【文献】
International Journal of Pharmaceutics,2007年 6月13日,Vol.344,P.16-25,doi:10.1016/j.ijpharm.2007.05.067
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中で、浸透圧活性作用剤を含む浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体を形成する工程と、
前記形成した浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体を、200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中に維持する工程とを含み、
ここで、ナノ担体相の重量オスモル濃度−懸濁媒質を含む系平均重量オスモル濃度として計算される浸透圧勾配が、前記形成工程および前記維持工程の間じゅうずっと、140mOsm/kg以下であり、
任意にここで、前記浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体が形成される前記環境と、前記浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体が維持される前記環境とが同じである、方法。
200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中で、前記形成した浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体を処理する工程、任意にここで、
(a) 前記処理する工程が、前記合成ナノ担体を洗浄すること、前記合成ナノ担体を遠心すること、前記合成ナノ担体を濾過すること、前記合成ナノ担体を濃縮または希釈すること、前記合成ナノ担体を凍結すること、前記合成ナノ担体を乾燥させること、前記合成ナノ担体を他の合成ナノ担体または添加剤もしくは賦形剤と組み合わせること、前記合成ナノ担体のpHまたは緩衝液環境を調整すること、ゲルまたは高粘度媒質中に前記合成ナノ担体を封入すること、前記合成ナノ担体を再懸濁すること、前記合成ナノ担体を共有結合的にまたはコーティングもしくはアニーリングなどの物理学的プロセスにより表面修飾すること、前記合成ナノ担体に活性作用剤または賦形剤を含浸させるまたはドープすること、前記合成ナノ担体を滅菌すること、前記合成ナノ担体を投与のために再構成すること、または上記のいずれかの組み合わせを含み;および/または
(b) 200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中で、前記形成した浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体を保存する工程;および/または
(c) 前記形成した浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体を、前記形成した浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体が200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中に維持される剤形に調合する工程
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
浸透圧活性作用剤が、合成ナノ担体中に、合成ナノ担体の理論総重量を基準として約2、約3、約4、約5、約6、約7または約8重量パーセントの量で存在する、請求項3または4に記載の方法。
前記凍結乾燥剤が、塩および緩衝剤、単純または複合糖質、ポリオール、pH調整剤、キレート剤および抗酸化剤、安定剤および防腐剤、または界面活性剤を含み、任意にここで、前記塩および緩衝剤が、NaCl、NaPO4、またはTrisを含み、単純または複合糖質が、スクロース、デキストロース、デキストラン、またはカルボキシメチルセルロースを含み、ポリオールが、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、またはポリビニルアルコールを含み、pH調整剤が、HCl、NaOH、またはクエン酸ナトリウムを含み、キレート剤および抗酸化剤が、EDTA、アスコルビン酸、またはα−トコフェロールを含み、安定剤および防腐剤が、ゼラチン、グリシン、ヒスチジン、またはベンジルアルコールを含み、および/または界面活性剤が、ポリソルベート80、デオキシコール酸ナトリウム、またはTriton X−100を含む、請求項7に記載の凍結乾燥剤形。
前記浸透圧活性作用剤が、前記合成ナノ担体中に、前記合成ナノ担体の理論総重量を基準として約2、約3、約4、約5、約6、約7または約8重量パーセントの量で存在する、請求項1、2、7および8のいずれか一項に記載の剤形。
前記浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体が、pH作動型浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体を含む、請求項1、2および7〜10のいずれか一項に記載の剤形。
請求項3〜6のいずれか一項において定義された方法ステップを含む、浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体を含む剤形を製造する方法。
請求項1、2および7〜11のいずれか一項に記載の剤形を含み、任意に:(a)使用および/または混合に関する説明書;および/または(b)再構成用の作用剤または薬学的に許容できる担体をさらに含む、キット。
浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体を対象に投与することを含む方法のための、200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中に、浸透圧活性作用剤を含む浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体であって、
ここで、ナノ担体相の重量オスモル濃度−懸濁媒質を含む系平均重量オスモル濃度として計算される浸透圧勾配が、140mOsm/kg以下であり、
任意にここで:
前記浸透圧活性作用剤が、前記合成ナノ担体中に、請求項9に記載の重量パーセントの1から選択される量で存在する;および/または
前記浸透圧活性作用剤が、請求項10に記載の単離核酸、ポリマー、単離ペプチド、単離糖、大員環、またはイオン、補因子、補酵素、リガンド、疎水的に対をなす作用剤、または上記のいずれかの水素結合供与体もしくは受容体から選択される、
前記浸透圧媒介性放出バリアフリー二重エマルジョンポリマー合成ナノ担体。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明について詳述する前に、本発明が、当然変化し得るものとして、特別に例示される材料またはプロセスパラメータに限定されないことは理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語が、あくまで本発明の特定の実施形態を記述することを目的とし、本発明を説明するための代替用語の使用の限定が意図されていないことは理解されるべきである。
【0018】
本明細書中で引用されるすべての発行物、特許および特許出願は、上記または下記のいずれかであっても、あらゆる目的においてそれら全体が参照により本明細書中に援用される。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲でいう単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が明示されていない限り、複数形の指示物を包含する。例えば、「ポリマー」は2つ以上のこの種の分子の混合物または異なる分子重量の単一ポリマー種の混合物を包含し、「合成ナノ担体」は2つ以上のこの種の合成ナノ担体または複数のこの種の合成ナノ担体の混合物を包含し、「DNA分子」は2つ以上のこの種のDNA分子または複数のこの種のDNA分子の混合物を包含し、「アジュバント」は2つ以上のこの種の材料または複数のアジュバント分子の混合物、およびこれらに類するものを包含する。
【0020】
本明細書において「含む(comprise)」という用語、またはそのバリエーション(「備える(comprises)」もしくは「包含する(comprising)」など)は、列挙されている任意の完全体(例えばフィーチャ、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップもしくは制限)、または完全体の群(例えばフィーチャ、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップもしくは制限)を包含することを指すが、他の任意の完全体または完全体の群を排除するものではないと読むべきである。したがって、本明細書において「包含する(comprising)」という用語は包括的であり、列挙されていない付加的な完全体または方法/プロセスステップを除外するものではない。
【0021】
本明細書に記載のいかなる組成物および方法の実施形態においても、「包含する(comprising)」は「から本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」と置き換えることができる。「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、指定された完全体またはステップだけでなく、請求された発明の特徴もしくは機能に実質的な影響を及ぼさない完全体またはステップも必要とする。本明細書において「で構成される(consisting)」という用語は、列挙されている完全体(例えばフィーチャ、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップもしくは制限)、または完全体の群(例えばフィーチャ、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップもしくは制限)が単独で存在することを示すために使用されている。
【0022】
A.はじめに
発明者らは、予想外にまた驚くべきことに、上記の課題および制限が、本明細書で開示される本発明を実施することによって克服できることを発見した。特に、発明者らは、予想外に、カプセル化された浸透圧活性作用剤を含む浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体を含む剤形を含む組成物、および関連する方法を提供することが可能であることを発見した。本発明はまた、200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中で、浸透圧活性作用剤を含む浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体を形成する工程と;形成した浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体を、200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中に維持する工程とを含む方法にも関する。本発明はさらに、カプセル化された浸透圧活性作用剤を含む凍結乾燥浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体と;凍結乾燥剤形の再構成時に200〜500mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する媒体を提供する凍結乾燥剤とを含む凍結乾燥剤形に関する。本発明はさらに、200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中に、浸透圧活性作用剤を含む浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体を提供する工程と;浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体を対象に投与する工程とを含む方法に関する。
【0023】
本明細書に記載される発明は、浸透圧活性作用剤を保持するのに正電荷に頼らない合成ナノ担体を提供する。かかる合成ナノ担体は、比較的高い重量パーセント負荷のナノ担体からの浸透圧活性作用剤の急速放出をさらに提供する。哺乳類、および多くの他の公知の生物は、生理学的重量オスモル濃度を約275〜300mOsm/kgに維持している。適切な容積のやや低張の媒質および高張の媒質および懸濁液を、多くの経路によって投与することができるが、重量オスモル濃度によって促進される副作用(例えば、痛み、溶血)を回避するには、約200〜500mOsm/kgの範囲が本発明の一環として好ましい。このため、好ましい実施形態では、準生理学的重量オスモル濃度の合成ナノ担体懸濁液を含む本発明の剤形が、提供される。投与されると(注射、吸入、局所適用、経口、または他の経路により)、合成ナノ担体は、好ましくは生理学的に正常な重量オスモル濃度を有する環境中に展開する。
【0024】
他の態様のなかでも特に、意外にも発見されたことは、浸透圧活性作用剤を含む本発明の合成ナノ担体の生成および持続において浸透圧の力の平衡が果たす決定的役割であった。実施形態では、製剤を調製する間、および体への暴露期間の少なくとも一部にわたり、合成ナノ担体は定常状態または準定常状態の条件にあることが好ましい。従って、合成ナノ担体は、必須の属性(例えば、完全性または浸透圧活性作用剤の負荷)の損失なしに、合成ナノ担体にわたって得られる浸透圧勾配の平衡を十分に保つことができなければならない。非平衡浸透圧の存在下では、合成ナノ担体がその非平衡状態を持続できず、カプセル化された浸透圧活性作用剤が周囲媒質より高い重量オスモル濃度である場合、浸透圧活性作用剤の制御されない流出またはナノ担体の構造的完全性の喪失が生じ得る。このようなことが生じると、低い性能の合成ナノ担体となる。
【0025】
例えば、微小担体またはナノ担体形態での核酸の封入、カプセル化、および吸着に関して一連の文献がある。核酸の明らかなサイズ、水溶性、および正味負電荷を所与とすれば、文献の大部分がオリゴヌクレオチドを担体と共に保持するために電荷の引力(例えば、カチオン性キトサン、ポリリジン、またはカチオン性脂質)および拡散性バリア(例えば、インタクトなポリマーまたは脂質壁)の使用を取り上げていることは、意外ではない。公表されている典型的なデータは、0.1〜1.0%w/wのオリゴヌクレオチド負荷を有するナノ粒子、初期負荷の10〜80%の範囲のバースト放出、次に残りの封入されたオリゴヌクレオチドの10〜50%の5日間〜6週間にわたる漸次的放出により特徴付けられる(Malyala et al.,2008;Roman et al.,2008;Diwan et.al 2002;Gvili et al.,2007)。これらの結果は、約0.002〜1ug−ON/mg−NC/1日の定常放出速度に置き換えられる。
【0026】
対照的に、合成ナノ担体にカチオン性成分またはバリア構造成分がない場合の核酸または他の浸透圧活性作用剤の保持および送達において浸透圧勾配の平衡が果たし得る重要な役割については、文献にいかなる考察もないように見られる。本発明の剤形の利点は、記載される合成ナノ担体において浸透圧活性作用剤の比較的高い負荷を達成することが可能であり、従って合成ナノ担体からの浸透圧活性作用剤の比較的高い放出速度が可能となる点である。合成ナノ担体からの浸透圧活性作用剤の比較的高い放出速度を提供する能力は、機能するうえで重要であり得る。例えば、モデルシステムを用いた免疫化研究により、インビトロ試験において、CpGナノ担体製剤により達成される抗体価と当該のナノ担体からのCpG放出速度との間の相関が実証された。>10μg−CpG/mg−ナノ担体−24時間のバースト後放出により特徴付けられる合成ナノ担体が、これらの研究で高力価を支持する効力を実証した。また、少なくとも30μg−CpG/mg−ナノ担体−24時間に至るまでの、比放出速度の増加が、抗体価の上昇をもたらしたことも観察される。
【0027】
ここで、本発明についてさらに詳細に記述する。
【0028】
B.定義
「アジュバント」は、特異的抗原を構成しないが、同時投与される抗原に対する免疫応答の強さおよび寿命を増強する作用剤を意味する。実施形態では、アジュバントはまた浸透圧活性作用剤であってもよい。アジュバントは、限定はされないが、パターン認識受容体、例えばToll様受容体、RIG−1およびNOD様受容体(NLR)の刺激剤、無機塩類、例えばカリ明礬、腸内細菌(Enterobacteria)、例えば大腸菌(Escherihia coli)、サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、もしくはフレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)のモノホスホリル脂質(MPL)A、または具体的にはMPL(登録商標)(AS04)(別々に上記細菌のMPL A)と結合されたカリ明礬、サポニン、例えばQS−21、Quil−A、ISCOM、ISCOMATRIX(商標)、エマルジョン、例えばMF59(商標)、Montanide(登録商標)ISA51およびISA720、AS02(QS21+スクアレン+MPL(登録商標))、リポソームおよびリポソーム製剤、例えばAS01、合成のもしくは特異的に調製された微粒子および微小担体、例えば淋菌(N.gonorrheae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)およびその他の細菌由来の外膜小胞(OMV)、またはキトサン粒子、デポー形成剤(depot−forming agent)、例えばPluronic(登録商標)ブロック共重合体、特異的に修飾または調製されたペプチド、例えばムラミールジペプチド、アミノアルキルグルコサミニド4−ホスフェート(glucosaminide 4−phosphate)、例えばRC529、またはタンパク質、例えば細菌トキソイドもしくは毒素断片を含み得る。
【0029】
実施形態では、アジュバントは、限定はされないが、Toll様受容体(TLR)、具体的には、TLR2、3、4、5、7、8、9および/またはその組み合わせを含む、パターン認識受容体(PRR)に対するアゴニストを含む。他の実施形態において、アジュバントはToll様受容体3に対するアゴニスト、Toll様受容体7および8に対するアゴニスト、またはToll様受容体9に対するアゴニストを含み、好ましくは、列挙されているアジュバントは、イミダゾキノリン;R848など;アデニン誘導体、例えば米国特許出願公開第6,329,381号明細書(Sumitomo Pharmaceutical Company)、米国特許出願公開第2010/0075995明細書(Biggadikeらに付与)、国際公開第2010/018134号パンフレット、国際公開第2010/018133号パンフレット、国際公開第2010/018132号パンフレット、国際公開第2010/018131号パンフレット、国際公開第2010/018130号パンフレットおよび国際公開第2008/101867号パンフレット(Camposらに付与)に開示されたもの;免疫刺激性DNA;または免疫刺激性RNAを含む。特定の実施形態において、合成ナノ担体は、toll様受容体(TLR)7および8に対するアゴニスト(「TLR7/8アゴニスト」)である化合物をアジュバントとして組み込む。限定はされないが、イミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、6,7−融合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、および1,2−架橋イミダゾキノリンアミンを含む、米国特許第6,696,076号明細書(Tomaiらに付与)に開示されたTLR7/8アゴニスト化合物が有用である。好ましいアジュバントはイミキモドおよびレシキモド(別称:R848)を含む。特定の実施形態において、アジュバントはDC表面分子CD40に対するアゴニストであってもよい。特定の実施形態において、合成ナノ担体は耐性でなく寧ろ免疫を刺激するために、(ナイーブT細胞のプライミングにとって必要とされる)DC成熟と、抗体免疫応答を促進するサイトカイン(例えばI型インターフェロン)の産生とを促進するアジュバントを取り込む。実施形態において、アジュバントはまた、免疫刺激性RNA分子、例えば限定はされないが、dsRNA、ポリI:C、またはポリI:ポリC12U(ポリI:CとポリI:ポリC12Uの両方はTLR3刺激剤として知られ、Ampligen(登録商標)として提供されている)、および/またはF.Heil et al.,“Species−Specific Recognition of Single−Stranded RNA via Toll−like Receptor 7 and 8” Science 303(5663),1526−1529(2004);J.Vollmer et al.,“Immune modulation by chemically modified ribonucleosides and oligoribonucleotides”;国際公開第2008033432A2号パンフレット;A.Forsbach et al.,“Immunostimulatory oligoribonucleotides containing specific sequence motif(s)and targeting the Toll−like receptor 8 pathway”;国際公開第2007062107A2号パンフレット;E.Uhlmann et al.,“Modified oligoribonucleotide analogs with enhanced immunostimulatory activity”;米国特許出願公開第2006241076号明細書;G.Lipford et al.,“Immunostimulatory viral RNA oligonucleotides and use for treating cancer and infections”;国際公開第2005097993A2号パンフレット;G.Lipford et al.,“Immunostimulatory G,U−containing oligoribonucleotides,compositions,and screening methods”;国際公開第2003086280A2号パンフレットに開示されているものを含み得る。一部の実施形態において、アジュバントはTLR−4アゴニスト、例えば細菌リポ多糖(LPS)、VSV−G、および/またはHMGB−1であってもよい。一部の実施形態において、アジュバントはTLR−5アゴニスト、例えば、フラジェリン、またはその一部または誘導体、例えば限定はされないが、米国特許第6,130,082号明細書、米国特許第6,585,980号明細書、および米国特許第7,192,725号明細書に開示されたものを包含し得る。特定の実施形態において、合成ナノ担体はI型インターフェロン分泌を誘発し、かつ、TおよびB細胞活性化を刺激し、抗体産生および細胞毒性T細胞応答の増大をもたらす、CpGを含む免疫刺激性DNA分子などのToll様受容体(TLR)−9に対するリガンドを組み込む(Krieg et al.,CpG motifs in bacterial DNA trigger direct B cell activation.Nature.1995.374:546−549;Chu et al.CpG oligodeoxynucleotides act as adjuvants that switch on T helper 1(Th1)immunity.J.Exp.Med.1997.186:1623−1631;Lipford et al.CpG−containing synthetic oligonucleotides promote B and cytotoxic T cell responses to protein antigen:a new class of vaccine adjuvants.Eur.J.Immunol.1997.27:2340−2344;Roman et al.Immunostimulatory DNA sequences function as T helper−1−promoting adjuvants..Nat.Med.1997.3:849−854;Davis et al.CpG DNA is a potent enhancer of specific immunity in mice immunized with recombinant hepatitis B surface antigen.J.Immunol.1998.160:870−876;Lipford et al.,Bacterial DNA as immune cell activator.Trends Microbiol.1998.6:496−500;米国特許第6,207,646号明細書(Kriegらに付与);米国特許第7,223,398号明細書(Tuckらに付与);米国特許第7,250,403号明細書(Van Nestらに付与);または米国特許第7,566,703号明細書(Kriegらに付与))。
【0030】
一部の実施形態では、アジュバントは、壊死細胞(例えば尿酸結晶)から放たれる炎症誘発性刺激であってもよい。一部の実施形態では、アジュバントは、補体カスケードの活性化成分であってもよい(例えばCD21、CD35など)。一部の実施形態では、アジュバントは、免疫複合体の活性化成分であってもよい。アジュバントはまた、補体受容体アゴニスト、例えばCD21またはCD35に結合する分子を含む。一部の実施形態では、補体受容体アゴニストは、合成ナノ担体の内因性補体オプソニン化を誘導する。一部の実施形態では、アジュバントは、サイトカインであり、細胞によって放出される小タンパク質または生物学的因子(5kD〜20kDの範囲内)であり、細胞−細胞相互作用、コミュニケーションおよび他の細胞の挙動に対して特異的効果を有する。一部の実施形態では、サイトカイン受容体アゴニストは、小分子、抗体、融合タンパク質、またはアプタマーである。
【0031】
「投与する」または「投与」は、物質を薬理学的に有用な方法で対象に提供することを意味する。
【0032】
「有効な量」は、1つ以上の所望の免疫応答を生じさせる組成物の任意の量である。この量は、インビトロ目的であっても、またはインビボ目的であってもよい。インビボ目的では、この量は、それを必要としている対象にとって臨床的有益性があり得ると医療従事者が考えるであろう量であり得る。従って実施形態において、有効な量とは、本明細書に提供される本発明の組成物の任意の抗原に対する抗体反応が発生し得ると医療従事者が考えるであろう量である。有効量はルーチンの方法によってモニタされ得る。1つ以上の所望の免疫応答を生じるのに有効な量はまた、本明細書に提供される組成物が所望の治療エンドポイントまたは所望の治療結果を生じる量でもあり得る。従って、他の実施形態において、臨床医が考えるものとしての有効な量は、本明細書に提供される対象に治療上の利点(予防的利益を含む)を提供し得る。かかる対象には、癌、感染症または感染性疾患を有するか、またはそれを有するリスクがある対象が含まれる。かかる対象には、本明細書に提供される疾患、状態および/または障害のいずれかを有するか、またはそれを有するリスクがある任意の対象が含まれる。
【0033】
有効な量は、当然ながら、処置される特定の対象;状態、疾患または障害の重症度;年齢、健康状態、サイズおよび体重を含む個々の患者のパラメータ;処置の継続期間;併用療法(ある場合)の性質;具体的な投与経路ならびに医療従事者の知識および専門的意見の範囲内での同様の因子に依存し得る。これらの因子は当業者に周知され、ルーチン程度の実験で対処することができる。概して、「最大用量」、すなわち健全な医学的判断による最も高い安全用量を使用することが好ましい。しかしながら当業者は、医学的理由、心理学的理由から、または事実上他のいかなる理由からも、患者がより低い用量または忍容できる用量を要求し得ることを理解するであろう。本明細書に提供される本発明の組成物のいずれにおける抗原も、実施形態では、有効な量であり得る。
【0034】
「抗原」は、B細胞抗原またはT細胞抗原を意味する。実施形態では、抗原は合成ナノ担体にカップリングされている。他の実施形態において、抗原は合成ナノ担体にカップリングされていない。実施形態において抗原は、合成ナノ担体と同時に投与される。他の実施形態において抗原は、合成ナノ担体と同時に投与されない。「抗原の型」は、同じ、または実質的に同じ抗原特性を共有する分子を意味する。
【0035】
「B細胞抗原」は、B細胞によって認識され、かつB細胞において免疫応答を引き起こす任意の抗原(例えば、B細胞上のB細胞受容体によって特異的に認識される抗原)を意味する。一部の実施形態では、T細胞抗原である抗原がまた、B細胞抗原である。他の実施形態では、T細胞抗原がさらにB細胞抗原であることはない。B細胞抗原は、限定はされないが、タンパク質、ペプチド、小分子、および炭水化物を含む。一部の実施形態では、B細胞抗原は、非タンパク質抗原を含む(すなわち、タンパク質またはペプチド抗原ではない)。一部の実施形態では、B細胞抗原は、感染性媒介物に関連した炭水化物を含む。一部の実施形態では、B細胞抗原は、感染性媒介物に関連した糖タンパク質または糖ペプチドを含む。感染性媒介物は、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、または寄生虫であってもよい。一部の実施形態では、B細胞抗原は、免疫原性が乏しい抗原を含む。一部の実施形態では、B細胞抗原は、乱用物質またはその一部を含む。一部の実施形態では、B細胞抗原は、中毒性のある物質(addictive substance)またはその一部を含む。中毒性のある物質は、限定はされないが、ニコチン、麻酔剤、鎮咳剤、精神安定剤、および鎮静剤を含む。一部の実施形態では、B細胞抗原は、毒素、例えば化学兵器または天然源から誘導される毒素を含む。B細胞抗原はまた、有害な環境作用物質(hazardous environmental agent)を含んでもよい。一部の実施形態では、B細胞抗原は、自己抗原を含む。他の実施形態では、B細胞抗原は、アロ抗原、アレルゲン、接触感作物質、変性疾患抗原、ハプテン、感染性疾患抗原、癌抗原、アトピー性疾患抗原、自己免疫疾患抗原、中毒性のある物質、異種抗原、または代謝性疾患酵素もしくはその酵素生成物を含む。
【0036】
「バリアフリー」は、合成ナノ担体の表面上または表面内に位置する放出速度制御バリアであって、カプセル化された浸透圧活性作用剤が合成ナノ担体からナノ担体周囲の環境中へと放出される速度を制御するバリアを欠いている合成ナノ担体を意味する。一実施形態では、バリアフリー合成ナノ担体は、合成ナノ担体の内部と合成ナノ担体の外部環境との間に浸透圧差、例えば合成ナノ担体の構造的破壊をもたらし得る浸透圧差を生じさせることのように、存在したならば浸透圧活性作用剤の拡散を抑制したであろう構造要素を欠いている。
【0037】
「カップリング」または「カップリングされた」または「カップリングする」(およびこれらに類するもの)は、あるエンティティ(例えば、残基)を別のエンティティに化学的に結合することを意味する。一部の実施形態において、カップリングは共有結合であり、2つのエンティティ間に共有結合が存在するというコンテキスト内でカップリングが発生することを意味する。非共有結合の実施形態において、非共有カップリングは、限定はされないが、電荷相互作用、親和性相互作用、金属配位、物理吸着、宿主−ゲスト相互作用、疎水性相互作用、TTスタッキング相互作用、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、磁気相互作用、静電相互作用、双極子−双極子相互作用、および/またはそれらの組み合わせを含む非共有的相互作用によって媒介される。実施形態において、カプセル化はカップリングの一形態である。
【0038】
「剤形」とは、対象への投与に好適な培質、媒体、担体またはデバイス中の薬理学的におよび/または免疫学的に活性な材料を意味する。
【0039】
「カプセル化」または「カプセル化された」(など)は、1つまたは複数の第1の実体の一部または全てを1つまたは複数の第2の実体が完全にまたは部分的に取り囲むことによって、1つまたは複数の第1の実体が1つまたは複数の第2の実体と結合していることを意味する。実施形態では、カプセル化することとは、合成ナノ担体内に封入する、好ましくは合成ナノ担体内に完全に封入することを意味する。カプセル化される物質の大部分または全てが、合成ナノ担体の外部にある局所環境に露出していない。他の実施形態では、局所環境に露出しているのは、50%、40%、30%、20%、10%または5%(重量/重量)以下である。カプセル化は吸収とは異なり、吸収では、物質の大部分または全てが合成ナノ担体の表面上に置かれ、物質は合成ナノ担体の外部にある局所環境に露出したままである。
【0040】
「単離核酸」は、その天然環境から単離されている、かつその同定または使用を可能にするのに十分な量で存在する、様々な分子量であってよい核酸(オリゴヌクレオチド、およびポリ核酸を含む)を意味する。単離核酸は、(i)例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってインビトロで増幅されるか;(ii)クローニングによって組換え的に生成されるか;(iii)切断およびゲル分離に従って精製されるか;あるいは(iv)例えば化学合成によって合成されるものであってもよい。単離核酸は、当該技術分野で周知の組換えDNA技術によって容易に操作可能なものである。したがって、5'および3'制限部位が既知であるかまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプライマー配列が開示されている、ベクター内に含まれるヌクレオチド配列は、単離されていると考えられるが、その天然宿主内にその天然状態で存在する核酸配列はそうではない。単離核酸は、実質的に精製されてもよいが、そうである必要はない。例えば、クローニングまたは発現ベクター内部の単離された核酸は、それが属する細胞内にほんのわずかな割合の材料を含み得る点で、純粋ではない。しかし、かかる核酸は、同用語が、それが当業者に既知の標準的技術によって容易に操作可能である理由で本明細書中で使用される場合、単離される。本明細書中に提供される核酸のいずれもが、単離されていてもよい。
【0041】
実施形態では、単離核酸には、免疫刺激性核酸、例えば免疫刺激性オリゴヌクレオチド(限定はされないが、DNAおよびRNAの双方を含む)、低分子干渉RNA(siRNA)、RNA干渉(RNAi)オリゴヌクレオチド、RNA活性化(RNAa)オリゴヌクレオチド、マイクロRNA(miRNA)オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、遺伝子治療用オリゴヌクレオチド、プラスミド(その天然型および非天然型または修飾された化学的形態を含む)ならびにオリゴヌクレオチドベースの配列が含まれる。
【0042】
オリゴヌクレオチド(oligonucelotide)は巨大分子であるが、その重量オスモル濃度を導入する潜在的能力は大きい。オリゴヌクレオチドの一本鎖は、高い水溶性(典型的には約30%w/v)を有する比較的高分子量の実体である(典型的には約300D/ヌクレオチドで≧2.4kD)。溶液に対するオリゴヌクレオチドの浸透圧寄与は、主として対イオンに起因する。天然の核酸、および大部分の非天然類似体の主鎖は、塩基残基間の1つの結合につき1個の負電荷に寄与し、従って「n」個のモノマー単位のヌクレオチドは、(n−1)個の会合した一価の対イオンを有することになる。例えば、ナトリウム対イオンを有する20塩基のオリゴヌクレオチドの15mM溶液は、約300mOsm/kgの重量オスモル濃度計算値を有する。水中におけるその限界溶解度に近いオリゴヌクレオチドのナトリウム塩は、約1000mOsm/kgを提供し得る。
【0043】
好ましい実施形態において、単離核酸は、5’−CG−3”モチーフを含む免疫刺激性DNAオリゴヌクレオチドまたは免疫刺激性RNAオリゴヌクレオチドなどの免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含み得る。一実施形態では、免疫刺激性オリゴヌクレオチドの5’−CG−3”モチーフに存在する任意のシトシンヌクレオチド(「C」)は、メチル化されていない。免疫刺激性オリゴヌクレオチドのうち5’−CG−3”モチーフ以外の部分に存在するCはメチル化されていても、またはメチル化されていなくてもよい。実施形態において、記載される免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合を組み込むようには修飾されていないリン酸ジエステル骨格を有し、好ましくはリン酸ジエステル骨格はホスホロチオエート結合を含まない。他の実施形態において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドのリン酸ジエステル骨格は、生理学的条件下でリン酸ジエステル骨格を安定化させるように機能する安定化化学修飾を含まない。
【0044】
「単離ペプチド」は、その天然環境から単離されている、かつその同定または使用を可能にするのに十分な量で存在する、様々な分子量であってよいペプチド(ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質を含む)を意味する。これは、例えば、ペプチドが(i)発現クローニングによって選択的に生成されてもよく、あるいは(ii)クロマトグラフィーまたは電気泳動に従って精製されてもよいことを意味する。単離ペプチドは実質的に純粋であってよく、しかしそうである必要はない。単離ペプチドは医薬製剤中で薬学的に許容できる担体と混合され得るため、ペプチドは製剤の低い重量百分率のみを構成し得る。ペプチドはそれでもなお、生物系ではそれが連係していてもよい物質から分離されている点で単離されており、すなわち他のペプチドから単離されている。本明細書に提供される任意のペプチドが、単離されていてもよい。実施形態では、単離ペプチドには、浸透圧活性の:免疫調節ペプチド、例えばMHCクラスIまたはMHCクラスII結合ペプチド、抗原ペプチド、ホルモンおよびホルモン模倣物、リガンド、抗細菌性および抗微生物性ペプチド、抗凝固ペプチド、および酵素阻害薬が含まれる。
【0045】
「単離糖」は、その天然環境から単離されている、かつその同定または使用を可能にするのに十分な量で存在する、様々な分子量であってよい糖(単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖類、多糖類などを含む)を意味する。これは、例えば、糖が(i)合成方法によって選択的に生成されてもよく、あるいは(ii)クロマトグラフィーまたは電気泳動に従って精製されてもよいことを意味する。単離糖類は実質的に純粋であってよく、しかしそうである必要はない。単離糖は医薬製剤中で薬学的に許容できる担体と混合され得るため、糖は製剤の低い重量百分率のみを構成し得る。糖はそれでもなお、生物系ではそれが連係していてもよい物質から分離されている点で単離されており、すなわち他の糖類またはペプチドから単離されている。本明細書に提供される任意の糖類が、単離されていてもよい。実施形態では、単離糖類には、浸透圧活性の:抗原性糖類(例えば、病原性生物または生体異物生物に特有の糖類)、リポ多糖類、タンパク質またはペプチド模倣糖類、細胞表面標的化糖類、抗凝固薬、抗炎症性糖類、抗増殖性糖類が、これらの天然型および修飾型を含め、含まれる。
【0046】
「凍結乾燥剤形」は、凍結乾燥が行われた剤形を意味する。
【0047】
「凍結乾燥浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体」は、凍結乾燥が行われた浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体を意味する。
【0048】
「凍結乾燥剤」は、剤形の凍結乾燥、または凍結乾燥した後の剤形の再構成を促進するために剤形に加えられる物質を意味する。実施形態では、凍結乾燥剤はまた浸透圧活性作用剤であってもよく、凍結乾燥剤形の再構成時に200〜500mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する媒体を提供するように選択されてもよい。実施形態では、凍結乾燥剤には、塩および緩衝剤(NaCl、NaPO
4、またはTrisなど)、単純または複合糖質(スクロース、デキストロース、デキストラン、またはカルボキシメチルセルロースなど)、ポリオール(マンニトール、ソルビトール、グリセロール、ポリビニルアルコールなど)、pH調整剤(HCl、NaOH、またはクエン酸ナトリウムなど)、キレート剤および抗酸化剤(EDTA、アスコルビン酸、α−トコフェロールなど)、安定剤および防腐剤(ゼラチン、グリシン、ヒスチジン、またはベンジルアルコールなど)、界面活性剤(ポリソルベート80、デオキシコール酸ナトリウム、またはTriton X−100などが含まれる。
【0049】
「合成ナノ担体の最大寸法」は、合成ナノ担体の任意の軸に沿って測定されるナノ担体の最大寸法を意味する。「合成ナノ担体の最小寸法」は、合成ナノ担体の任意の軸に沿って測定される合成ナノ担体の最小寸法を意味する。例えば、回転楕円体の合成ナノ担体の場合、合成ナノ担体の最大および最小寸法は、実質的に同一となり、かつその直径のサイズとなる。同様に、立方形の合成ナノ担体の場合、合成ナノ担体の最小寸法は、その高さ、幅または長さの最小となる一方、合成ナノ担体の最大寸法は、その高さ、幅または長さの最大となる。一実施形態では、試料中の合成ナノ担体の総数に基づく、試料中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、100nmより大きい。一実施形態では、試料中の合成ナノ担体の総数に基づく、試料中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、5μm以下である。好ましくは、試料中の合成ナノ担体の総数に基づく、試料中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、110nm超、より好ましくは120nm超、より好ましくは130nm超、またより好ましくはさらに150nm以上。本発明の合成ナノ担体の最大および最小寸法のアスペクト比は、実施形態に応じて変化し得る。例えば、合成ナノ担体の最大および最小寸法のアスペクト比は1:1から1,000,000:1まで、好ましくは1:1から100,000:1まで、より好ましくは1:1から1000:1まで、さらに好ましくは1:1から100:1まで、さらにより好ましくは1:1から10:1まで変化し得る。好ましくは、試料中の合成ナノ担体の総数に基づく、試料中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、3μm以下、より好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、より好ましくは800nm以下、より好ましくは600nm以下、またより好ましくはさらに500nm以下である。好ましい実施形態では、試料中の合成ナノ担体の総数に基づく、試料中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、100nm以上、より好ましくは120nm以上、より好ましくは130nm以上、より好ましくは140nm以上、またより好ましくはさらに150nm以上である。合成ナノ担体サイズの測定値は、合成ナノ担体を液体(通常は水性)培質中に懸濁し、動的光散乱(DLS)(例えばBrookhaven ZetaPALS機器を使用)を使用することによって得られる。例えば、合成ナノ担体の懸濁液を水性緩衝液から精製水中に希釈することによって、最終的な合成ナノ担体懸濁液濃度約0.01〜0.1mg/mLを得ることが可能である。希釈された懸濁液は、内側で直接に調製してもよいし、またはDLS分析用の好適なキュベットに移してもよい。次いで、キュベットをDLS内に配置し、調整された温度に平衡させてから、十分な時間スキャンして、培質の粘性および試料の屈折率に関する適切な入力に基づき、安定かつ再生可能な分布を得る。分布の有効径または平均をレポートする。
【0050】
「浸透圧媒介性放出」は、以下のインビトロ試験を満たす形での合成ナノ担体からの浸透圧活性作用剤の放出を意味する:
試験する剤形を、25℃で準中性pHの水性媒質(例えばpH7.4)中に再構成または希釈し、準生理学的重量オスモル濃度媒質と称される270〜330mOsm/kgの重量オスモル濃度の組成物を得る。次に、準生理学的重量オスモル濃度媒質の試料を、精製水またはリン酸塩緩衝生理食塩水媒質のいずれかで(例えば、約25〜35mOsm/kgの最終重量オスモル濃度となるように)9倍希釈することにより、低重量オスモル濃度媒質を得る。次に、準生理学的重量オスモル濃度媒質中の浸透圧活性作用剤の濃度を(例えば核酸のOD
260により)計測し、次に低重量オスモル濃度媒質中25℃で2時間穏やかに撹拌した後計測する。準生理学的重量オスモル濃度媒質中と比べて低重量オスモル濃度媒質中で放出(例えば、2時間で溶液中に放出された総浸透圧活性作用剤)が有意に多い場合(好ましくは、放出
低重量オスモル濃度媒質>1.5×放出
準生理学的重量オスモル濃度媒質、より好ましくは、放出
低重量オスモル濃度媒質>5×放出
準生理学的重量オスモル濃度媒質)、さらにより好ましくは、放出
低重量オスモル濃度媒質>10×放出
準生理学的重量オスモル濃度媒質)、この試験は浸透圧媒介性放出が正である。
【0051】
「浸透圧活性作用剤」は、水性溶媒に対して溶解性を有する物質を意味する。浸透圧活性作用剤は、合成ナノ担体中に様々な量で存在し得る。実施形態では、浸透圧活性作用剤は、合成ナノ担体の理論総重量を基準として、合成ナノ担体中に約2、または3、または4、または5、または6、または7、または8重量パーセントの量で存在する。浸透圧活性作用剤は、対イオンなどの特異的に会合した可溶性材料を含め、2つ以上の分子実体を含んでもよい。実施形態では、浸透圧活性作用剤は、単離核酸、ポリマー、単離ペプチド、単離糖、大員環、またはイオン、補因子、補酵素、リガンド、疎水的に対をなす作用剤、または前述のいずれかと特異的に、しかし非共有結合的に会合する上記のいずれかの水素結合供与体もしくは受容体を含む。浸透圧活性作用剤は本発明の合成ナノ担体において様々な機能を有し得る。従って浸透圧活性作用剤は、抗原、アジュバント、または他の免疫刺激機能もしくは免疫調節機能を有する物質を含み得る。水溶液に対する浸透圧活性作用剤の浸透圧寄与は、限定はされないが、蒸気圧降下、凝固点降下、または膜浸透圧計を含むいくつかの一般に認められた技術のいずれかによって計測することができる。従来利用可能な特定の種類の浸透圧計には、Wescor Vapro II蒸気圧浸透圧計モデルシリーズ、Advanced Instruments 3250凝固点浸透圧計モデルシリーズ、およびUICモデル231膜浸透圧計が含まれる。
【0052】
「pH作動型浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体」は、pH7.4の等張媒質中に放出されるより有意に多い量の浸透圧活性作用剤を、pH4.5、またはpH10.5の等張媒質中に導入して1時間以内に放出する浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体を意味する。この放出は、それが以下のインビトロ試験を満たす場合、pH作動型と言われる:
試験する剤形を、25℃で準中性pHの水性媒質(例えばpH7.4)中に再構成または希釈し、準生理学的重量オスモル濃度および準中性pH媒質と称される270〜330mOsm/kgの重量オスモル濃度の組成物を得て、希釈時、および37℃で2時間穏やかに撹拌した後の浸透圧活性作用剤の濃度を計測する。2時間で放出された浸透圧活性作用剤の総量を計算し、2時間あたりの正味放出量を準生理学的重量オスモル濃度および準中性pH放出速度として定義する。次に同じプロセスを、酸性(または塩基性)準生理学的重量オスモル濃度媒質と称される270〜330mOsm/kgの重量オスモル濃度のpH4.5(またはpH10.5)の水性媒質で繰り返す。2時間で放出された浸透圧活性作用剤の総量を計算し、2時間あたりの正味放出量を酸性(または塩基性)準生理学的重量オスモル濃度放出速度として定義する。準生理学的重量オスモル濃度および準中性pH媒質中と比べて酸性(または塩基性)準生理学的重量オスモル濃度媒質中での放出速度(例えば、2時間で溶液中に放出された総浸透圧活性作用剤)が有意に高い場合(好ましくは、放出
酸性(または塩基性)媒質>1.2×放出
準中性媒質、より好ましくは、放出
酸性(または塩基性)媒質>1.5×放出
準中性媒質、さらにより好ましくは、放出
酸性(または塩基性)媒質>3×放出
準中性媒質)、この試験はpH作動型浸透圧媒介性放出が正である。
【0053】
「薬学的に許容できる賦形剤」は、本発明の組成物を調合するために、記載される合成ナノ担体と併用される薬理学的に不活性な材料を意味する。薬学的に許容できる賦形剤には、限定はされないが、糖類(グルコース、ラクトースなど)、抗菌剤などの防腐剤、再構成助剤、着色剤、生理食塩水(リン酸塩緩衝生理食塩水など)、および緩衝剤を含む、当該技術分野で周知されている種々の材料が含まれる。
【0054】
「ポリマー」は、共有結合的に連結された一連の繰り返される単純(コ)モノマーから構成される巨大分子を含む合成化合物を意味する。実施形態では、ポリマーには、浸透圧活性の:デンドリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−コ−グリコール酸、ポリカプロラクタム、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、および上記のいずれかの共重合体および/または組み合わせが含まれる。
【0055】
「放出」または「放出速度」は、封入された物質が合成ナノ担体から周囲の放出媒質などの局所環境中に移行する速度を意味する。初めに合成ナノ担体が、適切な放出媒質中に置かれることによって放出試験用に調製される。これは概して、遠心により合成ナノ担体をペレット化した後に緩衝液を交換し、穏和な条件下に合成ナノ担体を再構成することにより行われる。試料を適切な温度制御装置に37℃で置くことにより、アッセイを開始する。様々な時点で試料を取り出す。
【0056】
合成ナノ担体は、遠心により合成ナノ担体をペレット化することによって放出媒質から分離する。合成ナノ担体から放出された物質について放出媒質をアッセイする。HPLCを用いて物質を計測し、物質の含有量および品質を決定する。残りの封入物質を含むペレットを溶媒中に溶解するか、または塩基により加水分解することにより、合成ナノ担体から封入物質を遊離させる。次にペレットに含まれる物質もまた、ペレットを溶解または破壊した後にHPLCにより計測して、所与の時点で放出された物質の含有量および品質を決定することができる。
【0057】
放出媒質中に放出された物質と合成ナノ担体中に残っているものとの間の物質収支をまとめる。データは、時間に対する放出された割合として、または放出されたマイクログラム数として提供される正味の放出として提供される。
【0058】
「対象」は、ヒトおよび霊長類などの温血の哺乳類;鳥類;ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマおよびブタなどの家庭内または家畜動物;マウス、ラットおよびモルモットなどの実験動物;魚類、爬虫類、および野生動物などを含む動物を意味する。
【0059】
「合成ナノ担体」は、天然に見出されない、サイズが5μm以下の少なくとも一次元を占める離散物体を意味する。アルブミンナノ粒子は、一般に合成ナノ担体中に含められるが、特定の実施形態では、合成ナノ担体は、アルブミンナノ粒子を含まない。実施形態では、発明の合成ナノ担体は、キトサンを含まない。
【0060】
合成ナノ担体は、限定はされないが、1つまたは複数の脂質に基づくナノ粒子、ポリマーナノ粒子、デンドリマー、ウイルス様粒子、ペプチドもしくはタンパク質に基づく粒子(アルブミンナノ粒子など)、セラミックに基づく粒子(例えば、半多孔質シリコンナノ粒子)、ヒドロゲルナノ粒子、多糖に基づくナノ粒子、および/または脂質−ポリマーナノ粒子などの、ナノ材料の組み合わせを用いて開発されるナノ粒子であってもよい。合成ナノ担体は、限定はされないが、回転楕円体、立方形、角錐形(pyramid)、長方形、円筒形、ドーナツ形などを含む種々の異なる形状であってもよい。本発明による合成ナノ担体は、1つ以上の表面を含む。本発明の実施に使用に適し得る典型的な合成ナノ担体は、(1)米国特許第5,543,158号明細書(Grefらに付与)に開示された生分解性ナノ粒子、(2)公開された米国特許出願公開第20060002852号明細書(Saltzmanらに付与)の高分子ナノ粒子、(3)公開された米国特許出願公開第20090028910号明細書(DeSimoneらに付与)のリソグラフィで作製されたナノ粒子、(4)国際公開第2009/051837号パンフレット(von Andrianらに付与)の開示物、(5)公開された米国特許出願公開第20090226525号明細書(los Riosらに付与)に開示されたタンパク質ナノ粒子、(6)公開された米国特許出願公開第20060222652号明細書(Sebbelらに付与)に開示されたウイルス様粒子(7)公開された米国特許出願公開第20060251677号明細書(Bachmannらに付与)に開示された、核酸にカップリングされたウイルス様粒子、(8)国際公開第2010047839A1号パンフレットもしくは国際公開第2009106999A2号パンフレットに開示されたウイルス様粒子、または(9)P.Paolicelli et al.,“Surface−modified PLGA−based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus−like Particles” Nanomedicine,5(6):843−853(2010)に開示されたナノ沈殿したナノ粒子を含む。実施形態において、合成ナノ担体は1:1、1:1.2、1:1.5、1:2、1:3、1:5、1:7を超える、または1:10を超えるアスペクト比を有し得る。
【0061】
約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する本発明による合成ナノ担体は、補体を活性化する水酸基を有する表面を含まないか、あるいは補体を活性化する水酸基でない部分から本質的になる表面を含む。好ましい実施形態では、約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する本発明による合成ナノ担体は、補体を実質的に活性化する表面を含まないか、あるいは補体を実質的に活性化しない部分から本質的になる表面を含む。より好ましい実施形態では、約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する本発明による合成ナノ担体は、補体を活性化する表面を含まないか、あるいは補体を活性化しない部分から本質的になる表面を含む。実施形態では、合成ナノ担体はウイルス様粒子を包含しない。実施形態では、合成ナノ担体がウイルス様粒子を含む場合、そのウイルス様粒子は非天然のアジュバントを含む(すなわち、VLPが、VLPの産生中に生じる天然に存在するRNA以外のアジュバントを含むことを意味する)。
【0062】
「T細胞抗原」は、T細胞によって認識され、かつそれにおいて免疫応答を引き起こす任意の抗原(例えば、T細胞またはNKT細胞上のT細胞受容体により、クラスIまたはクラスII主要組織適合複合体(major histocompatability complex)分子(MHC)に結合した、またはCD1複合体に結合した抗原またはその一部分の提示を介して特異的に認識される抗原)を意味する。一部の実施形態では、T細胞抗原である抗原がB細胞抗原でもある。他の実施形態では、T細胞抗原がB細胞抗原でもあることはない。T細胞抗原は、概してタンパク質またはペプチドである。T細胞抗原は、CD8+T細胞応答、CD4+T細胞応答、または両方を刺激する抗原であってもよい。従ってナノ担体は、一部の実施形態では、両方の種類の応答を効果的に刺激することができる。
【0063】
一部の実施形態では、T細胞抗原は、Tヘルパー細胞抗原(すなわち、T細胞ヘルプの刺激によって、B細胞抗原、好ましくは無関係なB細胞抗原に対して増強した応答を生じることのできるもの)である。実施形態では、Tヘルパー細胞抗原は、破傷風トキソイド、エプスタイン・バーウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、ジフテリアトキソイド、またはPADREペプチド(Sette et al.米国特許第7,202,351号明細書の研究によって公知)から得られるまたはそれに由来する1つ以上のペプチドを含み得る。他の実施形態において、Tヘルパー細胞抗原は、1つ以上の脂質、または糖脂質、例えば、限定はされないが:α−ガラクトシルセラミド(α−GalCer)、α結合スフィンゴ糖脂質(スフィンゴモナス・エスピーピー(Sphingomonas spp.)由来)、ガラクトシルジアシルグリセロール(ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)由来)、リポホスホグリカン(ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)由来)、およびホスファチジルイノシトールテトラマンノシド(PIM4)(マイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)由来)を含み得る。Tヘルパー細胞抗原として有用なさらなる脂質および/または糖脂質については、V.Cerundolo et al.,“Harnessing invariant NKT cells in vaccination strategies” Nature Rev Immun,9:28−38(2009)を参照のこと。実施形態では、CD4+T細胞抗原は、天然の供給源などの供給源から得られるCD4+T細胞抗原の誘導体であってもよい。かかる実施形態において、MHC IIに結合するペプチドなどのCD4+T細胞抗原配列は、供給源から得られる抗原と少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有し得る。実施形態では、T細胞抗原、好ましくはTヘルパー細胞抗原は、合成ナノ担体にカップリングされても、またはそれから脱カップリングされてもよい。
【0064】
「ワクチン」は、特定の病原体または疾患に対する免疫応答を改善する物質の組成物を意味する。ワクチンは、典型的には、特異的抗原を外来物として認識し、それを対象の身体から除去するための、対象の免疫系を刺激する因子(抗原、アジュバントなど)を含む。また、ワクチンは免疫学的「記憶」を確立するため、個人が再免疫される場合に抗原は速やかに認識され、応答を受けることになる。ワクチンは、予防的であっても(例えば任意の病原体による将来の感染を予防する)、または治療的であってもよい(例えば癌の処置用の腫瘍特異的抗原に対するワクチン)。実施形態では、ワクチンは、本発明に従う剤形を含み得る。
【0065】
「媒体」は、投与のため合成ナノ担体を運ぶために用いられる、治療的価値がほとんどまたは全くない材料を意味する。好ましい実施形態において、本発明に従う媒体は、200〜500mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する媒体を含む。
【0066】
C.本発明の組成物
本発明に従って使用できる合成ナノ担体には様々なものがある。一部の実施形態において、合成ナノ担体は球体または回転楕円体である。一部の実施形態において、合成ナノ担体は平面または円盤状である。一部の実施形態において、合成ナノ担体は、立方体または立体である。一部の実施形態において、合成ナノ担体は長円または楕円である。一部の実施形態において、合成ナノ担体は円筒形、円錐形、または角錐形である。
【0067】
一部の実施形態において、各合成ナノ担体が類似の特性を有するように、サイズ、形状、および/または組成が比較的均一な合成ナノ担体の集団を使用することが望ましい。例えば、合成ナノ担体の総数に基づいて、合成ナノ担体の少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%は、合成ナノ担体の平均直径または平均寸法の5%、10%、もしくは20%の範囲内に収まる最小寸法または最大寸法を有し得る。一部の実施形態において、合成ナノ担体の集団は、サイズ、形状、および/または組成が異なってもよい。
【0068】
合成ナノ担体は固体または空洞であってもよく、また1つ以上の層を含んでもよいが、ただしそれらの層が、合成ナノ担体の表面上または表面内に位置する、合成ナノ担体からナノ担体周囲の環境中へのカプセル化された浸透圧活性作用剤の放出速度を制御する放出速度制御バリアとして作用しない限りとする。一部の実施形態では、各層は、それ以外の層に対して固有の組成および固有の特性を有する。一例だけ示すと、合成ナノ担体は、コア/シェル構造を有してもよく、ここでコアは第1層(例えばポリマーコア)であり、またシェルは第2層(例えば脂質二重層または単層)である。合成ナノ担体は、複数の異なる層を含んでもよい。
【0069】
一部の実施形態では、場合により合成ナノ担体は1つ以上の脂質を含んでもよいが、ただしそれらの脂質が、合成ナノ担体の表面上または表面内に位置する、合成ナノ担体からナノ担体周囲の環境中へのカプセル化された浸透圧活性作用剤の放出速度を制御する放出速度制御バリアとして機能しない限りとする。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、リポソームを含んでもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、脂質二重層を含んでもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、脂質単層を含んでもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、ミセルを含んでもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、脂質層(例えば、脂質二重層、脂質単層など)によって囲まれたポリマーマトリックスを含むコアを含んでもよい。一部の実施形態では、合成ナノ担体は、脂質層(例えば、脂質二重層、脂質単層など)によって囲まれた非ポリマーコア(例えば、ウイルス粒子、タンパク質、核酸、炭水化物など)を含んでもよい。
【0070】
一部の実施形態では、合成ナノ担体は1つ以上のポリマーを含んでもよい。一部の実施形態では、かかるポリマーはコーティング層(例えば、リポソーム、脂質単層、ミセルなど)によって囲まれてもよいが、ただしそのコーティング層が、合成ナノ担体の表面上または表面内に位置する、合成ナノ担体からナノ担体周囲の環境中へのカプセル化された浸透圧活性作用剤の放出速度を制御する放出速度制御バリアとして機能しない限りとする。一部の実施形態では、合成ナノ担体の様々な要素はポリマーとカップリングされ得る。
【0071】
一部の実施形態では、免疫特徴表面、標的化部分、および/またはオリゴヌクレオチドなどの要素が、ポリマーマトリックスと共有結合的に会合し得る。一部の実施形態では、共有結合性の会合はリンカーによって媒介される。一部の実施形態では、免疫特徴表面、標的化部分、および/またはオリゴヌクレオチドなどの要素は、ポリマーマトリックスと非共有結合的に会合し得る。例えば、一部の実施形態では、免疫特徴表面、標的化部分、および/またはオリゴヌクレオチドなどの要素は、ポリマーマトリックスの内部にカプセル化され、それによって囲まれ、および/またはその全体にわたって分散し得る。その他または追加として、免疫特徴表面、標的化部分、および/またはヌクレオチドなどの要素は、疎水性相互作用、電荷相互作用、ファンデルワールス力などにより、ポリマーマトリックスと会合し得る。
【0072】
多種多様なポリマーおよびそれからポリマーマトリックスを形成するための方法は、既知である。一般に、ポリマーマトリックスは、1つ以上のポリマーを含む。ポリマーは、天然または非天然(合成)ポリマーであってもよい。ポリマーは、2つ以上のモノマーを含むホモポリマーまたは共重合体であってもよい。配列の観点では、共重合体は、ランダム、ブロックであってもよく、またはランダムおよびブロック配列の組み合わせを含んでもよい。典型的には、本発明によるポリマーは、有機ポリマーである。
【0073】
本発明における使用に適したポリマーの例は、限定はされないが、ポリエチレン、ポリカーボネート(例えば、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン))、ポリ無水物(例えば、ポリ(セバシン酸無水物))、ポリプロピルフメレート(polypropylfumerate)、ポリアミド(例えばポリカプロラクタム)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド)、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酸(例えばポリ(β−ヒドロキシアルカノエート))、ポリ(オルソエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリ尿素、ポリスチレン、およびポリアミンを含む。
【0074】
一部の実施形態では、本発明によるポリマーは、米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)(FDA)によって、21C.F.R.177.2600下でヒト使用が認可されているポリマー、例えば限定はされないが、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン));ポリ無水物(例えば、ポリ(セバシン酸無水物));ポリエーテル(例えばポリエチレングリコール);ポリウレタン;ポリメタクリル酸塩;ポリアクリル酸塩;およびポリシアノアクリレートを含む。
【0075】
一部の実施形態では、ポリマーは親水性であってもよい。例えば、ポリマーは、アニオン基(例えば、リン酸基、硫酸基、カルボン酸基);カチオン基(例えば、第四級アミン基);または極性基(例えば、水酸基、チオール基、アミン基)であってもよい。一部の実施形態では、親水性ポリマーマトリックスを含む合成ナノ担体は、合成ナノ担体中に親水性環境をもたらす。一部の実施形態では、ポリマーは、疎水性であってもよい。一部の実施形態では、疎水性ポリマーマトリックスを含む合成ナノ担体は、合成ナノ担体中に疎水性環境をもたらす。ポリマーの親水性または疎水性の選択は、合成ナノ担体内部に組み込まれる(例えばカップリングされる)材料の性質に対して影響を有し得る。
【0076】
一部の実施形態では、ポリマーは、1つ以上の部分および/または官能基で修飾してもよい。種々の部分または官能基は、本発明に従って使用してもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、炭水化物、および/または多糖類由来の非環状ポリアセタールで修飾してもよい(Papisov、2001年、ACS Symposium Series、786:301頁)。特定の実施形態は、米国特許第5543158号明細書(Grefらに付与)または国際公開第2009/051837号パンフレット(Von Andrianらによる)の一般的な教示を用いて行ってもよい。
【0077】
一部の実施形態では、ポリマーは、脂質または脂肪酸基で修飾してもよい。一部の実施形態では、脂肪酸基は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、またはリグノセリン酸のうちの1つ以上であってもよい。一部の実施形態では、脂肪酸基は、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノール酸、γ−リノール酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはエルカ酸のうちの1つ以上であってもよい。
【0078】
一部の実施形態では、ポリマーは、乳酸およびグリコール酸単位、例えばポリ(乳酸−コ−グリコール酸)およびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(集合的に本明細書中で「PLGA」と称される)を含む共重合体;ならびにグリコール酸単位(本明細書中で「PGA」と称される)および乳酸単位、例えばポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、およびポリ−D,L−ラクチド(集合的に本明細書中で「PLA」と称される)を含むホモポリマー、を含むポリエステルであってもよい。一部の実施形態では、典型的なポリエステルは、例えば、ポリヒドロキシ酸;PEG共重合体ならびにラクチドおよびグリコリドの共重合体(例えば、PLA−PEG共重合体、PGA−PEG共重合体、PLGA−PEG共重合体、およびそれらの誘導体)を含む。一部の実施形態では、ポリエステルは、例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)−PEG共重合体、ポリ(L−ラクチド−コ−L−リジン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、ポリ[α−(4−アミノブチル)−L−グリコール酸]、およびそれらの誘導体を含む。
【0079】
一部の実施形態では、ポリマーは、PLGAであってもよい。PLGAは、乳酸およびグリコール酸の生体適合性および生分解性共重合体であり、かつ様々な形態のPLGAは、乳酸:グリコール酸の比によって特徴づけられる。乳酸は、L−乳酸、D−乳酸、またはD,L−乳酸であってもよい。PLGAの分解速度は、乳酸:グリコール酸比を変更することによって調節してもよい。一部の実施形態では、本発明に従って使用されるべきPLGAは、約85:15、約75:25、約60:40、約50:50、約40:60、約25:75、または約15:85の乳酸:グリコール酸比によって特徴づけられる。
【0080】
一部の実施形態では、ポリマーは、1つ以上のアクリルポリマーであってもよい。特定の実施形態では、アクリルポリマーは、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メチルメタクリレート、ポリメタクリル酸塩、ポリ(メチルメタクリレート)共重合体、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、グリシジルメタクリレート共重合体、ポリシアノアクリレート、および上記ポリマーのうちの1つ以上を含む組み合わせを含む。アクリルポリマーは、第四級アンモニウム基の含量が少ない、アクリル酸およびメタクリル酸エステルの完全に重合された共重合体を含んでもよい。
【0081】
これらや他のポリマーの特性およびそれらを調製するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第6,123,727号明細書;米国特許第5,804,178号明細書;米国特許第5,770,417号明細書;米国特許第5,736,372号明細書;米国特許第5,716,404号明細書;米国特許第6,095,148号明細書;米国特許第5,837,752号明細書;米国特許第5,902,599号明細書;米国特許第5,696,175号明細書;米国特許第5,514,378号明細書;米国特許第5,512,600号明細書;米国特許第5,399,665号明細書;米国特許第5,019,379号明細書;米国特許第5,010,167号明細書;米国特許第4,806,621号明細書;米国特許第4,638,045号明細書;および米国特許第4,946,929号明細書;Wangら、2001年、J.Am.Chem.Soc.、123:9480頁;Limら、2001年、J.Am.Chem.Soc.、123:2460頁;Langer、2000年、Acc.Chem.Res.、33:94頁;Langer、1999年、J.Control.Release、62:7頁;およびUhrichら、1999年、Chem.Rev.、99:3181頁を参照)。より一般的には、特定の好適なポリマーを合成するための種々の方法は、Concise Encyclopedia of Polymer Science and Polymeric Amines and Ammonium Salts、Goethals編、Pergamon Press、1980年;Principles of Polymerization、Odian編、John Wiley & Sons、第4版、2004年;Contemporary Polymer Chemistry、Allcockら編、Prentice−Hall、1981年;Demingら、1997年、Nature、390:386頁;および米国特許第6,506,577号明細書、米国特許第6,632,922号明細書、米国特許第6,686,446号明細書、および米国特許第6,818,732号明細書において記載がなされている。
【0082】
一部の実施形態では、ポリマーは、直鎖状または分枝状ポリマーであってもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、デンドリマーであってもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、実質的に互いに架橋されていてもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、実質的に架橋を含まなくてもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、架橋ステップを受けることなく、本発明に従って使用してもよい。さらに、本合成ナノ担体が、上記および他のポリマーのいずれかの、ブロック共重合体、グラフト共重合体、混和物、混合物、および/または付加物を含んでもよいことは理解されるべきである。当業者は、本明細書中に列挙されるポリマーが、例示的な、包括的でない、本発明に従って使用可能なポリマーのリストを示すことを理解するであろう。
【0083】
一部の実施形態では、合成ナノ担体は、場合により、1つ以上の両親媒性実体を含んでもよい。一部の実施形態では、両親媒性実体は、安定性が高まり、均一性が改善され、または粘度が高まった合成ナノ担体の生成を促進し得る。当該技術分野で既知の多数の両親媒性実体は、本発明による合成ナノ担体の作製における使用に適する。かかる両親媒性実体は、限定はされないが、ホスホグリセリド;ホスファチジルコリン;ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC);ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE);ジオレイルオキシプロピルトリエチルアンモニウム(DOTMA);ジオレイルホスファチジルコリン;コレステロール;コレステロールエステル;ジアシルグリセロール;ジアシルグリセロールスクシネート;ジホスファチジルグリセロール(DPPG);ヘキサデカノール;ポリエチレングリコール(PEG)などの脂肪アルコール;ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル;表面活性脂肪酸、例えばパルミチン酸またはオレイン酸;脂肪酸;脂肪酸モノグリセリド;脂肪酸ジグリセリド;脂肪酸アミド;ソルビタントリオレアート(Span(登録商標)85)グリココレート;ソルビタンモノラウレート(Span(登録商標)20);ポリソルベート20(Tween(登録商標)20);ポリソルベート60(Tween(登録商標)60);ポリソルベート65(Tween(登録商標)65);ポリソルベート80(Tween(登録商標)80);ポリソルベート85(Tween(登録商標)85);ポリオキシエチレンモノステアレート;サーファクチン;ポロキサマー;ソルビタントリオレアートなどのソルビタン脂肪酸エステル;レシチン;リゾレシチン;ホスファチジルセリン;ホスファチジルイノシトール;スフィンゴミエリン;ホスファチジルエタノールアミン(セファリン);カルジオリピン;ホスファチジン酸;セレブロシド;リン酸ジセチル;ジパルミトイルホスファチジルグリセロール;ステアリルアミン;ドデシルアミン;ヘキサデシル−アミン;アセチルパルミテート(acetyl palmitate);グリセロールリシノレエート;ヘキサデシルステレート;イソプロピルミリステート;チロキサポール;ポリ(エチレングリコール)5000−ホスファチジルエタノールアミン;ポリ(エチレングリコール)400−モノステアレート;リン脂質;高い界面活性剤特性を有する合成および/または天然洗剤;デオキシコール酸塩;シクロデキストリン;カオトロピック塩;イオン対試薬;ならびにそれらの組み合わせを含む。両親媒性実体成分は、異なる両親媒性実体の混合物であってもよい。当業者は、これが、典型的であり、包括的でない、界面活性剤活性を有する物質のリストを示すことを理解するであろう。任意の両親媒性実体は、本発明に従って使用されるべき合成ナノ担体の生成において使用してもよい。
【0084】
一部の実施形態では、合成ナノ担体は、場合により、1つ以上の炭水化物を含んでもよい。炭水化物は、天然または合成であってもよい。炭水化物は、誘導体化された天然炭水化物であってもよい。特定の実施形態では、炭水化物は、限定はされないが、グルコース、フルクトース、ガラクトース、リボース、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、セロビオース、マンノース、キシロース、アラビノース、グルクロン酸、ガラクトロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸を含む、単糖類または二糖類を含む。特定の実施形態では、炭水化物は、限定はされないが、ブルラン、セルロース、微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシセルロース(HC)、メチルセルロース(MC)、デキストラン、シクロデキストラン(cyclodextran)、グリコーゲン、ヒドロキシエチルスターチ、カラギーナン、グリコン、アミロース、キトサン、N,O−カルボキシメチルキトサン、アルギンおよびアルギン酸、デンプン、キチン、イヌリン、コンニャク、グルコマンナン、プスチュラン(pustulan)、ヘパリン、ヒアルロン酸、カードラン、およびキサンタンを含む多糖類である。実施形態では、本発明の合成ナノ担体は、炭水化物、例えば多糖類を含まない(または詳細には除外する)。特定の実施形態では、炭水化物は、限定はされないが、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、およびラクチトールを含む、糖アルコールなどの炭水化物誘導体を含んでもよい。
【0085】
本発明による組成物は、薬学的に許容できる賦形剤(例えば、防腐剤、緩衝液、生理食塩水、またはリン酸塩緩衝生理食塩水)と組み合わされた本合成ナノ担体を含む。組成物は、有用な剤形に到達するため、従来の医薬品製造および配合技術を用いて作製してもよい。一実施形態では、本合成ナノ担体は、防腐剤とともに注入するため、無菌生理食塩溶液中に懸濁される。
【0086】
実施形態では、合成ナノ担体を、ワクチンに使用される抗原および/またはアジュバント用の担体として調製するとき、抗原および/またはアジュバントを合成ナノ担体とカップリングする方法が有用であり得る。アジュバントが小分子である場合、合成ナノ担体の構築前に抗原および/またはアジュバントをポリマーと結合させることが有利であり得る。実施形態ではまた、抗原および/またはアジュバントをポリマーと結合させて、次に合成ナノ担体の作製においてそのポリマー複合体を使用するのではなく、抗原および/またはアジュバントを表面基を使用して合成ナノ担体とカップリングするために用いられる表面基を有する合成ナノ担体を調製することも有利であり得る。
【0087】
特定の実施形態において、カップリングは共有結合リンカーであってよい。実施形態では、抗原および/またはアジュバントは、ナノ担体の表面上のアジド基とアルキン基を含む抗原および/またはアジュバントとの1,3−双極性環化付加反応によるか、またはナノ担体の表面上のアルキンとアジド基を含む抗原またはアジュバントとの1,3−双極性環化付加反応により形成される1,2,3−トリアゾールリンカーを介して、合成ナノ担体外表面に共有結合的にカップリングし得る。かかる環化付加反応は、好ましくは、好適なCu(I)リガンドおよびCu(II)化合物を触媒活性Cu(I)化合物に還元する還元剤と共にCu(I)触媒の存在下で実施される。このCu(I)触媒アジド−アルキン環化付加(CuAAC)はまた、クリック反応とも称され得る。加えて、共有結合性のカップリングは、アミドリンカー、ジスルフィドリンカー、チオエーテルリンカー、ヒドラゾンリンカー、ヒドラジドリンカー、イミンまたはオキシムリンカー、尿素またはチオ尿素リンカー、アミジンリンカー、アミンリンカー、およびスルホンアミドリンカーを含む共有結合リンカーを含み得る。
【0088】
本発明の合成ナノ担体の要素(免疫特徴表面を含む部分、標的化部分、ポリマーマトリックス、抗原など)は、合成ナノ担体全体と、例えば1つ以上の共有結合によりカップリングされてもよく、または1つ以上のリンカーを用いてカップリングされてもよい。合成ナノ担体を機能化するさらなる方法は、Saltzman et al.に対する米国特許出願公開第2006/0002852号明細書、DeSimone et al.に対する米国特許出願公開第2009/0028910号明細書、またはMurthy et al.に対する国際公開第2008/127532 A1号パンフレットから応用することができる。
【0089】
その他または追加として、合成ナノ担体は、免疫特徴表面、標的化部分、アジュバント、様々な抗原、および/または他の要素と、非共有結合性の相互作用によって直接的または間接的にカップリングされてもよい。非共有結合の実施形態では、非共有結合性カップリングは、限定はされないが、電荷相互作用、親和性相互作用、金属配位、物理吸着、ホスト−ゲスト相互作用、疎水性相互作用、TTスタッキング相互作用、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、磁気相互作用、静電相互作用、双極子−双極子相互作用、および/またはそれらの組み合わせを含む非共有結合性の相互作用によって媒介される。かかるカップリングは、本発明の合成ナノ担体の外表面上または内表面上にあるように配置され得る。実施形態では、カプセル化および/または吸収は、カップリングの一形態である。
【0090】
追加的な利用可能な複合方法に関する詳細な説明については、Hermanson G T “Bioconjugate Techniques”,2nd Edition Published by Academic Press,Inc.,2008を参照のこと。
【0091】
D.本発明の組成物の作製および使用方法ならびに関連する方法
一実施形態では、本発明の合成ナノ担体の作成および維持における新規要素は、処理および保存の間に準生理学的重量オスモル濃度での浸透圧の平衡を使用することである。一実施形態では、浸透圧活性作用剤を含む本発明の合成ナノ担体を構築および製剤調製する間、重量オスモル濃度が重要な役割を果たす。
【0092】
重量オスモル濃度の平衡(例えば、内側水相と外側水相との間の)は、本発明の合成ナノ担体製剤を調製する間の効率的な負荷にとって重要であり得る。発明者らは、浸透圧活性作用剤を生体系に投与する手段としての本発明のナノ担体製剤の最適な効力が、生理学的標的の重量オスモル濃度にほぼ一致する最適調製重量オスモル濃度を含意することを認識している。一実施形態では、処理および調合の間中、浸透圧平衡を準生理学的レベルに維持すると、カプセル化効率、保存および投薬中の負荷安定性、ならびに効果的な送達に関して最適化された本発明の合成ナノ担体が提供される。
【0093】
本発明に従う実施形態において、浸透圧媒介性放出バリアフリーナノ担体は、200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中で形成される。この範囲の重量オスモル濃度を有する環境は、本発明の剤形が投与され得る対象に見られる局所的な浸透圧環境を模倣する。
【0094】
本発明に従う環境は、様々な技術を用いて特定の重量オスモル濃度で調製されてもよい。例えば、浸透圧活性を有するイオンの濃度を、所望の重量オスモル濃度に達するまで漸増または漸減してもよい。環境重量オスモル濃度を増加または減少させるために用いることのできる材料には、塩および緩衝剤(NaCl、CaCl
2、またはNaPO
4など)、単純または複合糖質(スクロース、デキストロース、デキストラン、またはナトリウムカルボキシメチルセルロースなど)、ポリオール(ソルビトール、グリセロール、またはポリビニルアルコールなど)、pH調整剤(HCl、NaOH、または酢酸など)、アミノ酸およびペプチド(グリシン、ヒスチジン、およびなど)、キレート剤または抗酸化剤(EDTA、アスコルビン酸など)、ビタミン、溶解ガス、水溶性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー、またはポリエチレングリコール)、ならびに防腐剤および抗菌薬(安息香酸など)が含まれる。処理用媒質または環境の重量オスモル濃度に寄与する作用剤は、重量オスモル濃度の調整に加え、さらなる機能的役割を有し得る。重量オスモル濃度を低下させるには、希釈が従来の方法であり、例えば環境を水で、またはより低い重量オスモル濃度の別の水性媒質で希釈する。さらに、ナノ担体媒質から浸透圧性作用剤を、例えば沈殿または液液抽出によって除去して、ナノ担体の環境(またはその処理中の形態)により低い重量オスモル濃度を生じさせてもよい。例えば、一実施形態では、水性媒質に、可溶性イオンの沈殿を生じさせ得るキトサンなどの縮合剤を添加することができる。キレート剤および樹脂もまた、正味の溶質濃度を低下させるために環境中に導入することができる。液液抽出の例には、水溶性の作用剤が少なくとも一部でジクロロメタン相(例えば安息香酸)に分離するように、有機相(ジクロロメタンなど)を水性環境と接触させることが含まれ得る。水溶液の重量オスモル濃度は、限定はされないが、蒸気圧降下、凝固点降下、または膜浸透圧計を含むいくつかの一般に認められた技術のいずれかによって計測することができる。本明細書中の他の個所に記載されているように、有用な種類の浸透圧計には、Wescor Vapro II蒸気圧浸透圧計モデルシリーズ、Advanced Instruments 3250凝固点浸透圧計モデルシリーズ、およびUICモデル231膜浸透圧計が含まれる。
【0095】
実施形態では、浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体の形成後、それを200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中に維持してもよい。これは合成ナノ担体の完全性を保つのに役立ち、また浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体の製造中における浸透圧活性作用剤の望ましくないまたは早まった放出を低減または防止するのにも役立ち得る。実施形態では、透析または遠心と、続く再懸濁などの方法を用いて、特定の環境を変化させてもよい。他の実施形態では、浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体が形成される環境と、浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体が維持される環境とは、同じである。環境を変化させるか、または同じに保つ状況は、他の要因のなかでも特に、関わる製造プロセスの性質、製造される合成ナノ担体のタイプ、および浸透圧活性作用剤の性質によって左右され得る。環境の重量オスモル濃度は、本明細書中の別の個所に記載される様々な計測技術を用いてモニタすることができ、かつ重量オスモル濃度は、同様に本明細書中の別の個所に記載される様々な試薬の滴定を用いて維持することができる。
【0096】
実施形態では、形成した浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体は、200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中で処理され得る。実施形態では、この処理には、合成ナノ担体を洗浄すること、合成ナノ担体を遠心すること、合成ナノ担体を濾過すること、合成ナノ担体を濃縮または希釈すること、合成ナノ担体を凍結すること、合成ナノ担体を乾燥させること、合成ナノ担体を他の合成ナノ担体または添加剤もしくは賦形剤と組み合わせること、合成ナノ担体のpHまたは緩衝液環境を調整すること、ゲルまたは高粘度媒質中に合成ナノ担体を封入すること、合成ナノ担体を再懸濁すること、合成ナノ担体を共有結合的にまたはコーティングもしくはアニーリングなどの物理学的プロセスにより表面修飾すること、合成ナノ担体に活性作用剤または賦形剤を含浸させるまたはドープすること、合成ナノ担体を滅菌すること、合成ナノ担体を投与のために再構成すること、または上記のいずれかの組み合わせを含み得る数多くの異なる単位操作が含まれ得る。加えて、実施形態では、形成した浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体は、200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中で保存され得る。ここでも、かかる環境中での処理は、合成ナノ担体の完全性を保つのに役立ち、また、浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体の製造中における浸透圧活性作用剤の望ましくないまたは早まった放出を低減または防止するのにも役立ち得る。処理または保存環境を構成する特定の材料は、その環境が200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度に維持される限り、変化させても、または同じに保ってもよい。
【0097】
実施形態では、形成した浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体は、形成した浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体が200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中に維持される剤形に調合されてもよい。実施形態では、環境は、200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有するように調合される媒体を含み得る。媒体の重量モル濃度は、環境重量オスモル濃度を作り出し、および/または維持するための本明細書中の別の個所に開示される技術および材料を用いて確立することができ、ただし選択される材料および技術は、当該の剤形のタイプに適したものでなければならない。例えば、注射用剤形における媒体の重量オスモル濃度を増加させるために使用される材料は、非経口剤形での使用に適したものでなければならない。懸濁液、ゲル、または凍結懸濁液剤形は、重量オスモル濃度調整剤の組み込みによって適切な重量オスモル濃度に調製され得る。これらの例としては、限定はされないが、剤形の浸透圧に寄与する水溶性緩衝液、塩、炭水化物、ポリオール、アミノ酸、イオン、および共溶媒が、本明細書中の別の個所に記載される他のかかる作用剤と共に挙げられる。剤形が凍結乾燥されるべき場合、本発明の実施においては、従来の設定で実行される従来の凍結乾燥機器を使用することができる。
【0098】
実施形態では、対象に投与される剤形は、200〜500mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する環境中、従って浸透圧活性作用剤の望ましくない放出(例えば早まった放出、または不適切な環境での放出)が防止される環境中においてのみ処理される浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体を含む。かかる処理は、合成ナノ担体を洗浄すること、合成ナノ担体を遠心すること、合成ナノ担体を濾過すること、合成ナノ担体を濃縮または希釈すること、合成ナノ担体を凍結すること、合成ナノ担体を乾燥させること、合成ナノ担体を他の合成ナノ担体または添加剤もしくは賦形剤と組み合わせること、合成ナノ担体のpHまたは緩衝液環境を調整すること、ゲルまたは高粘度媒質中に合成ナノ担体を封入すること、合成ナノ担体を再懸濁すること、合成ナノ担体を共有結合的にまたはコーティングもしくはアニーリングなどの物理学的プロセスにより表面修飾すること、合成ナノ担体に活性作用剤または賦形剤を含浸させるまたはドープすること、合成ナノ担体を滅菌すること、合成ナノ担体を投与のために再構成すること、または上記のいずれかの組み合わせを含む。
【0099】
合成ナノ担体は、当該技術分野で公知の様々な方法で調製できる。例えば、合成ナノ担体は、ナノ沈殿、流体チャネルを用いるフローフォーカシング、スプレー乾燥、単一および二重エマルジョン溶媒蒸発、溶媒抽出、相分離、ミリング、マイクロエマルジョン法、マイクロ加工、ナノ加工、犠牲層、単純および複合コアセルベーション、および当業者に周知の他の方法によって形成し得る。代替または追加として、単分散半導体、導電性、磁性、有機、および他のナノ材料のための水性および有機溶媒合成については、記載がなされている(Pellegrino et al.,2005,Small,1:48;Murray et al.,2000,Ann.Rev.Mat.Sci.,30:545;および Trindade et al.,2001,Chem.Mat.,13:3843)。付加的な方法は、文献に記載がなされている(例えば、Doubrow,Ed.,“Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy,” CRC Press,Boca Raton,1992;Mathiowitz et al.,1987,J.Control.Release,5:13;Mathiowitz et al.,1987,Reactive Polymers,6:275;および Mathiowitz et al.,1988,J.Appl.Polymer Sci.,35:755、米国特許第5578325号明細書および米国特許第6007845号明細書;P.Paolicelli et al.“Surface−modified PLGA−based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus−like Particles”.Nanomedicine.5(6):843−853(2010)を参照)。
【0100】
様々な材料が、限定はされないが、C.Astete et al.,“Synthesis and characterization of PLGA nanoparticles” J.Biomater.Sci.Polymer Edn,Vol.17,No.3,pp.247−289(2006);K.Avgoustakis “Pegylated Poly(Lactide)and Poly(Lactide−Co−Glycolide)Nanoparticles:Preparation,Properties and Possible Applications in Drug Delivery” Current Drug Delivery 1:321−333(2004);C.Reis et al.,“Nanoencapsulation I.Methods for preparation of drug−loaded polymeric nanoparticles” Nanomedicine 2:8−21(2006);P.Paolicelli et al.“Surface−modified PLGA−based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus−like Particles”.Nanomedicine.5(6):843−853(2010)を含む種々の方法を用い、望ましくは合成ナノ担体へのカプセル化を通じてカップリングし得る。材料、例えばヌクレオチド酸を合成ナノ担体にカプセル化するのに適した他の方法、例えば限定はされないが、米国特許第6,632,671号明細書(Ungerに付与)(2003年10月14日)中に開示される方法を用いてもよい。
【0101】
特定の実施形態では、合成ナノ担体は、ナノ沈殿プロセスまたはスプレー乾燥によって調製される。合成ナノ担体の調製に使用される条件を変更することにより、所望されるサイズまたは特性(例えば、疎水性、親水性、外的形態、「粘性」、形状など)の粒子が生成され得る。合成ナノ担体を調製する方法および使用される条件(例えば、溶媒、温度、濃度、気流速度など)は、合成ナノ担体にカップリングされるべき材料および/またはポリマーマトリックスの組成物に依存する場合がある。
【0102】
上記の方法のいずれかによって調製される粒子が所望される範囲外のサイズ範囲を有する場合、粒子を、例えばふるいを使用してサイジングしてもよい。
【0103】
実施形態では、本発明の合成ナノ担体は、同じ媒体または送達系中に混合することによって他のアジュバントと組み合わせることができる。かかるアジュバントには、限定はされないが、無機塩類、例えば明礬、腸内細菌、例えば大腸菌(Escherihia coli)、サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、またはフレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)のモノホスホリル(monphosphoryl)脂質(MPL)Aと組み合わされた、または具体的にはMPL(登録商標)(AS04)と組み合わされた明礬、別個に上述の細菌のMPL A、サポニン、例えばQS−21、Quil−A、ISCOM、ISCOMATRIX(商標)、エマルジョン、例えばMF59(商標)、Montanide(登録商標)ISA 51およびISA 720、AS02(QS21+スクアレン+MPL(登録商標))、リポソームおよびリポソーム製剤、例えばAS01、合成のまたは特別に調製された微粒子および微小担体、例えば淋菌(N.gonorrheae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)およびその他の細菌由来の外膜小胞(OMV)、またはキトサン粒子、デポー形成剤、例えばPluronic(登録商標)ブロック共重合体、特別に修飾または調製されたペプチド、例えばムラミルジペプチド、アミノアルキルグルコサミニド4−ホスフェート、例えばRC529、またはタンパク質、例えば細菌トキソイドまたは毒素断片が含まれ得る。かかる他のアジュバントの用量は、従来の用量範囲探索試験を用いて決定することができる。
【0104】
実施形態では、本発明の合成ナノ担体は、異なる時点でおよび/または異なる身体部位におよび/または異なる免疫化経路により別個に投与されるナノ担体(アジュバントを伴うまたは伴わない、別の送達媒体を利用するまたは利用しない)とカップリングされる抗原と異なるか、同様であるか、または同一である抗原と共に、または異なる時点でおよび/または異なる身体部位におよび/または異なる免疫化経路により別個に投与される別の抗原および/またはアジュバント担持合成ナノ担体と共に組み合わせることができる。
【0105】
従来の薬剤混合法を用いて様々な合成ナノ担体を組み合わせることにより、本発明に従う本発明の剤形を形成することができる。それらには液体−液体混合が含まれ、ここでは、ナノ担体の1つ以上のサブセットを各々含む2種以上の懸濁液が直接組み合わされるか、または希釈剤が入った1つ以上の容器を用いて一つにされる。合成ナノ担体はまた、粉末形態でも生成または保存され得るため、2種以上の粉末を共通の媒質に再懸濁できるように乾燥粉末−粉末混合を実施することも可能である。ナノ担体の特性およびその相互作用ポテンシャルに応じて、何らかの混合経路に利点が付与され得る。
【0106】
実施形態では、本発明に従う剤形は、本発明の合成ナノ担体を薬学的に許容できる賦形剤との組み合わせで含む。この組成物は、有用な剤形をもたらす従来の製剤加工および配合技術を用いて作製することができる。本発明の実施での使用に適した技術は、Handbook of Industrial Mixing:Science and Practice,Edward L.Paul,Victor A.Atiemo−Obeng,およびSuzanne M.Kresta編,2004年 John Wiley & Sons,Inc.;およびPharmaceutics:The Science of Dosage Form Design,第2版.M.E.Auten編,2001年,Churchill Livingstoneにおいて見出され得る。一実施形態では、本発明の合成ナノ担体は、防腐剤と共に注射用の無菌生理食塩溶液中に懸濁される。実施形態では、本発明の剤形は、賦形剤、例えば限定はされないが、無機または有機緩衝液(例えば、リン酸、炭酸、酢酸、またはクエン酸のナトリウム塩またはカリウム塩)およびpH調整剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、クエン酸塩または酢酸塩、アミノ酸およびその塩)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、α−トコフェロール)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン9−10ノニルフェノール、デソキシコール酸ナトリウム)、溶液および/または冷凍/溶解安定剤(例えば、スクロース、ラクトース、マンニトール、トレハロース)、抗細菌剤(例えば、安息香酸、フェノール、ゲンタマイシン)、消泡剤(例えば、ポリジメチルシロゾン)、防腐剤(例えば、チメロサール、2−フェノキシエタノール、EDTA)、高分子安定化剤および粘度調整剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー488、カルボキシメチルセルロース)および共溶媒(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール)を含み得る。詳細な実施形態において、剤形はまた、剤形の重量オスモル濃度を所望の範囲(例えば200〜500mOsm/kg)以内となるよう改変するために用いられる浸透圧調整剤(例えば、塩類または糖類)も含み得る。
【0107】
本発明の合成ナノ担体、およびかかる合成ナノ担体を含む本発明の剤形は、対象における所望の区画に浸透圧活性作用剤を送達することを含め、多種多様な用途に用いることができる。特定の実施形態において、本発明の合成ナノ担体は、従来達成可能な負荷と比べて大幅に高い負荷で単離核酸などの浸透圧活性作用剤を送達するのに用いることができる。この特性は、例えば、浸透圧活性作用剤がアジュバントを含む実施形態で合成ナノ担体のアジュバント負荷を増加させる際に、価値があり得る。本発明の合成ナノ担体の使用は、浸透圧活性作用剤をナノ粒子、リポソームなどに負荷する従来技術(拡散性バリア、縮合剤など)と比較したとき、浸透圧活性作用剤の放出速度に対してより高い制御を提供する点でさらなる利益を提供する。
【0108】
本発明の組成物は任意の好適な方法で作製し得ること、および本発明が本明細書に記載される方法を用いて生成され得る組成物に何ら限定されないことが理解されるべきである。適切な方法の選択は、本発明の剤形の浸透圧活性作用剤、合成ナノ担体、および他の要素の特性に配慮しなければならない場合がある。
【0109】
一部の実施形態では、本発明の合成ナノ担体は無菌条件下で作製されるか、または最終滅菌されている。これにより、結果として得られる組成物が無菌性および非感染性になり、従って非滅菌組成物と比べて安全性が高まることを保証し得る。これは、特に、合成ナノ担体を受ける対象が免疫不全を有し、感染症を患い、および/または感染症にかかりやすい場合に、有効な安全対策となる。一部の実施形態では、本発明の合成ナノ担体を凍結乾燥させ、活性を低下させることなく長期間にわたり、調合方法に応じて懸濁液中に保存するか、または凍結乾燥粉末として保存し得る。
【0110】
本発明の組成物は、限定はされないが、皮下、筋肉内、皮内、経口、鼻腔内、経粘膜、舌下、直腸、眼、経皮的(transdermal)、経皮(transcutaneous)を含む様々な投与経路により、またはこれらの経路の組み合わせにより投与し得る。
【0111】
剤形の用量は、本発明に従い、合成ナノ担体の様々な量を包含する。本発明の剤形に存在する合成ナノ担体の量は、達成しようとする治療上の利点、および他のかかるパラメータに従って変化し得る。実施形態では、用量範囲探索試験を実施することで、剤形に存在するべき合成ナノ担体の最適な治療量を確定し得る。本発明の剤形は、様々な頻度で投与し得る。好ましい実施形態では、剤形を少なくとも1回投与すれば、薬理学的に適切な反応を発生させるのに十分である。より好ましい実施形態では、薬理学的に適切な反応を確実にするため、剤形の少なくとも2回の投与、少なくとも3回の投与、または少なくとも4回の投与が利用される。
【0112】
本明細書に記載される組成物および方法は、免疫応答を誘発、促進、抑制、調節、誘導、または再誘導するために使用することができる。本明細書に記載される組成物および方法は、癌、感染性疾患、代謝疾患、変性疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、免疫学的疾患などの状態、または他の障害および/または状態の診断、予防および/または処置において使用することができる。本明細書に記載される組成物および方法はまた、依存、例えばニコチンまたは麻酔剤への依存の予防または処置のために使用することができる。本明細書に記載される組成物および方法はまた、毒素、毒性媒介物、環境毒素、または他の有害な作用剤への暴露に起因する状態の予防および/または処置のために使用することができる。
【0113】
また、使用および/または混合に関する説明書付きのまたはそれ無しの、本発明の組成物または剤形を含むキットも本発明の範囲内にある。キットは、少なくとも1つの追加的な試薬、例えば再構成剤または薬学的に許容できる担体、または1つ以上の追加的な本発明の組成物または剤形をさらに含むことができる。本発明の組成物または剤形を含むキットは、上記に記載される治療適用向けに調製することができる。キットの構成要素は、水性媒質中に、または凍結乾燥形態で包装され得る。キットは、その中に密封する形で、試験管、バイアル、フラスコ、ボトル、シリンジなどの1つ以上の収容手段または一連の収容手段を受け入れるための区画化された運搬体を含み得る。前記収容手段または一連の収容手段の第1のものが、本発明の1つ以上の組成物または剤形を収容し得る。第2の収容手段または一連の収容手段が、再構成剤または薬学的に許容できる担体などの追加的な試薬を収容し得る。
【実施例】
【0114】
E.実施例
本発明は、本発明の特定の態様および実施形態の、限定としてではなくあくまで例示目的で、含められる以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
【0115】
当業者は、直前に記載の実施形態の様々な適応および修飾が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく設けられ得ることを理解するであろう。当該技術分野で既知の他の好適な技術および方法は、本明細書中に記載の本発明の説明を踏まえた、当業者による極めて多数の特定のモダリティにおいて適用することができる。
【0116】
したがって、本発明が、本明細書中に詳述される場合と異なるように実施することができることが理解されるべきである。上記は、例示的であっても、限定的でないことが意図されている。多数の他の実施形態が、当業者にとっては、上記をレビューする際に理解されるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を踏まえ、またかかる特許請求の範囲において権利を与えられた相当物の全範囲と併せて、判断される必要がある。
【0117】
実施例1:免疫刺激性オリゴヌクレオチドが負荷された合成ナノ担体を生成するために使用されるW
1/O/W
2エマルジョン中の外側水相の重量オスモル濃度効果。 カプセル化された浸透圧活性作用剤を含む浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体を含む剤形を調製した。この例では、合成ナノ担体は、PLGA、PLA−PEG−Nic、およびPS−1826 CpGを含んだ。合成ナノ担体は二重エマルジョン方法によって調製し、ここではナノ担体にPS−1826オリゴヌクレオチド(浸透圧活性作用剤)をカプセル化した。
【0118】
調合要素:
W
1=水中100mg/mLのPO−1826オリゴヌクレオチド、重量オスモル濃度計算値=330mOsm/kg
W
2=a.100mMリン酸塩緩衝液pH8中5%PVA、重量オスモル濃度計算値=296mOsm/kgまたは
b.エンドトキシンフリーRO水中5%PVA、重量オスモル濃度計算値=3mOsm/kgまたは
c.0.5M NaCl含有100mMリン酸塩緩衝液pH8中5%PVA、重量オスモル濃度計算値=1300mOsm/kg
【0119】
ポリビニルアルコール(Mw=11KD〜31KD、87〜89%部分的に加水分解)は、JT Bakerから購入した。PS−1826 CpGは、Oligos Etc.9775 SW Commerce Circle C−6,Wilsonville,OR 97070)から入手した。PLGA 7525 DLG 7Aは、SurModics Pharmaceuticals(756 Tom Martin Drive,Birmingham,AL 35211)から購入した。近似分子量22kDのPLA−PEG−Nicは、合成して精製した。
【0120】
上記の材料を使用し、以下の溶液を調製した:
1.水中PS−1826 CpG(100mg/mL)
2.ジクロロメタン中PLGA 7525 DLG 7A(100mg/mL)
3.ジクロロメタン中PLA−PEG−Nic(100mg/mL)
4.水性媒質中ポリビニルアルコール(50mg/mL)
溶液1:初めにPS−1826を、無菌の脱イオン化されたRNase/DNaseフリー水中に終濃度100mg/mLとなるように溶解することにより、水溶液中PS−1826 CpGを調製した。
溶液2:ジクロロメタン中PLGA 7525 DLG 7A(100mg/mL)を室温で調製し、0.2ミクロンPTFEシリンジフィルタで濾過した。
溶液3:ジクロロメタン中PLA−PEG−Nic(100mg/mL)を室温で調製し、0.2ミクロンPTFEシリンジフィルタで濾過した。
溶液4:ポリビニルアルコール(50mg/mL)を様々な水性媒質中に調製した。具体的なナノ担体に応じて、水性媒質は、(a)100mMリン酸塩緩衝液pH8、(b)精製水、または(c)0.5M NaCl含有100mMリン酸塩緩衝液pH8のいずれかであった。
【0121】
溶液1、2、および3を使用して一次(W1/O)エマルジョンを作成した。溶液1(0.1mL)を、小型ガラス製プレッシャーチューブ内の3:1v:v比の溶液2(0.75mL)および溶液3(0.25mL)を含む溶液1mLに添加した。Branson Digital Sonifier 250を使用して50%の振幅で40秒間超音波処理することにより、一次エマルジョンを形成した。
【0122】
次に、溶液4(3.0mL)を一次エマルジョンに添加し、かつBranson Digital Sonifier 250を使用して30%の振幅で60秒間超音波処理することにより、二次(W1/O/W2)エマルジョンを形成した。
【0123】
二次エマルジョンを、30mLの水性溶媒蒸発(Solvent Evaportion)(SE)用媒質が入った撹拌ビーカーに添加した。具体的なナノ担体に応じて、この媒質は、(aおよびb)70mMリン酸塩緩衝液pH8または(c)0.5M NaCl含有70mMリン酸塩緩衝液pH8のいずれかであった。懸濁液を室温で2時間撹拌してジクロロメタンを蒸発させ、ナノ担体を形成させた。ナノ担体懸濁液を遠心管に移して18,000rcfで60分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁することにより、ナノ担体の一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、最後に、ポリマーを基準として10mg/mLの設定濃度の最終ナノ担体分散体とするため、ペレットをリン酸塩緩衝生理食塩水に分散させ、再懸濁した。
【0124】
懸濁液1mLあたりの乾燥ナノ担体総質量を重量測定法により決定した。ナノ担体に封入されたPS−1826 CpG負荷(%w/w)および遊離PS−1826含量を、洗浄前、および処理の完了後に再び、HPLCによって決定した。平均有効粒度をDLSにより決定した。
【0125】
ナノ担体は、同様の収率(91〜98%)および同様の平均有効直径サイズ(230〜260nm)で生成された。
【0126】
【表1】
【0127】
ナノ担体ロットXおよびZは、最終剤形まで、平衡した準生理学的重量オスモル濃度(ロットX)または一時的に上昇する外相重量オスモル濃度(ロットZ)を維持するプロセスによって形成した。これらのナノ担体は、低い重量オスモル濃度W2相で形成した第3のナノ担体ロット(ロットY)と比べて、浸透圧性作用剤PS−1826の中間および最終負荷がより高かった。ナノ担体ロットZはさらに、最終剤形中において、顕著な遊離浸透圧活性作用剤PS−1826の存在により特徴付けられる。低張の外側媒質中でエマルジョンを形成すると、カプセル化は低下した。処理中に高張の外部媒質を一時的に作り出すと、粒子において一時的に高い負荷が生じた。しかしながら、高張媒質が等張媒質に置き換わると、浸透圧勾配を有効に持続できなくなったため、高張性の見かけの利点が消失した。
【0128】
実施例2:バースト試験
実施例1のナノ担体を、凍結融解サイクルにおける封入されたPS−1826 CpGのバースト損失についてさらに評価した。
【0129】
凍結融解サイクル方法:
実施例1からの約7mgナノ担体/mLのナノ担体懸濁液の0.5mLアリコートを、1.7mLポリプロピレン遠心管において−20℃で棚凍結した。−20℃で一晩貯蔵した後、アリコートを再循環式の室温の水浴中に速やかに移した。密閉した管を、管の凍結した部分が完全に水面より下になるようにして、部分的に撹拌水浴中に浸した。試料は全て数分以内に融解したが、アリコートは浴中に20分間保持してから取り出し、粒子の即時分析および上清分析にかけた。実施例1にあるとおり、HPLCベースの含量アッセイを実施し、ナノ担体に負荷された、および遊離しているPS−1826含量を決定した。
【0130】
【表2】
【0131】
ナノ担体を等張系で処理および仕上げすると、封入レベルが高くなり、かつ凍結および融解時の含量損失が低下した。一部のナノ担体は、媒質に対して封入PS−1826の23%の損失を実証したが、他のナノ担体は0%の損失を示した。しかしながら、後者のナノ担体を続いてペレット化して新鮮なPBS緩衝液に移すと、オリゴヌクレオチドの25%バースト損失が観察された。これらのデータは、外相における高張媒質の効果が一時的な利益に過ぎず、かつ高張性の剤形の投与は潜在的に副作用を伴うため、本発明の実施には有用でないことを示している。
【0132】
実施例3:低重量オスモル濃度懸濁媒質は、合成ナノ担体からの免疫刺激性オリゴヌクレオチドの損失を駆動し得る
本発明の浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体調製物を様々な媒質に移し替え(ペレット化し、再懸濁し)、凍結融解イベントを通じた負荷安定性を調べた。
【0133】
PS−1826 CpG含有ナノ担体の凍結/融解安定性に対する様々なイオン媒質の影響を調査するため、以下の試験を実施した。
【0134】
本発明のナノ担体を実施例1の方法に従い作製し、ただし溶液2および3は、ジクロロメタン中100mg/mLのPLGA−PEG−ニコチンを含む単一の溶液に置き換えた。PLGA−PEG−ニコチンは合成して精製し、その近似分子量は80kDであった。
【0135】
ナノ担体を新鮮な媒質に移し替えるため、ナノ担体のアリコートを遠心(14,000rcf、4℃)によりペレット化し、上清(supernant)を抜き出し、等量の新鮮な媒質と交換してナノ担体を再懸濁した。このプロセスを各アリコートに対して2回行った。
【0136】
アリコートをポリプロピレン遠心管において−20℃で棚凍結し、次に撹拌室温水浴中に部分的に浸して融解することにより、凍結融解サイクル中のPS−1826 CpGの残留を試験した。融解した材料を、次にHPLCにより、遊離しているおよびペレットに負荷されたPS−1826含量について分析した。遊離PS−1826は、封入された浸透圧活性作用剤のナノ担体からの損失を表す。緩衝液、重量オスモル濃度計算値、およびPS−1826含量および損失を、以下の表にまとめる。
【0137】
【表3】
【0138】
この結果にイオン種による傾向はなかったが、損失は重量オスモル濃度が低い媒質ほど大きかった。
【0139】
実施例4:免疫刺激性オリゴヌクレオチドの放出速度は、懸濁媒質の重量オスモル濃度によって調節することができる。 本発明の浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体を準生理学的重量オスモル濃度で作製し、準中性pHの様々な媒質中に移し替えた。得られた放出特性は媒質の重量オスモル濃度により制御された。等張条件の媒質は放出をもたらさなかった。
【0140】
材料
ナトリウム対イオンを伴うヌクレオチド配列5’−TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT−3’(配列番号1)を有するリン酸ジエステル骨格を含むPO−1826 DNAオリゴヌクレオチドは、Oligo Factory(120 Jeffrey Ave.,Holliston,MA 01746)から購入した。
【0141】
固有粘度が0.21dL/gのPLAは、SurModics Pharmaceuticals(756 Tom Martin Drive,Birmingham,AL 35211.製品コード100 DL 2A)から購入した。
【0142】
分子量約22,000DaのPLA−PEG−ニコチンは従来の方法によって合成した。
【0143】
ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)は、J.T.Baker(部品番号U232−08)から購入した。
【0144】
溶液1:初めにPO−1826を、無菌の脱イオン化されたRNase/DNaseフリー水中に40mg/mLの濃度となるように溶解することにより、水溶液中のPO−1826 CpGを調製した。
【0145】
溶液2:ジクロロメタン中PLA(75mg/mL)およびPLA−PEG−ニコチン(25mg/ml)。この溶液は、室温で2つの別個の溶液:ジクロロメタン中PLAおよびジクロロメタン中PLA−PEG−ニコチン(各々、0.2ミクロンPTFEシリンジフィルタで濾過した)を合わせることにより調製した。PLA−PEG−ニコチン溶液1部につき3部のPLA溶液を添加することにより、最終溶液を調製した。
【0146】
溶液3:100mMのpH8リン酸塩緩衝液中ポリビニルアルコール(50mg/mL)。
【0147】
溶液4:70mMのリン酸塩緩衝液pH8
【0148】
溶液1および溶液2を使用して一次(W1/O)エマルジョンを作成した。溶液1(0.25mL)および溶液2(1.0mL)を小型ガラス製プレッシャーチューブに加え合わせ、Branson Digital Sonifier 250を使用して50%の振幅で40秒間超音波処理した。
【0149】
次に、一次エマルジョンに溶液3(3.0mL)を添加し、Branson Digital Sonifier 250を使用して30%の振幅で60秒間超音波処理することにより、二次(W1/O/W2)エマルジョンを形成した。
【0150】
第2のエマルジョンを、溶液4(30mL)が入ったビーカーに添加し、室温で2時間撹拌することにより、ジクロロメタンを蒸発させ、ナノ担体を形成させた。ナノ担体懸濁液を遠心管に移し、21,000rcfで45分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁することにより、ナノ担体の一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ポリマーを基準として10mg/mLの設定濃度の最終ナノ担体分散体とするため、ペレットをリン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁した。
【0151】
懸濁液1mLあたりの乾燥ナノ担体総質量を重量測定法により決定した。ナノ担体中のPO−1826 CpG含量をHPLCにより決定した。
【0152】
ナノ担体のアリコートを遠心でペレット化し、上清を抜き取り、ナノ担体を新しい媒質中に再懸濁し、撹拌しながら37℃で24時間インキュベートすることにより、様々な媒質中でのインビトロ放出(IVR)速度を決定した。再懸濁時(t=0時間)、2時間、6時間、および24時間の時点で、放出媒質においてPO−1826 CpG放出をHPLCにより決定した。放出は割合として計算した。放出媒質、時間0におけるバースト放出、および24時間にわたる放出を、以下の表およびグラフにまとめる。
【0153】
【表4】
【0154】
生理学的pH(pH7〜8)で放出の浸透圧調節が観察される。上記の図および表に示されるとおり、低重量オスモル濃度媒質(例えば、28mOsm/kg)に懸濁された粒子は、多量の封入活性浸透圧性作用剤を急速に放出する。漸進的により高い重量オスモル濃度の媒質を使用するに従い(NaCl、リン酸ナトリウム、および/またはEDTAのいずれかを使用して重量オスモル濃度を確立する)、T=0時間および24時間の放出率は対応して低下する。生理学的重量オスモル濃度および生理学的pHの媒質中への浸透圧性作用剤の放出がほぼゼロに近いことは、投与に好適な製剤におけるナノ担体の安定性を示している。
【0155】
実施例5:ニコチンワクチン接種実験
準生理学的重量オスモル濃度でpH感受性を有する浸透圧媒介性放出合成ナノ担体を調合し得る。pHの関数としての活性浸透圧性作用剤の放出速度は、薬理的効果の効力に関係し得る。以下に詳述する2つの実験の目的は、二つあった:(1)ナノ担体が約140mOsm/kgより高い持続的な浸透圧勾配(ナノ担体相の重量オスモル濃度−懸濁媒質を含む系平均重量オスモル濃度として計算される)に暴露されないように媒質の選択を設計したとき、同じナノ担体材料および形成方法でより強力なナノ担体が実現されたことを確認すること、および(2)酸性媒質中でのCpGアジュバントのナノ担体からのインビトロ放出速度とその効力との関係を評価すること。効力は、いずれの場合にも、アジュバントが負荷された抗原提示ナノ担体によって誘導される抗体レベルの観点で計測される。
【0156】
ナノ粒子の調合およびIVR測定
材料
ナトリウム対イオンを伴うヌクレオチド配列5’−TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT−3’(配列番号1)を有するリン酸ジエステル骨格を含むPO−1826 DNAオリゴヌクレオチドは、Oligo Factory(120 Jeffrey Ave.,Holliston,MA 01746)から購入した。オボアルブミンタンパク質のT細胞およびB細胞エピトープであることが公知の17アミノ酸のペプチド、オボアルブミンペプチド323−339は、Bachem Americas Inc.(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505.部品番号4065609)から購入した。固有粘度が0.21dL/gのPLAは、SurModics Pharmaceuticals(756 Tom Martin Drive,Birmingham,AL 35211、製品コード100 DL 2A)から購入した。
【0157】
様々な固有粘度(IV)およびラクチド:グリコリド(L:G)比のPLGAは、SurModics Pharmaceuticals(756 Tom Martin Drive,Birmingham,AL 35211)またはBoehringer Ingelheim(55216 Ingelheim am Rhein,独国)から購入した。製品コード、製造業者、IV、およびL:G比は、以下の表にまとめるとおりであった。
【0158】
【表5】
【0159】
分子量約22,000DaのPLA−PEG−ニコチンは、従来の方法を用いて合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)は、J.T.Baker(部品番号U232−08)から購入した。
【0160】
合成ナノ担体ロットA(MHC IIペプチドナノ担体)に対する方法
溶液1:0.13N塩酸(HCl)中オボアルブミンペプチド323−339(40mg/mL)。この溶液は、オボアルブミンペプチドを室温で0.13NのHCl溶液に直接溶解し、次に0.2ミクロンPESシリンジフィルタで濾過することにより調製した。
【0161】
溶液2:ジクロロメタン中0.21−IV PLA(75mg/mL)およびPLA−PEG−ニコチン(25mg/ml)。この溶液は、初めに室温で2つの別個の溶液:純粋ジクロロメタン中0.21−IV PLA(100mg/mL)および純粋ジクロロメタン中PLA−PEG−ニコチン(100mg/mL)(各々、0.2ミクロンPTFEシリンジフィルタで濾過した)を作製することにより調製した。PLA−PEG−ニコチン溶液1部につき3部のPLA溶液を添加することにより、最終溶液を調製した。
【0162】
溶液3:100mMのpH8リン酸塩緩衝液中ポリビニルアルコール(50mg/mL)。
【0163】
溶液4:70mMのリン酸塩緩衝液pH8
【0164】
溶液1および溶液2を使用して一次(W1/O)エマルジョンを生成した。溶液1(0.2mL)および溶液2(1.0mL)を小型ガラス製プレッシャーチューブに合わせて、Branson Digital Sonifier 250を使用して50%の振幅で40秒間超音波処理した。
【0165】
次に、一次エマルジョンに溶液3(3.0mL)を添加し、Branson Digital Sonifier 250を使用して30%の振幅で60秒間超音波処理することにより、二次(W1/O/W2)エマルジョンを形成した。
【0166】
70mMリン酸塩緩衝溶液(30mL)が入ったビーカーに第2のエマルジョンを添加し、室温で2時間撹拌してジクロロメタンを蒸発させ、ナノ担体を形成させた。ナノ担体懸濁液を遠心管に移し、21,000rcfで45分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁することにより、ナノ担体の一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ポリマーを基準として10mg/mLの設定濃度の最終ナノ担体分散体とするため、ペレットをリン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁した。
【0167】
懸濁液1mLあたりの乾燥ナノ担体総質量を重量測定法により決定した。ナノ担体のペプチド含量は、HPLCにより4.1%w/wであると決定された。使用前に、リン酸塩緩衝生理食塩水を添加してナノ担体濃度を5mg/mLに希釈した。
【0168】
ナノ担体ロットB、C、D、E、F、およびG(CpG含有ナノ担体)に対する方法
溶液1:初めにPO−1826を、無菌の脱イオン化されたRNase/DNaseフリー水中に溶解して濃縮ストック溶液(例えば200mg/mL)を作製することにより、水溶液中PO−1826 CpGを調製した。この溶液をさらなる水で、またはKCl水溶液で、40mg/mLに希釈した。各合成ナノ担体ロットの作製に用いた最終的な溶液1の媒質を、以下の表にまとめる。
【0169】
【表6】
【0170】
溶液2:ジクロロメタン中PLGA(75mg/mL)およびPLA−PEG−ニコチン(25mg/ml)。この溶液は、室温で2つの別個の溶液:ジクロロメタン中PLGAおよびジクロロメタン中PLA−PEG−ニコチン(各々、0.2ミクロンPTFEシリンジフィルタで濾過した)を合わせることにより調製した。PLA−PEG−ニコチン溶液1部につき3部のPLA溶液を添加することにより、最終溶液を調製した。各ナノ担体の調製に用いたPLGA組成を、以下の表にまとめる。ロットEの場合、ジクロロメタンは5%v/vベンジルアルコールをさらに含み、これはPO−1826封入効率を低下させるが、中間PO−1826放出速度はなお維持されることが分かった。
【0171】
【表7】
【0172】
溶液3:100mMのpH8リン酸塩緩衝液中ポリビニルアルコール(50mg/mL)(溶液重量オスモル濃度計算値298mOsm/kg)。ロットDの場合、リン酸塩緩衝液は150mMのKCl(溶液重量オスモル濃度計算値304mOsm/kg)に置き換えた。
【0173】
溶液4:70mMのリン酸塩緩衝液pH8(溶液重量オスモル濃度計算値206mOsm/kg)。S0890−09−7の場合、溶液4は精製水であった(事実上ゼロ重量オスモル濃度)。
【0174】
溶液1および溶液2を使用して一次(W1/O)エマルジョンを作成した。溶液1(0.25mL)および溶液2(1.0mL)を小型ガラス製プレッシャーチューブに合わせ、Branson Digital Sonifier 250を使用して50%の振幅で40秒間超音波処理した。
【0175】
次に、一次エマルジョンに溶液3(3.0mL)を添加し、Branson Digital Sonifier 250を使用して30%の振幅で60秒間超音波処理することにより、二次(W1/O/W2)エマルジョンを形成した。
【0176】
第2のエマルジョンを溶液4(30mL)が入ったビーカーに添加し、室温で2時間撹拌してジクロロメタンを蒸発させ、合成ナノ担体を形成させた。合成ナノ担体懸濁液を遠心管に移し、21,000rcfで45分間回転し、上清を除去し、ペレットを新鮮な溶液4に再懸濁することにより、合成ナノ担体の一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ポリマーを基準として10mg/mLの設定濃度の最終合成ナノ担体分散体とするため、ペレットをリン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁した。
【0177】
懸濁液1mLあたりの乾燥合成ナノ担体総質量を重力測定法により決定した。合成ナノ担体のPO−1826 CpG含量をHPLCにより決定した。使用前に、リン酸塩緩衝生理食塩水を添加して合成ナノ担体濃度を5mg/mLに希釈した。
【0178】
合成ナノ担体のアリコートを遠心でペレット化し、合成ナノ担体を100mMのpH4.5クエン酸塩緩衝液に再懸濁し、撹拌しながら37℃で24時間インキュベートすることにより、インビトロ放出(IVR)速度を決定した。再懸濁時(t=0時間)、6時間、および24時間の時点で、放出媒質においてPO−1826 CpG放出をHPLCにより決定した。24時間の放出からt0の放出を減じ、かつ合成ナノ担体質量によって正規化することにより、IVRを計算した。合成ナノ担体のPO−1826 CpG負荷およびIVR(24時間−0時間)を、以下の表にまとめる。
【0179】
【表8】
【0180】
ナノ担体Dは、重量オスモル濃度が200mOsm/kgより大幅に低い溶媒蒸発媒質として精製水を使用することによって生じる高い外向き浸透圧勾配での処理に、負荷を低下させる影響があることを実証している。ナノ担体Dにおける4.6%のCpG負荷は、特に同じポリマー組成を有するナノ担体BおよびGと比較して低下している。ナノ担体Dの負荷の低下はまた、酸性媒質中で計測したときのIVRの低下とも関連付けられる。
【0181】
ワクチン接種
ナノ粒子群あたり5匹の動物、ナイーブC57BL/6雌マウスに、ニコチンワクチンナノ粒子を接種した。接種は、0日目のプライミングに続き、14日目および28日目の追加免疫といったスケジュールに従い、ナイーブC57BL/6雌(5動物/群)の後足蹠皮下に行った。各接種においては、全部で100μgのナノ担体(NC)を、後肢間で等分して注射した。26日目および40日目に、計画された血清採取および抗ニコチン抗体価の分析を実施した。抗ニコチンIgG抗体価をELISAにより計測した。これをEC50値として報告する。
【0182】
各動物は、2つの異なるナノ担体(1つはMHC IIペプチドを提供し(ロットA)、2つ目はCpGアジュバントを提供する(ロットB〜G))の1:1混合物を含む接種を受けた。双方の粒子ともニコチンを提示した。全ての群において、MHC IIペプチド含有ナノ担体であるロットAの同じロットを使用した。CpG含有ナノ担体は群毎に異なった(すなわち、異なるロットを使用した)。CpG含有ナノ担体は、そのPLGA組成およびCpG負荷の点で異なり、従って酸性媒質中へのCpGの異なるインビトロ放出(IVR)速度をもたらした。ナノ担体Eの場合、放出速度はまた、ナノ担体調合プロセスにおけるベンジルアルコールの使用によっても影響を受けた。
【0183】
各群のCpGナノ担体およびIVRを、40日目に得られた抗ニコチン抗体価(平均EC50および標準偏差)と共に提供する(表9および2群=表10)。
【0184】
試験1は、CpG含有ナノ担体ロットB、C、D、およびEの効力を直接比較した。以下の表にまとめるとおり、酸性媒質中での放出速度と得られたピーク(40日目)力価との間には、直接的な関係があった。
【0185】
【表9】
【0186】
上記例の4つのナノ担体のうち3つは、処理および保存中のCpG損失を抑制するため浸透圧勾配を制御して調製した。ナノ担体群Dの負荷およびIVRは、処理工程で大きい勾配を導入したことに起因して低下し、抗ニコチン抗体産生の効力に影響を認めることができる。群Bおよび群Dのナノ担体は同じ材料で作製したが、群Dのナノ担体のワクチン接種で生じた力価は約3分の1となった。
【0187】
この試験でさらに明らかなことは、放出に対するpHの影響が調整されるように浸透圧バリアフリー合成ナノ担体の組成を調節することによって生じ得る価値である。酸感受性がより高い(CpGアジュバントの酸性IVRがより高い)pH作動型浸透圧媒介性放出バリアフリー合成ナノ担体は、標的抗原に対してより高い抗体価を生じた。
【0188】
酸性媒質IVRの増加に伴い力価が増加する関係(上記のIVRプロトコルによる)は、フォローアップ研究で再現された(試験2)。直接比較の抗ニコチンワクチン接種試験において、pH作動型浸透圧媒介性放出バリアフリー合成CpG含有ナノ担体のロットF、H、C、およびGを評価した。試験1と同様に、以下の表にまとめる結果は、酸性媒質中におけるIVRの増加に伴うインビボ効力の増加を実証している。
【0189】
【表10】
【0190】
いずれの例においても、浸透圧バリアフリーナノ担体は、封入された浸透圧活性作用剤CpGの負荷を著しく低下させ得る外向き勾配を回避するように処理し、取り扱った。このプロセスおよび調合手法は、ここでもまた、ポリマー組成による酸性IVR速度の調節を可能にした。前の例と同様に、評価したIVRの範囲内では、抗原特異抗体価によって明らかなとおり、CpG放出速度が高いほど効力は高くなった。