特許第6321057号(P6321057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321057
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】外科手術用ロボット
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20180423BHJP
   B25J 9/08 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   A61B34/35
   B25J9/08
【請求項の数】38
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-23333(P2016-23333)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2016-147057(P2016-147057A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2016年10月12日
(31)【優先権主張番号】14/619,978
(32)【優先日】2015年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043258
【氏名又は名称】エンジニアリング サービスィズ インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】501181075
【氏名又は名称】ザ・ホスピタル・フォー・シック・チルドレン
【氏名又は名称原語表記】THE HOSPITAL FOR SICK CHILDREN
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(74)【代理人】
【識別番号】100182176
【弁理士】
【氏名又は名称】武村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エー.,ゴールデンベルグ
(72)【発明者】
【氏名】イー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リャン,マー
(72)【発明者】
【氏名】ジョアオ ギルヘルム,アマラル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ,ドレイク
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,ローイ
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0326365(US,A1)
【文献】 特表2009−539509(JP,A)
【文献】 特開2009−285099(JP,A)
【文献】 特開2006−191939(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0155262(US,A1)
【文献】 特開平08−215211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
B25J 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線移動軸を有する直線移動用の直動モジュールと、
タレット回転軸を有する回転移動用のタレットモジュールと、
前記タレット回転軸に対してある角度を成す肘転動回転軸を有する回転移動用の肘転動モジュールと、
前記タレット回転軸に対してある角度を成しかつ前記肘転動回転軸に対してある角度を成す手首傾動回転軸を有する回転移動用の手首傾動モジュールと、を備えている、MRIにおいて使用するため及び外科手術用器具と関連付けて使用するための構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボットであって、
前記直動モジュール、タレットモジュール、肘転動モジュール、及び手首傾動モジュールは、前記外科手術用ロボットを形成するように動作可能に互いに接続でき、前記モジュールのうちの一つは、前記外科手術用器具に動作可能に接続でき、
前記直動モジュールが、前記外科手術用器具に動作可能に接続できる前記モジュールを、前記直動モジュールの前記直線移動軸と平行に移動させ、
記外科手術用ロボットの前記モジュールの配向をそれぞれ異なるものとすることで、前記外科手術用ロボットがMRIの空洞の空間的な制限内で適合する、構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項2】
前記直動モジュールの前記直線移動がz軸を規定し、前記タレット回転軸が前記z軸と平行な軸であり、前記肘転動回転軸がx軸を中心としており、前記x軸は前記z軸に概ね直交し、前記手首傾動回転軸がy軸を中心としており、前記y軸は前記z軸に概ね直交しかつ前記x軸に対して横断方向である、請求項1に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項3】
前記タレットモジュール及び前記肘転動モジュールに接続可能なタレット肘接続モジュールをさらに含んでいる、請求項1又は2に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項4】
前記手首傾動モジュール及び前記肘転動モジュールに接続可能な転動接続ユニットをさらに含んでいる、請求項3に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項5】
前記直動モジュールが、リードスクリュー、ナット、及び、モータに動作可能に接続されたギアの機構を含んでいる、請求項1から4のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項6】
前記直動モジュールの前記ギア機構がウォーム及びウォームギアを含んでおり、前記モータが超音波回転モータである、請求項5に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項7】
前記直動モジュールが、前記ナットの移動を制限するためのハードストップを含んでいる、請求項5又は6に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項8】
前記タレットモジュールが、シャフト、及びモータに動作可能に接続されたギア機構を含んでいる、請求項1から7のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項9】
前記タレットモジュールの前記ギア機構がウォーム及びウォームギアを含んでおり、前記タレットモジュールの前記モータが超音波回転モータである、請求項8に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項10】
前記タレットモジュールが、前記シャフトの回転を制限するためのハードストップを含んでいる、請求項8又は9の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項11】
前記肘転動モジュールが、シャフト、及びモータに動作可能に接続されたギア機構を含んでいる、請求項1から10のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項12】
前記肘転動モジュールの前記ギア機構がウォーム及びウォームギアを含んでおり、前記肘転動モジュールの前記モータが超音波回転モータである、請求項11に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項13】
前記肘転動モジュールが、前記シャフトの回転を制限するためのハードストップを含んでいる、請求項11又は12の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項14】
前記手首傾動モジュールが、一対のシャフト、及び一対のモータに動作可能に接続された一対のギア機構を含んでいる、請求項1から13のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項15】
前記手首傾動モジュールの各ギア機構がウォーム及びウォームギアを含んでおり、前記手首傾動モジュールの前記モータが超音波回転モータである、請求項14に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項16】
前記手首傾動モジュールが、前記シャフトの回転を制限するためのハードストップを含んでいる、請求項14又は15に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項17】
それ自体に接続可能な貫通モジュールをさらに含んでおり、前記外科手術用器具が前記貫通モジュールに取り付け可能である、請求項1から16のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項18】
前記貫通モジュールが、リードスクリュー、ナット、及び、モータに動作可能に接続されたギアの機構を含んでいる、請求項17に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項19】
前記貫通モジュールの前記ギア機構が一対の平歯車を含んでおり、前記貫通モジュールの前記モータが超音波回転モータである、請求項18に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項20】
前記外科手術用器具が、前記貫通モジュールに接続可能な外科手術用器具モジュールであり、前記外科手術用器具モジュールが、リードスクリュー、ナット、及び、前記外科手術用器具モジュールのモータに動作可能に接続されたギアの機構を含んでいる、請求項17から19のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項21】
前記外科手術用器具モジュールがドリルキットに動作可能に接続可能である、請求項20に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項22】
前記外科手術用器具モジュールが、前記ドリルキットに動作可能に接続できるプーリ及びタイミングベルトをさらに含んでいる、請求項21に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項23】
前記外科手術用器具モジュールが、前記ドリルキットに動作可能に接続できる空圧ユニットを含んでいる、請求項21に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項24】
前記ドリルキットが、トロカール、ドリル、及びガイドスタイレットを含んでいる、請求項21から23のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項25】
前記貫通モジュールがアダプタをさらに含んでおり、前記外科手術用器具モジュールが前記アダプタに取り付け可能である、請求項21から24のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項26】
前記アダプタが、ナット部分、前記ナット部分に接続できる取り外し可能な前方アダプタ部分、及び前記取り外し可能な前方アダプタ部分に接続できる取り外し可能な前方閉鎖部分を含んでいる、請求項25に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項27】
前記外科手術用器具モジュールが、スロットプレートに着脱可能に接続できる取り外し可能な支持部を含んでいる、請求項26に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項28】
前記取り外し可能な前方アダプタ部分、前記取り外し可能な前方閉鎖部分、前記取り外し可能な支持部、及び前記ドリルキットが全て既存の医療用殺菌システムを使用して殺菌可能である、請求項27に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項29】
前記外科手術用器具モジュールの前記モータが超音波回転モータである、請求項20から28のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項30】
前記直動モジュール、前記タレットモジュール、前記肘転動モジュール、及び前記手首傾動モジュールのうちの一つに動作可能に取り付けることのできるアーチデバイスユニットをさらに含んでいる、請求項1から29のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項31】
前記アーチデバイスユニットが、アーチフレームの両端部に一対の直動アクチュエータをさらに含んでいる、請求項30に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項32】
前記アーチデバイスユニットの各直動アクチュエータが、リードスクリューに動作可能に接続された超音波モータ、及び前記リードスクリューに移動可能に接続された一対のキャリッジを含んでおり、前記一対のキャリッジが前記アーチフレームに接続され、前記超音波モータを作動させることによって、前記キャリッジが前記リードスクリューに沿って移動される、請求項31に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項33】
各直動アクチュエータが基部プレートに接続されており、前記基部プレートが手術台に接続可能である、請求項31又は32に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項34】
前記直動モジュール、前記タレットモジュール、前記肘転動モジュール、及び前記手首傾動モジュールのうちの一つに接続可能なクイックコネクタモジュールをさらに含んでいる、請求項30から33のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項35】
前記アーチデバイスユニットがレールを含んでおり、前記外科手術用ロボットが前記レールに移動可能に取り付けられている、請求項30から34のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項36】
前記外科手術用ロボットが前記レールに沿って手動で移動される、請求項35に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項37】
アーチデバイスユニットが、外科手術用ロボットを前記レールに沿って駆動するためのアーチモータをさらに含んでいる、請求項35に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【請求項38】
前記構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボットの要素の全てがMRI適合型である、請求項1から37のいずれか一項に記載の構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科手術用ロボットに係り、特に磁気共鳴画像(MRI)デバイスの内部で使用するための外科手術用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴画像(MRI)デバイスが、優れた軟部組織分解能を有し、生成する放射線障害が最小限であることはよく知られている。これらの利点により、MRI誘導型のロボットベースの低侵襲性外科手術は、重要な外科手術用のツールとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在使用されているいくつかの外科手術用ロボットが存在するが、全てがMRIと適合する訳ではない。たとえば、da Vinci(商標)と称されるインテュイティブサージカル社のロボットは、MRIと適合しない。対照的に、Innomotionロボットアーム、ニューロアーム(NeuroArm)ロボット、及びMRI-Pロボットは、全てMRI適合型である。しかしながら、MRI適合型のこれらのロボットであっても、走査中には操作することができない。
【0004】
MRI環境においてロボットが広く使用されてこなかった主な理由は、MRIと適合しないこと、術中のリアルタイムの撮像が限定されること、空間的な制約、及び適合するモジュール式の外科手術用器具が不足していることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
外科手術用器具と関連付けて使用するための、構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボットが開示される。この外科手術用ロボットは、直線移動用の直動モジュールと、回転移動用のタレットモジュールと、回転移動用の肘転動モジュールと、回転移動用の手首傾動モジュールと、を含む。タレットモジュールは、タレット回転軸を有する。回転移動用の肘転動モジュールは、タレット回転軸に対してある角度を成す肘転動回転軸を有する。手首傾動モジュールは、タレット回転軸に対してある角度を成しかつ肘転動回転軸に対してある角度を成す手首傾動回転軸を有する。直動モジュール、タレットモジュール、肘転動モジュール、及び手首傾動モジュールは、動作可能に互いに接続されて外科手術用ロボットを形成することができ、これらのモジュールのうちの一つは、外科手術用器具に動作可能に接続できる。
【0006】
直動モジュールの直線移動は、z軸を画定することができる。タレット回転軸を、z軸と平行な軸とすることができる。肘転動回転軸は、x軸を中心とすることができ、x軸は、z軸に概ね直交することができる。手首傾動回転軸は、y軸を中心とすることができ、y軸は、z軸に概ね直交しかつx軸に対して横断方向とすることができる。
【0007】
構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボットは、それに接続可能な貫通モジュールをさらに含むことができ、外科手術用器具は、この貫通モジュールに取り付け可能とすることができる。
【0008】
構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボットは、タレットモジュール及び肘転動モジュールに接続可能な、タレット肘接続モジュールを含み得る。
【0009】
構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボットは、手首傾動モジュール及び肘転動モジュールに接続可能な、転動接続ユニットを含み得る。
【0010】
直動モジュールは、モータに動作可能に接続されたリードスクリュー及びナット及びギアの機構を含み得る。直動モジュールのギア機構は、ウォーム及びウォームギアを含むことができ、モータは、超音波回転モータとすることができる。
【0011】
直動モジュールは、ナットの移動を制限するためのハードストップを含み得る。
【0012】
タレットモジュールは、シャフト、及びモータに動作可能に接続されたギア機構を含み得る。タレットモジュールのギア機構は、ウォーム及びウォームギアを含むことができ、タレットモジュールのモータは、超音波回転モータとすることができる。タレットモジュールは、シャフトの回転を制限するためのハードストップを含み得る。
【0013】
肘転動モジュールは、シャフト、及びモータに動作可能に接続されたギア機構を含み得る。肘転動モジュールのギア機構は、ウォーム及びウォームギアを含むことができ、肘転動モジュールのモータは、超音波回転モータとすることができる。肘転動モジュールは、シャフトの回転を制限するためのハードストップを含み得る。
【0014】
手首傾動モジュールは、一対のシャフト、及び一対のモータに動作可能に接続された一対のギア機構を含み得る。手首傾動モジュールの各ギア機構は、ウォーム及びウォームギアを含むことができ、肘転動モジュールのモータは、超音波回転モータとすることができる。手首傾動モジュールは、シャフトの回転を制限するためのハードストップを含み得る。
【0015】
貫通モジュールは、モータに動作可能に接続されたリードスクリュー及びナット及びギアの機構を含み得る。貫通モジュールのギア機構は、一対の平歯車を含むことができ、貫通モジュールのモータは、超音波回転モータとすることができる。外科手術用器具は、貫通モジュールに接続可能な外科手術用器具モジュールとすることができ、この外科手術用器具モジュールは、モータに動作可能に接続されたリードスクリュー及びナット及びギアの機構を含み得る。
【0016】
外科手術用器具モジュールは、ドリルキットに動作可能に接続され得る。外科手術用器具モジュールは、ドリルキットに動作可能に接続されたプーリ及びタイミングベルトをさらに含むことができる。外科手術用器具モジュールは、ドリルキットに動作可能に接続された空圧ユニットを含み得る。ドリルキットは、トロカール、ドリル、及びガイドスタイレットを含み得る。
【0017】
貫通モジュールは、アダプタをさらに含むことができ、外科手術用器具モジュールは、アダプタに取り付け可能である。アダプタは、ナット部分、ナット部分に接続できる取り外し可能な前方アダプタ部分、及び取り外し可能な前方アダプタ部分に接続できる取り外し可能な前方閉鎖部分を含み得る。外科手術用器具キットは、スロットプレート(slot plate)に着脱可能に接続できる取り外し可能な支持部を含み得る。取り外し可能な前方アダプタ部分、取り外し可能な前方閉鎖部分、取り外し可能な支持部、及びドリルキットは全て、殺菌可能である。外科手術用器具モジュールのモータは、超音波回転モータとすることができる。
【0018】
構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボットは、直動モジュール、タレットモジュール、肘転動モジュール、及び手首傾動モジュールのうちの一つに動作可能に取り付けることのできる、アーチデバイスユニットを含み得る。このアーチデバイスユニットは、アーチフレームの両端部において、一対の直動アクチュエータを含み得る。アーチデバイスユニットの各直動アクチュエータは、リードスクリューに動作可能に接続された超音波モータ、及びリードスクリューに移動可能に接続された一対のキャリッジ(carriage)を含むことができ、この場合、この一対のキャリッジは、アーチフレームに接続され得、超音波モータを作動させることによって、キャリッジがリードスクリューに沿って移動される。各直動アクチュエータは、基部プレートに接続され得、この基部プレートは、手術台に接続可能とすることができる。
【0019】
構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボットは、直動モジュール、タレットモジュール、肘転動モジュール、及び手首傾動モジュールのうちの一つに接続可能な、クイックコネクタモジュールを含み得る。アーチデバイスユニットは、レールを含むことができ、外科手術用ロボットは、レールに移動可能に取り付けられ得る。外科手術用ロボットは、レールに沿って手動で移動され得る。アーチデバイスユニットは、外科手術用ロボットをレールに沿って駆動するための、アーチモータを含み得る。
【0020】
構成変更可能なモジュール式外科手術用ロボットの要素の全てを、MRI適合型とすることができる。
【0021】
外科手術用器具又は外科手術用器具モジュールと関連付けて使用するための、外科手術用ロボット組立体が開示される。外科手術用ロボット組立体は、アーチフレームを有するアーチユニットと、アーチフレームに沿った様々な場所においてアーチユニットに移動可能に取り付けることのできる外科手術用ロボットと、を含む。
【0022】
アーチユニットは、アーチフレームの両端部において、一対の直動アクチュエータをさらに含み得る。各直動アクチュエータは、リードスクリューに動作可能に接続された超音波モータ、及びリードスクリューに移動可能に接続された一対のキャリッジを含むことができ、この場合、この一対のキャリッジは、アーチフレームに接続され得、超音波モータを作動させることによって、一対のキャリッジがリードスクリューに沿って移動される。各直動アクチュエータは、基部プレートに接続され得、この基部プレートは、手術台に接続可能とすることができる。アーチユニットは、レールを含むことができ、外科手術用ロボットは、レールに移動可能に取り付けられる。外科手術用ロボットは、レールに沿って手動で移動される。アーチデバイスは、外科手術用ロボットをレールに沿って駆動するための、アーチモータを含み得る。
【0023】
器具キットと関連付けて使用するための、外科手術用ロボットが開示される。この外科手術用ロボットは、少なくとも一つの回転移動組立体と、この回転移動組立体のうちの一つに動作可能に接続された貫通モジュールと、を含む。この貫通モジュールは、ナット部分、ナット部分に接続できる取り外し可能な前方アダプタ部分、及び取り外し可能な前方アダプタ部分に接続できる取り外し可能な前方閉鎖部分を有する、アダプタを含み得る。器具キットは、アダプタに取り付け可能である。
【0024】
外科手術用器具キットは、スロットプレートに着脱可能に接続できる取り外し可能な支持部を含み得る。取り外し可能な前方アダプタ部分、取り外し可能な前方閉鎖部分、取り外し可能な支持部、及び器具キットは全て、殺菌可能とすることができる。
【0025】
さらなる特徴が、以下の詳細な説明の過程で説明されるか、又は明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】MRIにおいて使用するために適合された外科手術用ロボット組立体の斜視図である。
図2A図1の外科手術用ロボット組立体の外科手術用ロボットの斜視図である。
図2B図2Aの外科手術用ロボットの分解斜視図である。
図3A】外科手術用ロボットの垂直並進モジュールの、カバープレートが取り外された状態を示す斜視図である。
図3B図3Aの並進モジュールの分解斜視図である。
図4図2の外科手術用ロボットのタレットモジュールの、タレットハウジングを透明なものとして示す斜視図である。
図5図2の外科手術用ロボットの肘転動モジュールの、肘転動ハウジングを透明なものとして示す斜視図である。
図6A図2の外科手術用ロボットの手首傾動モジュールの、カバープレートが取り外された状態を示す斜視図である。
図6B図6Aの手首傾動モジュールであるが別の角度から見た斜視図である。
図7図2の外科手術用ロボットの貫通モジュールの斜視図である。
図8図2の外科手術用ロボットのタレット及び肘接続ユニットの側面図である。
図9図8のタレット及び肘接続ユニットの斜視図である。
図10図2の外科手術用ロボットの転動接続ユニットの横断面図である。
図11】ハウジングの一部分が破断された、図10の転動接続ユニットの斜視図である。
図12図10及び図11の転動接続ユニットに接続された、図6の手首傾動モジュールの斜視図である。
図13図1の外科手術用ロボット組立体のアーチデバイスユニットの斜視図である。
図14A図2の外科手術用ロボットとともに使用するための外科手術用器具モジュールの斜視図である。
図14B図14Aの外科手術用器具モジュールのトロカールロック及び引き込みユニットの斜視図である。
図14C図14Aの外科手術用器具モジュールのトロカールロック及び引き込みユニットの断面図である。
図15A図2の外科手術用ロボットとともに使用するための代替の外科手術用器具モジュールの斜視図である。
図15B図15Aの代替の外科手術用器具モジュールの断面図である。
図15C図15A及び図15Bの代替の外科手術用器具モジュールの底面図である。
図16図14Aに示されるものと類似しているが、ドリルキットを分解図で示している、外科手術用器具の部分分解斜視図である。
図17図16の外科手術用器具の正面図である。
図18】外科手術用器具及び貫通モジュールの分解斜視図である。
図19図18の外科手術用器具及び貫通モジュールの側面図である。
図20】a)がステップ1、b)がステップ2、及びc)がステップ3である、三つの部品のドリルキットを用いた生検処置の斜視図である。
図21】MRI内において示されかつMRIの一部分が破断された状態で示す、図1の外科手術用ロボット組立体の斜視図である。
図22図21に示されるものと類似しているが、患者の脚部も示している、外科手術用ロボット組立体の斜視図である。
図23図13に示されるものと類似しているが、アーチガイドレールモジュールを含む、代替のアーチデバイスの斜視図である。
図24A図1に示されるものと類似しているが、図23のアーチデバイス及びアーチデバイスに沿って外科手術用ロボットを移動させるためのロボット回転モジュールを含む、外科手術用ロボット組立体の代替の実施形態の斜視図である。
図24B図24Aのものであるが別の方向から見た、外科手術用ロボット組立体の代替の実施形態の斜視図である。
図25図1のものであるがアーチデバイスに沿った代替の場所において取り付けられた外科手術用ロボットを示す、外科手術用ロボット組立体の斜視図である。
図26図25の外科手術用ロボット組立体の正面図である。
図27A図2Aのものであるが異なって構成されたモジュールを示す、外科手術用ロボットの斜視図である。
図27B図27Aの外科手術用ロボットの分解斜視図である。
図28A図2Aのものであるが図2A及び図27Aとは異なって構成されたモジュールを示す、外科手術用ロボットの斜視図である。
図28B図28Aの外科手術用ロボットの分解斜視図である。
図29A図8及び図9のタレット及び肘接続ユニットに接続された、図5の肘転動モジュールの側面図である。
図29B図29Aの肘転動モジュール及び肘タレット接続ユニットの斜視図である。
図30】外科手術用ロボットの代替の実施形態の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下で、添付の図面を参照して、単なる例示として、本発明の実施形態が説明される。
【0028】
図1を参照して、MRI(磁気共鳴画像)デバイスにおいて使用するために適合された外科手術用ロボット組立体が、全体として10で示される。外科手術用ロボット組立体10は、外科手術用ロボット12と、外科手術用器具モジュール14と、アーチデバイスユニット16と、を含む。外科手術用ロボット12は、アーチユニット16に沿った様々な場所において、アーチデバイスユニット16に着脱可能に取り付けることができる。外科手術用器具モジュール14は、外科手術用ロボット12に着脱可能に取り付けられる。アーチユニット16は、その両端部において一対のレール20を含む。レール20は、MRIスキャナロールアップ台(MRI scanner roll-up table)(図示せず)に固着されるか又は固着可能である。外科手術用ロボット組立体10は、モジュール式であり、構成変更が可能であり、MRI環境内に適合することができる。構成変更可能であることにより、特定の処置に関して可能な最良の構成を見付ける手段を提供することができる。
【0029】
外科手術用ロボット組立体10は、MRI適合型であり、その中で使用される各構成要素も同様に、MRI適合型である。外科手術用ロボット組立体10は、MRIの空洞の特定の空間的な制限内に適合するように設計される。外科手術用ロボット12は、アーチ状のデバイスユニット16上に装着される。外科手術用ロボット12は、取り外し、交換、及び構成変更可能な、自己完結型のモジュールを含む。外科手術用器具モジュール14は、スナップ方式のモジュール式外科手術用器具を含み、この例としては、小児用の骨生検に関する器具がある。
【0030】
可能である場合は、外科手術用ロボット10の構成要素は、プラスチックから製作される。好ましくは、このプラスチックは、構造強度をもたらし、軽量で、MR適合型である。例として、ラピッドプロトタイピング(rapid prototyping)が使用される場合、プラスチックは、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材料、又はDelrin(登録商標)、又はSOMOS11122xc樹脂若しくはSOMOS NEXT樹脂である。
【0031】
図2A及び図2Bを参照すると、外科手術用ロボット12は、直動モジュール22である直線移動組立体と、タレットモジュール24である第1の回転移動組立体と、肘転動モジュール26である第2の回転移動組立体と、手首傾動モジュール28である第3の回転移動組立体と、貫通モジュール30である別の直線移動組立体と、を含む。タレットモジュール24及び肘転動モジュール26は、タレット及び肘接続ユニット150と接続される。肘転動モジュール26及び手首傾動モジュール28は、転動接続ユニット170と接続される。別法として、肘転動モジュールはコネクタを含むことができ、同様に手首傾動モジュールはコネクタを含むことができ、これにより、外科手術用ロボットは、図30を参照して以下でより詳細に説明されるように、直動モジュール、タレットモジュール、肘転動モジュール、及び手首モジュールを含むことになる。
【0032】
図3A及び図3Bを参照すると、直動モジュール22は、1自由度の接合部である。図1図2、及び図3に示される構成では、これは、垂直並進(vertical translation)又はy軸における並進をもたらす。ただし、外科手術用ロボットがアーチデバイスユニット16の周りを移動するにつれ、直動モジュール22の配向が変わることになり、これは一般に、アーチの半径に沿った移動をもたらすことになることが、理解されるであろう。直動モジュールは、エンコーダ23を有する超音波モータ21、ギア機構25、リードスクリュー27、ナット29、及び支持プレート36を含む。加えて、直動モジュール22は、ハウジング31、ハウジングカバー32、モータプレート38、及び一対の直動ガイドシャフト34も含む。加えて、必要に応じてベアリングが使用される。好ましくは、超音波モータ21は、超音波回転モータとエンコーダとを組み合わせたものである。別法として、超音波モータ及び別個のエンコーダが使用され得る。例として、USR30 E3Nモータが使用され得る。好ましくは、ギア26はウォームギアである。超音波モータ21は、ウォームギア26に動作可能に接続される。ウォームギア26はナット29に係合し、ナット29はリードスクリュー27に沿って移動する。ウォームギア26は、モータのトルクを増大するために使用される。加えて、ウォームギアは、それらの自己ロック式の特徴及びそれらのギア比の故に、好ましい。リードスクリュー27は、支持プレート36に取り付けられる。こうして、超音波モータ21は、作動されるとき、支持プレートの、リードスクリュー27に沿ったナット29の位置によって決定されるような直線方向の移動を引き起こす。本明細書における実施形態では、直線移動のストロークは、0〜30mmである。リードスクリュー27及び一対のガイドシャフト34は、支持プレート36に取り付けられ、ハウジング31に対して移動可能である。好ましくは、アクメリードスクリュー又は台形リードスクリューが使用され、また、このアクメリードスクリュー又は台形リードスクリュー27は、後方駆動可能ではないので、逆方向自己ロック式である。ハウジングカバー32及びモータプレート38は、ハウジング31に各々取り付けられ、ともにウォームギア26及びナット29を取り囲む。ハウジングカバー32は、シャフト穴40及び一対のガイド穴42を有し、この結果、リードスクリュー27及び直動ガイド34が、これらを通って自由に移動することができる。ハウジング31は、迅速接続取り付け部分44を含む。
【0033】
迅速接続部分44は、ねじ穴46及び位置合わせピン穴48を含む。迅速接続部分44は、迅速接続部分44及びアーチ支持部16上の位置合わせピン穴48内に位置合わせピン(図示せず)を挿入し、次いでこれらをねじ穴46を通してねじ(図示せず)で接続することによって、アーチデバイスユニット16に接続可能である。迅速接続取り付け具により、使用者が、図1及び図24及び図25に示されるようなアーチデバイス16に沿った様々な場所において、外科手術用ロボット12を容易に接続することが可能になる。
【0034】
タレットモジュール24が図4に示される。タレットモジュール24は、超音波モータ50、エンコーダ51、ギア機構、シャフト54、及び支持プレート58を含む。タレットモジュール24は、ハウジング60及びモータプレート62も含む。必要な場合、ベアリングが含まれる。好ましくは、ギア機構は、ウォーム52及びウォームギア56を含む。好ましくは、超音波モータは、超音波回転モータであり、超音波モータと光学エンコーダとを組み合わせたものである。例として、USR60-3EN超音波回転モータ、又はUST30-3EN超音波回転モータが使用され得る。例として、ウォームギア56の静トルクの定格は20Nmである。モータ50及びエンコーダ用のケーブル(図示せず)は、タレットモジュール24の外側にある。本明細書における実施形態では、タレットモジュールの全体重量は、約0.25kgである。ウォーム52及びウォームギア56は、自己ロック機能を提供する。この自己ロック機能は、出力側が入力側を駆動する可能性を低減する。好ましくは、タレット接合部の動きの範囲は、-65度から+65度である。
【0035】
図5に示される肘転動モジュール26は、上記のタレットモジュール24のものとある程度類似した構造を有する。肘転動モジュール26は、超音波モータ70、エンコーダ71、ギア機構、シャフト74、及び支持プレート78を含む。肘転動モジュール26は、ハウジング80及びモータプレート82も含む。必要な場合、ベアリング84が含まれる。好ましくは、ギア機構は、シャフト74に及び超音波モータ70に動作可能に接続された、ウォーム72及びウォームギア76を含む。好ましくは、超音波モータは、USR超音波回転モータであり、超音波モータと光学エンコーダとを組み合わせたものである。例として、ウォームギア72の静トルクの定格は約4Nmである。好ましくは、肘転動接合部の動きの範囲は、-70度から+70度である。
【0036】
図6A及び図6Bに示される手首傾動モジュール28は、対称的な構造で構築され、一対の超音波モータ90、一対のエンコーダ91、一対のギア機構、一対のシャフト94、及び支持プレート98を含む。手首傾動モジュール28は、ハウジング100、二つのハウジングカバー102、及び二つのモータプレート104も含む。必要な場合、ベアリング106が含まれる。好ましくは、超音波モータは、USR超音波回転モータであり、超音波モータと光学エンコーダとを組み合わせたものである。好ましくは、ギア機構は、ウォーム72及びウォームギア96を含む。ハードストップ105及びハードストップ107は、シャフト94に固定されシャフト94とともに回転する、支持プレート98の回転角度を制限する。ハードストップ108は、図12に示されるように、転動接続ユニット170上のハードストップ173に係合する。超音波モータ90は、必要とされる回転トルク及び停動トルクを得るための駆動機構として、並列に動作する。例として、ウォームギアの静トルクの定格は、約15×2Nmである。好ましくは、手首傾動接合部の動きの範囲は、-20度から+20度である。
【0037】
図7に示される貫通モジュール30は、超音波モータ120、エンコーダ121、力センサ122、リードスクリュー124、ナット126、及びギア128を含む。加えて、貫通モジュール30は、一対のガイドシャフト130、旋回ブロック132、及び前方支持部134を含む。旋回ブロック132は、リードスクリュー124及び直動機構のその他の部品を支持する。旋回ブロック132は、手首傾動モジュール28の支持プレート98に接続される接続リブ133を含む。貫通モジュール30は、ハウジング136及びモータプレート138も含む。必要な場合、ベアリング140が含まれる。好ましくは、超音波モータは、超音波回転モータとエンコーダとを組み合わせたものである。ナット126は、外科手術用器具に接続可能となるように適合される。図7に示される実施形態では、ナット126は、外科手術用器具を受容するように適合されたアダプタ部分142を含む。アダプタ部分142は、複数のねじ山付きの穴143を含む。モータ120は、一対のギア128に動作可能に接続され、これらはリードスクリュー124に動作可能に接続される。こうして、モータ120が作動されるとき、ギア128は、リードスクリュー124を回転させ、これによりナット126をリードスクリュー124に沿って直線的に移動させる。ナット126の移動は、推進力を生成する。例として、力センサ122は、FlexiForce A201力センサである。力センサ122は、貫通及び穿孔の力を測定するために使用される。FlexiForce A201センサは、貫通モジュール内に統合される、超薄型の可撓性プリント回路である。力センサ122は、外科手術用ロボット12の触覚による制御を可能にする。好ましくは、貫通接合部の動きの範囲は、0〜90mmである。
【0038】
タレット及び肘接続ユニット150が、図8及び図9に示されている。このユニットは、タレットモジュール24及び肘転動モジュール26を接続するもので、旋回ベアリングである。図29A及び図29Bは、タレット及び肘接続ユニット150に接続された肘転動モジュール26を示す。ユニット150は支持プレート152を含み、第1の旋回リング154がその一方側面上にあり、第2の旋回リング156がその他方側面上にある。第1のハードストップ158が第1の旋回リング154上に取り付けられ、第2のハードストップ160が、支持プレート152に取り付けられる。支持プレート152には複数の開口162が設けられ、タレットモジュール24がこれに取り付けられる。第1の旋回リング154には複数の開口164が設けられ、肘転動モジュール26がこれに取り付けられる。旋回ベアリングは、ボールベアリングの代わりに、自己潤滑型の低摩擦摺動要素を使用する。好ましくは、これらは、潤滑及び保守不要であるように設計された、Iglide J(登録商標)材料と称される低コストで高性能のプラスチックから製作される。支持プレート152は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材料で製作される。タレット及び肘接続ユニット150は、目立たず、低重量で、潤滑不要で、設置が容易となるように設計される。別法として、図30に示されるように、代替の肘転動モジュール500は、図5の肘転動モジュールの特徴と図8及び図9のタレット及び肘接続ユニットの特徴を組み合わせることができる。
【0039】
肘転動モジュール26及び手首傾動モジュール28は、図10及び図11に示されている転動接続ユニット170と接続される。転動接続ユニット170は、支持部又はハウジング172、シャフト171、ベアリング174、及びシャフトリング176から成る。このハウジング172は、ハードストップ173を含む。シャフトリング176は、複数の開口178を含み、肘モジュール26がこれに接続される。シャフト171は、複数の開口175を有し、図12に示されるように、手首傾動モジュール28がこれに接続される。別法として、図30に示されるように、代替の肘転動モジュール400は、図6の手首傾動モジュールの特徴と図10及び図11の転動接続ユニットの特徴を組み合わせることができる。
【0040】
アーチユニット16が図13に示されている。アーチユニット16は、その両端部において接続された一対の直動アクチュエータ192に沿って移動可能である、アーチフレーム190を含む。各直動アクチュエータ192は、超音波モータ194、エンコーダ195、モータプレート196、カラー198、及びリードスクリュー200を含む。好ましくは、超音波モータ194及びエンコーダ195は、超音波回転モータとエンコーダとを組み合わせたものである。一対のキャリッジ202は、リードスクリュー200に移動可能に取り付けられ、アーチフレーム190において一体に形成される。必要な場合、ベアリングが含まれる。各直動アクチュエータ192は、MRI台206(図示する)に接続可能な基部プレート204に接続される。本明細書において示される実施形態では、基部プレート204は、その中央から下向きに延在する中央突条208を有する。この突条は、MRI台におけるスロットに係合するように適合される。基部プレート204を所定位置にロックするために、蝶ねじ(図示せず)が使用され得る。アーチ190には、ケーブルコネクタプレート209が設けられる。(図面を簡潔にするために、図面にはケーブルが示されていないことに留意されたい)。直動アクチュエータ192は、リードスクリュー200又は基部プレート204の直動軸に沿ったアーチフレーム190の位置を制御する。基部プレート204がMRI台に取り付けられ、この台206はMRI内に挿入可能であるので、リードスクリュー200に沿ったアーチフレーム190の動きは、MRIスキャナの長手軸に沿ったものとなる。好ましくは、直動の動きのストロークは0〜100mmであり、これはMRIの長さに応じて変更され得る。アーチユニットは、並列に動作する二つの直動アクチュエータを有し、これらは、スキャナの長手軸に沿ってアーチユニット16を摺動させる。
【0041】
図1から図13に示される実施形態では、外科手術用ロボット12は、迅速接続取り付け具及び位置合わせピンを用いて、アーチユニット16に沿って位置付けられる。迅速接続取り付け具及び位置合わせピン46は、直動モジュール22の迅速接続部分44上に配設され、これが、外科手術用ロボット12のアーチフレーム190への接続をもたらす。外科手術用ロボット12をアーチフレーム190上に位置付けること及びこれがモジュールベースで構成変更可能であることは、特定の外科手術作業にとって最適な場所及び姿勢を見付ける手段を提供する。
【0042】
好ましくは、アクチュエータ又はモータは、保持力のある超音波モータである。好ましくは、外科手術用ロボット組立体10及び外科手術用器具の接合部を、ブレーキを用いずに所定位置内にロックするために、ギアは、自己ロック式のウォーム機構、又は後方駆動不可能なリードスクリューである。
【0043】
ハードストップ108は、転動接続ユニット170上のハードストップ173に係合し、回転接合部がハードリミットに達するときに、衝突の力を吸収することによって、手首傾動モジュール28のシャフト94の回転を停止させるために使用される。加えて、タレット及び肘接続ユニット150上に、ハードストップ158及び160が設けられる。これらのハードストップが使用されるので、モータのハードリミットを規定するために電子センサ及びそれらのケーブルが使用される必要がない。直線移動モジュール22は、ハウジングカバー32を使用し、プレート支持部36は、以下で説明される帰還の手順を形成する。電子センサではなく機械的な停止部を使用する利点は、電子センサは、MR画像を歪める、及びMR走査によって影響を受ける場合があることである。使用時、モータが動いている間は、制御装置がエンコーダの読みをモータの位置のフィードバックとして追跡する。所定の時間期間の間にエンコーダの読みが変わらない場合は、モータがハードストップに当たったと推定される。次いで、制御装置が、動きを止めるための「停止」命令をモータに送る。これ以降は、反対方向への移動に対する移動命令のみが受け付けられることになる。
【0044】
帰還モードは、外科手術用ロボット組立体10の起動のたびにエンコーダのカウンタをリセットするために使用される。より詳細には、帰還機能は、電源投入後の各接合部の位置を決定するためのものである。帰還を行わなければ、制御装置は、電源投入後の各接合部の現在の位置が分からないであろう。帰還手順は、以下のステップを含む。a)最初に各接合部を知られている方向に知られている速度で移動させ、b)接合部が帰還オフセット(知られている場所)に達したら、次いで制御装置がセンサから信号を受信する。帰還オフセットは知られている位置であり、これは接合部の帰還(ゼロ)位置の基準点である。帰還オフセット及び帰還速度は、各接合部に対して規定される。帰還オフセットは、ハードストップからの所与の距離のところに実際のゼロを設定することを可能にする。安全のため、ハードストップに近づいているときは、より低い速度が課される。
【0045】
好ましくは、直動モジュール22、タレットモジュール24、肘転動モジュール26、手首モジュール28、及び貫通モジュールは、これらのギアとしてウォームギアを使用する。ウォームギアは、高いギア比の、後方駆動不可能なウォーム機構である。例として、タレットモジュール24用のウォームギアは、ギア比20のギアであり、肘転動モジュール26に関しては18のギア比であり、手首傾動モジュール28に関しては24のギア比であり、直動モジュール22に関しては12.5のギア比である。ウォームギアは、比較的低出力のアクチュエータを用いて、良好な荷重担持能力をもたらす。例として、タレットモジュール24、肘転動モジュール26、手首傾動モジュール、及び直動モジュール22は、1.0Wのアクチュエータを各々有する。ウォームギアは、実質的に速度が低くなりトルクが大きくなる、コンパクトな手段を提供する。代わりに平歯車が使用されるのであれば、外科手術用ロボットはより大きくなっていたであろう。さらに、ウォームギアは、自己ロック式であり、後方駆動可能ではない。ウォームのリード角が噛み合うギアの摩擦角よりも小さいとき、ウォーム機構は、逆方向自己ロックを生じさせる。こうして、ウォームはウォームホイールを駆動できるが、ウォームホイールはウォームを駆動することができない。ウォームギアは、より単純でより体積の小さいモジュールを提供するのを助ける。
【0046】
外科手術用器具モジュールの実施形態が、図14に210で示されている。外科手術用器具モジュール210は、超音波モータ212、エンコーダ213、モータプレート214、ギア機構226、タイミングベルト及び一対のプーリ216、並びにリードスクリュー227を含む。好ましくは、超音波モータは、超音波回転モータであり、エンコーダ、より詳細には光学エンコーダを含む。外科手術用器具モジュール210は、ドリルキット220とともに使用するためのものである。好ましくは、ドリルキット220は、殺菌された鋸歯状中空ドリルを含む。外科手術用器具モジュール210は、ドリルキット220を支持するための、取り外し可能なドリル支持部222を含む。取り外し可能なドリル支持部222を、スロットプレート258に着脱可能に接続することができる。外科手術用器具モジュール210は、支持フレーム224及びガイド支持部228も含む。図14B及び図14Cにおいて最もよく見られるガイド支持部228は、ナット223を有するリードスクリュー227を含む。このリードスクリューは、リードスクリュー227上のスロットに係合するピン229を使用することによって、ガイド支持部228に沿って上下に直線的に移動できる。必要な場合、ベアリングが含まれる。超音波モータ212は、タイミングベルト及びプーリ216に動作可能に接続され、そしてこれらは、ドリルキット220に動作可能に接続されて、ドリルを回転させる。超音波モータ212は、プーリ216を通してリードスクリュー227に動作可能に接続されるギアボックス226内のギアにも、動作可能に接続される。モータ212及びエンコーダ213用のケーブルは、モジュールの外側にある(図示せず)。この実施形態では、引き込み機構及び針の回転が、一つの超音波モータによって駆動されることに留意すべきである。
【0047】
外科手術用器具モジュール230の代替の実施形態が図15に示されている。この実施形態は、図14に示されるものと類似しているが、これは、タイミングベルト及びプーリではなく空圧アクチュエータを使用する。外科手術用器具モジュール230は、超音波モータ232、エンコーダ233、モータプレート234、タイミングベルト及び一対のプーリ235、236、並びに空圧ユニット238を含む。好ましくは、超音波モータは、エンコーダ、より詳細には光学エンコーダを含む。外科手術用器具モジュール230も、ドリルキット220とともに使用するためのものである。外科手術用器具モジュール230は、ドリル支持部とドリルキット220を支持するためのプレート231とを組み合わせたもの含む。必要な場合、ベアリングが含まれる。超音波モータ232は、タイミングベルト及びプーリ235、236に動作可能に接続され、そしてこれらは、空圧ユニット238及びドリルキット220に動作可能に接続されて、ドリルを回転させる。これにより、超音波モータ232は、空圧ユニット238にも動作可能に接続される。空圧ユニット238は、トロカールのロック及び引き込み機構を駆動するために使用される。
【0048】
空圧アクチュエータ238は、MRI適合型である。空圧アクチュエータ238は、ドリルキット220に接続可能なピストン237を有する。プーリ235は、ドリルの回転のためにドリルキット252の鋸歯状中空ドリル252の端部と合体されるスロットを有する。ドリルキット220のガイドスタイレット254は、小型の空気アクチュエータ239を用いてロックされ得る。空圧アクチュエータ238は、ピストン237の位置をロックすること又はこの位置を移動させることができ、このため、ドリルキットの位置は、同様にロック可能又は移動可能である。これは、圧縮空気及び真空を用いて、空圧により作動される。このように空圧アクチュエータ238を使用することで、以下で図20を参照して説明するようなドリルキット220の移動が達成され得る。当業者によりよく理解されるように、そのような制御を提供するために、空圧ユニット238は、単動シリンダ又は複動シリンダを含み得る。空圧シリンダは、圧縮空気及び/又は真空を用いて作動され得る。これらは、単純なオン-オフ制御によって動作することができる。作動流体が空気であるので、空圧シリンダからの漏れが周囲を汚染することはない。
【0049】
図16及び図17を参照すると、好ましくは、ドリルキット220は、トロカール250、鋸歯状中空ドリル252、及びガイドスタイレット254を含む。図18及び図19を参照すると、外科手術用器具210が、貫通モジュール30とともに示されている。貫通モジュールは図7に示されており、これは、アダプタ142をナット126の一部として含む。アダプタ142は、ナット部分262、取り外し可能な前方アダプタ部分264、及び取り外し可能な前方閉鎖部分266を含む。取り外し可能な前方アダプタ部分264は、ナット部分262に接続可能であり、取り外し可能な前方閉鎖部分266は、ナット部分262の端部に接続可能である。前方アダプタ部分264は、外科手術用器具210のドリルキット220を案内するためのものであり、前方閉鎖部分266は、外科手術用器具210をロックするためのものである。図18及び図19に示される実施形態では、サンプリング中にドリルキット220を案内するための、前方案内部268も含まれる。使用時、ドリルキット220(トロカール250、鋸歯状中空ドリル252、及びガイドスタイレット254)、取り外し可能な前方アダプタ部分264、取り外し可能なドリル支持部222、取り外し可能な前方閉鎖部分、並びに取り外し可能な前方案内部268は、使用に先立って殺菌される。次いで各物品は、それらのモジュール内に設置又は再設置される。好ましくは、トロカールの引き込みストロークの移動の範囲は、0〜25mmである。
【0050】
図17を参照すると、図14の外科手術用器具モジュール内にドリルキットを挿入するための手順は以下の通りである。
1.外科手術用器具モジュール210内に端部のねじ山を有するトロカール250を挿入し(P1)、これを数回回転させる(R1)。
2.ガイドスタイレット254内に鋸歯状中空ドリル252を挿入し、これらを外科手術用器具モジュール210内へと押す(P2)。
3.ドリル支持部222をスロットプレート258内へと押す(P3)。
【0051】
外科手術用器具210が組み立てられると、又は特定の要素の殺菌後に再び組み立てられると、これは次いで、図19に示されるように及び以下に説明されるように、貫通モジュール30内に挿入される。
1.前方アダプタ部分264をアダプタのナット部分262内へと押す(P1)。
2.前方案内部268をドリルキット220のスタイレット254まで摺動させる(P2及びP3)。
3.前方案内部268を有する外科手術用器具210を貫通モジュール30(アダプタ142及び前方支持部134)内へと押す(P4)。
4.閉鎖具266をアダプタ142内へと押す(P5)。
【0052】
上記の外科手術用器具210は、自動サンプリングのために特に有用である。自動サンプリングのためのプロトコルは、現在の手動の手順と類似している。図20を参照すると、ドリルキット220は、骨生検器具集合体として知られている場合もある。上記のように、ドリルキット220は、トロカール250、殺菌された鋸歯状中空ドリル252、及び固定(外側)シース又はガイドスタイレット254を含む。固定(外側)シース又はガイドスタイレット254は、鋸歯状中空ドリルが、中心の針が穿刺孔を作るために使用される間、回り続けることを可能にするであろう。プロトコルは以下の通りである。
1.トロカール250、鋸歯状中空ドリル252、及びガイドスタイレット254を、皮質骨まで(回転させずに)貫通させる(直線移動)。尖鋭なトロカール250が、鋸歯状中空ドリル252内に挿入され、これらは、ガイドスタイレット254内に挿入され、次いで切開部内に、トロカールの先端が骨と接触するまで挿入される。トロカールの先端は、左右に移動されて、骨表面から付着している構造体を引き離すことができる。ドリルキットは次いで、ガイドスタイレット254が骨表面上にしっかりと留まるまで押される(図20(a))。
2.ガイドスタイレット254を所定位置に保持し、次いでトロカール250を約20mm以上後方に引き込む(直線移動)(図20(b))。
3.ガイドスタイレット254を所定位置に保持し、鋸歯状中空ドリル252をサンプリングの標的へと(回転させることにより)前進させる(直線移動及び回転移動)(図20(c))。
4.鋸歯状中空ドリルが骨を完全に通過したことが触知されると、押すことが停止され、鋸歯状中空ドリルが、2回の完全な回転によって回転される。このステップは、試料の内方表面に、その骨膜の付着物がないことを保証するであろう。
5.次いで、ドリルキット(図示せず)を外に引き戻し、この結果ドリルキットは、骨及び皮膚から引き出される。
【0053】
図21及び図22を参照すると、MRI270内に外科手術用ロボット組立体10が原位置で示されている。外科手術用ロボット組立体10は、MRI台206に取り付けられて示されている。例として、図22では、外科手術用ロボット組立体が、これが人272の脚部の周りにどのように位置付けられ得るかを示されている。
【0054】
外科手術用ロボット組立体300の代替の実施形態が、図24A及び図24Bに示されている。外科手術用ロボット組立体300は、外科手術用ロボット組立体10と類似しているが、図23に示される代替のアーチデバイスユニット302を含む。アーチデバイスユニット302は、アーチフレーム304を含み、レール306が、このアーチフレーム304の内側に固定的に装着されている。アーチデバイスユニット302の残りの部分は、アーチユニット16に関して上記のものと同じである。外科手術用ロボット308は、その取り付けデバイス310がレール306に係合するように適合されること以外は、上記のものと類似している。外科手術用ロボット308は、迅速/単純接続取り付け具の一部である装着機構310を通して、アーチデバイスユニット302のレール306に移動可能に装着され得る。
【0055】
外科手術用ロボット308がレール306に取り付けられると、その軌道はレールによって制約される。ロボットは、手動で又はアーチの超音波モータユニット312によって、レールに沿って任意の位置まで移動することができる。好ましくは、超音波モータユニット312は、エンコーダを有するUSR(商標)超音波回転モータ、及びギア機構を含む。超音波モータユニット312は、取り付けデバイス310の一部であり、外科手術用ロボット308に動作可能に取り付けられる。取り付けデバイス310は、レール306に係合し、そして外科手術用ロボット308は、アーチデバイスユニット302に沿って移動することができる。
【0056】
ロボットは、レール上の規定された位置に達するとき、ロック機構によってその上にロックされ得る。ロボットのレール上の位置は、センサによって測定され得る。測定値は、登録及び運動学的な計算のために、ロボットのシステムに供給される。
【0057】
図27及び図28に示されるように、外科手術用ロボット12は、構成変更可能なモジュール式ロボットであり、様々な種類の外科手術に適合するように構成変更され得ることが、当業者によって理解されるであろう。図27A及び図27Bに示される実施形態では、直動モジュール22は、タレットモジュール24に接続され、タレットモジュール24は、肘転動モジュール26、手首傾動モジュール28、貫通モジュール30、及び外科手術用器具モジュール14に接続される。タレットモジュール24及び肘転動モジュール26は、タレット及び肘接続ユニット150と接続される。肘転動モジュール26及び手首傾動モジュール28は、転動接続ユニット170と接続される。タレットモジュール24及び肘転動モジュール26の配向は、図1から図26に示されるものとは異なっており、この結果、外科手術用ロボットは、異なる用途のために使用され得る。
【0058】
同様に、図28A及び図28Bに示される実施形態では、タレットモジュール24は、肘転動モジュール26、手首傾動モジュール28、貫通モジュール30、及び外科手術用器具モジュール14に接続される。加えて、クイックコネクタ180が設けられ得る。クイックコネクタモジュール180は、タレットモジュール24に取り付けされる。タレットモジュール24及び肘転動モジュール26は、タレット及び肘接続ユニット150と接続される。肘転動モジュール26及び手首傾動モジュール28は、転動接続ユニット170と接続される。手首傾動モジュール28の配向は、図1から図26及び図27に示されるものとは異なっており、この結果、外科手術用ロボットは、異なる用途のために使用され得る。加えて、この構成では、外科手術用器具モジュール14の配向が異なっており、概ね水平である。
【0059】
本明細書に記載される外科手術用ロボットのモジュールが修正され得ることが、当業者によって理解されるであろう。たとえば、直動モジュール、タレットモジュール、肘手首傾動モジュールなどの主要なモジュールは、モジュールが次いで別のモジュールに直接接続され得るように、接続特徴部を含むように修正され得る。この例は、肘転動モジュール500及び手首傾動モジュール400が接続特徴部を各々含む、図30に示されている。
【0060】
外科手術用ロボットが、その動作に関係する複数の座標系を有し得ることが、当業者によって理解されるであろう。たとえば、外科手術用ロボット組立体10は、図1に示されるような慣性系又は固定系の座標系11を有する。この座標系は、アーチユニット16の一対のレール20の移動の方向において、z軸を有する。加えて、直動モジュールがz軸を規定し、タレットモジュールがこのz軸と平行な軸において回転移動を有し、肘転動モジュールがx軸を中心とした回転移動を有しかつこのx軸はz軸に概ね直交し、手首傾動モジュールがy軸を中心とした回転移動を有しかつこのy軸はz軸に概ね直交しかつx軸に対して横断方向である、図2に示されるような外科手術用ロボット12の座標系13が存在し得る。慣性系の座標系11は固定されており、一方、外科手術用ロボットの座標系はこのロボットが移動するにつれ移動することが、当業者によって理解されるであろう。
【0061】
一般に、本明細書に記載されるシステムは、MRIにおいて使用するための医療用ロボットを対象とする。様々な実施形態及び態様が、以下で検討される詳細を参照して説明される。以下の説明及び図面は、本開示を例示するものであり、本開示を限定するものと解釈されるべきではない。本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が説明される。ただし、特定の場合には、よく知られている又は従来の詳細は、本開示の実施形態の簡潔な検討を行うために説明されない。
【0062】
本明細書で使用される場合、「備える」及び「備えている」という用語は、包括的かつ非限定的であって排他的ではないものと解釈されるべきである。具体的には、明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、「備える」及び「備えている」という用語、及びこれらの変形形態は、指定された特徴、ステップ、又は構成要素が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ、又は構成要素の存在を排除するものと解釈されるべきではない。
【0063】
本明細書で使用される場合、「例示の」という用語は、「例、実例、又は例示として機能する」ことを意味し、本明細書において開示される他の構成よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0064】
本明細書で使用される場合、「約」及び「ほぼ」という用語は、特性、パラメータ、及び寸法の変動などの、値の範囲の上限及び下限において存在し得る変動を包含することを意図されている。一つの非限定的な例では、「約」及び「ほぼ」という用語は、プラス又はマイナス10パーセント以内を意味する。
【0065】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、作用、特徴、特性、状態、構造、品目、又は結果の、完全な又はほぼ完全な範囲又は程度を指す。たとえば、「実質的に」取り囲まれた物体は、その物体が完全に取り囲まれるか、又はほぼ完全に取り囲まれることを意味することになる。絶対的に完全な状態からの逸脱の許容できる正確な程度は、いくつかの場合には、その特定の文脈に依存し得る。ただし、一般的に言えば、ほぼ完成した状態は、絶対的にかつ全体的に完成した状態が得られたかのように、全体として同じ結果を有するようなものとなるであろう。「実質的に」の使用は、否定の意味合いで使用されるとき、作用、特徴、特性、状態、構造、品目、又は結果の、完全な又はほぼ完全な欠如を指すように等しく適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 外科手術用ロボット組立体
11 座標系
12 外科手術用ロボット
13 座標系
14 外科手術用器具モジュール
16 アーチデバイスユニット、アーチユニット
20 レール
21 超音波モータ
22 直動モジュール
24 タレットモジュール
25 ギア機構
26 肘転動モジュール
27 リードスクリュー
28 手首傾動モジュール
29 ナット
30 貫通モジュール
31 ハウジング
32 ハウジングカバー
34 直動ガイドシャフト
36 支持プレート
38 モータプレート
40 シャフト穴
42 ガイド穴
44 迅速接続部分
46 ねじ穴
48 位置合わせピン穴
50 超音波モータ
51 エンコーダ
52 ウォーム
54 シャフト
56 ウォームギア
58 支持プレート
60 ハウジング
62 モータプレート
70 超音波モータ
71 エンコーダ
72 ウォーム
74 シャフト
76 ウォームギア
78 支持プレート
80 ハウジング
82 モータプレート
84 ベアリング
90 超音波モータ
91 エンコーダ
94 シャフト
98 支持プレート
100 ハウジング
102 ハウジングカバー
104 モータプレート
105 ハードストップ
106 ベアリング
107 ハードストップ
108 ハードストップ
120 超音波モータ
121 エンコーダ
122 力センサ
124 リードスクリュー
126 ナット
128 ギア
130 ガイドシャフト
132 旋回ブロック
133 接続リブ
134 前方支持部
136 ハウジング
138 モータプレート
140 ベアリング
142 アダプタ部分
143 ねじ山付きの穴
150 タレット及び肘接続ユニット
152 支持プレート
154 第1の旋回リング
156 第2のハードストップ
158 ハードストップ
160 ハードストップ
162 開口
164 開口
170 転動接続ユニット
171 シャフト
172 ハウジング
173 ハードストップ
174 ベアリング
175 開口
176 シャフトリング
178 開口
180 クイックコネクタ、クイックコネクタモジュール
190 アーチフレーム
192 直動アクチュエータ
194 超音波モータ
196 モータプレート
198 カラー
200 リードスクリュー
202 キャリッジ
204 基部プレート
206 MRI台
208 中央突条
209 ケーブルコネクタプレート
210 外科手術用器具モジュール
212 超音波モータ
213 エンコーダ
214 モータプレート
216 プーリ
220 ドリルキット
222 取り外し可能なドリル支持部
223 ナット
224 支持フレーム
226 ギアボックス
227 リードスクリュー
228 ガイド支持部
229 ピン
230 外科手術用器具モジュール
231 プレート
232 超音波モータ
233 エンコーダ
234 モータプレート
235 プーリ
236 プーリ
237 ピストン
238 空圧ユニット、空圧アクチュエータ
239 空気アクチュエータ
250 トロカール
252 鋸歯状中空ドリル
254 ガイドスタイレット
258 スロットプレート
262 ナット部分
264 前方アダプタ部分
266 前方閉鎖部分、閉鎖具
268 前方案内部
270 MRI
272 人
300 外科手術用ロボット組立体
302 アーチデバイスユニット
304 アーチフレーム
306 レール
308 外科手術用ロボット
310 取り付けデバイス
312 超音波モータユニット
400 肘転動モジュール
500 肘転動モジュール
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25
図26
図27A
図27B
図28A
図28B
図29A
図29B
図30