(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321032
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】上向き付勢式の液状薬剤用チャイルドリジスタント密閉機構
(51)【国際特許分類】
B65D 47/24 20060101AFI20180423BHJP
B65D 51/24 20060101ALI20180423BHJP
B65D 50/04 20060101ALI20180423BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
B65D47/24 120
B65D51/24 600
B65D50/04
A61J1/05 313Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-549678(P2015-549678)
(86)(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公表番号】特表2016-506343(P2016-506343A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】US2013076412
(87)【国際公開番号】WO2014100345
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年12月19日
(31)【優先権主張番号】61/739,445
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515164745
【氏名又は名称】コマー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】マネラ、デイビッド、エー.
(72)【発明者】
【氏名】デーリー、ジョン、ビー.
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−046359(JP,U)
【文献】
実開昭50−024543(JP,U)
【文献】
実開昭51−146146(JP,U)
【文献】
特開平05−270556(JP,A)
【文献】
特開2008−162656(JP,A)
【文献】
米国特許第06257463(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/24
A61J 1/05
B65D 50/04
B65D 51/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存のボトルに取り付けるための受動バルブ(passive valve)密閉機構(closure)であって、
カラーであって、
上端部と、下端部と、既存のボトルのネックを受容するのに十分な大きさの直径とを有するスカート部と、
上端部と、下端部と、前記スカート部の前記直径より小さい直径とを有する円筒形状部と、
前記スカート部の前記上端部を前記円筒形状部の前記下端部に連結し、バネ機構が取付けられた水平肩部と、
内部プラットフォームであって、
中央部(core)と、
前記中央部の周囲に離間して設けられた複数の出口ポートと、
先細のバルブシール部の基部(stem)を受容するように構成された中央通路と
を有する前記内部プラットフォームと、
を有し、
前記複数の出口ポートの各々は、前記中央通路、前記円筒形状部、および前記スカート部によって共有される中心軸と平行な長手方向の軸を有するものである、
前記カラーと、
プランジャーであって、
前記密閉機構の中心線から径方向外側に向かって延在するフランジと、
外郭構造(shell)であって、
環状上部を有する上端部と、
下端部と、
前記円筒形状部の前記直径より大きく、前記スカート部の前記直径より小さい直径と
を有する外郭構造と、
内部アセンブリであって、前記円筒形状部の直径内に適合するように構成された挿入部(insert)を有し、この挿入部は、
少なくとも1つのシール機構と、
上方開口部を有する上端部と、
下方開口部を有する下端部とを有し、
前記上方開口部および下方開口部は液状薬剤が通過する通路を提供するものである、
前記プランジャーと、
先細のバルブシール部であって、
上部直径と下部直径とを有する円形状係止部であって、前記上部直径は係止壁部によって前記下部直径に連結された円形状係止部と、
上端部と下端部とを有する十字型シャフトと、
上端部と下端部とを有し、前記中央通路を通して延在するよう構成された基部(stem)と、
終端ノブと、
を有し
前記円形状係止部の前記下部直径は前記十字型シャフトの上端部に連結されるものであり、前記十字型シャフトの前記下端部は前記基部の前記上端部に連結されるものであり、前記基部の下端部は終点ノブに連結されるものである、
前記先細のバルブシール部と、
を有する受動バルブ密閉機構。
【請求項2】
請求項1に記載の受動バルブ密閉機構であって、前記スカート部はさらに既存のボトルの相補的な連結手段と係合するよう構成された連結手段を有する内部表面を有するものである、受動バルブ密閉機構。
【請求項3】
請求項1に記載の受動バルブ密閉機構であって、前記十字型シャフトの前記下端部は先細りになっているものである、受動バルブ密閉機構。
【請求項4】
請求項1に記載の受動バルブ密閉機構であって、前記終端ノブは前記中央通路より大きい直径を有するものである、受動バルブ密閉機構。
【請求項5】
請求項1に記載の受動バルブ密閉機構であって、前記基部は、前記カラーに対して上下方向への動きを許容する既定の長さを有するものである、受動バルブ密閉機構。
【請求項6】
請求項5に記載の受動バルブ密閉機構であって、前記バネ機構は下向き方向への既定の長さの圧縮を許容するものである、受動バルブ密閉機構。
【請求項7】
請求項6に記載の受動バルブ密閉機構であって、前記バネ機構に対して定められた前記既定の長さは前記基部の既定の長さより大きいものである、受動バルブ密閉機構。
【請求項8】
請求項1に記載の受動バルブ密閉機構であって、前記スカート部はさらに計量カップの相補的な相手部材であるキャップラグと係合するためのスカート部ラグを有する外部を有するものである、受動バルブ密閉機構。
【請求項9】
請求項8に記載の受動バルブ密閉機構であって、前記キャップラグは前記計量カップの側壁に沿い、前記計量カップの下壁から少し離れて配置され、倒立状態の計量カップの前記キャップラグが前記スカート部のラグと係合するには、前記先細のバルブシール部に圧縮力を加えることを必要とするものである、受動バルブ密閉機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状薬剤ディスペンサ用のチャイルドリジスタント密閉機構の改良に関するものであり、具体的には、液状薬剤ディスペンサの誘発可能な受動バルブシステムをチャイルドリジスタントキャップに結合させ、安全機能が付加されたチャイルドレジスタント密閉機構を提供することで、追加の構造や部品を製造することなく製造および生産コストを下げる。
【背景技術】
【0002】
薬剤用のチャイルドリジスタント密閉機構が、当技術分野において知られるようになって50年近くになる。このようなキャップは概して2つの対向する動作を要し、これらが同時に作用することによりロック機構を解除する。例えば、あるタイプのキャップでは、ユーザは、特定の点でキャップを押し潰して変形させた上で、キャップを回転しなければならない。押し潰しまたは回転のステップのどちらを欠いてもキャップを開封することができない。キャップにチャイルドリジスタンス機能をもたせるための別のよく見られる方法は、キャップを下向きに押した状態で、キャップを取り外すために回すよう求めることである。この場合もまた、2つの動作が互いに対向していることが分かる。このように人為的に動作を組み合わせたときだけキャップを取り外すことができる。このようなキャップは、米国特許第5,316,161号に開示されている。しかしながら、チャイルドレジスタント密閉機構を設計するにあたり、製造業者は多くの場合密閉機構の構造をチャイルドレジスタンス機能を目的としたものだけに専念することを余儀なくされる。これは製造および全体的なパッケージコストの増加につながる。
【0003】
受動バルブは、静止状態にある場合に閉位置にあり、外部の第三者、物質、もしくはデバイスによって動作がとられた時にのみ開位置に移動するバルブである。しかしながら、前記受動バルブは前記第三者、物質、もしくはデバイスによって動作がとられている間のみ開状態にとどまるが、当該動作を終えた場合にはこのバルブは閉状態に戻ってしまう。従って、受動バルブは、閉位置から開位置への移動に外部の第三者、物質、もしくはデバイスによる動作が必要とされ、閉位置に戻る際にさらなる動作を必要とするアクティブバルブとは異なる。この点において、逆止弁(check valve)は、一方向だけに流れを許し、外からの力が加えられていない場合に一般的に閉位置にあるという点で、よく受動バルブであると考えられる。受動バルブは従って、外部の第三者、物質、もしくはデバイスによりバルブが閉位置から開位置への移動を「誘発される(trigger)」点で「誘発可能(trigerrable)」と見なすことができる。
【0004】
受動バルブもしくは逆止弁は、多くの場合カンチレバー、フラップもしくは蓋の種類(例えば、人の心臓のバルブ)であり、バルブの上向き方向に十分な超過圧力がかかり機構が変位することにより機能するものである。同様の変位は、しかしながら、逆向き方向では起きないものであり、これによりバルブとしての基本的な機能を果たす。すなわち、逆止弁は流体作動の一時的な制御を許容するよう設計されている。しかしながら、受動バルブは一般的にバルブを開けるために一方向への動きのみを必要とする。すなわち、受動バルブは、子供がバルブを閉位置から開位置へと単に力を一方向に加えるだけで動作させてしまうことでき得るため、それ単体では必ずしも密閉機構にチャイルドリジスタンス機能をもたらせるものではない。すなわち、受動バルブを液状薬剤の密閉機構に用いることは、有益ではあるが、必ずしも産業界もしくは政府のチャイルドレジスタンス規格に沿うものではない。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2002/0121525号明細書
(特許文献2) 米国特許第3,606,096号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2011/0198372号明細書
(特許文献4) 米国特許第5,265,777号明細書
(特許文献5) 米国特許第4,924,921号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結果として、上記を踏まえると、当技術分野において対処すべき課題があることは明らかである。従来のチャイルドリジスタント密閉機構は、チャイルドリジスタント機能に寄与する全ての必須構成の独立した構造を必要とし、液状薬剤分注用の誘発可能な受動バルブ単体ではチャイルドリジスタント密閉機構は達成できなかった。このように、従来技術において、製造業者はパーツ各々がそれぞれ単独で特化した目的をもった密閉機構を創作してきたため、液状薬剤用のチャイルドレジスタント密閉機構の製造と保管両方の負担を最大限軽減することに失敗してきた。本発明は、機能の独特な組み合わせにより前記問題を解決し、コンパクトで誘発可能な液状薬剤用の受動バルブ密閉機構に対するニーズに応えるとともに、より少ない部品で制御されチャイルドリジスタント機能をはたす液状薬剤への利用を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、外側にねじ山のある既存の液状薬剤のボトルに取り付け可能なチャイルドレジスタント密閉機構を提供し、ひいては、チャイルドレジスタント密閉機構を提供するため、かつ液状薬剤を正確に分注するために必要な部品の数量を最小化する。
【0007】
一の実施形態において、前記密閉機構はカラー、プランジャー、および先細のバルブシール部とを有し、前記カラーは下方向への圧縮を許容するバネ機構と、計量カップの相補的な相手部材であるラグと係合するスカート部ラグを有し、前記スカート部ラグは係合にバネ機構の圧縮を必要とするように位置づけられている。
【0008】
本発明のさらなる目的、利点および新規の特徴は、詳細な説明、実施例および図面において、これらすべてが説明の目的のみのためであって、本発明をいかなる形であれ限定するものではなく、また当業者にとっては以下を検討することによりある程度明らかになる、あるいは本発明を実施することにより習得され得る。
【0009】
上述の概要ならびに以下の本発明の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めばより良く理解されるはずである。しかしながら、本発明は、示されている詳細な構成および手段に限定されるものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は誘発可能な受動バルブ、計量カップ、および既存のボトルの拡大図である。
【0011】
【
図2】
図2は誘発可能な受動バルブのカラーの断面図である。
【0012】
【
図3】
図3は誘発可能な受動バルブのプランジャーの断面図である。
【0013】
【
図4】
図4は誘発可能な受動バルブの先細のバルブシール部の側面図である。
【0014】
【
図5】
図5は閉位置にある誘発可能な受動バルブを示す図である。
【0015】
【
図6】
図6は開位置にある誘発可能な受動バルブを示す図である。
【0016】
【
図7】
図7はキャップされ、チャイルドリジスタント機能をはたす位置にある誘発可能な受動バルブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の目的のために、「ラグ」の語は、チャイルドレジスタント密閉機構を提供するために、相補的な溝、リッジ、またはラグと可逆的に係合するように構成される溝、リッジ、またはラグのセットの内1もしくは両方のセットを意味するとして理解されたい。このようならせん状ロックの溝、リッジ、およびラグは当技術分野においてよく知られており、同様のラグが少なくとも米国特許第6,354,450号に説明されている。
【0018】
本発明は、接着剤で結合されたプラスチックの積層、または射出形成プラスチックから構成されてもよい。適切なプラスチックとしては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリイミド、および/またはその他いずれかの熱化塑性ポリマが含まれる。さらに、上記で述べたポリオレフィンには、限定されるものではないが、ポリプロピレン、ならびに高密度、中密度、および低密度ポリエチレンを含む。これらの材料は、限定されるものではないが、それらの曲げ弾性率、引張強度、および伸びを含む、それらの重要な機械的特性で知られ、本開示によって、当業者は、同様の特性を呈するその他の材料がキャップの構築に使われ得ること、ひいては本発明が上に列挙した材料から構成される実施形態に限定されるのではなく、既知であるか将来開発されるかによらず同様の構造特性を呈し得るすべての材料を含むことを意図していることを理解するはずである。
【0019】
ここに実施形態として示される前記受動バルブ密閉機構は、既存のボトルからの液体の流れ(流れるまたは流れない)を制御し、外部圧縮力が加わることなしに既存のボトルにある液体の外部への通過を防止し、さらに計量カップのベアリングラグと係合する、誘発可能な受動バルブを提供する。この受動バルブは外への通過を適当な圧縮力が前記密閉機構のカラーにかかった時のみ許容するよう設計されたものであり、さらにキャップされた状態において、液状薬剤が計量カップに漏出するのを防ぐよう構成されている。このように機能するため、当該受動バルブ密閉機構は、この受動バルブ密閉機構のラグが相補的な計量カップの相手方のラグと係合するために、圧縮力がこの密閉機構に対して加えられることを必要とし、係脱には前記ラグは追加的な圧縮力が計量カップを通して受動バルブ密閉機構に加えられるのに加え、計量カップを回転させることを必要とするが、この圧縮力は前記バルブを閉位置から開位置に移動させるのに十分なものではない。
【0020】
本発明は、現行の2013年伝染病センター(Center for Communicable Disease, DCD)および消費者健康製品アソシエーション(Consumer Healthcare Products Association, CHPA)の市販(Over the Counter, OTC)液状薬剤チャイルドレジスタント密閉機構の推奨に準拠する。本実施形態は、発明のチャイルドレジスタント(CR)キャップを液状用容器にロックする機能により特徴づけられ、これを現行のチャイルドレジスタントの要件に適応させるものであるが、この発明はそれに限定されるものではない。本開示によって、当業者は、密閉機構の受容が可能ないかなるボトルのシステムにも適用し得る。さらに、各実施形態は計量カップとの併用に特徴付られるものであり、従って各々はらせん状ロック計量カップのチャイルドレジスタント取り付け具用のキャップの外側表面のらせん状のロックラグを提供する。
【0021】
次に図を参照するが、特に
図1の受動バルブ密閉機構100は、カラー101、プランジャー114、および先細のバルブシール部127を含み、既存のボトルの口に取り付けられるよう適合されたものである。
【0022】
図2に見られるように、カラー101はスカート部102、円筒形状部106、水平肩部109、および内部プラットフォーム110を有する。
【0023】
スカート部102は一般的に管形状であり、円筒形状部106より大きな直径を有する。スカート部102は上端部103および下端部104および直径105を有し、これは
図1にも見られる。スカート部102は円筒形状部と共有の中心長手方向軸を有する。一の実施形態においてスカート部102は均一の直径を有する。代替実施形態においてスカート部102は複数のセクションを有し、それぞれの直径は徐々に小さくなる。全ての実施形態において、スカート部102の直径105、またはスカート部102の各セクションの別箇の直径は、円筒形状部106の直径より大きい。スカート部102の内部表面に位置するのは、取付け手段139であり、既存のボトルネックの相補的なねじ山と係合するように設計されたねじ山や、その他の取付け手段であって通常のスキルを有する当業者に周知のようなものである。さらに、スカート部102の前記内部表面は既存のボトルに対し不可逆のロック手段136を提供するよう適応されたものである。最後に、スカート部102の外部表面は、
図1および7に示されるように、計量カップ124を前記受動バルブ密閉機構にチャイルドレジスタント機能を備える方法で、可逆的に計量カップ124の相補的な係合するキャップラグ126を通して取付るスカート部ラグ125有する。
【0024】
円筒形状部106は上端部107と下端部108と直径を有する。上端部107と下端部108の両方は開口しており、相手方プランジャー114を受容するよう構成されている。さらに、円筒形状部106はスカート部102と共有の中心長手方向軸を有する。
【0025】
水平肩部109は円筒形状部106の下端部108とスカート部102の上端部103を繋ぎ、当該2つの構造間に存在する直径の相違の釣り合いをとる。水平肩部109はさらに上方向に伸びるバネ機構138を有し、バネ機構138が圧縮状態にある時、バネ機構138の最上部は手動で水平肩部109に向けて押される。バネ機構138は下方向に向けたある特定の長さの圧縮を許容する。一の実施例において、バネ機構138はリーフスプリングでり、これは摩擦や跳ね返りがないことに起因してデバイスのスムーズな機能をもたらすためよく好まれる。しかしながら、本開示によって、当業者は、限りないバネのような仕組みが上述の様態で用い得られ、ひいては本発明が上で特に述べた実施形態に限定されるものではないことを理解するはずである。
【0026】
カラー101の内側に位置するのは、内部プラットフォーム110である。内部プラットフォーム110は水平肩部109と同等に近い高さに位置する。さらに、内部プラットフォーム110は中央部111を有する。中央部111付近に配置されるのは、複数の出口ポート112であり、各出口ポート112は円筒形状部106とスカート部102共有の中心軸に並行する中心長手方向の軸を有し、液状薬剤が既存のボトルから円筒形状部106の内側表面によって作られた空洞へと流れる通路を提供する。一の実施例において複数の出口ポート112は4つの出口ポートである。受動バルブが開位置にある時、液状薬剤は出口ポート112の通過を許され、前記円筒形状部106の内側表面によって形成された空洞へと、十字型シャフト132によって形成された導管に沿って上方開口部121から外へと分注のために流れる。中央部111は中央通路113を含み、基部135を受容し前記円筒形状部と前記スカート部によって共有される長手方向軸を有するよう構成される。
【0027】
図3に見られるように、プランジャー114はフランジ115、外郭構造116、および内部アセンブリ120を有する。フランジ115は密閉機構の中心線から径方向外側に向かって延在し、ユーザの指によって加えられる圧縮力を許容するよう構成され、この圧縮によりプランジャー114が据え付け位置に留まるカラー101に対し縦方向に動く。一の実施形態において、密閉機構の中心線は基部、円筒形状部、およびスカート部によって共有される中央軸である。プランジャー114の縦運動は、フランジ115がバネ機構138に下方向への力を加えることにより、バネ機構138が圧縮されることによって生じる。一の実施形態において、フランジは水平な棚である。代替実施形態において、図に示されるように、フランジ115は水平な棚部を有し、フランジスカート部がそこから下方向に延びる。
【0028】
外郭構造116は上端部117と下端部119を有する。さらに、外郭構造116は円筒形状部106の直径より大きい直径を有するが、スカート部102の直径より小さい。上端部117は、外郭構造と内部アセンブリ120を繋ぐトランジションポイントの役割を果たす環状上部118を有する。一の実施形態において、環状上部118は誘導ホイルまたは別の手段によるシーリングプランジャー114を耐タンパー的で、衛生的で、もしくはその他の様態で許容するよう構成されている。環状上部118はそしてプランジャー114の内部アセンブリ120と連結する。
【0029】
プランジャー114の内部アセンブリ120は円筒形状部106の直径内に収まるよう嵌合する挿入物である。内部アセンブリ120は円筒形状部106に向かって下向きに延在する。内部アセンブリ120は円筒形状部106より小さい直径を有することで、このように対になった嵌め込みを可能にする。内部アセンブリ120は上端部121と下端部123を有する。上端部121および下端部123はどちらも開口状態であり、上部および下部開口部をそれぞれ構成し、液状薬剤の通路を提供する。円筒形状部106に近い内部アセンブリ120の表面上に位置するのは、少なくとも1つのシール機構122である。このようなシール機構122は、これらに限定されるものではないが、ワイパーシール、O型リング、およびその他のシール機構であって当業者とって既知のものが含まれる。シール機構122は液状薬剤が既存のボトルから円筒形状部106を通過し、さらに内部アセンブリ120を通過してのみ既存のボトルから流出し、液状薬剤がカラー101とプランジャー104の間に進入するのを防ぐことを確実にする。
【0030】
図4に見られるように、先細のバルブシール127は円形状係止部128と、十字型シャフト132、基部135、および終端ノブ137を有する。
【0031】
円形状係止部128は中実の構成で上部直径129および下部直径130を有する。上部直径129は下部直径130よりサイズが大きいものであり、これら2つは先細係止部壁131によって連結される。円形状係止部128の上部半径129はプランジャー114の環状上部118の内側直径と同一もしくはそれより大きい。円形状係止部128の下部直径130は十字型シャフト132の上端部133に連結する。密閉機構100が組み立てられた時、十字型シャフト132は内部アセンブリの通路を下向きの様態で延在する。一の実施形態において、十字型シャフト132の下端部134は基部135に到達するまでその断面直径が先細りになる。
【0032】
基部135は上端部および下端部を有し、基部135の前記上端部は十字型シャフト132が基部135と連結するポイントである。基部135は既定の長さを有する。加えて、基部135は中央通路113の直径と比べ小さい直径を有する。基部135の前記下端部は終端ノブ137に連結する。基部135は中央通路113を通して延在するよう構成されている。終端ノブ137は中央通路113より大きい直径を有する。終端ノブ137は中央通路113がカラー101に対して下向き方向に通過する様態で構成されるが、中央通路113を上向き方向には通過しない。一の実施形態において、基部135および終端ノブ137の前記構成は、当業者には既知の「一方向の棘(оne−way barb)」である。しかしながら、この発明は上述や図に示されるように一般的な「一方向の棘」の構成に限られた実施形態に限定されるものではない。本開示によって、当業者は、上記にある動きを許容および制限する基部135と終端ノブ137のいかなるコンビネーションの実施形態も本発明と併せて使用できうる。
【0033】
受動バルブは
図7に見られるようにキャップラグ126を有する計量カップ124と係合するよう構成されている。計量カップ124は業界で知られているいずれの計量カップであってもよい。計量カップ124は、分注された時に液状薬剤を収容するための下壁および側壁を有する。計量カップ124のこの側壁は上で参照されるようにキャップラグ126を有する。キャップラグ126は計量カップ124上に配置され、スカート部ラグ125はスカート部102上に配置され、スカート部ラグのキャップラグ126への係合を受容するためには下向きの圧縮力が計量カップ124に加えられなければならないような距離に配置される。そのような係合をもたらすため、下向きの圧縮力が先細のバルブシール部127とプランジャー114に伝わり、3つ全ての構成がカラー101に対して縦方向に下向きに動く。従って、
図7に示されるように、複数のスカート部ラグ125が複数のキャップラグ126に係合することで計量カップ124が密閉機構100に取り付けられる時、下向きの力がバネ機構138に対し計量カップ124から先細のバルブシール部127およびプランジャー114を介して加えられる。この位置におけるバネ機構138は変形されている。圧縮された位置に変形された結果、バネ機構138の構成に用いられた素材の弾力がプランジャー114に対し上向きの力を加え、それが先細のバルブシール部127に伝達され、さらに計量カップ124へと伝達する。この上向きの附勢が複数のキャップラグ126の複数のスカート部ラグ125との係合を、チャイルドリジスタント機能を果たす様態で引き起こす。このチャイルドリジスタント機能は、バネ機構138の弾力を克服する十分な下向きのさらなる力が計量カップ124に加えられ、複数のキャップラグ126がスカート部ラグ125の相補する部分を越えることにより発生する。この下向きの力はさらにキャップラグ126をスカート部ラグ125から十分に係脱するために計量カップ124を回す動きと連携される必要がある。
【0034】
閉、開、キャップされた位置
前記密閉機構は閉位置、開位置、およびキャップされた位置の3つのポジションに位置することができる。閉位置において、
図5に示されるように、バネ機構138はプランジャー114に対し上向きの力を働かせ、これに伴い先細のバルブシール部125、さらに特に終端ノブ137に対し上向きの力が働く。この力は、プランジャー114と先細のバルブシール部127の両方を上げるが、これら2つの要素の上向きの動きは終端ノブ137が中央部111の下側に接触する時に止まる。継続したプランジャー114に対するバネ機構138の上向きの力はこの時点で動くことの無い先細のバルブシール部に伝達され、ボトルが逆さになっても液状薬剤が密閉機構から流出しないよう液体を密閉する。
【0035】
外からの手動の圧縮力がフランジ115に加えられると、プランジャー114はカラー101に対し下向きの方向に移動する。このプランジャー114の下向きの移動が先細のバルブシール部127対してかかる上向きの力による圧力を解放する。これにより、プランジャー114の下向きの移動に併せて先細のバルブシール部127も移動する。バネ機構138によって許容される下向きの圧縮の既定の距離は、既定の基部135の長さより大きい。その結果、十字型シャフト127の先細下部134が中央部111の中央通路113と接触したときに、先細のバルブシール部127の下降は停止する。バネ機構138が許容する既定の移動距離が許容するプランジャー114に対する継続した下向きの圧力は、プランジャー114に対する継続した下向きの移動をもたらすが、先細のバルブシール部127はカラー101に対し変わらない高さに停留する。バネ機構138が十分に圧縮されている時、プランジャー114は既定の下向き方向の距離を移動したことになるが、先細のバルブシール部127は下方向により短い距離を移動したことになり、プランジャー114の環状上部117と先細のバルブシール部127の先細係止部壁131との間に既定の距離を有するギャップをもたらす。この規定の移動距離は基部135の既定の長さと直接的に関係する。前記圧縮力が維持され、ボトルが逆さ状態の時、前記ギャップは液状薬剤の密閉機構からの流出を許容する。これが
図6に示される密閉機構の開位置である。この圧縮力が緩和された時、先細のバルブシール部127とプランジャー114はカラー101に対し上向き縦方向に前記密閉機構が閉状態に戻るまで移動し、液状薬剤の流出を防止する。
【0036】
プランジャー114と前記先細のバルブシール部127が移動する距離であって、すなわちそれら2つの間に存在するギャップのサイズは、既存のボトルのサイズ、既存のボトルへの保管を意図された前記液状薬剤、産業開の標準、およびその他の要素であって製造者もしくは液状薬剤のディストリビュータによる決定に合わせて異なる。一の実施形態において、プランジャー114は0.03125から0.500インチの間を下向き垂直方向に移動する。代替実施形態において、プランジャー114は0.03125から0.250インチの間を下向き垂直方向に移動する。別の実施形態において、プランジャー114は0.0625から0.1875インチの間を下向き垂直方向に移動する。好ましい実施形態において、プランジャー114は0.125インチの距離を下向き垂直方向に移動し、それにより環状上部と先細係止部壁131の間に0.050インチから0.060インチのギャップが生じる。しかしながら、この発明はそのように限定的なものではなく、本開示によって当業者は、本発明を液体の容器に適応し、その容器に適切なギャップを有するシール機構を製造することが可能である。
【0037】
キャップされた位置において、
図7に示されるように、計量カップ124は逆さ状態であり、キャップラグ126はスカート部ラグ125に係合している。計量カップ124を受動バルブ密閉機構100に取り付けるにあたり、上述の通り、前記先細のバルブシール部にかかる微量の圧縮力は、プランジャー114に力を伝達し、それによりバネ機構138を圧縮する。この加えられた圧縮力が先細のバルブシール部127とプランジャー114両方を下げるが、先細のバルブシール部127を、十字型シャフト132の先細下部134が中央通路113に接触するほどの距離を移動させるものではない。従って、バネ機構138の圧縮に対する抵抗は、外部の作動者により加えられる圧力とは逆の力を提供し、それにより先細のバルブシール部127とプランジャー114の間の密閉が維持され、液状薬剤の流出を防止する。計量カップ124はそしてスカート部ラグと十分に係合するまで回転され、可逆的に計量カップ124を所定の位置にロックする。計量カップ124の取り外しは、さらなる下方向への力を加えることでキャップラグ126をスカート部ラグ125から部分的に係脱させ、圧縮力を取り除くことによって達成される。圧縮力が取り除かれると、受動バルブ密閉機構100は上述のように閉位置に戻る。さらに、バルブがキャップされた位置にある間、シールが維持されることにより、液状薬剤はプランジャー114から流出し、計量カップ124の側壁と底壁から形成される空洞を満たすことができず、液状薬剤の意図しない流出と、計量カップ124の側壁と下壁の間に液状薬剤の残余が蓄積するのを防止する。
【0038】
以上のように、バネ機構138によってプランジャー114と先細のバルブシール部127に対して本質的にもたらされる上向きの力を利用し、さらに計量カップ124に対する上方向への付勢力を提供することで、本発明はチャイルドリジスタント機能が働く密閉を実現するために必要となる誘発可能な受動バルブ密閉機構の構成要素の数量を減少させる。計量カップ124に対する上方向への付勢力を利用する従来の方法は、独立した特性であり受動バルブ密閉機構の誘発との併用の可能性を考察することがなかったため、保管が難しく生産コストの高い大きなデバイスという結果につながっていた。
【0039】
本明細書に引用または説明される各特許、特許出願および参考文献の開示内容は、ここにその全体を参照により本明細書に援用される。
【0040】
上記明細書は、特定の好適な実施形態に関連して説明され、多くの詳細が、説明の目的のために述べられてきたが、当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、本発明が、様々な修正および追加的な実施形態の対象とされ得ること、また本明細書に説明される特定の詳細が、本発明の基本的原理から逸脱することなく大幅に変更され得ることは、明らかである。このような修正および追加的な実施形態はまた、添付の特許請求の範囲内に属することが意図されている。