(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかる印刷方法および記録媒体を適用したID証発行システムについて説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかるID証発行システム全体の概略構成を示す図である。本実施形態にかかるID証発行システムは、
図1に示すように、ホストコンピュータ101と、個人情報データベース102と、入力機器103と、ID証発行装置104と、を有する。そして、ホストコンピュータ101、入力機器103、およびID証発行装置104は、インターネット等のネットワーク105を介して相互に接続されている。
【0010】
ホストコンピュータ101は、汎用コンピュータ等の情報処理装置により構成される。また、ホストコンピュータ101には、後述するID証発行装置104から発行するパスポート等の身分証明書(以下、ID証204(
図2参照)と言う)に印刷する情報の一例である個人情報(例えば、ID証204の申請者の顔画像など)を記憶する個人情報データベース102が接続されている。
【0011】
入力機器103は、ID証204(
図2参照)に印刷する個人情報を入力するための機器である。本実施形態では、入力機器103には、ID証204の申請者の顔を撮影するデジタルカメラから出力された画像から、ID証204の申請者の顔画像を読み取って出力するスキャナ等の画像処理装置107が接続されている。入力機器103は、画像処理装置107から出力された顔画像等の個人情報を、ホストコンピュータ101を介して個人情報データベース102に保存する。本実施形態では、入力機器103は、個人情報に、マイクロ文字情報を付加して、個人情報データベース102に保存する。ここで、マイクロ文字情報は、個人情報の少なくとも一部と同一の情報であっても良いし、個人情報とは異なる情報であっても良い。
【0012】
ID証発行装置104は、ホストコンピュータ101を介して個人情報データベース102から、ID証204(
図2参照)に印刷する個人情報を受け取る。ID証発行装置104は、受け取った個人情報を、ID証204に印刷する印刷部200(
図2参照)を備える。そして、ID証発行装置104は、印刷部200により個人情報を印刷したID証204を発行する。
【0013】
図2は、第1の実施形態にかかるID証発行装置が備える印刷部の概略構成の一例を示す図である。本実施形態では、ID証発行装置104が備える印刷部200は、
図2に示すように、当該印刷部200全体を制御する印刷制御部201と、後述するレーザユニット203を制御するレーザ制御装置202と、ID証204に対してレーザを照射して個人情報の印刷を行うレーザユニット203と、を有している。ID証204は、
図2に示すように、例えばポリカーボネイト等により構成される記録媒体の一例である。
【0014】
図3は、第1の実施形態にかかるID証発行装置が備える印刷部によるID証に対する印刷処理の一例を説明するための図である。
図4は、第1の実施形態にかかるID証発行装置が備える印刷部により印刷が行われたID証の断面の一例を示す図である。
【0015】
レーザ制御装置202は、レーザユニット203を制御して、ID証204に対して、当該ID証204を発色させるための第1波長のレーザを照射して、
図3(a)に示すように、顔画像205aおよび文字情報205bを含む個人情報205(第1情報の一例)をID証204に印刷する。
【0016】
次いで、レーザ制御装置202は、レーザユニット203を制御して、ID証204に対して、第1波長とは異なりかつID証204に刻印するための第2波長のレーザを照射して、マイクロ文字情報(第2情報の一例)206をID証204に印刷する。その際、レーザ制御装置202は、
図3(b)に示すように、ID証204において個人情報205を印刷する領域である第1領域の少なくとも一部の領域である第2領域(本実施形態では、文字情報205bの一部である「1」が印刷された領域)と同一の第3領域に対して、第2波長のレーザを照射してマイクロ文字情報206:「1 2 3 4」を印刷(重ね印刷)する。
【0017】
本実施形態では、個人情報205に対してマイクロ文字情報206を重ね印刷する場合、ID証204に刻印するための第2波長のレーザが当該ID証204に照射されるため、ID証204は、
図4に示すように、マイクロ文字情報206が印刷された第3領域が、ID証204の他の領域と比較して彫られた状態となる。これにより、ID証204に印刷された個人情報205に対してマイクロ文字情報206を重ね印刷しても、マイクロ文字情報206を印刷した領域が膨張することを防止できるので、個人情報205に対してマイクロ文字情報206が重ね印刷(所謂セキュリティ印刷)が行われていることが容易に認識されることを防止できる。
【0018】
本実施形態では、ID証204において個人情報205を印刷する第1領域の一部の領域を第2領域としているが、ID証204において個人情報205を印刷する第1領域の少なくとも一部の領域を第2領域とするものであれば、これに限定するものではなく、例えば、ID証204において個人情報205を印刷する第1領域全体を第2領域としても良い。
【0019】
また、本実施形態では、第2領域と同一の領域を第3領域としているが、第2領域を含む領域を第3領域とするものであれば、これに限定するものではなく、例えば、第2領域を一部に含む第3領域に対して第2波長のレーザを照射してマイクロ文字情報206を印刷しても良い。
【0020】
さらに、本実施形態では、レーザ制御装置202は、第2領域に対して、当該第2領域に印刷した文字情報205bと異なるマイクロ文字情報206を印刷しているが、これに限定するものではなく、第2領域に対して、当該第2領域に印刷された文字情報205bと同じ第2情報を印刷しても良い。
【0021】
図5は、第1の実施形態にかかるID証発行装置によるID証に対する印刷処理の流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態では、印刷制御部201は、ホストコンピュータ101等の外部機器から、ID証204の発行を指示する発行指示が入力されると、ホストコンピュータ101を介して、個人情報データベース102からID証204を発行する申請者の個人情報を受信する(ステップS501)。
【0022】
さらに、印刷制御部201は、ホストコンピュータ101を介して、個人情報データベース102から、当該受信した個人情報に付加されたマイクロ文字情報を受信する(ステップS502)。本実施形態では、印刷制御部201は、個人情報データベース102において、個人情報に付加されたマイクロ文字情報を受信しているが、これに限定するものではなく、例えば、予め設定された画像情報または受信した個人情報に応じた画像情報(例えば、当該受信した個人情報の少なくとも一部など)を、マイクロ文字情報として取得しても良い。
【0023】
次いで、印刷制御部201は、受信した個人情報およびマイクロ文字情報に対する編集処理を実行して、当該個人情報およびマイクロ文字情報が印刷されたID証204の券面の画像である券面イメージを生成する(ステップS503)。
【0024】
印刷制御部201によって券面イメージが生成されると、レーザ制御装置202は、レーザユニット203を制御して、ID証204に対して第1波長のレーザを照射して、券面イメージのうち個人情報を印刷する(ステップS504)。個人情報の印刷が完了すると、レーザ制御装置202は、レーザユニット203を制御して、当該レーザユニット203から発射されるレーザの波長を第1波長から第2波長へ変更する(ステップS505)。
【0025】
ここで、第1波長は、上述したように、ID証204を発色させるための波長である。一方、第2波長は、上述したように、第1波長とは異なりかつID証204に刻印するための波長である。一般的に、ID証204に刻印するためには、ID証204を発色させる場合よりも大きいエネルギーが必要となる。そのため、本実施形態では、第2波長は、第1波長よりも長い波長であるものとする。
【0026】
レーザユニット203から発射されるレーザの波長を第1波長から第2波長へ変更した後、レーザ制御装置202は、レーザユニット203を制御して、ID証204に対して第2波長のレーザを照射して、ID証204において個人情報が印刷された第1領域の少なくとも一部の第2領域と同一の第3領域に対して、券面イメージのうちマイクロ文字情報を印刷する(ステップS506)。これにより、レーザ制御装置202は、レーザユニット203からID証204に対して照射されるレーザの波長を第2波長に変更した後、第3領域の表面を削って、マイクロ文字情報を埋め込むセキュリティ印刷を実行する。
【0027】
このように、第1の実施形態にかかるID証発行装置104によれば、ID証204に印刷された個人情報に対してマイクロ文字情報を重ね印刷しても、マイクロ文字情報が印刷された領域が膨張することを防止できるので、個人情報に対してマイクロ文字情報の重ね印刷(所謂セキュリティ印刷)が行われていることが容易に認識されることを防止できる。
【0028】
本実施形態では、印刷部200は、1つのレーザユニット203を用いかつ当該1つのレーザユニット203からID証204に対して照射するレーザの波長を変更することにより、個人情報の印刷およびマイクロ文字情報の印刷(刻印)を行っているが、これに限定するものではなく、複数のレーザユニット203を用いて個人情報の印刷およびマイクロ文字情報の印刷を行っても良い。具体的には、印刷部200は、複数のレーザユニット203のうち第1レーザユニットから第1波長のレーザをID証204に対して照射して、ID証204に個人情報の印刷を行い、複数のレーザユニット203のうち第1レーザユニット以外の第2レーザユニットから第2波長のレーザをID証204に対して照射して、ID証204に対してマイクロ文字情報の印刷を行う。
【0029】
本実施形態では、レーザ制御装置202は、上記の
図5に示すように、レーザユニット203を制御して、ID証204に対して第1波長のレーザを照射して個人情報を印刷した後に、ID証204に対して第2波長のレーザを照射してマイクロ文字情報の印刷(刻印)を行っているが、これに限定するものではなく、ID証204に対して第2波長のレーザを照射してマイクロ文字情報を印刷した後に、ID証204に対して第1波長のレーザを照射して個人情報を印刷しても良い。
【0030】
(第2の実施形態)
本実施形態は、ID証において、個人情報が印刷された第1領域の少なくとも一部の第2領域を含む第3領域に対して、第2波長のレーザを照射して、当該第2領域に印刷された個人情報と同一の情報をマイクロ文字情報として印刷(刻印)する例である。以下の説明では、第1の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0031】
図6は、第2の実施形態にかかるID証発行装置が備える印刷部によるID証に対する印刷処理の一例を説明するための図である。本実施形態では、レーザ制御装置202は、レーザユニット203からID証204に対して第2波長のレーザを照射して、文字情報205bの一部である「1」が印刷された第2領域と同一の第3領域に対して、
図6に示すように、第2領域に印刷された第2情報(すなわち、文字情報205bの一部である「1」)と同一のマイクロ文字情報601:「1」を印刷(刻印)する。
【0032】
このように、第2の実施形態にかかるID証発行装置104によれば、ID証204の券面に印刷されたどのような個人情報に対しても、マイクロ文字情報を重ね印刷することができるので、セキュリティ印刷の適用範囲を広げることができる。
【0033】
以上説明したとおり、第1,2の実施形態によれば、個人情報に対してマイクロ文字情報の重ね印刷(所謂セキュリティ印刷)が行われていることが容易に認識されることを防止できる。
【0034】
なお、本実施形態のID証発行装置104で実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。本実施形態のID証発行装置104で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0035】
さらに、本実施形態のID証発行装置104で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のID証発行装置104で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0036】
本実施形態のID証発行装置104で実行されるプログラムは、上述した各部(印刷制御部201、レーザ制御装置202)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、印刷制御部201、レーザ制御装置202が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。