特許第6320210号(P6320210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6320210
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   H02M3/28 H
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-144919(P2014-144919)
(22)【出願日】2014年7月15日
(65)【公開番号】特開2016-21828(P2016-21828A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】永島 栄治
(72)【発明者】
【氏名】柴田 敏夫
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−225429(JP,A)
【文献】 特開2003−274655(JP,A)
【文献】 特開2012−019632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定電圧電源回路と、
第1リモートセンス端子と、
プルアップ抵抗を通じて所定電圧にプルアップされた第2リモートセンス端子と、
前記定電圧電源回路を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第2リモートセンス端子の電圧が閾値電圧未満であることを条件として、前記第1リモートセンス端子と前記第2リモートセンス端子との間の電位差に基づいて前記定電圧電源回路の出力電圧を制御し、
前記第2リモートセンス端子の電圧が前記閾値電圧以上であることを条件として、前記第2リモートセンス端子の電圧に基づいて所定の制御パラメータを設定する、電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、前記所定の制御パラメータは、前記定電圧電源回路の出力電流の電流制限値である、電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモートセンス機能を有する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷装置の電圧を入力するリモートセンス端子を備え、そのリモートセンス端子の電圧に基づいて出力電圧を制御するリモートセンス機能を有する電源装置が公知である(例えば特許文献1〜3を参照)。このような電源装置においては、負荷装置の回路の特定部分をケーブル等でリモートセンス端子に接続することによって、その負荷装置の回路の特定部分の電圧を電源装置にフィードバックすることができる。つまりリモートセンス機能を有する電源装置は、リモートセンス端子を通じてフィードバックされた負荷装置の回路の特定部分の電圧に基づいて出力電圧を制御することができるので、その負荷装置の回路の特定部分の電圧を高精度に所定電圧に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−327663号公報
【特許文献2】特許第2944634号公報
【特許文献3】特開2002−262553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら現実問題として、電源装置がリモートセンス機能を有していても、例えば電源ケーブルで生ずる電圧降下が負荷装置の仕様上ほとんど問題にならない等の理由で、リモートセンス機能を使用しない場合も少なくない。この場合、リモートセンス機能のために電源装置に設けられた回路が全く使用されず無駄になってしまう。
【0005】
このような状況に鑑み本発明はなされたものであり、その目的は、リモートセンス機能のために設けられた回路を他の用途にも使用することが可能な電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、定電圧電源回路と、第1リモートセンス端子と、プルアップ抵抗を通じて所定電圧にプルアップされた第2リモートセンス端子と、前記定電圧電源回路を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第2リモートセンス端子の電圧が閾値電圧未満であることを条件として、前記第1リモートセンス端子と前記第2リモートセンス端子との間の電位差に基づいて前記定電圧電源回路の出力電圧を制御し、前記第2リモートセンス端子の電圧が前記閾値電圧以上であることを条件として、前記第2リモートセンス端子の電圧に基づいて所定の制御パラメータを設定する、電源装置である。
【0007】
第1リモートセンス端子と第2リモートセンス端子との間の電位差に基づいて定電圧電源回路の出力電圧を制御する場合、第2リモートセンス端子は、負荷装置側でグランドに短絡される。したがって、このときの第2リモートセンス端子の電圧は、ほぼ0Vとなる。
【0008】
他方、第2リモートセンス端子は、プルアップ抵抗を通じて所定電圧にプルアップされている。したがってリモートセンスを使用した出力電圧制御を実行しない場合、電源装置のグランド端子と第2リモートセンス端子との間に外付け抵抗が取り付けられると、第2リモートセンス端子の電圧は、プルアップ抵抗の抵抗値と外付け抵抗の抵抗値との比率で所定電圧(プルアップ電圧)を分圧した電圧となる。そしてこのときの第2リモートセンス端子の電圧は、外付け抵抗の抵抗値を変更することによって変更することができる。また第2リモートセンス端子が開放された状態になると、第2リモートセンス端子の電圧は、所定電圧(プルアップ電圧)となる。
【0009】
制御装置は、第2リモートセンス端子の電圧が閾値電圧未満であることを条件として、第2リモートセンス端子が負荷装置側でグランドに接続されていると判定する。この場合、制御装置は、第1リモートセンス端子と第2リモートセンス端子との間の電位差に基づいて定電圧電源回路の出力電圧を制御する。他方、制御装置は、第2リモートセンス端子の電圧が閾値電圧以上であることを条件として、電源装置のグランド端子と第2リモートセンス端子との間に外付け抵抗が取り付けられているか、あるいは第2リモートセンス端子が開放されていると判定する。この場合、制御装置は、そのときの第2リモートセンス端子の電圧に基づいて所定の制御パラメータを設定する。
【0010】
すなわち本発明に係る電源装置は、リモートセンス機能を備えるとともに、リモートセンス機能を使用しない場合には、第2リモートセンス端子を所定の制御パラメータの設定端子として使用することができる。そして所定の制御パラメータは、外付け抵抗の抵抗値によって任意の値に設定することができる。
【0011】
これにより本発明の第1の態様によれば、リモートセンス機能のために設けられた回路を他の用途にも使用することが可能な電源装置を提供できるという作用効果が得られる。
【0012】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、前述した本発明の第1の態様において、前記所定の制御パラメータは、前記定電圧電源回路の出力電流の電流制限値である、電源装置である。
本発明の第2の態様によれば、リモートセンス機能を使用しない場合には、定電圧電源回路の出力電流の電流制限値の設定端子として第2リモートセンス端子を使用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リモートセンス機能のために設けられた回路を他の用途にも使用することが可能な電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るDC/DCコンバータの構成を図示したブロック図。
図2】リモートセンスを使用した出力電圧制御を実行するシステム構成のブロック図。
図3】リモートセンスを使用した出力電圧制御を実行しないシステム構成のブロック図。
図4】外付け抵抗の抵抗値と定電圧電源回路の電流制限値との関係を示す表。
図5A】制御部による制御手順を図示したフローチャート。
図5B】制御部による制御手順を図示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、本発明は、以下説明する実施例に特に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0016】
<DC/DCコンバータ10の構成>
本発明に係る「電源装置」の一例としてのDC/DCコンバータ10の構成について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るDC/DCコンバータ10の構成を図示したブロック図である。
【0017】
DC/DCコンバータ10は、絶縁型DC/DCコンバータであり、定電圧電源回路11、入力電圧検出回路12、出力電圧検出回路13、制御部14、アイソレータ15、ドライバ16、リモートセンス回路17を備える。
【0018】
定電圧電源回路11は、第1スイッチング回路111、第1トランス112、出力整流回路113を含む。
【0019】
第1スイッチング回路111は、入力側に入力電圧Vinと一次側グランドGND1が接続されており、入力電圧Vinをスイッチングする回路である。より具体的には第1スイッチング回路111は、トランジスタやMOSFET(Metal-oxide-semiconductor Field Effect Transistor)等のスイッチング素子で入力電圧Vinをスイッチング(オン/オフ)することによって、直流電圧である入力電圧Vinを交流電圧に変換し、第1トランス112の一次巻線L11へ供給する回路である。第1スイッチング回路111におけるスイッチングは、制御部14によって制御される。
【0020】
第1トランス112は、一次巻線L11及び二次巻線L12を含み、第1スイッチング回路111のスイッチング動作により一次巻線L11に供給される交流電圧を二次巻線L12へ伝達する。より具体的には第1トランス112は、一次巻線L11の巻数N1と二次巻線L12の巻数N2との巻数比(N1/N2)に応じた比率で、一次巻線L11に生ずる交流電圧を変圧して二次巻線L12へ伝達する。
【0021】
出力整流回路113は、二次巻線L12へ伝達された電力を整流して出力する回路である。より具体的には出力整流回路113は、ダイオード等の整流素子とコイルやコンデンサ等の素子を組み合わせて構成された回路であり、二次巻線L22から出力される交流電圧を整流及び平滑して直流電圧に変換する回路である。出力整流回路113から出力される直流電圧は、出力電圧Voutとなる。
【0022】
入力電圧検出回路12は、入力電圧Vinを検出する回路であり、第2スイッチング回路121、第2トランス122、レギュレータ123、ショットキーバリアダイオードSBD1、抵抗R1、R2、コンデンサC1を含む。
【0023】
第2スイッチング回路121は、所定の周期で入力電圧Vinをスイッチングする回路である。より具体的には第2スイッチング回路121は、直流電圧である入力電圧Vinを所定の周波数の交流電圧に変換し、第2トランス122の一次巻線L21へ供給する回路である。第2トランス122は、一次巻線L21及び二次巻線L22を含み、第2スイッチング回路121のスイッチング動作により一次巻線L21に供給される交流電圧を二次巻線L22へ伝達する。レギュレータ123は、例えば三端子レギュレータであり、第2トランス122の二次巻線L22の一端側の電圧を電圧VL(+3.3V)に維持する定電圧回路である。
【0024】
ショットキーバリアダイオードSBD1とコンデンサC1は、第2トランス122の二次巻線L22に出力される交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路を構成する。より具体的には、ショットキーバリアダイオードSBD1は、第2トランス122の二次巻線L22の他端側にアノードが接続されており、コンデンサC1の一端側にカソードが接続されている。コンデンサC1の他端側は、二次側グランドGND2に接続されている。2つの抵抗R1、R2は、分圧回路を構成する。より具体的には、抵抗R1は、一端側がショットキーバリアダイオードSBD1のカソードに接続されており、他端側が抵抗R2の一端側に接続されている。抵抗R2の他端側は、二次側グランドGND2に接続されている。また抵抗R1と抵抗R2の接続点は、制御部14に接続されている。
【0025】
出力電圧検出回路13は、2つの抵抗R3、R4で構成される分圧回路であり、出力電圧Voutを検出する回路である。より具体的には、抵抗R3は、一端側が出力電圧Voutに接続されており、他端側が抵抗R4の一端側に接続されている。抵抗R4の他端側は、二次側グランドGND2に接続されている。また抵抗R3と抵抗R4の接続点は、制御部14に接続されている。
【0026】
「制御装置」としての制御部14は、公知のマイコン制御装置であり、入力電圧検出回路12で検出された入力電圧Vin、出力電圧検出回路13で検出された出力電圧Voutに基づいて、定電圧電源回路11を制御する。より具体的には制御部14は、入力電圧Vinが変動しても一定の出力電圧Voutが維持されるように、入力電圧Vinの変動に応じて第1スイッチング回路111におけるスイッチングのデューティ比を増減調整する定電圧制御を実行する。アイソレータ15は、二次側に設けられた制御部14と一次側に設けられたドライバ16との接続を直流的に絶縁する。ドライバ16は、制御部14から出力される制御信号に基づいて、第1スイッチング回路111のスイッチング素子を駆動する回路である。
【0027】
リモートセンス回路17は、SENSE+端子、SENSE−/OCPSEL端子、4つの抵抗R5〜R8を含む。
【0028】
「第1リモートセンス端子」としてのSENSE+端子は、抵抗R6の一端側に接続されている。抵抗R6の他端側は、抵抗R7の一端側に接続されている。抵抗R7の他端側は、二次側グランドGND2に接続されている。また抵抗R6と抵抗R7との接続点は、制御部14に接続されている。さらにSENSE+端子は、抵抗R5を通じて出力電圧Voutに接続されている。制御部14は、抵抗R6と抵抗R7との接続点の電圧に基づいて、SENSE+端子の電圧を求めることができる。
【0029】
「第2リモートセンス端子」としてのSENSE−/OCPSEL端子は、制御部14に接続されている。またSENSE−/OCPSEL端子は、プルアップ抵抗R8を通じて電圧VL(+3.3V)にプルアップされている。プルアップ抵抗R8の抵抗値は、任意の抵抗値に設定することができる。当該実施例においては、プルアップ抵抗R8の抵抗値は47kΩである。
【0030】
<DC/DCコンバータ10の動作>
DC/DCコンバータ10の動作について、図2図4図5A図5Bを参照しながら説明する。
【0031】
図2は、リモートセンスを使用した出力電圧制御を実行するシステム構成を図示したブロック図である。
リモートセンスを使用した出力電圧制御を実行する場合、DC/DCコンバータ10のVout端子(定電圧電源回路11の出力電圧Voutが出力される端子)は、ケーブル等を通じて、負荷装置20の電圧入力部の+端子に接続される。DC/DCコンバータ10のGND2端子(二次側グランドGND2が接続された端子)は、ケーブル等を通じて、負荷装置20の電圧入力部の−端子に接続される。DC/DCコンバータ10のSENSE+端子は、ケーブル等を通じて、負荷装置20の電圧入力部の+端子に接続される。DC/DCコンバータ10のSENSE−/OCPSEL端子は、ケーブル等を通じて、負荷装置20の電圧入力部の−端子に接続される。つまりSENSE−/OCPSEL端子は、負荷装置20の電圧入力部の−端子において、二次側グランドGND2に短絡される。したがってSENSE−/OCPSEL端子の電圧は、ほぼ0Vとなる。
【0032】
このようなシステム構成においてDC/DCコンバータ10の制御部14は、SENSE−/OCPSEL端子の電圧が閾値電圧未満であることを条件として、SENSE−/OCPSEL端子が負荷装置20側でグランドに短絡されていると判定し、リモートセンスを使用した出力電圧制御を実行する。より具体的にはDC/DCコンバータ10の制御部14は、SENSE+端子とSENSE−/OCPSEL端子との間の電位差に基づいて、負荷装置20の電圧入力部の電圧が定格電圧になるように定電圧電源回路11の出力電圧Voutを制御する。
【0033】
図3は、リモートセンスを使用した出力電圧制御を実行しないシステム構成を図示したブロック図である。
リモートセンスを使用した出力電圧制御を実行しない場合、DC/DCコンバータ10のVout端子は、ケーブル等を通じて、負荷装置20の電圧入力部の+端子に接続される。DC/DCコンバータ10のGND2端子は、ケーブル等を通じて、負荷装置20の電圧入力部の−端子に接続される。DC/DCコンバータ10のSENSE+端子は、何も接続されない。DC/DCコンバータ10のSENSE−/OCPSEL端子は、GND2端子との間に外付け抵抗R9が取り付けられるか、あるいは何も取り付けられずに開放される。
【0034】
前述したようにDC/DCコンバータ10のSENSE−/OCPSEL端子は、抵抗R8(プルアップ抵抗)を通じて電圧VLにプルアップされている。したがってDC/DCコンバータ10のGND2端子とSENSE−/OCPSEL端子との間に外付け抵抗R9が取り付けられると、SENSE−/OCPSEL端子の電圧は、抵抗R8(プルアップ抵抗)の抵抗値と外付け抵抗R9の抵抗値との比率で電圧VL(プルアップ電圧)を分圧した電圧となる。そしてこのときのSENSE−/OCPSEL端子の電圧は、外付け抵抗R9の抵抗値を変更することによって変更することができる。またSENSE−/OCPSEL端子が開放された状態になると、SENSE−/OCPSEL端子の電圧は、電圧VL(プルアップ電圧)となる。
【0035】
このようなシステム構成においてDC/DCコンバータ10の制御部14は、SENSE−/OCPSEL端子の電圧が閾値電圧以上であることを条件として、DC/DCコンバータ10のGND2端子とSENSE−/OCPSEL端子との間に外付け抵抗R9が取り付けられているか、あるいはSENSE−/OCPSEL端子が開放されていると判定する。この場合、DC/DCコンバータ10の制御部14は、SENSE−/OCPSEL端子の電圧に基づいて、定電圧電源回路11の出力電流の電流制限値(所定の制御パラメータ)を設定する。
【0036】
図4は、外付け抵抗R9の抵抗値と定電圧電源回路11の出力電流の電流制限値との関係を示す表である。
SENSE−/OCPSEL A/D VALUEは、外付け抵抗R9の抵抗値に対するSENSE−/OCPSEL端子の電圧の最小値、平均値、最大値であり、制御部14の内部のA/D変換回路でA/D変換した後のデジタル値である。OCPは、定電圧電源回路11の出力電流の定格電流に対する電流制限値の割合である。例えばOCPが15%の場合、定電圧電源回路11の出力電流の電流制限値は、定電圧電源回路11の定格電流の15%の電流値となる。FAULT指定値は、定電圧電源回路11の出力電流が電流制限値まで増加したときに、定電圧電源回路11の出力を停止するための制御パラメータである。WARNING指定値は、定電圧電源回路11の出力電流が電流制限値まで増加する手前で警報(アラーム音、警報表示灯等)を発するための制御パラメータである。
【0037】
図5A図5Bは、制御部14による制御手順を図示したフローチャートである。以下、図5A図5Bに図示したフローチャートによる制御手順について説明する。
【0038】
まずSENSE−/OCPSEL端子の電圧をA/D変換する(ステップS1)。つづいてA/D変換値を複数回取得して平均値を算出し(ステップS2)、そのA/D変換値の平均値をレジスタW0にセットする(ステップS3)。
【0039】
つづいてレジスタW0の値が既定値ext_ocp6_maxより大きいか否かを判定する(ステップS4)。レジスタW0の値が既定値ext_ocp6_maxより大きい場合には(ステップS4でYes)、GND2端子とSENSE−/OCPSEL端子との間に抵抗値が130kΩより大きい外付け抵抗R9が取り付けられているか、あるいはSENSE−/OCPSEL端子が開放されていると判定する。この場合には、出力電流の電流制限を行うか否かを設定するフラグであるflag_ext_ocpの値を0に設定する(ステップS5)。それによってDC/DCコンバータ10は、定電圧電源回路11の出力電流の電流制限を行わない設定(default設定)となる。
【0040】
レジスタW0の値が既定値ext_ocp6_max以下の場合には(ステップS4でno)、つづいてレジスタW0の値が既定値ext_ocp5_maxより大きいか否かを判定する(ステップS6)。レジスタW0の値が既定値ext_ocp5_maxより大きい場合には(ステップS6でYes)、GND2端子とSENSE−/OCPSEL端子との間に抵抗値が130kΩの外付け抵抗R9が取り付けられていると判定する。この場合には、OCPが100%となるように、FAULT指定値をext_ocp6_Fに設定し、WARNING指定値をext_ocp6_Wに設定する(ステップS7)。そしてflag_ext_ocpの値を1に設定する(ステップS20)。それによってDC/DCコンバータ10は、設定したFAULT指定値及びWARNING指定値に基づいて定電圧電源回路11の出力電流が制限される。
【0041】
レジスタW0の値が既定値ext_ocp5_max以下の場合には(ステップS6でno)、つづいてレジスタW0の値が既定値ext_ocp4_maxより大きいか否かを判定する(ステップS8)。レジスタW0の値が既定値ext_ocp4_maxより大きい場合には(ステップS8でYes)、GND2端子とSENSE−/OCPSEL端子との間に抵抗値が82kΩの外付け抵抗R9が取り付けられていると判定する。この場合には、OCPが90%となるように、FAULT指定値をext_ocp5_Fに設定し、WARNING指定値をext_ocp5_Wに設定する(ステップS9)。そしてflag_ext_ocpの値を1に設定する(ステップS20)。それによってDC/DCコンバータ10は、設定したFAULT指定値及びWARNING指定値に基づいて定電圧電源回路11の出力電流が制限される。
【0042】
レジスタW0の値が既定値ext_ocp4_max以下の場合には(ステップS8でno)、つづいてレジスタW0の値が既定値ext_ocp3_maxより大きいか否かを判定する(ステップS10)。レジスタW0の値が既定値ext_ocp3_maxより大きい場合には(ステップS10でYes)、GND2端子とSENSE−/OCPSEL端子との間に抵抗値が56kΩの外付け抵抗R9が取り付けられていると判定する。この場合には、OCPが75%となるように、FAULT指定値をext_ocp4_Fに設定し、WARNING指定値をext_ocp4_Wに設定する(ステップS11)。そしてflag_ext_ocpの値を1に設定する(ステップS20)。それによってDC/DCコンバータ10は、設定したFAULT指定値及びWARNING指定値に基づいて定電圧電源回路11の出力電流が制限される。
【0043】
レジスタW0の値が既定値ext_ocp3_max以下の場合には(ステップS10でno)、つづいてレジスタW0の値が既定値ext_ocp2_maxより大きいか否かを判定する(ステップS12)。レジスタW0の値が既定値ext_ocp2_maxより大きい場合には(ステップS12でYes)、GND2端子とSENSE−/OCPSEL端子との間に抵抗値が36kΩの外付け抵抗R9が取り付けられていると判定する。この場合には、OCPが60%となるように、FAULT指定値をext_ocp3_Fに設定し、WARNING指定値をext_ocp3_Wに設定する(ステップS13)。そしてflag_ext_ocpの値を1に設定する(ステップS20)。それによってDC/DCコンバータ10は、設定したFAULT指定値及びWARNING指定値に基づいて定電圧電源回路11の出力電流が制限される。
【0044】
レジスタW0の値が既定値ext_ocp2_max以下の場合には(ステップS12でno)、つづいてレジスタW0の値が既定値ext_ocp1_maxより大きいか否かを判定する(ステップS14)。レジスタW0の値が既定値ext_ocp1_maxより大きい場合には(ステップS14でYes)、GND2端子とSENSE−/OCPSEL端子との間に抵抗値が24kΩの外付け抵抗R9が取り付けられていると判定する。この場合には、OCPが45%となるように、FAULT指定値をext_ocp2_Fに設定し、WARNING指定値をext_ocp2_Wに設定する(ステップS15)。そしてflag_ext_ocpの値を1に設定する(ステップS20)。それによってDC/DCコンバータ10は、設定したFAULT指定値及びWARNING指定値に基づいて定電圧電源回路11の出力電流が制限される。
【0045】
レジスタW0の値が既定値ext_ocp1_max以下の場合には(ステップS14でno)、つづいてレジスタW0の値が既定値ext_ocp0_maxより大きいか否かを判定する(ステップS16)。レジスタW0の値が既定値ext_ocp0_maxより大きい場合には(ステップS16でYes)、GND2端子とSENSE−/OCPSEL端子との間に抵抗値が15kΩの外付け抵抗R9が取り付けられていると判定する。この場合には、OCPが30%となるように、FAULT指定値をext_ocp1_Fに設定し、WARNING指定値をext_ocp1_Wに設定する(ステップS17)。そしてflag_ext_ocpの値を1に設定する(ステップS20)。それによってDC/DCコンバータ10は、設定したFAULT指定値及びWARNING指定値に基づいて定電圧電源回路11の出力電流が制限される。
【0046】
レジスタW0の値が既定値ext_ocp0_max以下の場合には(ステップS16でno)、つづいてレジスタW0の値が「閾値電圧」としての既定値ext_ocp0_min未満か否かを判定する(ステップS18)。レジスタW0の値が既定値ext_ocp0_min以上である場合には(ステップS18でNo)、GND2端子とSENSE−/OCPSEL端子との間に抵抗値が10kΩの外付け抵抗R9が取り付けられていると判定する。この場合には、OCPが15%となるように、FAULT指定値をext_ocp0_Fに設定し、WARNING指定値をext_ocp0_Wに設定する(ステップS19)。そしてflag_ext_ocpの値を1に設定する(ステップS20)。それによってDC/DCコンバータ10は、設定したFAULT指定値及びWARNING指定値に基づいて定電圧電源回路11の出力電流が制限される。
【0047】
そしてレジスタW0の値が「閾値電圧」としての既定値ext_ocp0_min未満である場合には(ステップS18でYes)、SENSE−/OCPSEL端子が負荷装置20側でグランドに短絡されていると判定する。この場合には、flag_sense_mの値を1に設定する(ステップS21)。それによってDC/DCコンバータ10は、SENSE+端子とSENSE−/OCPSEL端子との間の電位差に基づいて、負荷装置20の電圧入力部の電圧が定格電圧になるように定電圧電源回路11の出力電圧Voutが制御される。
【0048】
以上説明したように、本発明に係るDC/DCコンバータ10は、リモートセンス機能を備えるとともに、リモートセンス機能を使用しない場合には、SENSE−/OCPSEL端子を所定の制御パラメータの設定端子として使用することができる。そして所定の制御パラメータは、外付け抵抗R9の抵抗値によって任意の値に設定することができる。
【0049】
このようにして本発明によれば、リモートセンス機能のために設けられた回路を他の用途にも使用することが可能な電源装置を提供することができる。また電源装置の一例としてDC/DCコンバータを例に説明したが、本発明は、例えばAC/DCコンバータにおいても実施可能であり、そのような電源装置においても本発明による作用効果が得られるのは言うまでもない。さらに本発明において所定の制御パラメータは、上記説明した定電圧電源回路11の出力電流の電流制限値に特に限定されるものではなく、定電圧電源回路11の制御に用いられる制御パラメータであれば、どのような制御パラメータでもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 DC/DCコンバータ
11 定電圧電源回路
12 入力電圧検出回路
13 出力電圧検出回路
14 制御部
15 アイソレータ
16 ドライバ
17 リモートセンス回路
20 負荷装置
R8 プルアップ抵抗
R9 外付け抵抗
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B