特許第6320797号(P6320797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6320797
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】液状口唇化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20180423BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20180423BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20180423BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180423BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20180423BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   A61K8/891
   A61K8/37
   A61K8/73
   A61K8/81
   A61K8/92
   A61Q1/04
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-41174(P2014-41174)
(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公開番号】特開2014-198705(P2014-198705A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2016年9月7日
(31)【優先権主張番号】特願2013-48681(P2013-48681)
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 千恵
(72)【発明者】
【氏名】奥山 雅樹
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/150852(WO,A1)
【文献】 特開2007−277189(JP,A)
【文献】 特開2003−226609(JP,A)
【文献】 特開2007−238578(JP,A)
【文献】 特開2012−149041(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/191302(WO,A1)
【文献】 特開2005−022987(JP,A)
【文献】 特開2001−294515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/891
A61K 8/37
A61K 8/73
A61K 8/81
A61K 8/92
A61Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、及び(D);
(A)ジメチルポリシロキサンとフェニル変性シリコーンの混合物であるシリコーン油 10〜50質量
(B)ダイマージリノール酸誘導体 1〜10質量
(C)デキストリン脂肪酸エステル 1〜10質量
(D)シリコーン油を除く油剤
を含有し、前記成分(A)の30℃における粘度が500〜1500mPa・sである
ことを特徴とする液状口唇化粧料。
【請求項2】
前期成分(B)がダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)であることを特徴とする請求項に記載の液状口唇化粧料。
【請求項3】
揮発性成分の含有量が5質量%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液状口唇化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液状口唇化粧料に関し、更に詳細には、塗布時にべたつかず軽いタッチでのび広がりながら、膜厚・均一に付着することでツヤ高く美しい仕上がりが得られ、口唇への負担感がなく、さらに安定性も良好な液状口唇化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液状口唇化粧料においては、付着性が高く、膜厚に付着する油剤を多量に配合することで、ツヤ高い仕上がりを演出するものが主流であった。近年、べたつかず軽いタッチでのび広がる液状口唇化粧料が支持されるようになったが、従来の技術ではべたつき、タッチが重くなってしまい、こうした品質を具現化できなかった。これに対し、シリコーン油を添加することで軽いタッチを具現化する検討がなされている。例えば、フェニルシリコーンを多量配合することでべたつきを抑えた技術(特許文献1)、炭化水素油分とデキストリン脂肪酸エステルとメチルフェニルポリシロキサンに揮発性炭化水素を組み合わせる技術(特許文献2)等が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−149041号公報
【特許文献2】特許第4766720号公報
【0004】
しかしながら、これらの文献の技術では、塗布後にシリコーンが分離するため、得られる化粧膜が不均一であり、また製剤としての安定性が十分ではなかった。また、特許文献2の技術では、揮発性油剤を併用しているため、口唇に負担感を感じる場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、塗布時にべたつかず軽いタッチでのび広がりながらも、膜厚・均一に付着することでツヤ高く美しい仕上がりが得られ、口唇への負担感のなさや製剤としての安定性にも優れる液状口唇化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討の結果、通常の液状口唇化粧料に使用される油剤の一部を、特定の粘度のシリコーン油に一定量置き換えることで、揮発性油剤を含有しなくても、べたつかず軽いタッチでのび広がり、安定性にも優れる製剤が得られることを見出した。さらに、ダイマージリノール酸誘導体を添加することで、軽いタッチを維持しつつも膜厚・均一に付着し、ツヤ高く美しい仕上がりが得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の成分(A)(B)(C)及び(D);
(A)ジメチルポリシロキサンとフェニル変性シリコーンの混合物であるシリコーン油 10〜50質量
(B)ダイマージリノール酸誘導体 1〜10質量
(C)デキストリン脂肪酸エステル 1〜10質量
(D)シリコーン油を除く油
を含有し、前記成分(A)の30℃における粘度が500〜1500mPa・sであることを特徴とする液状口唇化粧料である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は液状口唇化粧料に関し、塗布時にべたつかず軽いタッチでのび広がりながら、膜厚・均一に付着することでツヤ高く美しい仕上がりが得られ、口唇への負担感がなく、さらに安定性も良好な液状口唇化粧料に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における成分(A)シリコーン油は、30℃において粘度が500〜1500mPa・sのシリコーン油である。500mPa・sよりも粘度が低いと十分な膜厚が得られず、ツヤ高い仕上がりとならない。また、1500mPa・sよりも粘度が高いとタッチが重くなってしまい、良好な使用感が得られない。更に700〜1200mPa・sの範囲であると、膜の均一性の点において更に好ましい。
【0010】
本発明における成分(A)の含有量は、液状口唇化粧料中に10〜50質量%(以下、単に%とする)が好ましく、更に好ましくは20〜40%である。この範囲を下回ると、軽いタッチが得られず、この範囲を上回ると、製剤の安定性が顕著に悪化する。
【0011】
成分(A)のシリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、フェニル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。特に限定されないが、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンのメチル基が一部フェニル基に置換されたフェニルシリコーンであることが好ましい。これらの市販品としては、KF−96A−6cs、KF−96−10cs/20cs/30cs/50cs/100cs/200cs/300c/350cs/500cs/1000cs/3000cs/5000cs、KF−96H−6000cs/1万cs/12500cs/3万cs/5万cs/6万cs/10万cs/30万cs/50万cs/100万cs、KF−50−100cs/1000cs、KF−53、KF−54、KF−56A、KF−54HV、(以上、信越化学工業社製)、SH−200 C Fluid 6CS/10CS/20CS/30CS/50CS/100CS/200CS/350CS/500CS/1000CS/3000CS/5000CS/10000CS/12500CS/30000CS/60000CS/100000CS/1000000CS、BY11−040/003/007/014/026/320、PH−1555 HRI Cosmetic Fluid、FZ−3156(以上東レ・ダウコ−ニング社製)等が挙げられる。これらは1種又は、2種以上を組み合わせて適宜所定の粘度に調整して使用することもできる。
【0012】
更に本発明において成分(A)は、ジメチルポリシロキサンとフェニル変性シリコーンの混合物であることが好ましい。フェニル変性シリコーンを含有することで、成分(C)のデキストリン脂肪酸エステルと成分(D)油剤からなるオイルゲルと混和しやすくなり安定性が向上する。ジメチルポリシロキサンの含有量は、液状口唇化粧料中に5〜25%が好ましく、更に好ましくは10〜20%である。フェニル変性シリコーンの含有量は、液状口唇化粧料中に3〜20%が好ましく、更に好ましくは5〜15%である。
【0013】
本発明において、上記シリコーン油の粘度は、例えば、単一円筒型回転粘度計ビスメトロン(芝浦システム社製)等のブルックフィールド型粘度計を使用して測定された値である。具体的に粘度値は次のようにして測定される。まず、測定試料を外径45mm、内径38mm、高さ82mmのガラス製ビンにエアスペースが生じないように充填し、ふたをして30℃恒温槽にて一昼夜放置する。翌日、単一円筒型回転粘度計ビスメトロン(登録商標)(芝浦システム社製)にて、付属の1〜4号ローターを用い、0.3〜30rpmで1分後の測定値を読み取り、各々の乗数を乗したものが粘度値となる
【0014】
本発明に使用される成分(B)ダイマージリノール酸誘導体は、主としてリノール酸を2〜3分子重合し得られたダイマー酸の誘導体である。本発明において、膜厚・均一な付着とツヤ高く美しい仕上がりを演出するものである。
【0015】
本発明における成分(B)は、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)が好ましい。ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)は、主としてリノール酸を2〜3分子重合し得られたダイマー酸と、フィトステロール、イソステアリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等からなる混合アルコールとのエステルである。市販品としては、INCI名がダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)であるPLANDOOL−S、PLANDOOL−H、INCI名がダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)であるPLANDOOL−G(日本精化社製)等が挙げられる。
【0016】
本発明における成分(B)の含有量は1〜10%が好ましく、更に好ましくは3〜8%である。1%より少ないと化粧膜の厚みや、均一に付着したツヤ高く美しい仕上がりが得られず、10%を超えると使用感が重くなってしまう。
【0017】
本発明に用いられる成分(C)のデキストリン脂肪酸エステルは油性成分をゲル化し、幅広い範囲で粘度を付与することができ、例えば、炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和脂肪酸と、平均重合度10〜50のデキストリンとのエステル化合物が挙げられる。具体例としては、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。市販品としてはレオパールKL2、レオパールTL2、レオパールTT2、レオパールMKL2(以上、千葉製粉社製)等が挙げられる。中でも、パルミチン酸デキストリンであるレオパールKL2、レオパールTL2が好ましい。
【0018】
本発明における成分(C)デキストリン脂肪酸エステルの含有量は、特に限定されないが、1〜10%が好ましく、さらに好ましくは3〜7%である。1%より少ないと化粧料を膜厚に塗布することが困難であり、10%を越えると使用時の伸び広がりの良さが得られない。
【0019】
本発明に使用される成分(D)の油剤としては、成分(A)に含まれるものを除き、通常化粧料に用いられる油であれば特に制約なく使用することができ、動物油、植物油、合成油等の起源や半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等を使用することができる。具体的には、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ミツロウ等の油脂類、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、ホホバ油等のエステル類、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、油溶性美容成分等が挙げられる。
中でも、成分(C)デキストリン脂肪酸エステルによりゲル化されやすいエステル油を含有することが好ましく、更にトリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、炭酸ジアルキルがべた付きのない使用感の点で好ましい。トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルの市販品としては、TRIFAT S−308(日本サーファクタント工業社製)、トリイソステアリン酸ジグリセリルは、コスモール43V(日清オイリオ社製)、リンゴ酸ジイソステアリルは、コスモール222(日清オイリオ社製)、炭酸ジアルキルは、LIALCARB SR-1000/R(三井化学ファイン社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明に使用される成分(D)の油剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、口唇用化粧料中に20〜80%、特に30〜80%含有されることが好ましい。この範囲であれば、使用感やツヤ感に優れた液状口唇化粧料を得ることができる。
【0021】
さらに、本発明に使用される成分(D)の油剤は、揮発性の成分が5%以下であることが好ましい。揮発性の成分を含まなければ、口唇に対する負担感がさらに軽減される。
【0022】
本発明の口唇化粧料は、上記の成分(A)〜(D)の他に、通常化粧料に使用される成
分、無機顔料、有機顔料及び色素等の粉体およびそれらのシリコーン処理物やフッ素化合物処理物、界面活性剤、繊維、多価アルコール、水溶性高分子、水溶性皮膜形成性樹脂、保湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0023】
粉体成分としては、化粧料に一般に使用される粉体として用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等や、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、セルロース等の維等が挙げられる。これらはフッ素化合物、シリコ−ン油、粉体、油剤、ゲル化剤、エマルションポリマー、界面活性剤等で表面処理されていてもよい。これらの粉体は、1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。
【0024】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ水等の植物抽出液が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2−ペンタジオール等が挙げられる。
【0025】
本発明の液状口唇化粧料は、25℃で流動性を有するものをいい、口紅、グロス、口紅オーバーコート、口紅下地、リップエッセンス等に用いることができる。特にツヤのある化粧膜を得られることから、口紅、グロスに好適に用いられる。
【実施例】
【0026】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例1〜8及び比較例1〜8:油性液状口紅
下記表1及び2に示す処方の油性液状口紅を調製し、イ.のび広がりの軽さ、ロ.膜の均一さ、ハ.膜厚さ、ニ.負担感のなさ、ホ.製剤の安定性について下記評価方法により評価した。その結果も併せて表に示す。
【0027】
【表1】
【表2】
※1:KF−96−100cs(信越化学工業社製)
※2:KF−96−1000cs(信越化学工業社製)
※3:KF−96−10万cs(信越化学工業社製)
※4:KF−54(信越化学工業社製)
※5:PLANDOOL−S(日本精化社製)
※6:レオパール KL2(千葉製粉社製)
※7:LIALCARB SR−1000/R(三井化学ファイン社製)
※8:AEROSIL R976S(日本アエロジル社製)
【0028】
(製造方法)
A:成分(1)〜(13)を85〜95℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(14)〜(20)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、加熱して容器に充填し、冷却後、油性液状口紅を得た。
【0029】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
イ.のび広がりの軽さ
ロ.膜の均一さ
ハ.膜厚さ
ニ.負担感のなさ
ホ.製剤の安定性
イ〜ニの項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が下記評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。尚、評価項目イは試料を唇に塗布する際の使用感から評価してもらい、ロ、ハは各試料を2度唇に塗布した直後に評価してもらった。評価項目ニについては、試料を口唇に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらった後8時間後に評価した。また、評価項目ホについては、容器に充填した口紅の40℃、1ヶ月後の状態を観察し、顔料の凝集や分離が見られていないかを評価し、下記安定性判定基準により判定した。
【0030】
<評価基準>
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
<判定基準>
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
<安定性判定基準>
◎ :顔料の凝集及び分離がまったく見られない
○ :目立たないが僅かに顔料の凝集または分離が見られる
△ :顔料の凝集または分離が見られる
× :顕著な顔料の凝集及び分離が見られる
【0031】
表1及び2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜8の油性液状口紅は、比較例1〜8の油性液状口紅に比べ、のび広がりの軽さ、膜の均一さ、膜厚さ、負担感のなさ、製剤の安定性に優れたものであった。
一方、成分(A)の量が多すぎる比較例1では、系の安定性を保つことができず、40℃1ヶ月後に顕著な分離や顔料の凝集が見られた。逆に成分(A)の量が少なすぎる比較例2では、シリコーン特有の軽い伸び広がりが得られず、良好な使用感が得られなかった。成分(A)の粘度が高い比較例3においては、塗布時の感触が重く軽いのび広がりが得られなかった。逆に成分(A)の粘度が低い比較例4では、粘度が低すぎて均一に塗布出来ず、化粧膜が薄く、満足のいくツヤ感が得られなかった。成分(B)を抜いた比較例5においても、膜の均一性・厚みが不十分であり、ツヤ感の足りない仕上がりであった。成分(B)の代わりに、成分(B)と同じ半固形状のワセリンを含有した比較例6においても、やはり膜の均一性・厚みが不十分であったため、十分なツヤ感が得られなかった。また成分(B)の代わりに、屈折率が高く単体でのツヤ感にはすぐれる酢酸ラノリンを含有した比較例7では、十分な膜厚が得られず、製剤としてはツヤのある仕上がりとならなかった。成分(B)を抜き、ポリブテンを増量することで膜厚さを確保し、ツヤ感の向上を狙った比較例8では、のび広がりが重くなってしまい、使用感に劣っていた。
【0032】
実施例9:液状リップグロス
(成分) (%)
1.ジメチコン(1000mPa・s)※1 10
2.ジメチコン(10万mPa・s)※3 1
3.メチルフェニルポリシロキサン(400mPa・s)※4 7
4.メチルフェニルポリシロキサン(15mPa・s)※9 5
5.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル)※5 5
6.ポリブテン 20
7.重質流動イソパラフィン※10 20
8.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
9.リンゴ酸ジイソステアリル 10
10.パルミチン酸デキストリン※6 2
11.ミリスチン酸デキストリン※11 3
12.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.1
13.シリル化処理無水ケイ酸※8 1
14.赤色202号 0.05
15.酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)※12 5
16.ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・
エポキシ積層末※13 1
17.雲母チタン※14 1
18.ベンガラ被覆雲母チタン※15 1
19.酢酸トコフェロール 0.1
20.香料 0.1
※9:KF−56A(信越化学工業社製)
※10:パールリーム18(日油社製)
※11:レオパール MKL2(千葉製粉社製)
※12:メタシャイン1080RC−Y(日本板硝子社製)
※13:アルミフレークシルバー0.15mm(角八魚燐箔社製)
※14:TIMICA EXTRA BRIGHT 1500(BASF社製)
※15:クロイゾネルージュフランベ(BASF社製)2%パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩処理

(製造方法)
A:成分(1)〜(12)を100〜110℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(13)〜(20)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、加熱して容器に充填し、冷却後、液状リップグロスを得た。
実施例9のリップグロスは、のび広がりが軽く、膜の均一さ、膜厚さに優れツヤ感に優れる仕上がりであった。また口唇への負担感もなく、製剤の安定性にも優れていた。
【0033】
実施例10:液状リップエッセンス
(成分) (%)
1.ジメチコン(100mPa・s)※1 7
2.ジメチコン(1000mPa・s)※2 3
3.メチルフェニルポリシロキサン(400mPa・s)※4 15
4.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル)※5 10
5.ポリブテン 45
6.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
7.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/
フィトステリル/ベヘニル)※16 3
8.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5
9.パルミチン酸デキストリン※6 3
10.(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリン※16 1
11.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.1
12.シリル化処理無水ケイ酸※8 1
13.フェノキシエタノール 0.1
14.ローズマリーエキス 0.1
15.精製水 0.1
※16:エルデュウ PS−306(味の素社製)
※17:レオパール TT2(千葉製粉社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(11)を100〜110℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(12)〜(15)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、加熱して容器に充填し、冷却後、液状リップエッセンスを得た。
実施例10のリップエッセンスは、のび広がりが軽く、膜の均一さ、膜厚さに優れツヤ感に優れる仕上がりであった。また口唇への負担感もなく、製剤の安定性にも優れていた。
【0034】
実施例11:液状口紅オーバーコート
(成分) (%)
1.ジメチコン(100mPa・s)※1 6
2.ジメチコン(1000mPa・s)※2 4
3.メチルフェニルポリシロキサン(400mPa・s)※4 13
4.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル)※5 10
5.ポリブテン 40
6.流動パラフィン 10
7.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
8.トリメリト酸トリトリデシル※18 5
9.パルミチン酸デキストリン※6 5
10.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.1
11.シリル化処理無水ケイ酸※8 5
12.フェノキシエタノール 0.1
13.メチルシロキサン網状重合体※19 3
14.天然ビタミンE 0.1
15.アルニカエキス 0.1
※18:LIPONATE TDTM(LIPO CHEMICALS INC社製)
※19:トスパール2000B(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(10)を100〜110℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(11)〜(15)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、加熱して口紅容器に流し込み、冷却後、液状口紅オーバーコートを得た。
実施例11の口紅オーバーコートは、のび広がりが軽く、膜の均一さ、膜厚さに優れツヤ感に優れる仕上がりであった。また口唇への負担感もなく、製剤の安定性にも優れていた。