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特許6319954磁気トンネリング接合シード膜、キャッピング膜、及びスペーサー膜物質
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6319954
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】磁気トンネリング接合シード膜、キャッピング膜、及びスペーサー膜物質
(51)【国際特許分類】
   H01L 43/10 20060101AFI20180423BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20180423BHJP
   H01L 21/8239 20060101ALI20180423BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20180423BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   H01L43/10
   H01L43/08 Z
   H01L27/105 447
   H01L29/82 Z
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-118607(P2013-118607)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2013-254957(P2013-254957A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2016年5月16日
(31)【優先権主張番号】13/491,568
(32)【優先日】2012年6月7日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン・ユジュン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】シュエティ・タン
【審査官】 加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−266369(JP,A)
【文献】 特開2007−173476(JP,A)
【文献】 特開2008−098523(JP,A)
【文献】 特開2012−059957(JP,A)
【文献】 特開2008−028362(JP,A)
【文献】 特開2012−054577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 43/10
H01L 21/8239
H01L 27/105
H01L 29/82
H01L 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基準膜と、
自由膜と、
前記第1基準膜及び前記自由膜の間に配置された第1非磁性スペーサー膜と、
前記第1基準膜の下に配置されたシード膜と、を含み、
前記第1非磁性スペーサー膜は二元、三元、又は多元合金酸化物を含み、
前記第1非磁性スペーサー膜の前記二元、三元、又は多元合金酸化物は、Ru、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択された1つ以上の追加元素を有するMgOを含み、
前記シード膜は二元、三元、又は多元合金酸化物を含み、
前記シード膜の前記二元、三元、又は多元合金酸化物はRu、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択された1つ以上の追加元素を有するMgOを含み、
前記第1非磁性スペーサー膜の前記二元、三元、又は多元合金酸化物は、前記シード膜の前記二元、三元、又は多元合金酸化物とは異なる、半導体装置のための磁気素子。
【請求項2】
前記第1非磁性スペーサー膜は絶縁トンネリングバリアー膜である請求項1に記載の磁気素子。
【請求項3】
前記第1非磁性スペーサー膜はスピンバルブ(spin valve)として機能する導電物質を含む請求項1又は2に記載の磁気素子。
【請求項4】
前記第1基準膜の上に配置されたキャッピング膜をさらに含み、
前記キャッピング膜は二元、三元、又は多元合金酸化物を含み、
前記キャッピング膜の前記二元、三元、又は多元合金酸化物はRu、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択された1つ以上の追加元素を有するMgOを含む請求項1から3の何れか一項に記載の磁気素子。
【請求項5】
前記第1非磁性スペーサー膜は(001)結晶構造を含む請求項1から4の何れか一項に記載の磁気素子。
【請求項6】
前記自由膜の対向する面上に配置された第2基準膜と、
前記第2基準膜及び前記自由膜の間に配置される第2非磁性スペーサー膜と、をさらに含む請求項1から5の何れか一項に記載の磁気素子。
【請求項7】
前記第2非磁性スペーサー膜はMgOを含む請求項6に記載の磁気素子。
【請求項8】
前記自由膜及び前記第2基準膜は面内磁化方向を有し、
前記第1基準膜は垂直磁化方向を有する請求項6又は7に記載の磁気素子。
【請求項9】
前記自由膜及び前記第2基準膜は垂直磁化方向を有し、
前記第1基準膜は面内磁化方向を有する請求項6から8の何れか一項に記載の磁気素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気メモリのような磁気装置で使用できる磁気素子と、前記磁気素子を使用する装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気メモリ、特に磁性ランダムアクセスメモリ(magnetic random access memories、MRAMs)は速い読出し/書込み速度、優れた耐久性、非揮発性、及び動作中での低い消費電力等の可能性を有するため益々関心を集めている。MRAMは磁性物質を格納−記録媒体として利用して情報を格納できる。MRAMの一形態はスピン伝達トルクランダムアクセスメモリ(spin transfer torque random access memory、STT−RAM)である。STT−RAMは磁気素子を通じて印加される電流によって少なくとも一部に書込みが行われる磁気素子を利用する。
【0003】
例えば、図1は、一般的なSTT−RAMで使用され得る1つの例示的な磁気トンネリング接合(magnetic tunneling junction、MTJ、10)を図示する。一般的なMTJ10は一般的に下部コンタクト11上に形成され、一般的なシード膜12を使用し、固定膜(pinning layer、14)、例えば一般的な反強磁性(antiferromagnetic、AFM)、一般的な被固定膜(又は基準膜、16)、一般的なトンネリングバリアー膜18、一般的な自由膜20、及び一般的なキャッピング膜22を含む。また、上部コンタクト24が図示される。
【0004】
一般的なコンタクト11、24は面に対して垂直になる電流(current−perpendicular−to−plane、CPP)方向に、又は図1に示したように軸に沿って、電流を印加するのに使用される。一般的なトンネリングバリアー膜18は非磁性であり、例えば、MgOのような薄い絶縁体である。一般的なシード膜12は一般的に、目的とする結晶構造を有する後続される膜、例えば、AFM膜14のような膜の成長を助けるために使用される。上部コンタクト24に対する一般的な自由膜20の直接的露出は不規則な界面、磁性を喪失した領域(dead magnetic regions)及び増加されたダンピング(damping)を誘起させることができる。結果的に、一般的なキャッピング膜22は上部コンタクト24の積層の前に、自由膜20上に直接的に提供される。このような一般的なキャップは拡散防止として機能し、一般的な自由膜20の表面の質を向上させる。一般的な被固定膜16及び一般的な自由膜20は磁性体である。一般的な被固定膜16の磁化17は特定方向に、一般的にAFM膜14と交換−バイアス作用(exchange−bias interaction)によって定まれるか、或いは固定される。単純な(単一)膜として図示されても、一般的な被固定膜16は多重膜を包含することができる。例えば、一般的な被固定膜16は、Ruのような薄い導電膜を通じて反強磁性的に又は強磁性的に結合された磁性膜を含む合成反強磁性体(synthetic antiferromagnetic、SAF)であり得る。SAFのような場合、Ru薄膜が挿入された多重磁性膜が使用され得る。
【0005】
一般的な自由膜20は変化できる磁化21を有する。単一膜として図示されるが、一般的な自由膜20はまた多重膜を包含することができる。例えば、一般的な自由膜20は、Ruのような薄い導電膜を通じて反強磁性的に又は強磁性的に連結された磁性膜を含む合成膜であり得る。
【0006】
スピン伝達トルク(Spin transfer torque)は一般的なMTJ10に書き込むために使用され得る。特に、スピン−伝達トルクは磁化容易軸(easy axis)にしたがう2つの方向の中で1つに一般的な自由膜20の磁化を回転させる。書込み電流が上記層の面と垂直になる方向に一般的なMTJ10を通過する時、電子は一般的な被固定膜16を通じる透過、又は一般的な被固定膜からの反射によってスピン分極され得る。充分な電流が一般的なMTJ10を通じて印加されれば、一般的な自由膜20の磁化21に対するスピン伝達トルクは一般的な自由膜20をスイッチングさせるのに適切である。したがって、一般的な自由膜20は望む状態に書き込まれ得る。それで、一般的なMTJ10はSTT−RAMで情報を格納するために使用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする一技術的課題は、狭いバンドギャップを有するトンネリング物質を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及された課題に制限されず、言及されないその他の課題は、以下の記載から当業者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の概念にしたがう一実施形態は磁気素子を提供する。前記磁気素子は、第1基準膜と、自由膜と、前記第1基準膜及び前記自由膜の間に配置された第1非磁性スペーサー膜と、を含み、前記第1非磁性スペーサー膜は二元、三元、又は多元合金酸化物を含み、前記二元、三元、又は多元合金酸化物は、Ru、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択された1つ以上の追加元素を有するMgOを含む。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記第1非磁性スペーサー膜は絶縁トンネリングバリアー膜である。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、前記第1非磁性スペーサー膜はスピンバルブ(spin valve)として機能する。
【0012】
本発明のその他の実施形態によれば、前記磁気素子は前記第1基準膜上に配置されたキャッピング膜をさらに含み、前記キャッピング膜は二元、三元、又は多元合金酸化物を含み、前記キャッピング膜の前記二元、三元、又は多元合金酸化物はRu、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択された1つ以上の追加元素を有するMgOを含む。
【0013】
本発明のその他の実施形態によれば、前記磁気素子は前記第1基準膜の下に配置されたシード膜をさらに含み、前記シード膜は二元、三元、又は多元合金酸化物を含み、前記シード膜の前記二元、三元、又は多元合金酸化物はRu、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択された1つ以上の追加元素を有するMgOを含む。
【0014】
本発明のその他の実施形態によれば、前記第1非磁性スペーサー膜は(001)結晶構造を含む。
【0015】
本発明のその他の実施形態によれば、前記磁気素子は前記自由膜の対向する面上に配置された第2基準膜と、前記第2基準膜及び前記自由膜の間に配置される第2非磁性スペーサー膜と、をさらに含む。
【0016】
本発明のその他の実施形態によれば、前記第2非磁性スペーサー膜はMgOを含む。
【0017】
本発明のその他の実施形態によれば、前記自由膜及び前記第2基準膜は面内磁化方向を有し、前記第1基準膜は垂直磁化方向を有する。
【0018】
本発明のその他の実施形態によれば、前記自由膜及び前記第2基準膜は垂直磁化方向を有し、前記第1基準膜は面内磁化方向を有する。
【0019】
本発明のその他の実施形態によれば、前記磁気素子は前記第1基準膜を覆うキャッピング膜をさらに含み、前記自由膜及び前記第2基準膜は面内磁化方向を有し、前記第1基準膜は垂直磁化方向を有する。
【0020】
本発明のその他の実施形態によれば、前記磁気素子は前記第1基準膜を覆うキャッピング膜をさらに含み、前記自由膜及び前記第2基準膜は面内磁化方向を有し、前記第1基準膜は垂直磁化方向を有する。
【0021】
本発明のその他の実施形態によれば、前記磁気素子は前記第1基準膜上に配置されたキャッピング膜と、前記第2基準膜の下に配置されたシード膜と、をさらに含み、前記キャッピング膜、前記シード膜、又はこれらの全ては、前記第1及び第2基準膜の中で隣接する1つと密接に整合(closely match)される結晶構造を有する二元、三元、又は多元合金酸化物で形成され、前記キャッピング膜、前記シード膜、又はこれらの全ての前記二元、三元、又は多元合金酸化物はRu、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択された1つ以上の追加元素を有するMgOを含む。
【0022】
本発明の概念にしたがう他の実施形態は磁気素子を提供する。前記磁気素子は、基準膜と、自由膜と、前記基準膜及び自由膜の間に配置された非磁性スペーサー膜と、前記基準膜上に配置されたキャッピング膜と、前記基準膜の下に配置されたシード膜と、を含み、前記非磁性スペーサー膜、前記キャッピング膜又は前記シード膜の中での少なくとも1つは、MgAl、(Mg、Ca、Sr、Ba、Mg)SnO、MgSnO、又はNiMnを含む。
【0023】
本発明の概念にしたがうその他の実施形態は磁気素子を提供する。前記磁気素子は、基準膜と、自由膜と、前記基準膜及び前記自由膜の間に配置された非磁性スペーサー膜と、を含み、前記非磁性スペーサー膜は二元、三元、又は多元合金酸化物を含み、前記二元、三元、又は多元合金酸化物は1つ以上の追加元素Aを有するMgOを含み、前記AはRu、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択され、前記二元合金酸化物はMgを含み、ここで、x+y>1であり、z<1である。
【0024】
本発明の概念にしたがうその他の実施形態は磁気素子を提供する。前記磁気素子は、一方向で反対方向にスイッチングされる磁化方向を有する自由膜と、基準膜と、前記自由膜及び前記基準膜の間に配置されるスペーサー膜と、前記基準膜又は前記自由膜に隣接するように配置されるシード膜又はキャッピング膜と、を含み、前記シード膜又はキャッピング膜は、1つ以上の追加元素を有し、隣接する基準膜又は自由膜の結晶構造に密接に整合される結晶構造を有する二元、三元、又は多元合金酸化物を含み、前記1つ以上の追加元素はRu、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択される。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記二元、三元、又は多元合金酸化物はMg、O、及び1つ以上の追加元素を含み、前記1つ以上の追加元素はMgOに比べて前記酸化物の抵抗を減少させる。
【0026】
本発明の他の実施形態によれば、前記スペーサー膜はトンネリングバリアー膜である。
【0027】
本発明のその他の実施形態によれば、前記トンネリングバリアー膜は隣接する自由膜及び基準膜の結晶構造に密接に整合される結晶構造を有する二元、三元、又は多元合金酸化物を含む。
【0028】
本発明のその他の実施形態によれば、前記磁気メモリ格納素子はスピンバルブ構造を提供する。
【0029】
本発明の概念にしたがうその他の実施形態は磁気素子を提供する。前記磁気素子は、基準膜と、自由膜と、前記基準膜及び前記自由膜の間に配置された非磁性スペーサー膜と、前記基準膜の下に配置されたシード膜と、を含み、前記非磁性スペーサー膜又は前記シード膜の中で少なくとも1つは二元、三元、又は多元合金物質を含み、前記二元、三元、又は多元合金酸化物は1つ以上の追加元素Aを有するMgOを含み、前記AはRu、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択され、前記二元合金酸化物はMgであり、ここで、x+y+z=1、x>y及び0<x、又はy、又はz<1であり、前記三元合金酸化物はMgであり、ここで、x+y+z=1、x>y及び0<x、又はy、又はz<1であり、前記多元合金酸化物はMgy1y2…Aynであり、x+y1+y2+…+yn+z=1、x>y1+y2+…+yn及び0<x、又はy1、又はy2、…、又はyn、又はz<1である。
【0030】
本発明の概念にしたがうその他の実施形態は磁気素子を提供する。前記磁気素子は、基準膜と、自由膜と、前記基準膜及び前記自由膜の間に配置された非磁性スペーサー膜と、前記基準膜の下に配置されたキャッピング膜と、を含み、前記非磁性スペーサー膜又は前記キャッピング膜の中で少なくとも1つは二元、三元、又は多元合金物質を含み、前記二元、三元、又は多元合金酸化物は1つ以上の追加元素Aを有するMgOを含み、前記AはRu、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択され、前記二元合金酸化物はMgであり、ここで、x+y+z=1、x>y及び0<x、又はy、又はz<1であり、前記三元合金酸化物はMgy1y2Ozであり、ここで、x+y+z=1、x>y及び0<x、又はy、又はz<1であり、前記多元合金酸化物はMgy1y2…ynであり、x+y1+y2+…+yn+z=1、x>y1+y2+…+yn及び0<x、又はy1、又はy2、…、又はyn、又はz<1である。
【0031】
本発明の概念にしたがうその他の実施形態は磁気素子を提供する。前記磁気素子は、基準膜と、自由膜と、前記基準膜及び前記自由膜の間に配置された非磁性スペーサー膜と、前記自由膜を覆うキャッピング膜と、前記基準膜の下に配置されたシード膜と、を含み、前記非磁性スペーサー膜、前記キャッピング膜及び前記シード膜の中で少なくとも1つは二元、三元、又は多元合金物質を含み、前記二元、三元、又は多元合金酸化物は1つ以上の追加元素Aを有するMgOを含み、前記AはRu、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択され、前記二元合金酸化物はMgであり、ここで、x+y+z=1、x>y及び0<x、又はy、又はz<1であり、前記三元合金酸化物はMgy1y2であり、ここで、x+y+z=1、x>y及び0<x、又はy、又はz<1であり、前記多元合金酸化物はMgy1y2…ynであり、x+y1+y2+…+yn+z=1、x>y1+y2+…+yn及び0<x、又はy1、又はy2、…、又はyn、又はz<1である。
【0032】
本発明の概念にしたがう一実施形態は磁気メモリプログラムする方法を提供する。前記磁気メモリをプログラムする方法において、前記磁気メモリは多数の磁気格納セルを含み、前記多数の磁気格納セル各々は、少なくとも1つの磁気素子及び少なくとも1つの選択素子を含み、前記少なくとも1つの磁気素子は前記磁気素子を通じて書込み電流を流すか、或いは、前記少なくとも1つの磁気素子に電圧を印加することによってプログラムすることができ、前記少なくとも1つの磁気素子を通じて双極又は単極電流を印加するか、或いは前記少なくとも1つの磁気素子に電圧を印加することを含み、前記双極又は単極の電流又は電圧は前記少なくとも1つの磁気素子をプログラムするのに十分であり、前記少なくとも1つのメモリ素子は、基準膜と、自由膜と、前記基準膜及び前記自由膜の間に配置された非磁性スペーサー膜と、を含み、前記非磁性スペーサー膜は二元、三元、又は多元合金酸化物を含み、前記二元、三元、又は多元合金酸化物は1つ以上の追加元素Aを有するMgOを含み、前記AはRu、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択される。
【0033】
本発明の概念にしたがう他の実施形態は磁気メモリプログラムする方法を提供する。磁気メモリをプログラムする方法において、前記磁気メモリは多数の磁気格納セルを含み、前記多数の磁気格納メモリセル各々は少なくとも1つの磁気素子及び少なくとも1つの選択素子を含み、前記少なくとも1つの磁気素子は前記磁気素子を通じて書込み電流を流すか、或いは前記少なくとも1つの磁気素子に電圧を印加することによってプログラムすることができ、前記多数の磁気格納セルの一部の前記少なくとも1つの磁気素子を通じてでなく、隣接するように第1電流を印加し、前記第1電流は磁気場又は追加的なスピントルクを発生させることと、前記少なくとも1つの磁気素子を通じて第2電流を印加するか、或いは電圧を印加することと、を含み、前記第2電流又は電圧と、前記磁気場又は前記追加的なスピントルクは前記少なくとも1つの磁気素子をプログラムするのに十分であり、前記少なくとも1つのメモリ素子は、基準膜と、自由膜と、前記基準膜及び前記自由膜の間に配置された非磁性スペーサー膜と、を含み、前記非磁性スペーサー膜は二元、三元、又は多元合金酸化物を含み、前記二元、三元、又は多元合金酸化物はRu、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRhからなるグループから選択された1つ以上の追加元素を有するMgOを含む。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、前記第2電流は双極又は単極電流である。
【0035】
本発明の他の実施形態によれば、前記第1電流を印加することは、前記少なくとも1つの磁気素子に隣接する導電配線に交流電流を印加することを含む。
【0036】
本発明のその他の実施形態によれば、前記交流電流は、スピンホール効果、又はラシュバ効果の物理的効果から前記少なくとも1つの磁気素子にスピン電流又はスピントルクを誘起させる。
【0037】
本発明のその他の実施形態によれば、前記交流電流は前記少なくとも1つの磁気素子を通じて流れる前記第1電流をリード(lead)するか、又はオーバーラップできる。
【発明の効果】
【0038】
一実施形態で、アニーリングの後、MgOと同一な基本結晶方向(001)を有する二元合金酸化物(binary alloy oxide)、三元合金酸化物(ternary alloy oxide)、又は他の多元合金酸化物(multi−nary alloy oxide)は、MgOのバリアー高さを低くするように提供されるので、増加した厚さでさらに小さい抵抗を有する。例えば、新しい酸化物は酸化物(例えば、MgO)に追加的な元素を提供して形成され得る。追加的な元素は上記酸化物の抵抗を減少させる。追加的な元素は例えば、下記の元素の1つ以上を包含することができる:Ru、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRh。上記新しい酸化物がシード膜、キャッピング膜又はスペーサー膜/バリアー膜として使用されて、磁気メモリ装置のような磁気装置のトンネル磁気抵抗(tunnel magnetoresistance、TMR)比率(ratio)を増加させ、RAを減少させ得る。
【0039】
したがって、MgO膜の特性が、添加剤又は追加的な元素の使用を通じて向上され得る。添加剤は例えば、格子定数を合わせるように結晶構造を増やすか、或いは減らすために使用され得る。又は、添加剤は格子不一致によるストレイン(strain)の影響を増加させるように使用され得る。
【0040】
新しい酸化物はより狭いバンドギャップ、又は幾つかの例示では導電性を有するので、より低いRA値を提供する。より狭いバンドギャップはトンネリングのための物質の電気抵抗を減少させる。導電性酸化物は例えば、減少された抵抗を有するシード又はキャッピング膜を提供するために使用され得る。そして、導電性はスピン伝達トルクMTJ構造でのバリアー膜で一般的に回避されなければならないが、導電性スペーサー(挿入)膜はスピンバルブ構造で有用に使用され得る。シード膜、キャッピング膜及びバリアー膜/スペーサー膜で減少されたRA値を有する新しい酸化物を利用することによって、メモリ書込み電流と電力は減少され、読出し信号及び速度は増加され、書込み及び読出しエラーの可能性は大きく減少されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】一般的な磁気素子を図示する。
図2】一実施形態の磁気素子を図示する。
図3】2つのスイッチング方向で図2に図示された磁気メモリ構造に対して多様な電圧でのスイッチング速度(switching speed)を示したグラフである。
図4】2つのスイッチング方向で図2に図示された磁気メモリ構造に対して多様な電圧でのスイッチング速度(switching speed)を示したグラフである。
図5図2に図示された構造で、MTJメモリビットの数と2つのスイッチング方向(P→AP、AP→P)に対する書込み電流を示したグラフである。
図6】DMTJ構造の長所と、2つのバリアーの中で1つが本発明概念の原理にしたがって配置されたDMTJ構造の長所を示したグラフのセットを提供する。
図7】本発明の概念の原理にしたがう1つ以上の新しい酸化物で形成されたバリアー膜を有するように形成された磁気メモリ素子の概略的な代表図である。
図8】面内磁化された基準膜、及び垂直磁化された基準膜の両方を有し、面内磁化された自由膜をさらに含み、本発明の概念の原理にしたがう1つ以上の新しい物質で形成されたバリアー膜を含む磁気メモリ素子の概略的な代表図である。
図9図8と類似するが、本発明概念の追加的な原理にしたがう1つ以上の新しい酸化物で形成されたキャッピング膜をさらに含む磁気メモリ素子の概略的な代表図である。
図10】垂直(磁化された)基準膜、及び面内(磁化された)基準膜の両方と、垂直磁化された自由膜を有し、本発明の概念のその他の実施形態に他の1つ以上の新しい酸化物で形成されたバリアー膜をさらに有する磁気メモリ素子の概略的な代表図である。
図11】垂直(磁化された)基準膜、及び面内(磁化された)基準膜の両方と、垂直に磁化された自由膜を含み、本発明の概念の追加的な原理にしたがう1つ以上の新しい酸化物で形成されたバリアー膜をさらに有するその他の実施形態の磁気メモリ素子の概略的な代表図である。
図12】本発明概念のその他の原理にしたがう1つ以上の新しい酸化物で形成されたシード膜を有する磁気メモリ素子の概略的な代表図である。
図13】本発明の概念の追加的な原理にしたがう1つ以上の新しい酸化物で形成されたキャッピング膜を有する磁気メモリ素子の概略的な代表図である。
図14】本発明の概念のその他の原理にしたがう1つ以上の新しい酸化物の1つ以上に形成されたキャッピング膜及びシード膜を有する磁気メモリ素子の概略的な代表図である。
図15】実質的に垂直に磁化された自由膜及び基準膜を有し、本発明の概念の原理にしたがう1つ以上の新しい酸化物で形成されたバリアー膜をさらに有する磁気メモリ素子の概略的な代表図である。
図16】実質的に垂直に磁化された基準膜及び自由膜を有する磁気メモリ素子の概略的な体表図として、本発明の概念の追加的な原理にしたがうキャッピング膜、バリアー膜及び/又はシード膜として1つ以上の新しい酸化物の使用を追加的に図示する。
図17】本願明細書の幾つかの実施形態による磁気素子を使用した磁気メモリの一実施形態を図示する。
図18】本願明細書の原理にしたがって形成されたMTJ素子を含む磁気装置の概略的な断面図である。
図19】上述した本発明の概念の幾つかの実施形態による磁気装置が使用された電子システムの概略的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
例示的な実施形態は磁気メモリのような磁気装置で使用できる磁気素子と、上記磁気素子を使用する装置とに関する。下記の技術は当該技術で熟練された者が作るか、或いは使用するように記述され、特許請求の範囲及びその要件が本願明細書内で提供される。例示的な実施形態に対する多様な変更と一般的な概念と本願明細書で記述された特徴は非常に明確である。例示的な実施形態は主に、特定の実施形態で提供される特定の方法及びシステムの用語内で記述される。しかし、上記方法及びシステムは他の実行内で効率的に動作する。“例示的な実施形態(exemplary embodiment)”、“一実施形態(one embodiment)”及び“他の実施形態(another embodiment)”のような語句は多数の実施形態のみだけでなく、同一であるか、或いは異なる実施形態として見なされ得る。上記実施形態は特定要素を有するシステム及び/又は装置に関連して記述される。しかし、上記システム及び/又は装置は図示されたことより多いか、或いは少ない要素が包含され得り、上記要素の配列及び形態に対する多様性は発明の範囲から逸脱しないように作られる。例示的な実施形態はまた、特定段階を有する特定の文脈内で記述され得る。しかし、上記方法及びシステムは異なり/又は追加した段階及び例示的な実施形態とは不一致する他の順序の段階を有する他の方法に対して効率的に動作する。それで、本発明は図示された実施形態に限定されることではなく、本願明細書内に記述された原理及び特徴を有し、適用された最も広い範囲に相応しい。
【0043】
例示的な実施形態は、特定要素を有する特定磁気素子及び磁気メモリが記述される。本発明が、本発明に矛盾されない他の要素及び/又は追加要素及び/又は他の特性を有する上記磁気素子及び磁気メモリの使用に適用されることを当該技術で熟練された者は容易に認識する。上記方法及びシステムはまた、スピン伝達現象を理解するように文脈内で記述される。結果的に、当業者は上記方法及びシステムの動作の理論的な説明はスピン伝達の理解を基づいて作られたことを容易に認識する。当業者はまた、上記方法及びシステムが基板との特定の関係を有する構造の文脈内に記述されたことを容易に認識する。しかし、当業者は上記方法及びシステムが他の構造でも適用されることを容易に認識する。追加的に、上記方法及びシステムは合成及び/又は単純な特定膜を有するいずれの層の文脈内で記述される。しかし、当業者は上記膜が他の構造を有することができることを容易に認識する。さらに、上記方法及びシステムは特定膜を有する磁気素子の文脈内で記述される。しかし、当業者は上記方法及びシステムに矛盾しない追加的な/又は異なる膜を有する磁性素子も使用され得ることを容易に認識する。その上に、いずれの要素は磁性、強磁性、及びフェリ磁性であることとして記述される。本願明細書内で使用されたように、上記磁性という用語は強磁性、フェリ磁性、又はそれと類似な構造を包含することができる。したがって、本願明細書内で使用されたように、“磁性(magnetic)”又は“強磁性(ferromagnetic)”は強磁性体(ferromagnets)及びフェリ磁性体(ferrimagnets)を含み、これに限定されない。上記方法及びシステムはまた、単一要素の文脈内で記述される。しかし、当業者は上記方法及びシステムが多数の要素を有する磁気メモリの使用に適用されることを容易に認識する。その上に、本願明細書内で使用されたように、“面内(in−plane)”は磁気素子の1つ以上の膜の実質的に面内に又は面に対して平行である。反対に、“垂直(perpendicular)”は磁気素子の1つ以上の膜に対して実質的に垂直である方向に対応される。
【0044】
上記議論されたように、図1のMTJ10のようなMTJ素子はMgOトンネリングバリアー膜を包含することができる。一般的にMgOはアニーリングの後、bcc(001)CoFe、又はCoFeBとの優れた結晶構造整合性(match)を提供する(001)(“岩塩”)結晶構造を有する。このような優れた結晶構造整合性(match)は、例えばメモリ素子への応用に適合するより高いトンネリング磁気抵抗(tunneling magnetoresistance、TMR)比率を提供する。他のもの中で、高いTMR比率(例えば、100%以上)はさらに速い読出し動作を実施するようにする。そして、対称フィルタリング強化スピン分極(symmetry filtering enhanced spin polarization)は、スピン伝達トルク(spin transfer torque、STT)臨界スイッチング電流密度の減少を誘起させる。
【0045】
しかし、さらに小さい素子への適用は、MTJのRAを減少させるのが望ましい。このようにするために、1つのアプローチはMgOバリアー膜の厚さを減少させることである。しかし、残念ながら、上記MgO膜があまりにも薄い場合、このような効果を失うことがあり得る。特に、約5−10ΩμmRA値以下で、上記バリアーの質(qualitity)は急速に低下し、TMR比率が減少する。MTJセルの直径が20nmである時、10ΩμmのRA値はMTJビットが約32kΩ抵抗を有するようにする。高いMRJビット抵抗は書込み電圧Vw及び書込みエネルギーEwが非常に高くなるようにする。
【0046】
したがって、MgOと同一であるか、或いは類似な効果を有するが、薄膜品質が低下される程度のあまりにも薄いバリアー膜の形成無しで低いRAを提供するように、より低いバリアー高さを有し、改善されたトンネリングバリアー膜を有することが望ましい。例えば、PMTJ(perpendicular MTJ)に基づいた20nmノード以下のSTT−RAMの大きさを調整するように、より低いRAが望ましい。
【0047】
追加的に、最も高いTMR比率と最も低いスピン伝達トルクのスイッチング電流密度を獲得するのに望ましい、最上の結晶構造整合性(matching)のために、薄いMgO膜はシード膜、キャッピング膜、又はスペーサー(挿入)膜として使用され得る。このような膜は多様な望ましい機能を有する。例えば、このような膜はスイッチングの間にMTJで電圧降下を減少させるのに役に立つことができる。例えば、一般的なキャッピング膜は、反応して磁性を失った膜(magnetic dead layer)を形成できる磁性物質(例えば、Ta)の酸化を防止することができる。MgOキャッピング膜を有し、磁性を失った膜の形成は防止され、強い垂直界面異方性(perpendicular interfacial anisotropy)が達成されることができる。しかし、残念ながら、追加的なMgO膜の提供は、あまりにも大きい抵抗を提供することによって、TMR比率を究極的により低くすることができる直列抵抗を追加することができる。
【0048】
したがって、より多く低いRA値を有する優れた結晶構造整合性を有するシード膜、キャッピング膜及び/又はスペーサー(挿入)膜を有することがまた望ましい。したがって、そうではなければ、発生されることができる性能低下を減少させ得る。
【0049】
さらに、例えば、図2に図示された幾つかのメモリ構造で、MgOがトンネリングバリアー膜、複数のシード膜、及び複数のキャッピング膜のみに使用される時、上記最終メモリ100は下で記述される幾つかの書込み及び読出し実施問題に当てられることができる。
【0050】
図2で、メモリ100は垂直異方性キャッピング膜140、変化可能である磁化131を有する自由膜130、スペーサー膜120(例えば、トンネリングバリアー)、及び被固定膜(pinned layer)110を含む。磁気素子100は磁気メモリのような磁気装置に使用され、電流は磁気素子100を通じて印加され得る。結局、このような装置はコンタクト(図2に図示せず)を含み、コンタクトを通じて電流が磁気素子100へ提供され、磁気素子100から出力され得る。また、このようなコンタクトは例えば、図7乃至図16に関連され、図示されなくても下で議論される装置の幾つか又は全体で包含され得る。本願明細書の磁気素子はまた図2で図示されなかった他の要素を包含することができる。例えば、複数のシード膜に追加して、磁気素子は、被固定膜110に隣接し、被固定膜110の磁化111を固定するためのAFM膜(図示せず)を包含することができる。
【0051】
図2に図示された実施形態で、スピン伝達トルクは、被固定膜110の磁化111に対して平行Pに又は非平行APに自由膜130の磁化131をスイッチするのに使用され得る。要求された中間スイッチング電流値は、方向をスイッチしにくい場合(例えば、A→AP)で、方向をスイッチしやすい場合(例えば、AP→A)の約2倍である。その上に、同一の技術ノードでセルサイズがDRAMセルサイズに相当する時、セルトランジスター(例えば、図17の414)から供給される電流が制限されるため、すべてのMTJビットがスイッチングされるスイッチング時間の桁が増加されるので、遅い書込み動作をもたらし、それでは他のメモリ技術と競争できない。方向をスイッチするのに容易である場合でも、メモリ100は数千乃至数万回の書込みを行う時、MTJビットはさらに悪くなって、幾つかの書込みサイクルの間にスイッチされなく、その後に再び良くなる。これは、スピントルクによって、スイッチされる時、MTJビットが時間にしたがって変化される潜伏期を有するからである。MTJビットはスピントルクが適用される時、それの正確な磁化方向に依存する。MgOがシード膜及びキャッピング膜として使用される時、上記MgOは直列抵抗を追加し、読出し信号を低く、したがって、メモリ読出し速度を減少させる。これに対することは以下でさらに説明する。
【0052】
図3乃至図5図2に図示された装置構造でのように、MTJ100がメモリセル構造で単一トンネリングバリアー膜、及び1つ以上のシード膜及びキャッピング膜としてMgOを形成する時に、メモリ100からの書込み動作実施データを提供する。
【0053】
図3乃至図5を参照すれば、単なるMgOのみで形成されたシード膜、キャッピング膜、及びバリアー膜を有するメモリ構造で書込み動作での問題点が議論される。図3はセルトランジスターへ印加された多様なゲート電圧Vppで、単一の書込み動作を通過したMTJセル数と、書込みパルス幅を図示する。図3に示したように、方向のスイッチングが容易である時(例えば、AP→A)、上記書込み速度(すべての優れたMTJセル、又はメモリアレイでスイッチングされるビットに対する)は20nsより速い。しかし、図4で示したように、方向のスイッチングが難しい場合(例えば、A→AP)、単一書込み動作速度はすべてのMTJセル又はスイッチングするビットに対して500nsより遅い。したがって、全体的な書込み速度は相当に減少される。
【0054】
図5は、書込みパルスが5nsに固定される時、方向のスイッチングが容易である場合及びスイッチングが難しい場合の両方において、書込み動作のための書込み電流分布を図示する。図5に示したように、方向のスイッチングが難い場合のセルをプログラムするのに要求される書込み電流はまた方向のスイッチングが容易である場合のセルをプログラムするのに要求される書込み電流より著しく高いことがあり得る。示したように、方向のスイッチングが難い場合の平均書込み電流は、標準偏差約47μAで、約113μAである。しかし、方向のスイッチングが容易である場合の平均書込み電流は、標準偏差9μAで、約86μAにしかならない。方向のスイッチングが難い場合の書込み電流の広い分布のため、このような方式に形成された装置は効率的に機能するのが難しい。
【0055】
図6は単一バリアー膜MTJ構造(MTJ構造内で自由膜が下に配置される構造のような)、及び議論された問題点を克服する本発明の概念の幾つかの原理にしたがって形成されたDMTJ(Dual magnetic tunneling junction:二重磁気トンネル接合)構造(例えば、図7に示したように)でスイッチング電流を比較するグラフ図である。
【0056】
図6を参照すれば、単一トンネリングバリアー膜は方向のスイッチングが容易である場合、集中されたスイッチング電流分布を有するが、方向のスイッチングが難い場合、広い分布を有する。本発明の概念の幾つかの原理にしたがって形成されたDMTJ構造を使用することによって、方向のスイッチングが難い場合でスイッチング電流の分布を相当に減らし得る。
【0057】
追加的に、多重MgOバリアー膜を使用したDMTJ構造は2つの方向全てで速いスイッチング速度(例えば、50ns以下)を獲得することができるにも関わらず、MgOバリアーの全ての磁化状態の統合(cancellation from both MgO barriers)によって、低いTMR比率が可能することができる。これは50%乃至80%のTMR比率と20Ωμmより大きいRAをもたらし、20nmノードより小さい応用製品に不適合である。
【0058】
したがって、2つのMgOバリアーを提供することの代わりに、本発明概念の原理にしたがってバリアーの1つ(又は2つ)を本願明細書に開示された1つ以上の新しい酸化物で形成されたものに代替すれば、さらに低いRAの新しい酸化物バリアーはさらに改善されたTMR比率を提供することによって、このような問題を解消する。
【0059】
特に図7を参照すれば、本発明概念の一実施形態によるDMTJ構造が開示される。本実施形態のDMTJ構造で、2つのバリアーの中で1つはMgOよりは新しい1つ以上の酸化物で形成され得る。
【0060】
特に、図7で、磁気メモリのような磁気装置で使用される磁気素子70は被固定膜(又は下部基準膜)72、MgOスペーサー膜74、自由膜76、新しい酸化物で形成された非磁性スペーサー膜78、及びその他の被固定膜(又は上部基準膜)79を含む。新しい酸化物は例えば、アニーリングの後のMgOのような基本結晶方向(001)を有し、その抵抗を減少させるために提供される追加した元素を有する二元、三元、又は多元合金酸化物であり得る。多様な磁性膜の磁化方向は面内又は垂直であり得る。幾つかの実施形態で、多様な磁性膜の磁化方向は面内及び垂直磁化方向の組み合わせであり得る。
【0061】
さらに特に、二元合金酸化物は例えば、化学式Mgで表現され、例えば、x+y+z=1、x>y及び0<x、又はy、又はz<1である。“A”はMgOに添加された追加元素を表現する。このような元素は例えば、下記の元素の中の1つであり得る:Ru、Al、Ta、Tb、Cu、V、Hf、Zr、W、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Nb、Cr、Mo、及びRh。MgOの一般的なバリアー高さは約2〜3eVであるが、追加原子Aを有するバリアー高さは2eVより下に低くなり、より低いRA値を提供する。二元合金酸化物MgxAyOzは相変わらず、MgOの(001)結晶構造を有することができる。
【0062】
同様に、三元合金酸化物は例えば、化学式Mgy1y2で表現でき、例えば、x+y1+y2+z=1、x>y1+y2、及び0<x、y1、y2、又はz<1である。A及びAはMgOに追加された元素として、バリアー高さを約2eV以下に低くし、これによって、より低いRA値を提供する。
【0063】
多元合金酸化物は例えば、化学式Mgy1y2…Aynで表現され、例えば、x+y1+y2+…+yn+z=1であり、0<x、y1、y2、…、yn、又はz<1である。A、A、…、AはMgOに追加された元素としてバリアー高さを約2eV以下に低くし、より低いRA値を提供する。
【0064】
しかし、幾つかの実施形態で、x+y又はx+y1+…+yn>1であり、z>1であり得る点を確認する。例えば、MgAl、(Mg、Ca、Sr、Ba)SnO、MgSnO、又はNiMn物質の中で1つ以上は新しい酸化物として使用され得る。
【0065】
新しい酸化物は例えば、目的とする複数の追加原子を有するマグネシウムターゲットをスパッタリングして形成され、スパッタされたフィルムを酸素に露出させることによって、形成され得る。選択的に2つ、3つ又はそれ以上のターゲットが二元、三元、又は多元合金酸化物のために共にスパッタされることができる。予め混合されたターゲットもまた提供され得り、この場合、目的とする金属がスパッタリングされる前に、予め混合され、酸素に露出される。或いは、メモリ装置でパーティクル数があまりにも多いに関わらず、上記金属及び酸素はスパッタリングする前に、1つの単一ターゲットに予め混合され得る。新しい酸化物がバリアー膜として使用される時、導電性がないとしても、シード膜又はキャッピング膜として使用される時やスピンバルブ構造でスペーサー膜として使用される時、上記新しい酸化物は導電性であり得る。
【0066】
1つ以上のMgOバリアー膜に新しい酸化物を使用しなければ、TMR比率はMgO膜の直列抵抗のためにより低いことがあり得る。新しい酸化物の中での1つの使用で、より高いTMR比率と向上されたスピン分極が獲得され得る。
【0067】
図8乃至図16は本発明概念の原理にしたがって形成されたメモリ素子のための磁気スタック構造におけるその他の実施形態を図示する。このような実施形態の各々で、基準膜は例えば、自由膜に対するバイアス磁気場効果を減少させるか、或いは無くすSAF構造であり得る。また、上記自由膜はSAF構造であり得る。
【0068】
図8によれば、磁気素子又は磁気スタック構造80は、面内磁化方向(面内磁化)を有する自由膜86上に配列された垂直磁化方向(垂直磁化)を有する被固定膜(又は上部基準膜)89を含み、自由膜86及び上部基準膜89の間に1つ以上の新しい酸化物で形成された非磁性スペーサー膜(又はトンネリングバリアー膜)88を有する。その他の被固定膜(又は下部基準膜)82が、面内磁化方向を有するように、提供され得る。下部基準膜82及び自由膜86の間にMgOトンネリングバリアー膜84が形成される。本実施形態は下部の面内(磁化の)基準膜及び上部の垂直(磁化の)基準膜からの2つのスピントルクの組み合わせで非常に速いスイッチングを提供することができる。MgOはより高いRA値を提供するようにメイントンネリングバリアー膜として本実施形態で使用され得る。したがって、読出し信号は、さらに大きい読出し信号及びさらに速い読出し動作のためのより高いTMR比率を有するメインMgOバリアーによって改善され得る。書込み電流が図8に図示されたMTJ構造を通過する時、上部垂直(磁化の)基準膜は、自由膜86に対して大きい垂直スピントルクを提供し、自由膜磁化を面に対して直ちに傾かないようにする。また、下部基準膜82からのスピントルクは自由膜磁化に影響を与えて、自由膜86磁化が下部基準膜82に対して平行であるか、或いは非平行であるようにする。また、自由膜がフィルム面に対して傾けられる時、自由膜磁化の歳差回転効果(precessional rotational effect)がある。それで、自由膜磁化のスイッチングが非常に速くになる(例えば、数十乃至数百ピコ秒)。
【0069】
図9に図示された実施形態は被固定膜(又は上部基準膜)98上に整列された1つ以上の新しい酸化物で形成されたキャッピング膜99を除外すれば、図8に図示されたものと類似である。新しい酸化物キャッピング膜99は、上部基準膜98で追加的な界面垂直異方性をもたらすようにする。前述した実施形態と後述される実施形態の各々で、上記構造は本願明細書で記述された発明原理から逸脱しなければ、その順序は変わることができることを確認する。磁気素子90はまた、面内の自由膜96、下部基準膜92、及びそれらの間のMgO膜94を包含することができる。非磁性スペーサー膜(又はトンネリングバリアー膜)97は自由膜96及び上部基準膜98の間に配置され、1つ以上の新しい酸化物で形成される。
【0070】
図10は磁気素子(又は磁気スタック構造又はMTJ)100を図示する。上記磁気素子内の上部基準膜109は面内磁化方向を有する反面、自由膜106及び下部基準膜102は垂直磁化方向を有する。1つ以上の新しい酸化物で形成された非磁性スペーサー膜又はトンネリングバリアー膜108は上部基準膜109及び自由膜106の間に配置でき、MgOトンネリングバリアー膜104は自由膜106及び下部基準膜102の間に配置され得る。垂直磁化物質は面内磁化物質より大きい磁気異方性を有するので、垂直磁化方向は上記磁気装置の大きさを20nmに減少するようにする。書込み電流が図10に図示されたMTJを通じて印加される時、面内磁化された上部基準膜109は上記自由膜に最大スピントルクを提供して、上記自由膜が面内方向に磁化されるようにする。そして、下部垂直磁化された基準膜102からのスピントルクによって、上記自由膜は短い期間に下部基準膜102と平行又は非平行になるようにスイッチされる。しかし、面内磁化された上部基準膜109がなければ、初期スピントルクは0であるか、或いは0に近く、スイッチングされるのに望ましくないように長い時間が掛かる。
【0071】
図11は磁気素子(又は磁気スタック構造又はMTJ)110を図示する。上部基準膜119及び自由膜116は垂直磁化方向を有し、下部基準膜112は面内磁化方向を有する。MgOトンネリングバリアー膜118は上部基準膜119及び自由膜116の間に配置され、1つ以上の新しい酸化物で形成された非磁性スペーサー膜(又はトンネリングバリアー膜)114は自由膜116及び下部基準膜112の間に配置され得る。図10に図示された実施形態の面内磁化された上部基準膜109のように、本実施形態の面内磁化された下部基準膜112はスイッチング動作を初期化するようにして、さらに速いスイッチング速度を提供するようにすることができる。
【0072】
図7乃至図11の各々は本発明の概念の原理にしたがって形成されたDMTJ構造を図示する。多様な単一バリアー膜MTJ構造はまた、本発明の原理の範囲内で考慮され、幾つかの実施形態は図12乃至図14を参照して記述される。
【0073】
図12は磁気素子(又は磁気スタック構造)120を図示する。1つ以上の新しい酸化物がシード膜122として使用され、自由膜124がシード膜上に形成される。MgOトンネリングバリアー膜126は被固定膜(又は上部基準膜)128から自由膜124を分離させる。このような特定の実施形態で、自由膜124及び上部基準膜128の両方は垂直磁化方向を有する。前述したように、垂直磁化方向はより小さい装置構造を可能にできる。Applied Physics Letters、Vol.99、042501(2001)、及びIEEE Magnetics Letters、Vol.2、3000204(2011)で詳細に議論されたように、自由膜の活性体積(activation volume)が全体体積より小さい場合、垂直単一トンネリングバリアー膜構造で、スイッチングはドメインの速い核生成(nucleation)を通じて達成され得る。
【0074】
図13は磁気素子(又は磁気スタック構造又はMTJ)130を図示する。1つ以上の新しい酸化物で形成されたキャッピング膜138が提供され得る。キャッピング膜138は自由膜136上に配置でき、自由膜136はMgOトンネリングバリアー膜134によって被固定膜(又は下部基準膜)132と分離され得る。本実施形態で、自由膜136及び下部基準膜132の両方は垂直磁化方向を有することができる。
【0075】
図14は本発明の概念の原理にしたがって形成されたその他の磁気素子(又は磁気スタック構造)140を図示する。図14に示したように、シード膜142は本願明細書で開示された1つ以上の新しい酸化物で形成され得る。被固定膜(又は下部基準膜)144はシード膜142上に形成され得る。自由膜148はMgOトンネリングバリアー膜146によって、下部基準膜144から分離されて提供され得る。最後に、キャッピング膜149は1つの新しい酸化物で形成でき、自由膜148上に配置され得る。本実施形態で、自由膜148及び下部基準膜144の両方は垂直磁化方向を有することができる。
【0076】
図15は、磁性膜の各々が垂直磁化方向を有することを除外すれば、図8に図示されたことと類似な磁気素子又はDMTJ磁気スタック構造150を図示する。さらに詳細には、図15に示したように、被固定膜(又は上部基準膜)159は自由膜156上に配置され得る。非磁性スペーサー膜又はトンネリングバリアー膜158が被固定膜及び自由膜の間に配置される。スペーサー膜158は本願明細書に開示された1つ以上の新しい酸化物で形成され得る。他の被固定膜(又は下部基準膜)152は自由膜156下に配置され得る。MgOトンネリングバリアー膜154が自由膜156及び下部基準膜152の間に配置される。図面符号152、159の各々と自由膜156は垂直磁化方向を有し得り、上部基準膜159の磁化方向は下部基準膜152の磁化方向と反対に配列される。前述したように、垂直磁化方向はより小さい装置構造を製造することができ、活性体積が自由膜の全体体積より小さい場合、速いスイッチングを達成することができる。
【0077】
図16を参照すれば、その他の実施形態による磁気素子(又は磁気スタック構造又はMTJ)160は1つ以上の新しい酸化物で形成されたシード膜161、シード膜161上に形成された被固定膜(又は下部基準膜)163、下部基準膜163及び自由膜165の間に配置されたMgOトンネリングバリアー膜164、1つ以上の新しい酸化物で形成され、自由膜165及び他の被固定膜(又は上部基準膜)168の間に配置された非磁性スペーサー膜又はトンネリングバリアー膜167、及び1つ以上の酸化物で形成され、上部基準膜の上に配置されるキャッピング膜169を包含することができる。自由膜及び基準膜の各々は垂直磁化方向を有し、上部及び下部基準膜163、168は互いに反対方向の磁化方向を有する。
【0078】
図17は前述した磁気素子を利用する磁気メモリ400の一部の実施形態を図示する。本実施形態で、磁気メモリはSTT−RAM400であり得る。STT−RAM400は、ワードラインセレクター/ドライバー(word line selector/driver)404のみならず、読出し/書込みカラムセレクター/ドライバー(reading/writing column selector/drivers)402、406を含む。SST−RAM400はまた、磁気素子412及び選択/分離素子414を含むメモリセル410を含む。磁気素子412は図7乃至図16に図示されたいずれの磁気素子であり得る。読出し/書込みカラムセレクター/ドライバー402、406はビットライン403及びセル410へ選択的に電流を印加するのに使用され得る。ワードラインセレクター/ドライバー404は、選択されたワードライン405に結合された選択/分離素子(selection/isolation device)414をイネーブルすることによって、STT−RAM400の複数の列を選択することができる。図示された実施形態で、書込みに使用された追加的な磁気場はビットライン403によって提供され得る。
【0079】
図17を参照すれば、本発明の概念の他の原理にしたがって、図17に図示されたような回路構造は、シード膜、キャッピング膜、又はバリアー膜として二元、三元、又は多元合金酸化物を含む磁気メモリ素子を利用して形成されることができるので、小さくなったメモリセル大きさでの実行特性、さらに速い書込み及び読出し速度、及び減少された読出し/書込み無作為エラーを改善させ得る。
【0080】
図18を参照すれば、アクセス装置は基板10の指定された領域内に配置される。
【0081】
基板10はシリコン基板、ガリウム砒素基板、シリコンゲルマニウム基板、セラミック基板、石英基板、又はディスプレー用ガラス基板であり、SOI(Silicon On Insulator)であり得る。この場合、アクセス装置はMOSトランジスターであり得る。この場合、アクセストランジスターは、基板10の指定された領域内に形成された素子分離膜11によって、限定されたアクティブ領域内に配置される。特に、アクセストランジスターはアクティブ領域内に配置され、互いに離隔されたソース領域13及びドレーン領域12と、ソース領域13及びドレーン領域12の間のチャンネル領域上部領域上に形成されたゲート電極22を包含することができる。ゲート電極22はワードラインとして機能するようにアクティブ領域の上部を横切って延長できる。ゲート電極22はゲート絶縁膜21によって、アクティブ領域から絶縁される。
【0082】
第1層間絶縁膜20はアクセストランジスターを有する基板10の上部上に形成され、ソースライン32はソース領域13に対応される第1層間絶縁膜20の指定された領域上に配置され得る。ソースライン32はゲート電極22と同一な方向に延長するように形成され得る。ソースラインコンタクト24及びランディングコンタクト(landing contact)23は第1層間絶縁膜20内に形成される。ソースラインコンタクト24はソースライン32とソース領域13を電気的に連結し、ランディングコンタクト23はドレーン領域12上に形成されてMTJ素子をアクセストランジスターのドレーン領域12に電気的に連結させることができる。
【0083】
第2層間絶縁膜30は第1層間絶縁膜20上に形成され得る。ソースライン32は第1層間絶縁膜20上に配置される。第2層間絶縁膜30内に、ランディングコンタクト23と電気的に連結される下部電極コンタクト31が形成され得る。
【0084】
例えば、図7乃至図16に関連して前述した本願明細書の幾つかの実施形態によるMTJ素子10は電極コンタクト31及び/又は第2層間絶縁膜30上に配置され得る。磁気トンネル接合素子(magnetic tunnel junction element)10は上述されたので、これに対する詳細な説明は省略する。
【0085】
磁気トンネル接合素子10及びドレーン領域12はランディングコンタクト23及び下部電極コンタクト31を通じて電気的に連結される。
【0086】
第3層間絶縁膜40はMTJ素子10上に形成され得る。第3層間絶縁膜40上に、ビットライン50がゲート電極22を横切りながら、配列され得る。ビットライン50及び磁気トンネル接合素子10は上部電極コンタクト41によって電気的に連結される。選択的な工程で、上部電極コンタクト41は省略され得る。
【0087】
第1、第2及び第3層間絶縁膜20、30、40は例えば、シリコン酸化膜又はシリコン硝酸窒酸化膜で形成され得る。ランディングコンタクト23、ソースラインコンタクト24、ソースライン32、下部電極コンタクト31、上部電極コンタクト41、及びビットライン50は例えば、W、Ru、Ta、Cu、Al、又は不純物がドーピングされたポリシリコンを使用して形成され得る。
【0088】
ビットライン50上に、回路回路領域(図示せず)の回路と電気的な接触のための導電配線がさらに形成され得る。
【0089】
図19は前述した本発明の概念の幾つかの実施形態による磁気素子が使用された電子システム900の概略的な図面である。電子システム900はコンピューター、ノートブック型コンピューター、ウルトラモバイルPC(UMPC)、タブレットPC、サーバー、ワークステーション、モバイルテレコミュニケーション装置、衛星、セットトップボックス、TV等のような多様な電子装置に使用され得るが、上述したものに限定されない。例えば、電子システム900はメモリシステム912、プロセッサー914、RAM916、及びユーザーインターフェイス918を包含でき、バス920を使用して情報交換を実行することができる。メモリシステム912は前述した本願明細書の幾つかの実施形態による磁気素子を包含することができる。プロセッサー914はマイクロプロセッサー又はモバイルプロセスAPであり得る。プロセッサー914は、フローティングポイントユニット(floating point unit、FPU)、算術論理ユニット(arithmetic logic unit、ALU)、グラフィックプロセシングユニット(graphics processing unit、GPU)、及びデジタル信号プロセシングコア(digital signal processing core、DSP Core)又はこれらの組み合わせを包含することができるプロセッサーコア(図示せず)を有することができる。プロセッサー914は電子システム900をプログラム及び制御を実行することができる。RAM916はプロセッサー914の動作メモリとして使用され得る。例えば、プロセッサー914又はRAM916は前述した実施形態による磁気メモリを包含することができる。選択的に、プロセッサー914及びRAM916は電子システムに/からの、入力する/出力するデータとして使用され得る。メモリシステム912はプロセッサー914の動作のためのコード、プロセッサー914によって、進行されたデータ、又は外部入力データを格納できる。メモリシステム912はコントローラ及びメモリを包含することができる。
【0090】
電子システム900は多様な電子装置のための電子的コントローラとして使用され得る。
【0091】
シード膜、キャッピング膜、及び/又はバリアー又はスペーサー膜として1つ以上の新しい酸化物を有する磁気スタック構造を形成することによって、より低いRA値及びより低いSTT書込み電流密度と電圧と共により高いTMR比率が提供され得る。追加的に、より高い界面垂直異方性はこのような改善されたシード膜、キャッピング膜及び挿入物質の使用することによって達成されることができる。改善された物質はまた、スイッチングのための設定された方向と優れた選択特徴と共に読出し及び書込みエラーの非常に減少された可能性を提供する。
【0092】
例えば、新しいMg二元酸化物としてMgTbOを使用したバリアー膜の中で1つを形成することによって、高いコヒーレントトンネリング(coherent tunneling)が達成されることができ、TMR比率が高くなることができる。追加的に、バリアー膜及び磁性被固定膜又は自由膜の間での優れた結晶整合性が獲得され得る。同様に、MgTbO(又は新しい酸化物の中で1つ)はシード又はキャッピング膜を形成するために使用され、結晶構造の間での優れた格子整合性が獲得され、より低いRA値が達成されることができる。即ち、望ましくTbがOと結合するので、より少ない酸素原子がMgと反応して結果的により低いバリアー高さ及びより低いRA値が誘起される。
【0093】
図示された幾つかの実施形態で、MgOは一般的にバリアー膜の中で1つとして使用され、新しい酸化物が第2バリアー膜、キャッピング膜、又はシード膜として使用される。しかし、本願明細書の原理は、MgOと異なるバリアー物質が使用される時もまた適用され得る。新しい酸化物が2つ以上のバリアー膜を提供するために使用されれば、新しい酸化物膜の中で1つは望ましく、他の新しい酸化物バリアー膜より少なくとも1桁高いRA値を有することができる。磁化状態の統合はRA値に依存するので、RA値があまりにも小さければ、装置の効率的な読出しが難しいことがある。したがって、他の実施形態で、メイントンネリングバリアーは1つ以上の新しい酸化物系から形成され得る。
【0094】
幾つかの実施形態で、上記装置での書込み方法は、スイッチングを誘起するようにMTJ装置を通じて流れる双極(bipolar)又は単極(unipolar)電流(又は電圧)を使用することを包含することができる。選択的に、書込み方法はMTJ装置に隣接して補助的なパルス電流と共にMTJ装置を通じて流れる双極又は単極電流(又は電圧)を使用することを包含することができる。一実施形態で、補助的なパルス電流は磁気場を通じてMTJと結合させることができる。他の実施形態で、補助的なパルス電流はスピンホール効果(Spin Hall Effect)又はラシュバ効果(Rashba effect)のような物理的効果からMTJでスピン電流又はスピントルクを誘起させることができる。補助的なパルス電流はMTJを通じて流れる電流(又は電圧)をリードするか、又は重畳することができる。上記方法はより低い書込みエラー率と共にさらに速いスイッチングするようにすることができる。
【0095】
特に、一実施形態によれば、図17に示したように多数の磁気格納セル(各々は前述した少なくとも1つの磁気素子を包含)を含む磁気メモリは少なくとも1つの磁気素子を通じて双極又は単極電流を印加するか、或いは少なくとも1つの磁気素子に電圧を印加することによって、プログラムされ得る。双極又は単極の電流又は電圧は少なくとも1つの磁気素子をプログラムするのに十分であり得る。また多数の磁気格納セルの各々は少なくとも1つの選択素子を包含することができる。それで、少なくとも1つの磁気素子は少なくとも1つの磁気素子を通じて書込み電流を流すか、或いは少なくとも1つの磁気素子に電圧を印加することによって、プログラムすることができる。
【0096】
他の実施形態で、図17に示したように、多数の磁気格納セル(前述した少なくとも1つの磁気素子を包含)を含む磁気メモリは、多数の磁気格納セルの一部の少なくとも1つの磁気素子を通じてではなく、磁気素子に隣接するように第1電流を印加し(例えば、少なくとも1つの磁気素子に隣接する導電配線に交流電流を印加し)、そして少なくとも1つの磁気素子を通じて第2電流を印加するか、或いは電圧を印加することによって、プログラムされることができる。第1電流は磁気場又は追加的なスピントルクを形成することができる。第2電流又は電圧、及び磁気場又は追加的なスピントルクは少なくとも1つの磁気素子をプログラムするのに十分であり得る。本発明の概念の前述した実施形態にしたがえれば、磁気メモリの動作でより低いエラー率を有し、さらに速いスイッチングが実現されることができる。即ち、本発明概念の新しい酸化物で、前述した補助書込みを加えて、最も小さいメモリセルサイズ、例えば、20nmノード以下で最も速いスイッチングが実現されることができる。
【0097】
一般的に本願明細書に使用された用語と特に添付された請求項(例えば、添付された請求項の本文)は“開放(open)”用語(例えば、用語“including、含む”は“including but not limited to、包含するが、これに限定されない”と解釈されなければならなく、用語“having、有する”は“having at least、少なくとも有する”と解釈されなければならなく、用語“includes、含む”は”includes but is not limited to包含するが、これに限定されない”と解釈されなければならない等)として使用されるように意図されたことは当業者に理解できる。仮に開示された請求項の上述の特定な数字が意図されたことであれば、そのような意図は請求項に定まれることで、そのような上述が存在しなければ、そのような意図は存在しないことは当業者に理解できる。例えば、理解を助ける意図に、次の添付された請求項は導入句“at least one、少なくとも1つ”と“one or more、1つ以上”を請求項に上述されたことを含む。しかし、同一な請求項が導入句節“1つ以上”又は“少なくとも1つ”そして、“a”、“an”ような不明確な句節を包含する時、そのような句節の使用は不明確な句節“a”又は“an”による請求項の上述の導入が、単なる1つのそのような上述したこと含むそのような発明に導入された請求項上述したこと含む、いずれの特定請求項を限定することを内包すること排除しない(例えば、“1つの”及び/又は“1”は通常“少なくとも1つ”又は“1つ以上”を意味することと解釈される)、同一なことは請求項を上述を導入するために使用された不明確な句節の使用のために有効である。さらに、“A、B、及びCの中での少なくとも1つ”と類似な規則が使用された場合には、一般的にそのような解釈は当業者がその規則を理解することを前提して意図される(例えば、“A、B、及びCの中での少なくとも1つを有するシステム”は、Aのみを有するか、Bのみを有するか、Cのみを有するか、A及びBを共に有するか、A及びCを共に有するか、B及びCを共に有するか、或いはA、B、及びCを共に有するシステムを包含するがこれに制限されない)。“A、B、又はCの中での少なくとも1つ”と類似な規則が使用された場合には、一般的にそのような解釈は当業者がその規則を理解することを前提して意図される(例えば、“A、B、又はCの中での少なくとも1つを有するシステム”は、Aのみを有するか、Bのみを有するか、Cのみを有するか、A及びBを共に有するか、A及びCを共に有するか、B及びCを共に有するか、或いはA、B、及びCを共に有するシステムを包含するがこれに制限されない)。また当業者であれば、実質的に何らかの離接的接続詞(disjunctive word)及び/又は2つ以上の代案的な用語を示す句節は、それが詳細な説明、請求の範囲又は図面にあるかに関係なく、その用語の中での1つ、その用語の中でのいずれか1つ、又はその用語2つ両方を含む可能性を考慮したことを理解する。例えば、“A又はB”という句節は“A”又は“B”又は“A及びB”の可能性を含むことと理解できる。
【0098】
本願明細書全体に掛けて“一実施形態”又は“1つの実施形態”に対する参照は、実施形態に関連して記述された特定の特徴、構造又は特性が本発明に含まれる少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、“1つの実施形態”又は“一実施形態で”という語句は必ず同一の実施形態を参照することではない。また、特定の特徴、構造又は特性は図示された特定実施形態を除外した他の適切な形態に形成され得り、このようなすべての形態は本出願の特許請求の範囲内に包含される。多様な磁気メモリ素子構造、そして上記磁気メモリ素子を使用して製造された磁気メモリ素子及びメモリを提供する方法及びシステムが記述される。上記構造、方法及びシステムが実施形態によって記述されるが、本実施形態に対する多様な変形が可能であり、したがって、変形は本願明細書に開示された装置、方法及びシステムのマッピング及び範囲内で考慮されたことを当業者は容易に認識する。したがって、多様な変形は当業者によって、添付された請求項のマッピング及び範囲から逸脱しながら、行われる。
【符号の説明】
【0099】
10・・・基板
11・・・素子分離膜
12・・・ドレーン領域
13・・・ソース領域
20・・・第1層間絶縁膜
21・・・ゲート絶縁膜
22・・・ゲート電極
23・・・ランディングコンタクト
24・・・ソースラインコンタクト
30・・・第2層間絶縁膜
31・・・下部電極コンタクト
32・・・ソースライン
40・・・第3層間絶縁膜
41・・・上部電極コンタクト
50・・・ビットライン
70、80、90、100、110、120,130、140、150、160、412・・・磁気素子
72、82、79、89、98、110、128、132、144、152、159、163、168・・・被固定膜
74、84、120・・・スペーサー膜
76、86、96、106、116、124、130、136、148、156、165・・・自由膜
78、88、97、108、114、158、167・・・非磁性スペーサ―層
92、102,112・・・下部基準膜
94、104、118、126、134、146、154、164・・・MgO膜
99、138、149・・・キャッピング膜
109、119・・・上部基準膜
111、131・・・磁化
122、142、161・・・シード膜
140・・・垂直異方性キャッピング膜
400・・・磁気メモリ
402、406・・・読出し/書込みカラムセレクター/ドライバー
403・・・ビットライン
405・・・ワードライン
404・・・ワードラインセレクター/ドライバー
410・・・メモリセル
414・・・選択/分離素子、トランジスタ
900・・・電子システム
912・・・メモリシステム
914・・・プロセッサー
916・・・RAM
918・・・ユーザーインターフェース
920・・・バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19