特許第6321085号(P6321085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6321085神経筋刺激を最小にするための電気外科手術用ジェネレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321085
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】神経筋刺激を最小にするための電気外科手術用ジェネレータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   A61B18/12
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-127423(P2016-127423)
(22)【出願日】2016年6月28日
(65)【公開番号】特開2017-12752(P2017-12752A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2016年6月28日
(31)【優先権主張番号】14/754,855
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エー. ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エー. フリードリクス
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−24136(JP,A)
【文献】 特表2013−516281(JP,A)
【文献】 特開2015−20065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12 ― 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経筋刺激を最小にするための電気外科手術用ジェネレータであって、
DC波形を出力するように構成されたコンバータであって、前記コンバータは、第1のパルス幅変調(PWM)信号を介して操作される少なくとも1つの第1の切替要素を含む、コンバータと、
前記コンバータに結合されたインバータであって、前記インバータは、第2のパルス幅変調(PWM)信号を介して操作される少なくとも1つの第2の切替要素を含み、前記インバータは、前記DC波形を反転させることにより、電気外科手術用パルス波形を生成するように構成されている、インバータと、
前記コンバータと前記インバータとに結合されたコントローラであって、前記コントローラは、
前記第1のPWM信号のデューティサイクルを制御することにより、前記電気外科手術用パルス波形の大きさを調節することと、
前記第2のPWM信号の繰り返し周波数が第1の閾値よりも大きいかどうかを決定することと、
前記第2のPWM信号の繰り返し周波数が前記第1の閾値よりも大きいと決定された場合には、前記電気外科手術用パルス波形が二相性であるかどうかを決定することと、
前記電気外科手術用パルス波形が二相性であると決定された場合には、前記第2のPWM信号のパルス幅期間が第2の閾値よりも大きいかどうかを決定することと、
前記第2のPWM信号のパルス幅期間が前記第2の閾値よりも大きい場合には、前記第2のPWM信号のパルス幅期間が前記第2の閾値未満またはそれと等しくなるように前記第2のPWM信号を調節することにより、前記電気外科手術用パルス波形の少なくとも1つの特性を調節することと
を行うように構成されている、コントローラと
を備える、電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項2】
前記電気外科手術用パルス波形は、神経筋遮断薬の量を低減させるように二相性であり、
前記少なくとも1つの特性は前記二相性の電気外科手術用パルス波形のパルス幅期間含む、請求項1に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記二相性の電気外科手術用パルス波形の繰り返し周波数が100kHzよりも大きいように前記第2のPWM信号の繰り返し周波数を調節するように構成されている、請求項に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項4】
前記コントローラは、前記二相性の電気外科手術用パルス波形の最高振幅ピークが周波数ドメイン内で500kHz〜5MHzに存在するように、前記第2のPWM信号のパルス幅期間を調節するように構成されている、請求項に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項5】
前記コンバータは、降圧型コンバータである、請求項1に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項6】
前記インバータは、昇圧型コンバータである、請求項1に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項7】
神経筋刺激を最小にするように電気外科手術用ジェネレータを制御するための方法であって、前記電気外科手術用ジェネレータは、コントローラを含み、前記方法は、
前記コントローラが、第1のパルス幅変調(PWM)信号を介して前記電気外科手術用ジェネレータのコンバータの少なくとも1つの第1の切替要素を操作することにより、DC波形を出力することと、
前記コントローラが、第2のパルス幅変調(PWM)信号を介して前記電気外科手術用ジェネレータのインバータの少なくとも1つの第2の切替要素を操作することにより、前記DC波形を変換することにより電気外科手術用パルス波形を生成することと、
前記コントローラが、前記第1のPWM信号のデューティサイクルを制御することにより、前記電気外科手術用パルス波形の大きさを調節することと、
前記コントローラが、前記第2のPWM信号の繰り返し周波数が第1の閾値よりも大きいかどうかを決定することと、
前記第2のPWM信号の繰り返し周波数が前記第1の閾値よりも大きいと決定された場合には、前記コントローラが、前記電気外科手術用パルス波形が二相性であるかどうかを決定することと、
前記電気外科手術用パルス波形が二相性であると決定された場合には、前記コントローラが、前記第2のPWM信号のパルス幅期間が第2の閾値よりも大きいかどうかを決定することと、
前記第2のPWM信号のパルス幅期間が前記第2の閾値よりも大きいと決定された場合には、前記コントローラが、前記第2のPWM信号のパルス幅期間が前記第2の閾値未満またはそれと等しくなるように前記第2のPWM信号を調節することにより、前記電気外科手術用パルス波形の少なくとも1つの特性を調節することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記電気外科手術用パルス波形は、二相性であり、
前記少なくとも1つの特性は前記二相性の電気外科手術用パルス波形のパルス幅期間含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記コントローラが、前記二相性の電気外科手術用パルス波形の繰り返し周波数が100kHzよりも大きいように前記第2のPWM信号の繰り返し周波数を調節することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記コントローラが、前記二相性の電気外科手術用パルス波形の各サイクルのパルス幅期間が2マイクロ秒未満であるように前記第2のPWM信号のパルス幅期間を調節することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記コントローラが、組織特性またはエネルギー特性のうちの少なくとも1つを測定することと、
前記コントローラが、前記組織特性または前記エネルギー特性のうちの少なくとも1つに応答して前記第1のPWM信号および前記第2のPWM信号を調節することと
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、神経筋刺激を最小にするための電気外科手術用装置および方法に関する。より具体的には、本開示は、神経筋刺激を最小にするように、電気外科手術用ジェネレータによって生成される電気外科手術用波形の周波数を調節するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気外科手術は、組織を切断し、熱的または非熱的に切除し、もしくは凝固させるための外科手術部位への高周波電流の印加を伴う。単極電気外科手術では、供給源または活性電極が、電気外科手術用ジェネレータから標的組織に高周波交流電流を送達する。患者帰還電極が、電流をジェネレータに戻して伝導するように、活性電極から遠隔に留置される。
【0003】
双極電気外科手術では、帰還電極および活性電極は、(例えば、電気外科手術用鉗子の場合に)電気回路が2つの電極の間に形成されるように、相互に近接近して留置される。このように、印加される電流は、電極間に位置付けられる身体組織に限定される。したがって、双極電気外科手術は、概して、器具、例えば、鉗子または同等物上に位置付けられた2つの電極間で電気外科手術用エネルギーの集中送達を達成することが望ましい、器具の使用を伴う。
【0004】
電気外科手術用エネルギーが生成されるとき、周波数成分が、生成された電気外科手術用波形に含まれる。大量の電気外科手術用エネルギーが約100キロヘルツ(kHz)またはそれを下回る低い周波数において存在する場合、電気外科手術用波形は、筋肉組織および/または神経を刺激し得る。筋肉および神経刺激は、神経筋遮断薬(NMBA)を採用することによって防止されてもよく、またはそのような刺激は、神経筋刺激薬(NMSA)を使用することによって、筋肉もしくは神経を識別するために使用されてもよい。しかしながら、NMSAまたはNMBAの使用は、これらの作用物質がアレルギー反応を生じ得る、そして/または患者の筋肉ならびに/もしくは神経の不十分なまたは過度に侵攻性の麻痺をもたらし得るため、望ましくない。したがって、NMSAおよびNMBAの必要性を最小にする、電気外科手術用ジェネレータの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、大量の電気外科手術用エネルギーが、筋肉および神経を刺激し得る周波数よりも高い、調節された周波数において存在するように、電気外科手術用エネルギーの周波数成分を調節する、電気外科手術用装置を提供する。これは、上記で説明されるように潜在的に有害であり得る、NMSAおよびNMBAの必要性を低減させることを可能にする。
【0006】
実施形態では、神経筋刺激を最小にするためのシステムは、コンバータと、インバータと、コントローラとを含む。コンバータは、dc波形を出力するように構成され、第1のデューティサイクルにおいて操作される、少なくとも1つの第1の切替要素を含む。インバータは、コンバータに連結され、第2のデューティサイクルにおいて操作される、少なくとも1つの第2の切替要素を含む。インバータは、DC波形を反転させて電気外科手術用パルス波形を生成するように構成される。コントローラは、コンバータおよびインバータに連結され、電気外科手術用パルス波形の大きさを調節するよう第1のデューティサイクルと、電気外科手術用パルス波形の少なくとも1つの特性を調節するよう第2のデューティサイクルとを制御するように構成される。
【0007】
一側面では、電気外科手術用パルス波形は、神経筋刺激を引き起こすように単相性であり、少なくとも1つの特性は、繰り返し周波数またはパルス幅期間のうちの少なくとも1つを含む。コントローラはさらに、約100kHzを上回るよう単相性電気外科手術用パルス波形の繰り返し周波数を調節するように構成される。別の側面では、コントローラはさらに、約2マイクロ秒未満になるよう電気外科手術用パルス波形のパルス幅期間を調節するように構成される。
【0008】
別の側面では、電気外科手術用パルス波形は、NMBAの量を低減させるように二相性であり、少なくとも1つの特性は、繰り返し周波数またはパルス幅期間のうちの少なくとも1つを含む。コントローラはさらに、約100kHzを上回るよう二相性電気外科手術用パルス波形の繰り返し周波数を調節するように構成される。別の側面では、コントローラはさらに、二相性電気外科手術用パルス波形の最高振幅ピークが周波数ドメイン内で約500kHz〜約5MHzに存在するように、二相性電気外科手術用パルス波形の各サイクルのパルス幅期間を調節するように構成される。
【0009】
さらに別の側面では、コンバータは、降圧型コンバータであり、またはインバータは、昇圧型コンバータである。
【0010】
別の実施形態では、神経筋刺激を最小にするように電気外科手術用ジェネレータを制御するための方法は、DC波形を出力するように、第1のデューティサイクルにおいて電気外科手術用ジェネレータのコンバータの少なくとも1つの第1の切替要素を操作するステップと、DC波形を変換して電気外科手術用パルス波形を生成するように、第2のデューティサイクルにおいて電気外科手術用ジェネレータのインバータの少なくとも1つの第2の切替要素を操作するステップと、電気外科手術用パルス波形の大きさを調節するように第1のデューティサイクルと、電気外科手術用パルス波形の少なくとも1つの特性を調節するように第2のデューティサイクルとを制御するステップとを含む。
【0011】
一側面では、電気外科手術用パルス波形は、神経筋刺激を引き起こすように単相性であり、少なくとも1つの特性は、繰り返し周波数またはパルス幅期間のうちの少なくとも1つを含む。単相性電気外科手術用パルス波形の繰り返し周波数は、約100kHzを上回る。別の側面では、パルス幅期間は、単相性電気外科手術用パルス波形の最高振幅ピークが周波数ドメイン内で約500kHz〜約5MHzに存在するように調節される。
【0012】
別の側面では、電気外科手術用パルス波形は、NMBAの量を低減させるように二相性であり、少なくとも1つの特性は、繰り返し周波数またはパルス幅期間のうちの少なくとも1つを含む。二相性電気外科手術用パルス波形の繰り返し周波数は、約100kHzを上回る。別の側面では、二相性電気外科手術用パルス波形の各サイクルのパルス幅期間は、約2マイクロ秒未満になるように調節される。
【0013】
さらに別の側面では、第1のデューティサイクルおよび第2のデューティサイクルを制御するステップはさらに、組織特性またはエネルギー特性のうちの少なくとも1つを測定するステップと、組織特性またはエネルギー特性のうちの少なくとも1つに応答して、第1のデューティサイクルおよび第2のデューティサイクルを制御するステップとを含む。
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
DC波形を出力するように構成される、コンバータであって、第1のデューティサイクルにおいて操作される、少なくとも1つの第1の切替要素を含む、コンバータと、
上記コンバータに連結され、第2のデューティサイクルにおいて操作される、少なくとも1つの第2の切替要素を含む、インバータであって、上記DC波形を反転させて電気外科手術用パルス波形を生成するように構成される、インバータと、
上記コンバータおよび上記インバータに連結され、上記電気外科手術用パルス波形の大きさを調節するよう上記第1のデューティサイクルと、上記電気外科手術用パルス波形の少なくとも1つの特性を調節するよう上記第2のデューティサイクルとを制御するように構成される、コントローラと、
を備える、神経筋刺激を最小にするための電気外科手術用ジェネレータ。
(項目2)
上記電気外科手術用パルス波形は、神経筋刺激を引き起こすように単相性であり、
上記少なくとも1つの特性は、繰り返し周波数またはパルス幅期間のうちの少なくとも1つを含む、
上記項目に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目3)
上記コントローラは、約100kHzを上回るよう上記単相性電気外科手術用パルス波形の上記繰り返し周波数を調節するように構成される、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目4)
上記コントローラは、約2マイクロ秒未満になるよう上記電気外科手術用パルス波形の上記パルス幅期間を調節するように構成される、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目5)
上記電気外科手術用パルス波形は、神経筋遮断薬の量を低減させるように二相性であり、
上記少なくとも1つの特性は、繰り返し周波数またはパルス幅期間のうちの少なくとも1つを含む、
上記項目のいずれかに記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目6)
上記コントローラは、約100kHzを上回るよう上記二相性電気外科手術用パルス波形の上記繰り返し周波数を調節するように構成される、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目7)
上記コントローラは、上記二相性電気外科手術用パルス波形の最高振幅ピークが周波数ドメイン内で約500kHz〜約5MHzに存在するように、上記二相性電気外科手術用パルス波形の各サイクルの上記パルス幅期間を調節するように構成される、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目8)
上記コンバータは、降圧型コンバータである、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目9)
上記インバータは、昇圧型コンバータである、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目10)
神経筋刺激を最小にするように電気外科手術用ジェネレータを制御するための方法であって、
DC波形を出力するように、第1のデューティサイクルにおいて上記電気外科手術用ジェネレータのコンバータの少なくとも1つの第1の切替要素を操作するステップと、
上記DC波形を変換して電気外科手術用パルス波形を生成するように、第2のデューティサイクルにおいて上記電気外科手術用ジェネレータのインバータの少なくとも1つの第2の切替要素を操作するステップと、
上記電気外科手術用パルス波形の大きさを調節するように上記第1のデューティサイクルを、および上記電気外科手術用パルス波形の少なくとも1つの特性を調節するように上記第2のデューティサイクルを制御するステップと、
を含む、方法。
(項目11)
上記電気外科手術用パルス波形は、単相性であり、
上記少なくとも1つの特性は、繰り返し周波数またはパルス幅期間のうちの少なくとも1つを含む、
上記項目に記載の方法。
(項目12)
約100kHzを上回るよう上記単相性電気外科手術用パルス波形の上記繰り返し周波数を調節する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
上記単相性電気外科手術用パルス波形の最高振幅ピークが周波数ドメイン内で約500kHz〜約5MHzに存在するように、上記単相性電気外科手術用パルス波形の各パルスの上記パルス幅期間を調節する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
上記電気外科手術用パルス波形は、二相性であり、
上記少なくとも1つの特性は、繰り返し周波数またはパルス幅期間のうちの少なくとも1つを含む、
上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
約100kHzを上回るよう上記二相性電気外科手術用パルス波形の上記繰り返し周波数を調節することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
約2マイクロ秒未満になるよう上記二相性電気外科手術用パルス波形の各サイクルの上記パルス幅期間を調節することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記第1および第2のデューティサイクルを制御するステップはさらに、
組織特性またはエネルギー特性のうちの少なくとも1つを測定するステップと、
上記組織特性またはエネルギー特性のうちの少なくとも1つに応答して、上記第1および第2のデューティサイクルを制御するステップと、
を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(摘要)
神経筋刺激を最小にするためのシステムは、コンバータと、インバータと、コントローラとを含む。コンバータは、dc波形を出力するように構成され、第1のデューティサイクルにおいて操作される、少なくとも1つの第1の切替要素を含む。インバータは、コンバータに連結され、第2のデューティサイクルにおいて操作される、少なくとも1つの第2の切替要素を含む。インバータは、DC波形を反転させて、電気外科手術用パルス波形を生成するように構成される。コントローラは、コンバータおよびインバータに連結され、神経筋刺激を最小にするために、電気外科手術用パルス波形の大きさを調節するよう第1のデューティサイクルと、電気外科手術用パルス波形の少なくとも1つの特性を調節するよう第2のデューティサイクルとを制御するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示は、後続の詳細な説明と併せて考慮されたときに、添付の図面を参照することによって理解され得る。
【0015】
図1図1は、本開示の実施形態による、電気外科手術用システムの斜視図である。
図2図2は、本開示の実施形態による、図1の電気外科手術用ジェネレータの正面図である。
図3図3は、本開示の実施形態による、図2の電気外科手術用ジェネレータの概略ブロック図である。
図4図4は、本開示の実施形態による、図1の電気外科手術用ジェネレータのDC−DCコンバータおよびDC−ACインバータの概略ブロック図である。
図5図5Aおよび5Bは、本開示の実施形態による、図1の電気外科手術用ジェネレータによって生成された、電気外科手術用パルス波形のグラフ表現である。
図6図6Aおよび6Bは、本開示の実施形態による、図1の電気外科手術用ジェネレータによって生成された、電気外科手術用パルス波形のグラフ表現である。
図7図7は、本開示の実施形態による、図1の電気外科手術用ジェネレータを制御するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照して、本明細書で以下に記載される。以下の説明では、周知の機能または構造は、本開示を不必要な詳細で曖昧化することを回避するために、詳細に説明されない。
【0017】
本開示によるジェネレータは、切断、凝固、切除、および脈管封止手技を含むが、それらに限定されない、単極および/または双極電気外科手術用手技を行ってもよい。ジェネレータは、種々の電気外科手術用器具(例えば、切除用の単極または多極器具(例えば、針またはカテーテル、帰還電極、双極電気外科手術用鉗子、フットスイッチ等)とインターフェースをとるための複数の出力を含んでもよい。さらに、ジェネレータは、種々の電気外科手術用モード(例えば、切断、混合、凝固、熱的または非熱的切除、止血を用いた分割、高周波療法、噴霧等)および手技(例えば、単極、双極、脈管封止、病変の処置、除神経等)に特に適した高周波エネルギーを発生するように構成される、電子回路を含む。実施形態では、ジェネレータは、電気外科手術用器具に埋め込まれ、統合され、または別様に連結され、一体型(all−in−one)電気外科手術用装置を提供してもよい。
【0018】
図1は、本開示による、双極および単極電気外科手術用システム10の一例証的実施形態の構成要素の斜視図である。システム10は、患者の組織を処置するために、1つまたはそれを上回る活性電極23(例えば、電気外科手術用切断プローブ、切除用電極(単数または複数)等)を有する、1つまたはそれを上回る単極電気外科手術用器具20を含んでもよい。電気外科手術用交流電流は、ジェネレータ200の活性端子230(図3)に接続される供給ライン24を介して、ジェネレータ200によって器具20に供給され、器具20が、組織を切断する、凝固させる、熱的または非熱的に切除する、そして/または別様に処置することを可能にする。交流電流は、ジェネレータ200の帰還端子232(図3)における帰還ライン28を介して、帰還電極パッド26を通してジェネレータ200に戻される。単極動作に関して、システム10は、患者との全体的接触面積を最大にすることによって、組織損傷の機会を最小にするように、使用時に患者上に配置される、複数の帰還電極パッド26を含んでもよい。加えて、ジェネレータ200および帰還電極パッド26は、十分な接触がそれらの間に存在することを確実にするように、組織/患者接触を監視するために構成されてもよい。
【0019】
システム10はまた、1つまたはそれを上回る双極電気外科手術用器具、例えば、患者の組織を処置するための1つまたはそれを上回る電極を有する、双極電気外科手術用鉗子30を含んでもよい。電気外科手術用鉗子30は、筐体31と、シャフト32の遠位端に配置される対向する顎部材33および35とを含む。顎部材33および35は、それぞれ、その中に配置される、1つまたはそれを上回る活性電極34および帰還電極36を有する。活性電極34および帰還電極36は、それぞれ、活性端子および帰還端子230、232(図3)に連結される供給ラインおよび帰還ライン24、28を含む、ケーブル38を通して、ジェネレータ200に接続される。電気外科手術用鉗子30は、ケーブル38の端部に配置されるプラグを介して、活性端子および帰還端子230および232への接続を有するコネクタ(例えば、ピン)において、ジェネレータ200に連結され、プラグは、以下でさらに詳細に説明されるように、供給ラインおよび帰還ライン24、28からの接点を含む。
【0020】
図2を参照すると、ジェネレータ200の正面240が示されている。ジェネレータ200は、任意の好適なタイプ(例えば、電気外科手術用、マイクロ波等)であってもよく、種々のタイプの電気外科手術用器具(例えば、電気外科手術用鉗子30等)に適応するように複数のコネクタ250−262を含んでもよい。
【0021】
ジェネレータ200は、ユーザに種々の出力情報(例えば、強度設定、処置完了インジケータ等)を提供するための1つまたはそれを上回るディスプレイ画面もしくは情報パネル242、244、246を有する、ユーザインターフェース241を含む。画面242、244、246のそれぞれは、対応するコネクタ250−262と関連付けられる。ジェネレータ200は、ジェネレータ200を制御するための好適な入力制御(例えば、ボタン、起動装置、スイッチ、タッチスクリーン等)を含む。情報パネル242、244、246の画面はまた、電気外科手術用器具(例えば、電気外科手術用鉗子30等)のための対応するメニューを表示する、タッチスクリーンとして構成される。ユーザは、次いで、対応するメニュー選択肢に単に触れることによって、入力を調節する。
【0022】
画面242は、単極出力およびコネクタ250ならびに252に接続されたデバイスを制御する。コネクタ250は、単極電気外科手術用器具(例えば、電気外科手術用器具20)に連結するように構成され、コネクタ252は、フットスイッチ(図示せず)に連結するように構成される。フットスイッチは、付加的入力(例えば、ジェネレータ200の入力を再現する)を提供する。画面244は、単極および双極出力ならびにコネクタ256および258に接続されたデバイスを制御する。コネクタ256は、他の単極器具に連結するように構成される。コネクタ258は、双極器具(図示せず)に連結するように構成される。
【0023】
画面246は、コネクタ260および262に差し込まれ得る、電気外科手術用鉗子30によって行われる双極封止手技を制御する。ジェネレータ200は、コネクタ260および262を通して、電気外科手術用鉗子30によって把持される組織を封止するために好適なエネルギーを出力する。特に、画面246は、ユーザがユーザ定義強度設定を入力することを可能にする、ユーザインターフェースを出力する。ユーザ定義設定は、ユーザが、電力、電流、電圧、エネルギー等の1つまたはそれを上回るエネルギー送達パラメータ、もしくはエネルギー速度リミッタ、封止持続時間等の封止パラメータを調節することを可能にする、任意の設定であってもよい。ユーザ定義設定は、コントローラ224に伝送され、設定は、メモリ226内に保存されてもよい。実施形態では、強度設定は、例えば、1から10または1から5等の数値尺度であってもよい。実施形態では、強度設定は、ジェネレータ200の出力曲線と関連付けられてもよい。強度設定は、種々の器具が、電気外科手術用鉗子30に対応する具体的強度尺度をユーザに提供するように、利用されている各電気外科手術用鉗子30に特異的であり得る。
【0024】
図3は、電気外科手術用エネルギーを出力するように構成される、ジェネレータ200の概略ブロック図を示す。ジェネレータ200は、コントローラ224と、電力供給源227と、高周波(RF)増幅器228とを含む。電力供給源227は、AC供給源(例えば、ライン電圧)に接続される、高電圧DC電力供給源であってもよく、導線227aおよび227bを介して高電圧DC電力をRF増幅器228に提供し、これは、次いで、高電圧DC電力を処置エネルギー(例えば、電気外科手術用、またはマイクロ波)に変換し、エネルギーを活性端子230に送達する。エネルギーは、帰還端子232を介して、そこに戻される。活性端子および帰還端子230および232は、絶縁変圧器229を通してRF増幅器228に連結される。RF増幅器228は、複数のモードで動作するように構成され、その間、ジェネレータ200は、特定のデューティサイクル、ピーク電圧、波高率等を有する、対応する波形を出力する。他の実施形態では、ジェネレータ200は、他のタイプの好適な電力供給源トポロジに基づき得ることが想定される。RF増幅器228は、非共振RF増幅器であってもよい。本明細書で使用されるような非共振RF増幅器は、RFインバータと負荷との間に配置される、任意の同調構成要素、すなわち、導体、コンデンサ等が欠けている、増幅器を表す。
【0025】
コントローラ224は、一過性タイプメモリ(例えば、RAM)および/または非一過性タイプメモリ(例えば、フラッシュ媒体、ディスク媒体等)を含み得る、メモリ226に動作可能に接続される、プロセッサ225を含む。プロセッサ225は、電力供給源227および/またはRF増幅器228に動作可能に接続され、プロセッサ225が、開および/または閉制御ループ方式のいずれかに従って、ジェネレータ200の出力を制御することを可能にする、出力ポートを含む。閉ループ制御方式は、複数のセンサが、種々の組織およびエネルギー特性(例えば、組織インピーダンス、組織温度、出力電力、電流および/または電圧等)を測定し、フィードバックをコントローラ224に提供する、フィードバック制御ループである。コントローラ224は、次いで、それぞれ、DCおよび/または電力供給源を調節する、電力供給源227ならびに/もしくはRF増幅器228を制御する。当業者は、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル信号プロセッサ、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、本明細書に説明される計算および/または命令のセットを行うように適合される、任意の論理プロセッサ(例えば、制御回路)を使用することによって、プロセッサ225が代用され得ることを理解し得る。
【0026】
本開示によるジェネレータ200は、複数のセンサ280、例えば、RF電流センサ280aと、RF電圧センサ280bとを含む。ジェネレータ200の種々の構成要素、すなわち、RF増幅器228、RF電流センサおよび電圧センサ280aおよび280bは、プリント回路基板(PCB)上に配置されてもよい。RF電流センサ280aは、活性端子230に連結され、RF増幅器228によって供給されるRF電流の測定を提供する。RF電圧センサ280bは、活性端子および帰還端子230および232に連結され、RF増幅器228によって供給されるRF電圧の測定を提供する。実施形態では、RF電流センサおよび電圧センサ280aおよび280bは、それぞれ、活性および帰還端子230ならびに232をRF増幅器228に相互接続する、活性および帰還導線228aならびに228bに連結されてもよい。
【0027】
RF電流センサおよび電圧センサ280aおよび280bは、それぞれ、検知されたRF電圧および電流信号をコントローラ224に提供し、これは、次いで、検知されたRF電圧信号および電流信号に応答して、電力供給源227および/またはRF増幅器228の出力を調節してもよい。コントローラ224はまた、ジェネレータ200、器具20、および/または電気外科手術用鉗子30の入力制御から入力信号を受信する。コントローラ224は、ジェネレータ200によって出力される電力を調節するために入力信号を利用し、そして/またはその上で他の制御機能を果たす。
【0028】
図4に示される概略図を参照すると、ジェネレータ200は、DC−DC降圧型コンバータ101と、DC−AC昇圧型コンバータ102と、インダクタ103と、変圧器104と、コントローラ224とを含む。実施形態では、DC−AC昇圧型コンバータ102は、RF増幅器228a、228bのそれぞれの一部である。したがって、簡単にするために、RF増幅器228a、228bのうちの1つのみが、以下で本明細書に議論される。例示的実施形態では、電力供給源227等のDC電圧源Vgが、DC−DC降圧型コンバータ101に接続される。さらに、インダクタ103は、DC−DC降圧型コンバータ101とDC−AC昇圧型コンバータ102との間に電気的に連結される。DC−AC昇圧型コンバータ102の出力は、負荷Z(例えば、処置されている組織)まで変圧器104の二次巻線を通過する電力を変圧器104の一次巻線に伝送する。
【0029】
DC−DC降圧型コンバータ101は、切替要素101aを含み、DC−AC昇圧型コンバータ102は、Hブリッジトポロジに配列される複数の切替要素102a−102dを含む。実施形態では、DC−AC昇圧型コンバータ102は、ハーフブリッジ、フルブリッジ、プッシュプル、および同等物を含むが、それらに限定されない、任意の好適なトポロジに従って構成されてもよい。好適な切替要素は、トランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、それらの組み合わせ、および同等物等の電圧制御されたデバイスを含む。例示的実施形態では、コントローラ224は、DC−DC降圧型コンバータ101およびDC−AC昇圧型コンバータ102の両方、具体的には、それぞれ、切替要素101aおよび102a−102dと通信している。コントローラ224は、その内容全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、Johnsonらによって2013年12月4日に出願された、CONSTANT POWER IVERTER WITH CREST FACTOR CONTROLと題され、米国特許出願公開第2014/0254221号として公開された同時継続出願でさらに詳細に説明されるように、パルス幅変調信号であり得る制御信号を切替要素101aおよび102a−102dに出力するように構成される。具体的には、コントローラ224は、DC−DC降圧型コンバータ101の切替要素101aに供給される制御信号のデューティサイクルdと、DC−AC昇圧型コンバータ102の切替要素102a−102dに供給される制御信号のデューティサイクルdとを制御するように構成される。加えて、コントローラ224は、ジェネレータ200の電力特性を測定し、少なくとも部分的に、測定された電力特性に基づいて、ジェネレータ200を制御するように構成される。測定された電力特性の実施例は、インダクタ103を通した電流およびDC−AC昇圧型コンバータ102の出力における電圧を含む。例示的実施形態では、コントローラ224は、サイクル毎にインダクタ電流および非線形搬送制御電流の比較に基づいて、デューティサイクルdを生成することによって、降圧型コンバータ101を制御する。
【0030】
実施形態では、ジェネレータ200は、図5A−6Bに示されるように実質的に四角形である電気外科手術用パルス波形を生成してもよい。本開示による非共振RF増幅器228は、RF増幅器228に不在である共振ネットワークによって生成される正弦波形ではなく、その非共振トポロジに起因する四角形波形を生成するように構成される。図5A−6Bの電気外科手術用パルス波形は、本開示の実施形態によると、異なる繰り返し周波数および/または異なるパルス幅周波数においてジェネレータ200のRF増幅器228によって生成される。
【0031】
図5Aおよび5Bは両方とも、約20kHz未満である低い繰り返し周波数を有する、電気外科手術用パルス波形を示す。具体的には、図5Aは、単相性電気外科手術用パルス波形520および530を示し、図5Bは、二相性電気外科手術用パルス波形560a−570bを示す。単相性電気外科手術用パルス波形520および530がDC成分を含むため、単相性電気外科手術用パルス波形520および530は、筋肉および神経を刺激するため、または電気外科手技の間に神経および筋肉を識別して場所を特定するようにNMSAとしての役割を果たすために使用されてもよく、二相性電気外科手術用パルス波形560a−570bは、NMSAおよびNMBAの量を低減させるために使用されてもよい。したがって、単相性電気外科手術用パルス波形は、NMSAの必要性を排除してもよい。
【0032】
垂直軸505は、電圧の振幅を表し、水平軸510は、時間を表す。繰り返し時間Tは、電気外科手術用パルス波形の1つの完全サイクルの繰り返しの持続時間を示す。つまり、単相性電気外科手術用パルス波形520の1つのサイクルは、1つのパルスを含み、二相性電気外科手術用パルス波形のサイクルは、一方のパルス(例えば、パルス560a)が上向きであり、他方のパルス(例えば、パルス560b)が下向きである、2つのパルス560aおよび560bを含む。繰り返し周波数fは、繰り返し時間Tと等価である周波数である。パルス幅期間Tは、電気外科手術用パルス波形がオンであるか、または電圧を維持している間の持続時間を示し、パルス幅周波数fは、パルス幅期間Tと等価である周波数である。
【0033】
電気外科手術用パルス波形は、制御信号dおよびdに基づいてジェネレータ200によって生成される。制御信号dは、電気外科手術用パルス波形の大きさを制御する。具体的には、制御信号dは、コンバータ101へのPWM信号のデューティサイクルを制御する。したがって、電気外科手術用パルス波形の大きさが予期されるより低い場合、制御信号dは、PWM信号のデューティサイクルを増加させる。逆に、電気外科手術用パルス波形の大きさが予期されるより高い場合、制御信号dは、PWM信号のデューティサイクルを減少させる。
【0034】
制御信号dは、PWM制御信号のデューティサイクルならびにPWM制御信号の他の特性を制御する。実施形態では、制御信号dは、スイッチ102a−102dのスイッチング周波数および各スイッチ102a−102dがその状態を保持する持続時間を制御してもよい。スイッチング周波数は、繰り返し周波数fに関係付けられ、持続時間は、パルス幅期間Tに関係付けられる。
【0035】
図5Aおよび5Bに示されるように、繰り返し周波数fは、約20kHz未満であり、パルス幅期間Tは、約5マイクロ秒(μs)を上回る。5マイクロ秒のパルス幅期間に関連付けられる周波数は、200kHzである。したがって、電気外科手術用エネルギーは、約200kHzより高い高周波数においてよりも、約20kHz未満である低周波数において多く存在する。
【0036】
NMSAは、その間に神経および筋肉の場所を特定するか、またはそれらを刺激することが望ましい、電気外科手術手技の間に採用されている。筋肉または神経が低い周波数において刺激されるため、筋肉および神経はまた、より多くのエネルギーが低い周波数(例えば、約100kHzを下回る周波数)において存在する、単相性または二相性電気外科手術用パルス波形を使用することによって、識別または刺激されることもできる。このようにして、単相性電気外科手術用パルス波形は、単相性電気外科手術用パルス波形がDC成分を有するため、神経の場所を特定するか、または筋肉を刺激するNMSAの必要性を排除してもよく、二相性電気外科手術用パルス波形は、NMSAおよびNMBAの量を低減させるために使用されてもよい。
【0037】
図6Aおよび6Bは、筋肉および神経刺激を回避し、したがって、NMBAの必要性を低減させる、約100kHzを上回る周波数においてより多くのエネルギーを有する、電気外科手術用パルス波形を図示する。図6Aは、単相性電気外科手術用パルス波形620を示し、図6Bは、二相性電気外科手術用パルス波形660a−660bを示す。図6Aおよび6Bの両方では、繰り返し周波数fは、約100kHzを上回り、パルス幅期間Tは、約1マイクロ秒未満である。パルス幅期間は、上向きおよび下向きのパルスの完全サイクルの期間である。実施形態では、繰り返し周波数fは、約100kHz〜約500kHzであってもよく、パルス幅期間Tは、そのエネルギースペクトル内の最高振幅ピークが周波数ドメイン内で約500kHz〜約5MHzに存在するように、約0.2マイクロ秒〜2マイクロ秒であるよう調節されてもよい。
【0038】
電気外科手術用エネルギーは、約100kHzを上回る繰り返し周波数fにおいて存在し、したがって、電気外科手術用パルス波形は、神経および/または筋肉刺激を引き起こさない。二相性電気外科手術用パルス波形は、NMBAの必要性が低減させられるように、筋肉およびニューロン間の通信に割り込む、割り込み信号としての役割を果たしてもよい。
【0039】
実施形態では、パルス幅期間Tは、所望の処置効果または目的を得るために十分なエネルギーを提供するように調節されてもよい。さらに、コンバータ101およびインバータ102は、所望の周波数において電気外科手術用波形の十分なエネルギーを提供するように制御される。
【0040】
図7は、本開示の実施形態による、図1の電気外科手術用ジェネレータ200を制御するための方法700を図示する、フローチャートを示す。方法700は、電気外科手術用ジェネレータ200のソフトウェアおよび/またはハードウェアに組み込まれてもよい。実施形態では、コントローラ224は、本開示による、電気外科手術用ジェネレータ200の動作および電気外科手術用波形の生成を制御するように構成される。さらなる実施形態では、ソフトウェアは、メモリ224に記憶され、マイクロプロセッサ225によって実行可能である、命令を含んでもよい。
【0041】
方法700は、コンバータ101の少なくとも1つの切替要素が、DC波形を出力するように第1のデューティサイクルにおいて操作され、コンバータ101が、第1のデューティサイクルに基づいて所望の大きさを伴うDC電力を生成する、ステップ710から始まる。ステップ720では、DC波形の振幅が測定され、ステップ730では、ジェネレータ200が、測定された振幅が所望の範囲内であるかどうかを判定する。
【0042】
実施形態では、測定された振幅は、電気外科手術用動作のモード(例えば、それぞれ、定電圧限界モード、定電流限界モード、定電力モード)に基づく、電流、電圧、または電力の振幅であってもよい。別の実施形態では、電気外科手術用動作のモードは、所定の範囲を判定してもよい。さらなる実施形態では、定電圧限界モードの所定の範囲は、定電流限界モードの範囲とは異なる大きさを有してもよい。
【0043】
測定された振幅が所定の範囲内ではないことがステップ730において判定されるとき、コンバータ101の第1のデューティサイクルがステップ740において調節される。実施形態では、測定された振幅が所定の範囲を上回るとき、デューティサイクルは、測定された振幅がそれに従って低下させられるように低下させられる。逆に、測定された振幅が所定の範囲を下回るとき、デューティサイクルは、測定された振幅がそれに従って増加させられるように上昇させられる。
【0044】
測定された振幅が所定の範囲内であることがステップ730において判定されるとき、インバータ102の少なくとも1つの第2の切替要素が、ステップ750において、DC波形を電気外科手術用パルス波形に変換するように第2のデューティサイクルにおいて操作される。電気外科手術用パルス波形のエネルギーは、繰り返し速度およびパルス幅周波数によって制御または調節されることができる、いくつかの周波数において分配される。実施形態では、制御信号(例えば、PWM信号)は、図5A−6Bに関して上記で説明されるように、電気外科手術用パルス波形の繰り返し周波数およびパルス幅周波数を調節して所望の波形を得るために使用されてもよい。
【0045】
ステップ760では、電気外科手術用パルス波形の繰り返し周波数が第1の閾値未満であるかどうかが判定される。図6Aおよび6Bに示されるように、繰り返し周波数は、電気外科手術用パルス波形が筋肉および/または神経を刺激し得ないように、約100kHzを上回ってもよい。繰り返し周波数が第1の閾値未満であるとき、PWM信号は、繰り返し周波数がステップ790の第1の閾値を上回るように調節される。
【0046】
繰り返し周波数が第1の閾値を上回ることがステップ760において判定されるとき、ステップ770において電気外科手術用パルス波形が二相性であるかどうかも判定される。
【0047】
ステップ770におけるように、電気外科手術用パルス波形が二相性であることが判定される場合において、ステップ780のように、パルス幅期間が第2の閾値を下回るかどうかも判定される。パルス幅期間は、十分な電気外科手術用エネルギーが電気外科手術用動作モードのために提供されることを示してもよい。具体的には、パルス幅期間が低いほど、電気外科手術用パルス波形のそれぞれを用いて送達される電気外科手術用エネルギーが低い。実施形態では、パルス幅期間と等価である周波数は、繰り返し周波数を上回るように調節され、同様に、第2の閾値と等価である周波数は、第1の閾値を上回るようにプログラムされる。実施形態では、繰り返し周波数は、約100kHz〜約500kHzであってもよく、パルス幅期間は、そのエネルギースペクトル内の最高振幅ピークが周波数ドメイン内で約500kHz〜約5MHzに存在するように調節されてもよい。
【0048】
パルス幅期間が第2の閾値を上回ることがステップ780において判定されるとき、PWM信号は、パルス幅期間が第2の閾値未満またはそれと等しくなるように、ステップ790において調節される。このようにして、PWM信号は、繰り返し周波数が第1の閾値を上回り、パルス幅期間が第2の閾値未満であるまで、ステップ760−790を実施することによって調節される。
【0049】
繰り返し周波数を増加させること、および/またはパルス幅期間を減少させることによって、電気外科手術用波形のデューティサイクルが低下させられる。逆に、繰り返し周波数を減少させること、および/またはパルス幅期間を増加させることによって、電気外科手術用波形のデューティサイクルが増加させられる。
【0050】
パルス幅期間が第2の閾値未満であることがステップ780において判定されるとき、方法700は、完了する。このようにして、電気外科手術用パルス波形は、NMSAの量を低減させるよう、筋肉および神経の刺激を引き起こすことができ、電気外科手術用パルス波形の周波数を制御することによって、NMSAまたはNMBAの量を低減させることができる。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態が、図面において示されるか、および/または本明細書に説明されているが、本開示がそれらに限定されることは意図されておらず、本開示は、当分野が許容する限り範囲が広いことを意図しており、明細書も同様に読まれることが意図される。そのため、上記の説明は、限定ではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付の請求項の範囲および精神内で他の修正も想定し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7