、スピーカ114から出力する。
【0014】
LTE/3Gモジュール120は、アンテナ121を介してLTE/3Gネットワークに接続し、アプリケーションモジュール110から受け取った信号の発信を行なうと共に、LTE/3Gネットワークから受け取った信号をアプリケーションモジュール110に受け渡す。LMRモジュール130は、アンテナ131を介してLMRネットワークに接続し、アプリケーションモジュール110から受け取った信号の発信を行なうと共に、LMRネットワークから受け取った信号をアプリケーションモジュール110に受け渡す。
【0015】
以下、音声信号発信および受信時の動作を説明する。ユーザは、タッチスクリーンディスプレイ112により、PoC機能で発信するかPTT機能で発信するかを選択する。PoC機能が選択された場合、アプリケーションモジュール111はマイク115に入力された音声信号をLTE/3Gモジュール120経由で発信する。PTT機能が選択された場合、アプリケーションモジュール111はマイク115に入力された音声信号をLMRモジュール130経由で発信する。
【0016】
PoC機能またはPTT機能で発信している場合、発信に使用していない方のモジュールを使って受信することができる。即ち、PoC機能を使って発信している場合、LMRモジュール130を使って、PTT系システムから音声信号を受け取ることができる。同様に、PTT機能を使って発信している場合、LTE/3Gモジュール120を使って、PoC系システムから音声信号を受け取ることができる。
【0017】
発信を行っていない場合、LTE/3Gモジュール120とLMRモジュール130の両方を受信待ち状態にしても良いし、いずれか一方を選択して受信待ち状態としても良い。
【0018】
更に
図2および
図3を使って、本発明のハイブリッド端末100(100a、100b)を含む通信システムの構成を説明する。
【0019】
無線機200a、200bは、LMR無線基地局401に接続される。無線機200a、200bは、LMRネットワーク402(インターネットでもよい)を介してLMR側のサーバ(以降、LMRサーバとする)403との間で情報を送受信する。
【0020】
携帯電話機300a、300bは、LTE/3G無線基地局411に接続される。携帯電話機300a、300bは、LTE/3Gネットワーク412(インターネットでもよい)を介してLTE/3G側のサーバ(以降、LTE/3Gサーバとする)413との間で情報を送受信する。
【0021】
ハイブリッド端末100a、100bは、LMR無線基地局401およびLTE/3G無線基地局411に接続される。ハイブリッド端末100a、100bは、LMRネットワーク402を介してLMRサーバ403との間で情報を送受信し、LTE/3G固有のネットワーク412を介してLTE/3G側サーバ413との間で情報を送受信する。
【0022】
ハイブリッド端末100a、100bは送信を行う際に、送信情報に自端末を識別するための情報(以後、端末ID情報とする)を付加する。ここで、この端末ID情報は、送信操作を行う毎に、送信情報本体よりも前に付加、もしくは送信するように構成すると良い。これにより、受信する際に送信情報本体が到来する前にどの端末からの情報であるかを確認できるようになる。
【0023】
LMRサーバ403とLTE/3Gサーバ413との間では、異なるシステム間で情報の授受を可能とするように所定の変換を授受される情報に対して行う。ここで、端末ID情報に関する部分に対しては、少なくともハイブリッド端末が認識できる形式で情報の変換が行われると良い。例えば、LTE/3Gサーバ413では、ハイブリッド端末100a、100bが送信した情報の前に付加されている端末ID情報に対して、内部の基本情報は変換を加えずに、LMR側のサーバ403が解釈できる形式に変換できると良い。
【0024】
<第1実施形態>
図2で、ハイブリッド端末100aがPoC動作による情報の送信を行なった場合の動作を説明する。ハイブリッド端末100aは、PoC動作による情報の送信を行なう際、送信する情報の前に端末ID情報を付加する。送信された端末ID情報および情報本体は、LTE/3G無線基地局411、およびLTE/3G固有のネットワーク412を介してLTE/3Gサーバ413に供給される。
【0025】
LTE/3Gサーバ413は、取得した情報をPoC系の形式からPTT系の形式に変換し、LMRサーバ403に供給する。ここで、PTT系の形式に変換する際に、情報本体の前に付加される端末ID情報の内容には変換を加えずに、伝送形式のみを変換すると良い。LMRサーバ403は、PTT系で解釈できるように変換された情報を取得し、LMRネットワーク402、およびLMR無線基地局401を介して、情報をマルチキャストする。
【0026】
このようにしてLMR無線基地局403から送信された情報は、接続されている無線機200a、200bおよび、ハイブリッド端末100bにおいて受信される。
【0027】
ここで、PoC系に情報を送信したハイブリッド端末100aでも、LMR無線基地局401から送信された情報を受信することは可能である。しかし、送信した情報がハイブリッド端末100aのマイク115から取り込んだ音声情報であった場合、受信した情報をハイブリッド端末100aのスピーカー114から再生すると、ハウリングなどの悪影響を与える可能性がある。
【0028】
よって、情報を送信したハイブリッド端末100aは、情報本体の前に付加された端末ID情報を認識し、自端末の端末ID情報と同一の端末ID情報であるかを比較する。同一の端末ID情報である場合には、その後の情報を受信しない、もしくは受信後の処理を行わないようにする。ここでは、受信は行うものの、情報が音声情報である場合にはスピーカ114からの再生を禁止する。
【0029】
また、ここではLMR側の接続を切断するということも考えられる。この場合、送信中にLMR側で緊急通信が発生した場合に受信することができなくなってしまう。
【0030】
以上の説明では、ハイブリッド端末100aが、送信する情報の前に端末ID情を付加したが、LTE/3Gサーバ413がハイブリッド端末100a、100bを個別に識別できる場合には、各ハイブリッド端末100a、100bが端末ID情報を送信するのではなく、LTE/3Gサーバ413が端末IDを付加するようにしても良い。ただし、LTE/3Gサーバ413が付加する端末ID情報は、該当するハイブリッド端末自身が識別できる端末ID情報であるようにする。
<第2実施形態>
図3は、
図2と同じシステム構成において、ハイブリッド端末100aがPTT動作による情報の送信を行う場合を示す。
【0031】
ハイブリッド端末100aは、PoC動作による情報の送信を行なう際、送信する情報の前に端末ID情報を付加する。送信された端末ID情報および情報本体は、LMR無線基地局401、およびLMRネットワーク402を介してLMRサーバ403に供給される。
【0032】
LMRサーバ403は、取得した情報をPTT系の形式からPoC系の形式に変換し、LTE/3Gサーバ413に供給する。ここで、PoC系の形式に変換する際に、情報本体の前に付加される端末ID情報の内容には変換を加えずに、伝送形式のみを変換すると良い。
【0033】
LTE/3Gサーバ413は、PoC系で解釈できるように変換された情報を取得し、LTE/3Gネットワーク412、およびLTE/3G無線基地局411を介して、情報をマルチキャストする。
【0034】
このようにしてLTE/3G無線基地局413から送信された情報は、接続されている携帯電話機300a、300bおよび、ハイブリッド端末100bにおいて受信される。
【0035】
ここで、PTT系に情報を送信したハイブリッド端末100aでも、LTE/3G無線基地局411から送信された情報を受信することは可能である。しかし、送信した情報がハイブリッド端末100aのマイク115から取り込んだ音声情報であった場合、受信した情報をハイブリッド端末100aのスピーカー114から再生すると、ハウリングなどの悪影響を与える可能性がある。
【0036】
よって、情報を送信したハイブリッド端末100aは、情報本体の前に付加された端末ID情報を認識し、自端末の端末ID情報と同一の端末ID情報であるかを比較する。同一の端末ID情報である場合には、その後の情報を受信しない、もしくは受信後の処理を行わないようにする。ここでは、受信は行うものの、情報が音声情報である場合にはスピーカー114からの再生を禁止する。
【0037】
また、ここではLTE/3G側の接続を切断するということも考えられる。この場合、送信中にLTE/3G側で緊急通信が発生した場合に受信することができなくなってしまう。
【0038】
以上の説明では、ハイブリッド端末100aが、送信する情報の前に端末ID情を付加したが、LMRサーバ403がハイブリッド端末100a、100bを個別に識別できる場合には、各ハイブリッド端末100a、100bが端末ID情報を送信するのではなく、LMRサーバ403が端末IDを付加するようにしても良い。ただし、LMRサーバ403が付加する端末ID情報は、該当するハイブリッド端末自身が識別できる端末ID情報であるようにする。
<第3実施形態>
第3実施形態では、第1実施形態と同様のシステム構成において、ハイブリッド端末100a、100bが、LTE/3Gモジュール120またはLMRモジュール130のいずれか一方での受信待ちとなっている状態を想定する。
図4ではハイブリッド端末100aがLMRモジュール130での待ち受け状態にあり、ハイブリッド端末100bがLTE/3Gモジュール120での待ち受け状態になっている。
【0039】
この状態で、LTE/3Gネットワーク412内でエマージェンシー情報が発信された時、ハイブリッド端末100bはLTE/3G無線基地局411から直接エマージェンシー信号を受信できるが、ハイブリッド端末100aはLTE/3G無線基地局411から直接エマージェンシー信号を受信することができない。
【0040】
実施形態1で説明したように、LTE/3Gサーバ413が取得した情報をPoC系の形式からPTT系の形式に変換し、LMRサーバ403に供給することにより、ハイブリッド端末100aはLMR無線基地局401から情報を受けることができる。しかし、例えばエマージェンシー情報が画像データを含むような容量の大きなデータで送られていた場合、LMRネットワーク402では伝送に多くの時間がかかり、情報を送りきれなくなる可能性がある。
【0041】
このような不具合を避けるため、LTE/3Gサーバ413は、エマージェンシー情報を受け取ると、LMRサーバ403に対し、現在LTE/3G基地局411に接続していないでLMR基地局401に接続されているハイブリッド端末の中で、LTE/3G基地局411に接続可能なハイブリッド端末を検出し、LTE/3G基地局411に接続させるよう指示する。ハイブリッド端末100aはLMR基地局経由で受け取った指示に従ってLMRモジュール130での待ち受け状態からLTE/3Gモジュールでの待ち受け状態に切換えることで、LTE/3G基地局411から直接エマージェンシー情報を受け取ることができる。
【0042】
実施形態3では、ハイブリッド端末100aがLMRモジュール130での待ち受け状態にある状態で、LTE/3Gネットワーク412内でエマージェンシー情報が発信された時にハイブリッド端末100aをLTE/3Gモジュール120の待ち受け状態に切り換える例を説明したが、ハイブリッド端末100bがLTE/3Gモジュール120での待ち受け状態にある状態で、LMRネットワーク402内でエマージェンシー情報が発信された時にハイブリッド端末100bをLMRモジュール130の待ち受け状態に切り換える構成としても良い。
【符号の説明】
【0043】
100,100a,100b ハイブリッド端末、
110 アプリケーション処理部、111 アプリケーションモジュール、
112 タッチスクリーンディスプレイ、113 カメラ、
114 スピーカ、115 マイク、120 LTE/3Gモジュール、
130 LMR モジュール、200a,200b 無線機、
300a,300b 携帯電話機、
401 LMR無線基地局、402 LMR固有のネットワーク402、
403 LMRサーバ、
411 LTE/3G無線基地局、412 LTE/3G固有のネットワーク
413 LTE/3Gサーバ