(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の吸着槽と、貯留タンクに貯留されている液体燃料を被燃料供給体に供給している際に当該被燃料供給体内より外部に排出されるべーパに含まれる燃料成分を当該複数の吸着槽のうち少なくとも一の吸着槽を用いて吸着する吸着工程とし、当該吸着槽が吸着工程を行っている間に他の吸着槽を当該吸着槽内より前記燃料成分を脱着処理する脱着工程とするように制御することにより、貯留タンクより排出されるべーパを時間的に連続して吸着可能とする制御手段と、を備えてなるべーパ回収装置において、
前記貯留タンクへの液体燃料の補給が行われているか否かを検出する補給有無検出手段を設け、
前記制御手段は、
前記補給有無検出手段により貯留タンクへの液体燃料の補給がなされていないと判断している場合には、前記一の吸着槽による燃料成分の吸着量が当該一の吸着槽の燃料成分の最大吸着可能量よりも低い第1の目標値に達したときに当該一の吸着槽を吸着工程から脱着工程に切り替えるとともに、他の吸着槽を吸着工程とし、
前記補給有無検出手段により貯留タンクへの液体燃料の補給がなされていると判断した場合には、前記複数の吸着槽を吸着工程とすることにより当該液体燃料を補給している際に排出されるべーパ中の燃料成分を当該複数の吸着槽で吸着させるとともに、当該各吸着槽の吸着工程は、当該吸着槽における燃料成分の吸着量が前記第1の目標値を超え、かつ、当該一の吸着槽の燃料成分の最大吸着可能量以下である第2の目標値に達するまで行われるように制御することを特徴とするべーパ回収装置。
前記貯留タンクへの液体燃料の補給が終了した場合、前記複数の吸着槽のうち、前記べーパの吸着可能量の大きい吸着槽を吸着工程とし、当該吸着槽よりも前記べーパの吸着可能量の小さい吸着槽を脱着工程とすることを特徴とする請求項1に記載のべーパ回収装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
〔べーパ回収装置の構成〕
図1は本発明によるべーパ回収装置の一実施形態を示すシステム構成図である。
図1に示されるように、べーパ回収装置10は、給油所に設置されており、複数の給油装置20に接続された給油用べーパ回収管路30と、貯留タンクとしての地下タンク40に接続された脱着用べーパ回収管路50と、第1、第2の吸着槽60、70と、第1、第2の吸着槽60、70から排出された気体を大気中に排出する排気管路80とを有する。本実施形態では、第1、第2の吸着槽60、70がほぼ同程度の容量を有する円筒状容器により形成されており、地下タンク40の容量よりも小さい容量である。
【0016】
また、べーパ回収装置10は、給油用べーパ回収管路30に配置されたべーパ濃度計90、べーパ用流量計100と、脱着用べーパ回収管路50に配置された真空ポンプ110と、排気管路80に配置された排出濃度計120とを有する。さらに、第1、第2の吸着槽60、70の流入側に接続された給油用べーパ回収管路30の接続管路31,32には、第1、第2給油用開閉弁V1、V2が設けられている。また、第1、第2の吸着槽60、70の流出側に接続された排気管路80の接続管路81,82には、第1、第2排出用開閉弁V3、V4が設けられている。
【0017】
第1、第2の吸着槽60、70の外周に接続された脱着用べーパ回収管路50の接続管路51、52には、第1、第2脱着用開閉弁V5、V6が設けられている。各開閉弁V1〜V6は、それぞれ電磁弁により構成されており、制御部130からの制御信号(開弁信号)が入力されたタイミングで個別に開弁する。
【0018】
また、べーパ濃度計90により計測された給油べーパの濃度計測値、べーパ用流量計100により計測された給油べーパの流量計測値、排出濃度計120により計測された排出濃度計測値の各計測信号は、それぞれ制御部130に入力される。そして、制御部130は、上記べーパ濃度計90からの給油べーパの濃度計測値、べーパ用流量計100からの給油べーパの流量計測値、排出濃度計120からの排出濃度計測値の各計測信号に基づいて各開閉弁V1〜V6及び真空ポンプ110を制御する制御プログラムを実行する。すなわち、制御部130は、所定のタイミングで第1、第2の吸着槽60、70を吸着工程、脱着工程、停止モードの何れかを行うように切り替えるための制御信号を生成して各開閉弁V1〜V6及び真空ポンプ110に対して制御信号を出力する。
【0019】
ここで、給油装置20について説明する。給油装置20は、給油所のコンクリート面に設置された地上設置型給油装置であり、筐体内に給油ポンプ21、べーパ吸引ポンプ22が収納されている。さらに、筐体内には、給油ポンプ21に連通された給油管路23が挿通されており、給油管路23には、給油量を計測する流量計(図示せず)も設けられている。そして、筐体側面には、給油管路23の下流側に接続された給油ホース24が設けられ、給油ホース24の端部には給油ノズル25が接続されている。また、給油ノズル25には、べーパ吸引ホース26が給油ホース24と共に、並列に接続されている。
【0020】
給油時は、給油ノズル25を車両Cの給油口に挿入することにより給油ポンプ21により地下タンク40から組み上げられた燃料が供給可能になると共に、べーパ吸引ポンプ22により車両Cの燃料タンク内で発生したべーパが吸引される。そして、べーパ吸引ポンプ22より吐出されたべーパは、給油用べーパ回収管路30を介して第1、第2の吸着槽60、70の何れかに導入されて燃料成分が回収される。
【0021】
また、地下タンク40には、タンクローリ車Tに積み込まれた燃料を荷卸しするための荷卸しホース140が挿入される注油口42が設けられている。地下タンク40に荷卸しホース140を介して燃料が補給されると、地下タンク40内の上部空間にはべーパが充満した状態になる。そして、地下タンク40内のべーパは、飽和蒸気圧になるため、大気圧以上に上昇している。
【0022】
地下タンク40の上部には、べーパの圧力が所定以上に達すると開弁するブリーザバルブを有する通気管150と、脱着用べーパ回収管路50とが接続されている。さらに、通気管150の途中には、給油中に補給用べーパを回収するための荷卸し用べーパ回収管路160が分岐しており、荷卸し用べーパ回収管路160の他端は給油用べーパ回収管路30に接続されている。
【0023】
また、給油用べーパ回収管路30及び荷卸し用荷卸し用べーパ回収管路160のそれぞれには、逆流防止弁Va,Vbが配置されている。これにより、給油用べーパ回収管路30又は荷卸し用べーパ回収管路160の何れかのべーパが第1、第2の吸着槽60、70に回収される際、一方の管路のべーパの他方の管路に逆流が防止される。さらに、給油用べーパ回収管路30には、給油装置20による車両Cへの燃料供給に伴う給油用べーパの圧力を計測し、その圧力計測値を制御部130に送信する第1圧力センサ170が設けられている。また、荷卸し用べーパ回収管路160には、タンクローリ車Tによる地下タンク40への荷卸し時に発生した補給用べーパの圧力を計測し、その圧力計測値を制御部130に送信する第2圧力センサ180が設けられている。
【0024】
制御部130は、第1圧力センサ170からの圧力計測値に基づいて車両Cへの燃料供給を行っているか否かを検出する給油有無検出手段としての制御プログラムと、第2圧力センサ180からの圧力計測値に基づいて地下タンク40への補給(荷卸し)を行っているか否かを検出する補給有無検出手段としての制御プログラムと、給油中あるいは補給中における第1の目標値あるいは第2の目標値に達したか否かに応じて各開閉弁V1〜V6を切替制御する制御プログラムとを実行する。
【0025】
さらに、制御部130は、補給有無検出手段により地下タンク40への液体燃料の補給がなされていないと判断している場合には、一の吸着槽による燃料成分の吸着量が当該一の吸着槽の燃料成分の最大吸着可能量よりも低い第1の目標値に達したときに当該一の吸着槽を吸着工程から脱着工程に切り替えるとともに、他の吸着槽を吸着工程とする制御プログラムを実行する。
【0026】
また、制御部130は、判定結果補給有無検出手段により貯留タンクへの液体燃料の補給がなされていると判断した場合には、複数の吸着槽60、70を吸着工程とすることにより当該液体燃料を補給している際に排出されるべーパ中の燃料成分を当該複数の吸着槽60、70で吸着させるとともに、当該各吸着槽60、70の吸着工程は、当該吸着槽60、70における燃料成分の吸着量が第1の目標値を超え、かつ、当該一の吸着槽の燃料成分の最大吸着可能量以下である第2の目標値に達するまで行われるように制御する制御プログラムを実行する。
【0027】
〔第1、第2の吸着槽60、70の吸着・脱着工程の切替〕
図2は本発明によるべーパ回収装置の吸着工程と脱着工程との切替タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
図2(A)に示されるように、給油所においては、複数の給油装置20が逐次車両Cへの給油(燃料供給)を行っている。そして、給油の合間にタンクローリ車Tが給油所に到着すると、
図1に示すように荷卸しホース140を地下タンク40の注油口42に挿入してタンクローリ車Tに積み込まれた液体燃料の荷卸しが行われる。給油装置20による車両Cへの給油中に発生したべーパは、べーパ吸引ホース26及び給油用べーパ回収管路30を介して第1、第2の吸着槽60、70の何れかに回収される。また、タンクローリ車Tによる荷卸し中に発生したべーパは、荷卸し用べーパ回収管路160及び給油用べーパ回収管路30を介して第1、第2の吸着槽60、70の何れかに回収される。
【0028】
次に、第1、第2の吸着槽60、70の切替タイミングについて説明する。
図2(B)に示されるように、第1の吸着槽60においては、複数の給油回数又は給油量の合計値に応じて吸着工程と脱着工程とを適宜切り替える。例えば第1、第2の吸着槽60、70では、例えば何れか一方で2回の給油によるべーパの吸着工程が終わると、当該吸着槽を脱着工程に切り替える。また、他方の吸着槽では、脱着工程の後、停止状態となり、一方の吸着槽が脱着工程に切り替わるタイミングで、吸着工程になる。また、時間t1でタンクローリ車Tによる地下タンク40への荷卸し(補給)が開始されると、地下タンク40においてもべーパが発生するため、給油べーパを回収中の第1の吸着槽60における吸着工程が継続される。尚、脱着工程は、吸着工程による吸着量に応じた所定時間行われるが、真空ポンプ110により吸着剤に吸着された燃料成分を強制的に脱着するため、脱着時間は吸着時間よりも短い。
【0029】
図2(C)に示されるように、地下タンク40への荷卸し(補給)時は、第2の吸着槽70では、給油装置20による給油時に発生した給油べーパを吸着する吸着工程と脱着工程とを交互に行っており、且つ第1の吸着槽60が吸着工程のときに脱着工程を行い、第1の吸着槽60が脱着工程のときに吸着工程を行う。また、第2の吸着槽においては、時間t1で脱着工程中にタンクローリ車Tによる荷卸しが開始された場合、脱着工程を中止して吸着工程に切り替わる。これにより、荷卸し中は、第1、第2の吸着槽60、70で同時に吸着工程を行って地下タンク40で発生したべーパを効率よく吸着することが可能になる。
【0030】
図2(D)に示す切替制御例は、上記荷卸し時の切替制御例とは別に、第1の吸着槽60における吸着量が吸着可能量に達した時点t2で第1の吸着槽60が吸着工程から脱着工程に切り替わると共に、第2の吸着槽70では停止状態から吸着工程に切り替わる。この切替制御例の場合、第1の吸着槽60の吸着量が最大吸着可能量に達したとき、第1の吸着槽60が吸着工程から脱着工程に切り替わるタイミングで第2の吸着槽70が停止状態から吸着工程に切り替わるため、地下タンク40からのべーパは第1の吸着槽60及び第2の吸着槽70により吸着される。
【0031】
〔第1、第2の吸着槽60、70における吸着量と切替タイミングとの関係〕
図3は各吸着槽の吸着量と切替タイミングとを模式的に示す図である。
図3(A)に示されるように、複数の給油装置20により給油べーパが発生した場合、第1の吸着槽60と第2の吸着槽70とが交互に吸着工程と脱着工程とを繰り返す。この切替制御では、第1、第2の吸着槽60、70における吸着量が最大吸着可能量の所定吸着量(例えば20%:第1の目標値)に達した時点で吸着工程から脱着工程に切り替える。これにより、第1、第2の吸着槽60、70においては、余剰吸着能力(余力)が最大吸着可能量から上記所定吸着量(例えば20%)を差し引いた割合で形成される。そのため、第1、第2の吸着槽60、70は、常に80%の余剰吸着能力(余力)を残して脱着工程になるため、荷卸し時に発生する大量のべーパを吸着する処理能力を有することになる。
【0032】
図3(B)に示されるように、前述したように第1の吸着槽60に所定吸着量(例えば20%:第1の目標値)が吸着された状態で、タンクローリ車Tによる地下タンク40への荷卸しが開始された場合、第1の吸着槽60の余剰吸着能力分で荷卸しべーパが吸着され、さらに第2の吸着槽70における余剰吸着能力分で荷卸しべーパが吸着される。そのため、第1、第2の吸着槽60、70において、給油べーパを吸着する吸着工程が行われている場合でも二つの吸着槽60、70の余剰吸着能力分に大量の荷卸しべーパを吸着することが可能になる。
【0033】
図3(C)に示されるように、また、上記荷卸しべーパの吸着工程が終了した後は、第2の吸着槽70の余剰吸着能力分(最大吸着可能量の所定吸着量、例えば80%:第2の目標値)が吸着済みになるが、残りの20%分の吸着が可能である。そのため、上記荷卸しべーパの吸着工程が終了した後でも次の給油開始に伴う給油べーパを第2の吸着槽70に残された残りの20%分の吸着工程を行うことができる。よって、荷卸し終了直後であっても、給油装置20による給油べーパの吸着工程を連続して行える。
【0034】
このように、本実施形態においては、2つの吸着槽60、70を車両Cへの給油中か、あるいは地下タンク40への荷卸し中かを検出すると共に、その検出結果に基づいて各吸着槽60、70における吸着工程と脱着工程との切替タイミングを制御するため、吸着槽の容量を大型化せずに吸着効率を高めることが可能になる。
【0035】
〔制御部130による制御処理〕
図4〜
図6はべーパ回収装置の制御部130が実行する制御処理を説明するためのフローチャートである。制御部130は、
図4に示すのS11で給油用べーパ回収管路30に設けられた第1圧力センサ170により計測された圧力計測値P1を読み込み、当該圧力計測値P1と予め設定された給油圧力(閾値)と比較する。S11において、圧力計測値P1が給油圧力未満の場合(NOの場合)、S12aに進み、待機状態であり、第1の吸着槽60の開閉弁V1、V3に対する開弁信号を停止して開閉弁V1,V3を閉弁状態(吸着を行わない待機状態)に保つ。
【0036】
また、S11において、圧力計測値P1が給油圧力以上の場合(YESの場合)、給油装置20による車両Cへの燃料供給が開始されたものと判断し、S12に進み、第1の吸着槽60の開閉弁V1、V3に開弁信号を送信して当該開閉弁V1、V3を開弁させる。これにより、第1の吸着槽60は、給油べーパに含まれる燃料成分を吸着する吸着工程を行う。
【0037】
次のS13では、第2圧力センサ180により計測された圧力計測値P2を読み込み、当該圧力計測値P2と予め設定された荷卸し圧力(閾値)と比較する。S13において、圧力計測値P2が荷卸し圧力未満の場合(NOの場合)、地下タンク40への荷卸し(補給)が行われていないものと判断してS14の処理を行う。また、S13において、圧力計測値P2が荷卸し圧力以上の場合(YESの場合)、地下タンク40への荷卸し(補給)が開始されたものと判断して
図5に示すS28以降の処理を行う。
【0038】
S14では、給油装置20の流量計により計測された給油量、及び第1圧力センサ170により計測された給油べーパの圧力に基づいて第1の吸着槽60におけるべーパ吸着量QAを演算する。
【0039】
続いて、S15に進み、給油べーパの吸着量QAと第1の吸着槽60の最大吸着量QAmaxに所定の吸着率を掛けた閾値とを比較する。S15において、給油べーパの吸着量QAが第1の吸着槽60の最大吸着量QAmaxに所定の吸着率(例えば、20%に対応する0.2)を掛けた閾値(例えば、最大吸着量の20%:第1の目標値)未満の場合(NOの場合)、前述したS11の処理に戻り、S11以降の処理を繰り返す。しかし、S15において、給油べーパの吸着量QAが第1の吸着槽60の最大吸着量QAmaxに所定の吸着率を掛けた閾値(例えば最大吸着量の20%:第1の目標値)以上の場合(YESの場合)、第1の吸着槽60におけるべーパ吸着量が吸着槽切替タイミングの規定量に達したものと判断し、S16に進み、第1の吸着槽60の開閉弁V1、V3に対する開弁信号を停止して開閉弁V1,V3を閉弁させる。
【0040】
続いて、S17に進み、第1の吸着槽60を脱着工程とする。すなわち、第1の吸着槽60に連痛された開閉弁V5を開弁させる開弁信号を送信すると共に、脱着用べーパ回収管路50の真空ポンプ110に駆動信号を出力する。これにより、開閉弁V5が開弁し、真空ポンプ110による負圧により第1の吸着槽60に吸着された燃料成分を脱着する。そして、第1の吸着槽60から脱着された燃料成分は、脱着用べーパ回収管路50を通過して地下タンク40に吐出される。この脱着工程は、吸着量に応じて予め設定された所定時間が経過すると、開閉弁V5を閉弁させると共に、自動的に終了する。次のS18では、第1の吸着槽60のべーパ吸着量QAをリセットする。
【0041】
S19は、給油用べーパ回収管路30に設けられた第1圧力センサ170により計測された圧力計測値P1を読み込み、当該圧力計測値P1と予め設定された給油圧力(閾値)と比較する。S19において、圧力計測値P1が給油圧力未満の場合(NOの場合)、S20に進み、待機状態であり、第2の吸着槽70の開閉弁V2、V4に対する開弁信号を停止して開閉弁V2,V4を閉弁状態(吸着を行わない待機状態)に保つ。
【0042】
また、S19においては、圧力計測値P1が給油圧力以上の場合(YESの場合)、給油装置20による車両Cへの燃料供給が開始されたものと判断し、S21に進み、第2の吸着槽70の開閉弁V2、V4に開弁信号を送信して当該開閉弁V2、V4を開弁させる。これにより、第2の吸着槽70は、給油べーパに含まれる燃料成分を吸着する吸着工程を行う。
【0043】
続いて、S22に進み、第2圧力センサ180により計測された圧力計測値P2を読み込み、当該圧力計測値P2と予め設定された荷卸し圧力(閾値)と比較する。S22において、圧力計測値P2が荷卸し圧力未満の場合(NOの場合)、地下タンク40への荷卸し(補給)が行われていないものと判断してS23の処理を行う。また、S22において、圧力計測値P2が荷卸し圧力以上の場合(YESの場合)、地下タンク40への荷卸し(補給)が開始されたものと判断して
図6に示すS46以降の処理を行う。
【0044】
S23では、給油装置20の流量計により計測された給油量、及び第1圧力センサ170により計測された給油べーパの圧力に基づいて第2の吸着槽70におけるべーパ吸着量QBを演算する。
【0045】
続いて、S24に進み、給油べーパの吸着量QBと第2の吸着槽70の最大吸着量QBmaxに所定の吸着率(例えば、20%に対応する0.2)を掛けた閾値とを比較する。S15において、給油べーパの吸着量QAが第1の吸着槽60の最大吸着量QAmaxに所定の吸着率を掛けた閾値(例えば最大吸着量の20%:第1の目標値)未満の場合(NOの場合)、前述したS11の処理に戻り、S11以降の処理を繰り返す。しかし、S15において、給油べーパの吸着量QAが第1の吸着槽60の最大吸着量QAmaxに所定の吸着率を掛けた閾値(例えば、最大吸着量の20%:第1の目標値)以上の場合(YESの場合)、第2の吸着槽70におけるべーパ吸着量が吸着槽切替タイミングの規定量に達したものと判断し、S25に進み、第2の吸着槽70の開閉弁V2、V4に対する開弁信号を停止して開閉弁V2,V4を閉弁させる。
【0046】
続いて、S26に進み、第2の吸着槽70を脱着工程とする。尚、S26の処理は、前述したS17の処理と同様なので、説明は省略する。次のS27では、第2の吸着槽70のべーパ吸着量QBをリセットする。この後は、S11に戻り、S11以降の処理を繰り返すことにより、第1の吸着槽60と第2の吸着槽70とが交互に吸着工程と脱着工程とを繰り返す。
【0047】
〔第1の吸着槽60が吸着工程のときに荷卸し開始された場合の制御処理〕
制御部130は、第1の吸着槽60が吸着工程のときに前述したS13において、圧力計測値P2が荷卸し圧力以上の場合(YESの場合)、地下タンク40への荷卸し(補給)が開始されたものと判断して
図5に示すS28に進み、第2の吸着槽70の開閉弁V2、V4に対する開弁信号を送信して開閉弁V2,V4を開弁状態に切り替える。これにより、第2の吸着槽70は、吸着工程に切り替わる。すなわち、第1の吸着槽60が吸着工程のときに、荷卸しが開始された場合は、第2の吸着槽70も吸着工程に切り替わり、2つの吸着槽60、70が同時にべーパに含まれる燃料成分を効率良く吸着する。
【0048】
S29では、第2圧力センサ180により計測された圧力計測値P2を読み込み、当該圧力計測値P2と予め設定された荷卸し圧力(閾値)と比較する。S29において、圧力計測値P2が荷卸し圧力以上の場合(YESの場合)、地下タンク40への荷卸し中(補給中)と判断して吸着工程の処理を継続する。また、S29において、圧力計測値P2が荷卸し圧力未満の場合(NOの場合)、地下タンク40への荷卸し(補給)が終了したものと判断してS30の処理を行う。S30では、第2圧力センサ180により計測された給油べーパの圧力に基づいて第1、第2の吸着槽60、70におけるべーパ吸着量QA、QBを演算する。
【0049】
続いて、S31では、第1、第2の吸着槽60、70の最大吸着可能量からべーパ吸着量QA、QBを減算して吸着余力を求める。次のS32では、第1、第2の吸着槽60、70の吸着余力が所定値以上(例えば、最大吸着量の20%以上)か否かをチェックする。S32において、第1、第2の吸着槽60、70の吸着余力が所定値以上(例えば、最大吸着量の20%以上)ない場合(NOの場合)、S33に進み、第1、第2の吸着槽60、70に連痛された開閉弁V5、V6を開弁する開弁信号を出力し、当該開閉弁V5、V6を開弁して脱着工程とする。尚、S33の処理は、前述したS17、S26の処理と同様なので、説明は省略する。次のS34では、第1、第2の吸着槽60、70のべーパ吸着量QA、QBをリセットする。この後は、前述したS11の処理に戻り、S11以降の処理を実行する。
【0050】
また、上記S32において、第1、第2の吸着槽60、70の吸着余力が所定値以上(例えば、最大吸着量の20%以上)ある場合(YESの場合)、まだべーパの吸着が可能ため、S35に進み、給油用べーパ回収管路30に設けられた第1圧力センサ170により計測された圧力計測値P1を読み込み、当該圧力計測値P1と予め設定された給油圧力(閾値)と比較する。S35において、圧力計測値P1が給油圧力未満の場合(NOの場合)、給油を行わない待機状態であるので、S36に進み、第2の吸着槽70の開閉弁V2、V4に対する開弁信号を停止して開閉弁V2,V4を閉弁状態(吸着を行わない待機状態)に保つ。
【0051】
次のS37では、第2の吸着槽70に連痛された開閉弁V6を開弁する開弁信号を出力し、当該開閉弁V6を開弁して第2の吸着槽70を脱着工程とする。尚、S37の処理は、前述したS26の処理と同様なので、説明は省略する。次のS38では、第2の吸着槽70のべーパ吸着量QBをリセットする。この後は、前述したS11の処理に戻り、S11以降の処理を実行する。
【0052】
また、上記S35において、圧力計測値P1が給油圧力以上の場合(YESの場合)、給油装置20による車両Cへの燃料供給が開始されたものと判断し、S39に進み、第1の吸着槽60の吸着余力と第2の吸着槽70の吸着余力とを比較する。
【0053】
S39において、第1の吸着槽60における吸着可能量の余力が第2の吸着槽70よりも大きい場合、S40に進み、吸着可能量の余力が小さい第2の吸着槽70の開閉弁V2,V4を閉弁させる。続いて、S41に進み、第2の吸着槽70を脱着工程とする。尚、S41の処理は、前述したS26の処理と同様なので、説明は省略する。次のS42では、第2の吸着槽70のべーパ吸着量QBをリセットする。この後は、S11に戻り、S11以降の処理を繰り返すことにより、第1の吸着槽60と第2の吸着槽70とが交互に吸着工程と脱着工程とを繰り返す。
【0054】
また、S39において、第1の吸着槽60における吸着可能量の余力が第2の吸着槽70よりも小さい場合、S43に進み、吸着可能量の余力が小さい第1の吸着槽60の開閉弁V1,V3を閉弁させる。続いて、S44に進み、第1の吸着槽60を脱着工程とする。尚、S44の処理は、前述したS17の処理と同様なので、説明は省略する。次のS45では、第1の吸着槽60のべーパ吸着量QAをリセットする。この後は、S19に戻り、S19以降の処理を繰り返すことにより、第1の吸着槽60と第2の吸着槽70とが交互に吸着工程と脱着工程とを繰り返す。
【0055】
〔第2の吸着槽70が吸着工程のときに荷卸し開始された場合の制御処理〕
制御部130は、第2の吸着槽70が吸着工程のときに前述したS22において、圧力計測値P2が荷卸し圧力以上の場合(YESの場合)、地下タンク40への荷卸し(補給)が開始されたものと判断して
図6に示すS46に進み、第1の吸着槽60の開閉弁V1、V3に対する開弁信号を送信して開閉弁V1,V3を開弁状態に切り替える。これにより、第1の吸着槽60は、吸着工程に切り替わる。すなわち、第2の吸着槽70が吸着工程のときに、荷卸しが開始された場合は、第1の吸着槽60も吸着工程に切り替わり、2つの吸着槽60、70が同時にべーパに含まれる燃料成分を効率良く吸着する。
【0056】
S47では、第2圧力センサ180により計測された圧力計測値P2を読み込み、当該圧力計測値P2と予め設定された荷卸し圧力(閾値)と比較する。S47において、圧力計測値P2が荷卸し圧力以上の場合(YESの場合)、地下タンク40への荷卸し中(補給中)と判断して吸着工程の処理を継続する。また、S47において、圧力計測値P2が荷卸し圧力未満の場合(NOの場合)、地下タンク40への荷卸し(補給)が終了したものと判断してS48の処理を行う。S48では、第2圧力センサ180により計測された給油べーパの圧力に基づいて第1、第2の吸着槽60、70におけるべーパ吸着量QA、QBを演算する。
【0057】
続いて、S49では、第1、第2の吸着槽60、70の最大吸着可能量からべーパ吸着量QA、QBを減算して吸着余力を求める。次のS50では、第1、第2の吸着槽60、70の吸着余力が所定値以上(例えば、最大吸着量の20%以上)か否かをチェックする。S50においては、第1、第2の吸着槽60、70の吸着余力が所定値以上(例えば、最大吸着量の20%以上)ない場合(NOの場合)、S51に進み、第1、第2の吸着槽60、70に連痛された開閉弁V5、V6を開弁する開弁信号を出力し、当該開閉弁V5、V6を開弁して脱着工程とする。尚、S51の脱着処理は、前述したS33の処理と同様なので、説明は省略する。
【0058】
そして、第1、第2の吸着槽60、70から脱着された燃料成分は、脱着用べーパ回収管路50を通過して地下タンク40に吐出される。次のS52では、第1、第2の吸着槽60、70のべーパ吸着量QA、QBをリセットする。この後は、前述したS11の処理に戻り、S11以降の処理を実行する。
【0059】
また、上記S50において、第1、第2の吸着槽60、70の吸着余力が所定値以上(例えば、最大吸着量の20%以上)ある場合(YESの場合)、まだべーパの吸着が可能ため、S53に進み、給油用べーパ回収管路30に設けられた第1圧力センサ170により計測された圧力計測値P1を読み込み、当該圧力計測値P1と予め設定された給油圧力(閾値)と比較する。S53において、圧力計測値P1が給油圧力未満の場合(NOの場合)、給油を行わない待機状態であるので、S54に進み、第2の吸着槽70の開閉弁V1、V3に対する開弁信号を停止して開閉弁V1,V3を閉弁状態(吸着を行わない待機状態)に保つ。
【0060】
次のS55では、第1の吸着槽60に連痛された開閉弁V5を開弁する開弁信号を出力し、当該開閉弁V5を開弁して脱着工程とする。尚、S55の処理は、前述したS17、S44の処理と同様なので、説明は省略する。次のS56では、第1の吸着槽60のべーパ吸着量QAをリセットする。この後は、前述したS19の処理に戻り、S19以降の処理を実行する。
【0061】
また、上記S53において、圧力計測値P1が給油圧力以上の場合(YESの場合)、給油装置20による車両Cへの燃料供給が開始されたものと判断し、S57に進み、S57〜S63の処理を実行する。このS57〜S63の制御処理は、前述したS39〜S45の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
尚、荷卸し開始の検出は、上記実施形態に示した圧力センサに限らず、例えば地下タンクに設けた液面センサ(液位計)や作業者が操作する荷卸し開始スイッチからの信号に基づいて荷卸し開始を検出しても良い。
【0063】
また、上記以外の荷卸し開始の判定としては、例えば荷卸しホースの接続を検出する検出スイッチを設け、荷卸しホースがタンクローリ車と地下タンクとの間を接続したことが検出スイッチにより検出された場合に荷卸し開始と判定しても良い。
【0064】
また、上記実施形態では、脱着工程は予め設定された所定時間の経過により終了するが、これに限らず、例えば各吸着槽から脱着された脱着成分の濃度を濃度計により計測し、その濃度の計測結果に基づいて脱着終了を判定するようにしても良い。
【0065】
また、上記実施形態では、二つの吸着槽を組み合わせた構成を一例として挙げたが、これに限らず、三つ以上の吸着槽を設けた構成としても良い。