(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6319459
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】分析装置システム及び該システム用プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
G01N35/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-557396(P2016-557396)
(86)(22)【出願日】2014年11月6日
(86)【国際出願番号】JP2014079439
(87)【国際公開番号】WO2016071987
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2017年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木原 隆幸
【審査官】
大森 伸一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−208578(JP,A)
【文献】
特開2010−257332(JP,A)
【文献】
特表2014−519827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) ネットワークと、
b) 前記ネットワークに接続された、分析装置及び1台又は複数台の分析用コンピュータ、及び/又はサーバーと、
c) 前記分析装置及び前記1台又は複数台の分析用コンピュータ、及び/又はサーバーに設けられた、前記1台又は複数台の分析用コンピュータ及び/又は前記サーバーのいずれかの指定と、指定された分析用コンピュータ又はサーバーに実行させる所定の処理と、或いは実行に必要なパラメータ情報とから成る指令を記述した機能テーブルを作成する機能テーブル作成手段と、
d) 前記分析装置に設けられた、前記機能テーブルを記憶し、表示画面に表示して、分析者の操作に応じて前記指令を実行させる機能テーブル実行手段と
を備えることを特徴とする分析装置システム。
【請求項2】
前記分析用コンピュータが前記サーバーを兼ねることを特徴とする請求項1に記載の分析装置システム。
【請求項3】
前記機能テーブル実行手段が、前記指令の実行状況又は実行結果を前記分析装置の表示画面に表示する機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の分析装置システム。
【請求項4】
前記機能テーブル実行手段が、前記機能テーブルの実行に必要なパラメータ情報に基づいてパラメータ入力画面を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の分析装置システム。
【請求項5】
ネットワークに接続された分析装置及び1台又は複数台の分析用コンピュータ、及び/又はサーバーを備える分析装置システムにおいて実行されるプログラムであって、
a) 前記分析装置及び1台又は複数台の前記分析用コンピュータ、及び/又は前記サーバーに設けられた、前記1台又は複数台の分析用コンピュータ及び/又は前記サーバーのいずれかの指定と、指定された分析用コンピュータ又はサーバーに実行させる所定の処理と、或いは実行に必要なパラメータ情報とから成る指令を記述した機能テーブルを作成する機能テーブル作成部と、
b) 前記分析装置に設けられた、前記機能テーブルを記憶し、表示画面に表示して、分析者の操作に応じて前記指令を実行させる機能テーブル実行部と
を含むことを特徴とする分析装置システム用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介してコンピュータに接続され、コンピュータと共に使用される分析装置のシステム及びそこにおいて用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の分析においては、分析の条件や分析により得られたデータの解析が複雑化している。そのため、様々なツールが利用可能であり、データ処理能力も高い一般のコンピュータを分析装置に接続し、コンピュータ上で分析条件を設定し、コンピュータから分析装置を制御したり、分析装置で得られたデータをコンピュータに送り、コンピュータでデータ解析を行うことが多くなっている。このように分析装置にコンピュータが接続された場合、一般的にはコンピュータの方で操作を行う方が便利であるように各種の設計がなされている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、1台のコンピュータで複数台の分析装置を制御し、複数台の分析装置で得られたデータの解析をまとめて1台のコンピュータで行うという使い方をする場合、或いは、分析装置又はコンピュータが所定の環境(温度、湿度、清浄度等)を必要とする場合、両者は離れた場所或いは別の部屋に置かれることになる。そうすると、分析装置において試料をセットしたり、ハードウェアの設定等の具体的な操作を行った後、コンピュータが置かれている場所(部屋)に行ってコンピュータの操作をするという面倒な操作をする必要がある。
【0004】
そこで、分析装置の入力部(操作パネル)における特定の簡単な操作により、コンピュータ上の特定の機能を実行させるという手法が実施されている(非特許文献1)。この手法では、分析装置の操作パネル上で分析開始ボタンを押す(タッチする)ことにより、コンピュータ上で予め定められたバッチ処理が実行され、分析が行われるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04-128657号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社島津製作所,「i-Series液体クロマトグラフ−オペレータをラボから解放するICM(Interactive Communication Mode)」,[online],[平成26年10月29日検索],インターネット<http://www.an.shimadzu.co.jp/hplc/i-series/promi-i_1.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来技術では、分析装置から離れることなく、別の場所にある分析用コンピュータに分析命令を送ることができるため、分析者の利便性が向上するが、その前提として、分析用コンピュータが起動しており、しかも、その分析用コンピュータ上で分析プログラムが動作している必要がある。そのような前提条件が満たされていない場合にはやはり分析者がパソコンに赴き、そこで操作をしなければならない。
【0008】
また、分析試料や分析装置の条件を変えつつ様々な分析を行わねばならない場合には、分析者は分析装置における準備作業と分析用コンピュータにおける分析実行操作を繰り返さねばならず、両者の間を高い頻度で行き来しなければならなくなる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、分析装置とは別に該分析装置を使った分析処理を行うコンピュータが設けられている場合において、分析装置において該分析用コンピュータの操作の利便性を高めることのできるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明に係る分析装置システムは、
a) ネットワークと、
b) 前記ネットワークに接続された、分析装置及び1台又は複数台の分析用コンピュータ、及び/又はサーバーと、
c) 前記分析装置及び前記1台又は複数台の分析用コンピュータ、及び/又は前記サーバーのいずれかに設けられた、前記1台又は複数台の分析用コンピュータ及び/又は前記サーバーのいずれかの指定と、指定された分析用コンピュータ又はサーバーに実行させる所定の処理と、或いは実行に必要なパラメータ情報とから成る指令を記述した機能テーブルを作成する機能テーブル作成手段と、
d) 前記分析装置に設けられた、前記機能テーブルを記憶し、表示画面に表示して、分析者の操作に応じて前記指令を実行させる機能テーブル実行手段と
を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る分析装置システムにおいて、サーバーとは、前記ネットワークに接続された分析用コンピュータを、その電源投入を含め、制御することのできる機能を持ったコンピュータのことである。従って、本発明に係る分析装置システムが使用される環境においては、サーバーは常に電源が入っている。サーバーも複数台存在しても構わない。また、前記分析用コンピュータが複数台存在する場合には、サーバーはそのうちの1台又は複数台であってもよい。
【0012】
本発明に係る分析装置システムでは、分析者等が分析装置、分析用コンピュータ又はサーバー上で、そこに設けられた機能テーブル作成手段を用いて機能テーブルを作成する。この機能テーブルには、分析用コンピュータ又はサーバーの指定と、指定された分析用コンピュータ又はサーバーに実行させる処理と、或いは実行に必要なパラメータ情報とから成る指令を記述する。機能テーブル内において、この指令は1つであってもよいし、複数であってもよい。こうして作成された機能テーブルは分析装置に設けられた機能テーブル実行手段に記憶される。分析用コンピュータ又はサーバー上の機能テーブル作成手段を用いて作成された場合はネットワークを介して分析装置に送られ、機能テーブル実行手段に記憶される。
【0013】
機能テーブル実行手段は、こうして記憶されている機能テーブルを分析装置の表示画面に表示する。分析者が、表示された機能テーブルの中から指令を選択し実行させると、分析装置は、その指令に記載された指定分析用コンピュータ又はサーバーに対して、それに対応する処理を実行させる。
【0014】
本発明に係る分析装置システムでは、指令には、或る分析用コンピュータを起動させる、という処理も含むことができる。この場合は、指定され、そのような処理を実行するのはサーバーとなる。
【0015】
本発明は、上記のような分析装置システムとして構成することができるほか、そのような分析装置及び1台又は複数台の分析用コンピュータ、及び/又はサーバーを含む分析装置システムにおいて実行されるプログラムとしても構成することができる。その場合、本発明に係るプログラムは、
a) 前記分析装置及び前記1台又は複数台の分析用コンピュータ、及び/又は前記サーバーのいずれかに設けられた、前記1台又は複数台の分析用コンピュータ及び/又は前記サーバーのいずれかの指定と、指定された分析用コンピュータ又はサーバーに実行させる所定の処理と、或いは実行に必要なパラメータ情報とから成る指令を記述した機能テーブルを作成する機能テーブル作成部と、
b) 前記分析装置に設けられた、前記機能テーブルを記憶し、表示画面に表示して、分析者の操作に応じて前記指令を実行させる機能テーブル実行部と
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る分析装置システムでは、分析者が分析装置から離れることなく、別の場所にある分析用コンピュータに様々な指令を送ることができ、しかも、そのような指令の中には分析用コンピュータを起動するという処理も含むことができる。また、予め機能テーブルに、予想される処理及びその処理を行う分析用コンピュータを記述しておくことにより、それらの処理を分析装置から実行させることができるようになる。これらにより、分析者は、分析装置の傍らにおいて、複雑な分析作業も含め、ほとんどの作業を実行することができ、分析装置の利便性が大幅に高まる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例であるクロマトグラフ分析装置システムの全体の概略構成図。
【
図2】実施例のクロマトグラフ分析装置システムに含まれる分析装置の概略構成図。
【
図3】実施例のクロマトグラフ分析装置システムに含まれる分析用コンピュータの概略構成図。
【
図4】分析装置の操作パネルに表示された、機能テーブル表示用ボタンを含む表示画面(a)及び機能テーブルの表示画面(b)。
【
図5】分析装置の操作パネルに表示されたパラメータ入力画面の例で、ログオンユーザーID入力画面(a)及びログオンパスワード入力画面(b)。
【
図6】機能テーブルの構造及び内容の一例を示す説明図。
【
図7】分析装置の操作パネルに表示される、処理の進行状況(a)及び処理の結果(失敗)(b)を表示する画面の図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る分析装置システムの一実施例であるクロマトグラフ分析装置システムを説明する。
図1に示すとおり、本実施例のクロマトグラフ分析装置システム10は、互いにネットワーク11で接続されたクロマトグラフ分析装置12、分析用パソコン13及びサーバー14から成る。サーバー14は、通常は電源が投入されたままとなっている。サーバー14が無く、分析用パソコン13がサーバー14を兼ねた構成であってもよい。なお、実施例であるクロマトグラフ分析装置システム10のネットワーク11にはこれらのほかに他の分析装置や他の分析用パソコン、或いはサーバー等が接続されていてもよい。
【0019】
クロマトグラフ分析装置12には、
図2に示すとおり、中央処理部(CPU)21及び記憶部22の他、ネットワーク11とのインターフェイス(I/F)23、カラムオーブンやポンプ、試料注入器等の各種装置ユニットとのインターフェイス(I/F)24、及び、表示部25aと入力部25bから成る操作パネル25等が備えられている。記憶部22には、後述の機能テーブル作成プログラム26及び機能テーブル実行プログラム27が記憶されている。
【0020】
分析用パソコン13には、
図3に示すとおり、中央処理部(CPU)31及び記憶部32の他、ネットワーク11とのインターフェイス(I/F)33、及びディスプレイや入力装置、外部記憶装置等とのインターフェイス(I/F)34等が備えられている。記憶部
32には、後述の機能テーブル作成プログラム35が記憶されている。サーバー14の構成もこれとほぼ同じである。
【0021】
このような構成を有するクロマトグラフ分析装置システム10において、分析者が分析装置12の側で、分析用パソコン13を用いて様々な分析を実行する手順を説明する。なお、以下では、分析用パソコン13とは別にサーバー14が存在する場合について説明する。
まず、分析者が分析用パソコン13において、機能テーブル作成プログラム35を起動し、それにより機能テーブルを作成する。CPU31が実行する機能テーブル作成プログラム35が本発明の機能テーブル作成手段に相当する。なお、機能テーブル作成プログラムはサーバー14にも備えられており、分析者はサーバー14上で機能テーブルを作成しても良い。また、分析装置12にも分析装置用の機能テーブル作成プログラム26が備えられているが、操作パネル25から入力しなければならないため、複雑な機能テーブルを作成するには適しておらず、既に作成されている機能テーブルを修正する程度の利用が現実的である。
【0022】
機能テーブルの一例を
図6に示す。なお、この例の機能テーブルは横に長い(1行の長さが長い)ため、上下に分割して図示している。
図6のこの機能テーブル50には5つの指令が記述されている。各指令には、それを特定する番号(ID)と、その指令の名称(機能名称)、その指令が対象とするコンピュータ(分析用パソコン13又はサーバー14)、そのコンピュータに実行させる機能の実体である命令、及び、その命令で用いるパラメータに関する記述が含まれている。パラメータの個数は命令によってゼロであったり1個又は2個以上であるが、機能テーブル50の長さ(1行の長さ)は、その機能テーブル50が記述し得る命令の中で最大のパラメータ数を持つものに合わせた長さ(スペース)が用意されている。
【0023】
図6の機能テーブル50の1行目の指令(ID=1)は、分析用パソコン13を起動する機能を有する。従って、対象コンピュータはサーバー14であり、それを識別するためのデータとしてサーバーのIPアドレス(192.168.1.1)が記述されている。そして、それに対する命令は「分析用パソコンを起動せよ」であり、分析用パソコン13を識別するためのIPアドレスを引数とした「C:\Program Files\WakeUpPC.exe "192.168.100.1"」という命令が記述されている。このような命令で動作するプログラムの実体(この例では"WakeUpPC.exe")はユーザー又はプログラム開発者において作成が可能であるが、ユーザーの用途に応じて新たに分析装置の製造者が作成したり、既存の流通しているプログラムを用いることも可能である。
【0024】
2行目の指令(ID=2)は、「サーバー上で分析用パソコン13にリモートログオンする」機能を有する。これも対象コンピュータはサーバー14であり、そのIPアドレスと「分析用パソコンにリモートログオンする」という命令「C:\Program Files\LogonPC.exe "192.168.100.1"」が記述されている。この命令には、ログオンのためのユーザーID及びパスワードを入力する画面を表示するための2個のパラメータが付加される。このうち、第1のパラメータ(ユーザーID入力)には「文字列表示」という種類を表す種類記号1が付与され、第2のパラメータ(パスワード入力)には入力文字を「*」(アスタリスク)で表示するという種類を表す種類記号2が付与されている。
【0025】
3行目(ID=3)はその分析用パソコン13上で分析プログラムを起動するための指令である。従って、この指令の対象は分析用パソコン13である。引数は2行目の指令と同じく、ユーザーID及びパスワード入力画面のための2個である。
図5(a)に、分析プログラムへのログオンのためのユーザーID入力画面の例を、
図5(b)にパスワード入力画面の例を示す。なお、これらの画面において、右側には文字(数字)入力用のソフトウェアキーボードが表示される。
【0026】
4行目(ID=4)は「定例の分析メソッドを本分析装置12にダウンロードせよ」との命令で、対象は分析用パソコン13である。「C:\Program Files\SetMethod001.exe」という命令に従い、分析用パソコン13において定例の分析メソッドが装置にダウンロードされる。この命令には引数もパラメータも無い。
【0027】
5行目(ID=5)は分析用パソコン13からログオフするための命令であり、これも引数及びパラメータは無い。
【0028】
こうして作成された機能テーブル50は、分析用パソコン13から分析装置12に送られ、その記憶部22に格納される。また、サーバー14にも送られ、その記憶部に格納される。分析装置12は、起動時又は適宜のタイミングで分析用パソコン13又はサーバー14に機能テーブルのバージョンを問い合わせ、自らが保有する機能テーブルが最新のものでない場合はそれらから最新のものをダウンロードする。なお、バージョン比較をすることなく、常にサーバー14の機能テーブルをダウンロードするようにしてもよい。
【0029】
分析者が分析装置12において分析を行う場合、まず、操作パネル25上の所定のボタン操作により、サーバー14や分析用パソコン13(PC)の機能を実行するためのメニューを表示させる。具体的には、
図4(a)に示すように、分析装置の操作パネル25の様々な表示(説明の便のため、図示を省略している。)中の「PC機能の実行」というボタン(機能メニュー表示ボタン)41を押す(タッチする)ことにより、機能テーブル実行プログラム27が起動し、
図4(b)のような機能メニュー42が表示される。この機能メニュー42の各ボタンは、
図6の機能テーブル50の各行に対応している。分析者がこの機能メニュー42のいずれかのボタンを押す(タッチする)ことにより、各ボタンに対応する機能テーブル50の行(指令)が実行される。
【0030】
まず、分析者が機能メニュー42の1行目の「PC起動」というボタンを押すと、機能テーブル50の1行目の「C:\Program Files\WakeUpPC.exe "192.168.100.1"」という命令が、対象PCであるサーバー14により実行される。これにより、LAN通信により分析用パソコン13が起動される。なお、分析装置12に対応する分析用パソコン13が確定している場合、この命令の引数"192.168.100.1"は分析装置12自体が生成して(自身の記憶部から呼び出して)付加するようにしてもよい。
【0031】
次に2行目の「PCログオン」というボタンを押すと、機能テーブル50のパラメータ欄の記述に従い、ユーザーIDの入力を促す画面が表示される。分析者がこれを入力すると、次にパスワードの入力を促す画面が表示され、それを入力した場合に、対象PCである192.168.1.1(サーバー14)に対して、機能テーブル50の2行目の「C:\Program Files\LogonPC.exe "192.168.100.1"」という命令と入力したユーザーID・パスワードの文字列情報とが送られる。その結果、サーバー14は、ユーザーID・パスワードを引数としたLogonPC.exe "192.168.100.1"の命令を実行し、分析用PC13へリモートログオンする操作を実行する。引数のユーザーID・パスワードがログオン操作に使用される。
【0032】
こうして
図4(b)の機能メニュー42の各ボタンを順番に押してゆくことにより機能テーブル50の各行の命令が実行され、分析用パソコン13の起動、分析用パソコン13へのログオン、分析用プログラムの起動、分析メソッドの分析装置12へのダウンロードが分析装置12側で行える。そして分析装置12において分析を行い、終了した後は分析用パソコン13からログオフすることにより、一連の分析作業の全てを分析装置12側で完了することになる。
【0033】
このような機能メニュー42のボタン操作により、サーバー14及び分析用パソコン13で各種処理を行っている間、分析装置12の操作パネル25上に、その処理の進行状況や処理の結果(完了、失敗等)を表示するようにしてもよい。処理の進行状況や結果の情報は、対象コンピュータ(分析用パソコン13又はサーバー14)と分析装置
12との定期的な通信により、対象コンピュータから分析装置
12へ受け渡すことができる。
図7(a)は、機能メニュー42の3行目の「分析プログラム起動」を実行している間に表示されるプログレスバー61の例であり、これにより、処理の進行状況が分かる。また、
図7(b)はその「分析プログラム起動」に失敗した場合(例えば、前回、分析プログラムが異常終了していた場合等)の表示62の例である。これにより分析者は、次の「定例メソッドを分析装置にダウンロード」という処理を無駄に行うことなく、原因を探るために分析用パソコン13の方に行くという対処をすることができる。
【0034】
なお、上記実施例では分析用パソコン13とは別にサーバー14が設けられている例を中心に説明したが、分析用パソコン13がサーバー14を兼ねている場合には、「PC起動」や「PCログオン」という指令は実行できないものの、定例メソッドのダウンロード等、その他の様々な指令については機能テーブル(及び機能メニュー)を有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10…クロマトグラフ分析装置システム
11…ネットワーク
12…クロマトグラフ分析装置
13…分析用パソコン
14…サーバー
21…CPU
22、32…記憶部
25…操作パネル
25a…表示部
25b…入力部
26、35…機能テーブル作成プログラム
27…機能テーブル実行プログラム
41…機能メニュー表示ボタン
42…機能メニュー
50…機能テーブル