特許第6320512号(P6320512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6320512
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】ドッグクラッチを含む油圧システム
(51)【国際特許分類】
   F16D 48/02 20060101AFI20180423BHJP
   F16D 11/10 20060101ALI20180423BHJP
   F16D 25/12 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   F16D48/02 610
   F16D11/10 A
   F16D25/12 B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-505763(P2016-505763)
(86)(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公表番号】特表2016-514818(P2016-514818A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2014056022
(87)【国際公開番号】WO2014161751
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年3月16日
(31)【優先権主張番号】1350415-4
(32)【優先日】2013年4月3日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】593118656
【氏名又は名称】ボルグワーナー スウェーデン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】セヴェリンソン ラーシュ
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−225661(JP,A)
【文献】 特開2003−35360(JP,A)
【文献】 特開2005−279763(JP,A)
【文献】 特開2005−282644(JP,A)
【文献】 特開2011−144934(JP,A)
【文献】 実開平1−133552(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0087408(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/00−39/00,48/00−48/12
F16D 11/00−23/14
B60K 23/00−23/08
F16B 15/00−15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドッグクラッチ(23‐25)を含む油圧システムであって、
油圧作動式のドッグクラッチアクチュエータは、ドッグクラッチ(23‐25)を選択的に接続モードまたは非接続モードにするように配置され、
クラッチアクチュエータは、ピストン(27)を有し、ピストン(27)は、2つのクラッチモードに対応する、2つの端部位置の間を、油圧によって往復移動でき、
加圧作動油は、電気モータ(3)によって動かされるポンプ(4)を備える油圧パワーシステムによってクラッチアクチュエータに供給され、
ピストン(27)に作用する油圧を、その端部位置のいずれかのピストンによる近づきの際に減少させる手段が、クラッチアクチュエータに設けられ、油圧信号が油圧パワーシステムに送られるようになっている、油圧システム。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧システムであって、ピストン(27)がクラッチアクチュエータのそのシリンダスリーブ(39)と共に2つの作業コンパートメントを形成し、2つの作業コンパートメントは、それぞれ入口ポート(41,42)を含み、ピストン(27)には、2つのオーバーフロー孔(37)が設けられ、2つのオーバーフロー孔(37)は、ピストン(27)がその端部位置の1つにあるまたは近い時に、作業コンパートメントの1つと接触するようにそれぞれ配置される、油圧システム。
【請求項3】
請求項2に記載の油圧システムであって、クラッチアクチュエータは、ドッグクラッチ(23‐25)の近くに配置され、ドッグクラッチは、ドッグクラッチへの車軸(21)周りに、車軸を囲む筒状のピストン(27)と同軸である、油圧システム。
【請求項4】
請求項3に記載の油圧システムであって、作業コンパートメントは、ピストン(27)、シリンダ(39)、ピストン(27)上の中央シール(36)およびシリンダスリーブ(39)の2つの内部シール(43,44)によって形成され、シリンダスリーブの2つの内部シール(43,44)は、入口ポート(41,42)の軸方向外側で入口ポート(41,42)の近くに位置する、油圧システム。
【請求項5】
請求項3に記載の油圧システムであって、ピストン(27)は、車軸(21)の軸方向溝(26’)の長手方向の作動細片(26)によって、ドッグクラッチ(23‐25)のクラッチリング(25)に接続される、油圧システム。
【請求項6】
請求項3に記載の油圧システムであって、弾性位置決め装置(50)は、ピストン(27)に取り付けられ、車軸(21)の2つの周方向溝(54)のいずれかと位置決め係合するための弾性手段(52,53)を有する、油圧システム。
【請求項7】
請求項3に記載の油圧システムであって、ピストンシール、すなわち中央ピストンシール(36)および内部シリンダシール(43,44)は、Oリング45および充填PFTEのパッキングリング46をそれぞれ備える、油圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドッグクラッチを含む油圧システムに関し、油圧作動式のドッグクラッチアクチュエータは、ドッグクラッチを選択的に接続モードまたは非接続モードにするように配置される。クラッチアクチュエータは、ピストンを有し、ピストンは、2つのクラッチモードに対応する、2つの端部位置の間を、油圧によって往復移動できる。加圧作動油は、電気モータによって動かされるポンプを備える油圧パワーシステムによってクラッチアクチュエータに供給される。
【背景技術】
【0002】
当技術分野でよく知られているように、AWD(全輪駆動)車には、自動車エンジンから全ての車両ホイールに駆動トルクを配分する少なくとも1つの油圧ディスクカップリングを設けることができる。特に、そのようなカップリングは、前車軸と後車軸のホイールとの間の駆動ラインに設けることができ、ほとんどの場合、後車軸ディファレンシャルの近くである。
【0003】
時には、AWD車をFWD(前輪駆動)モードで使用することが望ましい場合がある。この場合、カップリングは非接続である、すなわち、そのディスクは互いに分離されている。
【0004】
非接続モードのカップリングで自動車を運転することにより、自動車の回転マスは減少し、燃料消費がより少なくなる。
【0005】
実際の場合、1つまたは2つのベベルギアトランスミッションを含む可能性のある、自動車のプロペラシャフトは、一端に油圧ディスクカップリングを、他端にシンプルな接続/非接続クラッチ(例えばかみ合いクラッチ)を、有する。非接続モードでは、これらのカップリングは、所望の効果を得るために非接続でなければならない。
【0006】
本発明は、上記に示したような油圧作動式のドッグクラッチアクチュエータを有する、ドッグクラッチを含む油圧システムに関する。
【0007】
AWD油圧ディスクカップリングのポンプアクチュエータシステムが、特許文献1に開示されている。そのようなシステムでは、カップリングピストンへの作動油の供給は、ポンプの回転速度によって支配される。同様のシステムを、ドッグクラッチアクチュエータの動作に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO2011/043722号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非接続/接続機能が適切に行われ、所望通りにそれぞれのモードに達するようになっていることは、非常に重要である。従って、それぞれのモードに達したという確認信号の形でチェックを得る必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これは本発明に従って達成され、その端部位置のいずれかのピストンによる近づきの際にピストンに作用する油圧を減少させる手段が、クラッチアクチュエータに設けられ、油圧信号が油圧パワーシステムに送られるようになっている。
【0011】
この油圧低下は、油圧システムでモータへの減少した電流レベルにつながる。
【0012】
クラッチアクチュエータの設計は、望ましくは、ピストンがそのシリンダスリーブと共に2つの作業コンパートメントを形成し、2つの作業コンパートメントは、それぞれ入口ポートを含み、ピストンには、2つのオーバーフロー孔が設けられ、2つのオーバーフロー孔は、ピストンがその端部位置の1つにあるまたは近い時に、作業コンパートメントの1つと接触するようにそれぞれ配置される。
【0013】
クラッチアクチュエータは、望ましくはドッグクラッチの近くに配置され、ドッグクラッチは、ドッグクラッチへの車軸周りに車軸を囲む筒状ピストンと同軸である。
【0014】
作業コンパートメントは、ピストン、シリンダ、ピストン上の中央シールおよびシリンダスリーブの2つの内部シールによって形成され、シリンダスリーブの2つの内部シールは、入口ポートの軸方向外側で近くに位置する。
【0015】
望ましくは、ピストンは、車軸の軸方向溝の長手方向の作動細片によって、ドッグクラッチのクラッチリングに接続される。
【0016】
弾性位置決め装置は、ピストンに取り付けられることができ、車軸の2つの周方向溝のいずれかと位置決め係合するための弾性手段を有することができる。これによって、ピストンは、その2つの端部位置のいずれかに確実に保持される。また、弾性手段とそれぞれの溝との間の係合は、ピストンに力を加え、その適切な端部位置と想定し、所望の信号が送られるようになっている。
【0017】
本発明は、添付図面を参照して以下でさらに詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明によるクラッチの油圧スキームを示す。
図2】本発明によるクラッチおよびクラッチアクチュエータの等角図である(クラッチアクチュエータハウジングを含まない)。
図3】接続モードにあるクラッチの図5‐8の左からの断面図である。
図4】非接続モードにあるクラッチの図5‐8の左からの断面図である。
図5】接続モードにあるクラッチ(クラッチアクチュエータを含む)を通る縦断面である。
図6】接続モードにあるクラッチ(クラッチアクチュエータを含む)を通る縦断面である。
図7】非接続モードにあるクラッチ(クラッチアクチュエータを含む)を通る対応する縦断面である。
図8】非接続モードにあるクラッチ(クラッチアクチュエータを含む)を通る対応する縦断面である。
図9図5の重要部分の拡大である。
図10図7の重要部分の拡大である。
図11】クラッチのピストンシール構造の断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
AWD(全輪駆動)車の駆動システムは、当技術分野でよく知られている。典型的な例は、特許文献1に示されている。そのようなシステムは、エンジン、ディファレンシャル付きの前車軸、中間シャフトまたはカルダンシャフト、およびディファレンシャル付きの後車軸を有する。走行状態に従ってトルクを前車軸だけでなく後車軸にも配分するために、電子制御式湿式ディスクカップリングが、駆動ラインで後車軸に、しばしば中間シャフトに、あるいはリアディファレンシャルの近くに、配置される。この湿式ディスクカップリングは、例えば国際公開WO2012/125096号に記述されている。
【0020】
単に可能な例として、AWD車の後車軸アーキテクチャの2つの実施形態が、図1および2に示されている。
【0021】
車両をAWDモードで運転する時のカップリングの機能は、別のところ(例えば言及した特許文献1)で記述される。
【0022】
AWD車をFWD(前輪駆動)モードで運転することが望ましいとき、ディスクカップリングは非接続である、すなわち、それのディスクはトルクを伝達しないように離間している。カップリングは、非接続モードにあると言うことができる。この離間効果を高めるために、それのディスクを潤滑および冷却するために通常カップリングに提供されるオイルを、カップリングから除去できる。中間推進シャフトの回転マスの加速を低減させるために、またベアリングおよびそのシーリングにおけるドラッグトルクを除去するために、クラッチを、望ましくは前車軸ディファレンシャルの近くに、設けることができ、中間シャフト1を自動車のFWDモードで停止状態にする。
【0023】
本発明は、そのようなクラッチに関係し、それは油圧制御される接続/非接続ドッグクラッチである。
【0024】
図1は、本発明によるクラッチを制御する油圧スキームを示す。
【0025】
クラッチは、シリンダ2に収納されるピストン1によって作動される。ピストン1は、図の左または右に、ピストンの両側に加えられる油圧に応じて、移動する。
【0026】
電気モータ3は、ドライブシャフト5を介してポンプ4を駆動する。圧力オーバーフローバルブ6は、システムの油圧によって、およびばね8によって、制御される。
【0027】
モータ3に、回転用の正または負電流をいずれの方向にも供給することができる。回転方向に応じて、‐同じくポンプ4‐圧力下の作動油は、油圧システムによってピストン1のいずれかの側へ供給される。これから説明する。
【0028】
油圧アクチュエータシステム用の作動油が、リザーバ8に含まれている。モータ3が第1の方向に回転すると、オイルは、一方向バルブ10が備わっている油圧ライン9を通ってポンプ4に吸い込まれ、そこからピストン1の左側へ油圧ライン11を通って吐出される。モータ3が第2の方向に回転すると、オイルは、一方向バルブ13が備わっている油圧ライン12を通ってポンプ4に吸い込まれ、そこからピストン1の右側へ油圧ライン14を通って吐出される。
【0029】
ばね7の力と圧力オーバーフローバルブ6に作用する油圧とのバランスに応じて、ピストン1の両側の油圧流れは、一方向バルブ16が備わっている油圧ライン15を通るように進路変更され、オーバーフローバルブ6を通ってリザーバ8に戻る。その結果として、シリンダ2に吐出される油圧は、ばね7によって支配される。
【0030】
図2は、本発明によるクラッチおよびクラッチアクチュエータの等角図である。クラッチは、クラッチが配置される車両の駆動部材に接続されるフランジ構成部20と、車軸21と、の間に配置される。クラッチの目的は、2つの部材20および21を、相互に明らかに接続または非接続することである。クラッチアクチュエータは、図2でそのハウジングがなく、それは、オイル吐出孔22が見えることを意味する。
【0031】
図3および4は、それぞれ、接続モードおよび非接続モードにある機械的ドッグクラッチ自体を通る断面図である。ドッグクラッチの主要部分は、フランジ構成部21の外リング23、車軸21上の内リング24、および2つの他のリング23,24の間のクラッチリング25である。示されているように、リングには噛み合い歯が設けられている。
【0032】
図3では、クラッチリング25は、2つのリング23,24の間に配置され、車軸21がフランジ構成部20に接続されるようになっているが、図4では、クラッチリング25(図4では見えない)は、2つのリング23,24と非係合状態にされ、車軸21がフランジ構成部20から切り離されるようになっている。
【0033】
ドッグクラッチの機械的および油圧作動および動作を、図5‐10に特に関連してこれから説明する。明確さのために、符号がこれらの図に、それぞれの図が示しているものの適切な理解に必要な範囲でのみ設けられている。
【0034】
2つのリング23,24との係合状態および非係合状態へのクラッチリング25の移動は、図6および8に示されているように、長手方向の作動細片26によって、行われる。図4に示されているように、細片26の数は3であり得る。それぞれの細片26は、一端でクラッチリング25に接続され、他端でクラッチアクチュエータのピストン27に接続され、車軸21の軸方向溝26’に配置される。
【0035】
特に図5に関し、クラッチアクチュエータは、ハウジング28に入っており、回転不能になるようにフランジ29によって車両の固定部に接続可能である。ベアリング30,31は、それぞれ、フランジ構成部20と車軸21との間に、車軸21とクラッチアクチュエータハウジング28との間に、設けられることができる。シーリング32は、車軸21とクラッチアクチュエータハウジング28との間に設けられることができる。
【0036】
図5および6は、接続モードにあるクラッチを示している。クラッチリング25は、外リング23および内リング24と係合状態の右側位置にある。ピストン27は、作動細片26によってそれに接続され、その右側位置にある。
【0037】
図7および8は、非接続モードにあるクラッチを示している。クラッチリング25は、2つのリング23,24と非係合状態の左側位置にある。ピストン27も、左側位置にある。
【0038】
クラッチアクチュエータの構造を、これから図9および10に関して説明する。ここに示されているのは、車軸21、クラッチアクチュエータピストン27、およびクラッチアクチュエータハウジング28である。図9は接続モードを示し、図10は非接続モードを示している。
【0039】
筒状ピストン27は、ばねリング35によって作動細片26(図9および10では見えない)に取り付けられている。それには、中央シールリング36、およびそれの両側にオーバーフロー孔37が、説明される目的で設けられている。
【0040】
支持スリーブ38およびシリンダスリーブ39は、ハウジング28に配置され、シール40によってそれに対してシールされている。シリンダスリーブ39には、作動油の入口のための2つの入口ポート41および42が設けられ、作動油は、ピストン27を図9に示されている接続モードにまたは図10に示されている非接続モードにするように作動させる。ピストンシール36は、ピストン27の往復運動の際に常に2つの入口ポート41,42の間にある。
【0041】
シリンダスリーブ39は、それぞれの入口ポート41,42の外側にあり、それぞれの入口ポート41,42には、ピストン27と係合する内部シール43,44が提供される。ピストン27の直径は、ピストンシール27の両側でいくらか減少し、供給される油圧が作用するアクティブピストン領域および従って加圧作業コンパートメントを作り出す。
【0042】
図9に関し、ピストン27は、示されている接続モードに達するために、入口ポート41を介して供給される圧力によって右に移動する。この移動中、左オーバーフロー孔37は、ピストンがその示されている端部位置に達する時に、シール43を通過するまで、作業コンパートメントと連通せず、端部位置にはクラッチが接続されている。アクチュエータのハウジングにおよびこれによって間接的にオイルリザーバにつながるオーバーフロー孔37が、作業コンパートメントと連通するようになる時、作業コンパートメントの圧力は、降下する。低下した圧力レベルは、モータ3への減少した電流レベルにつながり、接続モードに適切に達したという、およびドッグクラッチが歯に歯が対する状況でブロックされていないという、信号または表示を提供する。
【0043】
同様の論理が、非接続モードおよび右側オーバーフロー孔37と共にシール44に適用される。
【0044】
ピストンシール36,43および44の構造は、図11に示されている。ここに示されているのは、右オーバーフロー孔37との協働を示すために、特に図10の位置にあるピストンシール44である。シリンダスリーブ39の周方向溝に配置されるピストンシールは、Oリング45および充填PFTEのパッキングリング46を備えることができる。シール構造で使用される時に、PFTEには、その機械的強度、安定性、および耐摩耗性を改善するために、フィラー材料が提供されることが多い。パッキングリング46は、示されているように、ピストン27と接触する平面を有することができ、面取りした角部を有することができる。オーバーフロー孔37も、保護のために、その上部開口部で面取りまたは丸くすることができる。
【0045】
再び図10に関し、位置決め装置50が、ロックリング51によってピストン27に取り付けられている。図の左に向かって位置決め装置50はスリーブ状であることができるが、右に向かって長手方向にばねリング53によって内側へ弾性的に付勢されるフィンガー52に入り込まれるまたは分けられることができる。フィンガー52には、車軸21の周方向溝54との相互作用のためのノブが内側に設けられ、左のものは、ピストン27を接続モードの位置に保つためのものであり、右のものは、非接続モードのためのものである。また、ノブとそれぞれの溝54との間の相互作用は、それぞれのオーバーフロー孔37が開いている時に、ピストン27をその端部位置まで最後のミリメートル移動させるのを補助する。
【0046】
添付の「特許請求の範囲」の範囲内で変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11