(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記底上げ部は、前記ショルダー周方向主溝に形成される前記底上げ部の底上げ高さより、前記ショルダーラグ溝に形成される前記底上げ部の底上げ高さの方が高くなって形成される請求項2〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
前記底上げ部は、前記ショルダーラグ溝に形成される前記底上げ部の、前記ショルダーラグ溝が延びる方向における端部の壁部の前記トレッド面に対する角度よりも、前記ショルダー周方向主溝に形成される前記底上げ部の、前記ショルダー周方向主溝が延びる方向における端部の壁部の前記トレッド面に対する角度の方が大きくなっている請求項1、3、4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
前記ラグ溝は、タイヤ幅方向において異なる位置に複数が配設されており、タイヤ幅方向における配設位置がタイヤ幅方向における中央側からタイヤ幅方向における外側に向かうに従って、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が大きくなっている請求項1、2、4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
前記底上げ部は、前記底上げ部の底上げ高さHと、前記底上げ部が形成される前記ショルダー周方向主溝または前記ショルダーラグ溝の最大溝深さDとの関係が、0.1≦(H/D)≦0.9の範囲内である請求項1〜9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
前記ショルダー周方向主溝の溝壁における、前記ショルダー周方向主溝に対する前記ショルダーラグ溝の開口部に対向する位置を前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向内側の端部とする場合に、
前記ショルダーラグ溝に形成される前記底上げ部は、前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向内側の端部から当該底上げ部のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ幅方向における距離L2と、前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向内側の端部から前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ幅方向における距離L1との関係が、0.1≦(L2/L1)≦0.7の範囲内である請求項1〜10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
前記ブロックは、タイヤ幅方向における幅に対するタイヤ周方向における長さの比率が、前記ショルダー周方向主溝のタイヤ幅方向内側に位置する前記ブロックよりも、前記ショルダー周方向主溝のタイヤ幅方向外側に位置する前記ブロックの方が小さい請求項1〜14のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年は、車両の走行時における空気入りタイヤの転がり抵抗の低減や、車両の走行時に空気入りタイヤの接地領域から発せられる通過音の低減の要求がある。転がり抵抗の低減については、トレッド面に形成される溝を底上げし、ブロック剛性を高めることによってブロックの変形によるエネルギーロスを減らし、転がり抵抗を下げる技術がある。しかし、溝を底上げすると溝容積が減少するため、溝に入り込ませることのできる雪の量が減少し、スノートラクション性能が低下する虞がある。一方、スノートラクション性能を確保するために溝容積を大きくした場合、ブロック剛性が低下することにより転がり抵抗が増加したり、溝内を流れる音が増加して音が接地領域の外に出易くなることにより、騒音が発生し易くなったりする虞がある。これらのように、転がり抵抗の低減、スノートラクション性能の向上、騒音の低減は、それぞれ関係し合うと共に一部で相反する性能であるため、これらを全て満たすのは大変困難なものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、スノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗の低減と低騒音化を図ることのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド面に形成され、タイヤ周方向に延びる複数の周方向主溝と、前記トレッド面に形成され、タイヤ幅方向に延びる複数のラグ溝と、タイヤ周方向における両側が前記ラグ溝により区画され、タイヤ幅方向における少なくとも一方の端部が前記周方向主溝により区画される複数のブロックと、を備え、複数の前記周方向主溝のうちタイヤ幅方向における最外側に位置する前記周方向主溝であるショルダー周方向主溝と、複数の前記ラグ溝のうち前記ショルダー周方向主溝のタイヤ幅方向における外側に位置して前記ショルダー周方向主溝に対してタイヤ幅方向外側から接続される前記ラグ溝であるショルダーラグ溝とには、溝底に底上げ部が形成されており、前記底上げ部は、少なくとも前記ショルダー周方向主溝と前記ショルダーラグ溝との交差部を除いて形成されることを特徴とする。
【0008】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記底上げ部は、前記底上げ部の底上げ高さHと、前記底上げ部が形成される前記ショルダー周方向主溝または前記ショルダーラグ溝の最大溝深さDとの関係が、0.1≦(H/D)≦0.9の範囲内であることが好ましい。
【0009】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記底上げ部は、前記ショルダー周方向主溝に形成される前記底上げ部の底上げ高さより、前記ショルダーラグ溝に形成される前記底上げ部の底上げ高さの方が高くなって形成されることが好ましい。
【0010】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ショルダー周方向主溝の溝壁における、前記ショルダー周方向主溝に対する前記ショルダーラグ溝の開口部に対向する位置を前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向内側の端部とする場合に、前記ショルダーラグ溝に形成される前記底上げ部は、前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向内側の端部から当該底上げ部のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ幅方向における距離L2と、前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向内側の端部から前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ幅方向における距離L1との関係が、0.1≦(L2/L1)≦0.7の範囲内であることが好ましい。
【0011】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記底上げ部は、前記ショルダーラグ溝に形成される前記底上げ部の、前記ショルダーラグ溝が延びる方向における端部の壁部の前記トレッド面に対する角度よりも、前記ショルダー周方向主溝に形成される前記底上げ部の、前記ショルダー周方向主溝が延びる方向における端部の壁部の前記トレッド面に対する角度の方が大きくなっていることが好ましい。
【0012】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤは、回転方向が指定されており、前記ショルダー周方向主溝に形成される前記底上げ部は、タイヤ回転方向における前側の端部側の壁部よりもタイヤ回転方向における後ろ側の端部側の壁部の方が、前記トレッド面に対する角度が大きくなっていることが好ましい。
【0013】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ラグ溝は、タイヤ幅方向において異なる位置に複数が配設されており、タイヤ幅方向における配設位置がタイヤ幅方向における中央側からタイヤ幅方向における外側に向かうに従って、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が大きくなっていることが好ましい。
【0014】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤは、回転方向が指定されており、前記ブロックは、複数がタイヤ周方向に並ぶことによりブロック列を構成しており、前記トレッド面には、複数の前記ブロック列がタイヤ幅方向に並んでおり、複数の前記ブロック列のうち、少なくともタイヤ赤道線に最も近い前記ブロック列が有する前記ブロックは、当該ブロックのタイヤ回転方向における後ろ側を区画する前記ラグ溝の溝壁よりも、当該ブロックのタイヤ回転方向における前側を区画する前記ラグ溝の溝壁の方が、当該ブロックの内部側での前記トレッド面に対する角度が大きくなっていることが好ましい。
【0015】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ラグ溝は、タイヤ幅方向において異なる位置に複数が配設されており、タイヤ幅方向における位置が異なる複数の前記ラグ溝のうち、前記ショルダーラグ溝の溝幅が最も広いことが好ましい。
【0016】
また、上記空気入りタイヤにおいて、複数の前記周方向主溝は、複数の前記周方向主溝のうちタイヤ赤道線上に位置するセンター周方向主溝の溝幅が最も狭いことが好ましい。
【0017】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記底上げ部は、少なくとも前記センター周方向主溝と前記ショルダー周方向主溝とに形成されることが好ましい。
【0018】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ブロックは、タイヤ幅方向における幅に対するタイヤ周方向における長さの比率が、前記ショルダー周方向主溝のタイヤ幅方向内側に位置する前記ブロックよりも、前記ショルダー周方向主溝のタイヤ幅方向外側に位置する前記ブロックの方が小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る空気入りタイヤは、スノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗の低減と低騒音化を図ることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0022】
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道線に向かう方向、タイヤ幅方向外側とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道線に向かう方向の反対方向をいう。また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸と直交する方向をいい、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心として回転する方向をいう。
【0023】
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。
図1に示す空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配設されており、トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、トレッド面3として形成されている。トレッド面3には、タイヤ周方向に延びる周方向主溝10と、タイヤ幅方向に延びるラグ溝20とが、それぞれ複数形成されており、この周方向主溝10とラグ溝20とにより、陸部であるブロック30が複数形成されている。つまり、ブロック30は、タイヤ周方向における両側がラグ溝20により区画され、タイヤ幅方向における少なくとも一方の端部が周方向主溝10により区画されており、これにより各ブロック30は、略四角形の形状になっている。
【0024】
詳しくは、周方向主溝10は、5本がタイヤ幅方向に並んで形成されており、5本の周方向主溝10は、それぞれタイヤ周方向に延びつつ、タイヤ幅方向に繰り返し屈曲して形成されている。即ち、タイヤ周方向に延在する周方向主溝10は、タイヤ周方向に延びつつタイヤ幅方向に振幅するジグザグ状に形成されている。5本の周方向主溝10のうち、タイヤ幅方向における中央に位置する周方向主溝10はセンター周方向主溝11になっており、センター周方向主溝11に隣り合ってタイヤ幅方向におけるセンター周方向主溝11の両側に位置する2本の周方向主溝10は、ミドル周方向主溝12になっており、タイヤ幅方向における最外側に位置する2本の周方向主溝10は、ショルダー周方向主溝13になっている。これらの周方向主溝10は、センター周方向主溝11がタイヤ赤道線CL上に位置しており、このためミドル周方向主溝12とショルダー周方向主溝13とは、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道線CLの両側に、それぞれ1本ずつ配設されている。
【0025】
また、ラグ溝20は、周方向主溝10を貫通しておらず、周方向主溝10を介して隣り合うラグ溝20同士は、タイヤ周方向における位置が異なる位置に形成されている。つまり、複数のラグ溝20は、周方向主溝10に対してタイヤ幅方向における両側から接続されるラグ溝20同士でタイヤ周方向における位置が異なっている。また、周方向主溝10同士の間に位置するラグ溝20のうち、センター周方向主溝11とミドル周方向主溝12との間に位置するラグ溝20はセンターラグ溝21になっており、隣り合うミドル周方向主溝12とショルダー周方向主溝13との間に位置するラグ溝20はミドルラグ溝22になっており、タイヤ幅方向におけるショルダー周方向主溝13の外側に位置するラグ溝20はショルダーラグ溝23になっている。即ち、ラグ溝20は、タイヤ幅方向において異なる位置に複数が配設されている。
【0026】
ここでいう周方向主溝10は、溝幅が3mm以上10mm以下の範囲内になっており、溝深さが7mm以上25mm以下の範囲内になっている。また、ラグ溝20は、溝幅が4mm以上12mm以下の範囲内になっており、溝深さが5mm以上25mm以下の範囲内になっている。
【0027】
周方向主溝10とラグ溝20とにより区画されるブロック30は、隣り合う周方向主溝10同士の間と、タイヤ幅方向における最外側に位置する2本の周方向主溝10のそれぞれのタイヤ幅方向における外側に配設されている。また、ブロック30は、タイヤ幅方向における位置がほぼ同じ位置となる複数のブロック30が、ラグ溝20を介してタイヤ周方向に連なって並ぶことにより、列状に形成されるブロック列35を構成している。ブロック列35は、5本の周方向主溝10同士の間の4箇所と、タイヤ幅方向における最外側に位置する2本の周方向主溝10の、タイヤ幅方向外側の2箇所に形成されることにより、合計で6列が形成されている。
【0028】
6列のブロック列35のうち、センター周方向主溝11とミドル周方向主溝12との間に位置するブロック列35はセンターブロック列36になっており、隣り合うミドル周方向主溝12とショルダー周方向主溝13との間に位置するブロック列35はミドルブロック列37になっており、タイヤ幅方向におけるショルダー周方向主溝13の外側に位置するブロック列35はショルダーブロック列38になっている。即ち、センターブロック列36は、タイヤ赤道線CLに最も近いブロック列35になっており、ショルダーブロック列38は、タイヤ幅方向における最外側に位置するブロック列35になっている。トレッド面3には、この6列のブロック列35がタイヤ幅方向に並んでいる。本実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド面3のトレッドパターンは、このように陸部が複数のブロック30より構成される、いわゆるブロックパターンになっている。
【0029】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、車両装着時での回転方向が指定された空気入りタイヤ1になっている。以下の説明では、タイヤ回転方向における前側とは、空気入りタイヤ1を指定方向に回転させた際における回転方向側であり、空気入りタイヤ1を車両に装着して指定方向に回転させて走行する場合において、先に路面に接地したり先に路面から離れたりする側である。また、タイヤ回転方向における後ろ側とは、空気入りタイヤ1を指定方向に回転させた際における回転方向の反対側であり、空気入りタイヤ1を車両に装着して指定方向に回転させて走行する場合において、後から路面に接地したり後から路面から離れたりする側である。
【0030】
各ラグ溝20は、タイヤ赤道線CL側からタイヤ幅方向における外側に向かうに従って、タイヤ回転方向における後ろ側に向かう方向に傾斜している。即ち、ラグ溝20は、タイヤ周方向に延びつつ、タイヤ幅方向における内側から外側に向かうに従って、タイヤ回転方向における後ろ側に向かう方向に傾斜している。また、ラグ溝20は、タイヤ幅方向における配設位置がタイヤ幅方向における中央側からタイヤ幅方向における外側に向かうに従って、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が大きくなっている。つまり、センターラグ溝21よりもミドルラグ溝22の方がタイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が大きくなっており、ミドルラグ溝22よりもショルダーラグ溝23の方がタイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が大きくなっている。換言すると、ラグ溝20は、タイヤ幅方向における配設位置がタイヤ幅方向における中央側からタイヤ幅方向における外側に向かうに従って、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度が小さくなっており、タイヤ幅方向に近い角度になっている。
【0031】
また、ラグ溝20は、センターラグ溝21とミドルラグ溝22とショルダーラグ溝23とでそれぞれ溝幅が異なっており、タイヤ幅方向における位置が異なる複数のラグ溝20のうち、ショルダーラグ溝23の溝幅が最も広くなっている。つまり、ラグ溝20は、センターラグ溝21の溝幅よりも、ショルダーラグ溝23の溝幅の方が広くなっている。
【0032】
同様に、周方向主溝10もセンター周方向主溝11とミドル周方向主溝12とショルダー周方向主溝13とで溝幅が異なっており、周方向主溝10は、複数の周方向主溝10のうちタイヤ赤道線CL上に位置するセンター周方向主溝11の溝幅が、最も狭くなっている。詳しくは、周方向主溝10は、ミドル周方向主溝12よりもショルダー周方向主溝13の方が溝幅が狭くなっており、ショルダー周方向主溝13よりもセンター周方向主溝11の方が溝幅が狭くなっている。
【0033】
図2は、
図1のA部詳細図である。ショルダー周方向主溝13と、ショルダー周方向主溝13に対してタイヤ幅方向外側から接続されるラグ溝20であるショルダーラグ溝23とには、溝底44に底上げ部40が形成されている。この底上げ部40は、少なくともショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23との交差部50を除いて形成されている。この場合における交差部50は、ショルダー周方向主溝13に対してタイヤ幅方向における外側から接続されるショルダーラグ溝23が、ショルダー周方向主溝13のタイヤ幅方向内側の溝壁15まで延びているとする場合にショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23とが重なる部分になっている。
【0034】
ショルダーラグ溝23に形成される底上げ部40であるショルダーラグ溝底上げ部41と、ショルダー周方向主溝13に形成される底上げ部40であるショルダー周方向主溝底上げ部42とは、共に交差部50には形成されておらず、交差部50の周囲で、底上げ部40が形成されていない部分は、凹部55になっている。つまり、底上げ部40は、交差部50からタイヤ周方向に延びるショルダー周方向主溝13と、交差部50からタイヤ幅方向外側に延びるショルダーラグ溝23との双方に形成されているため、交差部50一帯で底上げ部40が形成されていない部分は、底上げ部40が形成されている部分よりも凹んで形成さている。このように、ショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23とにおける交差部50付近の領域で、底上げ部40が形成されていない部分は、底上げ部40が形成されている部分よりも凹んだ凹部55として形成されている。
【0035】
詳しくは、ショルダーラグ溝底上げ部41は、交差部50からタイヤ幅方向外側に所定の間隔で離れた位置から、ショルダーラグ溝23のタイヤ幅方向における外側端部26から所定の間隔でタイヤ幅方向内側に離れた位置までの範囲にかけて形成されている。また、ショルダー周方向主溝底上げ部42は、ショルダーラグ溝23が接続される部分では、ショルダー周方向主溝底上げ部42同士がほぼショルダーラグ溝23の溝幅で離間している。つまり、ショルダー周方向主溝13におけるショルダーラグ溝23が接続される部分では、ショルダー周方向主溝底上げ部42は、ショルダーラグ溝23との交差部50の位置のみ設けられていない。また、ショルダー周方向主溝底上げ部42は、ショルダー周方向主溝13とミドルラグ溝22との交差部50でも同様に、交差部50の位置のみ設けられておらず、ミドルラグ溝22が接続される部分では、ショルダー周方向主溝底上げ部42同士がほぼミドルラグ溝22の溝幅で離間している。即ち、ショルダー周方向主溝13とミドルラグ溝22との交差部50も、底上げ部40が設けられない凹部55として形成されている。
【0036】
また、ショルダーラグ溝底上げ部41は、ショルダーラグ溝23のタイヤ幅方向における内側端部25からショルダーラグ溝底上げ部41のタイヤ幅方向における内側端部46までのタイヤ幅方向における距離L2と、ショルダーラグ溝23の内側端部25からショルダーラグ溝23の外側端部26までのタイヤ幅方向における距離L1との関係が、0.1≦(L2/L1)≦0.7の範囲内になっている。この場合におけるショルダーラグ溝23の内側端部25は、ショルダー周方向主溝13の溝壁15における、ショルダー周方向主溝13に対するショルダーラグ溝23の開口部24に対向する位置になっている。つまり、距離L1、L2は、交差部50のタイヤ幅方向における幅も含んだ距離になっている。
【0037】
なお、ショルダーラグ溝23の内側端部25から外側端部26までのタイヤ幅方向における距離L1に対する、ショルダーラグ溝23の内側端部25からショルダーラグ溝底上げ部41の内側端部46までのタイヤ幅方向における距離L2は、好ましくは0.2≦(L2/L1)≦0.5の範囲内である。
【0038】
図3は、
図2のB−B断面図である。
図4は、
図2のC−C断面図である。底上げ部40は、ショルダー周方向主溝13やショルダーラグ溝23の溝底44からの高さである底上げ高さHと、底上げ部40が形成されるショルダー周方向主溝13またはショルダーラグ溝23の最大溝深さDとの関係が、0.1≦(H/D)≦0.9の範囲内になっている。この場合における最大溝深さDは、トレッド面3からショルダー周方向主溝13やショルダーラグ溝23の溝底44までのタイヤ径方向における距離である溝深さのうち、ショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23とのそれぞれにおいてタイヤ径方向における距離が最も大きい部分における溝深さになっている。つまり、ショルダーラグ溝底上げ部41は、ショルダーラグ溝23の最大溝深さDに対して底上げ高さHが0.1≦(H/D)≦0.9の範囲内になっている。同様に、ショルダー周方向主溝底上げ部42は、ショルダー周方向主溝13の最大溝深さDに対して底上げ高さHが0.1≦(H/D)≦0.9の範囲内になっている。
【0039】
さらに、底上げ部40は、ショルダー周方向主溝底上げ部42の底上げ高さH1より、ショルダーラグ溝底上げ部41の底上げ高さH2の方が高くなって形成されている。これらのように、底上げ部40は、ショルダーラグ溝底上げ部41とショルダー周方向主溝底上げ部42との双方が、ショルダー周方向主溝13やショルダーラグ溝23の最大溝深さDに対して底上げ高さHが0.1≦(H/D)≦0.9の範囲内になっており、且つ、ショルダー周方向主溝底上げ部42の底上げ高さH1よりショルダーラグ溝底上げ部41の底上げ高さH2の方が高くなっている。
【0040】
なお、ショルダー周方向主溝13やショルダーラグ溝23の最大溝深さDに対する底上げ部40の底上げ高さHは、好ましくは0.3≦(H/D)≦0.5の範囲内である。
【0041】
図5は、ショルダーラグ溝底上げ部41の壁部の角度についての説明図である。
図6は、ショルダー周方向主溝底上げ部42の壁部の角度についての説明図である。底上げ部40は、ショルダーラグ溝底上げ部41の端部であるショルダーラグ溝底上げ部端部45の壁部49のトレッド面3に対する角度αよりも、ショルダー周方向主溝底上げ部42の端部であるショルダー周方向主溝底上げ部端部48の壁部49のトレッド面3に対する角度βの方が大きくなっている。この場合におけるショルダーラグ溝底上げ部端部45は、ショルダーラグ溝底上げ部41の、ショルダーラグ溝23が延びる方向における両端部になっており、ショルダー周方向主溝底上げ部端部48は、ショルダー周方向主溝底上げ部42の、ショルダー周方向主溝13が延びる方向における両端部になっている。
【0042】
なお、
図5、
図6では、底上げ部40の頂面がトレッド面3と平行であるものとして、角度α、βは、底上げ部40の頂面に対する底上げ部40の壁部49との角度として図示している。
【0043】
また、ショルダーラグ溝底上げ部41は、タイヤ幅方向における両側のショルダーラグ溝底上げ部端部45のうち、タイヤ幅方向における内側端部46の壁部49のトレッド面3に対する角度α1よりも、タイヤ幅方向における外側端部47の壁部49のトレッド面3に対する角度α2の方が大きくなっている。つまり、ショルダーラグ溝底上げ部41は、外側端部47の壁部49よりも、内側端部46の壁部49の方が、傾斜がなだらかになっている。
【0044】
また、ショルダー周方向主溝底上げ部42は、タイヤ周方向における両側のショルダー周方向主溝底上げ部端部48のうち、タイヤ回転方向における前側の端部である前側端部48f側の壁部49よりも、タイヤ回転方向における後ろ側の端部である後ろ側端部48r側の壁部49の方が、トレッド面3に対する角度βが大きくなっている。つまり、ショルダー周方向主溝底上げ部42は、前側端部48f側の壁部49のトレッド面3に対する角度β1よりも、後ろ側端部48r側の壁部49のトレッド面3に対する角度β2の方が大きくなっており、前側端部48f側の壁部49よりも後ろ側端部48r側の壁部49の方がそそり立っている。
【0045】
図7は、ブロック列ごとのブロックの説明図である。ブロック30は、タイヤ幅方向における幅WBに対するタイヤ周方向における長さLBの比率が、ショルダー周方向主溝13のタイヤ幅方向内側に位置するセンターブロック列36やミドルブロック列37が有するブロック30よりも、ショルダー周方向主溝13のタイヤ幅方向外側に位置するショルダーブロック列38が有するブロック30の方が小さくなっている。詳しくは、ブロック30のタイヤ幅方向における幅WBに対するタイヤ周方向における長さLBの比率は、ミドルブロック列37が有するブロック30>センターブロック列36が有するブロック30>ショルダーブロック列38が有するブロック30の関係になっている。
【0046】
つまり、各ブロック30は、全てタイヤ幅方向における幅WBよりもタイヤ周方向における長さLBの方が長い略矩形状に形成されている。各ブロック30うち、ミドルブロック列37が有するブロック30が、タイヤ周方向における長さLBとタイヤ幅方向における幅WBとの差が最も大きく、ショルダーブロック列38が有するブロック30が、タイヤ周方向における長さLBとタイヤ幅方向における幅WBとの差が最も小さくなっている。
【0047】
また、周方向主溝10に形成される底上げ部40は、ショルダー周方向主溝13の他にセンター周方向主溝11にも形成されている。センター周方向主溝11に形成される底上げ部40であるセンター周方向主溝底上げ部43は、ショルダー周方向主溝底上げ部42と同様に、センター周方向主溝11におけるセンターラグ溝21との交差部50を除いて形成されている。即ち、センター周方向主溝11は、センターラグ溝21との交差部50に、センター周方向主溝底上げ部43が形成されない凹部55を有している。
【0048】
また、各ブロック30には、細溝60が形成されている。この細溝60は、6列のブロック列35のうち、センターブロック列36とミドルブロック列37では、各ブロック30を区画する周方向主溝10とラグ溝20とに開口している。また、この細溝60は、ショルダーブロック列38では、各ブロック30を区画するショルダー周方向主溝13と、ブロック30のタイヤ幅方向外側に対して開口している。また、細溝60は、センターブロック列36とミドルブロック列37が有するブロック30では、各ブロック30においてほぼ同じ形態でそれぞれ形成されており、ショルダーブロック列38が有するブロック30では、各ブロック30においてほぼ同じ形態で細溝60が形成されている。
【0049】
ここでいう細溝60は、溝幅が1mm以上2mm以下の範囲内になっており、溝深さが1mm以上15mm以下の範囲内になっており、サイプも含んでいる。ここでいうサイプは、トレッド面3に細溝状に形成されるものであり、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、正規内圧の内圧条件で、無負荷時にはサイプを構成する壁面同士が接触しないが、平板上で垂直方向に負荷させたときの平板上に形成される接地面の部分にサイプが位置する際、またはサイプが形成されるブロック30の倒れ込み時には、当該サイプを構成する壁面同士、或いは壁面に設けられる部位の少なくとも一部が、ブロック30の変形によって互いに接触するものをいう。正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、或いは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。本実施形態でいう細溝60は、接地面に細溝60が位置する場合でも溝壁同士が離間した状態を維持するもの以外に、このようなサイプも含んでいる。
【0050】
詳しくは、センターブロック列36及びミドルブロック列37を構成するブロック30では、細溝60は、タイヤ幅方向に延びる幅方向細溝61と、タイヤ周方向に延びる周方向細溝62とを有している。このうち、幅方向細溝61は、タイヤ幅方向におけるブロック30の両側を区画する周方向主溝10に対して開口している。また、周方向細溝62は、ブロック30を区画するラグ溝20に対して少なくとも一端が開口している。
【0051】
また、幅方向細溝61は、タイヤ幅方向に延びつつ2箇所で屈曲しており、2箇所の屈曲部65を有している。2箇所の屈曲部65は、幅方向細溝61における、屈曲部65よりタイヤ幅方向内側に位置する部分よりも、屈曲部65よりタイヤ幅方向外側に位置する部分の方が、タイヤ回転方向における後ろ側に位置する方向に屈曲している。この2箇所の屈曲部65は、タイヤ周方向における位置が互いに異なる位置で共にブロック30のタイヤ幅方向における中央付近に位置しており、幅方向細溝61における屈曲部65同士の間の部分は、短い長さでタイヤ周方向に延びている。換言すると、幅方向細溝61は、2箇所の屈曲部65で屈曲することにより、いわゆるクランク状の形状になっている。
【0052】
また、周方向細溝62は2本が設けられており、2本の周方向細溝62は、幅方向細溝61の屈曲部65よりもタイヤ幅方向におけるブロック30の外側に位置している。つまり、2本の周方向細溝62のうち、一方の周方向細溝62は屈曲部65よりもタイヤ幅方向内側に位置しており、他方の周方向細溝62は屈曲部65よりもタイヤ幅方向外側に位置している。このうち、屈曲部65よりもタイヤ幅方向内側に位置する側の周方向細溝62は、幅方向細溝61よりもタイヤ回転方向における前側に位置しており、屈曲部65よりもタイヤ幅方向外側に位置する側の周方向細溝62は、幅方向細溝61よりもタイヤ回転方向における後ろ側に位置している。
【0053】
周方向細溝62は、これらの位置でそれぞれ一端がラグ溝20に開口し、他端が幅方向細溝61に交差して幅方向細溝61に接続され、幅方向細溝61に開口している。詳しくは、屈曲部65よりもタイヤ幅方向内側に位置する側の周方向細溝62は、タイヤ回転方向における前側の端部がラグ溝20に開口しており、タイヤ回転方向における後ろ側の端部が幅方向細溝61に接続されている。また、屈曲部65よりもタイヤ幅方向外側に位置する側の周方向細溝62は、タイヤ回転方向における後ろ側の端部がラグ溝20に開口しており、タイヤ回転方向における前側の端部が幅方向細溝61に接続されている。
【0054】
周方向細溝62と幅方向細溝61とが交差する部分は交点67となっており、細溝60は、1本の幅方向細溝61に対して2本の周方向細溝62が交差することにより、2箇所の交点67を有している。つまり、細溝60は、一方の細溝60である周方向細溝62が2本設けられ、2本の周方向細溝62が他方の細溝60である幅方向細溝61と交差することにより、2つの交点67を有している。幅方向細溝61の屈曲部65は、タイヤ幅方向において2箇所の交点67同士の間に位置している。
【0055】
センターブロック列36及びミドルブロック列37を構成する各ブロック30は、このように形成される細溝60によって4つの小ブロック70が区画されている。つまり、細溝60が有する幅方向細溝61や周方向細溝62は、周方向主溝10やラグ溝20に接続されており、幅方向細溝61と周方向細溝62も互いに接続されているため、ブロック30は、これらの細溝60によって平面視において複数の領域に分断されており、各領域がそれぞれ小ブロック70になっている。
【0056】
また、ショルダーブロック列38を構成するブロック30は、周方向細溝62が形成されておらず、細溝60として、2箇所の屈曲部65を有してタイヤ幅方向に延びる幅方向細溝61のみが形成されている。これにより、ショルダーブロック列38を構成するブロック30は、2つの小ブロック70が区画されている。
【0057】
図8は、
図7のE−E断面図である。複数のブロック列35のうち、少なくともセンターブロック列36が有するブロック30は、当該ブロック30のタイヤ回転方向における後ろ側を区画するラグ溝20の溝壁27よりも、当該ブロック30のタイヤ回転方向における前側を区画するラグ溝20の溝壁27の方が、当該ブロック30の内部側でのトレッド面3に対する角度が大きくなっている。つまり、センターブロック列36が有するブロック30は、当該ブロック30のタイヤ回転方向における後ろ側を区画するセンターラグ溝21の溝壁27とトレッド面3との、ブロック30の内部側での角度θ2よりも、当該ブロック30のタイヤ回転方向における前側を区画するセンターラグ溝21の溝壁27とトレッド面3との、当該ブロック30の内部側での角度θ1の方が大きくなっている。
【0058】
これらのように構成される本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、用途が重荷重用空気入りタイヤになっている。この空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、リムホイールにリム組みしてインフレートした状態で車両に装着する。リムホイールにリム組みした状態の空気入りタイヤ1は、例えばトラックやバス等の大型の車両に装着して使用される。
【0059】
空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、トレッド面3のうち下方に位置するトレッド面3が路面に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。空気入りタイヤ1を装着した車両で乾燥した路面を走行する場合には、主にトレッド面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。また、濡れた路面を走行する際には、トレッド面3と路面との間の水が周方向主溝10やラグ溝20等に入り込み、これらの溝でトレッド面3と路面との間の水を排出しながら走行する。これにより、トレッド面3は路面に接地し易くなり、トレッド面3と路面との間の摩擦力により、車両は走行することが可能になる。
【0060】
ここで、このような溝は、溝によって区画されるブロック30の剛性の低下につながり、ブロック剛性が低下した場合、空気入りタイヤ1の転動時にブロック30の変形にエネルギーが消費されるため、転がり抵抗が増加する。これに対し、本実施形態に係る空気入りタイヤ1には、ショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23との溝底44に、底上げ部40が形成されている。これにより、ショルダー周方向主溝13やショルダーラグ溝23に隣接するブロック30のブロック剛性を向上させることができ、車両の走行中にブロック30が変形することに起因するエネルギーロスが低減することができる。従って、空気入りタイヤ1の転動時における転がり抵抗を低減させることができる。
【0061】
また、氷雪路面を走行する際には、トレッド面3と溝との境界部分であるエッジが氷雪路面に引っ掛かることにより、トレッド面3と氷雪路面との間に抵抗が生じ、トラクションを発生させることができるが、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、ブロック30に細溝60が形成され、複数の小ブロック70に分断されている。これにより、各ブロック30のエッジ成分が増加し、トレッド面3全体のエッジ成分が増加するため、氷雪路面を走行する際におけるトラクション性能を確保することができ、氷雪上性能を確保することができる。
【0062】
また、雪上路面を走行する際には、空気入りタイヤ1は路面上の雪をトレッド面3で押し固めると共に、路面上の雪が周方向主溝10やラグ溝20に入り込むことにより、これらの雪も溝内で押し固める状態になる。この状態で、空気入りタイヤ1に駆動力や制動力が作用したり、車両の旋回によってタイヤ幅方向への力が作用したりすることにより、溝内の雪に対して作用するせん断力である、いわゆる雪柱せん断力が発生し、雪柱せん断力によって空気入りタイヤ1と路面との間で抵抗が発生することにより、駆動力や制動力を雪上路面に伝達することができ、車両は雪上路面での走行が可能になる。
【0063】
しかし、周方向主溝10やラグ溝20に底上げ部40を設けた場合は、溝内に入り込む雪の量が低減するため、雪柱せん断力を得難くなる。これに対し、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、ショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23と交差部50には底上げ部40を設けずに凹部55としている。このため、周方向主溝10の溝底44に底上げ部40と凹部55とで周期的な凹凸を形成することができ、雪柱せん断力を確保することができる。これにより、空気入りタイヤ1は、駆動力や制動力を雪上路面に伝達することができ、底上げ部40によってブロック剛性を向上させつつスノートラクション性能を確保することができる。
【0064】
また、空気入りタイヤ1の転動時におけるトレッド面3が接地時には打音が発生し、この音が周方向主溝10やラグ溝20を通って、路面に対するトレッド面3の接地領域の外に音が出ることにより、この音が騒音になる。このように、周方向主溝10やラグ溝20を通る音に対し、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、ショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23との交差部50に凹部55が設けられているため、音を凹部55に留めることができる。つまり、凹部55は、周方向主溝10やラグ溝20の溝壁のみでなく、底上げ部40にも囲まれた空間であるため、凹部55に流れた音は凹部55から出難くなる。これにより、凹部55は、凹部55に流れた音を接地領域の外に逃がし難くなり、低騒音化を図ることができる。これらの結果、スノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗の低減と低騒音化を図ることができる。
【0065】
また、底上げ部40は、底上げ部40の底上げ高さHと、底上げ部40が形成されるショルダー周方向主溝13やショルダーラグ溝23の最大溝深さDとの関係が、0.1≦(H/D)≦0.9の範囲内であるため、より確実にブロック剛性を確保しつつ、雪柱せん断力を確保することができる。つまり、底上げ部40の底上げ高さHと最大溝深さDとの関係がH<0.1である場合は、最大溝深さDに対して底上げ部40の底上げ高さHが低過ぎるため、底上げ部40を設けてもブロック剛性を確保するのが困難になる可能性がある。この場合、転がり抵抗を効果的に低減させ難くなる可能性がある。また、底上げ部40の底上げ高さHと最大溝深さDとの関係がH>0.9である場合は、最大溝深さDに対して底上げ部40の底上げ高さHが高過ぎるため、溝容積が低減し、ショルダー周方向主溝13やショルダーラグ溝23に入り込む雪の量が低減する可能性がある。この場合、ショルダー周方向主溝13やショルダーラグ溝23によって雪柱せん断力を確保し難くなり、スノートラクション性能を維持し難くなる可能性がある。これに対し、底上げ部40の底上げ高さHと最大溝深さDとの関係が、0.1≦(H/D)≦0.9の範囲内である場合は、より確実にブロック剛性と雪柱せん断力とを、共に確保することができる。この結果、より確実にスノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗を低減することができる。
【0066】
また、底上げ部40は、ショルダー周方向主溝底上げ部42の底上げ高さH1より、ショルダーラグ溝底上げ部41の底上げ高さH2の方が高いため、トレッド面3の接地時に発生した音が、ショルダーラグ溝23を通ってタイヤ幅方向外側に逃げることを、ショルダーラグ溝底上げ部41によってより確実に抑制することができる。この結果、より確実に低騒音化を図ることができる。
【0067】
また、ショルダーラグ溝23の内側端部25からショルダーラグ溝底上げ部41の内側端部46までのタイヤ幅方向における距離L2と、ショルダーラグ溝23の内側端部25からショルダーラグ溝23の外側端部26までのタイヤ幅方向における距離L1との関係が、0.1≦(L2/L1)≦0.7の範囲内であるため、より確実にスノートラクション性能を維持しつつブロック剛性を確保することができる。つまり、距離L1と距離L2との関係が(L2/L1)<0.1である場合は、タイヤ幅方向における凹部55の幅が小さくなり過ぎるため、凹部55に入り込む雪の量が少なくなり、スノートラクション性能を維持し難くなる可能性ある。また、距離L1と距離L2との関係が(L2/L1)>0.7である場合は、タイヤ幅方向におけるショルダーラグ溝底上げ部41の幅が小さくなり過ぎるため、ショルダーラグ溝底上げ部41によってブロック剛性を確保するのが困難になる可能性がる。この場合、転がり抵抗を効果的に低減させ難くなる可能性がある。これに対し、距離L1と距離L2との関係が、0.1≦(L2/L1)≦0.7の範囲内である場合は、凹部55の幅を確保することによって凹部55に入り込むことのできる雪の量を確保し、雪柱せん断力によるスノートラクション性能を維持しつつ、ショルダーラグ溝底上げ部41によってより確実にブロック剛性を確保することができる。この結果、より確実にスノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗を低減することができる。
【0068】
また、ショルダーラグ溝底上げ部端部45の壁部49のトレッド面3に対する角度αよりも、ショルダー周方向主溝底上げ部端部48の壁部49のトレッド面3に対する角度βの方が大きいため、ショルダー周方向主溝13に入り込んだ雪に対して、ショルダー周方向主溝底上げ部42によってより確実に大きな雪柱せん断力を発揮することができる。これにより、雪上路面の走行時に、路面上の雪に対してより大きなタイヤ周方向の抵抗を発生させることができ、駆動力や制動力を雪上路面に伝達し易くすることができる。この結果、より確実にスノートラクション性能を向上させることができる。
【0069】
また、ショルダー周方向主溝底上げ部42は、前側端部48f側の壁部49よりも後ろ側端部48r側の壁部49の方が、トレッド面3に対する角度βが大きくなっているため、後ろ側端部48r側での雪柱せん断力を向上させることができる。これにより、雪上路面の走行時において制動力を路面に伝達する方向へのスノートラクション性能を向上させることができる。この結果、雪上での制動性能を向上させることができる。
【0070】
また、ラグ溝20は、タイヤ幅方向における配設位置がタイヤ幅方向における中央側からタイヤ幅方向における外側に向かうに従って、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が大きくなっているため、より確実にスノートラクション性能を維持しつつ、低騒音化を図ることができ、さらに排水性能を向上させることができる。つまり、車両の制動時には、タイヤ幅方向における両端付近の接地長が伸びるため、タイヤ幅方向における両端付近において、溝によるタイヤ周方向へのエッジ成分を確保することにより、エッジ効果によるスノートラクション性能の向上を期待できる。このため、タイヤ幅方向における両側付近に位置するラグ溝20の、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度を大きくし、タイヤ幅方向における両側付近におけるタイヤ周方向へのエッジ成分を増加させることにより、雪上路面での制動時におけるスノートラクション性能を向上させることができる。
【0071】
また、通常の走行時には、タイヤ幅方向における中央付近での接地圧が高く、ブロック30の接地時に発生する打音は、タイヤ幅方向における中央付近で大きな音が発生し易くなる。これに対し、タイヤ幅方向における中央付近に位置するラグ溝20の、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度を小さくした場合には、この領域のトレッド面3の接地時に、ブロック30を徐々に接地させることができるため、ブロック30の接地時に発生する打音を小さくすることができる。これにより、空気入りタイヤ1の転動時に発生する騒音を低減することができる。
【0072】
さらに、通常の走行時に接地長が長くなる、タイヤ幅方向における中央付近のラグ溝20の、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度を小さくすることにより、排水性能を向上させることができる。つまり、ラグ溝20による排水性能は、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向へのラグ溝20の傾斜角度を小さくすることにより、空気入りタイヤ1の転動時にラグ溝20に入り込んだ水を、タイヤ幅方向に逃がし易くすることができ、排水性能を向上させることができる。このため、接地長が長い領域のラグ溝20の傾斜角度を小さくすることにより、通常の走行時に接地し易い領域の排水性能を向上させることができ、空気入りタイヤ1全体の排水性能を向上させることができる。これらの結果、より確実にスノートラクション性能を維持しつつ、低騒音化を図ることができ、さらに排水性能を向上させることができる。
【0073】
また、センターブロック列36が有するブロック30の、タイヤ回転方向における後ろ側を区画するセンターラグ溝21の溝壁27の角度θ2よりも、当該ブロック30のタイヤ回転方向における前側を区画するセンターラグ溝21の溝壁27の角度θ1の方が大きいため、センターブロック列36のブロック30の接地時における変形を低減することができる。このセンターブロック列36は、通常の走行時における接地圧が、他のブロック列35と比較して大きいため、接地圧が高い領域のブロック30の変形を抑制することにより、より確実に転がり抵抗を低減することができる。また、センターブロック列36は、通常の走行時における接地圧が高いことに伴って大きな打音が発生し易いため、センターブロック列36のブロック30の接地時における変形を低減することにより、打音を小さくすることができる。これにより、空気入りタイヤ1の転動時に発生する騒音を低減することができる。さらに、センターブロック列36が有するブロック30の、タイヤ回転方向における後ろ側を区画するセンターラグ溝21の溝壁27の角度θ2を小さくし、タイヤ回転方向における後ろ側の溝壁27をそそり立たせることにより、ブロック30のタイヤ回転方向における後ろ側での雪柱せん断力を向上させることができる。これにより、雪上路面の走行時において制動力を路面に伝達する方向へのスノートラクション性能を向上させることができる。これらの結果、より確実に、スノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗の低減と低騒音化を図ることができる。
【0074】
また、ラグ溝20は、ショルダーラグ溝23の溝幅が最も広いため、制動時に接地圧が高くなり接地長が長くなる領域の溝容積を確保することができる。これにより、雪上路面での制動時における雪柱せん断力を確保することができ、雪上路面での制動性能を向上させることができる。また、ショルダーラグ溝23以外のラグ溝20の溝幅をショルダーラグ溝23の溝幅よりも狭くすることにより、ショルダーブロック列38以外のブロック列35のブロック剛性を確保することができる。これにより、通常の走行時に接地圧が高くなり易い領域のブロック剛性を確保することができるため、通常の走行時における転がり抵抗を低減することができる。これらの結果、より確実にスノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗を低減することができる。
【0075】
また、周方向主溝10は、センター周方向主溝11の溝幅が最も狭いため、通常の走行時に接地圧が高くなり易いセンター領域のブロック剛性を確保することができ、通常の走行時における転がり抵抗を低減することができる。また、センター周方向主溝11以外の周方向主溝10の溝幅をセンター周方向主溝11の溝幅よりも広くすることにより、制動時に接地圧が高くなり接地長が長くなるショルダー領域の溝容積を確保することができ、雪上路面での制動性能を向上させることができる。これらの結果、より確実にスノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗を低減することができる。
【0076】
また、底上げ部40として、ショルダー周方向主溝13にショルダー周方向主溝底上げ部42を形成するのみでなく、センター周方向主溝11にセンター周方向主溝底上げ部43を形成することにより、通常の走行時に接地圧が高くなり易いセンター領域のブロック剛性を確保することができ、転がり抵抗を低減することができる。この結果、より確実にスノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗を低減することができる。
【0077】
また、ブロック30は、タイヤ幅方向における幅WBに対するタイヤ周方向における長さLBの比率が、ショルダー周方向主溝13のタイヤ幅方向内側に位置するブロック30よりも、ショルダー周方向主溝13のタイヤ幅方向外側に位置するブロック30の方が小さいため、耐偏摩耗性を向上させることができる。つまり、ショルダー周方向主溝13よりもタイヤ幅方向外側の領域の周長は、ショルダー周方向主溝13よりもタイヤ幅方向内側の領域の周長よりも短いため、通常の走行時は、ショルダー周方向主溝13よりもタイヤ幅方向外側に位置するショルダーブロック列38では、路面に対してトレッド面3が滑り易くなる。このため、ショルダーブロック列38では、ヒール&トウ摩耗等の偏摩耗が発生し易くなるが、ショルダーブロック列38が有するブロック30の幅WBに対する長さLBの比率を小さくすることにより、ヒール&トウ摩耗を抑制することができる。即ち、ショルダーブロック列38が有するブロック30の長さLBに対する幅WBを大きくすることにより、当該ブロック30のタイヤ幅方向における剛性を確保することができるため、ブロック30の蹴り出し側での滑りを抑制することができ、ヒール&トウ摩耗を抑制することができる。この結果、耐偏摩耗性を向上させることができる。
【0078】
なお、上述した実施形態では、センターブロック列36が有するブロック30のタイヤ回転方向における後ろ側を区画するセンターラグ溝21の溝壁27の角度θ2よりも、当該ブロック30のタイヤ回転方向における前側を区画するセンターラグ溝21の溝壁27の角度θ1の方が大きくなっているが、センターブロック列36以外のブロック列35においても、ブロック30を区画するラグ溝20の溝壁27の角度の相対関係が、これらの関係になっていてもよい。センターブロック列36以外のブロック列35でも、ブロック30を区画するラグ溝20の溝壁27をこれらの形態にすることにより、より確実に、スノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗の低減と低騒音化を図ることができる。
【0079】
また、上述した実施形態では、底上げ部40は、ショルダーラグ溝23、ショルダー周方向主溝13、センター周方向主溝11に形成されているが、底上げ部40は、これら以外の溝に形成されていてもよい。底上げ部40は、ショルダーラグ溝23とショルダー周方向主溝13とに形成され、好ましくはセンター周方向主溝11にも形成され、それ以外の溝に対しては、空気入りタイヤ1のサイズや使用態様に応じて適宜設けるのが好ましい。底上げ部40は、溝が形成される位置に関わらず、周方向主溝10とラグ溝20との交差部50を除いて形成することにより、ブロック剛性を確保して転がり抵抗を低減しつつ、凹部55によってスノートラクション性能を確保することができる。
【0080】
また、上述した実施形態では、周方向主溝10は5本が形成されているが、周方向主溝10は5本以外でもよい。周方向主溝10の数に関わらず、ショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23との交差部50を除いてショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23とに底上げ部40を形成することにより、スノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗の低減と低騒音化を図ることができる。
【0081】
〔実施例〕
図9A〜
図9Cは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する比較例の空気入りタイヤとについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、氷雪上路面の走行時のトラクション性能である氷雪上性能と、空気入りタイヤ1の転動時の転がり抵抗を低減する性能である転がり抵抗低減性能と、空気入りタイヤ1の転動に伴って発生する騒音についての性能であるノイズ性能とについての試験を行った。
【0082】
性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが315/80R22.5サイズの空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みして、空気圧を825kPaに調整し、4×2+3軸トレーラーの試験車両に装着してテスト走行をすることにより行った。各試験項目の評価方法は、氷雪上性能については、評価試験を行う空気入りタイヤ1を装着した試験車両をパネラーが運転し、雪上、氷上路面を含むテストコースを走行した際におけるフィーリング評価を実施することにより行った。氷雪上性能は、後述する従来例を100とする指数で表し、数値が大きいほど氷雪上性能に優れていることを示している。
【0083】
また、転がり抵抗低減性能については、ISO 28580に定めるタイヤの転がり抵抗試験法に従って測定した転がり抵抗によって評価した。この試験は、直径2mのドラムを有するドラム試験機を用いて行い、試験を行う空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みして正規内圧を充填し、正規荷重の85%をかけて速度80km/hの速度時における転がり抵抗を測定する。転がり抵抗低減性能は、この試験方法による試験結果を、後述する従来例を100とする指数で表し、数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、転がり抵抗低減性能が優れていることを示している。なお、この場合における正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
【0084】
また、ノイズ性能については、ISO 10844:1994に定めるタイヤ騒音試験法に従って測定した車外通過音の大きさによって評価した。この試験は、試験を行う空気入りタイヤ1を装着した試験車両を、速度60〜80km/hでテストコースを走行させて車両の幅方向における両側からタイヤノイズを8回測定し、その平均値を算出する。ノイズ性能は、この測定結果を、後述する従来例を100とする指数で表し、数値が大きいほど音圧dBが小さく、ノイズ性能が優れていることを示している。
【0085】
評価試験は、従来の空気入りタイヤ1の一例である従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例1〜10と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する空気入りタイヤである比較例の12種類の空気入りタイヤについて行った。これらの空気入りタイヤ1のうち、従来例の空気入りタイヤは、ショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23とのいずれにも底上げ部40が設けられていない。また、比較例の空気入りタイヤは、ショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23とにそれぞれ底上げ部40が設けられているものの、ショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23との交差部50に凹部55が形成されていない。
【0086】
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例1〜10は、全てショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23とに底上げ部40が設けられており、ショルダー周方向主溝13とショルダーラグ溝23との交差部50には凹部55が形成されている。また、実施例1〜10に係る空気入りタイヤ1は、底上げ部40の底上げ高さHと最大溝深さDとの関係、ショルダーラグ溝底上げ部41の底上げ高さH2とショルダー周方向主溝底上げ部42の底上げ高さH1との相対関係、ショルダーラグ溝23の内側端部25からショルダーラグ溝底上げ部41の内側端部46までの距離L2とショルダーラグ溝23の内側端部25から外側端部26までの距離L1との関係、ショルダーラグ溝底上げ部41の壁部49の角度αとショルダー周方向主溝底上げ部42の壁部49の角度βとの相対関係、ショルダー周方向主溝底上げ部42のタイヤ回転方向の前後の壁部49の角度の相対関係が、それぞれ異なっている。
【0087】
これらの空気入りタイヤ1を用いて評価試験を行った結果、
図9A〜
図9Cに示すように、実施例1〜10の空気入りタイヤ1は、従来例や比較例に対して、氷雪上性能は維持しつつ、転がり抵抗低減性能とノイズ性能とを向上させることができることが分かった。つまり、実施例1〜10に係る空気入りタイヤ1は、スノートラクション性能を維持しつつ、転がり抵抗の低減と低騒音化を図ることができる。