特許第6320525号(P6320525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6320525連結式バス用モータアシストジョイントシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6320525
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】連結式バス用モータアシストジョイントシステム
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/02 20060101AFI20180423BHJP
   B62D 13/00 20060101ALI20180423BHJP
   B62D 53/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   B62D6/02 Z
   B62D13/00
   B62D53/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-524123(P2016-524123)
(86)(22)【出願日】2013年10月16日
(65)【公表番号】特表2016-537237(P2016-537237A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】CN2013085325
(87)【国際公開番号】WO2015054846
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】516280613
【氏名又は名称】アリース エコ アーク(ケイマン) シーオー.エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】楊安陶
(72)【発明者】
【氏名】陳錚錚
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−132238(JP,A)
【文献】 特開昭64−041479(JP,A)
【文献】 特開2003−315486(JP,A)
【文献】 特開平01−266078(JP,A)
【文献】 米国特許第04249629(US,A)
【文献】 特開2010−254125(JP,A)
【文献】 特公昭47−034842(JP,B1)
【文献】 特開昭60−146761(JP,A)
【文献】 特開昭60−146764(JP,A)
【文献】 特開昭60−146765(JP,A)
【文献】 実開昭60−150110(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 7/00 − 7/22
B62D 6/00 − 6/10
B62D 41/00 − 67/00
B62D 9/00 − 15/02
B62D 13/00
B62D 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールによって操舵可能な前輪とフロントフレームとトレーラフレームとを備えた連結式バスにおいて、前記フロントフレームと前記トレーラフレームとを連結するモータアシストジョイントシステムであって、
前記フロントフレームに設置されたフラットモータと、
前記トレーラフレームに設置されたサスペンションアームと、
前記連結式バスの速度を検出する速度センサと、
前記ステアリングホイールの位置を検出するステアリングホイール位置センサと、
制御部とを備え、
前記フラットモータは、
フロントフレームに設置された上側固定部及び下側固定部と、
少なくとも1つの軸受を介して、前記上側固定部及び下側固定部の間に同軸に配置され、2つの拡張構造を含むフラット回転部と、を備え、
前記サスペンションアームは、
水平な軸を介して、前記フラット回転部の前記2つの拡張構造に、旋回可能に結合され、それによって、前記フロントフレームと前記トレーラーフレームとが結合され、
前記制御部は、
前記速度センサからの車速データ及び前記ステアリングホイール位置センサからの位置データを読み取り、且つ、前記車速データと前記位置データに応じて、前記フラットモータの前記フラット回転部を制御することによって、目標ジョイント角度を調整し、
前記目標ジョイント角度は、前記フラットモータの回転角度であり、
前記制御部は、ステアリングホイールの前記位置データと前記車速データに応じて、前記目標ジョイント角度を算出する演算手法を実行し、
前記車速データが正であり、且つ前記ステアリングホイールの前記位置データが変更されば、前記目標ジョイント角度は、前記制御部によって連結式バスの前輪の操舵角度よりも小さくなるように調整され、
前記車速データが負であり、且つ前記ステアリングホイール位置データが変更されば、前記目標ジョイント角度は、前記制御部によって連結式バスの前輪の操舵角度よりも大きくなるように調整させる、
連結式バス用モータアシストジョイントシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記ステアリングホイール位置データが変更されていないことを検出した場合、前記制御部は、前記フラットモータに、前記目標ジョイント角度を維持するように指示する、
請求項1に記載の連結式バス用モータアシストジョイントシステム。
【請求項3】
ステアリングホイールによって操舵可能な前輪とフロントフレームとトレーラフレームとを備えた連結式車両において、前記フロントフレームと前記トレーラフレームとを連結するモータアシストジョイントシステムであって、
前記フロントフレームに設置されたフラットモータと、
前記トレーラフレームに設置されたサスペンションアームと、
前記連結式車両の速度を検出する速度センサと、
前記ステアリングホイールの位置を検出するステアリングホイール位置センサと、
制御部とを備え、
前記フラットモータは、上側固定部及び下側固定部と、フラット回転部と、を備え、
前記上側固定部及び前記下側固定部は、フロントフレームに設置され、
前記フラット回転部は、少なくとも1つ軸受を介して、前記上側固定部及び前記下側固定部の間に同軸に配置され、且つ2つの拡張構造を含み、
前記サスペンションアームは、トレーラーフレームに設置され、
前記サスペンションアームは、水平な軸を介して、前記フラット回転部の前記2つの拡張構造に旋回可能に結合され、それにより、前記フロントフレームと前記トレーラーフレームとが結合され、
前記制御部は、前記速度センサからの車速データと前記ステアリングホイール位置センサからの位置データを読み取り、前記車速データ及び前記位置データに応じて、前記フラットモータの前記フラット回転部を制御することによって、目標ジョイント角度を調整し、
前記目標ジョイント角度は、前記フラットモータの回転角度であり、
前記制御部は、ステアリングホイールの前記位置データと前記車速データに応じて、前記目標ジョイント角度を算出する演算手法を実行し、
前記車速データが正であり、且つ前記ステアリングホイールの前記位置データが変更されば、前記目標ジョイント角度は、前記制御部によって連結式車両の前輪の操舵角度よりも小さくなるように調整され、
前記車速データが負であり、且つ前記ステアリングホイールの前記位置データが変更されば、前記目標ジョイント角度は、前記制御部によって連結式車両の前輪の操舵角度よりも大きく調整させる、
操舵可能な前輪車軸を有する連結式車両用モータアシストジョイントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結式バス用モータアシストジョイントシステムに関するものであり、特に、ジョイント角度を調整するためにフラットモータを使用するジョイントであって、且つ、フロントフレームとトレーラーフレームからのねじり力のバランスをとるために対抗する力を生成するジョイントに関するものである。
したがって、連結式バスの走行安定性が向上し、連結式バスを駆動する安全性と快適性が向上する。本発明は、連結式バスの分野に適用される。
【背景技術】
【0002】
一般的に、市販の連結式バスは、連結式バスが高速で旋回又は駆動される場合、連結式バスの車体を安定化させるために、油圧減衰システムを使用している。しかしながら、突然の衝撃又はタイヤスリップが発生した場合には、油圧減衰システムは、即時対応をすることはできない。したがって、現在の車輪牽引システムでは、ジョイント角度を制御することは困難である。連結式バスが高速で駆動されると、連結式バスのトレーラーフレームは振動に供されることが避けられない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、連結式バスの駆動における安定性と快適性を高めるため、モータアシストジョイントシステムを提供する。
【0004】
本発明の別の目的は、望ましくない振動を回避するために、連結式バスの速度に応じて、高感度な減衰力を算出及び生成するモータアシストジョイントシステムを提供することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、モータアシストジョイントシステムを提供する。オーバーステアリング事象又はタイヤスリップ事象が発生したときに、モータアシストジョイントシステムは、連結式バスにおける慣性のバランスをとるために対抗する力を生成する。したがって、ジョイント角度は、安全な範囲にすぐに調整され、連結式バスを駆動する性能と安全性が向上する。
【0006】
本発明の一態様によれば、連結式バス用モータアシストジョイントシステムが提供される。モータアシストジョイントシステムは、上側固定部、下側固定部、フラット回転部とサスペンションアームを含む。上側固定部と下側固定部はフロントフレームに設置される。フラット回転部は、少なくとも一つの軸受を介して、上側固定部と下側固定部の間に、同軸となるように配置されている。サスペンションアームは、トレーラーフレームに設置されている。サスペンションアームは、水平な軸を介して、フラット回転部の拡張構造に旋回可能に結合されており、それによって、フロントフレームとトレーラーフレームが上下に移動可能となる。
【0007】
一実施形態では、連結式バス用モータアシストジョイントシステムは、さらに、速度センサ、ステアリングホイール位置センサ及び制御部を含む。制御部は、速度センサから速度データと、ステアリングホイール位置センサからの位置データを読み取り、速度データ及び位置データに従って、目標ジョイント角度を調整する。
【0008】
一実施形態において、制御部は、低速の制限を設定し、フラット回転部の旋回動作が低速の制限に応じて許可されるかどうかを判断するという演算手法を実行する。
【0009】
一実施形態では、制御部は、速度データに応じてフラット回転部の旋回動作を制限する。
【0010】
一実施形態では、制御部は、連結式バスがリバースモードである場合、目標ジョイント角度を大きくする。
【0011】
本発明の別の態様によれば、連結式バス用モータアシストジョイントシステムが提供される。モータアシストジョイントシステムは、モータアシストジョイント、ジョイントベース、拡張構造、速度センサ、ステアリングホイール位置センサ及び制御部を含む。モータアシストジョイントは、固定部本体と回転部を含む。ジョイントベースは、固定部本体とフロントフレームに接続されている。拡張構造は、サスペンションアームを介して、固定本体をトレーラーフレームに接続するために用いられ、トレーラーフレームが、垂直方向に動くことを可能にする。制御部は、速度センサからの速度データとステアリングホイール位置センサからのステアリングホイール位置データに応じて目標ジョイント角度を調整する。
【0012】
一実施形態では、制御部は、第一の速度制限と第二の速度制限を設定する演算手法を実行する。制御部は、モータアシストジョイントの旋回動作が第一の速度制限に応じて許可されるかどうかを判断する。さらに、制御部は、第二の速度制限に応じて、モータアシストジョイントの旋回動作を制限する。
【0013】
一実施形態では、制御部は、ステアリングホイール位置データ及び速度データに基づいて、適切なジョイント角度を算出する演算手法を実行する。速度データが正の場合、目標ジョイント角度は、連結式バスの前輪の操舵角度よりも小さい。速度データが負である場合、目標ジョイント角度は連結式バスの前輪の操舵角度よりも大きい。
【0014】
一実施形態では、制御部は、モータアシストジョイントの旋回速度を制御する演算手法を実行する。旋回速度は、速度データと目標ジョイント角度の関係式に従って決定される。
【0015】
一実施形態では、制御部により、ステアリングホイール位置データが変更されていないことを検出された場合、制御部は、モータアシストジョイントが目標ジョイント角度を維持するように指示する。
【0016】
本発明の態様によれば、操舵可能な前輪車軸を備えた、連結式車両用モータアシストジョイントシステムが提供される。モータアシストジョイントシステムは、上側固定部、下側固定部、フラット回転部、及びサスペンションアームを含む。上側固定部と下側固定部は、フロントフレームに設置されている。フラット回転部は、少なくとも一つの軸受を介して、上側固定部と下側固定部の間に、同軸となるように配置されている。サスペンションアームは、トレーラーフレームに設置されている。サスペンションアームは、水平な軸を介して、フラット回転部の拡張構造に、旋回可能に結合されており、それによって、フロントフレームとトレーラーフレームが上下に移動可能となる。
【0017】
本発明の上記の内容は、以下の詳細な説明と付随する図面を検討した後、当業者により容易に明らかなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係る、連結式バス用モータアシストジョイントシステムを示す概略等角図である。
【0019】
図2図2は、本発明の実施形態に係る、連結式バス用モータアシストジョイントシステムを示す概略分解図である。
【0020】
図3図3は、種々の速度における、ステアリングホイールの位置と目標ジョイント角度との関係を示すプロットである。
【0021】
図4図4は、種々の速度における、モータアシストジョイントの最大許容速度を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の概念によれば、高感度の連結式ジョイントシステムが提供される。連結式ジョイントシステムは、連結式バスの駆動能力を高め、駆動システムの整合性を提供することができる。一般的に、連結式バスはフロントフレームとトレーラーフレームを備えている。さらに、操舵前輪セット、中間の車輪セット及び後輪セットは、フロントフレームとトレーラーフレームに設置されている。一般的に、駆動軸は、連結式バスを駆動するために、連結式バスの後輪に接続されている。
【0023】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る、連結式バス用モータアシストジョイントシステムの構成要素を示す。モータアシストジョイントシステムは、上側固定部106、下側固定部103、フラット回転部105、上側軸受109及び下側軸受108含む。上側固定部106と下側固定部103は、フロントフレーム101に設置されている。フラット回転部105は、上側固定部106及び下側固定部103との間に配置されている。フラット回転部105は、2つの回転部の拡張構造を含み、それらは、水平な軸116を介してサスペンションアーム104に接続される。回転部の拡張構造によって、フロントフレーム101とトレーラーフレーム102は、互いに、上下に相対して移動できる。上側軸受109は、上側軸受凹部115に設置され、フラット回転部105と上側固定部106との間に配置される。したがって、フロントフレーム101とトレーラーフレーム102は、互いに相対して回転可能である。
【0024】
モータアシストジョイントシステムは、さらに、ステアリングホイールの位置、道路の位置、連結式バスの速度、任意の他の適切な情報を読み取るための制御部を備える。
【0025】
本発明の制御方法は、図3を参照して説明される。図3に示すように、制御部は、種々の速度に応じて目標ジョイント角度に応じて種々のゲイン値を設定する。連結式バスが高速で真っ直ぐ走行している場合には、目標ジョイント角度は、連結式バスが低速である場合と比べて小さい。例えば、ステアリングホイールが10度傾き、連結式バスが時速約40マイルの速度で車線変更動作を行った場合、目標ジョイント角度は、制御部によって5度に設定される。その結果、安定性が向上する。一方、ステアリングホイールが10度傾き、連結式バスが時速5マイルの速度で車線変更動作を行った場合、目標ジョイント角度は、制御部によって8度に設定される。その結果、操舵動作がより滑らかになる。換言すれば、制御部は、検出された速度に応じて目標ジョイント角度を調整する。
【0026】
図3を再度参照のこと。連結式バスの速度が低速の制限を超えるにつれ、操舵動作には大きなジョイント角度を必要とするため、ステアリングホイールの位置に応じて目標ジョイント角度のゲインが増す。連結式バスの速度が高速の上限を超えてつれ、ステアリングホイールの位置に応じて目標ジョイント角度のゲインが減る。これにより、車線変更動作の安定性が向上する。
【0027】
図3を再度参照のこと。連結式バスが反転している間、連結式バスのトランスミッション軸がトレーラーの車軸に設置されていることにより、ステアリングホイールの位置に対応する目標ジョイント角度のゲインは明らかに増す。連結式バスが反転している間、トレーラーの車軸の位置により、対抗する力が生じる。対抗する力に応じて、連結式ジョイントは、垂直方向に引っ張られる。さらに、連結式バスが、より滑らかな反転軌跡ができるように、リバースモードではより大きなゲインが必要とされる。その結果、連結式バスが反転している間、制御部は、目標ジョイント角度の値を大きくする必要がある。
【0028】
制御方法における別の実施例を図4に示す。ジョイントの最大角速度は、車速に応じて決定される。ゼロに近い正のゾーンでは、連結式バスは、モータアシストジョイントを適切に制御するため、且つ、タイヤの摩耗を回避するために、遅い速度で駆動される。連結式バスの速度が、指定された速度制限を超えていない場合、油圧式ターンテーブルのジョイント角度は変化しない。従って、モータアシストジョイントの旋回動作が可能であるか否かを判断するために、標準的な速度値を定義する必要がある。
【0029】
図4を再度参照のこと。車体の速度が高速の制限を超えた場合に、連結式バスを駆動する安定性と快適性は、油圧ターンテーブルの旋回速度によって影響されるので、モータアシストジョイントの最大角速度は、制御部によって制限される。連結式バスが高速道路で駆動されたときに、この状況は通常起こることである。従って、モータアシストジョイントの最大角速度は、連結式バスの速度に応じて、すぐに、調整及び判断される。
【0030】
図1及び図2を再度参照のこと。回転部は磁石が装備される。固定部はコイルが装備される。磁石とコイルの機能が交換されてもよいことに留意されたい。
図1
図2
図3
図4